リアルロボットとは、はフィクション作品におけるロボットの分類方法の一つで、「リアル系(の機体)」とも呼ばれる。対義語は「スーパーロボット」。
概要
一般的にはガンダムシリーズにおける「モビルスーツ」や、装甲騎兵ボトムズにおける「アーマード・トルーパー」などがリアルロボットの代表格とされており、またこれらのロボットが活躍する作品を「リアルロボット系(の作品)」「リアル系(の作品)」と呼ぶことが多い。しかし、リアル・スーパーの区分基準や垣根(特に後者の、作品自体の分類)についてはファンの間で多様な見解が見られ、一言で説明するのは困難である。詳細は「スーパーロボットとリアルロボット」を参照。
ゲーム中の能力面から見たリアルロボット
スーパーロボット大戦のゲーム中で「リアル(ロボット)」という用語が初めて明確に登場したのは『第4次スーパーロボット大戦』である。本作はスーパーロボット大戦において初めて「プレイヤーのマイキャラとしての主人公」のシステムが取り入れられた作品であるが、この主人公の設定は「リアル」「スーパー」の2種類から選択することが可能となっていた。
リアルロボットという概念自体は、前述のガンダムやボトムズ等の作品を指すものとして以前から存在していたが、本作で「リアル系」という設定が採用された主たる理由は「ガンダム世代のニーズに応えるため」であると言われている。実際に同作の主人公には、「ニュータイプ技能所持」というガンダムとの互換性を意識した設定が盛り込まれており、また後期主人公機であるヒュッケバインの造形もガンダムに類似したものとなっている。
そしてその結果として、リアル系主人公の能力及び主人公機の性能も、それまでのスパロボシリーズで確立していたガンダムシリーズのパラメータの影響を強く受けることとなる。即ち、パイロット能力・機体性能の両面で「避けて当てる」パラメータ[1]となった。
更に、同作には『聖戦士ダンバイン』の「オーラバトラー」、『重戦機エルガイム』の「ヘビーメタル」等、量産性・汎用性などの面でリアル系としての性質を有するとの見方が有力である機体群も多く参戦していたが、これらについても軒並みリアル系主人公機と同じ傾向の能力設定がなされたことで、「リアル系とされる機体は、避けて当てることが特徴」とする図式が一挙に確立されることとなった。
以上の経緯を経て、今日では避けて当てる機体をリアル系と呼称する用法がかなり広範に普及している。また、回避能力を重視した運用方法を「リアル系の運用」、回避に秀でた能力値を「リアル寄り」などとする呼称も多くの攻略本を中心に広まっている用法である(例:「ブルー・ジェットはリアル系の運用が可能」「鋼鉄ジーグはリアル寄りの能力値」)。更に近年のSRWでは、後半の「当てる」要素はさほどの判断基準にはならない(特に携帯機作品では主力ユニットは概ね当てる能力に困らない)ため、基本的には「避けるイメージ」が重要視されていると言える。
但しこれは、繰り返しになるが「ゲーム中の能力面から見た場合」という前提での用法であることに注意する必要がある。機体の設定や、その機体が登場する作品の作風等を踏まえた上でのスーパー、リアルの区分については、前述の通り別記事を参照されたい。
歴代のバンプレストオリジナル・リアル系主人公機
本項では、これまでに「リアル系」という括りで紹介されてきた主人公機[2]を列挙する。
設定面については多くの議論の余地はあれど、前述した「避けて当てる」能力値であるという点については共通していることが確認できる。
作品 | 主人公機 | 主人公 |
---|---|---|
第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ | ベルグバウ / ディス・アストラナガン | クォヴレー・ゴードン |
ASソレアレス / ASアレグリアス | セレーナ・レシタール | |
スーパーロボット大戦Z | バルゴラ / バルゴラ・グローリー | セツコ・オハラ |
第2次スーパーロボット大戦Z | ブラスタ / リ・ブラスタB | クロウ・ブルースト |
スーパーロボット大戦W | ヴァルホーク | カズマ・アーディガン |
スーパーロボット大戦K | レヴリアス / ソルヴリアス・レックス&レギーナ | ミスト・レックス[4] |
スーパーロボット大戦UX | ライオットB[5] | アニエス・ベルジュ |
スーパーロボット大戦Operation Extend | エグザート | 草薙征士郎 |
スーパーロボット大戦V | ヴァングレイ / ヴァングネクス | 叢雲総司 如月千歳 |
スーパーロボット大戦T | ティラネード / ティラネード・レックス | サイゾウ・トキトウ サギリ・サクライ |
リアル系かどうかの判断が難しい作品・機体の一例
設定や作品の作風などまで考慮に入れた上でのリアル・スーパー区分は、前述の通り議論が込み入りがちである(詳細は前述の通り別記事を参照)。下記によく話題に上る作品を一部例示する。
- 機動武闘伝Gガンダム(モビルファイター)
- 元々が『ガンダムシリーズ』に登場する機体なので、この観点から見るとリアル系だが、戦闘描写のノリはスーパー系に近い。ユニット性能的にも気力制限のある高火力必殺技を標準装備しており(代わりにリアル系御用達の「魂」を覚えないことが多い)、前述のノリの影響か装甲も高めに設定された。しかし近年では(リアル系としては)高目の装甲値とバランスをとるためか運動性を低めに設定される傾向があり、中でも『J』においては、「避けない・装甲薄い」とスーパーとリアルの欠点だけが際立った性能に設定され(ゴッドガンダム及びドラゴンガンダムは比較的マシ。あくまで比較的だが)、作中最大のお荷物機体扱いで万年ベンチにしたプレイヤーも多い。なお同作には普通のMSも登場するが、スパロボにはそれらは未登場である。
- 戦闘メカ ザブングル(ウォーカーマシン)
- 機体の造形はリアル系だが、原作のノリや、『装甲が厚く、外見ほど避けない』というSRWにおける性能はスーパー系に近い。
- 聖戦士ダンバイン(オーラバトラー等)
- SRWにおける性能は避けて当てるリアル系のフォーマットに落とし込まれたものだが、人間が持つ生体エネルギーで動き、内部機構にも生体パーツを用いているなど、よく見るとリアル系らしからぬ設定が多い(究極的にはハイパー化のような人知を超えた力まで発揮する)。
- リアルロボット作品としてみなされるのは'80年代のリアルロボットブーム真っ只中で放送された富野由悠季監督作品であることが主な理由と思われるが、この作品における「リアル」とは「バイストン・ウェル」というファンタジー世界の世界観に基づいた「リアル」という見方も可能である(この点は他のファンタジー系作品の多くにも該当しうるが)。
- オーバーマン キングゲイナー(オーバーマン)
- 造形的にはリアル系に近いが、原作でのノリや扱いはスーパー系に近い。『機体別に異なる能力を持つ』という機体特性も、比較的スーパー系に多く見られる特徴といえる。なお、同作に登場するシルエットマシンは造形的にも性能的にもリアル系である。
- ブレンパワード(アンチボディ)
- 世界観はリアル系だが、エヴァンゲリオンなどと同じく生命体である。また、「チャクラ」や「バイタルジャンプ」など、設定のいくつかにスーパー系の要素がある。
- 機甲界ガリアン(機甲兵)
- 『ボトムズ』や『レイズナー』と同じ高橋良輔監督作品であることもあり、リアル系と見られる向きも強いが、現在の技術では製造できない古代の発掘兵器であるなどスーパーロボット的な要素も持ち合わせている。特に『BX』ではスーパー系寄りの『巨神ゴーグ』と密接な関係にあるクロスオーバーがなされたため、より判断に迷いかねない。なお性能の方は当てて避けるリアル系らしいものである。
- クロスアンジュ 天使と竜の輪舞(ラグナメイル・龍神器)
- パラメイルは疑いようもないリアル系仕様と言って良いのだが、その元になったラグナメイルやその仕様をより忠実に再現した龍神器はその能力のみならず設定面でも作品世界の根幹に関わっている等、リアル系らしからぬ存在である(強いて他作品で喩えれば、『重戦機エルガイム』のオリジナルヘビーメタルがこれに近いかもしれない)。
- 機動戦艦ナデシコ(ジンシリーズ)
- リアル系の世界観にも拘らず、設定上からも明らかにスーパー系な『熱血ロボ ゲキ・ガンガー3』をモデルとしているため、これらの機体もスーパーロボット的な性能である。また同じく『ゲキ・ガンガー』に感化されたガイも、エステバリスのパイロットながら能力値はともかく精神コマンドは完全にスーパー系寄りである。
- 宇宙の騎士テッカマンブレード、宇宙の騎士テッカマンブレードII(テッカマン)、デトネイター・オーガン(ソリッドアーマー)
- ユニット性能としてはリアル系的だが、これらは'70年代のSFヒーロー物作品『宇宙の騎士テッカマン』を原点としており、特に前者は「名乗り」や「必殺技名を叫ぶ」といったスーパー系の要素を色濃く残している(一方、ソルテッカマンやバードマン等のエクテアーマーは描写的にもリアル系と言って差し支えない)。
- またこれらのユニットはそもそもロボットではなく強化外骨格やパワードスーツの類であり(テッカマンに至っては装甲に覆われる兵士そのものを指す)、スーパー・リアルといった区分以前の問題ともいえる。
- 蒼穹のファフナー(ファフナー)
- 世界観と組織はリアル系そのもの。しかし機体の方は武装こそリアル系だが「フェストゥムの「読心」能力に唯一対抗し得る兵器」「搭乗者は限定的(ある程度は乗り換え可能)」「搭乗すると身体を蝕まれ、最終的に廃人化・死亡する」というスーパーロボットの側面を強く併せ持っている。サイズもリアルロボットにしてはかなり大型で、その大半は全長が30m以上もある。特に主人公機は作中で明確に救世主・決戦兵器として建造されており、他のファフナーとは完全に別次元の性能を持つ。
- ゾイドシリーズ(ゾイド)
- ゾイド自体が生命体であり自我を持ち、自己修復能力があるなど、ロボット自体はスーパー系の要素も持つが、世界観などはリアル系寄りである。アニメ第1作『ゾイド -ZOIDS-』の下敷きになったバトルストーリーもリアルロボット全盛の'80年代に展開されており、その影響下にあることが伺える。しかしアニメではシリーズを経るにつれ、よりスーパー系然とした演出や設定も目立つようになり、厳密な区分は難しくなっている。
- 鉄のラインバレル(マキナ)
- 本作はコミックスの裏表紙でも銘打たれているようにリアルロボット作品であり、主人公機であるラインバレルをはじめとしてデザインも設定もリアル系寄りなのだが、作風がスーパー的な要素もあることからスーパー系だと思っている人も多く、本Wikiでもスーパー系として扱われることが多い。初参戦した『L』ではまだ「HP回復のあるリアル系」と呼べる性能だったが、『UX』では即時回復による耐久力の大幅な上昇、他のリアル系と比較して命中回避が大きく劣る、集中持ちが希少な事などから、スーパー系の色が濃くなっている。逆に、脇役のアルマや迅雷は紛うことなくリアル系である。
- 魔装機神シリーズ(魔装機)
- 世界観や設定こそファンタジー調であるが軍事的運用や量産機の存在などそのメカニックはリアル系のカラーを強く持つ。ただし一部のワンオフ機や上位機である魔装機神はスーパーロボットそのものである。
関連用語
機体カテゴリ
一般的にリアル系であるとの認識が強い機体カテゴリの一覧。
程度の差はあるが、下記の機体群がスパロボに登場する場合、前述の理由により大概は回避に重点が置かれた能力値になる。逆に、下記のカテゴリに含まれる機体であっても、運動性より装甲重視の能力設定となれば「スーパー寄りの能力値」などと評されることが多い。
- モビルスーツ(MS) / モビルアーマー(MA) / 可変モビルスーツ(TMS)/ モビルドール(MD)(ガンダムシリーズ)
- モビルファイター(MF)(機動武闘伝Gガンダム)
- ウォーカーマシン(WM)(戦闘メカ ザブングル)
- オーラバトラー(オーラマシン)(聖戦士ダンバイン、New Story of Aura Battler DUNBINE、リーンの翼)
- ヘビーメタル(HM)(重戦機エルガイム)
- メタルアーマー / フォルグアーマー(機甲戦記ドラグナー)
- コンバットアーマー(CBアーマー)(太陽の牙ダグラム)
- アーマード・トルーパー(AT)(ボトムズシリーズ)
- 機甲兵(機甲界ガリアン)
- SPT(スーパーパワードトレーサー) / MF(マルチフォーム) / TS(テラー・ストライカー)(蒼き流星SPTレイズナー)
- タクティカルアーマー / メタルフェイク(ガサラキ)
- ニューロノイド(ベターマン)
- ガイメレフ / メレフ(天空のエスカフローネ)
- アンチボディ(オーガニック・マシン)(ブレンパワード / グランチャー / バロンズゥ)(ブレンパワード)
- オーバーマン / シルエットマシン(オーバーマン キングゲイナー)
- ナイトメアフレーム(KMF) / ナイトギガフォートレス(KGF)(コードギアス 反逆のルルーシュ)
- ホロニックローダー(ゼーガペイン)
- QTアームズ(宇宙をかける少女)
- 霊長兵器(革命機ヴァルヴレイヴ)
- ヴァリアンサー(バディ・コンプレックス)
- パラメイル/ラグナメイル/龍神器(クロスアンジュ 天使と竜の輪舞)
- ガンヘッド(ガンヘッド)
- 可変戦闘機(バルキリー・VF) / AVF / デストロイド / バトルスーツ(マクロスシリーズ)
- ドリファンド / 戦闘デバイス(超時空世紀オーガス)
- バリアブルマシーン(特装機兵ドルバック)
- エステバリス / ジンシリーズ(機動戦艦ナデシコ)
- ゾイド / バイオゾイド(ゾイドシリーズ)
- ファフナー(蒼穹のファフナー)
- オービッド(輪廻のラグランジェ)
- アーム・スレイブ(AS)(フルメタル・パニックシリーズ)
- マニューバスレイヴ(MS)(メガゾーン23)
- エクテアーマー / ソリッドアーマー(デトネイター・オーガン)
- テッカマン / ソルテッカマン(宇宙の騎士テッカマンブレード、ブレードII)
- LFO / KLF(交響詩篇エウレカセブン)
- IFO(エウレカセブンAO)
- サイバディ(STAR DRIVER 輝きのタクト)
- 作品のノリや設定はスーパー系寄りだが初参戦の『X-Ω』ではリアル系に分類されている。
- レイバー(機動警察パトレイバー)
- マシンキャリバー(翠星のガルガンティア)
- カタフラクト(アルドノア・ゼロ)
- 機動外骨格スーツ(楽園追放 -Expelled from Paradise-)
- エグゾフレーム(OBSOLETE)
- AHSMB(アッシュ)/HIGH-MOB(ハイモブ)(銀河機攻隊 マジェスティックプリンス)
- MOEV(重神機パンドーラ)
- バーチャロイド(VR)(電脳戦機バーチャロンシリーズ)
- ブラスト・ランナー(ボーダーブレイク)
- 戦術機(マブラヴ オルタネイティヴ)
- 魔装機 (魔装機神シリーズ)
- パーソナルトルーパー / ゲシュペンストシリーズ / ヒュッケバインシリーズ(バンプレストオリジナル)
- アーマードモジュール / リオンシリーズ(バンプレストオリジナル)
- アサルト・ドラグーン / アサルト・スカウター / ヴァルキュリアシリーズ(バンプレストオリジナル)
その他用語
リンク
脚注
- ↑ リアルロボットは本当に回避をコンセプトとした機体であるのか?という点については議論の余地があるが、能力値についてそのような傾向となった理由としては以下のような点が考えられるだろう。
- リアルロボットとスーパーロボットを比較すると、後者の方が相対的に「敵の攻撃を耐える」性能に秀でているイメージは強い。この点の表現のためにスーパーロボットの装甲は厚めに設定される必要があり、バランスの問題からリアルロボットの能力は運動性(即ち「命中・回避」)に比重が置かれる結果となった。
- リアル系作品の大きな特徴として「超人的な技量を持ったエースパイロット」の描写が多いという点がある(この描写は勿論ガンダムシリーズにも見られるが、より鮮明なのは前出のボトムズ、また同型のバルキリーが大量に製造されているという設定のマクロスシリーズである)。そしてこの「高い技量」の表現に「命中」「回避」「技量」「反応」といったパラメータが使われたため、より一層命中・回避型の能力傾向に拍車がかかった。
- また、同作ではサイズの概念が初めて導入され、小型機ほど被弾しにくいという設定になった。リアルロボットに属する機体は大半が小型機であり、回避能力にプラスの補正を得た。
- 宇宙世紀ガンダムシリーズに限定して言えば、同作には「ニュータイプ」と呼ばれる、一種の攻撃先読み能力の設定が存在する。この能力の表現についても、ゲーム中では主として「命中・回避能力への追加補正」という形で表現された。
- ↑ 公式にアナウンスがあるもの、または主人公機を複数の中から選択可能な作品において、攻略本等の媒体で「リアル系」に分類され紹介されているもの。
- ↑ 機体名の由来は「Real personal trooper type-1(、2、3)」。合体後のSRXと比較すれば明確に「リアル系の機体」の系譜に連なるものであり、リュウセイも「リアルロボット」であるとの発言をしている。
- ↑ パイロット能力的にはスーパー系寄り。
- ↑ 搭乗は最序盤のみ。