サイコフレーム
概要
サイコミュ機能を持ったLSIクラスのコンピューターチップを金属粒子レベルで組み込んだモビルスーツ用の特殊フレーム。従来のサイコミュシステムは親機となる装置が必要で、MAクラスのサイズが要求されたが、このフレームをコクピット周辺部に組み込むことにより、MS内に占めるサイコミュ装置のスペースが大幅に縮小された。
初出は『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』。ネオ・ジオンが実用にこぎつけた技術ではあったが、アムロと互角の状況で戦いたいというシャア・アズナブルの意思により、意図的にロンド・ベルへと流出させることになる。また、徳間書店より刊行された小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 後編』では前述の理由の他に、「地球を汚染する自分をアムロに止めてほしかった」というシャアの真意が隠されていた事が分かっている。
劇中、フレームのサンプルを身に付けたチェーン・アギの感覚が鋭敏化したり、搭乗したリ・ガズィにα・アジールのメガ粒子砲が直撃した際にメガ粒子を弾いたり、彼女の死に際してサンプルが眩い光を発するなど(発光機能は本来想定されていなかった機能である為、『機動戦士ガンダムUC』の作中で、アナハイムの技術者であるアーロン・テルジェフは「なぜ発光しているように見えるか造った我々でも分からない」と発言していたが、後に彼はバナージ・リンクスが操縦するデストロイ・モード発動時のユニコーンガンダムのデータを検証することによって、発光のメカニズムを解明した。)様々な現象を引き起こしたが、その最たるものはνガンダムとサザビーに搭載されたサイコフレームが、多くの人々の意思を吸収したことで共振を引き起こし、地球に落下しかけたアクシズを宇宙に押し返した(アクシズ・ショックと呼称される)ことである。
たった二機のMSのコックピット周辺フレームに使用されていた程度の金属がそれだけの力を発揮したというこの事実は連邦軍に衝撃を与え、常人では扱いきれない未知の領域の大きさが危険視され公式には中止と謳われた。しかしサイコフレーム研究はアナハイム・エレクトロニクスの協力の下、極秘裏に進められた結果、UC計画において全身にサイコフレーム処理を施した実験機ユニコーンガンダム、シナンジュが開発される。また『機動戦士ガンダムUC』の数ヶ月後を描いた『機動戦士ガンダム Twilight AXIS』(SRW未参戦)では依然サイコフレーム技術は連邦が独占管理しているようである。
『UC』の1年後を描いた『機動戦士ガンダムNT』では、ユニコーンガンダムとバンシィがメガラニカで発動させた人知を超えた力をミネバは恐れ、連邦軍との間に今後のサイコフレームの使用を一切禁ずる「サイコフレーム封印協定」を締結した。
サイコフレームのフレーム自体に電子機器を埋め込むアイデアは後のマルチプル・コントラクション・アーマー(MCA)技術へと発展していく。劇中ではサイコフレームの存在には触れられていないが時系列的に『逆襲のシャア』の後の作品である『機動戦士ガンダムF91』では主役機であるF91はサイコフレームを搭載している。
『機動戦士ガンダムUC』では非常に大きな存在として扱われたサイコフレームだが、それ自体は本来あくまでただの「効率の良いサイコミュ」でしかないため、ただ装着しただけで超常現象を起こすような都合の良いパーツでは無いという事は劇中表現でも明らかであり、逆にサイコフレームが無くとも特定の人物のニュータイプ能力の高まりによって同様の現象が発生しうることは、アムロとベルトーチカの子供が起こした現象を見れば明らかである。
『機動戦士ガンダムUC』においてはこれを機体全体に装備したユニコーンガンダムが登場しているが、この機体は劇中において、Z同様のジェネレーター限界を超えた巨大ビーム・サーベルの発振、ZZ同様の推進機構を持たないパーツの遠隔操作、大型貨物船を単機で引っ張り上げてワイヤーに接続する、と言った力学的に不可能な現象を普通に引き起こしており、決戦時には他者の意識・記憶に干渉、オールドタイプの思念をユニコーンをアンテナとして送受信させることにより擬似ニュータイプ部隊を編成、バナージの元に呼び寄せている。
『機動戦士ガンダムUC』著者の福井晴敏氏と富野監督があるイベントで福井氏の「サイコフレームとイデオン(イデオナイト)は同じ原理」という発言に富野監督が冗談交じりで首肯したというエピソードがある。これ自体はそもそもガンダムシリーズとは異なる作品が混じるため厳密に公式設定ではないのだが、人の意思に感応する点は類似していると言える。
また、『機動戦士ガンダム ANAHEIM RECORD』を連載している近藤和久氏は同作品の3巻内でアクシズ・ショックを「アムロの緊急時の脳波をνガンダムのサイコフレームが増幅、更に共鳴した事で際限無く増幅しアクシズの軌道を変える程の磁場の歪みを形成して起こした物」と描いている。但し近藤氏は「νガンダムからユニコーンガンダムに移行するために勝手な理屈を作ってみた次第」と書いており、直後には「けど、本当はよくわからんよ」と〆ている。
搭載された主なMS
強化パーツ『サイコフレーム』
運動性向上系の強化パーツとしてたびたび登場(旧作品では限界反応もセットで登場)。同系列のパーツの中では上級クラスの性能を誇る。
- 第4次スーパーロボット大戦(S)
- 運動性+10、限界+25。
- 反応系パーツとしては限界のアップ値は最高。
- 新スーパーロボット大戦
- 上昇数値は『第4次』と同じだが、本作にファティマとALICEは登場しない為、反応系最上位のパーツとなっている。
- スーパーロボット大戦F(完結編)、スーパーロボット大戦α、COMPACT、COMPACT2
- 運動性+15、限界+30。
- スーパーロボット大戦64、スーパーロボット大戦α外伝
- 運動性+20、限界反応+30。
- 第2次α、第3次α、MX
- 運動性+25、クリティカル補正+10。
- スーパーロボット大戦Operation Extend
- 回避+50、命中+40。サイコ・フレームと中黒入りで表記されている。
関連作品
- リアルロボット戦線
- 移動力+1、機動力+10、攻撃力&命中率+10%、装甲+300。強力だがMSしか装備できない。
特殊能力『サイコフレーム』
発動時に劇中チェーンが持っていたサイコフレームのサンプルが登場するためか、νガンダム専用の特殊能力としての登場になっていたが、『UC』単独で参戦した『BX』では搭載していた機体に追加された。
- Zシリーズ
- 強化パーツではなくνガンダムの特殊能力として採用。同シリーズでは標準仕様となっているが、同じく搭載されているはずのサザビーやヤクト・ドーガ、シナンジュ、クシャトリヤ、ユニコーンガンダム、バンシィ(バンシィ・ノルン)、シャンブロ、ネオ・ジオングには未実装。
- 気力130になると機体性能の全てが1割増しのスペックとなり、総合能力が向上している。グリプス紛争期にあたる時期のアナハイム社がこれの開発に成功したのは、黒歴史時代のモビルスーツの残骸を入手・解析した結果であった。イベントでも重要なポジションについており、『Z』では最後の最後で大きな役割を果たすことになり、『第3次Z時獄篇』でも続くことになる。ちなみに時獄篇において、このサイコフレーム技術やガンダム自体が禁断の領域に踏み込んでいる可能性があると思しきセリフがある。
- スーパーロボット大戦Operation Extend
- 強化パーツだけでなく特殊能力版も採用、Zシリーズ同様νガンダムの専用能力で、同じく搭載されているはずのサザビーには未実装。気力が一定値以上のとき、回避率とクリティカル率アップ、戦闘時に戦闘結果に関係なくSP上昇の効果。Lv制で、機体改造度に応じて効果アップ、同時に発動気力が低減していく。こちらもサイコ・フレームと中黒入りで表記。
- スーパーロボット大戦BX
- クシャトリヤ、シャンブロ、ローゼン・ズール、ネオ・ジオングの特殊能力として採用、ユニコーンガンダム、バンシィ並びにバンシィ・ノルン、シナンジュの特殊能力として『フル・サイコフレーム』が採用されている。
- ニュータイプL5以上で気力130になると機体性能の向上になっている。
- スーパーロボット大戦V
- Zシリーズ同様の仕様で、νガンダム専用の特殊能力。
- スーパーロボット大戦X
- νガンダム同様、Hi-νガンダムにも搭載されている。基本的な仕様はVと同じ。
その他
- ガイアセイバー ヒーロー最大の作戦
- MS用の装備品として登場。素早さがアップする。
- また戦闘中に使える技の1つとして「サイコフレームパワー」が存在する。アムロとシーブックがMS搭乗時に使用可能。自身の攻撃力と素早さをアップさせる。