分身
分身
読んで字の如く、身体が分かれる、あるいはそう見えること。古くから動きが素早いことの表現として用いられてきた。類似の表現に『残像』があり、残像を残しつつ高速で移動することを分身と言う事が多く、本当に実体が複数あることは少ない。
スパロボではユニットの特殊能力、或いはパイロットの特殊技能(特殊スキル)の一つ。気力130以上で発動条件が満たされ、確率で全ての攻撃を回避する。発生確率は50%固定の場合が多いが、スーパーロボット大戦Jやスーパーロボット大戦W、スーパーロボット大戦Kでは自分と敵の技量差によって発生確率が変動する。
通常の回避とは別に判定が行われるため、例え表示上の敵の命中率が100%でも発動する(作品によっては内部的な命中率が200%を超えていた場合、分身が発動しないようになっていることもある)。また同系統の完全回避能力(同じ分身系の他『切り払い』『撃ち落とし』なども含む)が複数ある場合は、それぞれ別個に成否判定が行われるため、実質的な完全回避率はより高まる。必要気力の条件は重いが、高確率でEN消費もなく発動する、かなり強力な能力である。
また、敵がこの能力を所持している場合も同様で、発動するとどんなに命中率が高くてもこちらの攻撃を回避されてしまうので、非常に厄介(あるいは鬱陶しい)な事になることもしばしばある。特にボスクラスの敵がこの能力を所持していると思うようにダメージを与えられず、無駄な消耗を強いられる可能性もあるため、精神コマンドの「必中」や「直撃」を使うか、「脱力」で敵の気力を能力が発動出来ない数値まで下げてから戦うのが好ましい。
スパロボでは分身と同系統の能力が多数存在するため、それらの総称として扱われることもある。Lでは『特殊回避』という総称が与えられた。
分身系能力の弱点
基本的に全て精神コマンドの必中や直撃で無効化される他、一部の作品では上記の通り、命中率が200%以上を超えると発動しなくなる。感応を使えるパイロットがいれば、誰でも分身を破ることが可能。またスーパーロボット大戦MXでは、分身系能力を無効化する武器属性「拡散」がある。元から回避率が非常に高いリアル系ユニットが持っていてもユニットの性質上、分身に頼らずとも、殆どの攻撃が回避可能な為、役に立たない事が多く、逆に分身を見ること自体が極めて難しい。唯一の危険要素である必中攻撃に対しても、分身は必中と直撃には無力な為、結局活かせない。
分身と同じ効果を持つ特殊能力
分身だけでなく、他の特殊効果を併せ持っているケースもある。有効なリンクが貼られている能力や技能の詳細は、そちらを参照。
分身と同じ効果
シリーズや種類によって、発動に必要な気力や発生確率は異なる。
特に注釈がない場合は、共通で以下の効果。
- 一般シリーズ:気力130以上で発動。50%の確率で全ての攻撃を回避。
- MX:敵の分身系能力は発生率30%。
- J・W・K:気力130以上で発動。自分と敵の技量差で発生確率が変動。
- NEO:気力130以上で発動。発生率25%。
- ハイパー・ジャマー(一部シリーズでは強化パーツとして登場。Zでは発生確率30%)
- ガンダムデスサイズ、ガンダムデスサイズヘル、ガンダムデスサイズヘル(EW版)
- オープンゲット(WとNEOのみ気力130以上、それ以外は気力120以上で発動。AとW以外は発生確率25%。初出のAでは50%)
- A以後の多数作品のゲッターロボ系全形態(漫画版真ゲッターやブラックゲッター、NEOでのゲッター3 (新)は除く)
- ゲッタービジョン
- ゲッター2
- マッハスペシャル
- ゲッターライガー
- ネオゲッタービジョン
- ネオゲッター2
- 真マッハスペシャル
- 真・ゲッター2
- 真ゲッタービジョン
- 真ライガー
- ゴッドシャドー
- ゴッドガンダム
- イリュージョン・フラッシュ
- 電童・バイパーウィップ、凰牙・バイパーウィップ
- ミラージュコロイド
- ブリッツガンダム、アストレイゴールドフレーム天、ナナバルク
- ホログラフィックカモフラージュ
- ボルフォッグ、ビッグボルフォッグ
- オーロライリュージョン
- 幻竜神
- ECS
- ARX-7 アーバレスト、M9 ガーンズバック、ファルケ、コダール系
- ES爆雷
- ジェイアーク(キングジェイダー)、ピア・デケム・ピット(ピア・デケム・ピーク)
- イリュージョンプロテクト
- 大空魔竜 (LOD)(Lでは発動率最大10%)
- ステルス装置
- ダリア・オブ・ウェンズデイ
- 電磁迷彩
- アパレシオン(発動率最大20%)
- ステルス
- アルマ(ステルス仕様)、R-ダイガン(発動率最大30%)
- 瞬幻足
- アースゲイン、ヴァイローズ
分身の他、能力値の上昇や特殊能力追加等の効果が得られるもの
- V-MAX(特殊能力)
- レイズナー、強化型レイズナー、ガッシュラン、ザカール
- V-MAX強化
- 強化型レイズナー(一部シリーズ)
- V-MAXIMUM(特殊能力)
- レイズナーMk-II(形態共通)
- V-MAXレッドパワー(特殊能力)
- ザカール
- オーバースキル(Zの一部オーバーマンのみ)
- キングゲイナー(30%⇒50%)、メックスブルート、ドミネーター(50%)、ブラック・ドミ(25%)
- オーバースキル「加速」(K)
- キングゲイナー
- オーバースキル「超加速」(K)
- キングゲイナー
- オーバースキル「時間停止」(K)
- ラッシュロッド
- オーバースキル「変形」(K)
- ドミネーター、ブラック・ドミ
- レース・アルカーナ(強化パーツ専用能力)
- 特殊能力としてはKで登場。気力130以上で、分身と『ビームコートL3』『HP回復L1』が追加。Kでは中点による区切りがない。レース・アルカーナの設定出典作はDだが、同作では特殊能力化されていない。
- イマジナリィロード
- ストレイバード
分身の他、移動コストと敵ユニットを無視
これらは『移動可能な全ての地形で、消費移動力が1になる』『敵ユニットの配置に関係なく移動できるため、迂回による余計な移動力消耗がない』『移動時の消費ENがなくなる』と言った利点を持つ。更に他の追加効果を得られる能力もある。
- ボソンジャンプ
- エステバリス・アキト機、ブラックサレナ(高機動型含む)、ジンシリーズ(木連)、アルストロメリア、夜天光
- バイタルジャンプ(Jのみ)
- ブレンパワード系、グランチャー系、バロンズゥ(ハイパーバロンズゥ含む)
- 次元連結システム
- 天のゼオライマー、グレートゼオライマー
- 亜空間突入(完全回避率は25%固定)
- バルディオス、アルデバロンメカ(一部除く)
- オルゴン・クラウド(Kでは強化パーツ専用能力)
- ベルゼルート・ブリガンディ、クストウェル・ブラキウム、グランティード・ドラコデウス、ヴォルレント、ラフトクランズ、ズィー=ガディン(第一形態のみ)
- 空間転移
- イクサー1、イクサー2、イクサー3、アトロス及び各自の搭乗するイクサーロボ
- オーバーライド
- ラインバレル、ネイキッド
パイロットの特殊技能(特殊スキル)による分身
登場作品におけるトピック
- スーパーロボット大戦α外伝
- 強化パーツのハイパージャマーが登場し、装備する事によりどんな機体でも分身できるようになった。
- スーパーロボット大戦MX、スーパーロボット大戦MX PORTABLE
- 分身を無効化する「拡散」武器属性が登場。現在の所、採用は本作限り。
- スーパーロボット大戦J
- 本作はスパロボの中でも、分身系能力を持つ機体が敵味方問わず極めて多いのにも関わらず精神コマンドに感応がない。必中、愛、直撃のいずれかを持たないパイロットは、Jの仕様上技量を養成しないと、分身で頻繁に回避される。
- スーパーロボット大戦W
- OGシリーズ以外の任天堂携帯機では、感応は本作でようやく初登場。Jと比べ、敵の分身系能力の嫌らしさは緩和された。この作品のみ「分身」という特殊能力が存在せず、各種分身としてさまざまな分身が存在する。
- スーパーロボット大戦L
- 「特殊回避」という総称が与えられる。種類ごとに発動率上限が設定されている。また機体ボーナス「特殊回避」をもつ機体と組むことで双方に特殊回避能力が追加される。
- スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATIONS、スーパーロボット大戦 OG外伝
- ツインユニット制が採用されたこれらの作品では、機体特性を『回避』で一致させて組むと、ユニットの双方に分身能力が追加される。
- スーパーロボット大戦UX
- 個々に名称がつけられ、分身以外に、高速移動、かく乱系など様々な特殊回避に分けられ最大回避率が異なる。
主な所持機体
原作において高機動力、高回避率の機体に搭載されていることが多い。バンプレストオリジナル機でも、高機動機や後期主人公機に実装されている場合がある。
版権作品
版権作品では、ガンダムF91の「質量のある残像」が有名。
- ガンダムF91
- 分身するガンダムの元祖。序盤に気合を使えば、後々集中を使う必要も無くなるぐらいに優秀。後にMEPE攻撃なる分身殺法(一部作では分身ビームバズーカ)が使用可能になった。なお、スパロボでは本機の量産型も本家同様に分身が出来る。
- V2ガンダム(アサルト、バスター、アサルトバスター含む)
- ドラゴンガンダム(S含む)
- ガンダムシュピーゲル
- ゲッター2、ゲッターライガー、ネオゲッター2、真・ゲッター2、真ライガー
- ゲッターの2号機は、常に分身系能力持ち。例え超弩級サイズの真ライガーであっても例外ではない。オープンゲットがある作品では更に回避率が向上し、GBA版Aでは両方合わせると75%、他の多くの作品では62.5%もの確率で発動。
- ダンバイン、ビルバイン等オーラバトラー
- オーラバトラー全体に共通の能力である。
- レイズナー、強化型レイズナー、レイズナーMk-II
- V-MAX系能力発動による運動性の上昇とも相まってビルバイン並の回避力を見せる。新では、SPTの標準能力としてV-MAXを発動させなくても分身可能。
- 飛影
- 元から驚異的な回避力を誇るので、ラスボスかシャアの相手でもしないと被弾も分身エフェクトも拝めない。
- デスティニーガンダム
- 元々高性能な機体だが、分身可能になると同時にシン・アスカのSEEDも発動するため、一層手に負えない強さを発揮する。
バンプレストオリジナル
- アンジュルグ
- ヴァイサーガ
- 本機の尋常ならざる最大戦速を象徴した能力。スーパーロボット大戦64のヴァイローズの特殊能力・瞬幻足を思わせる。
- ヴァルシオーネ / ヴァルシオーネR
- 分身するヒロイン機。OG2以後は機体フル改造時のカスタムボーナスで『分身発生率+20%』を選択可能な作品も現れ、計70%もの完全回避力を得られる。余談だが、実はヴァルシオーネ系統の機体は『第4次』まで分身機能は持っていなかった。しかし、『魔装機神』でリューネが分身技能を持っていたため、分身するようになり、以後のシリーズでも機体の特殊能力として分身が残った。
- ヒュッケバイン(009含む)、ヒュッケバインMk-II(トロンベのみ)、ヒュッケバインMk-III(第2次αのアラド機除く)
- ヒュッケバインボクサー
- OG2以後追加。装甲が尋常でなく硬くG・テリトリーもあるのに分身まで完備しており、防御・回避面の隙が見つからない。
- 虎龍王
- 龍虎王から譲渡された『身分身の術』という術を用いて分身している。その為、本来の術の持ち主である龍虎王は使用できない。パイロットは必ず念動力者で機体自体の運動性も高めなので、Lサイズとは思えない回避力。
- ガナドゥール、フォルテギガス
- スーパーロボット大戦Dのスーパー系前期&後期機体。被弾しやすいスーパー系機体だけに、生存能力が高くなるのはありがたい。分身を持たないストレーガを主人公機に選択した時も、フォルテギガスに合体すれば使用可能となる。
- エール・シュヴァリアー、ジェアン・シュヴァリアー
- スーパーロボット大戦Dのリアル系前期&後期機体。運動性や回避値を高めるまで避けられない為、分身が命綱に。ジェアン・シュヴァリアーは全長100m以上で、超大型の機体が分身する姿は圧巻。
- ハイペリオン、アルテリオン(リミッター解除後・第2次αのみ)、ベガリオン(第2次αのみ)
- どれも機体の特殊能力としてではなく、パイロットの技術(ブレイクターンというゲームオリジナルの回避マニューバによる)での分身。第3次αでは、分身が出来るのはハイペリオンのみになってしまった。
- ASアレグリアス
- 「プリズムファントム」という光学迷彩の一種を使用して、敵機を幻惑している。「プリズムファントム・モードL」を起動して、『ルス・バイラリーナ・バイレ』という分身を攻撃に活かす必殺技も使用可能。
- フェアリオン
- 機体サイズの小ささと元々の運動性の高さに加え、だめ押しのように分身が装備されている。
- ペルゼイン・リヒカイト
- グランヴェール
- 『魔装機神』ではヤンロンが分身技能を持つため分身した。
敵ユニット(版権&オリジナル一括)
攻撃手段として活用される分身系能力
スパロボの分身はあくまでも回避専用の能力であり、実際に分身して攻撃を行うのは
- ガンダムF91の『MEPE(MEtal Peel-off Effect:金属剥離効果)攻撃』
- ボルフォッグの『ホログラフィックカモフラージュ』
- ASアレグリアスが「プリズムファントム・モードL」を使用する『ルス・バイラリーナ・バイレ』
- ブランシュネージュの『ナイトディメンション』
- OGs以降のライン・ヴァイスリッターの『ハウリングランチャーEモード』
- アガレスの『魔朧幻千殺』
- グレートゼオライマーの『トゥインロード』
- キングゲイナーの『オーバースキル攻撃』(破界篇版)
- メックスブルートの『格闘』
ぐらいである。
なお、ブランシュネージュやライン・ヴァイスリッターなど、分身能力自体を持っていないユニットも含まれ、分身攻撃=分身能力には結びつかない事に注意。マッハスペシャルは分身攻撃ではないが『ゲッターチェンジアタック』に使用されているため、ゲッター2系機体の分身は高速移動である事が分かる。
他にもハイパージャマーやミラージュコロイドなどは本来『敵に機体が捕捉ないし視認されなくなる』能力であり、これも攻撃時に「敵の不意を突く」という形で使われる場合もある。