ジオン公国軍(Zeon Force)
概要
『機動戦士ガンダム』に登場するジオン公国の軍隊。単にジオン軍ともいう。
ミノフスキー粒子による有視界戦闘に対応する為にモビルスーツを主体とした軍事力の編成に成功し、一年戦争においては中盤まで戦況をリードしたが、物量に勝る地球連邦軍の巻き返しで最終的に敗北した。
ジオン公国の支配者であるザビ家が軍においても強大な影響力を持ち、総帥であるギレン・ザビが軍の総司令官を務め、さらにドズル・ザビ率いる宇宙攻撃軍とキシリア・ザビ率いる突撃機動軍の二軍を中軸として、突撃機動軍による地球方面軍司令としてガルマ・ザビが務めている。
しかし、突撃機動軍所属のマ・クベが宇宙攻撃軍所属のランバ・ラル隊にドムを補給しなかったり、ソロモン攻略戦でグラナダの突撃機動軍の艦隊が遅れるなど軍同士の反目も目立ち、前述の物量差や熟練パイロットの喪失による学徒兵の徴用をせざるを得ない人材不足の状況と並んでジオンの敗北の要素となった。
その後の顛末は、ジオン公国の項を参照。
旧ジオン軍の残党
一年戦争終結によってジオン公国が降伏し共和制に移行した後も、各地で旧公国再興を掲げる残党勢力……所謂「旧ジオン軍」が地球連邦に抵抗し、「デラーズ紛争」を始めとする混乱を地球圏に巻き起こしている。この結果、地球連邦内にも腐敗が悪化していく事になり、「ジオン残党狩り」を名目に結成されたティターンズが、発言権を強めるのと同時に専横を極めていく要因にもなっている。
第1次ネオ・ジオン抗争が巻き起こった際には、主に地球に潜伏していた一部の残党勢力がネオ・ジオンに合流しているが、一年戦争の時から戦っていたプライドの強い者やギレン・ザビを信奉する者が多く、ザビ家の遺児であるミネバ・ラオ・ザビを傀儡も同然にしているハマーン・カーンや、一年戦争後に軍に入隊した者が多いネオ・ジオンそのものに反感を抱いており、あまり彼らと足並みを揃えようとはしなかった。この為、ネオ・ジオン側からも、旧ジオン軍の残党勢の殆どは敵の戦力を削ぐための捨て駒程度のものとしてしか認識されていなかった。
デザート・ロンメルなどはその最もたるもので、自分達の存在が過去の遺物である事を認めることができず、相手となったジュドー・アーシタを中心とするガンダムチームとの圧倒的な機体の性能差を把握し切れなかった為に、自滅に近い形で敗北している。また、シュツルム・ディアスを受領したサトー率いる部隊も、自らの立場を弁えようとしない振る舞いからマシュマー・セロの不興を買い、作戦中にも忠告を無視した事で、イリア・パゾムによってサトーが謀殺される事になり、部下達も混乱の中で全員が死亡した。
第2次ネオ・ジオン抗争時は、シャア・アズナブル率いるネオ・ジオンに、旧ジオン軍が合流したかについては判明していないが(イリアを始めとするハマーンの指揮下にあったネオ・ジオンの残党は合流が確認されている)、第2次ネオ・ジオン抗争から3年後となる「ラプラス戦争」では、ネオ・ジオンの残党を糾合した「袖付き」の首魁フル・フロンタルによる決起の呼び掛けを受けた事で、世界各地に潜伏していた旧ジオン軍の残党勢力が、主に一年戦争時に活躍した機体に搭乗して地球連邦の首都であるダカールに集結。最終的には失敗に終わっているが、ダカールに壊滅的な被害を与える事には成功した。
残党の一部の中には、火星にまで逃れた勢力も存在し、一年戦争終結から実に40年近くも経った後の宇宙世紀0120年にて、ザクやグフといった一年戦争で活躍した機体をリファインさせたMSを使い、決起を起こしている。旧型機を近代化させたMSを使用するジオン公国軍の残党は、連邦から「オールズモビル」と呼称され、後に「オールズモビル戦役」と呼ばれる十年近くの戦いを引き起こしている(漫画『機動戦士ガンダムF90』)。
オールズモビル戦役以降は、既に世代が変わった事もあってか、旧ジオン軍の残党らしき勢力は出現していない。ただし、ネオ・ジオン軍の残党は確認されている(漫画『機動戦士ガンダム シルエット・フォーミュラ91』)。
登場作品
- 旧シリーズ
- 主要人物はDCに組み込まれており、ジオン軍としては登場しない。
- 新スーパーロボット大戦
- かつて存在した組織として名前のみ登場。
- αシリーズ
- ア・バオア・クー攻略前にマクロスの降下があったため、停戦状態で生き残っていた設定。ネオ・ジオンとして再起する。
- スーパーロボット大戦COMPACT
- 本編前はメガノイド戦役(『機動戦士ガンダム』の一年戦争に相当)にて、ホワイトベース隊と協力してムゲ帝国と戦った。それから、一年戦争前半(Ζのグリプス戦役に相当)を生き延び、ジャブローに攻撃を仕掛ける。しかし、本編序盤にてシャア・アズナブルの部隊が交戦していたロンド・ベルと共にバイストン・ウェルに召喚されてしまう。舞台が地上に移ってからは、ネオ・ジオンとして再編される。
- スーパーロボット大戦GC(XO)
- ギガノス帝国軍と同盟・連携する。また、アクシズ(ネオ・ジオン)の面々もジオン軍の一派として登場する。
- スーパーロボット大戦Operation Extend
- 原作準拠の設定で登場するが、名有りのキャラクターがことごとく原作での死亡シーンを乗り越え、生存しているちょっと珍しい事態に。ネオ・ジオンとは「実質ジオン軍の一部だが、名義上は別組織」といった関係。
- デギンの死を受けて、キシリアと彼女に賛同する者たちが「正統ジオン」として独立し、コネクトとの協力路線を取る。
- 第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
- ジオンの残党兵が登場。登場機体はズゴック、ドワッジ、ジュアッグ、ガルスK、ザクI・スナイパータイプ。
関連人物
直属軍
基本的にはギレン直属の親衛隊。
宇宙攻撃軍
ドズル・ザビ率いる軍団。公国軍の中では最大規模を誇り、ソロモンを拠点に主に宇宙で活動した。
- ドズル・ザビ
- 宇宙攻撃軍司令。階級は中将。
- コンスコン
- ドズルの腹心。階級は少将。
- シャア・アズナブル
- 当初は宇宙攻撃軍所属。階級は少佐。
- ガルマを守れなかったことによりドズルにより左遷されたが、後にキシリアによって抜擢されて大佐に昇進している。
- アナベル・ガトー
- 一年戦争当時は宇宙攻撃軍第302哨戒中隊隊長。ソロモンで奮戦した。
- ランバ・ラル隊
- ランバ・ラルが率いる部隊。ガルマの仇討ちのため、ホワイトベース追撃任務に当たった。
突撃機動軍
キシリア・ザビ率いる軍団。グラナダを拠点とし、地球方面軍も突撃機動軍の管轄となっている。また、ニュータイプの研究にも力を入れていた。
主要拠点
- サイド3
- 地球から見て月の向こう側に位置するスペースコロニー群。ジオン公国の本拠地。
- グラナダ
- 月面都市。キシリア・ザビ率いるジオン公国突撃機動軍の拠点。
- ア・バオア・クー
- 宇宙要塞。サイド3付近に位置しており、ジオン公国軍にとっては最終防衛拠点である。最終決戦時には、ギレン・ザビが直接指揮した。
- ソロモン
- 宇宙要塞。ドズル・ザビ率いるジオン公国宇宙攻撃軍の拠点。一年戦争の激戦地の一つ。
- オデッサ
- ジオン公国軍の占領下にある地球・黒海沿岸の都市。マ・クベが進駐していたが、オデッサ作戦にて地球連邦軍に奪取されてしまう。
- ニューヤーク
- ジオン公国軍の占領下にある地球・北米大陸の都市。ガルマ・ザビはここで戦死した。
関連兵器、戦略・戦術兵器
- モビルスーツ
- ジオン公国軍が開発した搭乗型戦闘用人型ロボット。一年戦争におけるジオン公国軍快進撃の立役者である。
- モビルアーマー
- ジオン公国軍が開発した搭乗型戦闘用非人型ロボット。モビルスーツと比較して大型の機体である。
- コロニー落とし
- スペースコロニーを大質量弾に仕立て、地球に向けて落とす戦略。一年戦争初期にジオン公国軍によって挙行され、人々はその行いに恐怖した…。
- ソーラ・レイ
- 一年戦争末期、サイド3のスペースコロニー・マハルを改造して作った大量破壊兵器コロニーレーザー第一号。これによって、公王デギン・ソド・ザビやレビル将軍ら多くの将兵が犠牲となった。