バイストン・ウェル

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バイストン・ウェルとは、『バイストン・ウェルシリーズ』に登場する異世界

概要

大地の狭間にあるとされる異世界。中世ヨーロッパ風の文化が広がる大陸と、空に浮かぶ海、そして闇の地底世界という三つの階層から成り立つ。バイストン・ウェルの者たちは我々が住むこの地球を「地上」と呼ぶ。

通常は地上との行き来ができないが、オーラロードと呼ばれる一種のゲートを開くことで、それが可能になる。科学技術や文化は、地上でいうと中世ヨーロッパと同程度であり、騎士階級が土地を治めている。ここに暮らす人類は「コモン」と呼ばれ、オーラ力はそれほど強くない傾向にある。

地上での生を終えたが行き着くところであり、一種の死後の世界。そのため「魂の安息の場」などとも呼ばれる。小説『オーラバトラー戦記』でのショット・ウェポンは、「全ての人類が持つ微弱なESPが寄り集まった領域ではないか」と推論している。

また世界全体へと広がっているオーラ力の影響ゆえか、本来異なる言語を話す者同士でも相手が自分の知っている言語で話しているかのように相互に会話することが可能となっており、このため召喚された地上人は言葉に不自由する問題を免れている(なお、地上へと送還された後もこの効力は切れていないのか、ショウ達はバイストン・ウェルにいた時と同様に会話できている)。

なお、バイストン・ウェルを舞台にする作品は互いに矛盾しあう設定が数多くあるのだが、これは「それぞれの作品は一種のパラレルワールドであり、つながっているわけではない」と説明されている。そのため、バイストン・ウェル関連作の中にはオーラバトラーが存在していない世界観のものも数多くある。(詳細はバイストン・ウェルシリーズの項目にて)

世界構造

バイストン・ウェルは三つの階層に分けられた世界であり、それぞれの階層がさらに3つの地域に分かれている。

ウォ・ランドン
上の層。フェラリオ達の住む水の国にして、天空に浮かぶ海。「オージ」「インテラン」「ワーラーカーレーン」に分かれる。これのさらに上層には「バイストン・ウェルの宇宙」があり、その果てにペンタゴナワールド、さらには『ガンダム』の世界があるとも言う。
コモン界
中の層。コモンの住まう世界で、中世ヨーロッパに似た世界。主にここが物語の舞台となる。「クスタンガ」「コモン」「フェンダ・パイル」に分かれる。
ボッブ・レッス
下の層。ガロウ・ランの住まう世界で、いわば地下の暗黒世界。「トゥム」「ネイザ・ラン」「ノム」に分かれる。

主な国家

聖戦士ダンバイン

アの国
バイストン・ウェルの西方に位置する国家。国王はフラオン・エルフであったが、典型的なバカ君主だった為、バイストン・ウェル征服の野望を抱く地方領主ドレイク・ルフト[1]の下克上によって彼が新たな国王となる。
王城はエルフ城だったが、ドレイクの下克上後は「ドレイク城」と改名された。また、ドレイク領の隣はロムン・ギブンが治めている。
ドレイクは強力なオーラマシンを主戦力として駆使する事によって(地上界へ転移させられてしまう前の時点で)、反ドレイク勢力のギブン領、ミの国、ラウの国を武力併合する事に成功した。
クの国
アの国の西にある国家。国王はビショット・ハッタ。王城はケミ城。独自にビアレス等の高性能な機体を開発している。
ナの国
高潔なオーラ力を持ち「聖少女」と呼ばれる女王シーラ・ラパーナが統治する国家。カワッセ・グーが忠臣として仕える。
ミの国
国王はピネガン・ハンム。彼の娘がエレ・ハンムである。ドレイク軍の侵攻を受けて滅ぼされた。
ラウの国
バイストン・ウェルの北方に位置する強国。国王はフォイゾン・ゴウ。王城はタータラ城。重要な決断をする際に神託を仰ぐという慣習を残しているが、一方で「機械の館」を造り、独自にオーラマシンを開発する開明的な面も併せ持つ。
ドレイク軍の侵攻に対し、ウィル・ウィプスに続く第二のオーラ・バトル・シップ「ゴラオン」を発進させたが、なおも敵を食い止める事は出来ず、タータラは落城。フォイゾン王がジェリル・クチビに討たれた後は、孫娘であるエレ・ハンムが女王として即位した。

余談だが、以上の敵側の国名と味方側の国名を並べると、それぞれ「悪(ア・ク)」「見習う(ミ・ナ・ラウ)」になる。

リの国
『聖戦士ダンバイン』第14話にて存在が言及される、アの国の西隣に位置する国家[2]

リーンの翼

ホウジョウ国
バイストン・ウェルの地に召喚された大日本帝国海軍特攻隊員シンジロウ・サコミズが建てた国家。サコミズ王が自らを率いて地上への侵攻を目論む。
なお、中世ヨーロッパ風の世界である『聖戦士ダンバイン』のバイストン・ウェル諸国と異なり、ホウジョウ国の人々は戦国時代の日本風の衣装を身に纏い、一部では漢字(消火器など)が使用されている模様。

余談だが、国名はサコミズ王の出身地たる神奈川県と縁が深い鎌倉時代の「北条家」に由来する。

関連人物

ショット・ウェポンゼット・ライト
聖戦士ダンバイン』に登場する地上のロボット工学者。彼らが召喚された事によって、数多くのオーラマシンが生まれることになる。
ジャコバ・アオン
フェラリオの長。『聖戦士ダンバイン』と『リーンの翼』の双方で同じ名前を持つ人物が登場している。

関連用語

オーラ力
あらゆる生物が持っている生体エネルギーで、バイストン・ウェルにおいて最も重要な要素である。
地上人
ショウやエイサップの住む世界(地球)で暮らしている人間のことで、バイストン・ウェルの人間からの呼称。
一般的に地上人の方がコモンよりも高いオーラ力を持っている傾向にあるため、バイストン・ウェルに召喚されることがある。
聖戦士
バイストン・ウェルが危機に陥ったときに現れると言われる救世主。この伝説にちなみ、強いオーラ力を持ってオーラマシンを動かせる地上人を聖戦士と呼んだ。
SRWシリーズではオーラ力の強さを示す特殊能力として採用されることがある。
フェラリオ
神秘的な力を持つ妖精のような種族。殆どフェアリーのミ・フェラリオ、人間に近い姿のエ・フェラリオなどに分類される。
コモン
バイストン・ウェルにおける人間。見た目は地上人と大差ないが、比較してオーラ力が低い傾向にあり、その影響か地上の一部の環境に適応するのが困難な場合もある。
作中でゼラーナが地上を高高度飛行した際、艦にはオーラバリアが常時展開されているのにも関わらず、地上人であるショウとマーベルを除いたクルー全員が衰弱してしまっていた。
ガロウ・ラン
姿は人に似ているが、内面は獣のような蛮族。基本的に悪事を働くが、自分達を蔑まないショウに懐く者も居た。
SRWでは話題に挙がることは有っても、彼らが登場することはない。小説『オーラバトラー戦記』や『リーンの翼』では彼らが物語の中核に関わる巻も存在する。
なお、名前が似ている炎のモビルスーツ乗りとは無関係(『UX』&『BX』では勘違いされる人物がいる)。
オーラマシン
バイストン・ウェルで開発された、オーラ力を動力源とする戦闘兵器群。生物的な外見が特徴である。
特に早期から生産された人型の機体をオーラバトラーと呼び、オーラバトラー以外にも戦艦のオーラ・シップ等、様々なオーラマシンが造られていった。
強獣
甲殻のある怪獣のような生物。甲殻がオーラマシンの装甲材として使われる他、筋繊維や脳、生体組織から精製した溶液などその血肉が様々に加工されてオーラマシンの材料に使用されており、時に部品調達のためにオーラバトラーによって狩猟されたりもしていた。中にはキマイ・ラグのように生体組織の有能性から乱獲され個体数が激減した強獣もいる。
カ・オス
ガロウ・ランの世界よりさらに下層に位置するという闇の世界、あるいは(エレ曰く)その地獄とも言うべき世界の使者を指していうもの(いわば地獄のか)。ドレイクが終盤に「ルーザを八つ裂きにしてカ・オスにくれてやる」と毒づいているが、その他には特に触れられていない。
リーンの翼
バイストン・ウェルに伝承される沓。資格のある人物(聖戦士等)が履けば、光の翼が発現して飛行することが可能。

登場作品

特記事項がない場合はTV版『ダンバイン』設定での登場。

設定上、基本的にバイストン・ウェルには他の参戦作品の登場人物は存在せず、また『ダンバイン』以外のシリーズ作品が同時参戦している場合、平行世界の存在としてバイストン・ウェルが2つ存在する事も多い。また、ゲーム中に出てくるバイストン・ウェル兵の服装はアの国のものである。

αシリーズ

スーパーロボット大戦α
アーガマごとバイストン・ウェルに召喚される。

COMPACTシリーズ

スーパーロボット大戦COMPACT
第1話でいきなりバイストン・ウェルに召喚される。ドレイク城周辺がマップとして登場するほか、マーベルがタータラ城へ向かうドレイク軍を足止めする場面もある。
スーパーロボット大戦COMPACT2 第1部:地上激動篇
ジャブロー突入直前でそこを占拠していたアインストの手により、アムロ・レイカミーユ・ビダンファ・ユイリィクリスチーナ・マッケンジーシロー・アマダゲッターチームショウ・ザマチャム・ファウジョウ・マヤレニー・アイが飛ばされてしまう。なお、仮にも『ダンバイン』の登場人物にも関わらず、ガラリア・ニャムヒートッド・ギネスはその場に居合わせなかったため、地上に残るメンバーとなる[3][4]
主人公であるキョウスケ・ナンブが飛ばされるか否か(どちらのルートになるか)はフラグ次第。戦力が分断されたことでジャブロー突入を諦めることになる。
スーパーロボット大戦IMPACT
COMPACT2の面々に加えてアレンビー・ビアズリーも飛ばされてしまう。
スーパーロボット大戦COMPACT3
TV版ダンバインとOVA版ダンバインの二つのバイストン・ウェルが存在している。
大量の修羅異世界に渡ったことで次元が不安定になったこと(偶発的)と次元移動が行えるミザル・トゥバルの能力(意図的)で、TV版のバイストン・ウェルと惑星ガイアと地上の間の行き来を繰り返す事になる。一方でOVA版のバイストン・ウェルには、一度しか訪れない。
TV版の序盤から再現されるため、ギブン領、エルフ城周辺、ラウの国がマップとして登場する。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦UX
初登場となる『リーンの翼』版のみ登場し、TV版『ダンバイン』の世界は台詞で語られるのみ。
ホウジョウ国が民衆に圧政を敷いており、それに抵抗する反乱軍との間で戦乱が引き起こされている。自軍は2度バイストン・ウェルに転移しており[5]、反乱軍に助力するコトとなったため、原作とは違い反乱軍は壊滅せず救われ、アマルガン・ルドルら反乱軍メンバーも最後まで自軍に同行する。
また、条件を満たしているとフェストゥムを道連れに散華したはずの羽佐間翔子が召喚され、反乱軍にて凄腕の女聖戦士として活躍していたという驚愕のクロスオーバーが発生する。
第2章最終話で再びオーラロードが開き、ホウジョウ軍はバイストン・ウェルへと戻ることになる一方、反乱軍の面々は地上に残されてアルティメット・クロスに参加したままとなる。一足先に帰還させられたホウジョウ軍の動向が気になるところではあるが、28話で地上に戻る前に司馬懿が「城のオーラマシンは全て破壊した」と告げているためエンディングで反乱軍が戻るまでに軍を再建できるかは難しいだろう。
スーパーロボット大戦BX
本作ではプレイヤーが関わっている時期には一切バイストン・ウェルに転移することは無く、直接登場するのはプロローグでショウが召喚された際のみ。
…だというにも関わらず、「ショウたち三人の他に海動真上まで機体と共にドレイクによって召喚されていた」というこれまた大胆なクロスオーバーがある。

Scramble Commanderシリーズ

スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd
TERRAのオーバーロード作戦に参加した特機群が作戦中に召喚される。「嵐の玉」や「ラース・ワウ城」のマップが登場。

VXT三部作

スーパーロボット大戦X
直接は舞台にならず、存在に言及されるのみ。ショットは物質世界を「生の世界」、バイストン・ウェルを「死の世界」、アル・ワースを「生と死の狭間の世界」と評した。
スーパーロボット大戦T
久々にOVA版ダンバイン設定で登場。本作では700年前の(TV版ダンバインの)戦いの最後に開いた、大規模なオーラロードの影響でセフィーロと地続きになっている。
700年前の戦いは「オーラバトラー事件」として記録は残っていたものの、当時の政府や研究機関が調査を続けたもののバイストン・ウェルの存在が実証できなかったため、事件の風化と共に都市伝説のような扱いになっていった。

単独作品

スーパーロボット大戦Card Chronicle
ア・バオア・クーでの決戦後、カイルスホワイトベースを除く連邦軍のメンバーがこの地に飛ばされてしまう。偽りの宇宙にて、アの国が連邦に組み入れられている。
クレディオによる世界統合後、ホウジョウ軍と反乱軍がバイストン・ウェルから地上に飛ばされ、「君を見つめて」ではサコミズ王も遅れてカイルスとホウジョウ軍が戦っている宇宙空間に飛ばされた。
「放たれたタマシイ」では、カイルスアンチスパイラルヒトマキナとの決着を着けた際に超螺旋宇宙と繋がってしまい、本来転生により浄化される筈だった亡者たちが「認識の実体化」で復活を遂げ、バイストン・ウェル全土が戦場となってしまう事態に。

余談

  • バイストン・ウェルの名の由来は、当時の富野監督の居住地であった「石神井」のこと。すなわち「by Stone well(バイ ストーンウェル。石の井戸=石神井のそばに)」である。
    • これは富野監督のペンネームである「井荻麟」が、株式会社サンライズの最寄り駅である上井草駅が井荻駅の隣駅であることに由来するという逸話とも符合する話である。
  • 第4次スーパーロボット大戦』において、アムロ・レイは『EX』(ラ・ギアス事件)で遭遇したバイストン・ウェルの勢力について、報告書では「ややこしい」とその存在や説明を完全に省いた(『スーパーロボット大戦F』ではちゃんと報告している)。

脚注

  1. なお、ドレイクが下克上を達成する前、地方領主時代の居城は、ラース・ワウである。また、ここでは地上人の召喚やオーラマシンの開発・量産が行われている。
  2. PSソフト『聖戦士ダンバイン~聖戦士伝説~』では当初、ゴード・トルールがリの国(王城はトルール城)を統治している。後に、リの国に聖戦士として召喚された主人公シュンジ・イザワ(CV:うえだゆうじ氏)が、戦いで致命傷を負ったゴード王の遺命を受けて、新国王となる。
  3. 尤もガラリアもトッドもこの時点では明確にドレイク軍を離反したわけではないので一緒に飛ばされるとややこしくなる可能性はあった。
  4. 地上に残ってしまう代わりに、状況を察して地上組にバイストン・ウェルへの転移を説明する事になる。
  5. 一度目は原作通りの流れで転移するが、早々と戻ることになり、2度目はネロの手で飛ばされた。