能力値のひとつで、機体の回避能力に関わるパラメータ。
概略
運動性はSFC版『第4次』で初めて採用された項目で、以後ほぼ全ての作品において、回避率計算に関与する主要パラメータとして定着している。『NEO』『OE』では「回避」となっているが実質同じものである。
採用当初は攻撃側の命中能力、防御側の回避能力の双方に関与していたが、『α外伝』において命中能力との関わりがなくなり、以降の作品では『COMPACT3』等の一部例外を除いて回避能力にのみ関与する仕様が基本となっている。現在、運動性の命中補正は後の『Z』から照準値というステータスとして復活している。
また、同じく旧シリーズの頃の設定として「限界反応」による効果の制約がある。パイロットの(命中・)回避能力と運動性の合計値について、限界反応が上限値として働きそれ以上の能力は発揮できないというものだが、現在では限界反応が廃止されたため、効果に上限は設けられておらず、純粋に運動性の数値が高いほど回避能力が向上する。
能力設定の傾向
あくまで傾向としてだが、パイロットの「命中」「回避」と機体の「運動性」は相関が高く、一方が高い場合はもう一方も高く設定される場合が多い。このため、数値の高低の匙加減に慎重さが要求される。
特に旧シリーズの『F』、また『64』などでは、主役級のモビルスーツやオーラバトラー及びその操縦者について「運動性」「パイロットの基礎能力(命中・回避・反応)」「命中・回避に補正のかかる特殊技能(NT、聖戦士等)」の全てが高い水準で統一された結果、改造次第で敵の攻撃がかすりもしないような状況に容易く持ち込むことが可能であった。また、当時は運動性の項目が命中能力にも影響していたため、運動性が低く設定されることの多かったスーパーロボット系の機体は、精神コマンド無しでは運動性の高い敵ザコに全く攻撃を当てられないという事態も珍しくなかった。
こうした点を踏まえ、前述の通り『α外伝』以降、運動性が攻撃側の命中能力計算に影響を与えない仕様に変更された。このため、今日では運動性が低い機体でも比較的攻撃を当てられるようになっている。
反面、運動性が命中に影響しなくなった事により、命中率の大幅な強化を施す事が難しくなったため必然的に精神コマンド「必中」の需要が上がり、また命中率に補正をかけられる強化パーツや「援護」「信頼補正」「指揮」といった補助系システムの重要度も高まった。
なお再び改造により命中を上げる仕様は『スーパーロボット大戦MX』で武器改造に命中率を上げる項目が追加されたが定着せず、その後『スーパーロボット大戦Z』において改めて照準値という機体用パラメータとして採用し、以後標準化された。
また『スーパーロボット大戦A PORTABLE』以降、1ターン内に攻撃対象となった回数ほど命中率に補正がかけられる「連続ターゲット補正」が採用されている。このシステムにより回避能力の高い機体による突貫戦法や、いわゆる無双プレイのし易さに歯止めがかけられている。
運動性以外で回避率に関わる機体パラメータ
運動性を上昇させる手段
改造
資金を投入して運動性を強化可能。回避能力を向上させたい機体は必須と言える。改造費はどの作品でも高い。
強化パーツ
名称はガンダムシリーズからの採用が多い。
- マグネットコーティング
- 『機動戦士ガンダム』より。
- バイオセンサー
- 『機動戦士Ζガンダム』より。
- サイコフレーム
- 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』より。
- ALICE
- 『ガンダム・センチネル』より。
- ファティマ
- 『重戦機エルガイム』より。
- 慣性制御システム
- 『超時空世紀オーガス』より。
- マッスルシリンダー
- 『ボトムズシリーズ』より。
- ハロ
- 複数のガンダムシリーズで登場。
- アポジモーター
- 実在するが、宇宙世紀のガンダムシリーズで多用。
- サーボモーター
- 実在する。
特殊能力・特殊技能
- 変形
- 人型・戦闘機型の2形態に変形可能な機体は、戦闘機型の方が運動性が高い傾向にある。旧シリーズでは逆に人型の方が高い。
- V-MAX系
- 精霊憑依
- スーパーモード / ハイパーモード
- ブラスター化
- ラムダ・ドライバ
その他
- 乗り換え(『J』のみ)
- カティア・グリニャールを主人公機のサブパイロットとして乗せると、運動性+10。
- 機体ボーナス(『L』『UX』『BX』)
- 同じボーナスを持つ機体同士なら累積する。
運動性を下げる手段
「運動性低下」の特殊効果を持つ武器を命中させることで、運動性を下げる事が可能。これは敵ユニットが使ってくる場合もあり、「ひらめき」での回避やロボットブロック系の効果を得るなどしてこれを免れる必要も出てくる。
運動性の高い主なユニット
一般的にはガンダムのようなリアルロボットは高く、マジンガーZのようなスーパーロボットは低い傾向にある。特にリアル系主役ユニットは非常に高く設定される場合が多い。また、サイズの小さなユニットほどが高く、大きなユニットは低く設定される場合が多い。
そのため、スーパー系の機体でもサイズがS以下にされるユニットは運動性が高く(飛影、鋼鉄ジーグ等)、リアル系でもサイズがL以上にサイズになる大型モビルアーマー等は低い。また、やられメカ等は総じて低い場合が多い。
その他の傾向として、小型戦闘機の運動性は『α』以降かなり高く設定される場合が多い。
- シャア専用ザク
- 『F完結編』終盤に隠しユニットとして登場。武装はザク改とほぼ同じなので攻撃ユニットとしては入手時点ではもう役に立たないが、運動性だけは本当にザク改の3倍なので、終盤でも十分避けまくる事が可能。本作以外の作品でも主に隠しユニットとしての登場だが、やはり運動性は高く設定されている。
- νガンダム、Hi-νガンダム
- 初代ガンダム系主人公アムロの搭乗機は、シリーズを通して運動性は最高クラス。Hi-νは更に高い数値を誇る。
- ガンダムF91
- νガンダムより後世の時代のMSである為、運動性はνと同等かそれ以上である事が多い。
- クロスボーン・ガンダムX3
- F91の後継機の為、運動性は高い。
- V2ガンダム
- UC系ガンダム最後の時代を飾る本機は、νやF91をも上回る数値に設定されることも多い。
- ウイングガンダムゼロ / ウイングガンダムゼロ(EW)
- ガンダムW系の主役機も比較的運動性が高い。
- フリーダムガンダム / ストライクフリーダムガンダム
- CE系ガンダムの最上位の1つ。後者は設定上「装甲を薄くして運動性を上げる」とされているだけあり、同作中トップクラスの運動性を誇る。
- ジャスティスガンダム / インフィニットジャスティスガンダム
- CE系ガンダムの最上位の1つ。
- デスティニーガンダム
- CE系ガンダムの最上位の1つだが、パイロットのイメージのせいか誤差レベルとはいえ上の2機と比較して若干低い。とはいえ分身でその分は補われている。
- ビルバイン、サーバイン
- オーラバトラーの代表機。ビルバインは『α』以前から高い運動性を持っていたが、『α』以降からは更に高い運動性に。夜間迷彩仕様は更に高い。サーバインの運動性はビルバインを遥かに凌ぐ。
- ブラックサレナ
- エステバリス系の代表機。非常に高い運動性を持つ。
- VF-1S ストライクバルキリー、YF-21、VF-19改 ファイアーバルキリー
- 主役格バルキリー系の運動性は非常に高く、ガウォーク形態時が最も高い。近年はガウォーク形態が省略されている代わりに、ファイター形態の地形適応が高くなり運動性の高さがより生かされる形になっている。
- 飛影
- スーパー系だがSサイズである。また、あり得ない程高い運動性を持ち、被弾する事の方が難しい。
- 真・ゲッター2
- スーパー系にしては運動性がかなり高い。本機に限らずゲッター2系は殆どの作品で分身を持つ。作品によっては加えて完全回避能力を持つため、実際の回避率は数値以上。
- ガンバルガー / グレートガンバルガー
- こちらも忍者が操縦しているだけあってスーパー系とは思えないほどの回避を誇る。登場作品ではサイズが回避能力に影響しないことも味方して、超ミラクル合体後もサイズが上がるのにますます避けてくれる。
- ガーランド / プロトガーランド
- サイズ:SSにして、運動性も自軍トップクラスを誇る。
- テッカマンブレード
- 運動性が高く、サイズ:SSも合わさり回避力が非常に高い。ブラスター化すればさらに運動性が高まる。
- ネリー・ブレン
- ブレンパワード系代表機。『J』では分身系能力も持つ。
- 強化型レイズナー / レイズナーMk-II
- SPT系代表機。V-MAXにより更に運動性が上がる。
- エルガイムMk-II
- ヘビーメタル系代表機。後半主役機という事だけあり運動性は高い。
- ARX-7 アーバレスト
- アーム・スレイブの代表機であり、フルメタル・パニックシリーズの前半主人公機。サイズSかつ分身持ち(携帯機シリーズのみ)であるため回避率が非常に高い。ラムダ・ドライバ起動で運動性が向上することも。
- ボン太くん
- 『フルメタル・パニック?ふもっふ』に登場。サイズSSであることに加え、ARX-7 アーバレストと改造段階を共有するため回避力が高い。
- キングゲイナー
- オーバーマンの代表機。サイズSかつ分身持ちで回避力が高い。
- ニルヴァーシュ type ZERO
- LFO/KLFの代表機。同作中の殆どの機体はMサイズだが、一部の機体は終盤にLサイズに変化、あるいはブースターと合体したLサイズで加入するため回避率が若干低下する。