魔法とは、不可思議な力をもって、人智を超えた現象を起こす御業を指していう言葉。「魔術」とも呼ばれる。
概要
古くは仏教の「マーラ(魔)」に由来する邪悪な術法という語彙だが、下って中世には僧・山伏の異能として「魔法、飯綱の法、愛宕の法」などと並べたり、忍者の神出鬼没ぶりを「霞を以って魔法を使う」と表現するような例もある。
つまり洋の東西や国内外に由来の厳密を期さなかった様子だが、現代では英語の「Magic」の訳語として普及した事や、魔女のイメージから展開したいわゆる「魔法少女」の定着で、西洋的なイメージに基づく不可思議な力の俗称として用いられ易い。
近年のフィクションでは超能力との差別化を図る傾向が強く、学問・技術として体系的に纏められ(ある程度才覚の問題はあるものの)修練によって身につける事が出来るとされる作品が多い。
発達した科学がまかり通るサイエンス・フィクションである『スーパーロボット大戦』というゲームにおいても、SFとファンタジーの融合を試みた作品が参戦する事がある為、それに伴って魔法の出番も現れている。バンプレストオリジナルでもシグザールやゼルガードのように魔法の力を利用して戦う機体も存在する。
また、常人には真似できないようなことをやってのけることを「魔法」と比喩表現することもある。『マクロスシリーズ』の歌の力、『天元突破グレンラガン』の螺旋力等、その内実はほぼ魔法・超能力と言って差し支えないがディテールに個性を付けたものが核となる作品の中では、メタ発言のフレーズとしても用いられ易い。
魔法が登場する作品
- 魔法のプリンセス ミンキーモモ
- 夢の国の住人であるモモが使用する。
- 「夢も希望も持たない者には魔法は通用しない」「地上世界では夢が消えかけているため大人になる魔法しか使えず、魔法の効果も基本的にはモモ自身にしか及ばない」という制約がある(メタ的なことを言えば「なんでも魔法で解決できてしまえば話が成り立たない」という作劇上の都合)。
- このため「魔法によって他人の夢を直接叶えたシーン」は基本的に存在せず、[1]「変身したモモが事件を解決することで、結果的に人々が希望と夢を抱くようになる」というスタンスで描かれている。
- 魔神英雄伝ワタル
- ベースが神々の世界「神部界」を舞台とした剣と魔法のファンタジーなので、魔法は頻繁に登場する。蘇生魔法のような定番も使われるが、ターゲットの視聴者層に合わせたコミカルテイストな魔法の印象も強い。「魔法力」と称するエネルギーは一部の魔神にも利用されている。
- 魔動王グランゾート
- 「魔動力」「邪動力」という名称で登場。『ワタル』の作風を引き継いでコミカルな魔法も多いが、戦闘にも頻繁に用いられる点で『ワタル』と差別化されている。
- SDガンダム外伝
- 中世風ファンタジーとしてのスピンオフであるため当然の如く魔法が存在する。ゲームでも騎士ガンダムを始めとして多くのキャラクターが使用するが、SRWにおいては法術士ニューや騎士アレックスなど使用者は限られている。
- システム上でも「剣と魔法の世界」の出自が重視されており、『デモンベイン』に続いて「MP」が採用された第二の例となった。
- 覇王大系リューナイト
- こちらもファンタジー作品である為やはり魔法が存在し、舞台となる世界アースティアの成り立ちやリューにも大きく関わっている。
- 魔法騎士レイアース
- タイトルに魔法の名を冠するファンタジー作品である通り、登場人物の大半が魔法を使いこなす。舞台となる異世界セフィーロは、人の思いや感情が強く反映される世界であるため、技術というよりは使い手自身の心を反映した力という側面が強い。
- 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL
- 作品の舞台であるラ・ギアスには精霊やプラーナといった超常現象を引き起こす概念が存在する。地域ごとの差はあれど、それらの現象は当たり前に存在するものとして文明に根付いている。登場するロボットである魔装機も学問や技術として確立されている「魔術」を利用して作られており、各種兵器や必殺技にも応用されている。発動に関しては「魔法陣を描いてから発動する」描写が多い。
- サクラ大戦
- ファンタジーではなく架空の大正時代が舞台という設定だが、霊力や妖力と呼ばれる精神の力が存在し、この力が高い人間(霊能力者)は人智を超えた現象を引き起こすことが出来る。また、霊能力者には「魔術」を会得している者もおり、魔術の存在が霊子甲冑の原型となる「人型蒸気」が生み出される直接的な原因となった他、「反魂の術」と呼ばれる術が物語において重要な役割を担っている。魔法という単語は劇中では殆ど使われないが、地脈の力を利用した結界や一部の必殺技の演出が「魔法陣」として表現されている。
- 機神咆吼デモンベイン
- クトゥルフ神話をモチーフとしたオカルトものであり、作中ではそれらに結びついた「魔術」が存在する。作中の魔術自体がオカルトホラー的な危険な存在と密接に関わっている関係上、魔術師の多くは外法に身を染めた人外になっている。登場するロボットの多くが魔術によって作られた「機械仕掛けの神の模造品」である鬼械神となっている。
- スパロボのシステム一般においてENに相当する値が、「魔法のエネルギー」としてゲーム業界で常識化している「MP」に代用表現された初のスパロボ参戦作品でもある。
- 新ゲッターロボ
- 安倍晴明が陰陽道の系統と思しき様々な術を用いる。四天王の技も明確に表現されてはいないが、法力・魔法の類と見て差し支えない。
- 牙狼〈GARO〉
- 「魔戒騎士」と呼ばれる戦士と魔界の住人「ホラー」との闘いを描いた特撮テレビドラマ。
- 無限のフロンティア スーパーロボット大戦OGサーガ
- 様々な世界、種族が混在する作品であり、その中には妖怪や悪魔のような種族も存在している。明確に魔法とは言及されていないが、霊力や魔力と呼ばれる力を用いて様々な現象を起こす場面が度々ある。
- リトルウィッチアカデミア
- タイトルにも示される通り、魔女=魔法がメインテーマとして扱われている作品である。作中の魔法及び魔女は作中世界では普通に存在する技術や職業の一種として扱われているが、科学の進歩や源となる魔力の減少などの要因が重なり、魔女自体が衰退し始めているという扱い。
- とある魔術の電脳戦機
- 『電脳戦機バーチャロンシリーズ』とライトノベル『とある魔術の禁書目録シリーズ』のコラボ作品。作品世界観は魔術が存在する『とあるシリーズ』をメインの舞台としている。作中では宗教や神話などに伝わる魔術やそれに関わる道具などが多数存在し、一大勢力を築いている。学園都市で開発された超能力が個々人の才能や適性を基に発現されたものとされるのに対し、魔術は修練によって身につけることができる体系化された技術としての側面が強い。
- ナイツ&マジック
- 身体に蓄積された「魔力(マナ)」をエネルギーとし、脳内の魔術演算領域(マギウスサーキット)で術式を構成、触媒結晶を介して魔法を行使する。魔力は大気中に存在するエーテルを呼吸等で取り込む事で変換・蓄積される。幻晶騎士はこのメカニズムを機械的に再現・再構築した人型機動兵器となる。作中では魔術演算領域はコンピュータ、魔法術式はプログラムにそれぞれ例えられ、効率化などの改良も同様の方法で行われている。
- 機界戦隊ゼンカイジャー
- ゼンカイマジーヌのモチーフに、魔法をメインに扱う『魔法戦隊マジレンジャー』(SRW未参戦)が抜擢されているため、マジーヌは機械生命体ながら魔法が使える。他、センタイギア等で『マジレンジャー』の力をメンバーが借りる場面も存在する。
魔法に類似する力が登場する作品
「超能力」として登場する作品は該当ページ参照。
- 新世紀エヴァンゲリオン
- 人類補完計画にて、科学技術の規範を超えた現象が「セフィロトの樹」を模して行使されるため、奇跡・魔法の類と捉えてもいいだろう。
- 超機大戦SRX
- 念動力が登場する作品だが、ゼ・バルマリィ帝国の機体は攻撃時に魔法陣が描かれたり、創世神の力を用いる、相手を地獄かそれを模した空間に叩きこむなどの現象を「念動力者でなくても行使できる」ため、これらに関しては(体系化された技術となっている点で)超能力より魔法に近いか。
- コードギアスシリーズ
- シリーズの一部の登場人物が使用するギアスという力は能力者ごとに効力は様々であるが、能力者本人の一番強い望みに即した形で他人の精神に干渉するという共通点がある。劇中もしくはスパロボシリーズにおいて共演した他作品の人物から「魔法」と形容されることもある。
- 実際、名称の由来となったのは、クトゥルフ神話に含まれる小説「七つの呪い」に登場する強制の魔術である「ギアス」の可能性が高い。
- クロスアンジュ 天使と竜の輪舞
- 同作ではノーマではない多くの人々がマナを扱う事ができ、さながら魔法のように視聴者には映るが、これは実のところ非常に高度な科学に基づいたものであり、言うなれば「高度に発達した科学は魔法と見分けがつかない」という言葉を分かりやすく表現したものといえる。
魔法、それに類似する力をスパロボオリジナルキャラ、機体が所持している版権シリーズ
- αシリーズ
- 上記のゼ・バルマリィ帝国の機体の他、ベルゲルミルは勾玉を射出して太極図を描いての攻撃がある。
- Zシリーズ
- 次元力を行使する機体は、「魔法陣」を介してその力を行使する描写がある。
- スーパーロボット大戦A
- アンジュルグの「ミラージュサイン」使用時に「魔法陣」が描かれる。
- スーパーロボット大戦COMPACT3
- 覇気を用いて、炎や氷槍を発生させることができる。
- スーパーロボット大戦D
- 「完全に顕現すると宇宙が滅びる」破滅の王の存在は魔法以上の概念的危険度を誇る。
- なお意外にも『第2次OG』でのファートゥムの演出以外で魔法的武装は無い(炎や氷等も機械部分で制御している描写のみ)。
- スーパーロボット大戦NEO
- 「全てのオリジナル機体が魔法技術が一般化しているアースティア製」となっているため、魔法要素が多分に含まれる。
- スーパーロボット大戦BX
- 魔法陣により攻撃、武器の召喚を行う描写がある。
- スーパーロボット大戦X
- 「オド」と呼ばれる物質を介して「ドグマ」という名前で独自に魔法を体系化している「魔従教団」が存在しており、主人公もそちらに所属する術士。
- 運用機体も魔法を増幅させるためのもので、主人公機の武装が全て魔法であるなど、シリーズでも特に魔法との関わりが深い。
魔法(個別コマンド)
一部の作品では個別コマンドとして「魔法」が存在し、『スーパーロボット大戦NEO』ではバウルスが「風の盾(防御魔法)」「治癒の奇跡(回復魔法)」を、『スーパーロボット大戦T』では空神ウィンダムが「防りの風(防御)」「癒しの風(回復)」「戒めの風(敵ステータスダウン)」を使用できる。
なおマジドーラ、炎神レイアース、海神セレスの魔法は一切が攻撃魔法である為全て武器扱いであり、リューハイプリースト・バウルスの「雷の魔法」、空神ウィンダムの「碧の疾風」「碧の旋風」も同じく武器扱いである。
関連人物
魔法を使用する人物
- バラオ、ベロスタン
- 妖魔帝国の帝王と、その祭祀長。ベロスタンの呪文に呼応したバラオの力により化石獣に生命が宿る。
- 終盤に強大な念動力をふるったりと超能力との差別化に拘られていない時代だが、妖魔帝国の悪魔達のトップはやはり魔法の使い手と思いたい所だろう。
- ビビデ・ババ・デブー
- スダ・ドアカワールド出身者
- ドン・ハルマゲ
- 妖神ゴブーリキ復活を目論む邪悪な魔導師。
- カカオ
- ワープゲートを開いたり、探しものの方向が分かる「儀式」を行える。
- バンドーラ
- バンドーラ一味を束ねる強大な魔力を持つ魔女。
- 魔王ゴクアーク、魔王レツアーク、魔王サイアーク、ヤミノリウスIII世
- 大魔界に君臨する三大魔王と、その配下の魔導師。
- アースティア出身者
- 魔法騎士、セフィーロ出身者
- セフィーロでは職業としての魔導師や色々な種類の魔法使いが存在する。地球から召喚された魔法騎士達は旅を続ける中で魔法を習得していく。セフィーロでの魔法は技術というよりも自身の心や祈りを反映した力の現出であるためか、魔法騎士達は旅の中での精神的な成長や強い決意によって魔法を習得する。
- アンゴル=モア
- 「恐怖の大王」たるアンゴル族の少女。明確な分類はさておき、神器「ルシファースピア」による「ハルマゲドン1/1」の出で立ちとアクションはまるっきり魔法少女系である。
- 魔導書を所持する魔術師、魔導書の精霊
- 『デモンベイン』の作中では魔導の道そのものが外道に通じるものであり、大半の魔術師は人外に堕ちた存在となっている。
- アル・アジフを代表とし、一部魔導書は精霊の少女としての姿を持つが、その状態で自身の魔術を行使することも可能。
- クラリス
- 『新サクラ大戦』のヒロインの1人。魔術書を使った「重魔導」の継承者。前述した通り、これまでの『サクラ』の世界では魔法という単語は劇中では殆ど使われず魔術の使用者も敵方に偏っていたが、クラリスはプロフィールに魔術の使用者とハッキリと明記された初めてのメインキャラクターとなる。
- ゼンカイマジーヌ
- 先述の通り、モチーフ元が魔法を使う影響で変身後のマジーヌも魔法を使える。ただ、モチーフであるマジレンジャーが魔法に何らかの誓約を持っているのに対し、マジーヌにそういうものはないため、「ヌヌヌマジーヌ!」[2]の呪文で本当に何でもできてしまう。
- 騎操士
- 魔法を用いて運用される幻晶騎士のパイロットである騎操士も、養成段階で魔法を必修科目としている。幻晶騎士に乗ることを夢見ていたエルネスティ・エチェバルリアもまた、その夢を果たす為に変態的な努力を重ね、魔法面でも頭角を現した。
- サフィーネ・グレイス
- 『第4次S』で実際に使用。カロッゾの人質にされたプレシアを救出した。
- デブデダビデ
- 怪しげな魔術を得意とする。
- 魔従教団に所属する術士
- 「ドグマ」と呼ばれる魔法を使用する。
魔法に関した異名を持つ人物
関連項目
余談
- SRWでは旧来精神コマンドを説明する上で「RPGでいうところの魔法のようなもの」と喩えとして言われてきた。いわば「バフ(デバフ)効果」としての表現、あるいは「回復手段が限られるリソースの消費」としての表現なのだと思われるが、上述した通り今となっては(本来の意味での)魔法が存在する作品もいくつも参戦しており、そうすると「魔法のようなもの」が「魔法」と同時に存在するようになってしまうため、この表現は微妙なものになったと言える。
- 現行のシリーズにおいて「激怒」のような敵にダメージを与えるコマンドが採用されていないことも、これを助長することになったものと思われる。
- そして、『V』では(中断メッセージにおいてではあるが)「精神コマンドは魔法じゃないから」とこれを真っ向から否定する発言も飛び出してしまった。
- 意外な事ながら、ロボットアニメにファンタジー設定を持ち込んだ先駆けである『聖戦士ダンバイン』の背景世界バイストン・ウェルには、「魔法」なるものは存在しない。強いて言えば高位のフェラリオが操るオーラ力がそれに当たるといえるが、バイストン・ウェルの一般人であるコモン達には到底触れ得ない驚異の力である。
脚注
- ↑ 第33話「アンドロイドの恋」においては例外的に、愛し合い結ばれたいと願いながらも認められない女性型アンドロイドと制作者の男性の願いを、二人を魔法の力で故郷フェナリナーサに送り届けることで直接的に叶えている
- ↑ テレビ朝日公式サイトより。表記揺れ多数。『DD』では「ヌヌヌ・マジーヌ!」。