NINTENDO64
NINTENDO64（ニンテンドウロクヨン）は、1996年6月23日に任天堂が発売した家庭用ゲーム機。一般的な略称は「64（ロクヨン）」、「N64」など。本稿では「N64」で表記する。
概要 編集
スーパーファミコン（以下SFC）の後継機で第5世代据え置き型ゲーム機だが、SFCとの互換性はない。ゲームソフトの供給媒体は引き続きROMカートリッジで、任天堂の据え置き機としては最後のROMカートリッジ採用機種となった[1]。
CPUのアーキテクチャにおいて純粋な64ビットゲーム機であり、3DのCGを本格的に扱う為の高い描画処理性能を持たされていたため、発売当時としては最高レベルの3D描画性能を有していた。なお、内部では32ビットモードと64ビットモードが存在し、ソフトによってCPUの処理をどちらか選択する仕様となっている。メインRAM容量は4.5MBで、拡張RAMとなるメモリー拡張パック[2]を増設することで9MBに出来る[3]。
大きな特徴として「3D（サンディ）スティック」と呼ばれる、家庭用ゲーム機では初めてとなるアナログ操作デバイスを標準実装した点が挙げられる。3Dスティックを中央に配置した特異な形状のコントローラも特徴で、公式に複数の持ち方が存在している[4]。コントローラの背面には周辺機器を装着できる「拡張コネクタ」が存在する。こちらには本体ROMとは別に記録する個別データを持ち運ぶための媒体や、振動パックなど、ゲーム本体の体感や遊び方を拡張することが可能。また、ファミリー層を意識して大勢で遊べる事を念頭に置いた設計として、標準でコントローラ端子を4基搭載しデフォルトで4人までの同時プレイが可能となったため、マルチタップ等による端子の増設が不要となった。
度重なる発売延期による出遅れ、ソフト開発難度の高さ、SFC時代からの質の悪いソフト乱発を避けるために「少数精鋭」を謳う任天堂のプラットフォーム方針といった面から、大手ソフトメーカーの多くがSFC時代のソフトの続編といった主力ソフトを他のプラットフォームで展開するようになり、結果国内での販売は振るわずソニーのPlayStationやセガのセガサターンに比べて慢性的なソフト不足に悩まされ続け、任天堂は長年確保していた据え置きゲーム機のトップシェアをソニーに明け渡すこととなった。
加えて他機種がディスクメディアを扱う中でのROMカートリッジの採用は、SFC時代から指摘されていたソフト価格の高騰、容量不足[5]も引き継ぐことになってしまい、他ハードのソフトに比べると顕著な環境差が見られた。これを受け価格に関しては徐々にROMカセットの値下げが図られ[6]、周辺機器として『64DD』やインターネット接続システムの追加も計画されたが、一般販売はされなかった。前述したメモリー拡張パックも元々は64DD増設用のパーツの一つである。
周辺機器 編集
- 64GBパック
- コントローラーに接続することで、N64のソフトと携帯機のゲームボーイのソフト間でデータのやり取りができるようになる。ソフトの組み合わせは決まっており、『スーパーロボット大戦64』と、GBソフトの『スーパーロボット大戦リンクバトラー』が連動対象。
- 64DD（ディスクドライブ）
- 1999年12月11日発売。一般流通ではなく任天堂とリクルートの合弁会社「株式会社ランドネットディディ」による、希望者へのソフト全品セット通信販売専用品となった。
- 本体下部に接続する拡張機器で、専用磁気メディアである「64DDディスク」を採用し、ハードの設計思想は大容量の記憶媒体を扱えるハードというもの[7]。容量は64MBでその内記憶容量は上限20MB[8]、ROMカートリッジよりは安価に供給出来る見通しだった。しかし本体の普及がそれほどでもなかった事、販路の問題、後継機であるゲームキューブの計画が見えてきた事など多くの要因によって、先述の様に通信販売専用でのみ販売される形となった。
次世代機 編集
- ニンテンドーゲームキューブ
- 任天堂の据え置きゲーム機として後継機に当たるが、N64での反省から設計思想が大きく変更されており、N64との後方互換性も持たない。
商品情報 編集
スーパーロボット大戦シリーズ 編集
- スーパーロボット大戦64
- 開発には任天堂子会社が協力している。
関連作品 編集
余談 編集
- しばしば「ニンテンドー64」と誤記されるが、本機種でのみ任天堂のカタカナ読みが「ニンテンドウ」となっている。当初は「ウルトラ64」「ULTRA64」「ウルトラファミコン」とした仮称があったが、結果として任天堂では初めて「前ハードに含まれた名称が採り入れられない」ゲーム機となった（この場合は「ファミコン」）。
脚注 編集
- ↑ 第9世代据え置き型ゲーム機のNintendo Switchでは、ディスクメディアではなくフラッシュROMカードが採用されているがROMカートリッジとは仕様が大きく異なる。
- ↑ 発売当初は「ハイレゾパック」の商品名を使用していた（「ハイレゾ」は「High Resolution」の略で高解像度・高音質を意味するが、主にオーディオ製品で使用される用語である）。
- ↑ 増設するにはターミネーターパックと呼ばれる部品を取り外し、入れ替わりにメモリー拡張パックを挿入する必要がある。なお本体の起動にはどちらかが入っている必要があり、リサイクルショップ等に出回っている中古品の中にはどちらも入っていないものもある為購入の際は注意を要する。
- ↑ 「ファミコンポジション」「ライトポジション」「レフトポジション」の3種類。
- ↑ 最少容量で4MB、最大容量ソフトは『バイオハザード2』（カプコン）の64MBでSFC比で8倍以上の容量増ではあったが、それでもCD-ROMの10分の1以下程度だった。
- ↑ 任天堂タイトルは特に早く他機種と同価格帯まで引下げたが、サードパーティ製のソフトはそもそも発売数が少なかった。
- ↑ 現在で言うサンドボックスの様なシステム、環境変化シミュレーター系のゲームが多く計画されていた。
- ↑ 記事によっては38MBとする文献もある。