ヴァルシオンシリーズ(Valsion Series)
本稿では『ヴァルシオン』のバリエーションについて記載する。詳しい概要はリンク先参照のこと。
解説
地球防衛のためのスーパーロボット(特機)開発計画『プロジェクトUR(アルティメット)』に基づき、EOTI機関(ディバイン・クルセイダーズ)のビアン・ゾルダーク博士によって製作された一連の特機シリーズを指す。
なお、この設定はOGシリーズ『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATIONS』において新たに設定されたもので、旧シリーズにおいては単にビアンの超人的な才覚によって独力で開発されたものであるとされている。
EOTを参考にした武装や防御装置、飛行技術などを取り入れているが、最大の特徴は「相手に威圧感を与える外見を持つ」ロボットであること。これはビアン博士が指摘した地球外知的生命体への心理的圧力を踏まえて取り入れられたコンセプトである。その一方で機体の拡張性は高く、様々な技術を取り入れて再設計されたバリエーション機が多数存在する。この思想は後のダブルGにも受け継がれている。
OGシリーズの世界観におけるヴァルシオンシリーズは「テスラ・ドライブを積んだ機動兵器」であるため広義ではアーマードモジュールとなり、機体コードに「DCAM」と付けられているのもそれを示していると思われる。しかし、実際には作中世界でもヴァルシオンシリーズはアーマードモジュールとは別の独立したカテゴリとして認識されている。
その高い基本性能と優れた拡張性からいくつかの発展型が存在するが、大半は本来の開発目的たる「地球の防衛」に使われることなく、野心を持つ者の手駒として使用されていることが多い。現状、このシリーズの機体で本来の目的のために運用されているといえるのは2号機のヴァルシオーネ(R)と、ラ・ギアスで生まれた亜流機ヴァルシオーガのみである。OGシリーズではL5戦役において、量産試作1号機が(後の)鋼龍戦隊によって運用されたが、戦役後に凍結されたのか破棄されたのか、それ以後の戦いでは使われていない。
このシリーズに属する機体は、オリジナル以降デザインの変遷が激しいことと、長射程のエネルギー砲撃兵器「クロスマッシャー」を装備していることが特徴。
各機紹介
- ヴァルシオン(ビアン・ゾルダーク機)
- 赤を基調とした配色に西洋甲冑をイメージした外観を持つ人型機動兵器。EOTを応用した重力波「メガ・グラビトンウェーブ」、防御装置「歪曲フィールド」、飛行用装置「テスラ・ドライブ」が搭載されている。また、破壊光線「クロスマッシャー」や大型剣「ディバイン・アーム」を装備し、単機で戦場を支配できる圧倒的な性能を誇る。
- 尚、スーパーロボット好きというビアンの設定を反映してか、全長と重量はあるスーパーロボットと同一となっている。但し明るみにでないよう、スペックノート上では隠されているようである。シリーズの中では今なお最強の機体。
- 量産型ヴァルシオン
- 旧シリーズでは複数量産されており、シュウ・シラカワ、パプテマス・シロッコ、シャピロ・キーツらの手で運用されることとなる。本来地球防衛のために開発されたヴァルシオンが、腹心の部下であったシュウの戦力としてならともかく、シロッコやシャピロの野心に利用されるのは亡きビアンにとっても悲しいことに違いない。
- また、ラ・ギアスにも複数体の召喚が確認されており、フェイル、カークス双方の手駒として運用されることとなった。
- ヴァルシオン改(スペックアップ)
- 『第3次スーパーロボット大戦』においてパプテマス・シロッコの手で改良されたヴァルシオン。機体色は青を基調としたものに変更されている。
- インスペクターの技術を応用しており、広域破壊光線「メガフラッシャー」、MAPW「ビッグバンウェーブ」が追加されている。本機も複数体が製造されたようで、前項のヴァルシオンと同じくラ・ギアスへの召喚が確認されている。
- ヴァルシオン改(デチューン)
- 『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION』において先行量産型として7機製作されたヴァルシオン。機体色は青。量産性を高めるためEOT関連の武装は取り除かれたが、基本性能はそのまま引き継がれている。うち3機にはアードラー・コッホの手で脳波拡張装置「ゲイム・システム」が搭載され、1号機にシャイン・ハウゼン王女、2号機にテンペスト・ホーカー、3号機にテンザン・ナカジマがそれぞれ搭乗した。2号機、3号機は搭乗者がシステムによって暴走、破壊されたが、1号機はシャイン王女救出の後、システムを外して味方の手で運用された。地球防衛のために製作されたヴァルシオンが、本来の目的で運用された稀有な例である。
- なお、先行量産機はまだ4機存在しており、それらの行方については現時点では不明である。また、L5戦役において3号機はエアロゲイターに回収され、多数複製されている。シュウも何らかの手段で量産を行っていたようで、味方サイドに牙を剥いた際に手駒として運用している。
- ヴァルシオン改・タイプCF
- 『スーパーロボット大戦OGクロニクル』及び『スーパーロボット大戦OG外伝』におけるヴァルシオン改の正式量産型。地球連邦軍とイスルギ重工が極秘裏に開発、改良した機体。宙間戦闘用に改造が施されており、クロスマッシャーが胸部に内蔵。また、後の量産型ではオミットされた武装であるメガ・グラビトンウェーブを搭載。
- 北米近郊の基地で保管されていた機体がDC残党に奪取された後、インスペクター事件以後のノイエDC残党軍が拠点スカルヘッドにおいて、元DC技術者ヴィルヘルム・V・ユルゲンに譲渡。ユルゲンによってODEシステムのマスターコアが搭載された。そして、バルトール事件におけるバルトールらのシステムのマスターコアがユルゲンと同調し、ユルゲン自身がシステムそのものと化した。機体は味方サイドにより破壊寸前まで追い詰められたところで、最後にはユルゲンを影で利用していたデュミナスにより破壊。そして、デュミナスの手でスカルヘッドの資材によって再生させられ、パイロットのユルゲンの代わりにラミア・ラヴレスが搭乗させられ、強制的にシステムのマスターコアとしての役割を担わされる。その後、紆余曲折を経、アクセル・アルマーのソウルゲインにより再び破壊された。
- 『第2次スーパーロボット大戦OG』では同型機2機が地上人召喚事件と同時期にラ・ギアスへと召喚され、カークス軍の手で修復・1機はエウリードと共に投入されるが、リューネ、ヤンロン及びヒリュウ改の面々により撃破された。もう1機はオレグ・ナザロフが搭乗しシュウ一行に襲い掛かるが、こちらも撃破されている。
- なお、タイプCFのデータ自体はラ・ギアスに残されており、後にヴァルシオーガの開発に使われる事となる。
- ヴァルシオン改・タイプGF
- 『RoA』に登場する機体。ノイエDCのフラッグシップ機であり、指導者であるバンが乗り込んでいる。
- 後述のヴァルシオーガからデザインを逆算する形で設定されていると思われ、ディバイングレイブを思わせる斧型の接近戦武装を所持。全体フォルムは寸胴のCFに比べて人型に近く、騎士を思わせる頭部デザインや背部大推力ブースターなど、よりオリジナルに近い。
- ヴァルシオーネ
- ビアン博士が一人娘のリューネ・ゾルダークのために作り上げたヴァルシオンの亜種。ナンバリングの上では2号機に当たる。ヴァルシオンの武装であるクロスマッシャーとディバインアームを装備しているが、最大の特徴は敵味方識別可能なMAPW「サイコブラスター」を搭載したことに尽きる。サイコブラスターはシュウから提供された「サイバスター」の「サイフラッシュ」のデータを参考にして開発。また、外見が「鎧を纏った女性」という奇抜なデザインをしており、特に顔の表情は人工筋肉により自在に変化させることが可能で、機体フレームそのものも人工筋肉によって柔軟な稼動を行える。
- また、ユニバーサル・コネクターを採用しているためPT用の武器を使用することが出来る。
- ヴァルシオーネR
- リューネの手によりラ・ギアスの錬金術を応用して強化改造を施されたヴァルシオーネ。主な改良点は遠隔操作武器のクロスソーサーの追加、ディバイン・アームの改良、サイコブラスターの規格をサイバスターのサイフラッシュと同様としたことが挙げられる。サイフラッシュとの同規格によってパーツの取り回しが可能となったようであり、『スーパーロボット大戦F完結編』においては故障したサイフラッシュをサイコブラスターの部品で修復するシーンがある。
- ヴァルシオーガ
- ラ・ギアスのアルメラ共和国にてタイプCFのデータを元に開発された機体。タイプCFだけでなくラ・ギアス側の技術も導入されており、地上とラ・ギアスの技術のハイブリッド機となった。
- シリーズの機体では破格の高性能機だが、量産前提のためこれでもオリジナルに及んでいない。
- グランゾン
- αシリーズでは、対異星人用アーマードモジュールであるヴァルシオンシリーズの3号機として作られたが、コンセプトが異なるため機体コードはSMH-03(スーパー・マシンナリー・ヒューマノイド3号機)ではなくDCAM-00になったという設定。
- OGディバイン・ウォーズではEI-YAM-003という機体コードになっているが、EI-YAMは旧シリーズにおけるヴァルシオンシリーズの機体コード。
関連する用語
- ダイナミック・ゼネラル・ガーディアン
- 「プロジェクトUR」の後継プロジェクト。EOTを排除しつつ、ヴァルシオンやヴァルシオーネの開発で培われた技術を応用した特機開発計画。
- 特機(スーパーロボット)