シンジロウ・サコミズ

シンジロウ・サコミズは『リーンの翼』の主人公の一人。

シンジロウ・サコミズ
漢字表記 迫水 真次郎
登場作品 リーンの翼
声優 小山力也
デザイン 工藤昌史
初登場SRW スーパーロボット大戦UX
SRWでの分類 パイロット
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プロフィール
種族 地球人(日本人)
性別
所属 ホウジョウ国
称号 聖戦士
ホウジョウ国王
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概要編集

ホウジョウ国の王。

かつて太平洋戦争時の大日本帝国海軍特攻隊(小説版では階級は二等飛行兵曹)に所属しており、戦いの最中にバイストン・ウェルへと召喚され、リーンの翼を持つ靴を履いた聖戦士として戦った経緯を持つ。

聖戦士の持つオーラ力によるものなのか、70年以上の歳月が流れながらもサコミズ自身は壮年程度の歳を保っている。

小説版編集

第二次世界大戦中の昭和20年(1945年)3月、沖縄の上空付近で特攻機・桜花による特攻の最中に米軍機「F4U コルセア」に撃破された瞬間、突如オーラロードが開きバイストン・ウェルに召喚される。

その後、直心影流剣術を奮い、見知らぬ土地で「聖戦士」として活躍する。そして戦い続ける中で彼のオーラ力が「リーンの翼」として顕現した。

いつかは無事に地上に戻れるものと期待していたが、同胞であったアマルガン・ルドル裏切られて死亡。サコミズの意思はリーンの翼と融合して地上界に戻り、小倉に落とされるはずだった第三の原爆を防いだ。

OVA版発表後に刊行された小説完全版では大幅に修正が入り、「アマルガン共々死亡せずに原爆を防ぎ、バイストン・ウェルに生きて帰還する」という結末に変更され、OVA版のノベライズ分に繋がる形となっている(全4巻中、前半が原作小説の加筆、後半がOVA版ベースの新規執筆)。

OVA版編集

小説版(完全版以前)のラストとは違った運命を辿っており、リュクス・サコミズが語った中ではアマルガン・ルドルらと対立し自分に従っている兵を引き連れてホウジョウ国を作り上げたと語っている。

再び地上界に戻った際、現在の日本の有り様を見て絶望し東京の崩壊を行おうとした。その際、急激な老化とオーラ力の暴走でハイパー化したが、エイサップ・鈴木説得と特攻前に残していった特攻人形へ託された想いに触れ改心。核弾頭アッカナナジンから取り上げ、リーンの翼オウカオーのオーラ力を使い、核爆発を吸収。祖国を救い、その波乱の生涯に幕を下ろす。

なお、実は最初に召喚された切っ掛けとなった桜花の撃墜の時点で肉体的には死亡している。OVA版でも描写された過去の沖縄上空における、サコミズの手の上で消えた意味深な赤い命の羽根は、その時散っていたサコミズ自身の命の羽である。

登場作品と役柄編集

携帯機シリーズ編集

スーパーロボット大戦UX
初登場作品。担当声優の小山力也氏も『第2次Z』でのガイオウ役を経て初の版権キャラでのスパロボ参加となる。今作では世界観が未来寄りになっている都合上、時間の流れが原作以上に激しいものとなっており、バイストン・ウェルで70年もの時間が経過し、地上では200年も経過したという設定になっている。
現実であった戦争の生き残りというキャラクター性もほぼ余すところなく再現され、その強烈なキャラクター故、物語の中でも強烈な存在感を誇り、物語を時には熱く、時には哀しく盛り上げる。
日本の有り様を見て絶望する理由の1つは「自分と同じ目線に立てる人間がいなくなってしまった」ことではないかと解釈されているようで、自分と同じく大日本帝国軍に所属していた加藤久嵩とのやり取りにおいては穏やかな一面を見せていた。原作のラストで過去の怨念や妄執から解放されていることもあり、仲間になる際にはそういった「憑き物」が落ち、UXの面々に対して毅然としつつも穏やかな態度を見せている。
基本的に原作通りの結末を辿るが、特定のフラグを成立させると隠しキャラとしてリーンの翼の導きで生還し、第3部のヒトマキナとの戦いに味方援軍として登場、仲間に加わる。場合によっては呂布もサコミズと同時加入する。エイサップのアッカナナジンとの合体攻撃が非常に強力なので加入すれば以降のボス戦がだいぶ楽になる。
フラグには最終決戦での説得も含まれるのだが、各参戦作品の主人公キャラから説得可能(それどころか、一部ライバルキャラやヒロイン格まで説得できる)というイルイ以来の豪華な仕様となっている(版権キャラとしては『L』の、張五飛宗美の説得が前例として挙げられる)。
本作においては彼もまた「時空を超える意思」の持ち主らしく、生存時に呂布のフラグが成立していると同時出現。それを示すフレーズを口にする他、リーンの翼によってオーラロードに消えた際はエイサップと共に「(『ラインバレル』の)前世の地球」を見ている。カリ・ユガとの戦いの後、UXを元の世界に戻すために次元の狭間に残り力の一つとなった。
なお、『聖戦士ダンバイン』が前世の地球での出来事であり、ビルバインの補助ロケットがサコミズがかつて乗っていた特攻機・桜花を参考にしている事、『ダンバイン』のバイストン・ウェルにはサコミズが存在しない事と合わせると、「前世の地球におけるサコミズは、初期小説版の展開でアマルガンに殺害されていた」と解釈できるのかもしれない。

単独作品編集

スーパーロボット大戦Card Chronicle
原作とは異なってコドールコットウに引導を渡した後は、憎しみと哀しみの感情に取り憑かれてカイルスに襲い掛かるが、特攻人形からの少女たちの想いを受け、憑き物が落ちた後はELSとの直接対話に向かう刹那を援護する。
その後はソレスタルビーイング号での戦いで参戦し、これを期にカイルスに加わった。
スーパーロボット大戦X-Ω
2020年12月のイベント「想いを翔ける翼」期間限定参戦。オウカオーのパイロット。

パイロットステータス編集

能力値編集

版権ボスだけあって全体的に高い。特に搭乗するオウカオーが格闘専用なのもあって格闘が最も高く設定されている。敵の時と味方の時を比較すると、技量・命中・防御は敵の時の方が少し高く、回避は味方になってからの方が高い。

精神コマンド編集

UX
直感気迫直撃理想
エイサップと違い「集中」がないため単機での切りこみは厳しいが、「魂」があるため一発の火力で勝る。PUを組ませるなら雑魚はエイサップで刈り落とし、サコミズはボス相手に「魂」(+エイサップの「順応」)+ツインオーラアタックを叩き込むのがいいだろう。
ちなみに本作においてライバル関係にある曹操ガンダムとは精神コマンド5つのうち4つが同じ。リュクスも感じた通りの似た者同士であると言える。
X-Ω
直感直撃不屈
パイロットパーツ装備時
気迫+、再動

特殊スキル編集

UX
オーラ力L9、聖戦士底力L9、援護攻撃L2、見切り全体攻撃L1、指揮L3
味方仕様の先天成長限界。例によって援護攻撃、全体攻撃と指揮のレベルは敵より低いが、それでも豪華なラインアップである。指揮は曹操や艦長達と同じくL3まで成長できる。敵仕様の場合は見切りがなくなる代わりに援護攻撃、全体攻撃がL3、指揮がL4まで上がる。

戦術指揮編集

格闘武器の攻撃力10%上昇、CRT率30%上昇、サイズ差無効
『UX』。格闘機向けの非常に強力な指揮。サイズ差無効がある為、自身含むオーラバトラーは勿論サイズの小さな『三国伝』とも相性が良い。

人間関係編集

共通編集

アマルガン・ルドル
かつて共に戦った同志だが、現在は反乱軍の頭目。初期小説版では彼に反逆され、両者共に落命していた。

小説版編集

迫水英一郎、迫水美津子
兄妹。
ハロウ・ロイ
サコミズをバイストン・ウェルに召喚したエ・フェラリオ。
ゲリィ・ステンディ
商人の家で働いていた少女だったが、迫水に惹かれてアマルガン軍に参加。彼女の死が「リーンの翼」が発現する切っ掛けとなった。
リンレイ・メラディ
キェ国の女王。女王リンレイとは共に幾多の戦いを潜り抜けることで、将来を約束するような仲となる。
小説版ではサコミズを殺したアマルガンの凶刃を向けられた瞬間に彼女の履いていたサンダルに宿ったリーンの翼が炎になって彼を焼き殺した。逆にOVAの前日譚になる小説完全版ではアマルガンの凶刃からサコミズをかばって死亡。
蓼科宗一郎
サコミズと同じ地上人の仲間。長崎の原爆によりバイストン・ウェルへ跳ばされた。
小説完全版から登場。
サコミズの思想に大きく影響を与え、亡くなった後でもサコミズが彼を回想する場面がある。
アピア・メッレ
一人目の妻。後述のシンイチを亡くした事で心身ともに衰弱し、後を追うように病死。
シンイチ・サコミズ
アピアとの息子。10歳ほどで、地上で言うインフルエンザのような何ということの無い流行り病に罹りあっけなく死亡。
エミア・スッカ
二人目の妻。リュクスの生みの親であり、リンレイ・メラディの生まれ変わりと言われた。

OVA版以降編集

リュクス・サコミズ
二人目の妻であるエミア・スッカ(SRW未登場)との実の娘。
コドール・サコミズ
三人目の妻である「後添え様」。『CC』では彼女を討った。
コットウ・ヒン
フガクの艦長を務める部下。同部族のコドールと共謀してサコミズを討とうとしたが、完全版ではあべこべにサコミズに討ち取られる。
『CC』ではコドール共々コットウを葬った。
エイサップ・鈴木
偶然から出会った若き聖戦士。彼をリュクスの婿にさせようとした。
劇中では意見が兎に角ぶつかり合うが、サコミズとエイサップでは生きた時代も価値観も視点もまるで違うため、目指すところとその前提、という根本の部分から食い違っている。
矢藩朗利金本平次
ホウジョウ国に転移してきた彼らを登用し、シンデンを与える。サコミズ側は現代日本の知識や情勢を二人から得ている。
しかし、最終的に二人の企んだ核攻撃を止めるためにサコミズはその身を散らすことになる。

他作品との人間関係編集

バイストン・ウェル関連編集

ショット・ウェポン
サコミズたちの住まうバイストン・ウェルとは別のバイストン・ウェルでオーラバトラーを開発した男。
UX』では『ダンバイン』の世界から転移してきた彼を部下とし、ホウジョウ軍のオーラバトラーの開発を任せる。
ホウジョウ軍が地上から放逐された後は人類軍へと参加する為、サコミズが生存した場合は敵対する事になるが、特に会話は無い。
CC』ではコドールとコットウ諸共、彼を殺害した。
ショウ・ザマチャム・ファウマーベル・フローズンバーン・バニングス
別のバイストン・ウェルの聖戦士及びその関係者達。サコミズの頑なさと強すぎる信念から徐々にハイパー化への懸念を募らせていたが、最終戦でそれが現実となってしまう。

ガンダムシリーズ編集

曹操ガンダム
UX』における最大のライバルといえる侠。同じ「王」として、互いの信念と誇りをかけて激突する。
孫尚香ガーベラ陸遜ゼータプラス
『UX』の序盤、ホウジョウ軍に捕らえられた彼らを地上人だと勘違いしてショット共々驚愕する。
呂布トールギス貂蝉キュベレイ
『UX』では共にフラグを満たしている場合、第45話にて共に参戦し、UXの活路を開くべくヒトマキナを相手に奮戦する。
余談だが、サコミズを演じる小山力也氏は三国志漫画の一つ『蒼天航路』のアニメ版にて呂布を演じている。
孔明リ・ガズィ
『UX』ではアブタ・ブラスを焼き討ちしようとした際、彼が立案したアル・アジフの魔術による陽動作戦に引っかかって作戦が失敗している。
刹那・F・セイエイ
『UX』において、ダブルオークアンタの初陣の相手となる。サコミズ自身もまた初戦闘の時から刹那を「聖戦士の素養がある」と評価し、説得された際はエイサップやショウと並ぶ大きな効果がある。

リアル系編集

小楯衛
UX』では彼の様な少年までもが戦いに出ている事に大きなショックを受ける。大切なものを守る為に戦う彼の信念を認めるも、直後の悲劇にサコミズも激しい怒りと悲しみを露わにする。

スーパー系編集

海動剣
UX』の序盤、城に単身乗り込んできた彼と白兵戦を展開する。血気盛んな海動を「ガロウ・ラン気質の地上人」と見て、自らにサムライとして仕えるよう勧誘する。
加藤久嵩
『UX』では地上に出た後、彼ら加藤機関と一時的に同盟を結ぶ。サコミズ自身は第二次世界大戦当時、大日本帝国軍の少将だった加藤と対面した事がある。現在でも彼を「加藤少将」と呼び、敬意を表している。
加藤もまさかサコミズが生きていたとは思いもしなかったようで懇意に接しており、負けると分かっていて太平洋戦争に加担していたにも関わらずサコミズが敬意を表してくれる事には負い目を感じていた節がある。EDでは、エイサップやリュクス、ショウ達と共に、サコミズの墓参りに訪れている。
なお、明言されないが時間軸の関係上、石神(当時海軍中尉)とも会っていた可能性はあるが、回想場面で加藤と石神が「小倉への原爆投下を阻止した若い特攻隊員の噂」について話している様子を見る限り、2人ともサコミズと会っていたとしてもそこまで親しかったわけではなさそうである。
余談だが、加藤久嵩の声優はエイサップ・鈴木と同じ福山潤氏である。
ジョセフ・カーター・ジョーンズ
『UX』ではサコミズが仲間になった後、同じアメリカ人であるマーベルと共にかつて太平洋戦争にてアメリカを敵国として戦い、現代でもアメリカへの敵愾心を露わにしていたサコミズの想いを心配されるが、そんな彼とマーベルに対し、自身が憎悪と妄執を既に捨て去ったことを穏やかに伝える。
…逆に、彼と敵対している時は時期が悪く、サコミズは特に激しく憎悪と妄執を向けていた。それについては後述の名台詞の項目にて。
ハザード・パシャ
『UX』において最も憎んだ人物の一人。軍人でありながら、醜悪な欲望のために非道の限りを尽くす彼に激怒する。また、生存フラグを立てなかった場合は間接的にサコミズの死因を作った形になる。

名台詞編集

共通編集

「ヤエェェェェッ!!」
白兵戦時の掛け声。直心影流剣術独特の気合である。
敷島の 大和心を 人問わば 朝日に匂ふ 山桜花
特攻時に残した辞世の句。『UX』では第40話「桜花嵐」ラストにてホワイトバックに浮かび上がる演出がある(奇しくも、同じような演出がなされた羽佐間翔子も「守るために大空へと飛翔して散った」という共通点がある)。
また、EDにおいてサコミズ(と言うよりは迫水家)の墓前で加藤がこの句を読んでいる。
なお、元ネタ(『引用元』と言うべきか)は江戸時代の国学者である本居宣長の詠んだ句であり、後年、太平洋戦争末期には海軍中将の大西瀧治郎によって創設された神風特別攻撃隊(所謂カミカゼ特攻隊)の最初の部隊が、この句をモチーフに小隊名を名付けている(敷島隊・大和隊・朝日隊・山桜隊)。

小説版編集

小説という文字媒体故か、OVA版や漫画版では見られない踏み込んだ(際どい)台詞が存在するのが特徴である。

(これはバイストン・ウェルのものではない…別の力だ!)
初めての城がかりにおいて、近代的な大砲の威力を目の当たりにしながら。
「あなたには分かりはしないんだ。地上から、いきなりこんな中世みたいなバイストン・ウェルなんて処に放り込まれて、やれアマルガンだ、ガロウ・ランだ、剣で人を即死させろ、フェラリオと性行為をしろのと、やっていられると思うか!? 挙句の果てにレッツォであなたに出会う。俺の国はね、今は滅びるか滅びないかの大戦争を戦っている最中なのに、俺は講談本以下の世界に飛び込まされて……若いと言われて、あんたなんかに笑われる筋合いなんか、金輪際ないんだ」
アマルガンをバイストン・ウェルの水先案内人とすることをリンレイから「若い」と揶揄されたように感じたのか、ムキになって今までの鬱憤を晴らすかのようにまくし立てる。
(あの女王の股座を覗くためにも、俺は高い男にならなければならない。ただ女に呑み込まれるような男では、あの女の魔性に伍してはいけないんだ)
ドラバロの砦へ向かう最中にリンレイに青春を感じながら。
高みを目指すには、あまりにも不純な動機であるが、それだけに強烈な思念となっている。
(ガロウ・ランという悪を為すものの存在が、たとえバイストン・ウェルという世界の意思で生かされているとしても、この存在はあらゆる世界から排除してみせる! それが、リーンの翼の戦士の存在意義だろうがっ!)
デダン・バランダのあまりに卑劣な所業を見て。
サコミズ「あなたは、政治を司ることのできる方です」
リンレイ「なぜ?」
サコミズ「できない人との関係を想像することができる方ですから……それは、人の長になる方の素養だと思います」
リンレイとのやり取りの一節。OVA版で有名な「政治を司る」のフレーズがすでにここにでている。
「俺は、どこかで、リンレイ・メラディを信じていなかったのだ……いや、違う……俺は、バイストン・ウェルで、永遠に一人だと思いすぎていたのかもしれない……」
「困ったものだ……ここも現実のはずなのに……」
「リンレイ・メラディ……会いたい……俺は、あなたに恋をしている……!」
盗まれたリーンの翼の沓を取り返して帰る最中、リンレイから新たなリーンの翼の沓を送られて、むせび泣きながら。
リンゴの歌だと!? 廃墟だというなら空襲の後の東京だ……いや、ここは横浜か!? いや、米兵がいる!? なんでだ!? 名古屋なのか!? なんでこんな能天気な歌がはやっているんだ!? ……鬼畜米英だったんだぞ! 打ちてし止まんという精神は……!?)
(敗残した日本は、焼け野原ではないか!? なのに、なんで、こんなにもめでたい歌が流れているのだ!? 米国に、連合国に敗けたんだろう!? なら、日本の天空にも地にも海にも、戦死させられた者たちの無念の魂が、彷徨っているのだぞ!)
(こんな堕落の極みの日本などに、誰が戻るものか! B-29を撃墜できたのは、自分の任務をリーンの翼が達成させてくれたからだ! 任務は完了した。もう、日本に忠義を果たさねばならないいわれはない。父よ、母よ! 妹よ! おれは大人になった。軍人を捨てた!)
小説完全版でのみの台詞。原爆投下を阻止した直後のサコミズに聞こえてきたのは「リンゴの歌」だった。それを聞いたサコミズは(リンレイが死んだこともあって)言葉の上では日本に失望しながら(直後の蓼科との会話では「この唄を聞けば日本は復興するのではないか」と言っている)、バイストン・ウェルに帰り、新たな戦いを始めていく……。
「国家に騙されていた……いや、国家をささえるべきはずの高位高官たち、権力を行使できるとおもっている人びとは、本当に、国家や家のために、国民に死ぬ意味のある戦争をやらせていたのか? そういう確信をもっていたのか? おれがのせられた人間爆弾は、米国人にはバカボムといわれたのだぞ! たかが二十秒たらずで燃えつきてしまう火薬エンジンのロケットで敵艦を沈められるものか! そんな事ができる奴が、そっちの世界こっちの世界にいるものか! 自由に顕現させられないリーンの翼でさえ、いったん現れてくれれば、剣と同じだけの威力を発揮してくれたのに、桜花は落ちるだけだったのだぞ!」
戦時中の自身の経験が何の意味も無い、無駄なものだと気付き、その惨めさによる絶望からとめどもなく涙を流しながら。この後も3倍ほど続くのだが、長すぎるため割愛。

OVA版編集

「鈴木君!」
エイサップに対して。単に苗字で呼んでいるだけなのだが、鈴木というありふれた姓をくどいまでに何度も何度も呼んでいる事から、妙に印象に残る台詞となっている。
「ならば聞こう。今の日本は昭和何年なのだ?」
OVA第2話より。エイサップが地上から来た事を知り、こう返す。この台詞からサコミズが長い間地上の状況を何一つ知らない事が解る。
一応小説完全版では、戦後東京五輪が開催された事(ちなみに、東京五輪は昭和39年。すなわち、西暦1964年の出来事である)は知っている。
エイサップ「姫様にこの名無しの操作を教えてもらっているだけです!」
サコミズ「ナナジンと名付けたか! 七福神の!」
名無しのオーラバトラーで自分を止めに来たリュクスとエイサップに対して。思いっきり聞き間違えた挙句、名前の由来まで決めてしまう。バイストン・ウェルの言語に慣れすぎたらしい。なお、現実に「ナナジン」という名前が付けられた経緯も「名無し」からの連想であることが明かされている。
リュクス「今回私は地上界へ行って帰ってきたのですよ!」
サコミズ「岩国に鈴木君がいたからだ! エイサップ・鈴木君! ホウジョウの国をリュクスと共に継いでくれ!」
その後、リュクスが「父上が地上界に行けなかった意味をお考えください!」と言うが、リーンの翼の沓を無断で持ち出したリュクスに怒るサコミズ。しかし、リュクスとの問答の最中、突如としてサコミズはエイサップにリュクスを嫁に出すような発言をぶつける。あまりに唐突でとんでもない話だったためか、リュクスは思わずナナジンからずり落ちてしまう。
漫画版では問答の最中、エイサップの存在によりその場で発案し、意図して隙を作るためにぶつけたような発言だった。また、落ちたリュクスはOVAでは装甲にぶつかりこそしたが、すんなり着地できた一方で、漫画版では思い切り落下し尻もちをついている。
『UX』ではエイサップの居住地が原作と異なるため、「岩国に」の部分はカットされている。
サコミズ「鈴木君には政治を司る新しい聖戦士をやってくれ!」
エイサップ「そんな事を言って、隙を作らせるのか!」
サコミズ「そうでもあるがぁぁぁぁ!!」
その直後、ナナジンを抑えながら再度勧誘するサコミズ。無論、上記の件でエイサップは警戒するが、抵抗を捻じ伏せ、3行目の台詞と共にオウカオーでナナジンを背負い投げする。
サコミズの代名詞とも言える会話で、富野節全開である。素直に認めてしまうところが実直な彼らしい。
よく聞くと「鈴木君には~やってくれ」となっており正しい日本語ではなくなっているが、おそらく「鈴木君には~やってもらう」と言おうとしていたのが、勢い余って命令形である「やってくれ」になってしまったのだろう。
また「そうでもあるが」と言っているあたり、甘言によって隙を作る作戦だったのは事実であれど、自分を補佐する第二の聖戦士と見込んで勧誘したい気持ちもまた本心であることがうかがえる。
漫画版では、よくぞ見破ったと言わんばかりに3行目の直前で「フ…」と笑っている。『UX』ではこの漫画版の流れが採用されており、印象的な台詞であるためか、3行目がDVEで取り入れられている。ついでにエイサップの台詞の方は汎用の回避台詞に採用。
「見事だよエイサップ君。キャノピーを閉じ、ナナジンの角も折らなかった」
「聖戦士の資格があると見た! ホウジョウの城の婿殿にならんか!」
「仲間共々許すぞ…」
上記のさらに後、投げられた際の対応を誉めながら再三の勧誘。「ムコって何よ…」と困惑するエイサップを他所に、ロウリらの存在を盾にさらに圧をかけている。恐らく全て本音で動いており、素っ頓狂なことを言われても警戒を解かなかった上に、不意打ちに適切に受け身を取れたことで、エイサップという若き聖戦士をさらに認めての発言と思われる。戦闘機で暴れまわったロウリらを人質に取るのも彼らしい抜け目のなさである。
漫画版ではエイサップをフルネーム呼びで、「その難しい機体を操りキャノピーを閉じ~」と、一部台詞が追加されている。
『UX』では「鈴木君がいたからだ!」に始まるこれら一連の勧誘と背負い投げが、順番を前後し一度に纏められているため、都合上2行目の台詞だけを投げ飛ばす前に言っており、他はカットされた。また、中断メッセージにてこれを元ネタとするものがある。
エイサップ「地上界に異質なエネルギーを持ち込むのは危険ですよ」
サコミズ「君は混血なのだろう?」
エイサップ「…はい」
サコミズ「異質なものの組み合わせの真骨頂だ。その君は、自分の存在が危険なものと感じるのかね?」
エイサップ「いえ」
OVA版第3話「地上人のオーラ力」でのやりとり。エイサップは「オーラ力を地上に持ち込むのは危険である」という趣旨で言っているのに、サコミズは「エイサップ自身は危険ではないのか」と(意図的にか天然なのか)話題をすり替えており、見事に話が噛み合ってない。そもそもエイサップ自身が危険であるかどうかとオーラ力の危険性については全く別の問題である。
なお他のスパロボでは地上界そのものにオーラ力に勝るとも劣らないエネルギーが数多く存在している。
エイサップ「こ、こんな……こんなことが現実に日本で!」
サコミズ「あったのだ! この凄惨な記憶達は、紛れも無い過去の現実! 目を背けてはならぬと、リーンの翼が語っておるのだ!」
オーラロードを彷徨う中、沖縄戦の映像を垣間見て。かつて国のためと信じて戦争に身を投じた憂国の志士、在りし日の聖戦士は、それこそが現実なのだと若き聖戦士に叫ぶ。
そして、忘れてはならないのは、リーンの翼が彼らに見せたこれらの惨劇は、サコミズが言うように、彼だけではなく我々プレイヤーにとっても「紛れもない過去の現実」であるという事である。
初参戦の『UX』や『CC』でも忠実に再現されている。
「これは…あってはならぬ! あってはならん事であるッ!」
「この苦しみ……この悲しさ、無念さ! 東京にいる俗物どもにもわからせるッ!」
「我が意思に力を貸せ! リーンの翼よォォォーッ!!!」
「さすらいの歌」が響く中、ホウジョウの王は叫ぶ。戦争の悲惨さ、奪われた命の叫びを知らぬ俗物どもにそれを知らしめると、そのための道を開けと。強すぎるその意志はリーンの翼をすら御し、彼らを元いた時へと送り返した。
「天皇のいない東京天国など消せばいい!」
フガクやアプロゲネの砲火が飛び交い、数多のオーラバトラーが乱舞する東京上空を猛然と飛ぶオウカオーの中で発した叫び。
『UX』では「桜花嵐」限定の戦闘台詞としても採用されているが、アニメや小説媒体では滅多に(表現規制のある地上波では不可能)使用されない単語だったりするので、それに驚いたプレイヤーは多かった。
サコミズ「同じ部族同士、ねんごろになって私を欺くかぁ」
コットウ「せ、聖戦士を相手にするなど…」
サコミズ「コドールの褥(しとね)は暖かいよなぁ……?」
コットウ「へ、へへへへぇ…」
サコミズ「死ねやぁぁぁぁ!」
OVA第6話「桜花嵐」にて、自らを謀ったコドールコットウに詰め寄って。小山力也氏演じるサコミズの怒り滲む凄味の効きまくった演技と、対する彼の剣幕に飲まれて醜態を晒すコットウを演じる三木眞一郎氏の演技は必聴。
小説完全版では、スパロボではそのまま使用する事はできなさそうな更に「踏み込んだ」遣り取りの後で、コットウを殺害する。
UX』では「コドールの褥〜」以降の文がコットウも含めてDVEで再現されている。『CC』ではコットウに加え、コドールとショットを自身の手で屠る等、小説完全版を意識した展開を遂げる。
サコミズ「…うぅ!? これは……私の桜花に残した、文金高島田の特攻人形……!?」
エイサップ「この人形は、あなたたちを特攻に出すしかなかった、少女たちの哀しみと、感謝の印だったのでしょう!?」
特攻人形『生き神様でした…』
サコミズ「そ、そう言って……そう言って哀れんでくれたぁぁぁぁ!!」
ジャコバの力を借りたエレボスの祈りによって「命の手紙」はサコミズ王に届けられた。東京大空襲・沖縄戦・原爆投下の記憶を目の当たりにし、欧米化した日本を見せられて、自分を見失って自暴となったところに、エイサップ達が「命の手紙」として特攻人形を届けてくれた。自分を想ってくれた無垢なる願いがあった事を思い出し「守りたかった」という初心に立ち返ったサコミズ王は涙を流し…。
なお、『UX』では4段目の台詞で老人の顔となっている。
「ナナジンにはリーンの翼は無いぞ」
水爆を抱えて上昇するアッカナナジンに肉薄して。瞬間、リーンの翼が羽ばたき…。
「リーンの翼が聖戦士のモノなら……我が想いを守れ…!!!」
最期。アッカナナジンから水爆を奪い、ハイパー化したオウカオーでその爆発を吸収しながら叫ぶ。その姿は妄執に取り付かれた王ではなく、紛れも無い聖戦士のものだった…。
『UX』ではDVEで収録されているが、原作以上に叫んでいる。
「桜花(さくらばな)達……」
戦いが終わった後、迫水家の墓参りに来ていたエイサップリュクスが幻視したサコミズの幻影が安らかな声色で呟いた言葉。
『UX』ではDVEで収録。

漫画版編集

「甘い言葉だけなら100でも言える」
「そしてそれを反故にする口実も100でも200でも言えるのだぞッ!!」
「まして反骨で国を治めるなど…」
終盤にて同盟を結んだマキャベル司令を、サコミズと同じ「反骨の士」と説明したコドールの見識のなさをなじる。
事実、マキャベルはガルンが「ガロウ・ラン」と毒づいていたとおり、フガクに時限爆弾を設置させていた(直後に爆発した)ばかりか、朗利金本核爆弾を強奪したのを見て、日本を手中に収めようとエゴをむき出しにしていた。
(リーンの翼よ……
 翼が聖戦士のものなら
 我が想いを
 守れ…
 リュクス
 リュクス……もう一度……)
漫画版における最期。サコミズが思い浮かべたのは、幼い頃の愛娘だった。

スパロボシリーズの名台詞編集

戦闘台詞編集

「核を動力源にするなど…あってはならん!」
「核を恐れる私ではないぞ!」
ストライクフリーダム等の動力源の機体に対する特殊戦闘台詞
ちなみに、スパロボではガンダム以外にも小型核融合エンジンである熱核タービンエンジンを使うバルキリーや原子力エンジンから発生させる超電磁エネルギーを利用するコン・バトラーVボルテスV、原子炉を持つジャイアント・ロボメカンダーロボ等、核動力の機体は意外にあったりする。ついでに言えばゲッター線を始めとして、核以上の危険性を秘めたエネルギーで動く機体もゴロゴロいたりする。
「対話の道など、祖国に原爆を落とした奴らを滅ぼすまでありえん!」
刹那に対する特殊戦闘台詞。
「若い、あまりにも若い…! 正義などと軽々しくほざく!」
浩一劉備に対する特殊戦闘台詞。
「貴様も己の野心に忠実な男だろうにぃぃっ!」
曹操に対する特殊戦闘台詞。生まれた世界は違えど、どこか自分に通じるモノを持つ侠に対し、ホウジョウの王が吼える。
だが、半ば私怨で剣を振るう今のサコミズと野心のために剣を振るう曹操は、理解者がいないサコミズと道を共にする部下達がいる曹操は、暴走する前に止めてくれる者がいなかったサコミズと止めてくれるがいる曹操は、似ているようで全く違ったのかもしれない。
「米国人は滅びよ! 我が無念晴らしてくれる!」
グラハム等のアメリカ人に対する特殊戦闘台詞。上の台詞からも分かるように、アメリカへの深い憎しみを抱いている事がよく伝わる。
とはいえアニメ版でのサコミズはエイサップを気に入り、マキャベル司令たちもホウジョウ軍に編入しようとしている等、各個人としてのアメリカ人への差別意識はそこまで強くはない。
また、『UX』ではサコミズに仕えているショットもアメリカ人だが差別している様子はないため、アメリカ人キャラクター全体にこのような戦闘セリフが使われるのは少々過激な改変と言える。なのだが、『UX』第40話にて日本人キャラクターで戦闘すると……。
「滅びよ! 21世紀の日本人!」
「あんなコンクリートの街で! 日本人は窒息しておらんのか!? 答えろよぉっ!」
「これが米国の植民地になった結果かぁ!」
『UX』第40話「桜花嵐」でのエイサップや浩一等、日本人に対する特殊戦闘台詞。過去の妄執に囚われ、今や進むべき道を見失いつつあるホウジョウの王……その刃はいつしか向けるべき相手を誤り、己の知る故国を取り戻そうと「未来の今」に振り下ろされる。
ちなみに、『UX』世界は22世紀である。台詞そのものはOVAベースの改変である為、そちらを尊重したが故の齟齬であろう(類似の例として、3DSの次作にてユニオン出身になっているのに「同じアメリカ人」と言ってしまう聖戦士もいる)。
エイサップ「俺とサコミズ王が力を合わせれば、やれるはずです!」
サコミズ「君がそう言うのならばそうなのであろう!」
ツインオーラアタック使用時、エイサップから始動した場合の掛け合い。憑き物が落ちた事もあってか、心底エイサップを信頼しているらしい。
サコミズ「今の鈴木君ならば、私の動きにもついて来られよう」
エイサップ「わかりました! やって見ます!」
サコミズから始動した場合はこちら。

シナリオデモ編集

「威勢が良いな。自らの渇きのままに戦いを求める者…ガロウ・ラン気質の地上人と見た!」
UX』第12話「ホウジョウの王」より。自らの首を取りに来たと吼える海動の言葉を受けて。
ちなみにガロウ・ランとはバイストン・ウェルに存在する蛮族――というより種族――のことで、ガンダムのパイロットではない
「敷島の、大和心を人問わば、朝日に匂ふ、山桜花…」
「いずれまた、先に散った桜たちと、春のこずえで…」
『UX』第38話「防人たち」シナリオデモより。久嵩との別れ際に。「春の梢」は軍歌「同期の桜」の歌詞を援用したもので、このは特に特攻隊員達が好んでいた。
ホウジョウの王が久嵩と再び共闘できるかは――プレイヤーの手にかかっている。
「子供を盾にするとは…! 貴様ら、それでも軍人かッ!」
「ド外道がぁぁぁぁーッ!」
同上。戦闘マップより。を積んだファミール艦を守ろうとしたに対して「自爆なり何なりしてそのバケモノを止めろ」と心無い言葉を吐いたハザードに対して怒りを爆発させた。
サコミズのやってることは決して許されないにしろ、志のある少年を己の野望を守るための「使い捨ての道具」同然の暴言を吐いたハザードに彼も怒りを抑えられるはずもなかっただろう。
「お、愚かなことを…!」
「あたら若い命を、なんという愚かな行為で…!」
イベント戦闘後、ハザードのファミール艦から放たれたミサイルがマークフュンフに命中、爆散する様を目の当たりにして。
敵と言えど若き命を散らせたハザードの非業な行為に対して。それでいて「ファフナー諸共爆散すればよかったものの」と暴言を吐いたハザードに対しては彼も怒りと憎しみを抑えることは出来なかった。
「そうして懐柔してきたか! 民主主義の名の下に、私欲を追従し日本を踏みにじってきた米国が!」
『UX』第40話「桜花嵐」で発生する説得イベントをヒーローマン(実際の担当は相棒のジョーイ)で行った時の台詞。ヒーローマンはよりにもよって日本とアメリカ双方の国旗(日の丸と星条旗)がモチーフのため相性最悪(しかも見ようによっては星条旗に取り込まれた日の丸と捉えることも可能なためサコミズにとってはこの上なく屈辱的な物)であり、特に激烈に怒りを発露する。他にもサコミズ視点でのNGである「アメリカ」や、上記戦闘台詞でも反応する「核動力兵器」に関連するキャラクターは殆どが説得のポイントが低い外れキャラクターである。
「子供や敵国の兵器に諭されるほど、このサコミズ、老いてはおらぬ! 星条旗のその機体、破壊してくれる!」
同話、こちらはヒーローマンとの戦闘前会話。やはり星条旗モチーフがサコミズ王の怒髪冠を衝き、全く聞く耳を持ってくれない。
「フン、小賢しい! いかに言葉を弄しようと…!」
「今を生きるすべてのものが堕落しているわけではないことは認めよう!」
『UX』での説得終了時に対するリアクション。前者は失敗時で、後者は成功時のもの。それぞれもう少し台詞が続くが、割愛する。
ちなみに失敗するとがかかる。ペナルティ搭載の説得と言うのも珍しい。
サコミズ「!? こ、これは…! この紙人形は!」
「私の桜花に残した、文金高島田の特攻人形…!」
ピーリス「聞こえてくる…。 兵士たちを想う人々の声が…」
シェリル「今もさすらう、魂の唄…」
ランカ「そうだよ…! 忘れちゃいけない、忘れられない想いがここにはあるんだ!」
真矢「存在の記憶…。 美しかった故郷の思い出…」
道明寺「これが、サコミズ王の想い…いや、日本人の中に受け継がれてきた、魂の記憶か…」
刹那「耳を傾けろ、サコミズ! お前たちに向けられた声に…人形に込められた意志を!」
同話にて、己が憎んだ米国の文化に染まりきった東京を核で無に返そうとサコミズを止めようとするエイサップのナナジンから出てきたのは命の手紙――「特攻人形」であった。
人形を特攻人形を手にした瞬間、サコミズの顔は若々しいそれでなく、歳相応の老人のものとなっていた。そう、憑き物が落ちたかのように…。
「諦めてはならんッ!」
「わだつみたちの声が、私に生きる力と…掴むべき運命を与えてくれたッ! 今の私に、もはや迷いはないッ!」
「加藤少将! あの時の誓い…今こそ果たす時!」
『UX』第45話「ユダ」でのサコミズ生存フラグ成立時限定の台詞。襲来したヒトマキナの圧倒的な力に苦戦するUXの前に、桜花と共に散ったはずだった憂国の士が、再び姿を現した。今度は、頼もしき味方として――。
「さあ、集え! 始まりのもとにッ!」
呂布が生存していると代わりにこの台詞が出る。サコミズもまた、アーニー達同様「時空を超える意思」を持つ者の一人であり、生還出来たのはその意志にリーンの翼が応えたためらしい。
「過去に囚われた亡霊は、未来を生きる若者たちにすべてを託すと決めた…だが、今一度! 若者たちの未来を守るため、この亡霊の力を振るってくれよう!」
同上。初戦闘時。過去の妄執に囚われたホウジョウの王は、もうそこにはいない。本義に立ち返った往年の聖戦士……その刃が、命持つ傀儡を捉え、閃く。
「心配するな。今の私にとってはもはや日本も米国も関係ない」
「我々は共にこの星に生きる民…いや、この宇宙に生まれた同じ命ではないか」
「それを教えてくれたのは、君たちアルティメット・クロスだ」
『UX』第46話で自軍入りしたときジョーイマーベルから自分たちの事を憎んでいるのでは、と懸念されてこう諭した。
彼もまた過去の妄執を乗り越え、日本や米国という括りではなく、地球に生きる命を守り抜こうという意志を以ってUXの旗のもとに参じた。これも道明寺のいうところの「憑き物が落ちた」と呼ぶべきだろうか。
「こ、これが…! これが人間のやることかァァッ!」
『UX』第47話「HEAVEN AND EARTH」より。第2次蒼穹作戦の後、ハザードが人間特攻兵器にしたを自軍に向けて特攻させている残虐極まりない凶行にホウジョウの王は激しい怒号をあげた。
かつて特攻隊に所属したこと、太平洋戦争を初めとする凄惨な光景を身をもって知った彼にとっては、己の醜悪な欲望のために脱獄した囚人を無理やり特攻兵器に仕立て上げて平然と特攻させるハザードに怒りを抑えられるはずがなかった。
ちなみに仲間にしなかった場合は関羽がこの台詞を言い放つ。
「いざ、往かん! 我らは今、新たな神話となる!」
『UX』最終話「命の始まり」の特殊IMの〆。数え切れないほどの輪廻の末、一つに集った「可能性」達……決戦に向けて闘志を燃やす彼らを鼓舞するが如く、ホウジョウの王は号令する。

スパロボシリーズの迷台詞編集

「何っ! 貴様にも聖戦士の資格があると!?」
UX』における被ダメージ時の汎用戦闘台詞。なので、誰だろうと構わず聖戦士認定してしまう。
作中で聖戦士の素質について触れられている刹那翔子後の作品で似たような扱いをされたあたりに出ればいいが、酷い時にはハザード相手でも出る。さらには地上人のみならず、反乱軍が相手でも出る
「日本は…地上は、どうなってしまったというのだ!」
『UX』第11話「招かれざるもの」より。兵士が連れてきた孫尚香陸遜を見て漏らした言葉。
彼女らは地上とも日本とも全く関係ない三璃紗の人間なのだが、まがりなりにも地上から転移してきた者がこんな姿だったら驚くのも致し方ない。
サコミズ「鈴木君、決めて見せよっ!」
エイサップ「本当はご自身で決めたいんでしょうが!」
サコミズ「そうでもあるがぁぁぁっ!!」
ツインオーラアタックの〆。こんなところで名台詞を使わなくても。
「見事だよプレイヤー。途中セーブをし、正規の手順でゲームも終わらせた。聖戦士の資格があると見た! ホウジョウの城の婿殿にならんか!」
『UX』の中断メッセージにて。そんな理由で聖戦士&ホウジョウの城の婿殿になれるのはどうかと思う。そしてエイサップからは「プレイヤーが女だったらどうするんですか」と突っ込まれる。
サコミズ「全軍前進せよ! より多くの敵を討ち取った者をホウジョウの婿とする!」
リュクス「婿って…父上!」
エイサップ「またそんなこと言って…! 本当はご自分が前に出たいのでしょうが!」
サコミズ「そうでもあるがぁぁ!」
CC』「宇宙を守ってきた者達」にて、ショウたちと模擬戦を繰り広げてる際に。
二番目の台詞でリュクスは狼狽し、エイサップに突っ込まれてしまうが、どうやらまだ娘を渡したくない模様(そして一番下の名台詞でサコミズのカットインが出てくる)

搭乗機体編集

桜花
大日本帝国海軍が太平洋戦争末期に開発したロケット特攻機。昭和20年(1945年)3月、特攻隊員である迫水真次郎(シンジロウ・サコミズ)は、乗機である特攻機・桜花を敵機によって撃破された瞬間にバイストン・ウェルへと召喚された。『UX』においても、イベントシーンでエイサップ達にサコミズ自身が乗っていた特攻機・桜花を見せている。
数ある特攻兵器の中でも桜花は「航続距離が短すぎる、重過ぎて桜花を吊る母機がまともに飛べない(よってしばしば桜花発進前に母機ごと撃墜されてしまう)、ロケット機なのに当時の米軍戦闘機と大差無い速度である」等、多数の欠陥を抱えていた。何よりも、桜花の主武装は1200kgの徹甲爆弾(要するに、爆弾を抱えた機体で「体当たり」をする)のみであり、機銃等の副武装および脱出装置が存在していない。そのため、連合国側からは「BAKA BOMB(馬鹿爆弾)」という酷いコードネームで呼ばれた。ただし、コードネームとは裏腹に当時の米軍は桜花と特攻作戦を(実害よりも心理的な面で)大きな脅威と見なしており、対応マニュアルを前線将兵に配っている(このマニュアルが功を奏したのか、被害は艦隊外周の駆逐艦のみで、空母や戦艦の損害は皆無だったが、特攻という戦法自体はある程度の戦果を挙げている)。また『バカ爆弾』という過度に卑下した呼称自体も、特攻の恐怖から目を逸らすためのプロバガンダに近かったとの説もある。
余談だが、『リーンの翼』のパラレルワールドにあたる『聖戦士ダンバイン』では「特攻機・桜花のロケットエンジン部が、ビルバインの脚部補助ロケットの参考にされた」という設定が存在する。
マリア
メッオの国(後のホウジョウ国)が最初に開発したオーラバトラー。サコミズは、この機体のテストパイロットを務めていた。
パジャマリア
マリアの後継機。マリアよりも数段性能が上がったが配備数が少なく、メッオの国は常に劣勢を強いられていた。
しかし、これに搭乗したサコミズが「リーンの翼」を発現した事で戦況は逆転。ホウジョウ国がヘリコンの地を統一した原動力となった。
オウカオー
サコミズ専用のオーラバトラー。名前の由来は、サコミズがかつて搭乗した特攻機・桜花から。
オウカオー (ハイパー化)
オウカオーがハイパー化した姿。

余談編集

  • 原作小説版『リーンの翼』の主人公でもあり、OVA版でも一応の主人公であるエイサップ・鈴木を食ってしまうほどの存在感を放っている。また、小説完全版では全編を通して主人公となっている。
  • なお、実は『聖戦士ダンバイン』の世界にもかつて存在していた。サコミズがアマルガンに討たれた場合の物語は『ダンバイン』に続き、残された桜花はビルバインのブースターの参考として使われる。一方、サコミズが生き残った場合はOVA版『リーンの翼』に繋がる事になる。
  • 富野由悠季監督は小説完全版第4巻付属の小冊子「バイストン・ウェルへの誘い4」で、OVA版サコミズのことを「肩肘張って怒鳴ってるだけの人」 と評している。
  • サコミズのキャラクター性は、昔も今も伝統的となっている「異世界召喚・転生もの」の成れの果てだったりする。「サコミズは異世界で周囲から望まれて王になるも、不老の王政が次第に民から疎まれていく」という非常にリアリティのある設定。
    • たとえ同胞に裏切られたとしても、若き聖戦士のまま死した初期小説版設定のままだった方が本人にとっては幸せだったのかも知れない。
    • 創作によっては「主人公が元の世界へ戻らず異世界へ留まる」という結末も多く見られるが、マサキ・アンドーをはじめ似たような境遇の者達のありうるかもしれない末路と言える。
  • シンジロウ・サコミズの担当声優である小山力也氏は収録に当たり、原作小説版を何度も読み返して移入し、サコミズになり切って収録に参加したというエピソードがある。もちろん、『UX』の収録でも同様である。
  • その濃すぎるキャラクターから、同じ監督の別作品キャラであるギム・ギンガナムとの類似性が言及されるコトもある。