ギリシア神話

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ギリシア神話とは、ギリシア発祥の神話

概要

人間臭い神々と英雄たちの織り成す神話で、歴史上存在した(現在の88以外に抹消されたものも含む)星座の多くが、古代ギリシア人が神話をモチーフに考え出したもの。

ギリシア神話には主神ゼウスを初めとして、色恋にまつわる事件が多い。また、ある事件が後に別の事件の発端となったり、ある英雄が複数の事件で活躍したり、その子孫がまた英雄になったりと歴史的な連続性が見られる。古代神話の常として同じ事物に対して複数の逸話が伝わっている。なお、ギリシア神話の神々は必ずしも人柄(神柄?)が良いとは限らないので、そんな彼等の気まぐれによって非の無い人物が理不尽な目に遭わされる逸話も少なく無い。

古代ローマ人はギリシアの影響を受けて、ローマ古来の神々をギリシア神話の神々と同一視していった。更にギリシア神話の物語を積極的にローマ神話へ取り入れたため、ローマ神話はギリシア神話と密接な関係を持つようになった。

神話の中で最も知名度が高く、星座や太陽系の惑星・小惑星、植物名、果ては心理学用語にも多数の神話由来の名がつけられている。

ギリシア神話が取り入れられている作品

マジンガーZグレートマジンガー
ミケーネ帝国が古代ギリシアが起源なので機械獣妖機械獣戦闘獣にギリシア神話的な要素が散見される。
真マジンガー 衝撃! Z編
ゼウス神などが登場。
新世紀エヴァンゲリオン
物語の随所にギリシア神話や旧約聖書など宗教の要素が色濃く盛り込まれている。
ベターマン
ベターマンの各形態(オルトス・セーメ)など作中用語の多くがギリシア神話含む多くの神話や天文学からの引用である。
ブレイクブレイド
アテネス連邦の一部登場人物や機動兵器はここから採られている。
バンプレストオリジナル
ギリシア神話に関する名称が多くとられている。

神々

オリュンポス十二神(Dodekatheon)

オリュンポス山の山頂に住まうと伝えられる12柱の神々。

ゼウス(Zeus)
ギリシア神話の主神にして天空神。そして、オリュンポス十二神をはじめとする神々の王であるため、このを知っている者は多い。
雷霆を武器とし神々で最強の力を持ち、巨人達との戦いでは大いに活躍した。その後に現れた怪物テュポーンに対しても、他全ての神が逃げ出す中で唯一立ち向かうなど勇猛である。最終的にはテュポーンに勝利し、母である地母神ガイアには不可能だった、宇宙の平定も成し遂げている。
(後述の女性関係を除けば)平時は暴力的な面は描かれず、英雄たちの死や悲劇に涙を流し無垢な子供を守ろうとする温和な気質を持つ「弱者の守護神」たる存在。ただし、ガイアの予言を恐れて最初の妻であるメーディスの出産を阻んだりしている(この結果、副次的にゼウスは運命にさえ縛られなくなった)。
その一方で病的ともいえる女好きで、妻帯者にも関わらず多くの女性と子を成した。その際は動物や他人、果ては雨にまで化けて女性の寝所に侵入する。挙句、姉に無理矢理子供を作らせている。[1]
そんな彼の妻は、よりによって結婚と貞節を司る故か恐ろしく嫉妬深い女神ヘーラー。ゼウス・ヘーラー夫妻の諍いのとばっちりで事件に発展した例が割とある。また、恋愛に対して豪快なのは私事だけではなく、ハーデースが娘のペルセポネーに恋した際は求婚の許可をもらいに来た彼に対してむしろ誘拐するように唆している。
こんなにも多くの女性と浮名を流したのは、多くの都市国家がゼウスの恩恵を授かった逸話を作った辻褄合わせというのが定説。神話的には、強力な神々や半神半人を生み出すことで宇宙や人間界の基盤を守るためとされ、ゼウスと人間の子であるディオニュソスやヘラクレスは後に神々の一員となった。
ローマ神話ではユピテルと称し、木星を表す「ジュピター(Jupiter)」の語源となった。
ポセイドーン(Poseidon)
ギリシア神話の海神。クロノスとレアーの子であり、兄弟のゼウス、ハーデースと力を合わせて父神の王権を奪ったあと、三兄弟の間で世界を分割統治すべく海洋の支配者となった。
海のように気まぐれで荒々しい性格をしており、一度激昂すれば高波や嵐、大地震を引き起こす。
ローマ神話ではネプトゥヌスと呼ばれ、海王星を表す「ネプチューン(Neptune)」の語源となった。
アポローン(Apollon)
ゼウスとレートーの息子。アポロンとも呼ばれる。音楽・芸術、牧畜、予言、光明など様々なものを司る神。疫病を引き起こす金の矢を武器とし、その事から疫病と医術も司る。
「道路の保護者」としての異名アギュイエウス(Agyieus)、アポローンを象徴する動物である狼を統べる存在アポロン・リュケイオス(Apollon Lykeios)と名乗ったりする。
父ゼウスに劣らぬ女好きでもあり、河の神の娘ダプネーを追い回す、トロイア王女カッサンドラーに予知能力を授ける代わりに交際を求める(これがトロイア国滅亡の遠因にもなった)、など問題行動も多いが、ゼウスと違って殆ど悲恋に終わる。また妹アルテミスと交際していた狩人オーリーオーンをガイアと結託して謀殺するといった真似もしでかしている。
よくアポロンを太陽の神とイメージされがちであるが、それは光明の神であることから太陽神ヘーリオスと混同したのが原因である。
アルテミス(Artemis)
狩猟・貞淑の神。アポローンの双子の妹。処女神としてアテーナーとともに夙に有名。出産・多産を司る反面自分の処女性には厳しく、侍女が非処女になった時は厳しく罰した。前掲の通り蠍座・オリオン座の神話の元となった狩人オーリーオーン(ポセイドンの息子)との悲恋が有名。
ローマ神話におけるディアナに相当。
よくアルテミスを「の女神」とイメージされがちであるが、それはセレーネーと混同したのが原因である。
アプロディーテ(Aphrodite)
愛と美を司る女神。アフロディテとも呼ばれる。クロノスに切り落とされたウラノスの男性器が海に落ちて生じた泡から生まれたと言われる。
鍛冶の神ヘパイトスと結婚するが、その弟である戦争の神アレスとは愛人関係にある。
息子であるエロス(ローマ神話におけるクピド、英語読みはキューピッド)は実はアプロディーテどころかウラヌスよりも先にタルタロスから生み出されたが、肉体を有していなかったため、アプロディーテの身体を元に受肉し、美少年の姿で具現化した(アレスとの間に生まれた子に転生したという説もある)。
ローマ神話におけるヴェヌスに相当し、金星を表す「ヴィーナス(Venus)」は英語読みであり、かの有名な絵画『ヴィーナスの誕生』の元ネタ。また生物学で「メス」を表す♀マークは彼女の司る金星を意味する。
ヘパイストス(Hephaistos)
鍛冶と炎の神。ゼウスとヘーラーの長男だが、醜い姿のためヘーラーから嫌われ下界送りにされた。その際に足が不自由になっているが、反面天才的な鍛冶技術を有する。成長してヘーラーに「長男だと認めろ」と直談判し、詫びのしるしも兼ねてアプロディーテを娶るが、すぐに浮気されてしまい、夫婦仲は冷え切った。
ローマ神話におけるウェルカヌスに該当する。
  • 多くのガンダムが保有する「バルカン砲」はウェルカヌスの英語読み。
  • 小説版『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』では、ガンダムを太陽に廃棄するために使った廃棄資源衛星がOZのMDプラント「ウルカヌス」とされている。
アレス(Ares)
戦争の神。ゼウスとヘーラーの次男であり、大変な美貌の持ち主。しかし短気かつ粗暴で、戦いではロクな目に遭わず、古代ギリシャでは嫌われ者の三枚目キャラだった。
ローマ神話におけるマルスに相当し、火星を表す「マーズ(Mars)」は英語読み。また生物学で「オス」を表す♂マークは彼の司る火星を意味するため、『劇場版 機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-』に登場する火星の後継者は女性職員であっても♂マークの付いた制服を着用している。火星の衛星「フォボス」「ダイモス」はアレスとアプロディーテの間に生まれた双子の兄弟神の名にちなむ。
アテーナー(Athena)
知恵、工芸、戦争・勝利の女神。ゼウスが知恵の女神テミスを食べてしまった後に、頭部(=ゼウスの頭脳)から武装して鎧を纏った姿で生まれたため、母であるテミスに瓜二つの姿をしている。プライドが高く、喧嘩っ早い所もあるが、戦争の神アレスと比べると肯定的な意味合いが強い。
現在のギリシアの首都アテネ(アテナイ)は、アテーナーの名前に因む。この町が出来た時に叔父であるポセイドーンとどちらが国の神となるかで争い、勝利したためこの名前となったが、そのせいでポセイドーンやその愛人であるメドゥーサとは不和となった。
ローマ神話におけるミネルヴァに相当する。
ヘルメス(Hermes)
旅人、商人、盗人の神。神々の伝令。ヘルメースとも呼ばれる。水星を司る。
ゼウスとプレイアデス7人姉妹の長女マイアとの間に生まれ、赤ちゃんの頃から天才であり、異母兄であるアポロンの牛を盗んで殺して食べてしまい、お詫びも兼ねて牛の皮と亀の甲羅を用いて美しい音色を奏でる竪琴をプレゼントしたとされる。琴座はこの琴をアポロンが天に挙げた物。
ローマ神話におけるメルクリウスにあたり、水星を司る「マーキュリー(Mercury)」は英語読み。

その他の神々

カオス(Chaos)
世界が誕生する以前、完全なる無の中に存在した原初神。見ての通り、混沌などと訳される「カオス」の語源である。また、対義語は「コスモス(調和)」。
他の神々のような物理的・超常的な権能を持っているわけではなく、「空隙の領域」としてただ存在しているだけの神。即ちあらゆる事象の基礎であり、仮にカオスが消滅しようものなら世界の全てが跡形もなく消え失せる
パソコンで例えると、世界を構築する摂理がOSならカオスはHDDそのもの。どれほど手の出しようのない存在かお分かりいただけるだろう。
後述のガイアはこの領域内に発生した神であり、カオスの子供ではない。カオスの子は地の暗黒「幽冥」を司るエレボスと天の暗黒「夜」を司るニュクスの二柱。
エレボス(Erebos)
原初神カオス(あるいは大地母神ガイア)から生まれた地の暗黒「幽冥」を司る神(あるいはその場所のことを指す)。その名は「地下世界」を意味する。
妹にして天の暗黒「夜」を司る女神・ニュクスとの間にヘーメラー(昼の女神)、アイテール(輝く大気の神)、カローン(冥界の川の渡し守)を儲けている。
なお、エレボスは後世において(ギリシア神話における)地獄(の神)であるタルタロスと混同されやすいようである。
ガイア(Gaia)
大地母神。ギリシア神話における地母神で、あらゆる神の祖たる存在。その名はギリシア語で「大地」を意味する。「ゲー」とも呼ばれる。
まず単独で天空神ウラノス、海神ポントス、暗黒神エレボス、愛神エロスを生み、息子のウラノスと結婚してさらにクロノスら新たな神々「巨神族」を生み出した。
他にも異形の神々を生んでいるが、彼らを嫌って冥界に封じたウラノスを去勢させるなど母神としての愛情は底知れない。ただし、ゼウスと巨神族の戦争時は、クロノスの横暴を見かねてゼウスに協力している。
ウラノス(Ouranos)
ガイアの子にして夫である天空神。その名はギリシア語で「天」を意味する。ガイアが産んだテュポーンなどの異形神を冥界タルタロスに封じたことでガイアの怒りを買い、去勢されてしまう。
その後は己の愚かさを悟り、息子であり去勢の実行者である時空神クロノスに王位に譲るとともに、クロノスに「お前も自分の息子に王位を奪われるだろう」と予言を告げて去った。かくして、その予言は実現することになる。
ローマ神話におけるウラヌス(Uranus、別名はカイルス、カエルス、コエルス)に相当し、天王星の名の由来となる。SRWでもたびたび登場する核物質ウランは天王星に因んで名づけられた。
ティーターン(Titan)
天空神ウラノスと大地の女神ガイアの間に生まれた12柱の神々の兄弟姉妹。巨神族。ゼウスに与しない神々もティーターンと称されることも。
天界の覇権を巡ってゼウスらオリュンポスの神々と戦い(ティタノマキア)を繰り広げるも、敗れてオケアノス以外の5兄弟はタルタロス(地獄)に封印された。
英語読みは「タイタン」で、土星の衛星「タイタン」やモビルスーツの装甲材などとしても有名な元素チタン(Ti)、豪華客船タイタニック号の名前の元にもなっている。
ヒュペリーオーン(Hyperion)
ガイアとウラノスの息子である光明神(もしくは太陽神)。ヒュペリーオーンとは「高い天を行く者」という意味であり、ハイペリオンとも呼ばれる。なお、後述の太陽神ヘーリオスの別名であったとも考えられる。
オーケアノス(Okeanos)
ガイアとウラノスの息子である海神。後に女神テーテュースとの間に3000の娘および3000の河神の息子を設けた。英語で大洋を表す「オーシャン(Ocean)」の語源。
クロノス(Kronos/Khronos)
ゼウスらの父である農耕の神(Kronos)と、時間の神(Khronos)の両方を指すこともあるが、両者は別の神である。
前者のローマ神話で言う所のサトゥルヌス(有名な絵画『我が子を喰らうサトゥルヌス』のモデル)。英語読みはサターン(Saturn)で土星の語源であり、勿論悪魔の王(Satan)とは何の関係も無い。
ヘーリオス(Helios)
ヒュペリーオーンとテイアーの息子である太陽神。その名前もギリシア語で「太陽」を意味する言葉である。天空を翔けるヘーリオス神の4頭立て馬車こそが太陽であると信じられていた。太陽で核融合を起こし、ガンダムシリーズでよく出てくる元素ヘリウム(He)の語源。
ローマ神話の太陽神に相当する。ちなみにソルは英語の「ソーラー(solar)」の語源である。
プロメテウス(Prometheus)
ティターンの一柱・イアペトスの息子。ギリシャ語で「先に考えるもの」の名が示すように非常に聡明で先見の明に溢れ、ゼウスに味方しティタノマキア後も生き残った。人類を作り出した造物主であり、ヘーリオス(太陽)の熱をウイキョウの茎で拝借し「火」を与えて文明を発展させたが、その行いによってゼウスの逆鱗に触れてしまい、カウカーソス山の山頂に張り付けにされながら毎日再生する肝臓をハゲタカ(鷲ともされる)に啄まれる生き地獄を味わうこととなった。最後はそのゼウスの息子である英雄ヘラクレスにより拘束を解かれ、ケイローンの不死性を受け継いだことで苦しみから解放された。
エピメテウス(Epimetheus)
ティターンの一柱でプロメテウスの弟。ギリシャ語で「後で考えるもの」の名前通り、兄のプロメテウスとは対照的に頭が足りない。兄から警告されていたにも関わらずゼウスから送り込まれた美女パンドラを娶ったが、パンドラは言いつけを破ってゼウスから渡された災厄が詰まった箱を開けてしまい(というか、ゼウスがわざと箱を開けさせるべく、「何があっても絶対に開けるな」と命じていた)、中にあった災厄を解き放った。これがSRWでも比喩表現として多用される「パンドラの箱」である。
ハーデース(Hades)
地下の王にして、死者を管理する冥界神。クロノスとレアの子であり、ゼウスとポセイドーンの兄弟。オリュンポス十二神に数えられたり数えられなかったり、フィクションで悪役にされがちと立場が安定しない。また、金属などの地下鉱脈の主ともいわれる。
ちなみに、ローマ神話では繁栄の神プルートー(Pluto、冥王星の語源)と同一視される。これは、生死は表裏一体であるという観点から。
妻はペルセポネーだが、一目惚れの果ての誘拐婚(当時のギリシアでは特に問題のない行為だが)。元々優しく女性に不慣れな性格であったためにうまくアプローチできず、ゼウスの言葉を間に受けてかなり豪快な攫い方を敢行している。誘拐前後にペルセポネーの扱いについてあれこれ悩んだりするなど、性格も含めて一般的な意味で冥界神とは思えない姿で描かれている。ゼウスとは対照的に愛妻家であり、他の女性と浮気する描写が一切ないのも特徴。
十二神に数えられないのはあまりに多忙なために冥府を空けることができなかったため、悪役扱いはキリスト教による地獄との同一視の影響との説がある。
キュクロプス(Kyklops)
天空神ウラノスと大地の女神ガイアの間に生まれた三兄弟(アルゲス、ステロペス、ブロンテス)の神々で、単眼の巨神。英語ではサイクロプス(Cyclops)。
その醜さから父に嫌われてタルタロス(地獄)に落とされていたが、オリュンポスの神々に救われ、恩義に報いるべく忠誠を誓い、ティタノマキアにてオリュンポス陣営の勝利に貢献する一翼を担った。優れた鍛冶の技術を持っており、名前は前から順に「稲妻」「閃光」「雷鳴」を表し、三人が協力する事で雷霆を生み出した。しかし、雷霆が原因で息子アスクレーピオスを失ったアポロンに逆恨みされ、殺されてしまう。
その他、アルゴ号の冒険などでは彼らの子孫と思しき単眼の巨人も登場しているが、こちらは単に人食いの怪物として扱われている。
アトラース(Atlas)
イアペトスの息子で、プロメテウス&エピメテウスの弟。怪力を有していたが、ティタノマキアの際に最後まで抵抗した為、ゼウスに天空を支える役目を負わされ、日々その負荷を味わっている。最後はゼウスの息子であるペルセウスにより石へと変えられ、山脈となった。地球を支えるという意味合いから、地図の異名にもなっている。
アラストル(Alastor)
地獄の刑執行長官を務める魔神。ギリシャ語で復讐者を意味し、ゼウスの異名の一つとしてもされている。また、ゾロアスター教はブーロー(死刑執行人)とも称されている。
クロートー(Klotho)
運命の三女神を総称する「モイライ」の一人。名が「紡ぐ者」の通り、彼女は運命の糸を紡ぐ役割をしている。残る二人は糸の長さを測る役割を持つ「運命の図柄を描く者」ラケシスと糸を断ち切る役割を持つ「不可避のもの」アトロポス。
エリーニュス
主に人間同士における不敬・侮辱の罪を裁く復讐の女神たち。その数や構成は不明確であったが、のちにアレークトー(止まない者)、ティーシポネー(殺戮の復讐者)、メガイラ(嫉妬する者)の三女神で固定された。
恐ろしい姿・どこまでも追跡する執念深さ・もがき苦しんで死ぬという罰と相まって、人々の間では心底恐れられており、「復讐者」という真の名では呼ばれず「慈しみの女神たち」と呼ばれる有様である。
ローマ神話における復讐の女神フリアエ(フューリーとも)と同一視される。
キュベレー(Cybele)
フリギア(現代のトルコ中西部に相当)で崇拝された太母神。大地にある様々な地形と動物たちを司る。その起源は新石器時代にも遡るとされる相当に古い神格である。ギリシャ、ローマにもその信仰が伝わったとされる。何故かやたらと去勢に関わる逸話が多い。
ライオンと縁が深く、ライオンに牽かせたチャリオットやライオンをあしらった玉座にすわった姿でも表現される。

人物

ヘラクレス(Herakles)
ギリシア神話最大の英雄。ゼウスが人間の女に産ませた、超怪力と凄まじい弓術を持つ半神半人。夏の星座ヘラクレス座のモデル。
上記の出生からゼウスの妻ヘーラーから強く憎まれ、何度も殺されかけた挙句、ついには狂気を吹き込まれて妻子を惨殺するという罪を犯す。その贖罪のための冒険がヘラクレスの代表的な偉業である「12の功業」であり、この世に二つとない幻の物品の回収や諸英雄との決闘での連戦連勝、神々でさえ裸足で逃げ出すほどの大怪物の討伐、ギガントマキアにおける獅子奮迅の戦いぶりなど、12の功業以外にも様々な冒険や戦争で華々しい活躍をしている。獅子座蟹座、海蛇座はいずれも彼に討滅された怪獣である。
しかし、妻に乱暴しようとしたケンタウロスのネッソスを誅殺したところ、彼が死の間際に伏した謀略に嵌まって九つ首の毒大蛇ヒュドラの猛毒を浴びてしまい、不老不死の神や百戦錬磨の英傑さえ即座にのたうち回って死を懇願するほどの想像を絶する苦しみにさしものヘラクラスも耐えられず、自身の身体に火を付けさせて自害するという壮絶な最期を遂げた。死後、完全なとなり、異母姉である酌の女神へーべーと再婚した。
英語読みだと、ハーキュリーズまたはハーキュリー(Hercules)。フランス語読みだとエルキュール(Hercule)でアガサ・クリスティーの推理小説『エルキュール・ポワロ』シリーズはこれに因む。
オルペウス(Orpheus)
吟遊詩人。オルフェウスとも呼ばれる。文芸の神カリオペーとトラキアの王オイアグロス(名義上の父はアポローン)の間に生まれているので半神半人だが、そう言った描写は少ない。
毒蛇に噛まれて死んでしまった妻エウリュディケーを取り戻すため、冥府に赴いた(ちなみに、新婚だった)。その竪琴の腕を以て、冥府の河の渡し守カロンや番犬ケルベロス、冥府の住人を皆魅了して無事冥王ハーデースの元へ到達。ハーデースの妻ペルセポネーもその哀切のに涙したことで説得に成功し、「冥府にいる間エウリュディケーのいる背後を振り向いてはいけない」という条件付きでエウリュディケーの返還を認められたが、冥府脱出直前で振りかえってしまったことで、失敗に終わってしまった。[2]
その後は輪廻転生を主軸とした教義「オルペウス教」の開祖となる。しかし、ある時訪れた酩酊の神ディオニューソスを崇めなかったために酔っ払いに暴行を受けて殺されてしまい、彼の死を偲んだ主神ゼウス(あるいはアポローン)によって天に挙げられ、琴座となった。その一方で、開祖とならず入水自殺したという話もあり、こちらは川を流れていた琴をゼウスが天に挙げたという形になる。
アキレウス(Achilleus)
ギリシア神話の英雄であり、ホメーロスの叙事詩『イーリアス』の主人公。ラテン語のアキレス(Achilles)としても知られる。足が速い故に、作中では「駿足のアキレウス」と形容されている。
アキレウスはトロイア戦争に従軍して持ち前の武勇で活躍するが、敵国トロイアの王子パリス(一説にはアポローン)が放った矢に弱点である踵を射られて死ぬ[3]
かつて赤子の頃に冥府を流れるステュクス川に浸かって不死身となったアキレウスであるが、踵だけがそれに浸かっていなかったために、この様な最期を迎えたのであった。この故事が、いわゆる「アキレス腱」の由来である。
オデュッセウス(Odysseus)
ギリシア神話の英雄であり、ホメーロスの叙事詩『オデュッセイア』の主人公。大変な弓の達人であり、12個並べた斧の柄穴を通すほどの腕前を有する。トロイア侵攻に参加した他の英雄たちが腕自慢の豪傑揃いの中で、彼の場合は知能戦を得意とする知将と一線を画している。
英語読みではユリシーズ(Ulysses)と言う。
ラミアー(Lamia)
ギリシア神話の登場人物で海の神ポセイドーンの息子ベロスと、その母リビュエとの間にもうけられた娘で元々はリビアの女王
ゼウスに見初められたがこのことにゼウスの妻であるヘラが怒り、ゼウスとの間に産まれた子供を全て殺され、この時に「上半身は女性で下半身が蛇の怪物」に変えられてしまった。
ダイダロス(Daidalos)
ギリシア神話の有能な大工。斧、錘、水準器、神像、そしてミノタウロスを閉じ込める為の迷宮を造った。
イカロス(Icarus)
ダイダロスの息子。父と共に蝋で鳥の羽を固めた翼で空を飛んだが、彼だけが太陽に近づきすぎたために翼が熱で溶けて墜落死してしまった。
空から落ちて墜落死という際立った最期を遂げながらも、フィクションで彼の名を模したものは飛行能力を持つものが多い。
ディオスクーロイ(Dioscuri)
双子の兄弟であるカストルとポルックスを指す言葉で、「神の子」を意味する。
ポルックスは神であるゼウスを、カストルは人間であるテュンダレオスを父に持つ。
古代ギリシアでは各地で「Dioscuria」というディオスクーロイを称える祝祭が催されていた。
オリオン(Orion)
ギリシア神話に登場する狩人。海の神ポセイドーンとミーノース王の娘エウリュアレーとの間に生まれ、背の高い偉丈夫で、稀に見る美貌の持ち主であった。父親であるポセイドーンから海を歩く力を与えられ、海でも川でも陸と同じように歩く事ができた。
しかし、そのうち力を自慢するようになり、これを見かねた女神ヘーラーは、オリオンをこらしめるために彼の足元に大きなサソリを放った。さすがのオリオンもサソリの毒には勝てず、命を落としたという。星座になった後も苦手としており、サソリ座が空に上がってくるとオリオンは地平線の下に隠れるという[4]
この他にも死因には諸説あるが、大抵サソリかアルテミス、あるいは両方が関わっている。アポローンに騙されたアルテミスに誤射されたという話が有名か。
プシューケー(Psyche)
美の女神ウェヌスへの信望さえも集めてしまうほどの美貌を持つ女性。その名前は「魂」を意味する。
その美貌のせいで醜い男と結婚させられそうになったり、いざこざの果てに懸賞金をかけられて捕まったりなど、散々な人生を歩む(彼女自身、愚かしい性格な所為もあるが)。最終的には彼女を愛するクピードーによって神の一員となる。
英語で精神を意味する「サイコ」の語源であり、ガンダムシリーズのサイコフレームを始めとして広く作品世界で精神に関与する要素に使われる。
アスクレーピオス(Aesculapius)
アポローンとコローニスの子で、ギリシャ神話最高の名医。
その腕前は死者すら蘇らせるほどだったが、冥界が開店休業状態となった(生者と死者のバランスが崩れた)ためハーデスがゼウスに抗議し、それを聞き入れたゼウスの放った雷で焼き殺された。しかし、功績そのものは高く評価され、天に上げられて13番目の黄道星座・へびつかい座となった。
のちには医学の神として崇められており、現在でも世界保健機関WHOなど、多くの医療・薬学に関わる組織で蛇の巻き付いた杖が紋章として使用されるのは、このへびつかい座に因む。
なお、後に息子の死を知ったアポローンは我慢がならず、されどゼウスに直接逆らうことは出来なかったため、腹いせにゼウスの雷を作っていたキュクロープスたちを皆殺しにして滅ぼすという暴挙に及び、激怒したゼウスに危うくタルタロスに幽閉されかけるという事態にまで至っている。
ちなみにアルゴー号の冒険にも同行している。
エーレクトラー(Elektra)
ミュケーナイ王アガメムノーンと王妃クリュタイムネーストラーの娘。その名前は琥珀(elektron)に由来し、「琥珀の目のエーレクトラー」とも呼ばれる。
アガメムノーンは過去の因縁と所業からクリュタイムネーストラーとその愛人アイギストスから憎まれており、共謀した二人に暗殺されてしまう。これを憎んだエーレクトラーは弟のオレステースと共謀して母を愛人諸共に殺害し、仇討ちを果たした。実の父を女としても愛するほどの強烈な慕情を抱いていたため、ファザー・コンプレックスを意味する心理学用語「エレクトラコンプレックス」の語源となった。
デウカリオーン(Deucalion)
デュカリオンとも呼ばれる。プロメテウスの子。ノアの大洪水とそっくりな「デウカリオーンの洪水」の神話に登場する。従兄妹である妻ピュラーと共に大洪水を生き延びた後、ヘルメスから「偉大なる親の骨を拾って後ろに投げろ」という啓示を受け、「偉大なる親=地母神ガイアの骨、すなわち大地を構成する石や岩」を拾って投げることで数多の子孫を生み出した(デウカリオーンが投げた石は息子に、ピュラーの石は娘になった)とされる。

生物、怪物

ペーガソス(Pegasus)
翼があるで、を飛ぶことができる。海神ポセイドーンと怪物メドゥーサの間の子だったが、妊娠中に母がペルセウスに斬首されたことでその断面から生まれたという。ペルセウスからベレロフォンに渡るも、ベレロフォンの思い上がりに怒った[5]ため、彼を振り落とし天に昇ってペガスス座となり、ゼウスの雷を運ぶ。ラテン語読みだと「ペーガスス」、英語読みだと「ペガサス」、フランス語読みは「ペガス」である。
外見が似ているユニコーンと混同されることがあり、両者の特性を持つ幻獣を「アリコーン」と呼んだりする。
ケンタウロス(Centaur)
下半身が馬、上半身が人間の種族。悪人イクシオンが、雲で作られたヘラの偽物とまぐわった事で生まれた。本来は酒と肉が大好きな粗暴な種族だが、中にはポロスのように温厚な者もいる。
クロノスの隠し子であるケイローンはこれらケンタウロスが生まれる前から地上にいた馬人で、知勇に優れ、ヘラクレスを始めとする多くの英雄の先生として知られる。しかし、ポロスと共にヘラクレスの誤射によりヒュドラの毒を浴びてしまい、二人はケンタウロス座と射手座になった。
その見た目のインパクト故、ジーグ・パーンサロイドプロマキス系列機、マルディクトガンダムキマリストルーパーヴェルキンゲトリクスなど多くのロボット作品でケンタウロスのような姿をしたロボットが登場している。
ギガース(Gigas)
ウラノースの血がガイア(大地)に落ちた事で生まれた邪悪な巨人。あくまで巨人であり巨神ではないのでティターン神族とは全くの別物とされる。
極めて狂暴かつ邪悪であり、オリュンポス山に攻め込みゼウス達を倒そうと戦争を仕掛けた(ギガントマキア)。しかし、半神半人の英雄ヘラクレスにより親玉が叩きのめされて絶命し、指揮系統を失った部下たちも神々により討滅される。
複数呼称は「ギガンテス(Gigantes)」であり、英語読みだと「ジャイアント(Giant)」になる。
エキドナ(Echidna)
上半身は美女で下半身は蛇で背中に翼が生えた怪物。魔王テュポーンや、彼との間に生まれたオルトロスと交わり、数多の怪物を生んだ。
キマイラ(Chimaira)
ガイアが深淵の闇タルタロスと交わって産んだ魔王テュポーンと、怪物エキドナの間に生まれた怪物。獅子の頭と山羊の胴体、毒蛇の尻尾を持ち、口から炎を吐く。ペーガソスを乗りこなした英雄ベレロフォン(ポセイドンの息子)により殺された。ちなみに、鬣があるにもかかわらずメスである
「キメラ」とも呼ばれ、転じて合成生物や複数の遺伝情報を持つ生物の代名詞ともなる。
ケルベロス(Kerberos)
テュポーンとエキドナの間に生まれた、3つの首を持ち、尾が毒蛇となった地獄の番犬。その涎からは毒草トリカブトが生まれた。強大且つ凶暴だがオルフェウスに音楽で眠らされたり、ヘラクレスに地上へ引きずり出されたりなど攻略される描写も多い。弟に2つ首のオルトロスがいる。
オルトロス(Orthrus)
ケルベロスと同じくテュポーンとエキドナの間に生まれた双頭の犬。巨人ゲリュオンに飼われていたが、12の冒険の一環でゲリュオンの牛を奪おうとしたヘラクレスに襲い掛かり、返り討ちにされて殺された。
スフィンクス(Sphinx)
言わずと知れた人面ライオンであるが、ギリシア神話では女性(♀)で羽根を生やしており、一説によればケンタウロスのような形状だったとも言われる。エキドナが自分の息子であるオルトロスと交わって産んだ子で、兄にネメアの獅子(後の獅子座)がいる。
「朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足で歩く生き物とは何だ」と旅人に訪ねて答えられなかった者を捕食していたが、テバイ王子オイディプスに「答えは人間だ(朝=ハイハイする赤ちゃん、昼=成長した姿、夜=杖をつく老人)」と即答され、無念のあまり自害した。
カルキノス(Karkinos)
レルネーの沼に潜んでいた巨大な蟹。ヘラクレスが沼の主であるヒュドラと戦っていた時、その足首を挟んだが、踏み潰されて殺された。その後、ヒュドラは海蛇座に、カルキノスは蟹座になった。
ゴルゴーン(Gorgon)
醜い容貌で、蛇の毛髪を持つ三姉妹。「ゴルゴー」とも言い、英語読みだと「ゴーゴン」である。長女がステンノー、次女がエウリュアレー、三女がメドゥーサである。
後述のメドゥーサがアテーナーの怒りに触れて呪いを掛けられた際に、メドゥーサの二人の姉達はアテーナーに抗議したが、逆にメドゥーサと同じ呪いを掛けられるという理不尽な結果となってしまった。
メドゥーサ(Medousa)
「メデューサ」とも。
蛇の頭髪と見た者を石化させる怪物であり、ゴルゴーン三姉妹の三女。元は美しい髪を持った美女だったが、「自分の髪はアテーナーの髪より美しい」と自慢したばかりにアテーナーの逆鱗に触れてこのような姿となった。
それでもなお許されず、アテーナーの命を受けたペルセウス[6]がハデスの兜をかぶり透明になった所でメデューサが昼寝している時に襲撃され、鏡の盾越しに確認しつつ鎌で首を刎ねられて殺される。ここまでアテーナーが万全の策を練ったのは、確実にメデューサに引導を渡す為であった。その首は怪物や敵を倒す為に散々使い潰された挙句に、最後はアテーナーの盾アイギスに埋め込まれる。
フェニックス(Phoenix)
ギリシア神話やエジプト神話に登場する伝説上の。鳳凰座の元ネタ。数百年に一度、自ら香木を積み重ねて火をつけた中に飛び込んで焼死し、その灰の中から再び幼鳥となって現れるという。物語的な神話上のエピソードは無い。
後代のヨーロッパでは、悪魔学によりソロモン72柱の悪魔の1柱フェネクスとされ、魔術、呪術、神秘学に関する書物『グリモワール』にも記載された。その場合は序列37番の大いなる侯爵とされる。
一方でキリスト教徒はこの鳥を再生のシンボルとみなしている。
東洋の鳳凰と同一視される事もある(特に星座が顕著で、該当星座の日本名は鳳凰座であって不死鳥座ではない)が、本来両者は出自も特性も完全に別物。
スキュラ(Scylla)
ホメーロスの叙事詩『オデュッセイア』に登場する海の怪物。上半身は美女だが、下半身は蛇で12の足を持ち、腹部から3列の歯を持つ6つの犬の頭が生えている。元はニンフ(妖精)だった。
ハルピュイア(Harpyia)
人間の女性のような上半身を持つ怪鳥。近年の創作ではセイレーンとの混同で美しい容貌をしていると思われがちだが、神話上は人々の食べ物を盗んで糞を撒き散らす完全な害獣。英語読みだと「ハーピー(Harpy)」と言う。
セイレーン(Seiren)
羽を生やした美女の姿をした海の怪物。下半身は伝承によって鳥だったり魚だったりする。美しい歌声で船乗りをおびき寄せ、食い殺す性質を持つが、アルゴ号の冒険ではオルフェウスの琴の音に完敗する。
その伝承からわかる通り、人魚(マーメイド)の元ネタとも言われており、大手喫茶店『スターバックス』のロゴマークにも使用されている事で有名。
英語読みだと「サイレン(Siren)」で、救急車などの「サイレン」の語源になっている。フランス語読みだと「シレーヌ(Sirene)」と言う。
タロス(Talos)
ヘパイストスまたはダイダロスによって作られたとされる青銅製の自動人形。神の血(イーコール・霊血)によって駆動しているが、栓として踵に刺さっている釘を外されると失血死してしまう。
アルゴ号の伝説でも登場し、一行がクレーテー島へやってきた時に起動して乗組員を襲うが、魔女メーデイアによって呪文で眠らされている間に足の釘を抜かれて霊血を失い死んだ(ポイアースが矢で射抜いたとも言われる)。
  • 真マジンガー 衝撃! Z編』ではタロス像の名前の由来となっている。モデルは映画『アルゴー号の冒険』に登場するタロスで、この映画以降、マジンガーシリーズに限らず「タロスは巨大ロボット」という扱いを受けるようになった。
  • 恐竜戦隊ジュウレンジャー』では、バンドーラ一味が最後に作り出したドーラモンスターにして巨大ロボットであるドーラタロスの元ネタになっている。
アレイオーン(Areion)
馬の姿となったポセイドーンとデーメーテールの間に生まれたとされる名馬。

道具

アルゴー船(Argo)
イアーソーンがコルキスの黄金の羊の毛皮(牡羊座の羊)を求める冒険のために建造された巨大な船。この船を建造した船大工アルゴスの名から採られた。
ヘーラクレースをはじめとする英雄たちが乗り込んで活躍したが、最後は朽ち果て、船首がへし折れて転落しイアーソーンを巻き添えにしてその生涯を終えた。
その後、「アルゴ座」となったが、あまりに大きすぎたため分割されて「竜骨座」「帆座」「艫座」「羅針盤座」という4つの星座となった。
アイギス(Aigis)
主神ゼウスが娘の女神アテーナーに与えた防具(盾とも胸当てとも言われている)。邪悪・災厄を払う魔除けの能力を持ち、後に退治された怪物メドゥーサの首をはめ込んだ。フィクションでは、主に盾あるいは守護を司る存在に使われることが多い。
英語読みではイージス(Aegis)と言う。
ハルパー(Harpe)
古代ギリシャで使用されていた鎌のような短刀。英語読みはハルペー。
神話ではヘパイストスがアダマンタイトで鍛えたものをヘルメスが所有する。クロノスによる天空神ウラノスの去勢、巨人アルゴスの暗殺、英雄ペルセウスに貸し与えられメドゥーサ討伐などに使用された。
ケーリュケイオン(kērukeion)
ヘルメスの持つ杖。「カドゥケウス」とも。柄に巻き付いた2匹の蛇と頭に飾られた大きな翼が特徴。よくへびつかい座とゴッチャにされる。
ちなみに錬金術のシンボルとされる「フラメルの十字架」(錬金術を有名にした『某少年漫画』の主人公の上着の背中に書いてある紋様)はこのカドゥケウスが元になっている。
トロイの木馬(Trojan Horse)
詳しくはオデュッセウスの項に先述。

黄道十二星座

全てがギリシア神話由来の星座。星座としては「黄道十二星座」を参照。ガンダムWシリーズのメカの名前の多くや、Zシリーズに登場するスフィアは黄道十二星座に由来する。

牡羊座
ゼウスが贈った神の羊。双子の兄妹を救うために遣わされ、空を飛び、金色の毛を持つ。後にこれを手に入れるためにアルゴ号の冒険が始まった。
牡牛座
ニンフの女性エウローペー(彼女の名前がヨーロッパの由来になる)に恋したゼウスが変化した白い牡牛。ちなみに「エウロペ」も木星の衛星の一つである。
双子座
ゼウスの双子の息子カストルとポルックス(2人合わせてディオスクロイと称す)。しかし、カストルは神の血を引いていないただの人間であった。そのため従弟にカストルが殺されてしまい、ポルックスは仇討ちを終えるとゼウスに頼み込んで自分も星にしてもらい、ディオスクロイは天で再会した。
現在のアブハジア共和国の首都スフミの起源にあたる、ギリシア人によって黒海沿岸に建設された古代都市ディオスクリア(またはディオスクリアス)はディオスクロイの名前に因む。
蟹座
化け蟹カルキノス。先述の通り英雄ヘーラクレースのヒュドラ退治の際に踏み潰される。
獅子座
ネメアの獅子。怪物エキドナが実子オルトロスとまぐわって生んだ尋常ならざるライオンである。全身が青銅の皮膚で覆われ、牙も爪も鋼鉄並みの強さを有し、人獣に被害を及ぼしていた。最後はヘーラクレースとの格闘戦に敗れて窒息死し、その爪で毛皮を裁断されヘーラクレースの鎧にされてしまった。
乙女座
ギリシアの女神。どの女神かは諸説あり、一般的なのは正義を司る女神アストライアー、もしくはハーデースの后で農耕の女神ペルセフォネー。に関連する星座の多くがその化身や所有物などであるのに対し、神そのものの星座は珍しい。
天秤座
正義を計る天秤。乙女座となっている(候補の一柱)正義の女神アストライアーの物である。弁護士を表すマークが天秤座モチーフなのはアストライアーに因む。
蠍座
英雄オーリーオーンを刺殺した神の使いであるサソリ。
射手座
下半身が馬の亜人ケンタウロスが弓矢を引く姿。ヘーラクレースなどの師である不死のケンタウロス、ケイローンであるという説が一般的。
ケイローンはヘーラクレースが誤射した毒矢により苦しんでいたため、プロメテウスに不死の魂を与えることで天に召されたという。
山羊座
ヤギ頭の牧神パーン(「パニック」の語源で「王様の耳はロバの耳」の王様の音楽の師匠)が下半身を魚に変えた時の姿というのが一般の説。
こんな妙な姿なのは、怪物テュポーンに驚いて急いで川に逃げようとして半端な変身をしてしまったたためそれに大笑いしたゼウスがノリで星座にしたという説と、巨神族の戦いの際に撹乱させる轟音を出すために貝殻を探して潜った際の姿という説の2通りがある(一般的なのは前者)。
水瓶座
水がめを持つ美少年、神々の給仕ガニュメーデース(木星の衛星ガニメデの由来)。ヘーラクレースと、本来の給仕係であったヘーベー(ゼウスとヘラの娘)が寿退職した為、大鷲(鷲座の元ネタ)に変身したゼウスに攫われてしまった。
魚座
美の女神アプロディーテー(前述)とその子エロス(ローマ神話のクピド/英語読みはキューピッド)がテューフォーンから逃れるためにそれぞれ魚となった姿。

余談

  • 上記のように(他の神話も同様だが)神同士では近親相姦が平然と行われているが、これが人間となると禁忌とされる。その悲劇の主人公がオイディプースであり、心理学にも応用されている。

脚注

  1. なお、ゼウスは美少年好きでもあり、類稀な美貌を持つ少年ガニュメーデースを攫って自分の給仕係にしている。
  2. 日本神話のイザナギ・イザナミの神話に似ているが、あちらと違ってエウリュディケーは冥府に連れ戻され、以後関わってこない。
  3. なお、アキレウスと同様の最期を遂げた人物(正確にはの化身)に、弱点である足の裏を誤射されて死んだインド神話の英雄クリシュナがいる。
  4. さそり座は夏を代表する星座であり、オリオン座は冬を代表する星座のため、両者が同時に見られることはない
  5. ベレロフォンの傲慢ぶりに怒ったゼウスが毒虫を放ったり雷を落としてペーガソスを驚かせて無理矢理振り落とさせたという説もある。
  6. 横暴な王から、「私の誕生日に貢物としてメデューサの首を持ってこい、さもなくばお前の母を后として差し出せ」と命じられており、これ幸いとアテーナーが様々な魔法のアイテムを授け、メデューサ抹殺を手助けした。なお、この王はペルセウスとの約束を反故にして母親を攫おうとしたためペルセウスの怒りを買い、メデューサの首で石にされた。
  7. フェニーチェはフェニックスのイタリア語読み。