SDガンダムシリーズ

SDガンダムから転送)

SDガンダムシリーズ」とは、ガンダムシリーズモビルスーツSD化した擬人化キャラクターによる玩具のこと。単に「SDガンダム」とも。「武者ガンダム」や「騎士ガンダム」など、モビルスーツをモチーフにした独自のキャラクターたちを生み出したことでも知られる。

SDガンダムシリーズ
シリーズ ガンダムシリーズ
初クレジットSRW スーパーロボット大戦X-Ω
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玩具の販促のために用いられる漫画やアニメ作品についてもこの項に含む。

デフォルメの特徴編集

SDガンダムはスーパーデフォルメ(略称・SD)という言葉自体を生み出した元祖ともいえる玩具企画である。このSDという言葉がどのようなデフォルメ(姿形変化)のことを表すかは当該項目に譲るが、SDガンダムシリーズについては以下の特徴を持つ。

  • モビルスーツを極端に低頭身化してリデザインを行う。2~2.5頭身が基本。一部の製品には3頭身以上のものも存在するが少数派である。
  • モビルスーツたちは擬人化され、人格があるキャラクターとして扱われる。誰かが乗り込んで操縦しているわけではない。
  • ツインアイを持つガンダムタイプに対しては、目の中に「瞳」が施される。

SDガンダムシリーズの生みの親とされるデザイナーの横井孝二氏によると、漫画家の鳥山明氏が描く「丸みを帯びたメカ」に大きな影響を受けているということで、また、擬人化のイメージソースとしては鳥山氏の漫画『Dr.スランプ』にモブとして登場するウルトラマンやゴジラのパロディキャラたちをイメージしていたということである。

瞳についてはSDガンダムシリーズの最大の個性と言え、キャラクターが意志を持っているということを伝える擬人化の意匠である。ただし、瞳がつけられるのは「ツインアイのガンダムタイプ」以外ではほとんど見られないので、全体から見れば少数派である。それゆえに主役級のガンダムの存在感がひときわ強まり、SDモビルスーツが集合したイラストにおいて主役級のガンダムは一目で見分けがつく。その個性の強さゆえ、瞳が苦手でSDガンダムシリーズを敬遠する人も少なからず存在している。そのための配慮もあってか、近年ではゲーム作品の『SDガンダム GGENERATION』シリーズを中心に、キャラクターではない純粋なSD体型のMSを表現するため瞳を廃したデフォルメを採用した製品も出てきている(元々90年代に販売されていたSDガンダムの玩具でもカメラアイについては瞳が付いているものと付いていないものの両方のシールが付属されていた)。

スーパーロボット大戦シリーズとの関わり編集

初代の『スーパーロボット大戦』では擬人化されたSDガンダムそのものが、同じくマジンガーZゲッターロボと一緒に戦うというゲームであった。しかし、続編の『第2次スーパーロボット大戦』以降はあくまで「原作アニメのキャラクターとロボットが登場するキャラクターゲーム」となり、ユニットのグラフィックにだけSDガンダムの絵を使用しているという措置が取られている。スパロボがSDデザインを使い続けている理由には様々な理由があるが、「SD」という共通の方向性のリデザインを施すことで多種多様な作品の雰囲気をある程度統一すると同時に、ifの世界であることも強調できるためという点が最も大きい。

初期のスパロボ「旧シリーズ」でデザインワークスを統括したレイ・アップの横井孝二氏は、SDガンダムの「生みの親」の一人であり、スパロボは「(当時の)SDガンダムの玩具のデザイン」を基準として他のロボットたちもそれに合わせるような形で統一感がとられていた。多種多様な作品が共演するスパロボでも「瞳」がつけられたのはガンダムタイプだけだったため、スパロボでのガンダムタイプはひときわ目立つ存在であった(ただし「真ゲッターロボ」のようにオリジナルのデザインの時点で「瞳」があるロボットについてはSD化しても瞳はつけられている)。1990年代末に『SDガンダム GGENERATION』シリーズなどでバンダイが「瞳」を廃したデザインで商品展開を行うようになると、スパロボ側もこれに合わせ2000年発売の『スーパーロボット大戦α』からは「瞳」を廃したデザインが採用されている。なおこの措置は『α』開発途中に行われたようで、ゲーム誌に掲載された開発画面では「瞳」が描かれており、修正が困難であるゲーム中のCGムービーにも描かれたままとなっている。本作までは瞳がある事が前提だったためカメラアイがやや大きめに描かれていたが、以降の作品からはリアルガンダムに即したバランスに近づいていく事になる。

なお、現在は横井氏がレイ・アップから独立しているため、弟子筋にあたるかげやまいちこ氏がデザインワークスの統括にあたっている。また、2010年代ではスパロボのSDキャラクターの頭身は3頭身~4頭身が主流になっており、玩具の「SDガンダム」ともまた異なる基準の統一感が作られている。

また、スパロボとSDガンダムの関係性でよく語られる俗説に、「ガンダムシリーズのモビルスーツはほかのロボットアニメと異なり、一体一体で版権が個別に管理されていて、ユニットの数を出せば出すほど版権料がかかる。しかし、SDガンダムで版権を取得すればすべてのモビルスーツをその版権1つで出すことができる」というものがある。スパロボシリーズでは、ユニットはSD体型で描かれていてもカットインのグラフィックではリアル体型、というのが多いが、なぜかガンダムシリーズだけカットインもSDサイズという状況が長く続いていることがこの説の信憑性を強くしている。2011年~2012年に前後編で発売された『第2次スーパーロボット大戦Z』は登場ユニットはSDサイズだが、ガンダムシリーズのリアルサイズカットインを実現した初のスパロボである(ただし、それ以前もシャイニングガンダムの手やガンダム試作3号機の腕など、明らかにリアルサイズになっているカットインや、ガンダムエックスがシルエットでリアルサイズになっているカットイン、デスティニーガンダム等のカメラアイのみが映るカットインが存在した)。『スーパーロボット大戦X-Ω』では『戦国伝』『コマンド』『外伝』のキャラの登場作品が「SDガンダムシリーズ」でまとめられていたため、これらの作品については版権が同じ可能性がある。

その他、スパロボにおけるSDというデザインワークスそのもののあり方については当該項目も参照のこと。

尤もそれ以前に、SDガンダムシリーズは非映像化作品が非常に多い為、実際に参戦の障害となっているのは声優とBGMの問題である可能性が高いとされている。

2013年発売の『スーパーロボット大戦UX』において、SDガンダムシリーズがユニットデザインだけではなく「参戦作品」の一つとして初めて登場した。

SDガンダムシリーズの世界観編集

SDガンダムシリーズが持つ特徴に、「MSの擬人化」という要素を最大限に活かした、原作とは異なるテーマや世界観を持つ「別の作品」として展開される点がある。

リアルロボットアニメのフラグシップであるガンダムで、擬人化というパロディを受け入れさせるためには、原作の持つイメージをあえて「壊す」ための工夫が必須である。それは最初期のカプセルトイの時点で試みられており、これには擬人化したモビルスーツのギャグシーンを一コマ漫画にしたイラストシールが付属していた。そこでのSDキャラクターたちは「原作アニメとは無関係に意思ある存在」ということを強くアピールしており、SDガンダムというコンテンツが受け入れられたのはこのシールの功績に依る部分も大きいとされる。

この流れをより推進させるため、商業漫画雑誌でSDガンダムを登場させるギャグ漫画を連載することになる、SDガンダムシリーズの漫画は複数の漫画雑誌に掲載された経歴があるが、メインとなっていたのは講談社の児童向け漫画雑誌『コミックボンボン』であった。

初期の頃はただ「このシリーズは原作とは異なるギャグ世界で描かれるコメディである」ことさえ伝えられればよく、「ギャグ世界」には細かい設定などは不要であった。作家ごとにキャラクター設定や世界観も異なっていた。この流れはえてして硬直化しがちなガンダムシリーズにとって大きな爆弾となり、一時期のガンダムシリーズを支えてアナザーガンダム誕生へも影響を与えたと言えるほどの大きな効果を残すことになる。しかしそのうち、ギャグではなくシリアスな独自世界でもSDキャラクターたちを展開させる企画が出てくる。「漠然としたギャグ」ではなく「確固とした背景ストーリー」を伝えるために漫画連載はますます重要視され、SDガンダムの玩具展開とコミックによる背景世界観の描写は不可分のものとなった。しかし、2007年に『ボンボン』が休刊したことで、SDガンダムの新しいシリーズ展開が難しくなってしまっている現状がある。

SDガンダムシリーズがコミックを使って作り出した世界観やテーマは様々なものがある。原作をパロディしたギャグもの、原作と無関係にモビルスーツたちによる日常系コメディ、シリアスな異世界ファンタジーもの、果ては学園コメディまで、何でもありである。登場キャラクターも生命体からメカ、モンスターや精霊、さらには神様まで網羅しており、しかもSDガンダムとリアル体系のガンダムが共存すらしている。「SDガンダムは自由なのだ」という言葉もあり、一部ではガンダムで思いつく大抵のネタは既にSDが通り過ぎているとさえ言われるほどである。端的に言えば「わざわざガンダムを使って表現する必要のない世界観」にまでガンダムを無理にでも使うのがSDガンダムシリーズであり、この自由さこそが現在まで愛されている最大の魅力である。しかし、その一方でシャア・アズナブル役の池田秀一氏は下品な台詞が多いSDガンダムの仕事を快く思っていなかったというエピソードも残している。[1]

武者頑駄無シリーズ編集

SD化されたモビルスーツに『武者』と称した和風甲冑アレンジを施したシリーズ。『プラモ狂四朗』(SRW未参戦)に登場した改造ガンプラを原点とし、その後SDガンダムに編入され『SD戦国伝』の名で独自の世界観が構築され、以降シリーズ展開が行われた。

「天宮(アーク)の国」を舞台に光の武者軍団と闇の武者軍団の戦いを描いている。 同シリーズでは終盤に主人公が結晶鳳凰(クリスタルフェニックス)に認められて、大将軍に襲名し、ラストボスとの最終決戦に挑む(一部作品を除く)という展開がストーリーにおける定番の流れとなっている。後述の騎士ガンダムやコマンドガンダムの世界観とは異なり、一部の特殊な例を除くと人間キャラクターは登場しない。

SD戦国伝(第1弾 - 第3弾)
『武者七人衆編』、『風林火山編』、『天下統一編』で構成されている。
新SD戦国伝(第4弾 - 第7弾)
第2期シリーズ。『地上最強編』、『伝説の大将軍編』、『七人の超将軍』、『超機動大将軍』と展開された。「影舞乱夢(エイブラム)」(中国に相当)や「赤流火穏(アルビオン)」(インドや東南アジアに相当)といった外国も登場。『地上最強編』~『超機動大将軍』は、いずれも武者衛府弓銃壱 とその長男の武者飛駆鳥と次男の武者號斗丸たち新世大将軍家が主人公を務めているのが特徴。『七人の超将軍』以降、SD等身から一般的なモビルスーツ同様の高等身のデザインに変形合体するキャラクターが度々登場する事となる。
超SD戦国伝(第8弾 - 第9弾)
第3期シリーズ。前作『超機動大将軍』の完結編にも位置する『武神輝羅鋼』と100年後の世界が舞台の『刕覇大将軍』で構成されている。
新SD戦国伝『天星七人衆』編(第10弾)
複雑化してきたシリーズ設定との繋がりを薄くするため物語の舞台を天宮より北にある「緋州(ピース)の国」に移し、複雑化したBB戦士の組み立てもシンプルに刷新するなど、新コンセプトの作品となっている。そのため過去に使用した名称と被っているものの関係なく「新SD戦国伝」と銘打っている。過去作品との直接的な繋がりは武者たちが過去作品キャラの魂を受け継いでいる設定がある程度。
ムシャ戦記 光の変幻編(第11弾)
戦国伝を廃しているが、過去のシリーズとの繋がりはある。武者たちの名は年少者対策として、漢字ではなくカタカナが使われている。
久しぶりに主人公が「大将軍」やそれに相当するパワーアップ形態とならない数少ない作品。
SDガンダム ムシャジェネレーション(第12弾)
ジェネレーションというタイトルが示す通り『SDガンダムG GENERATION』の武者版というコンセプトを目指して生まれたシリーズで、本作における「武者」は人が搭乗するSD型のロボットとして扱われ、ガンダム系機体にはそれまでのSDシリーズの定番であった「瞳」も存在しない。最終的に魂を持つ人間サイズの武者が誕生してSD戦国伝に繋がる時系列最古の物語になっている。物語の舞台は「天主(アース)の国」。採用モチーフは∀ガンダムがメインとなっており、「武者」も過去の文明の産物。
従来の戦国伝シリーズから大きく離れた作風が災いし人気の面では伸び悩み、プラモ展開は5種類のみで打ち切り、漫画版も長らく未刊行だった。
武者○伝シリーズ(第13弾 - 第15弾)
西暦2001年の現代日本に時空を超えて召喚された歴代武者頑駄無が人間たちと触れ合いながら、悪の軍団と戦いを繰り広げる(『武者○伝III』のみ従来シリーズ同様に天宮が舞台)。現代日本で平和ボケしてしまい、ゆるい外見になった武者達が本来の姿にパワーアップするギミックが特徴。日本人は日本をそのまま日本と呼ぶが、天宮の頑駄無たちは日本のことを「天馬(ペガサス)の国」と呼ぶ。遠い昔に持たれた天宮と天馬の国の時空を超えた交流では、西暦2002年に天馬の国が沈没して滅んだことが天宮の歴史に伝わっている。
新旧キャラクターが共演しているが、設定については本シリーズ独自のものとなっている。
武者頑駄無達が現代日本に馴染むため様々な職業についているなどコミカル要素が強く、また「瞳」が存在しない武者も多い。本シリーズ及び『武者番長風雲録』では漫画展開はプラモデル付属の取説ではなくコミックボンボンでの連載が主軸となっている。
SDガンダムフォース絵巻 武者烈伝 武化舞可編(第16弾)
『武者七人衆』のリメイク作であり、親子をテーマとした作品。『武者〇伝』のコミカル要素も受け継いでいる。
前日譚を描いた外伝コミック『武者烈伝・零』も存在する。
子世代が成長した後の物語も予定されていたが、プラモ展開の打ち切りに伴い構想だけに終わった。
武者番長風雲録(第17弾)
『武者〇伝』の系譜となるシリーズで、日本(天馬の国)の学園を舞台とした異色作。
本作もプラモ展開は打ち切りとなったが、漫画連載は継続し『SDガンダム三国伝』までの息を繋いだ。
SD戦国伝『武神降臨編』(第18弾)
ストーリーはなく、歴史上実在の戦国武将を武者頑駄無化することに重点が置かれた。プラモも過去作のリデコ。

主な登場人物編集

武者頑駄無 / 信玄頑駄無 / 三代目頑駄無大将軍
『武者七人衆編』の主人公。
武者荒烈駆主 / 新荒烈駆主 / 四代目頑駄無大将軍
『風林火山編』『天下統一編』の主人公。
殺駆頭
殺駆一族の頭領であり闇軍団最強の男。
殺駆三兄弟
殺駆一族の武者。武者七人衆のライバルであるがコメディリリーフとしても人気があり、OVA作品『SDガンダム猛レース』でナイトガンダムらと共演したりもしている。
闇将軍
国主であった殺駆頭を配下にして闇軍団を結成したとされる謎の総大将。
闇皇帝
闇将軍を裏から操る黒幕。闇の権化。
若殺駆頭
殺駆頭の息子。

騎士ガンダムシリーズ編集

SD化されたモビルスーツに『騎士』を中心とした西洋ファンタジー風アレンジを施したシリーズで、包括的なシリーズタイトルは『SDガンダム外伝』。展開時期は1989年~1998年だが、2007年頃からはじまったカードダスの復刻が好評であった影響か、2013年より『新約SDガンダム外伝』のタイトルで新企画が組まれた。

SDガンダムシリーズが誕生した時期は、ちょうどファミリーコンピュータで『ドラゴンクエスト』などのファンタジーRPGが爆発的に広まった時期であり、いわばその流れに便乗した企画である。そのため、騎士ガンダムの着る装備はリアルな中世の鎧というより、ファンタジーものに出てくる「伝説の武具」のようなケレン味のあるデザインとなっている。騎士ガンダムシリーズは武者ガンダムシリーズよりも後に展開が始まっているため、SDガンダムでシリアス系を行うことへの不安要素はなく、「魔法使い風のモビルスーツ」など武者ガンダム以上に挑戦的なデザインも行われた。

展開の中心はカードダスであり、各カードの裏にかかれたテキストで、ストーリーや世界観の理解を深められるようになっていた。これは食玩の「ビックリマン 悪魔VS天使シール」の模倣ではあるが、当時はこのようなやり方は様々なコンテンツで行われていた。なお、舞台となる世界の名前「スダ・ドアカワールド」は「カードダス」の逆読みである。その中でもラクロアという王国が最も主要な舞台として扱われた。

武者ガンダムとは兄弟的な扱いであったが、騎士ガンダムの玩具は「元祖SDガンダム」が主流で展開され、「BB戦士」が主流であった武者ガンダムとは住み分けがされていた。また、武者ガンダムとの差別化要素として、アムロやシャアなどのガンダムシリーズの人間キャラクターたちもSD化されて登場する点と(スダ・ドアカは普通に人間が暮らす世界で、モビルスーツたちはいわばファンタジーで言うエルフやドワーフのような「異種族」扱いである)、機兵と呼ばれる巨大ロボットが登場する点がある。機兵は人間だけでなくSDモビルスーツたちもパイロットとして乗り込むことができる。

SDガンダム外伝(第1弾 - 第4弾)
最初に展開された騎士ガンダムシリーズ。これは、さらに「ジークジオン編」「円卓の騎士編」「聖機兵物語」「機甲神伝説」の四部作。
光と闇の争いを背景に、世界を駆け巡った幾人もの「騎士」たちの興亡の戦記である。
新SDガンダム外伝(第5弾 - 第7弾)
「ナイトガンダム物語(ストーリー)」「黄金神話(ゴールドサーガ)」「鎧闘神戦記」の三部作。
前作の数十年後が舞台でより派手な展開となっており、この手の大河ファンタジーものにおける定番展開が散見される。「機兵」に代表される戦力面のインフレーションこそ目立つがストーリーが破綻しているわけではなく、スダ・ドアカの創世と崩壊に絡む壮大な神話が描かれた。
SDガンダム聖伝(第8弾)
前作でスダ・ドアカの物語を行き着くところまでやってしまったため、世界設定を変更してリブートしたシリーズ。スダ・ドアカとは別の異世界リオン・カージを舞台とする。機兵のような極端なレベルの戦力は廃止され、展開のインフレが起こらないように配慮され、騎士も各職業を経て、転職できる特別なものとなった。
しかし、機兵廃止が逆に地味という印象を与えてしまったらしく、リオン・カージの物語が次のシリーズに続くことはなかった。余談になるが、2010年に復刻された「鎧闘神戦記」で、リオン・カージもスダ・ドアカと同じ世界(時間軸は未来)にあることが解説されている。
一般的には騎士ガンダムシリーズは、ここで終了したとされる。
SDガンダム列伝 ガンダム騎士団(パワーズ)(第9弾)
過去のシリーズの騎士たちが異世界エレナ・ルウムに召喚されて、勇者として戦うクロスオーバーもの。
漫画のみで展開し、カードダス化はされず、騎士ガンダムそのもののブーム終焉により半年で打ち切られた(しかも、過去シリーズの騎士たちが次々と敵に殺されていくという衝撃的なストーリー)ため、長らく公式からはなかば黒歴史的に扱われている部分があった。2011年にアスキー・メディアワークスから販売された『SDガンダム大全集 騎士ガンダム編』においても当作については触れられていないが、2015年に本作の主人公アルフガンダムのモチーフにダブルオークアンタが割り当てられた[2]。戦い終えた後、エレナ・ルウムはスダ・ドアカワールドに改名されたが、これまでのスダ・ドアカと同一の世界だったのかは不明。
連載当時は単行本未発売だったが、19年後の2017年に単行本が発売された。
SDガンダム英雄伝(第10弾)
人間と機兵のみを登場させた特殊なシリーズ。世界征服を目論むザードに対して、ラクロアと天宮はそれぞれザード討伐軍を結成して旅立つ。
ゲームをコアとした企画で、プレイステーションワンダースワンでそれぞれ別の作品が作られた。『ボンボン』では漫画版も連載されている。
特筆すべきは武者ガンダムシリーズとクロスオーバーしている点で、天宮の「人間」が乗り込む機兵「武者」が登場する。
ラクロアや天宮(アーク)という地名は従来シリーズと共通するものの、SDガンダム外伝シリーズやSD戦国伝シリーズとの設定的な繋がりは明確化されていない。
SDガンダム アルティメットバトル
カードを用いてキャラを召喚できる歴史の管理者・騎士ユニコーンガンダムを主軸に、時を超えて『ジークジオン編第2弾 伝説の巨人』頃の時代のラクロア王国を侵略した敵との戦いが描かれるという、様々なシリーズがクロスオーバーしたカードダス作品。
新約SDガンダム外伝(第11弾 - )
2013年より開始されたシリーズ。第1章にあたる「救世騎士伝承(スダドアカ ナイト サーガ)」では、過去のシリーズのおさらい(「神話復活編」「巨神伝承編」)をしつつ、本編(「二人の皇子編」「黒き暴君編」「もう一つの聖杯編」「新王光誕編」の四部構成)が開始される。舞台は「鎧闘神戦記」の時代から十数年を経たブリティス王国。2015年春に完結をみせたが、2016年に後日談「救世騎士伝承EX」(「覚醒のエレメントドラゴン」「激突!一角騎士VS運命騎士」「時を廻る幻獣騎士」「決戦の雷龍剣」の四部構成)が展開。
2017年には、SDXや元祖といった玩具関連と連動したキャンペーン「SD外伝まつり」の下で、「鎧闘神戦記」の後日談となる第2章「新世聖誕伝説」が展開。
2019年には、時系列では最も過去になる創世の時代を描いた前半、時を大きく越えて「鎧闘神戦記」の裏で起こった出来事を描いた後半の2部構成になる「創世超竜譚(スペリオルサーガ)」が展開。
2020年には、キングガンダムI世の若かりし頃、今まで断片的だった後の円卓の騎士の面々との出会いとブリティス王国の王となる経緯、そして総統の尾との戦いを描いた「騎士王物語(ナイトキングストーリー)」が展開。

主な登場人物編集

騎士ガンダム / バーサル騎士ガンダム
『ジークジオン編』の主人公。
魔王サタンガンダム / ブラックドラゴン / ネオブラックドラゴン
スダ・ドアカワールドの支配を企む恐怖の存在。
皇騎士ガンダム / キングガンダムII世
『円卓の騎士編』の主人公。
風騎士ガンダムマークII / 嵐騎士ガンダムマークII
円卓の騎士の一人。
闇騎士ガンダムマークII
円卓の騎士の一人。
灼騎士ガンダムF91 / 灼熱騎士ガンダムF91
円卓の騎士の一人。
騎士ガンダムGP01 / バーサル騎士ガンダムGP01
『聖機兵物語』の主人公。
騎士スペリオルドラゴン
スダ・ドアカワールド十二神の一柱。

主な登場メカ編集

真聖機兵ガンレックス
『聖機兵物語』に登場。

コマンドガンダムシリーズ編集

SDガンダムシリーズにミリタリーものの要素を取り入れたシリーズ。包括的なシリーズタイトルは『SDコマンド戦記』。SDモビルスーツは「意思ある兵器」として描かれ、戦場ドラマが展開される。展開時期は1990年~1993年。

カードダスと「元祖SDガンダム」をメインとして展開され、「G-ARMS」「ガンダムフォース」「SUPER G-ARMS」「グレートパンクラチオン」の4部で構成され後継作の「Gチェンジャー」もある他、本シリーズの一部の人物が『SD戦国伝』と『SDガンダム外伝』に客演している。

主な登場人物編集

コマンドガンダム
ガンダムチーム部隊の元に現れた謎のガンダム。G-ARMSの総指揮官としてガンダム達を鍛え上げていく。
キャプテンガンダム
ガンダムチームの一人。当初は弱々しかったが、コマンドガンダムのしごきによって成長していく。
マスクコマンダー
コマンドガンダムのしごきに耐えきれなくなり脱走してフューラーザタリオンの配下となり、フューラーの死後もたびたびG-ARMSを襲撃する。

三国志シリーズ編集

史実の三国志の武将たちとモビルスーツの双方をモチーフとしたSDガンダムを作ろうというコンセプトのシリーズ。

BB戦士三国伝(第1弾)
新SD戦国伝『地上最強編』第一章では「影舞乱夢(エイブラム)」という国を舞台に三国志モチーフのキャラが登場していたが、本作はその数百年後という世界観。
SDガンダムワールド 三国創傑伝(第2弾)
旧『三国伝』より設定・世界観が一新され、現実世界をベースにゾンビ化するウィルスが蔓延した世界に立ち向かうという内容となっている。
海外先行プロジェクトであり、日本国内においても2021年にアニメ放送とプラモデル販売が開始された[3]
アニメ放送終了後、世界観を維持したまま各世界の英雄が登場する『SDガンダムワールドヒーローズ』が放送された。

生物・種族としての「SDガンダム」編集

シリーズ開始当初はコメディ作品だったこともあって、ロボットであるはずのSDガンダムたちが喋ったり身長が人間並だったりするのは「そういうもの」でしかなく、特にこれといった設定は存在しなかった(必要なかった、とも言える)。

このあたりについて明確に設定されたのは『SDガンダム外伝』が初めてで、同シリーズにおいては「モビルスーツ族(以下MS族)」という人間とは異なる知的生命体という設定。所謂一般的なファンタジー作品に登場するエルフやドワーフのような「人間と同等の知性を持つ異種族」と同様の存在である、と位置付けられた。また同時期に展開された『SD戦国伝』と併せてSDガンダムたちが飲食を行う光景、親子・兄弟などの血縁関係といった有機生命体であることを示す描写もこの時期からより顕著になっており、SDガンダムは「見た目がガンダムなだけで本質は人間と変わらない」存在となっていった。実際『外伝』の一部作品では人間族とMS族の夫婦も登場しており、生殖行為が可能であるならば生物学的にも人間との差異がほとんど存在しないことになる。『UX』において三璃紗の武将たちが「れっきとした人間」と看做されたのもこうした描写からのものだろう。

また戦国伝シリーズの一作にして、最も過去の時系列の出来事である『SDガンダム ムシャジェネレーション』では生物としてのSDガンダムのルーツが断片的に描かれている。この作品では「生物としてのSDガンダム」は登場せず、マウンテンサイクルよろしく地中に埋まっていたMSを発掘して改修した「武者MS」という兵器が人間によって運用されている[4]。同作ではコミックボンボンで連載された漫画版と、説明書付属のコミックワールドでは設定や物語がやや異なっているが、最終決戦の結末にてターンタイプの武者MSが大爆発する」という点は共通している。この大爆発によってターンタイプを構成するナノマシンが広範囲にばら撒かれ、それがMSの自己進化を促して機械から生物へと至らせた……と推察されている(公式で明言はされていない)。『UX』では同じくナノマシンによって機械から生物へと進化した存在を擁する『鉄のラインバレル (原作漫画版)』とのクロスオーバーが行われている。

アニメ作品編集

上述のようにSDガンダムシリーズは漫画作品が「オリジナル」として扱われるのが基本だが、いくつかはアニメ化もされている。他のガンダムシリーズのアニメと同じく「創通・サンライズ」の版権管理で製作されている。

佐藤元作の漫画作品『爆笑戦士SDガンダム』から連なるコメディシリーズや『SD戦国伝』『SDガンダム外伝』を題材として劇場用アニメやOVAを中心に展開されたが、テレビシリーズについては現在まで2003年制作の『SDガンダムフォース』と前述の『SDガンダム三国伝 BraveBattleWarriors』くらいに留まっている[5][6]。この点については放送局やスポンサーがそれぞれ異なる複数のガンダムシリーズ作品が共演するゆえに、TVシリーズとして放送するには権利関係の障壁が大きい(「創通・サンライズ」だけでは解決しにくい)のではないかという見方がある。
以下ではスパロボに関連する作品のみピックアップして紹介。

SDガンダム外伝
『SDガンダム外伝』のOVAおよび劇場アニメ。
武者・騎士・コマンド SDガンダム緊急出撃
機動戦士ガンダム F91』と同時放映された劇場アニメで、後の『SDガンダムフォース』の原点ともなった作品。
X-Ω』での参戦時には「緊急出撃」の設定も組み込まれている。
SDガンダム三国伝 BraveBattleWarriors
『BB戦士三国伝』のTVアニメ版。前述の通り「SDガンダム」として初のスパロボ参戦を果たした。
ガンダムビルドファイターズシリーズ
ガンプラを題材とした作品群であり、ホシノ・フミナ等の一部のキャラクターはSDガンダムのプラモデルを好んで使用する。

ゲーム「SDガンダム」編集

「SDガンダム」はガンダムシリーズを扱ったシミュレーションゲームのシリーズ名にもなっている。1990年代後半以降は、玩具や漫画よりもこちらのシミュレーションゲームの方が「SDガンダム」というブランドのメインコンテンツになりつつある。

元々は玩具のSDガンダムを使ったキャラクターゲームという位置づけだったが、序々にガンダムシリーズの原作アニメを再現するゲームとしての方向性にシフトしていき、擬人化というSDガンダムシリーズの持つ特徴はなりを潜めた。ただし、登場するユニットのデザインは全てSD化されたモビス-ツということは現在まで踏襲しており、「SDガンダム」の名が冠せられることに偽りはない。

『SDガンダムワールド ガチャポン戦士』シリーズ
初のSDガンダムを題材としたコンピューターゲーム。1988年にファミコンのディスクシステムで第1作が発売されてからナンバリングは5作品あるが、シミュレーションゲームでありながら戦闘にアクション要素がある2作目までのシステムがよく知られている。実際は作品ごとにゲームシステムは変化しており、しかも本シリーズの時点で既にパイロットの概念が登場している。
本シリーズは5作品で終わったが以降も本シリーズの直接的な系譜に連なるシリーズはいくつも発売され、『SDガンダム G GENERATION』につながることになる。ただしそれらは基本的に「戦闘にアクション要素があってパイロットの概念はない」という2作目までのシステムをベースにしていた。
『SDガンダム G GENERATION』シリーズ
通称「Gジェネ」。1998年に第1作が発売されて以来、現在までこのシリーズタイトルで様々なプラットフォームで展開している。数も20を超え、スーパーロボット大戦シリーズに並ぶロボットゲーム界の老舗タイトルとなっている。
『ガチャポン戦士』の直接的な系譜に連なるシリーズの一つであり、『ガチャポン戦士』とそれに連なる作品のゲームシステムを継承発展させている。戦闘でのアクション要素は再び廃され、ユニットを操る「キャラクター」の概念が追加された。原作アニメに出てくるパイロットたちを乗せ、彼らが戦う様子を眺めるという、ある意味ではスパロボシリーズに近づいた形である。ガンダムタイプから瞳がなくなったことも併さり、この時点でSDガンダムの持つ「擬人化」という要素は完全にオミットされた。
ストーリーの有無は作品によって違い、それこそスパロボのように原作ベースのクロスオーバーをするストーリー性が濃い作品と、「原作のドラマを再現する戦場に、自分が好きなキャラとユニットを編成した”プレイヤー軍”を介入させる」というストーリー性の薄い作品の二通りに分かれる。2009年発売の『WARS』から続く3作品では両者の折半のような形になっており、「ジェネレーションシステム」という各ガンダム世界を管理するシステムがストーリーに関わっていた。
スパロボとも深い繋がりが存在し、『機動戦士クロスボーン・ガンダム』は前以てGジェネに参戦した事でスパロボにも参戦可能になったとみられている。Gジェネ側も2011年の『3D』では精神コマンドが採用されており、お互いに影響を受けている節がある。
ちなみに寺田貴信プロデューサーはGジェネのプレイヤーである事をスパログで公言している[7]
その他
このシミュレーションゲーム系以外でも「SDガンダム」の名を冠したゲーム作品は存在する。主なものとしては騎士ガンダム世界を舞台にしたRPGシリーズ[8]、武者ガンダム世界が舞台のSRPGシリーズなど。これらは特にSDガンダム全盛期とされるファミコン~スーパーファミコン時代に発売されたものが多い。他にもSDガンダムを用いたアクションゲームの単独作品が数年に一本くらいのペースで発表されたりしている。ゲームの項も参照。
なお、コンパチヒーローシリーズは「SDガンダム」のタイトルは冠していないにも関わらずSDガンダムが出てくるクロスオーバー作品である。[9]

登場作と扱われ方編集

「SDガンダムシリーズ」が参戦作品として記載された作品のみ記載。個別で参戦した作品はそれぞれの記事を参照。

単独作品編集

スーパーロボット大戦X-Ω
2019年3月のイベント「光と闇の戦い」期間限定参戦。『戦国伝』『コマンド』『外伝』を包括しての参戦となる。このうち、武者頑駄無コマンドガンダムは映画『緊急出撃』の設定も踏まえられている。
2019年11月には『SDガンダム外伝 円卓の騎士』の参戦が発表され、2020年2月イベント「二人の皇」にて期間限定参戦。
参戦発表では「SDガンダムシリーズ」と『SDガンダム外伝』、『SDガンダム外伝 円卓の騎士』と分けて表記されているが、ゲーム内では「シリーズ」で一纏めにされている。

脚注編集

  1. 実際にはSDガンダムシリーズにおいて下ネタの類が用いられていたのはごく初期のみであり、池田氏は後に『SDガンダムフォース』(SRW未参戦)にて終始シリアスな敵キャラクターであるコマンダーサザビーを演じた事でシリーズに対する認識を改めたとの事。
  2. 『ガンダムOO』開始より前の作品だが、アルフとクアンタの顔が偶然似ていた。
  3. プラモデルについては日本展開に先駆けガンダムベース東京・福岡にて限定販売を行っていた。
  4. これら武者MSは描写こそSDだが、リアルガンダム世界に存在したMSそのものであることが匂わされている。……つまりSDガンダム世界はリアルガンダム世界の遥か未来(∀ガンダムよりもさらに後)である可能性がある(この「リアル世界→SD世界」という時系列についてはムシャジェネ以前の作品から既に示唆されてはいた)。
  5. テレビ東京系列で『SDガンダム外伝』等のOVAシリーズを再編集して1クール放送されたことはあった。これは『疾風!アイアンリーガー』の前番組であり、番組MCも同作品のルリー銀城役・横山智佐氏であった。
  6. 1996年頃には『機動新世紀ガンダムX』の後番組としてSDガンダムを題材とした新番組が企画されたが『ガンダムX』の放送期間短縮を受けて企画そのものも白紙化されている。
  7. マイブーム
  8. 『SDガンダム外伝』が参戦した『BX』ではこれらゲーム作品からの設定もいくつか採用されている。
  9. ただしシリーズ初期作目(即ちシリーズとして成立する前の作品)のタイトルは「SDバトル大相撲」、「SDヒーロー総決戦」、「SDザ・グレイトバトル」。

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