V作戦
概要と経緯編集
一年戦争開戦前から地球連邦軍は、ジオン公国軍が「モビルスーツ」なる新兵器を開発していることをつかんでいた。大多数は脅威にならないと楽観視したが対抗手段が必要だと考えた勢力もおり、連邦軍内でもモビルスーツ開発計画「RX計画」が進められた。しかしながらこの時点では基礎研究に過ぎず、RX計画で開発された兵器はモビルスーツとは言い難いものだった。
やがて一年戦争が始まると緒戦で連邦軍は大敗を喫する。ジオン公国軍の最新兵器「モビルスーツ」の脅威を戦場で目撃したレビル将軍を中心とするメンバーが保守派の高官達の反対を押し倒してモビルスーツ開発を推進。先述の「RX計画」や宇宙空母(SCV)開発計画「SCV-X計画」など複数の計画を統合して正式なモビルスーツ開発運用計画「V作戦」が発動した。
ジオン公国軍から鹵獲したザクを徹底的に研究し、RX計画で得ていたデータと併せてV作戦発動から短期間でRX-75「ガンタンク」、RX-77-2「ガンキャノン」、RX-78-2「ガンダム」という3種の最新鋭モビルスーツ[1]、そして空間戦闘機運用艦開発計画をモビルスーツ運用艦開発計画へ変更することで母艦となるペガサス級強襲揚陸艦ホワイトベースの設計、開発に成功した。母艦も開発していることから分かる通り「運用」まで視野に入れたものであった。
ところが、サイド7のスペースコロニーにて完成したモビルスーツを艦載しようとした所をシャア・アズナブル率いる部隊に強襲され、3種のMS各1機を残して破壊されてしまい[2]、運が悪い事に3種の最新鋭モビルスーツのパイロットとなるべき正規軍人の多くが負傷してしまった。
そんな中、V作戦に参加した技術仕官テム・レイ(SRW未登場)の息子アムロ・レイ(当時は民間人)が、避難中に偶然ガンダムに搭乗・起動させた事から、長きに渡る宇宙世紀の戦いの歴史の歯車は一気に回り始める事となった。
合体攻撃編集
『スーパーロボット大戦GC』および『XO』においては、合体攻撃の名前としても使われている。
余談編集
- 細井雄二氏の漫画『RX-78誕生秘話』において、連邦軍にはMSを乗りこなせるパイロットが不足している事を理由に、捕虜としたジオン兵士をテストパイロットにするというストーリーが描かれている。
- 漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(SRW未参戦)では、「地球連邦軍が一年戦争開戦以前からジオン公国軍のモビルスーツ開発計画を諜報により把握していた」事が描かれており、「地球連邦軍の高官であるゴップ(SRW未登場)がテム・レイに対してMS開発を依頼しているシーン」が追加されている。
- 一方、上記の作品においてレビル将軍はMS開発には関わっていない。
- 原作アニメではV作戦の詳細は説明されず、モビルスーツの開発とそれに伴う新造戦艦が関わっているということしか分からない。しかもこの呼び名はジオン側しか使っていない。
- 漫画『機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー -カイ・シデンのメモリーより-』ではカイ・シデンらが論議の末「V作戦とはジム量産体制に入ったことを隠してまだMSを開発できたばかりだと誤認させる為に、不要になったガンダムを囮にした作戦」で、「失われるはずのガンダムが活躍し続けたことで、上層部はこれが予定通りだと辻褄合わせの為に補給部隊を送った」のではないかと結論付ける場面がある。
- 『機動戦士ガンダム00』に登場したリボーンズガンダム(正確にはリボーンズガンダム オリジン)のコンセプトは「ひとりV作戦」である。
脚注編集
- ↑ ジオン公国軍がモビルスーツの開発に何年も費やした事を考えれば、驚異的なスピードともいえる。
- ↑ ただし、「組み上げ完了していた機体は」であり、実際には3種類のモビルスーツの予備パーツは母艦「ホワイトベース」へある程度積み込んでもなお、大量に余っていた。なお、母艦に搭載できない分は、敵軍の鹵獲を防ぐ為にガンダムのスーパーナパームでガンダム数機分のパーツが処理された。
- ↑ 事前にプランを考える点では同じだが、作戦は相手に対抗するニュアンスを含む。なので「囮作戦」とは言うが「囮計画」とは言わない。
- ↑ それを示唆するように、TV版第9話はナーバスになったアムロが「僕たちは新兵器完成までの囮なんだ」と愚痴るところから始まり、同話で初登場したマチルダが「連邦軍にもあなた方を見捨ててはいない人がいることを忘れないで」と励ますところで終わる。