神聖ブリタニア帝国(Sacred Empire of Britannian)とは、『コードギアス』に登場する国家。
概要
世界の3分の1を支配している超大国。ナイトメアフレームによる強大な軍事力を背景にE.U.、中華連邦はもちろん、それらに属していない国々にも植民地化を目的として侵略行為を行っている。
皇帝を頂点とした絶対君主制国家であり、厳しい身分制度の置かれた階級制社会が特徴。属領とした国はかつての国名を名乗らせずに「エリア○○」と数字で呼称した上に被征服民を「ナンバーズ」と呼び、彼等の反抗意志を奪うために麻薬「リフレイン」の密売を行い無力化を図るなど、その徹底した差別意識や振る舞いは現実世界における嘗ての貴族社会や列強諸国を彷彿とさせるものとなっている。
本国は現実世界におけるアメリカ大陸に位置するが、「ブリタニア」というイギリスの属州と同じ名称が指すように元はイングランド王国であり、アメリカ独立戦争の失敗やトラファルガー海戦敗北に端を発するイングランド王国解体というifの歴史を歩んだ結果、新たに建国された国家である。そのため、文化面などは現実世界のイギリスを含むヨーロッパに近い。国内通貨はポンド。
本編開始時で新大陸全域はブリタニアの支配下であり、17のエリアを有している。E.U.とは全面戦争状態ながら優勢であり、中華連邦もブリタニアとの国力差から徐々に態度が媚売りへと変化している。しかし、エリア11では黒の騎士団の暗躍とエリア制度始まって以来の大反乱「ブラックリベリオン」が発生するなど、国内事情は安定しているとは言い難い。
『R2』ではブリックリベリオンに勝利し、黒の騎士団を壊滅させ、E.U.との戦争も絶対的な優勢が確立されるなど帝国の支配権はより安定していく。しかし、第一皇子オデュッセウス・ウ・ブリタニアと中華連邦皇帝の天子との婚姻と取り込みが黒の騎士団と中華連邦の反乱勢力に阻まれると事実上黒の騎士団と中華連邦の同盟を招き、更にE.U.を脱退した大部分の自治州やその他の反ブリタニア勢力が次々に合流する事態を招く。設立した反ブリタニア国家連合「超合集国」との全面衝突へ至る。
地名
身分
- 皇帝
- ブリタニアを治める者の称号。実質的に世界の3分の1を治める者の称号でもある。
- 皇族・皇位継承者
- ブリタニアの次期皇帝の地位を受け継ぐことができる権利の持ち主。現皇帝であるシャルルが108人もの皇妃を持つため、皇子や皇女は母親の違いによりミドルネームが異なる。
- また、多数の皇子・皇女が存在する関係上、次期皇帝の地位を狙う皇子・皇女たちによる皇位継承権争いが絶えない。皇位継承順位は基本的には年齢順だが、母親の家柄や本人の資質・実力などにより上下する事もある。皇位継承権の返上や皇籍と引き換えに罪をあがなったり、ブリタニアの大勢に影響を及ぼす大規模な事業の許可を得る事が出来る。なお、皇帝の許しを得れば復帰も可能。
- 貴族
- 大公爵から武勲候までの位に就いている者の呼称。平民であっても一定の条件を果たせば就任することもできる。
- ユーロ・ブリタニア
- E.U.建国に伴い追放されたヨーロッパ出身者を先祖に持つブリタニア貴族の総称。外伝作品『コードギアス 亡国のアキト』における敵勢力として登場する。
- 扱いの上ではブリタニアの一方面軍に過ぎないが、その中でも独自の強大な勢力を築き上げており、四大騎士団を筆頭とする保有戦力は他の方面軍の追随を許さない規模と練度を誇る。また、それぞれの騎士団を率いる4人の総帥たちはラウンズにも比肩すると謳われた実力者が揃っており、ユーロ・ブリタニアの実質的な最高幹部として君臨している。このため、ブリタニア本国も彼らに対しては余り強気に出られずにいる。
- その実態は欧州系貴族(ブリタニアの貴族は英国王室系が主流とされており、その他の流れを組む血筋は傍流として差別されてきた)の集合体であるため、ブリタニアからの離反・独立を企んでいる。
- 騎士
- ナイトメアフレームのパイロットの呼称でもあるが、本来は皇族の護衛である専任騎士を指す。
- ナイトオブラウンズ
- 皇帝直属の騎士であり、帝国最強の12騎士。
- ナンバーズ
- 占領エリアに元々住んでいる住民をブリタニア側から総称して呼ぶ言葉。ブリタニアの階級制度では最下層に位置している。
- 特に、エリア11に居住する日本人は「イレヴン」という蔑称で呼ばれ、差別待遇を受けている。
- 名誉ブリタニア人
- 各エリアの住民が役所の手続きと試験を受けると得られる称号。
- ナンバーズと比べて、ある程度の自由と身分が保証されるが、ブリタニア側からの扱いは殆ど変わらず、ナンバーズ側からは「裏切り者」という認識が一般的であるなど、ある意味一番肩身が狭い階級と言える。反乱防止のため、特例を除き携帯電話を所持することが出来ない。
- その上、部隊に関しても殆どが歩兵で最前線や毒ガスの回収を命じられるなど正規のブリタニア軍人がやりたがらない危険な任務を押し付けられる傾向があり、更に基本的には重火器の配置もろくに行われないなど事実上の捨て駒部隊扱いであった。なお、クロヴィスがエリア11の総督だった頃はそういった風紀が絶えなかったが、暗殺されたクロヴィスの後任としてコーネリアが総督に赴任してからは重大な軍事作戦に名誉ブリタニア人部隊を使わなくなったため、比較的安全な仕事が増えつつある模様。
登場作品
Zシリーズ
- 第2次スーパーロボット大戦Z破界篇
- 初登場作品。『機動戦士ガンダム00』に登場する勢力・ユニオンと合併し「ブリタニア・ユニオン」になるというクロスオーバーを果たしている。
- 第2次スーパーロボット大戦Z再世篇
- 『ガンダム00』の地球連邦との兼ね合いからか、こちらの名称で呼ばれる事が多くなった。
- 第3次スーパーロボット大戦Z(時獄篇/天獄篇)
- ナナリーやシュナイゼル、コーネリアといった一部の皇族が新たな連邦政府においても要職に就いている。
単独作品
- スーパーロボット大戦Card Chronicle
- AEUの加盟国であり、一時的に関東地方を制圧していたことと、現在日本とは休戦状態にあることが分かっている。後に、地球連合から脱退して鉄甲龍と手を組んで世界の3分の1を支配下に置くが、帰還したカイルスによって打倒された。
- 本作ではZシリーズと異なりユニオンとは別の国家だが、地理上の領土がどうなってるのかまでは言及されていない。
- スーパーロボット大戦X-Ω
- スーパーロボット大戦X
- 原作終了後の設定。かつて、ドレイク軍と手を組んでいた。
皇族
男性皇族
皇帝
- シャルル・ジ・ブリタニア(ブリタニア皇帝)
- 第98代目皇帝。ブリタニアは「不平等においてこそ競争と進化が生まれる」という皇帝シャルルの持論を国是としているのだが、実際の彼はブリタニアの侵略によって世界に起きている紛争の数々を「俗事」で片付けてしまう程、全てに対して無関心となっている。これが後に、一部の息子達の叛乱を招く原因になった。
皇子
- オデュッセウス・ウ・ブリタニア
- 第1皇子。皇族の中でも凡庸な人物で、次期皇帝の座にも興味を示さないが、温厚さや人から恨まれる事の無いある種の人徳を持ってはいた。
- シュナイゼル・エル・ブリタニア
- 帝国宰相にして第2皇子。有能ではあるが、父親である皇帝シャルルからは警戒されている。
- クロヴィス・ラ・ブリタニア
- エリア11の初代総督にして第3皇子。
- ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア(ルルーシュ・ランペルージ)
- 第11皇子だがシャルルによって皇籍は剥奪され、日本に送り込まれた後、極東事変の際に記録上は死亡扱いとなる。その後、実母マリアンヌの生家のランペルージ姓を名乗って別人として生きる事に。
- 自分と妹ナナリーを見捨てた上に、唯一の親友である枢木スザクの母国である日本まで蹂躙した父と帝国に対して怒りと憎悪を抱き、仮面のテロリスト「ゼロ」となって父への復讐と帝国の打倒を目指す。
- 『R2』終盤では父である皇帝シャルルを抹殺した後、ギアスを用いて帝位を簒奪して第99代皇帝に即位し、ブリタニアの文化を徹底的に破壊する行動に出る。
- キャスタール・ルィ・ブリタニア、パラックス・ルィ・ブリタニア
- ニンテンドーDS用ゲームに登場。第15皇子で、双子の兄弟である。兄のキャスタールはアクイラ、弟のパラックスはエクウスという専用KMFに搭乗し、レガリアへの合体機構も持つ。二人とも傲慢で残忍な性格をしている上に、ギアス能力まで持っているという危険さも持っている。
- その危険な性質は幼い頃から既に顕著であったことから一族に「鬼子」と呼ばれ危険視され、5歳の時にはキャスタールがパラックスを殺害してしまったことから、皇位継承権を剥奪されナリタの研究施設にずっと幽閉されていた。
- しかし、実際は二人とも生存しており、殺害の件も危険人物である彼らを公の場から遠ざけるため、皇帝シャルルが仕組んだ偽装工作であった。シャルルからは「生きて脱出することが出来たら皇位継承権を返してやる」と言い含められており、生への執念とギアスの力で暗躍を始める。
女性皇族
皇帝
- クレア・リ・ブリタニア
- 外伝漫画『漆黒の蓮夜』に登場。当初は日本某所の隠れ里にかくまわれ、日本名の「カルラ」と名乗っていた。すべてが終わった後、皇帝に即位。
- ミドルネームから、コーネリアおよびユーフェミアの先祖だと思われる。
皇妃
- マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア
- 第5皇妃。ルルーシュとナナリーの母親。庶民の出だが、「閃光のマリアンヌ」という異名を持つ凄腕の騎士であった経緯を持ち、ナイトオブラウンズでもあった。
- ガブリエッラ・ラ・ブリタニア(SRW未登場)
- クロヴィスとライラの母親。貴族の出身だが、庶民の出の上に勝負ごとに滅法強いマリアンヌを妬み、娘のナナリーを酷くいびり倒していた。後にクロヴィスの訃報を聞いて精神崩壊を起こしてしまう。
- フローラ・メル・ブリタニア(SRW未登場)
- 外伝作品『双貌のオズ』に登場。マリーベルとユーリアの母親。傲慢で独善的な性格の者が多いブリタニアの皇族としては珍しく『皇族は民を慈しみ、その心を思いやるべき』という優しい信念の持ち主であったが、まだ幼かった次女のユーリアと共に爆炎に包まれた屋敷の中で命を落とした。
皇女
- ギネヴィア・ド・ブリタニア
- 第1皇女。前線で指揮を執るのでは無く、権力を振るうことを好む。母親と同じく貴族主義である事から、庶民の出であるマリアンヌと、その子供であるルルーシュやナナリーを嫌っていた。お説教が長い事から『説教のギネヴィア』という二つ名を持つ。
- コーネリア・リ・ブリタニア
- 第2皇女。クロヴィスの死後、エリア11の総督に任命され、武力によって反抗勢力の排除に当たる。
- ユーフェミア・リ・ブリタニア
- 第3皇女。クロヴィスの死後、エリア11の副総督に任命され、ルルーシュとの再会を機に、皇女の立場を捨ててまで「行政特区日本」の設立を決意するが…。
- カリーヌ・ネ・ブリタニア
- 第5皇女。わがままで高慢ちきな皇女として、ある種の有名になっており、自分よりも先にエリアを任されたナナリーに辛く当たる。
- しかし、外伝作品『コードギアス 双貌のオズ』では、高い推理力や別人かと思えるくらい意外な一面も見せている。
- 最終的にルルーシュのギアスによって皇族の地位を失い、ナナリーとシュナイゼルによる帝都へのフレイヤ攻撃によって死亡したかに思われたが、自らの専属騎士であるダスコ・ラ・クレルモンに直前で救出されており、生存している。
- ナナリー・ヴィ・ブリタニア
- ブラックリベリオン後、第12皇女として皇族に帰属し、カラレス総督の死後、エリア11の新総督に就任。
- 行政特区日本の再度の設立を宣言して失敗に終わるが、一方でエリア11を「矯正エリア」から「途上エリア」にまで戻す実績を出している。
- マリーベル・メル・ブリタニア
- 外伝作品『双貌のオズ』に登場。第88皇女(ナナリーやカリーヌよりも年上だが、家が没落したために順位が下がった模様)。
- 一見すると温和な美人であるが、切れ者で、対テロリスト遊撃機甲部隊「グリンダ騎士団」の騎士団長を務める。
- なお、テロにより母と妹を失った過去を持ち、それによる諍いで、父である皇帝シャルルの事も憎んでいる。これらの点からも、異母兄であるルルーシュの女性版ともいえる。当のルルーシュからもその点を指摘されたが、言葉の真意を拒絶した。
- …実際に、何から何までルルーシュと同じと言うわけではなく、母と妹を暗殺されたことでテロリストの存在を許さないという思想を持つようになった。このあたりは自らを「仮面をつけたテロリスト」と評したルルーシュとは明らかに異なる。また、ルルーシュのようにブリタニアの破壊を考えているようにも見えない、親友のオルドリンにも嘘をついていない、ブリタニア人とナンバーズを明確に差別し、ナンバーズを市民とは認識しないなど相違点はそれなりにある。さらに、ギアスの存在を憎むようになったルルーシュに対して、彼女は自らのギアス能力に溺れるようになることが最も大きな相違点といえる。ついでに、士官学校に入学した経緯もあるのでこの点はコーネリアに似ている。
- ユーリア・メル・ブリタニア(SRW未登場)
- 外伝作品『双貌のオズ』に登場。マリーべルの同母妹。かつて母フローラと共に幼くして燃え盛る屋敷の中で非業の死を遂げた。この事件を機にマリーベルはテロリストをひどく憎むようになった。
その他
- 純血派
- ジェレミア・ゴットバルトが結成したブリタニア人至上主義の軍内派閥。軍内部からの非ブリタニア人完全排斥と名誉ブリタニア人制度の撤廃を標榜しており、エリア11に強固な基盤を有している。
- 主義者
- ブリタニア人でありながら、ブリタニアの思想に異議を唱える人間を指す蔑称。作中ではルルーシュやディートハルトがこれに相当する。
- ブリキ野郎
- 「イレヴン」に対抗して生み出した、エリア11の住民によるブリタニア人への蔑称。作中では玉城が頻繁に使用。
- All Hail Britannia!!!
- 神聖ブリタニア帝国国歌(SRW未採用)
- 作曲は劇中音楽を担当した中川幸太郎氏、作詞はDAMIAN BROOMHEAD、歌はオペラ歌手の清水宏樹氏・谷友博氏・中西勝之氏の3名による合唱。
- 劇中ではシャルルの演説シーンで初披露となった事もあり、場面のインパクトも相まって視聴者の記憶に深く残った楽曲である。
- 歌詞は全て英語だがその内容は『皇帝を崇め称え、(皇帝が治める)ブリタニアの為に命をかけて戦え』というものであり、絶対王制を敷く神聖ブリタニア帝国を如実に表したものとなっている。