「スーパーロボット大戦64」の版間の差分
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[[NINTENDO64]]唯一のスパロボ作品。エーアイが初めて開発に携わったスパロボ作品でもある。 | [[NINTENDO64]]唯一のスパロボ作品。エーアイが初めて開発に携わったスパロボ作品でもある。 | ||
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据え置き機のスパロボはディスクメディアが主流となっていた時期にあって、当時既に下火となっていたNINTENDO64で発売された本作はシリーズ内においても比較的マイナーな作品と認識されているが、シナリオの完成度の高さから現在もって根強い人気を誇る。選択ルートによって、そのストーリーの展開は大きく変化を見せる。 | 据え置き機のスパロボはディスクメディアが主流となっていた時期にあって、当時既に下火となっていたNINTENDO64で発売された本作はシリーズ内においても比較的マイナーな作品と認識されているが、シナリオの完成度の高さから現在もって根強い人気を誇る。選択ルートによって、そのストーリーの展開は大きく変化を見せる。 | ||
− | 「LV制の[[底力]] | + | 「LV制の[[底力]]」「[[合体攻撃]]」「プレイヤー側に合わせた敵のレベル変動」といった、今日のシリーズでは定番化した要素は本作を初出としている。 |
なお本作以降長らく、据置機での2Dスパロボは[[プレイステーション|PS]]系列のみでリリースされPS系は2D、それ以外の据置機作品は3Dといった形に棲み分けるようになっていたが、2019年の『[[スーパーロボット大戦T]]』の発売によって実に20年振りにPS系列以外の据置機向け2Dスパロボが登場する事になった。 | なお本作以降長らく、据置機での2Dスパロボは[[プレイステーション|PS]]系列のみでリリースされPS系は2D、それ以外の据置機作品は3Dといった形に棲み分けるようになっていたが、2019年の『[[スーパーロボット大戦T]]』の発売によって実に20年振りにPS系列以外の据置機向け2Dスパロボが登場する事になった。 | ||
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+ | === 制作の経緯と権利事情について === | ||
+ | 当時任天堂が、コアユーザーの獲得とNINTENDO64の開発ライブラリの充実を目的としてハドソンと共同出資による新子会社「招布(まねぎ)」を設立、本作はその招布がバンプレスト・エーアイに対し開発資材を提供し共同開発を行ったという制作経緯を持つ<ref>この関係で、コピーライトにも招布の名前がクレジットされている。</ref>。そして招希は本作を開発後に役目を終えたとして解散、2002年9月には清算もされており、招希の権利は任天堂とハドソンで所有の後、ハドソンは当時の親会社であったコナミデジタルエンタテインメントによって吸収され、任天堂側も権利を譲渡している。 | ||
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+ | このような権利事情から、本作の[[バンプレストオリジナル]]キャラは「[[OGシリーズ]]」にもほぼ参戦不可能な状態となっている事が度々寺田貴信氏から語られており、その詳細は2023年8月に同氏より明かされている。 | ||
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+ | 『[[スーパーロボット大戦A]]』には本作のオリジナルメカをモチーフにした機体が登場し、その後OGシリーズにも登場するが、寺田プロデューサーは『電撃ホビーマガジン』の連載で「モチーフになっているが設定に繋がりは無い」と言明している<ref>メディアワークス『[[電撃スパロボ!]]』Vol.7、112頁。</ref>。その後2023年8月、寺田氏はSNS上にて「『64』の著作権は契約の都合上、バンプレスト(当時)がキャラクター及びメカに関しても完全には保有しておらず、このため本作のキャラやロボはバンプレスト及びバンダイのみの意向ではOGシリーズへの参戦ができない状態となっている」と説明<ref name="manegi">[https://twitter.com/TakanobuTerada/status/1687569940029784066 2023年8月5日の投稿]</ref>。『A』において登場機体をリデザインしたのはその問題を解決するためであったと語った。一応『64』単体のIPとしてならば使用可能であり、『[[スーパーロボット大戦 スクランブルギャザー]]』には登場している<ref name="manegi"/>が、「OGシリーズ」ではそれが不可能であるとしている。 | ||
== システム == | == システム == | ||
=== 新システム === | === 新システム === | ||
;[[合体攻撃]] | ;[[合体攻撃]] | ||
− | :複数のユニットで同時攻撃を仕掛ける、本作最大の目玉システム。N64のカートリッジ故のローディングに縛られない特性と、PS1・SSの倍以上のRAM容量(4. | + | :複数のユニットで同時攻撃を仕掛ける、本作最大の目玉システム。N64のカートリッジ故のローディングに縛られない特性と、PS1・SSの倍以上のRAM容量(4.5MB)によって実現した。 |
;データリンク | ;データリンク | ||
− | :本作は先行発売された『[[スーパーロボット大戦リンクバトラー|リンクバトラー]] | + | :本作は先行発売された『[[スーパーロボット大戦リンクバトラー|リンクバトラー]]』と連動しており、通信機能を使用することで互いのレベル上げや、隠しユニットの入手が可能となる。ただしこのシステムの関係から、敵のレベルが味方のレベルに対応して上がる(上限あり)仕様となっており、色々と他の作品では見られない場面が生じる。 |
;[[バルーンダミー]] | ;[[バルーンダミー]] | ||
− | :本作で初登場した[[特殊能力]] | + | :本作で初登場した[[特殊能力]]。主にリアル系ボスユニットが所有し、プレイヤー側の攻撃が一定回数分、完全回避される。攻撃力の低い機体でダミーを削っていく必要が生じ、ボス戦での作業感を高めるだけのものとして評価は芳しくなく、本作のみの採用となった。一部を除きダミー所持者には、ダミーが破壊されたとき専用の台詞が用意されている。 |
=== 既存システムと変更点 === | === 既存システムと変更点 === | ||
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== 演出面 == | == 演出面 == | ||
*戦闘では従来同様ロボットの立ち絵を動かす方式であるが背景が3Dポリゴンとなっており、またアクションにもZ軸(奥行き)への動作を導入することで3Dのような感覚を与えている。 | *戦闘では従来同様ロボットの立ち絵を動かす方式であるが背景が3Dポリゴンとなっており、またアクションにもZ軸(奥行き)への動作を導入することで3Dのような感覚を与えている。 | ||
− | * | + | *背景が3Dポリゴンになったことで、ステージによってはロボットが夕日を浴びて赤くなり、川で近接戦を仕掛けると足元だけ水に浸かっているので水飛沫が上がる。またこの3D背景は、後のOGの戦闘シーンの叩き台になった<ref>スパロボOGラジオ「うますぎWAVE」第754回(2021年6月29日配信)寺田プロデューサーの発言より。</ref>。 |
− | * | + | *キャラクターのグラフィックがシリーズで初めてバストアップ(肩から上を全て描く方式)になり、顔のみのアイコンだった旧作よりも髪型や服装がわかりやすくなった。表情差分はほぼなく、口パクやまばたきもしないものの全体的に作画は安定している。 |
== 難易度 == | == 難易度 == | ||
− | *難易度は可もなく不可も無くだが、[[スタッフ:ウィンキーソフト|ウィンキーソフト]] | + | *難易度は可もなく不可も無くだが、[[スタッフ:ウィンキーソフト|ウィンキーソフト]]の手を離れたスパロボであるため、旧作のインフレ傾向は若干なりを潜め、概ね現在に近い形に落ち着いている。ただ、改造システムの変更で頑張れない事も無いものの、やっぱり死にユニットは少なくない。ダメージの割合が敵も味方も大きめで、装甲が全体的に薄めの印象がある(『F完』ではボスクラスの装甲は3000~4000を超えていたが、本作は全てのユニットが3000以下)。地形適応や補正を無視した計算式は概ね、格闘or射撃×気力×攻撃力-気力×装甲(『F』と同様)。つまり、レベルが上がると攻撃側の値は増加するが防御側の値が変わらず、更に気力が上がるとダメージはそれに比例する形となる。よって特にリンクバトラーとのリンクを行いレベルが大幅に上がると火力のインフレが起こり、敵味方・スーパー系リアル系を問わず「当たれば落ちる」というケースが続出し、全体的にスーパー系が[[二軍|倉庫番]]と化す状態になることも。というか本作はダメージ計算式はおろか、武器性能や機体性能の大半も『F』をベースとしているため、同作の「当たれば落ちる」「リアル系有利」「終盤はスーパー系が二軍落ちしやすい」といった問題点の大半を引き継いでいる。 |
*また最序盤から条件撤退(大抵はHP30%以下)する敵が多く出現するほか、説得することで自軍参入できる敵をあえて撃墜するとしばしば強力な強化パーツが入手できることがある。これらの特徴は『A』に引き継がれた。 | *また最序盤から条件撤退(大抵はHP30%以下)する敵が多く出現するほか、説得することで自軍参入できる敵をあえて撃墜するとしばしば強力な強化パーツが入手できることがある。これらの特徴は『A』に引き継がれた。 | ||
− | * | + | *ゲーム進行上の難易度の浮き沈みが激しく序盤と中盤の分岐点であるオペレーション・デイブレイク以降数話は終盤にも引けをとらない難易度となっている。特にハイパージェリル戦後orオーラバトラーが抜けた状態でのミケーネ勢力との決戦後に登場するアヴィ=ルーは、中盤に現れる「必ず倒さなければならない[[ラストボス]](ステータスもラストボス時のまま)」というシリーズでも前代未聞の敵ユニットである。 |
*それ以降はしばらく極端に難易度が下がり、銀河帝国の決戦後、ハマーンとの戦いあたりから徐々に難易度が再び上がり始め、部隊分割の影響もあり、逆襲のシャアシナリオで最高潮に達する。[[強化人間]]の影響でリアル系でもかわせない上に[[2回行動]]、上述のダメージ割合の大きさもあり、改造が中途半端だと下手すればスーパー系でも平気でガンガン落とされる(なお、本作唯一の部隊分割でムゲの宇宙に行くと、UCガンダム系・ドモン・ショウの強化パーツが外れたまま、前後編のデビルアクシズシナリオに突入するのでかなりつらい)。 | *それ以降はしばらく極端に難易度が下がり、銀河帝国の決戦後、ハマーンとの戦いあたりから徐々に難易度が再び上がり始め、部隊分割の影響もあり、逆襲のシャアシナリオで最高潮に達する。[[強化人間]]の影響でリアル系でもかわせない上に[[2回行動]]、上述のダメージ割合の大きさもあり、改造が中途半端だと下手すればスーパー系でも平気でガンガン落とされる(なお、本作唯一の部隊分割でムゲの宇宙に行くと、UCガンダム系・ドモン・ショウの強化パーツが外れたまま、前後編のデビルアクシズシナリオに突入するのでかなりつらい)。 | ||
*なお、その後のラスボス戦は雑魚敵が一切出現しないという仕様を正しく理解していればかなり楽に勝てる。本作ではラスボスを一撃で撃破できるユニットが非常に多いので、いろいろ試してみるのも一興かもしれない。 | *なお、その後のラスボス戦は雑魚敵が一切出現しないという仕様を正しく理解していればかなり楽に勝てる。本作ではラスボスを一撃で撃破できるユニットが非常に多いので、いろいろ試してみるのも一興かもしれない。 | ||
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基本的に戦う事になる敵対勢力等はそう大きく変わることないのだが、IMの内容が大きく変わり、独立軍ルートに比べると割と充実した補給を受けられている…がOZへと引き入れたトレーズの失脚と、圧倒的な戦力を持つ銀河帝国との戦いを主導したのが自軍が所属するOZトレーズ派ということもあり、中盤以降はやっぱり苦しい状況が語られる。 | 基本的に戦う事になる敵対勢力等はそう大きく変わることないのだが、IMの内容が大きく変わり、独立軍ルートに比べると割と充実した補給を受けられている…がOZへと引き入れたトレーズの失脚と、圧倒的な戦力を持つ銀河帝国との戦いを主導したのが自軍が所属するOZトレーズ派ということもあり、中盤以降はやっぱり苦しい状況が語られる。 | ||
− | + | OZロームフェラ派とは何度か共闘し、ジェリドやライラ以外にもヤザン隊、モビルドール隊、果てはバスクまで味方第三軍として共闘するシナリオがある。 | |
− | + | さらに銀河帝国戦ではアクシズ軍がかなり大規模な味方第三軍として参入することもあり、ダミーまで持ったボス仕様のハマーンがド根性を使うズールとプレイヤーのあずかり知らぬところで勝手に激戦を繰り広げる様を見ることもできる。軍人キャラクターの[[軍階級|階級]]がOZの階級に変わるのも特徴で、逆襲のシャアシナリオではアムロがしっかり特佐になっている。 | |
− | 戦力的には中盤で[[フルアーマー百式改]]や[[量産型νガンダム]]が手に入り、[[トールギスIII]] | + | 戦力的には中盤で[[フルアーマー百式改]]や[[量産型νガンダム]]が手に入り、[[トールギスIII]]も入手出来るため、自軍が大分安定する事になる。その一方で、リアル系だとバグにより万丈とダイターン3が終盤のムゲ宇宙ルートへ行かないと加入しない。 |
− | なお、リアル系限定の登場キャラクター、[[レラ]]のイベントは独立軍ルートに比べると控えめで、[[アヴィ=ルー]]と[[巴武蔵]] | + | なお、リアル系限定の登場キャラクター、[[レラ]]のイベントは独立軍ルートに比べると控えめで、[[アヴィ=ルー]]と[[巴武蔵]]のイベントにインパクトを持っていかれた感がある。 |
=== 完全平和ルート === | === 完全平和ルート === | ||
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== 話題 == | == 話題 == | ||
*初採用の合体技を際立たせるために、[[黒い三連星]]が作中の設定を無視して[[ティターンズ]][[モビルスーツ|MS]]を運用している組織でドライセンに乗って現れ(終盤のアクシズとの戦いでもドライセンは雑魚ユニットとして登場する)、この作品以降殆ど登場してないガザの嵐隊や、3Dといったマイナーなチームが恐らくは合体技の為だけに登場している。ただし、赤い三騎士は主であるビショットが登場しない為に不参戦である。 | *初採用の合体技を際立たせるために、[[黒い三連星]]が作中の設定を無視して[[ティターンズ]][[モビルスーツ|MS]]を運用している組織でドライセンに乗って現れ(終盤のアクシズとの戦いでもドライセンは雑魚ユニットとして登場する)、この作品以降殆ど登場してないガザの嵐隊や、3Dといったマイナーなチームが恐らくは合体技の為だけに登場している。ただし、赤い三騎士は主であるビショットが登場しない為に不参戦である。 | ||
− | * | + | *機体の限界反応値が事実上機能していないという重大な[[バグ (ゲーム)|バグ]]がある。そのため、『Endless Waltz』版の機体にランクアップさせるためにフル改造が必要なWガンダム系の五体以外、限界反応を改造する必要は一切無い。 |
− | *CMは本作が初参戦である『[[六神合体ゴッドマーズ]]』の[[明神タケル]] | + | *CMは本作が初参戦である『[[六神合体ゴッドマーズ]]』の[[明神タケル]]役であった水島裕がナレーションを担当。BGMはテーマソングでもある「熱き魂」。当初は「64(ロクヨン)合体!」という台詞に合わせてカセットがゲーム機の本体に刺さる演出を考えていたが、任天堂側に止められて没になった。<ref>スパロボOGラジオ「うますぎWAVE」第754回(2021年6月29日配信)寺田プロデューサーの発言。</ref> |
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== 登場作品 == | == 登場作品 == |
2024年10月4日 (金) 18:24時点における最新版
『スーパーロボット大戦64』は「スーパーロボット大戦シリーズ」のゲーム作品。
スーパーロボット大戦64 | |
---|---|
開発元 |
招布 エーアイ |
発売元 | バンプレスト |
対応機種 | NINTENDO64 |
プロデューサー |
じっぱひとからげ 寺田貴信 |
ディレクター | 赤羽仁 |
シナリオ | 鏡俊也 |
キャラクターデザイン | 河野さち子 |
メカニックデザイン |
藤井大誠 寺島慎也 |
音楽 |
濱田智之 野村教裕 |
発売日 | 1999年10月29日 |
価格 | 7,800円 |
概要編集
NINTENDO64唯一のスパロボ作品。エーアイが初めて開発に携わったスパロボ作品でもある。
据え置き機のスパロボはディスクメディアが主流となっていた時期にあって、当時既に下火となっていたNINTENDO64で発売された本作はシリーズ内においても比較的マイナーな作品と認識されているが、シナリオの完成度の高さから現在もって根強い人気を誇る。選択ルートによって、そのストーリーの展開は大きく変化を見せる。
「LV制の底力」「合体攻撃」「プレイヤー側に合わせた敵のレベル変動」といった、今日のシリーズでは定番化した要素は本作を初出としている。
なお本作以降長らく、据置機での2DスパロボはPS系列のみでリリースされPS系は2D、それ以外の据置機作品は3Dといった形に棲み分けるようになっていたが、2019年の『スーパーロボット大戦T』の発売によって実に20年振りにPS系列以外の据置機向け2Dスパロボが登場する事になった。
制作の経緯と権利事情について 編集
当時任天堂が、コアユーザーの獲得とNINTENDO64の開発ライブラリの充実を目的としてハドソンと共同出資による新子会社「招布(まねぎ)」を設立、本作はその招布がバンプレスト・エーアイに対し開発資材を提供し共同開発を行ったという制作経緯を持つ[1]。そして招希は本作を開発後に役目を終えたとして解散、2002年9月には清算もされており、招希の権利は任天堂とハドソンで所有の後、ハドソンは当時の親会社であったコナミデジタルエンタテインメントによって吸収され、任天堂側も権利を譲渡している。
このような権利事情から、本作のバンプレストオリジナルキャラは「OGシリーズ」にもほぼ参戦不可能な状態となっている事が度々寺田貴信氏から語られており、その詳細は2023年8月に同氏より明かされている。
『スーパーロボット大戦A』には本作のオリジナルメカをモチーフにした機体が登場し、その後OGシリーズにも登場するが、寺田プロデューサーは『電撃ホビーマガジン』の連載で「モチーフになっているが設定に繋がりは無い」と言明している[2]。その後2023年8月、寺田氏はSNS上にて「『64』の著作権は契約の都合上、バンプレスト(当時)がキャラクター及びメカに関しても完全には保有しておらず、このため本作のキャラやロボはバンプレスト及びバンダイのみの意向ではOGシリーズへの参戦ができない状態となっている」と説明[3]。『A』において登場機体をリデザインしたのはその問題を解決するためであったと語った。一応『64』単体のIPとしてならば使用可能であり、『スーパーロボット大戦 スクランブルギャザー』には登場している[3]が、「OGシリーズ」ではそれが不可能であるとしている。
システム編集
新システム編集
- 合体攻撃
- 複数のユニットで同時攻撃を仕掛ける、本作最大の目玉システム。N64のカートリッジ故のローディングに縛られない特性と、PS1・SSの倍以上のRAM容量(4.5MB)によって実現した。
- データリンク
- 本作は先行発売された『リンクバトラー』と連動しており、通信機能を使用することで互いのレベル上げや、隠しユニットの入手が可能となる。ただしこのシステムの関係から、敵のレベルが味方のレベルに対応して上がる(上限あり)仕様となっており、色々と他の作品では見られない場面が生じる。
- バルーンダミー
- 本作で初登場した特殊能力。主にリアル系ボスユニットが所有し、プレイヤー側の攻撃が一定回数分、完全回避される。攻撃力の低い機体でダミーを削っていく必要が生じ、ボス戦での作業感を高めるだけのものとして評価は芳しくなく、本作のみの採用となった。一部を除きダミー所持者には、ダミーが破壊されたとき専用の台詞が用意されている。
既存システムと変更点編集
- 改造限界の差別化
- 機体によって改造段階が異なる仕様を採用。本作以降では、『MX』や主に携帯機シリーズで実装された作品がある。
- パートナー補正の可視化
- 補正を持つユニット同士が隣接した際に専用エフェクトが発生するようになった。こちらも携帯機シリーズにて一部引き継がれている。
- 撃墜数の仕様変更
- 本作では撃墜数が復活し、撃墜数により一部のキャラの加入や資金獲得に補正がかかるようになった。エースボーナスや熟練度システムの仕様の原型とも取れる。
- リンクによる恩恵も必要だが、比較的序盤から登場させられるゴーショーグンなどの存在により、マップ兵器で敵ユニットを撃墜して撃墜数を増加させての資金獲得は容易である(獲得資金上限は65535)。
- 前後編マップにおける変更点
- 前後編連続で出撃させても初期気力の低下が起きなくなり、乗り換えや強化パーツの変更などができないだけになった。ルートによっては前編・中編・後編が存在するシナリオも登場する。
演出面編集
- 戦闘では従来同様ロボットの立ち絵を動かす方式であるが背景が3Dポリゴンとなっており、またアクションにもZ軸(奥行き)への動作を導入することで3Dのような感覚を与えている。
- 背景が3Dポリゴンになったことで、ステージによってはロボットが夕日を浴びて赤くなり、川で近接戦を仕掛けると足元だけ水に浸かっているので水飛沫が上がる。またこの3D背景は、後のOGの戦闘シーンの叩き台になった[4]。
- キャラクターのグラフィックがシリーズで初めてバストアップ(肩から上を全て描く方式)になり、顔のみのアイコンだった旧作よりも髪型や服装がわかりやすくなった。表情差分はほぼなく、口パクやまばたきもしないものの全体的に作画は安定している。
難易度編集
- 難易度は可もなく不可も無くだが、ウィンキーソフトの手を離れたスパロボであるため、旧作のインフレ傾向は若干なりを潜め、概ね現在に近い形に落ち着いている。ただ、改造システムの変更で頑張れない事も無いものの、やっぱり死にユニットは少なくない。ダメージの割合が敵も味方も大きめで、装甲が全体的に薄めの印象がある(『F完』ではボスクラスの装甲は3000~4000を超えていたが、本作は全てのユニットが3000以下)。地形適応や補正を無視した計算式は概ね、格闘or射撃×気力×攻撃力-気力×装甲(『F』と同様)。つまり、レベルが上がると攻撃側の値は増加するが防御側の値が変わらず、更に気力が上がるとダメージはそれに比例する形となる。よって特にリンクバトラーとのリンクを行いレベルが大幅に上がると火力のインフレが起こり、敵味方・スーパー系リアル系を問わず「当たれば落ちる」というケースが続出し、全体的にスーパー系が倉庫番と化す状態になることも。というか本作はダメージ計算式はおろか、武器性能や機体性能の大半も『F』をベースとしているため、同作の「当たれば落ちる」「リアル系有利」「終盤はスーパー系が二軍落ちしやすい」といった問題点の大半を引き継いでいる。
- また最序盤から条件撤退(大抵はHP30%以下)する敵が多く出現するほか、説得することで自軍参入できる敵をあえて撃墜するとしばしば強力な強化パーツが入手できることがある。これらの特徴は『A』に引き継がれた。
- ゲーム進行上の難易度の浮き沈みが激しく序盤と中盤の分岐点であるオペレーション・デイブレイク以降数話は終盤にも引けをとらない難易度となっている。特にハイパージェリル戦後orオーラバトラーが抜けた状態でのミケーネ勢力との決戦後に登場するアヴィ=ルーは、中盤に現れる「必ず倒さなければならないラストボス(ステータスもラストボス時のまま)」というシリーズでも前代未聞の敵ユニットである。
- それ以降はしばらく極端に難易度が下がり、銀河帝国の決戦後、ハマーンとの戦いあたりから徐々に難易度が再び上がり始め、部隊分割の影響もあり、逆襲のシャアシナリオで最高潮に達する。強化人間の影響でリアル系でもかわせない上に2回行動、上述のダメージ割合の大きさもあり、改造が中途半端だと下手すればスーパー系でも平気でガンガン落とされる(なお、本作唯一の部隊分割でムゲの宇宙に行くと、UCガンダム系・ドモン・ショウの強化パーツが外れたまま、前後編のデビルアクシズシナリオに突入するのでかなりつらい)。
- なお、その後のラスボス戦は雑魚敵が一切出現しないという仕様を正しく理解していればかなり楽に勝てる。本作ではラスボスを一撃で撃破できるユニットが非常に多いので、いろいろ試してみるのも一興かもしれない。
各シナリオルートの特徴編集
独立軍ルート編集
基本的に従来のスパロボルートといえる存在で、メンバーの良心にしたがって独自の行動をとっていく。ただ、元々レジスタンスとして圧倒的劣勢だったこともあり、物資は常に不足しがちで、分岐直後には「ごちそうがたべたい」と愚痴をこぼす場面も。
リアル系ルートでは後世に名を残している名シナリオ「その瞳に未来は映ることなく」をプレイすることが可能。また、五飛の迷言「ズール皇帝が正義だ」もこちらのルートである。
戦力的には、メタスがメタス改になるなどするがOZルートで同タイミングで入手するフルアーマー百式改に比べると微妙である。ただ、終盤になるとノイエ・ジールにゲーマルクという、作中5指に入ると思われるUC系ガンダム列の機体が手に入る可能性がある。
OZルート編集
本作のメインともいえる敵対組織に参入する異例のルート。
基本的に戦う事になる敵対勢力等はそう大きく変わることないのだが、IMの内容が大きく変わり、独立軍ルートに比べると割と充実した補給を受けられている…がOZへと引き入れたトレーズの失脚と、圧倒的な戦力を持つ銀河帝国との戦いを主導したのが自軍が所属するOZトレーズ派ということもあり、中盤以降はやっぱり苦しい状況が語られる。
OZロームフェラ派とは何度か共闘し、ジェリドやライラ以外にもヤザン隊、モビルドール隊、果てはバスクまで味方第三軍として共闘するシナリオがある。
さらに銀河帝国戦ではアクシズ軍がかなり大規模な味方第三軍として参入することもあり、ダミーまで持ったボス仕様のハマーンがド根性を使うズールとプレイヤーのあずかり知らぬところで勝手に激戦を繰り広げる様を見ることもできる。軍人キャラクターの階級がOZの階級に変わるのも特徴で、逆襲のシャアシナリオではアムロがしっかり特佐になっている。
戦力的には中盤でフルアーマー百式改や量産型νガンダムが手に入り、トールギスIIIも入手出来るため、自軍が大分安定する事になる。その一方で、リアル系だとバグにより万丈とダイターン3が終盤のムゲ宇宙ルートへ行かないと加入しない。
なお、リアル系限定の登場キャラクター、レラのイベントは独立軍ルートに比べると控えめで、アヴィ=ルーと巴武蔵のイベントにインパクトを持っていかれた感がある。
完全平和ルート編集
ルート的には独立軍ルートからの派生で、おまけのような扱いになっている。独立軍ルートを選択した後、完全平和主義を肯定する選択をしているとこちらへ進むことになる。特徴としては自軍の武闘派キャラが一時離脱する事があげられる。また、原作どおりサンクキングダムが中盤解体されることになり、結局OZルートか独立軍ルートに合流することになる。
シナリオ的には他の2ルートで初めて宇宙に上がるタイミングで地上に留まる為、地上での戦闘回数が最も多いルートとなる(その割に鉄也は武闘派組として離脱するのだが…)。その事もあってスーパーロボット系のシナリオが多く組まれることになる。64オリジナルキャラクターのストーリーに関しては割と不遇で、レラはイベントが起こることなく強制的に自軍を離脱し、他の2ルートでは用意されている男主人公のライバル参入シナリオが存在しない(なお、アースゲインは強制的にスーパーアースゲインになる)。
戦力的にはミネルバXや量産型グレートマジンガーが手に入る…のだが、本作の一人乗りスーパー系は総じて微妙なので使う機会はあまりない。完全平和ルートからOZルートに合流するとかなり悲惨で、トールギスIIIは手に入るがフルアーマー百式改も量産型νガンダムも手に入らずシロッコとの決着ではクワトロは百式で強制出撃する事になる。
話題編集
- 初採用の合体技を際立たせるために、黒い三連星が作中の設定を無視してティターンズMSを運用している組織でドライセンに乗って現れ(終盤のアクシズとの戦いでもドライセンは雑魚ユニットとして登場する)、この作品以降殆ど登場してないガザの嵐隊や、3Dといったマイナーなチームが恐らくは合体技の為だけに登場している。ただし、赤い三騎士は主であるビショットが登場しない為に不参戦である。
- 機体の限界反応値が事実上機能していないという重大なバグがある。そのため、『Endless Waltz』版の機体にランクアップさせるためにフル改造が必要なWガンダム系の五体以外、限界反応を改造する必要は一切無い。
- CMは本作が初参戦である『六神合体ゴッドマーズ』の明神タケル役であった水島裕がナレーションを担当。BGMはテーマソングでもある「熱き魂」。当初は「64(ロクヨン)合体!」という台詞に合わせてカセットがゲーム機の本体に刺さる演出を考えていたが、任天堂側に止められて没になった。[5]
登場作品編集
新規参戦は★の3作品。
- 機動戦士ガンダム
- ★機動戦士ガンダム 第08MS小隊
- 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
- 機動戦士Ζガンダム
- 機動戦士ガンダムΖΖ
- 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
- 機動戦士ガンダムF91(リンクバトラー必須)
- 機動武闘伝Gガンダム
- 新機動戦記ガンダムW
- 無敵超人ザンボット3(リンクバトラー必須)
- 無敵鋼人ダイターン3
- 聖戦士ダンバイン
- 蒼き流星SPTレイズナー
- マジンガーZ
- グレートマジンガー
- UFOロボ グレンダイザー
- ゲッターロボ
- ゲッターロボG
- 真ゲッターロボ (原作漫画版)
- ★ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日
- 超電磁ロボ コン・バトラーV
- ★六神合体ゴッドマーズ
- 超獣機神ダンクーガ
- 戦国魔神ゴーショーグン(リンクバトラー必須)
『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』は当時未完だったためゲスト的扱いである。
終盤で『超獣機神ダンクーガ GOD BLESS DANCOUGA』の展開が一部再現される。
他、「劇場版マジンガーシリーズ」、『Ζ-MSV』、『M-MSV』、『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』の機体が登場。
尚、上記の通り、『リンクバトラー』との接続によって参戦可能となる作品が3作品存在する。この3作品のキャラクターはゲスト的扱いのため参戦後は会話にはほとんど参加しない。
世界観編集
バンプレストオリジナル編集
登場人物編集
主人公編集
下記の4人から1人を選択。それによってライバルも決定。
- ブラッド・スカイウィンド
- スーパー系男主人公。
- マナミ・ハミル
- スーパー系女主人公。
- アークライト・ブルー
- リアル系男主人公。
- セレイン・メネス
- リアル系女主人公。
ライバル編集
- カーツ・フォルネウス
- スーパー系男ライバル。
- アイシャ・リッジモンド
- スーパー系女ライバル。
- エルリッヒ・シュターゼン
- リアル系男ライバル。
- リッシュ・グリスウェル
- リアル系女ライバル。
その他編集
- ヴィロー・スンダ
- スーパー系男の場合で名前のみ登場。ブラッドとカーツの師匠で、物語開始時点で既に死亡している。
- ローレンス・ジェファーソン
- スーパー系女の場合のみ登場。ハミル家の執事で、スイームルグのサブパイロット。
- レラ
- リアル主人公の場合のみ登場するゲリラの少女。
- ハミルトン
- リアル系女の場合のみ登場。セレインと行動を共にしていたゲリラ仲間だが、第1話で帝国軍の攻撃を受け死亡。
アル=イー=クイス編集
登場メカ編集
主人公機・ライバル機編集
主人公の性別・タイプによって主人公機・ライバル機が下記の通りに決定。
- アースゲイン
- スーパー系男初期機。
- スーパーアースゲイン
- スーパー系男後継機。
- ヴァイローズ
- スーパー系男ライバル機。
- スイームルグ
- スーパー系女初期機。
- スイームルグS
- スーパー系女後継機。
- エルブルス
- スーパー系女ライバル機。
- ソルデファー
- リアル系男初期機。
- アシュクリーフ
- リアル系男後継機。
- アシュクリーフ(AF)
なお本作のオリジナルメカは、『スーパーロボット大戦A』で初登場したメカデザインの原型となっている。寺田Pの発言では設定上の繋がりはないが、型式番号や開発メーカーなどは関係を感じさせるものとなっている。
アル=イー=クイス編集
用語編集
ゲーム中データ編集
分類 | 記事 |
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