勇者ライディーン

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勇者ライディーン』は、東北新社プロデュース・創映社制作のテレビアニメ作品。

勇者ライディーン
原作 鈴木良武
監督 富野喜幸[1](第1~26話)
長浜忠夫(第27~50話)
脚本 五武冬史
山本優
伊上勝 他
キャラクターデザイン 安彦良和
谷口守泰 他
メカニックデザイン 村上克司
安彦良和
スタジオぬえ
音楽 小森昭宏
制作 NETテレビ[2]
東北新社
創映社[3]
放送局 NETテレビ系
放送期間 1975年4月4日 -
1976年3月26日
話数 全50話
初登場SRW 第3次スーパーロボット大戦
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概要

東北新社の委託により創映社が制作したロボットアニメ。

マジンガーZ』や『ゲッターロボ』といった、先行するロボットアニメとの差別化を図る意味で、従来のロボットアニメ作品では用いられていなかった設定や物語、さらにキャラクターデザイン等の導入が進められた。

例えば主役メカのライディーンムー帝国の守護神で、ムートロンなる神秘的な力によって稼動するという設定に見られるように、制作当時ブームだったオカルト的な要素を取り入れられている。ライディーンのデザインについても日本のロボットアニメ史上において初となる玩具メーカーの主導により行われており、主役ロボの変形が玩具でほぼ再現できているのもそのためである。

スタッフィングにおいてもロボットアニメ初参加の富野喜幸氏をチーフディレクターとして起用、従来のロボットアニメとは一線を画す世界観構築が目指された。特にオカルト要素は、ストーリー面で新機軸を与えるものとして富野氏の発案とスポンサー側の了承によって推し進められたものであったが、放送局のNET(後のテレビ朝日)の親会社である朝日新聞社が当時「オカルトや疑似科学のブームに対しては批判的スタンスで挑む」という報道理念を掲げていたため、放映直前になって問題視されるようになったという。

しかし既に本制作が始動し企画の練り直しも不可能な状況であり、学園ドラマや王道活劇の要素を強めてオカルト色を薄める路線変更が行われたものの、 根本設定まで変えるには至らなかったためオカルト排除を要求するNETサイドとの溝は深まり続け、結果としてNETの現場介入とそれに反発する制作や代理店、スポンサー側との意見対立が顕在化し、現場は機能不全に陥る事となる。その責任をとる形で富野氏は降板となり、当時アニメ業界から離れていた長浜忠夫氏を「総監督」に据えるという措置が取られた。

富野氏同様ロボットアニメの経験がなかった長浜氏であったが、物語の設定から特にムー帝国に纏わる伝承を主軸に据え、伝奇ロマンという新たな方向性を打ち出した。これにより番組開始時に掲げた「神秘性」というテーマを損なう事無く物語は完結を迎えている。

関連したアニメ作品に『超者ライディーン』『REIDEEN』があるが、いずれもストーリーや設定上の繋がりは持たない。また、「コミックジャイブ」誌にて長谷川裕一氏による漫画『ゴッドバード』が連載されていた。こちらは原作の延長線上にある作品で、同時に他の長浜監督作品(コン・バトラーVボルテスVダイモスダルタニアス)の共演作品『超電磁大戦ビクトリーV』の続編でもある。これらの作品はいずれもスパロボ未参戦。

ストーリー

1万2千年前、ムー大陸の帝王ラ・ムーによって封印されていた妖魔帝国が復活し、地上に侵攻を開始した。

ごく普通の中学生だったひびき洸は、謎の声に導かれ、ムー帝国が残した巨大ロボット・ライディーンに乗り込み、妖魔帝国と戦いを繰り広げる。

登場人物

スパロボ毎の登場人物一覧については以下を参照して下さい。

ムトロポリス

ひびき洸
本作の主人公。ライディーンとは一心同体の関係にある。
ひびき一郎
洸の実父である考古学者。物語前半では妖魔帝国に囚われていた。
東山大三郎
科学要塞ムトロポリスの所長。コープランダー隊の指揮官も兼任する。

コープランダー隊

桜野マリ
本作のヒロインで洸のGF。第31話ラストから麗の後任としてコープランダー隊に加わる。
神宮寺力
「ミスター」の通称を持つコープランダー隊のリーダー。
明日香麗
超能力を秘めたミステリアスな少女。第30話で除隊する。
猿丸太郎
科学分析を得手とする学者肌の隊員。麗の除隊に伴い、後半は解析作業に従事する。

古代ムー帝国

ひびき玲子(レムリア)
洸の実母にして古代ムー帝国の女王。物語終盤のキーパーソンであるのと同時に、実質的なヒロインの立ち位置も担う。

妖魔帝国

バラオ
「大魔妖帝」「妖魔大帝」などの別称を持つ妖魔帝国の長。
プリンス・シャーキン
バラオ神殿における作戦指揮官で洸のライバル的存在でもある。
ベロスタン
妖魔帝国の祭祀長。化石獣の誕生には彼の捧げる祝詞が必要不可欠。
アギャール
初代戦闘指揮官。かなりドジな慌て者でもある。
豪雷巨烈
妖魔島における作戦指揮官で巨烈兄弟の兄。
激怒巨烈
妖魔島における戦闘指揮官で巨烈兄弟の弟。

登場メカ

スパロボ毎の登場メカ一覧については以下を参照して下さい。

コープランダー隊

古代ムー帝国

妖魔帝国

化石獣

巨烈獣

その他

用語

化石獣
文字通り化石化したモンスターで、妖魔帝国の主戦力となる。神官ベロスタンによる魔術で石化から解除される。
巨烈獣
後半の幹部・巨烈兄弟の製作した戦闘ロボ。化石獣以上の戦闘力を持つ。
コープランダー隊
ムトロポリスに配属されている、対妖魔帝国用の戦闘チーム。
ムトロポリス
神面岩の側に建設された、ムートロンの研究施設。
神面岩
人間の顔面に酷似した外観を持つ岩山。ライディーンの格納庫兼修理施設であり、その地下には古代ムー帝国の都市が秘匿されている。
ムートロン
謎に包まれた神秘のエネルギーにしてライディーンの動力源。生物の生命エネルギーに呼応する特徴がある。
ラ・ムーの星
物語後半のキーアイテムとなるムートロン解放装置。
ムー帝国
妖魔帝国
1万2千年前に、ムー帝国を襲った悪魔の軍団。ムー大陸と同様に海底に没し、帝王バラオと共に深い眠りについていた。
巨烈兄弟
バラオ神殿

楽曲

オープニングテーマ
「勇者ライディーン」
『第3次』『第4次』『新』『COMPACT』『COMPACT2』『α』『α外伝』『第3次α』『SC2』で採用。
エンディングテーマ
「おれは洸だ」
『第4次』『α』で採用。
挿入歌
「神と悪魔」
『IMPACT』『MX』で採用。
「戦え!ライディーン」
『SC』で採用。

登場作と扱われ方

超電磁ロボ コン・バトラーV』と同様、前半の敵勢力との戦いは描かれる事が多いが、後半の敵勢力は未消化のまま終わる確率が高い傾向にある。故に、バラオと決着がつけられるケースは稀。一方でクロスオーバーでは多用される傾向があり『トップをねらえ!』、『ラーゼフォン』等の版権他作品やバンプレストオリジナルと設定面で絡んでいることが多い。

旧シリーズ

第3次スーパーロボット大戦
初参戦作品。シャーキンとの戦いが描かれるが出番は少ない。
第4次スーパーロボット大戦S
バラオベロスタンによって前作で死んだシャーキンが生き返って再び戦うことになるが、ルート選択では復活シナリオが省かれてしまい、ついででシャーキンが倒されてしまうことに。しかもその後は何もなく妖魔帝国はフェードアウトしてしまう。

αシリーズ

スーパーロボット大戦α
かつて宇宙怪獣と戦った古代人の意志が残っており、宇宙怪獣に反応するというオリジナル設定が採り入れられている。終盤でゴッドボイスが追加されるものの、ムートロン解放まではいかない。
スーパーロボット大戦α外伝
恐竜帝国によってシャーキンが蘇させられて再び戦うことに。
第3次スーパーロボット大戦α
バラオ達とは『第2次α』の期間に決着を付けた事が言及される。ムートロン解放は後半のイベントで実装。

COMPACTシリーズ

スーパーロボット大戦COMPACT
スーパーロボット大戦COMPACT2第1部
スーパーロボット大戦COMPACT2第2部
スーパーロボット大戦COMPACT2第3部
スーパーロボット大戦IMPACT
珍しくシャーキンが倒れた後の物語が描かれる。巨烈獣やバラオもユニットとして登場し、決着をつけることができる。

Scranble Commanderシリーズ

スーパーロボット大戦Scramble Commander
原作再現はシャーキン戦まで。ラスボスであるソーディアンズガードはライディーンを参考に開発されたという設定になっている。
スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd

単独作品

新スーパーロボット大戦
妖魔帝国は出てこないが、ムー帝国の設定が登場する。
スーパーロボット大戦MX
原作終了後の参戦。妖魔帝国は既に滅んでいるので原作再現はないが、『ラーゼフォン』との絡みが多い。またラスボスによってラ・ムーの星が簒奪されるなど、原作終了後にも拘わらずストーリーの根幹に関わってくる。
スーパーロボット大戦モバイル
スーパーロボット大戦Card Chronicle

各話リスト

話数 タイトル 登場メカ・怪獣 備考 再現スパロボ
第1話 大魔竜ガンテ ライディーン
ガンテ
ドローメ
第2話 化石巨獣バストドン バストドン
ブルーガー
第3話 鋼鉄獣ガーダ ガーダ
第4話 大マドン東京全滅 マドン
第5話 強襲!超音獣ビイラ ビイラ
第6話 奪回!巨大トータスの人質 トータス
第7話 分裂獣スカールを砕け! スカール
第8話 逆襲!双頭魔獣シバ ジバ
第9話 恐怖!マンモーの冷凍作戦 マンモー
第10話 対決!化石人ジャガーの恋 ジャガー
第11話 殺し屋ギルディーンの陰謀 ギルディーン
第12話 火球獣アルガンドスの痛撃 アルガンドス
第13話 妖変美女シュラガの愛 シュラガ
第14話 暗闇魔獣ダアクルの洞窟 ダアクル
第15話 宝石魔獣ダイヤンの復讐 ダイヤン
第16話 海竜ドローズデンの地獄攻め ドローズデン
第17話 不死身ゴーレモンの悪魔裂き ゴーレモン
第18話 壮烈!アギャール必殺の電撃 アギャール将軍
タランチュ
第19話 巨獣ゴンガー魔腕の唸り ゴンガー
第20話 残忍!悪魔提督ダルダン ドッグキャット
第21話 強撃!翼獣ムチールの罠 ムチール
第22話 乱撃!魔鳥コンドルンの爪 コンドルン
ゴーガー
第23話 妖刀鎌ギラーと轟撃モグロン カマギラー
モグロン
第24話 分身魔獣キバンゴの怪拳! キバンゴ
第25話 灼熱獣モドロスの炎 モドロス
第26話 妖獣ガメレーン地獄の大進撃 ガメレーン
再生化石獣軍団
ここまで富野監督
第27話 シャーキン悪魔の闘い 巨大シャーキン
アリージゴ
総監督交代・ここから長浜監督
第28話 地獄の巨烈獣大あばれ! コーカツ
グレート・ザ・フンヌ

巨烈獣初登場
第29話 七つ目獣レーザルを叩け レーザル
ドリンゲン
第30話 怪力ガンマー脳天つぶし ガンマー
ゲルド
第31話 恐怖のテツダンさかさ落とし テツダン
ドハツ
第32話 ドライガー心臓破り作戦 ドライガー
アンタレス
第33話 破壊魔獣11の秘密 クラッシュ
ゼンダ
第34話 ガルジャー謎の秘密兵器 ガルジャー
ギラン
第35話 熱火竜サラマンダーの炎 サラマンダー
ヒュードラ
第36話 地獄の射手マダンガー マダンガー
ガントス
ユリカ
第37話 ザイクロン激突カーレース ザイクロン
第38話 再生魔獣ダングスを砕け! ダングス
バジャー
第39話 怪鳥獣ギガールの爪 ギガール
ガンタレス
第40話 黒い殺人鬼ジェットクロス ジェットクロス
ガンダーラ
第41話 強力合体獣ガードンの罠 ガードン
ガンダー
ゲルドン
第42話 サンドキラー恐怖の砂嵐 サンドキラー
ストームキラー
サンダース
第43話 殺し屋合体獣シャーゴン シャーゴン
メカシャーク
ゴンドル
第44話 キバガーダ猛火攻め キバマタ
ビガーダ
第45話 死神ギルモラー悪魔ばさみ ギルモラー
モンドラー
ギルセイド
第46話 ガビローン魔の死刑台 ガビローン
ガドール
ラドロン
第47話 激怒巨烈地獄の叫び メカガンテ
スレイド
ゴースタン
第48話 豪雷巨烈軍団の挑戦 バンガー
バイデン
モンギー
スネーカー
第49話 バラオ最後の賭け バラゴーン
第50話 輝け!不死身のライディーン バラオ

脚注

  1. 現・富野由悠季。
  2. 現・テレビ朝日。
  3. 現・サンライズ。

余談

  • 富野氏は監督を降板してからも絵コンテを書くなどしてこの作品に関わった。またその後も長浜氏の作品で共に仕事をしている。著書『だから僕は…』ではライディーンでの苦い思い出と長浜氏との仕事の経験が、その後の自身の監督業において非常に大きい影響があったことを回想している。
  • 本作はゲッターロボと並んで女性に人気の学園青春ドラマに基づいたり、サッカーの要素を取り入れたり、史上初の美形悪役キャラクターなどにより、黎明期の女性視聴者にも人気を得たロボットアニメとしても知られるが、その大きな要因として後期の監督を務めた長浜忠夫監督のファンサービス精神が挙げられる。ファンレターにも熱心に返信を出したり、スタジオを見学に来た学生のファンなども邪険にせず、やさしく応対していたという。BSアニメ夜話で勇者ライディーンの解説員を務めた風間洋氏も、ライディーンファンクラブがきっかけでサンライズに入社しアニメ業界入りした人物である。また、スパロボ参戦作品の数々のメカデザインで有名な出渕裕氏もライディーンのファンが高じて長浜監督と縁ができ、アニメ業界入りしている。出渕氏が監督も務めた『ラーゼフォン』は本作へのオマージュ作品である。
  • 本作序盤では「視聴者に挿入歌を印象付けさせる」という意図が有ったのか、「神と悪魔」などの挿入歌が流れる戦闘シーンでは格闘時に生じるSEのボリュームが極端に下がり、回によってはSEそのものが入らないという演出を施されるケースが多く見受けられた。流石に迫力不足であった為か、1クールを過ぎた辺りからは通常のレベルに落ち着いている。
  • 『勇者ライディーン』と同じテレビ朝日のアニメ『クレヨンしんちゃん』の第6弾OP曲である「とべとべおねいさん」が「勇者ライディーン」と非常にメロディやフレーズがよく似ており、話題となった事がある。作詞・作曲は双方とも異なっており、「とべとべおねいさん」は勇者ライディーンをモチーフにしたものとされている。特に類似するメロディ等で起こりうる盗作問題は起こってはいない。
  • 日本アニメーションと葦プロダクションが共同して製作したロボットアニメ『超合体魔術ロボ ギンガイザー』(SRW未参戦)は本作をモチーフにした部分が多い。
  • アニメ製作会社「スタジオディーン」(SRW参戦作では『機動警察パトレイバー the Movie』を製作)の社名は勇者ライディーンが元となっている。
  • 本作に登場するガンテドローメが、出渕裕氏のイラストでダンバインと共演している。詳細はガンテを参照。

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