北欧神話

2023年10月21日 (土) 16:21時点におけるGreninja (トーク | 投稿記録)による版 (→‎神々)

北欧神話とは、北欧地域に伝わるゲルマン神話の一種。「ラグナロク(神々の運命、神々の黄昏とも言われる)」と呼ばれる、世界神々の終末の日を記した事で広く知られる。

北欧神話が取り入れられている作品

バンプレストオリジナル
名称設定においては浸透しており、アンセスターの機動兵器、ヴァルキュリアシリーズ、一部登場人物はここから採られている。
無限のフロンティアシリーズ
アグラッドヘイムの関係者が用いる技名はここから採られている。
魔装機神シリーズ
ガッデスの技名に用いられているほか、ファミリアであるフレキゲリ魔装機神IIで登場するフリングホルニもテュッティが名付けている。
というのも、ガッデスの操者であるテュッティ魔装機神IIの「おまけ劇場」において「単純に北欧神話から採っている」事が明言されている。
Zシリーズ
第3次Z』におけるジェニオン・ガイ(ジェミニオン・レイ)の武装名や、地球防衛次元結界『スヴェル』等、一部の用語がここから採られている。
その理由は「AGを倒す事、北欧神話のラグナロクが望みである事に由来している」とヒビキは分析していた。
ガンダムシリーズ
機動戦士ガンダムSEED』のレイダーガンダムフォビドゥンガンダムの一部の兵装における名称や、『ガンダム Gのレコンギスタ』のユグドラシルの機体名とジーラッハの武装名、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の機体や組織、施設名等がここから採られている。
オーバーマン キングゲイナー
アーリーオーバーマン、ブリュンヒルデの名称元。
蒼穹のファフナー
機動兵器や兵装等の名称は北欧神話から採られている。
コードギアス 反逆のルルーシュR2
ユグドラシルドライブ、フレイヤ、ラグナレクの接続etc.の名称元。
ブレイクブレイド
クリシュナ王国の一部登場人物や機動兵器はここから採られている。

神々

オーディン(Odin)
主神にして戦争と死、詩文の知識に対して貪欲であり、それを手に入れるためならば自身の目、命を差し出す事も厭わない
普段はヴァルハラにて戦死者のを集めて演習や宴会を行っているが、別の話にも姿を変えて登場している。また、彼を表す異名の数は数十にも及ぶ。
アングロサクソン人には「ウォドン(Woden)」の名で信仰され、水曜日を意味する英単語「Wednesday」は、オーディンに由来する。
ドイツ語では Wodan(ヴォーダン)もしくは Wotan(ヴォータン)と表記される。
ガグンラーズ(Gagnraor)
オーディンの偽名の一つで、「勝利を決めるもの」を意味する。
ヘルモーズ(Hermodr)
オーディンの息子でその名前は「勇気、戦い」を意味する。
後述するバルドルの件で、悲しみに暮れる母の為にヘルに嘆願しに行ったのは彼である。
バルドル(Baldr/Baldur)
オーディンの息子の一人。光を司る。優柔不断であるが、雄弁・温和・美形・賢明・無二の人気者と(記載がある限りでは)ほぼ非の打ち所の無い存在。また、母親によってこの世のほぼ全ての生物・無生物は彼を傷つけない契約が結ばれているため、不死身である(ただし、不老ではない)。
不死となった祝いの席の中で、ロキに誑かされた盲目の弟「ヘズ」によって、唯一契約を交わしていなかったヤドリギの矢を放たれて死亡。その後、冥府の女王ヘルに復活の機会を与えられるが、ロキの暗躍によってまたしても失敗してしまい、光の失われた世界はラグナロクを迎えることになる。
ヘズ / ホズル(Hod / Hoder / Hodur)
オーディンの息子の一人で盲目。ロキに騙されてバルドルを殺してしまう。
テュール(Tyr)
オーディンの息子で、戦争と勝利を司る。「ティール」とも言い、ゲルマン祖語では「ティワズ(Tiwaz)」と言う。日本語で火曜日を意味する英単語「Tuesday」は、テュールに由来する。
ロキ(Loki)
神や自然界の秩序を破り、物語を引っかき回す悪戯好きの神で、その名は「閉ざす者」あるいは「終わらす物」を意味する。ヘル・ミドガルズオルム・フェンリルらの父親である。
北欧神話におけるトリックスターとして最も有名であるのだが、中には悪戯で済まされないレベルのものも存在している。なお、歌劇『ニーベルングの指環』のモデルでもある。
シギュン(Sigyn)
ロキの妻。捕縛されたロキしたたり落ちる毒液を桶で支えて受ける。
ナリ(Nari)、ナルヴィ(Narvi)
ロキとシギュンの子供。
ヘル(Hel)
死者の国「ニヴルヘイム(ヘルヘイム)」を支配する女神。フェンリルやヨルムンガンドの妹にあたる。上半身のみが生者という特異な体をしており、下半身が腐敗している。
ちなみに、ヘルとは同じ「隠す」という意味を持つヨーロッパ祖語が由来(英単語Hellいわゆる「」と語源が同じ)。
リーグル(Rigr)
ヘイムダルが人間の世界を旅する時に名乗った名前で、三つの階級(奴隷、農民、貴族)を作った。
イズン(Idonn)/ イドゥン(Idun)
女神の一柱で、詩の神ブラギの妻。アース神族に永遠の若さをもたらす「黄金の林檎」の管理人。
フレイヤ(Freyja)
月の女神。美、愛、豊饒、戦い、魔法や死を守護する。日本語で金曜日を意味する英単語「Friday」は、フレイヤに由来する。
ノルン(Norn)
数多くいる運命の女神。複数形でノルニル(Nornir)とも呼ぶ。幸運をもたらすノルンもいれば、悲惨な出来事をもたらすノルンもいると言う。
ウルズ(Urthr)
巨人族の運命の女神ノルニル三姉妹の長女で、彼女の司る運命は「過去」。英語読みだと「ウルド」。
ヴェルザンディ(Verthandi)
巨人族の運命の女神ノルニル三姉妹の次女で、彼女の司る運命は「現在」。英語読みだと「ヴェルダンディ」。
  • 彼女個人を示すものは無いが、蒼穹のファフナーでは「ノルンシステム」の名前の由来となっている。
スクルド(Skuld)
巨人族の運命の女神ノルニル三姉妹の三女で、戦乙女の一柱。彼女の司る運命は「未来」。

精霊

スヴァンヒルド(Svanhild)
シグルズとグズルーンの娘。

戦乙女

ヴァルキュリア(古ノルド語: Valkyrja)/ ワルキューレ(ドイツ語: Walküre

戦場において戦士の死を定め、勝敗を決する女性達を総称する言葉。「戦死者を選定する女」を意味し、「戦乙女」と訳される事が多い。
ワルキューレという日本での読みはドイツ語を誤読したもので、本来はヴァルキューレと発音する(ドイツ語では母音の前のwはヴァ行)。
英語読みではヴァルキリーValkyrie)。
ブリュンヒルデ(Brynhildr)
ワルキューレの一人で、フン族の王、ブズリの娘。「輝く戦い」を意味する。
ラーズグリーズ(Razgreez)
ワルキューレの一柱で、「計画を壊す者」を意味する。
ランドグリーズ(Randgriz)
ワルキューレの一柱で、「盾を壊す者」を意味する。

巨人

ユミル / イミル(Ymir)
原初の巨人。三神(オーディン、ヴィリ、ヴェーの三兄弟)に殺された際、血の洪水が発生した事でベルゲルミルとその妻を除く巨人が死亡した。その後、彼の死体を使って宇宙を作りだした。
アウルゲルミル(Aurgelmir)
ユミルの別称。「土の叫びの巨人」と呼ばれる。
スルーズゲルミル(Thrudgelmir)
霜の巨人で、アウルゲルミル(ユミル)の子。「力の叫びの巨人」と言われている。
ベルゲルミル(Bergelmir)
スレードゲルミルの子で、ユミルが殺された際に発生した血の洪水によって死に絶えた巨人の生き残り。後に霜の巨人の新たなる祖先となった。
フレーズヴェルグ(Hraesvelgr)
鷲の姿をした巨人で、風を巻き起こす。「死体を飲み込む者」を意味する。

人物

シグルズ(Sigurd) / ジークフリート(Siegfried)
竜殺しの英雄として知られる人物。登場する著名な物語は『ニーベルゲンの歌』等。
クリームヒルト(Kriemhild)
『ニーベルゲンの歌』に登場する、ジークフリートの妻。

生物

アウズンブラ(Audhumbla/Audumbla)
原初の巨人であるユミルの次に生まれた(世界最初の)牝牛。アウズンブラから流れる乳でユミルを養っていた。「アウドムラ」とも言う。
ちなみに、アウズンブラが舐めていたしょっぱい氷の塊からはブーリ(オーディンの祖父)が生まれている。
ガルム(Garm)
冥界を監視する番犬で、胸に死者の血が付着している。「犬のうちの最高のもの」と言われている。
ファフーニル(Fefnir)
黄金を守るドワーフ。竜に変身する。「ファフニール」とも言う。
フェンリル(Fenrir)
狼の姿をした巨大な怪物。「沼に棲む者」と言われている。
ヴァナルガンド(Vanargandr)
フェンリルの別名。「ヴァン河の怪物」と言われている。
ヨルムンガンド(Joermungandr)
毒蛇の怪物でフェンリルの弟、ヘルの兄にあたる。 ミドガルズオルム(「ミッドガルドの大蛇」の意)とも言う。
グルトップ(Gulltoppr)
ヘイムダルの愛馬で、「金色の前髪を持つもの」の意味を持つ。
フレキ(Freki)、ゲリ(Geri)
主神オーディンに付き添う一対の狼。
ニーズへッグ(Nidhogg)
世界樹ユグドラシルの根の下にある、三つの泉の一つ「フヴェルゲルミル」で根を噛む蛇の怪物。「怒りに燃えてうずくまる者」の意味を持つ。
スレイプニル(Sleipnir)
主神オーディンが乗る馬(神獣)。

道具・武器

グレイプニール(Gleipnir)
フェンリル(ヴァナルガンド)を捕縛した魔法の紐。「貪り食らう者」と呼ばれている。
ナグルファル(Naglfar)
ムスペルが所有する巨大な船。死者の爪で出来ている。
  • ヘラ・ガンドの使用技「ナグルファー・ボヤージ」の名前の由来となっている。
ギャラルホルン(Gjallarhorn)
アースガルズの門番であるヘイムダルが持つ角笛で、これが吹かれる事はラグナロクの到来を意味する。
フリングホルニ(Hringhorni)
バルドルの所有する大船で、世界のいかなる船よりも大きいとされる。
ミョルニル(Mjolnir)
雷神トール[1]が持つ大槌。「破壊者」を意味する。
投げれば必ず標的に命中し、標的に命中した後は持ち主の元に戻ってくるという。一部の創作では天候を操る力を持つとも言われるが、そちらは本来トール自身の能力である。
英語読みでもミョルニルだが日本では「ムジョルニア」と誤読される事があるほか、創作作品では「トールハンマー」と呼称される事もある。
グングニル(Gungnir)
主神オーディンが持つ槍。投げれば必ず標的に命中し、標的に命中した後は持ち主の元に戻ってくるという。
ミストルティン(Mistilteinn)
北欧神話ではロキが不死身の光神バルドルを殺すため、盲目の弟ヘズを騙して放たせたヤドリギの矢。
なお、なぜヤドリギで殺せたかというと、バルドルは母親が成した世界との契約によりあらゆる生物・無生物に傷つけられない存在だったが、唯一若かったヤドリギのみがその契約を交わしていないため。
レーヴァテイン(Laevateinn)
世界樹の頂に座している雄鶏ヴィゾーヴニルを殺すことができる武器。一般的には剣とされるがどのような武器であるかは明言されておらず、他に槍・矢・細枝と様々な解釈が見られる。巨人王スルトが持つ杖との混同も多く見られるが、そちらとは明確に別物だとされる。
グラム(Gram)
オーディンからシグムンドに与えられた剣がオーディンによって折られ、息子のシグルズが小人の養父に打ち直させた後にグラムと名付けられた。
あるいは養父が元々持っていた剣。どちらの伝承にしろファフニール竜を討伐の為にシグルズに与えられる剣。
物語『ニーベルンゲンの歌』では前述したジークフリートの愛剣「バルムンク」、歌劇『ニーベルングの指環』では「ノートゥング」に相当する。
スヴェル(Svol)
太陽の前に立ち、輝く神の前に立つと言われる最強の盾。
ティルヴィング(Tyrfingr)
テュルフィング、ティルフィング、テュルフングとも。オーディンの血を引く王スウァフルラーメが、二人のドヴェルグ(ドワーフ、土精)を捕らえて命を救うのと引き換えに作らせた剣。ドヴェルグは鉄をも容易く切り狙ったものは外さないという要望通りの剣を鍛え上げたが、同時に持ち主にも破滅をもたらす呪いをかけた。

地名

ユグドラシル(Yggdrasil)
世界を体現する巨大樹であり、九つの世界を内包する存在とされるが、単に「世界樹」と呼ばれる事も。
ヴァルハラ(Walhalla)
オーディンの宮殿であり、戦乙女に選別された戦士のが集められる場所。
ヨトゥンヘイム(Jotunheimr)
霜の巨人と丘の巨人が住む極寒の国。
ビフレスト(Bifrost)
神々が地上からアースガルドへとかけた虹の橋。ビルレストとも呼ばれている。「ぐらつく道」を意味し、神々が渡った後で崩れ去るという。
ヘルヘイム(Helheim)
世界樹ユグドラシルの地下にある死者の国で、ヘルがその世界を支配している。
ニヴルヘイム(Niflheimr)
「霧の国」を意味する言葉で、世界樹ユグドラシルの地下にある第三層に存在するとされる氷の国。創作作品においては、これをモチーフとした歌劇『ニーベルングの指輪』からも題材を取られることが多い。

出来事

ロキの口論
ロキが神々の罪や欠点を暴露し巧みに侮辱した。これが切欠で下記の刑罰を受けることとなる。
  • ロック・アイの技にこれを基にしたと思われる「ダーティ・インサルト」の名前の由来となっている。
ロキの捕縛
上記の出来事とバルドルを殺害した罪でロキは神々に捕まり、囚われながら毒液を受け続ける罰を受けた。
  • ロック・アイの技にこれを基にしたと思われる「プリズナーム・ベノム」の名前の由来となっている。
ラグナロク(Ragnarok)
世界が終わる日の事で、「神々の黄昏」等とも言われる。オーディンをはじめとする神々とその邪悪なる敵の戦いによって、命ある全ての存在が死に絶え、「九つの世界」は海中に没した
ヴォルスパー(Voluspa)
巫女がオーディンに語りかけるという形で、世界の創造から終末の到来(ラグナロク)、世界の再生までを伝える。「巫女の予言」とも呼ばれている。

その他

ルーン文字
古代ゲルマン人の間で用いられた表音文字。現代でも占いなどに用いられる。
北欧神話でも魔術的な属性が与えられており、オーディンはこの秘密を得るためにユグドラシルで首を吊り、グングニルで己の身体を貫いた状態を9日間続けたという。

脚注

  1. オーディンの息子。英語読みして「ソー」「ソア」とも言う。日本語で木曜日を意味する英単語「Thursday」は、トールに由来する。
  2. 人名のようだが、具体的な名前は不明。豊穣神フレイを指すとする説もある。