「平行世界」の版間の差分
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古典の頃からSFでは欠かせない世界観構築の手法であり、スーパーロボット大戦シリーズでも重要なキーワードの一つである。 | 古典の頃からSFでは欠かせない世界観構築の手法であり、スーパーロボット大戦シリーズでも重要なキーワードの一つである。 | ||
− | なお、科学的にはいわゆる「'''現実的に実存し得ない可能性''' | + | なお、科学的にはいわゆる「'''現実的に実存し得ない可能性'''」の考え方であり、架空の量子世界観である。「次元宇宙」と云った用語とも同義で扱われる事も多いが、ファンタジー作品で時折見られる「上位の次元=高位の存在の世界」の世界観なども架空のもので、高次元というものは、簡単に言うと数学的には我々の住む宇宙に同じく内包されている(3次元に住んでいる我々が1次元と2次元を認識し俯瞰できていても、干渉できる限界があることを理解しているのに置き換えると判り易い)。 |
− | + | [[漫画]]・[[小説]]といった複数メディアで展開している作品や[[続編]]作品では、製作者サイドから「(別メディア・前作とは)パラレルです」と明言され作品間の関係は平行世界として処理される場合がある。逆に言えば、そういったアナウンスがない場合は齟齬や矛盾する点があっても、受け手の解釈に委ねられるため100%平行世界だとは断言できず、ファンの間で議論の対象となる。 | |
== 平行世界に関するSRW参戦作品 == | == 平行世界に関するSRW参戦作品 == | ||
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=== 平行世界同士の位置づけにある作品 === | === 平行世界同士の位置づけにある作品 === | ||
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+ | | [[牙狼〈GARO〉]]([[冴島鋼牙|鋼牙]]シリーズ<ref>冴島鋼牙及びその関係者を主人公とする作品群。『絶狼 <ZERO>』シリーズもここに含む。</ref>)||牙狼〈GARO〉(流牙シリーズ<ref>道外流牙及びその関係者を主人公とする作品群。</ref>)|| 牙狼〈GARO〉(アニメシリーズ) || 牙狼〈GARO〉-VERSUS ROAD- | ||
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+ | | [[機界戦隊ゼンカイジャー]] || [[スーパー戦隊シリーズ]]<br>仮面ライダーシリーズ<ref>『ゼンカイジャー』本編終了時点で、その次回作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』とその同期『仮面ライダーリバイス』までの双方のシリーズ全作品が平行世界扱い。</ref> || || | ||
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+ | | [[ULTRAMAN (アニメ)|ULTRAMAN]] || ウルトラQ<br>『ウルトラセブン』以降のウルトラシリーズ<ref>『平成ウルトラセブン』シリーズなど一部を除く全ての作品が「'''マルチバース'''」として各平行世界間で完全に繋がっている。</ref> || || | ||
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== スパロボにおいて == | == スパロボにおいて == | ||
− | + | 「[[スーパーロボット大戦シリーズ]]」は「異なるロボットアニメ作品同士がひとつの世界に共存していたとしたら」というテーマが土台になっているが、他の作品とはあまりに雰囲気が異なる作品を参戦させる場合、その作品がゲーム世界に存在している違和感に対して「別の世界(=パラレルワールド)から、なんらかの方法や事故でゲームの舞台となる世界にやってきた」という説明がされることが多々ある<ref>特に[[電脳戦機バーチャロンシリーズ]]は、後に公式データベースサイト「inside the gate」にて、[[スーパーロボット大戦K]]の世界が[[タングラム]]の干渉した平行世界であることが明記されている。</ref>。もっとも、これはスパロボに限らずクロスオーバーもののコンテンツでは定番となっている手法である。 | |
− | また、シリーズ作品は全てが同じ[[世界観]] | + | また、シリーズ作品は全てが同じ[[世界観]]にあるわけでなく、それぞれ別の世界観を持つ。例えば「[[αシリーズ]]」の世界観はαシリーズで独立したものとなっており、「[[旧シリーズ]]」の世界観とは別物である。しかし、パラレルワールドの設定を組み込むことにより、あるスパロボのバンプレストオリジナルな要素や設定を、別のスパロボにも持ち込むということが行われている。 |
=== 導入から現在まで === | === 導入から現在まで === | ||
パラレルワールドという概念が作品世界に具体的に織り込まれたのは『[[スーパーロボット大戦A]]』からである。「極めて近く、限りなく遠い世界に」というキャッチフレーズを掲げた同作品では、敵対勢力・[[シャドウミラー]]は平行世界から転移してきたという設定で、彼らの来た世界は「'''[[あちらの世界]]'''」と呼称されてもいる。作品設定の中にバンプレストによる過去のオリジナル設定が含まれており、物語の構想を広げたという点では大きな通過点であろう(反面、このせいでストーリー性が難解・複雑になり、単純明快さが無くなったために、低年齢層のプレイヤーがストーリーを理解出来なくなってしまっている、という指摘もある)。そして「平行世界」という要素を逆手にとった『[[スーパーロボット大戦UX]]』も現れた(詳細は[[世界観/UX]]参照)。 | パラレルワールドという概念が作品世界に具体的に織り込まれたのは『[[スーパーロボット大戦A]]』からである。「極めて近く、限りなく遠い世界に」というキャッチフレーズを掲げた同作品では、敵対勢力・[[シャドウミラー]]は平行世界から転移してきたという設定で、彼らの来た世界は「'''[[あちらの世界]]'''」と呼称されてもいる。作品設定の中にバンプレストによる過去のオリジナル設定が含まれており、物語の構想を広げたという点では大きな通過点であろう(反面、このせいでストーリー性が難解・複雑になり、単純明快さが無くなったために、低年齢層のプレイヤーがストーリーを理解出来なくなってしまっている、という指摘もある)。そして「平行世界」という要素を逆手にとった『[[スーパーロボット大戦UX]]』も現れた(詳細は[[世界観/UX]]参照)。 | ||
− | また、『[[超時空世紀オーガス]]』は平行世界がテーマになっており、これは『[[スーパーロボット大戦Z]] | + | また、『[[超時空世紀オーガス]]』は平行世界がテーマになっており、これは『[[スーパーロボット大戦Z]]』に参戦した際にもその設定が世界観の主要テーマとして大きく生かされている。「[[Zシリーズ]]」以降のスパロボは平行世界や[[多元世界]]の要素を積極的に組み込むことで、従来のシリーズでは「'''一つの世界観に同居することが困難な作品群'''」とされたものの共演を可能としている。ただし、それでも平行世界同士の同一人物が直接対面するような場面はあまりにも状況がややこしくなるためか、「'''平行世界の同一人物が同じ世界には同時に存在できず、同一の存在として融合してしまうか、両方とも消滅する'''<ref>この設定を取り入れたのは、『ジョジョの奇妙な冒険 スティール・ボール・ラン』が初といわれている。</ref>」として避けられている。その一方で『[[スーパーロボット大戦Card Chronicle]]』や『[[スーパーロボット大戦DD]]』では平行世界の同一人物が対面、前者ではさらに共闘する場面が見られている。 |
=== コンパチヒーロー === | === コンパチヒーロー === | ||
− | スーパーロボット大戦シリーズの姉妹作である『[[ヒーロー戦記 プロジェクトオリュンポス]]』や『[[スーパーヒーロー作戦]] | + | スーパーロボット大戦シリーズの姉妹作である『[[ヒーロー戦記 プロジェクトオリュンポス]]』や『[[スーパーヒーロー作戦]]』でも扱われていて、後発作品である「[[αシリーズ]]」を経てさらに設定が難解になってきた。異なる要素を織り混ぜた設定も数多く登場しており、ファンの創造性も大きく膨らんでいる。『ヒーロー戦記』の[[主人公]][[ギリアム・イェーガー]]や、『スーパーヒーロー作戦』の主人公であり「因果律の番人」の異名を持つ[[イングラム・プリスケン]]は、世界の隔たりを飛び越えて「[[OGシリーズ]]」の世界やαシリーズの世界へとやってきた。彼らは時間移動と平行世界移動は同義として捉えている。時間分岐が起こる直前の世界に転移し、それぞれの事象を変動させることで結果的に時間を変化させることから同義として捉えることが可能になる。これはSF作品の定石の一つである。ただしそうなったと観測できるのは本人のみで、時間軸の収束現象(変動した時間が時間軸に影響を与えない範囲で辻褄を合わせること)が自分の観測した時間軸と同様になってしまう場合もあるが。 |
=== 注意点 === | === 注意点 === | ||
− | 平行世界という概念がスパロボシリーズにおいて定番化しつつある中で「'''全てのスパロボシリーズは平行世界の関係にあるという説''' | + | 平行世界という概念がスパロボシリーズにおいて定番化しつつある中で「'''全てのスパロボシリーズは平行世界の関係にあるという説'''」が唱えられることがあるが、実際の所は明言されておらず不明である。[[スタッフ:寺田貴信|寺田貴信]]Pは具体的な明言はしていないが、[[兜甲児]]が様々なスパロボ世界に存在することを例にあげ、スパロボの根っこの部分に並行宇宙観があることには言及している<ref>株式会社カンゼン『スーパーロボット大戦MX 全シナリオ攻略ファイル』236頁。</ref>。 |
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+ | 実際、一部のキャラクターなどが明らかに他シリーズ作品での出来事・設定について言及する場面などもあるため、この説には一定の補強がされているとも言える。一方で一部のキャラなどが平行世界へ大きく致命的な関与を行っているような場面があったり、シリーズ自体が平行世界を舞台としている「Zシリーズ」という例もあったりするため、それぞれを平行世界'''群'''として完全に異なる宇宙の法則を持った別のグループのように扱っているとも見ることができる。ちなみに、そのような「'''それぞれ平行世界を有する完全な別の宇宙'''」という概念もまたSF作品で希に扱われる概念である。『[[スーパーロボット大戦T]]』では本編外の部分とはいえ<ref>条件を満たさないと発生しない[[隠し要素/T|シークレットシナリオ]]と、購入が必須ではない後日談の[[DLC|エキスパンション・シナリオ]]。</ref>、前々作に当たる『[[スーパーロボット大戦V]]』と前作に当たる『[[スーパーロボット大戦X]]』のオリジナルキャラクターたちが『T』世界へと召喚されており、少なくともVXT三部作の世界は近しい関係にあると言える。 | ||
また、「次元宇宙」といった語が時折登場するが、これは多元宇宙とは異なり、平行世界の同義語として扱われている。多元宇宙の理論を製作スタッフがどのような形で設定に組み込むか否かで、スパロボシリーズでは有名な「フラスコの監視者」などの扱いなども今後様々に変容すると思われる。『ヒーロー戦記』では存在が仄めかされ本編未登場(こちらの存在の考え方は光瀬龍のSF小説『百億の昼と千億の夜』からの引用)、αシリーズでは[[ケイサル・エフェス]]がその役割を果たしていた。 | また、「次元宇宙」といった語が時折登場するが、これは多元宇宙とは異なり、平行世界の同義語として扱われている。多元宇宙の理論を製作スタッフがどのような形で設定に組み込むか否かで、スパロボシリーズでは有名な「フラスコの監視者」などの扱いなども今後様々に変容すると思われる。『ヒーロー戦記』では存在が仄めかされ本編未登場(こちらの存在の考え方は光瀬龍のSF小説『百億の昼と千億の夜』からの引用)、αシリーズでは[[ケイサル・エフェス]]がその役割を果たしていた。 | ||
− | === | + | == 平行世界を扱ったスパロボ作品 == |
− | + | === [[Zシリーズ]] === | |
− | + | 前述の通り、平行世界という概念がシリーズ世界観の中核を形成している。 | |
+ | |||
+ | === 携帯機シリーズ === | ||
;[[スーパーロボット大戦A]] | ;[[スーパーロボット大戦A]] | ||
:スパロボシリーズにおいて平行世界を本格的なテーマとして扱った初めての作品。 | :スパロボシリーズにおいて平行世界を本格的なテーマとして扱った初めての作品。 | ||
;[[スーパーロボット大戦D]] | ;[[スーパーロボット大戦D]] | ||
:『[[メガゾーン23]]』の登場人物が「かつて[[ペルフェクティオ]]に滅ぼされた平行世界の住人」という設定になっている。 | :『[[メガゾーン23]]』の登場人物が「かつて[[ペルフェクティオ]]に滅ぼされた平行世界の住人」という設定になっている。 | ||
+ | ;[[スーパーロボット大戦K]] | ||
+ | :真の黒幕である[[ダイモン (バーチャロン)|ダイモン]]の目的が全平行宇宙の破滅であり、それを阻止する戦いが繰り広げられる。 | ||
;[[スーパーロボット大戦L]] | ;[[スーパーロボット大戦L]] | ||
− | :『[[鉄のラインバレル]] | + | :『[[鉄のラインバレル]]』(アニメ版)の[[高蓋然性世界]]が平行世界として存在し、『[[超電磁マシーン ボルテスV]]』や『[[マクロスF]]』のキャラクター、ならびに『[[冒険! イクサー3]]』の[[霞渚]]や[[ルド・グロリア|今作のラスボス]]はそちらの出身となっている。 |
+ | |||
+ | === VXT三部作 === | ||
+ | ;[[スーパーロボット大戦V]] | ||
+ | :[[世界観/V|「新正暦世界」「西暦世界」「宇宙世紀世界」という三つの世界]]が交差する。 | ||
+ | ;[[スーパーロボット大戦X]] | ||
+ | :[[世界観/X|様々な平行世界の人々]]が、異世界[[アル・ワース]]に召喚される。特にその内の「平和の世界」「革命の世界」「戦争の世界」は、アル・ワースと密接な関係を持つ。 | ||
+ | ;[[スーパーロボット大戦T]] | ||
+ | :上述の通りシークレットシナリオ及びエキスパンション・シナリオにおいて、『V』『X』のオリジナルキャラたちが原作終了後設定で『T』世界に召喚されている。 | ||
+ | |||
+ | === 単独作品 === | ||
+ | ;[[スーパーロボット大戦MX]] | ||
+ | :『[[マシンロボ クロノスの大逆襲]]』は原作終了後参戦だが、倒されたはずの[[ギャンドラー]]一味が平行世界から現れている。また、[[多元世界補完計画]]は本作のシナリオで最も重要な要素を成している。 | ||
;[[スーパーロボット大戦NEO]] | ;[[スーパーロボット大戦NEO]] | ||
− | : | + | :[[世界観/NEO|地球と異世界「アースティア」]]の二つの世界で構成している。 |
;[[スーパーロボット大戦Card Chronicle]] | ;[[スーパーロボット大戦Card Chronicle]] | ||
− | : | + | :[[兜甲児 (OVA)|平行世界の]][[兜甲児 (真マジンガー)|同一人物]]が共演した初の作品。 |
;[[スーパーロボット大戦Operation Extend]] | ;[[スーパーロボット大戦Operation Extend]] | ||
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;[[スーパーロボット大戦X-Ω]] | ;[[スーパーロボット大戦X-Ω]] | ||
:ストーリークエストと[[ソリス]]関連のイベント以外は[[ナイアーラ]]曰く「平行世界の吹き溜まり」との事。 | :ストーリークエストと[[ソリス]]関連のイベント以外は[[ナイアーラ]]曰く「平行世界の吹き溜まり」との事。 | ||
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;[[スーパーロボット大戦DD]] | ;[[スーパーロボット大戦DD]] | ||
− | :配信当初は[[世界観/DD|各参戦作品が4つのワールド(平行世界)]] | + | :配信当初は[[世界観/DD|各参戦作品が4つのワールド(平行世界)]]に分けて構成されている。作中では異世界と同義として扱われており、1章冒頭で[[バイストン・ウェル]]を含めて8つの世界と数えられている。それ以降もワールドの追加が行われているため、世界の数は増え続けている。[[卯月美和|平行世界の]][[珠城美和|同一人物]]が共演する『CC』以来の展開が描かれている。 |
+ | :また、[[クロッシング・パイロット]]に期間限定参戦<ref>『[[電脳冒険記ウェブダイバー]]』が参戦する元期間限定ショートシナリオ「静かなる刻を共に感じて」、『[[勇気爆発バーンブレイバーン]]』が期間限定参戦する「私のように熱く叫び、戦うのだ!」、『[[LIVE A LIVE]]』の参戦する「ブリキ大王 | ||
+ | 我とあり」はメインストーリーと関連するシナリオとなっている。</ref>、OGシリーズのキャラ参戦に付随するショートシナリオもあり、こちらも独自の世界で行われている。 | ||
+ | ;[[スーパーロボット大戦30]] | ||
+ | :[[ダウンロードコンテンツ/30|DLC]]の追加作品の面々が、それぞれ元の世界から本作の世界へと飛ばされる展開が起こっている。 | ||
+ | :DLC限定ではあるが、家庭用コンシューマー作品では初めてとなる[[流竜馬 (OVA)|平行]][[神隼人 (OVA)|世界]][[車弁慶 (OVA)|の]][[流竜馬 (DEVOLUTION)|同一]][[神隼人 (DEVOLUTION)|人]][[車弁慶 (DEVOLUTION)|物]]が共演する展開が描かれた。また同DLCでは本作の[[早乙女研究所]]で平行世界の研究が行われており、研究結果によって[[早乙女博士 (OVA)|早乙女博士]]が反乱を起こした一因になっている。更にこの平行世界の研究は後に[[光子力研究所]]が受け継いでいる。 | ||
== 関連用語 == | == 関連用語 == | ||
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2024年10月13日 (日) 21:30時点における最新版
平行世界とは、平行して無限に存在すると考えられている、この世界と似て非なる別の世界。並行世界、パラレルワールドとも。
概要編集
基本的なSF概念では、平行した時間軸の(自らの世界を主観とした場合の)別世界を指す事が多い。国内の7、80年代頃のSFでは「多元宇宙」とも訳されており、これは「多元的に世界を俯瞰内包している」点から同意義の語となる。
古典の頃からSFでは欠かせない世界観構築の手法であり、スーパーロボット大戦シリーズでも重要なキーワードの一つである。
なお、科学的にはいわゆる「現実的に実存し得ない可能性」の考え方であり、架空の量子世界観である。「次元宇宙」と云った用語とも同義で扱われる事も多いが、ファンタジー作品で時折見られる「上位の次元=高位の存在の世界」の世界観なども架空のもので、高次元というものは、簡単に言うと数学的には我々の住む宇宙に同じく内包されている(3次元に住んでいる我々が1次元と2次元を認識し俯瞰できていても、干渉できる限界があることを理解しているのに置き換えると判り易い)。
漫画・小説といった複数メディアで展開している作品や続編作品では、製作者サイドから「(別メディア・前作とは)パラレルです」と明言され作品間の関係は平行世界として処理される場合がある。逆に言えば、そういったアナウンスがない場合は齟齬や矛盾する点があっても、受け手の解釈に委ねられるため100%平行世界だとは断言できず、ファンの間で議論の対象となる。
平行世界に関するSRW参戦作品編集
平行世界に関わる設定を有する作品編集
- 真ゲッターロボ 世界最後の日 / 真ゲッターロボ (原作漫画版) / 新ゲッターロボ
- 超時空世紀オーガス
- 電脳戦機バーチャロンシリーズ
- マブラヴ オルタネイティヴ
- 鉄のラインバレル
- エウレカセブンAO
- 健全ロボ ダイミダラー
- クロスアンジュ 天使と竜の輪舞
- ヘボット!
- 天元突破グレンラガン(劇場版 紅蓮篇 / 螺巌篇)
- フルメタル・パニックシリーズ
- 真マジンガーZERO vs 暗黒大将軍
- 劇場版 マジンガーZ / INFINITY
- ROBOTICS;NOTES[1]
- VS騎士ラムネ&40炎
- ぼくらの
- 機界戦隊ゼンカイジャー
- SSSS.GRIDMAN
- 劇場版『新幹線変形ロボ シンカリオン 未来からきた神速のALFA-X』
平行世界同士の位置づけにある作品編集
リメイク作品とその原作のような事例は除外。また、リンクが設定されてないものはSRW未参戦。
作品A | 作品B | 作品C | 作品D |
---|---|---|---|
聖戦士ダンバイン | リーンの翼 (OVA) | ||
ボトムズシリーズ | ボトムズファインダー | ||
機甲界ガリアン | 機甲界ガリアン 鉄の紋章 | ||
超時空要塞マクロス | 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか | ||
マクロスF | 劇場版 マクロスF 虚空歌姫〜イツワリノウタヒメ〜 劇場版 マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜 劇場短編マクロスF 時の迷宮 |
||
マクロスΔ | 劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ 劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!! |
||
マクロスシリーズ | 超時空世紀オーガス 超時空世紀オーガス02 |
||
メガゾーン23 PART II 秘密く・だ・さ・い MEGAZONE23 III イヴの目覚め MEGAZONE23 III 解放の日 |
メガゾーン23 青いガーランド | ||
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア | 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン | 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(ハイ・ストリーマー版) | |
SD戦国伝 | SDガンダム外伝 SDコマンド戦記 |
武者・騎士・コマンド SDガンダム緊急出撃 | |
真 魔神英雄伝ワタル 魔神英雄伝ワタル2 魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸 魔神英雄伝ワタル 終わりなき時の物語 |
超魔神英雄伝ワタル | ||
覇王大系リューナイト | 覇王大系リューナイト アデュー・レジェンド | 覇王大系リューナイト(漫画版) | |
機動戦艦ナデシコ | 遊撃宇宙戦艦ナデシコ | ||
天空のエスカフローネ | 劇場版エスカフローネ | ||
交響詩篇エウレカセブン エウレカセブンAO |
交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい | 交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1 ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション |
|
創聖のアクエリオン | 創星のアクエリオン | ||
新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 | エヴァンゲリオン ANIMA | ||
電脳戦機バーチャロンシリーズ | とある魔術の電脳戦機 | ||
真マジンガー 衝撃! Z編 | 真マジンガーZERO 真マジンガーZERO vs 暗黒大将軍 |
||
魔法騎士レイアース | レイアース (OVA) | 魔法騎士レイアース(原作漫画版) | |
牙狼〈GARO〉(鋼牙シリーズ[2]) | 牙狼〈GARO〉(流牙シリーズ[3]) | 牙狼〈GARO〉(アニメシリーズ) | 牙狼〈GARO〉-VERSUS ROAD- |
機界戦隊ゼンカイジャー | スーパー戦隊シリーズ 仮面ライダーシリーズ[4] |
||
ULTRAMAN | ウルトラQ 『ウルトラセブン』以降のウルトラシリーズ[5] |
スパロボにおいて編集
「スーパーロボット大戦シリーズ」は「異なるロボットアニメ作品同士がひとつの世界に共存していたとしたら」というテーマが土台になっているが、他の作品とはあまりに雰囲気が異なる作品を参戦させる場合、その作品がゲーム世界に存在している違和感に対して「別の世界(=パラレルワールド)から、なんらかの方法や事故でゲームの舞台となる世界にやってきた」という説明がされることが多々ある[6]。もっとも、これはスパロボに限らずクロスオーバーもののコンテンツでは定番となっている手法である。
また、シリーズ作品は全てが同じ世界観にあるわけでなく、それぞれ別の世界観を持つ。例えば「αシリーズ」の世界観はαシリーズで独立したものとなっており、「旧シリーズ」の世界観とは別物である。しかし、パラレルワールドの設定を組み込むことにより、あるスパロボのバンプレストオリジナルな要素や設定を、別のスパロボにも持ち込むということが行われている。
導入から現在まで編集
パラレルワールドという概念が作品世界に具体的に織り込まれたのは『スーパーロボット大戦A』からである。「極めて近く、限りなく遠い世界に」というキャッチフレーズを掲げた同作品では、敵対勢力・シャドウミラーは平行世界から転移してきたという設定で、彼らの来た世界は「あちらの世界」と呼称されてもいる。作品設定の中にバンプレストによる過去のオリジナル設定が含まれており、物語の構想を広げたという点では大きな通過点であろう(反面、このせいでストーリー性が難解・複雑になり、単純明快さが無くなったために、低年齢層のプレイヤーがストーリーを理解出来なくなってしまっている、という指摘もある)。そして「平行世界」という要素を逆手にとった『スーパーロボット大戦UX』も現れた(詳細は世界観/UX参照)。
また、『超時空世紀オーガス』は平行世界がテーマになっており、これは『スーパーロボット大戦Z』に参戦した際にもその設定が世界観の主要テーマとして大きく生かされている。「Zシリーズ」以降のスパロボは平行世界や多元世界の要素を積極的に組み込むことで、従来のシリーズでは「一つの世界観に同居することが困難な作品群」とされたものの共演を可能としている。ただし、それでも平行世界同士の同一人物が直接対面するような場面はあまりにも状況がややこしくなるためか、「平行世界の同一人物が同じ世界には同時に存在できず、同一の存在として融合してしまうか、両方とも消滅する[7]」として避けられている。その一方で『スーパーロボット大戦Card Chronicle』や『スーパーロボット大戦DD』では平行世界の同一人物が対面、前者ではさらに共闘する場面が見られている。
コンパチヒーロー編集
スーパーロボット大戦シリーズの姉妹作である『ヒーロー戦記 プロジェクトオリュンポス』や『スーパーヒーロー作戦』でも扱われていて、後発作品である「αシリーズ」を経てさらに設定が難解になってきた。異なる要素を織り混ぜた設定も数多く登場しており、ファンの創造性も大きく膨らんでいる。『ヒーロー戦記』の主人公ギリアム・イェーガーや、『スーパーヒーロー作戦』の主人公であり「因果律の番人」の異名を持つイングラム・プリスケンは、世界の隔たりを飛び越えて「OGシリーズ」の世界やαシリーズの世界へとやってきた。彼らは時間移動と平行世界移動は同義として捉えている。時間分岐が起こる直前の世界に転移し、それぞれの事象を変動させることで結果的に時間を変化させることから同義として捉えることが可能になる。これはSF作品の定石の一つである。ただしそうなったと観測できるのは本人のみで、時間軸の収束現象(変動した時間が時間軸に影響を与えない範囲で辻褄を合わせること)が自分の観測した時間軸と同様になってしまう場合もあるが。
注意点編集
平行世界という概念がスパロボシリーズにおいて定番化しつつある中で「全てのスパロボシリーズは平行世界の関係にあるという説」が唱えられることがあるが、実際の所は明言されておらず不明である。寺田貴信Pは具体的な明言はしていないが、兜甲児が様々なスパロボ世界に存在することを例にあげ、スパロボの根っこの部分に並行宇宙観があることには言及している[8]。
実際、一部のキャラクターなどが明らかに他シリーズ作品での出来事・設定について言及する場面などもあるため、この説には一定の補強がされているとも言える。一方で一部のキャラなどが平行世界へ大きく致命的な関与を行っているような場面があったり、シリーズ自体が平行世界を舞台としている「Zシリーズ」という例もあったりするため、それぞれを平行世界群として完全に異なる宇宙の法則を持った別のグループのように扱っているとも見ることができる。ちなみに、そのような「それぞれ平行世界を有する完全な別の宇宙」という概念もまたSF作品で希に扱われる概念である。『スーパーロボット大戦T』では本編外の部分とはいえ[9]、前々作に当たる『スーパーロボット大戦V』と前作に当たる『スーパーロボット大戦X』のオリジナルキャラクターたちが『T』世界へと召喚されており、少なくともVXT三部作の世界は近しい関係にあると言える。
また、「次元宇宙」といった語が時折登場するが、これは多元宇宙とは異なり、平行世界の同義語として扱われている。多元宇宙の理論を製作スタッフがどのような形で設定に組み込むか否かで、スパロボシリーズでは有名な「フラスコの監視者」などの扱いなども今後様々に変容すると思われる。『ヒーロー戦記』では存在が仄めかされ本編未登場(こちらの存在の考え方は光瀬龍のSF小説『百億の昼と千億の夜』からの引用)、αシリーズではケイサル・エフェスがその役割を果たしていた。
平行世界を扱ったスパロボ作品編集
Zシリーズ編集
前述の通り、平行世界という概念がシリーズ世界観の中核を形成している。
携帯機シリーズ 編集
- スーパーロボット大戦A
- スパロボシリーズにおいて平行世界を本格的なテーマとして扱った初めての作品。
- スーパーロボット大戦D
- 『メガゾーン23』の登場人物が「かつてペルフェクティオに滅ぼされた平行世界の住人」という設定になっている。
- スーパーロボット大戦K
- 真の黒幕であるダイモンの目的が全平行宇宙の破滅であり、それを阻止する戦いが繰り広げられる。
- スーパーロボット大戦L
- 『鉄のラインバレル』(アニメ版)の高蓋然性世界が平行世界として存在し、『超電磁マシーン ボルテスV』や『マクロスF』のキャラクター、ならびに『冒険! イクサー3』の霞渚や今作のラスボスはそちらの出身となっている。
VXT三部作編集
- スーパーロボット大戦V
- 「新正暦世界」「西暦世界」「宇宙世紀世界」という三つの世界が交差する。
- スーパーロボット大戦X
- 様々な平行世界の人々が、異世界アル・ワースに召喚される。特にその内の「平和の世界」「革命の世界」「戦争の世界」は、アル・ワースと密接な関係を持つ。
- スーパーロボット大戦T
- 上述の通りシークレットシナリオ及びエキスパンション・シナリオにおいて、『V』『X』のオリジナルキャラたちが原作終了後設定で『T』世界に召喚されている。
単独作品編集
- スーパーロボット大戦MX
- 『マシンロボ クロノスの大逆襲』は原作終了後参戦だが、倒されたはずのギャンドラー一味が平行世界から現れている。また、多元世界補完計画は本作のシナリオで最も重要な要素を成している。
- スーパーロボット大戦NEO
- 地球と異世界「アースティア」の二つの世界で構成している。
- スーパーロボット大戦Card Chronicle
- 平行世界の同一人物が共演した初の作品。
- スーパーロボット大戦Operation Extend
- スーパーロボット大戦X-Ω
- ストーリークエストとソリス関連のイベント以外はナイアーラ曰く「平行世界の吹き溜まり」との事。
- スーパーロボット大戦DD
- 配信当初は各参戦作品が4つのワールド(平行世界)に分けて構成されている。作中では異世界と同義として扱われており、1章冒頭でバイストン・ウェルを含めて8つの世界と数えられている。それ以降もワールドの追加が行われているため、世界の数は増え続けている。平行世界の同一人物が共演する『CC』以来の展開が描かれている。
- また、クロッシング・パイロットに期間限定参戦[10]、OGシリーズのキャラ参戦に付随するショートシナリオもあり、こちらも独自の世界で行われている。
- スーパーロボット大戦30
- DLCの追加作品の面々が、それぞれ元の世界から本作の世界へと飛ばされる展開が起こっている。
- DLC限定ではあるが、家庭用コンシューマー作品では初めてとなる平行世界の同一人物が共演する展開が描かれた。また同DLCでは本作の早乙女研究所で平行世界の研究が行われており、研究結果によって早乙女博士が反乱を起こした一因になっている。更にこの平行世界の研究は後に光子力研究所が受け継いでいる。
関連用語編集
商品情報編集
脚注編集
- ↑ 本作を含めた「科学アドベンチャーシリーズ」全般において「世界線」と呼ばれる平行世界設定を有する。
- ↑ 冴島鋼牙及びその関係者を主人公とする作品群。『絶狼 <ZERO>』シリーズもここに含む。
- ↑ 道外流牙及びその関係者を主人公とする作品群。
- ↑ 『ゼンカイジャー』本編終了時点で、その次回作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』とその同期『仮面ライダーリバイス』までの双方のシリーズ全作品が平行世界扱い。
- ↑ 『平成ウルトラセブン』シリーズなど一部を除く全ての作品が「マルチバース」として各平行世界間で完全に繋がっている。
- ↑ 特に電脳戦機バーチャロンシリーズは、後に公式データベースサイト「inside the gate」にて、スーパーロボット大戦Kの世界がタングラムの干渉した平行世界であることが明記されている。
- ↑ この設定を取り入れたのは、『ジョジョの奇妙な冒険 スティール・ボール・ラン』が初といわれている。
- ↑ 株式会社カンゼン『スーパーロボット大戦MX 全シナリオ攻略ファイル』236頁。
- ↑ 条件を満たさないと発生しないシークレットシナリオと、購入が必須ではない後日談のエキスパンション・シナリオ。
- ↑ 『電脳冒険記ウェブダイバー』が参戦する元期間限定ショートシナリオ「静かなる刻を共に感じて」、『勇気爆発バーンブレイバーン』が期間限定参戦する「私のように熱く叫び、戦うのだ!」、『LIVE A LIVE』の参戦する「ブリキ大王 我とあり」はメインストーリーと関連するシナリオとなっている。