パトリック・ザラ
パトリック・ザラは『機動戦士ガンダムSEED』の登場人物。
パトリック・ザラ | |
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登場作品 | |
声優 | 有本欽隆 |
デザイン | 平井久司 |
初登場SRW | 第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ |
プロフィール | |
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種族 | 地球人(コーディネイター) |
性別 | 男 |
所属 | プラント |
役職 | 国防委員長→最高評議会議長 |
概要
アスラン・ザラの実父で、プラント評議会国防委員長であり、後にプラント最高評議会議長を兼任。
プラント評議会における反ナチュラル強硬派の筆頭であり、専ら強硬派はザラ派とも呼称される。元々コーディネイター至上主義者だった上に、更に血のバレンタイン事件で妻のレノア・ザラを失った事もあってナチュラルに対する憎悪が先鋭化している。最高評議会議長に就任してからは、ナチュラルを根絶させる形での戦争終結を目指すというほとんど狂気に取り付かれた独裁者に近い存在となった。
出生率低下を始めとするコーディネイターの限界についても受け入れようとせず、盟友シーゲル・クラインのナチュラルへの回帰を無視し、コーディネイターの英知で対処できると考え、穏健派である彼との対立も深めていく事になった。
プラント最高評議会議長就任後は、評議会に無断でオペレーション・スピットブレイクの内容を改竄[1]し、攻撃予定地をパナマ基地から地球連合軍最高司令部アラスカ基地攻略戦を強行するものの、ラウ・ル・クルーゼの策略により情報が漏れ失敗に終わった上に、地上に残っていたザフト軍の戦力を大幅に失う。その後、フリーダムガンダム強奪事件を利用してシーゲルを暗殺する。
その後はパナマ基地攻略戦を強行し、マスドライバーの破壊に成功。地球連合所有の全マスドライバー施設の破壊と制圧し、連合軍を地球に閉じ込める「オペレーション・ウロボロス」を達成したかに見えたが、僅か一ヵ月後に大量のモビルスーツを投入した地球連合軍の第三次ビクトリア攻防戦で、ビクトリア宇宙港が陥落。ザフトの戦略は大幅な修正を求められ、この際にジェネシスの建造を加速させたとみられる。
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦ではクルーゼの暗躍もあり大量破壊兵器ジェネシスを発射するまでに至ったが、地球に向けて撃つことを諌めた部下のレイ・ユウキを撃って致命傷を負わせる。ついには味方を巻き添えにしてジェネシスを撃とうとした結果、瀕死のユウキに撃たれて死亡、堕ちるべき地獄へと逝くのであった。その最期はアスランに看取られたが、妻を殺したナチュラルへの憎しみの余りに最期まで地球を撃つことに拘った挙句、目の前にいるのがアスランであることにすら気付かなかったため、死と同時に当のアスランから詰られる体たらくであった。
他メディアでもほぼ同じ末路だが、コミックボンボンの漫画版のみ先にアスランのジャスティスガンダム自爆によるジェネシス破壊が発生し、アスランの自らの命をかけて地球を救おうとした姿に感化された(元々ジェネシスによる地球攻撃に疑問を持っていた)部下達に反乱を起こされ、拘束されるという結末を迎える。なお、後述にもあるが、ボンボン版ではアニメ版以上に「父親」としての人間性が強く表れたキャラクターとなっている。
登場作品と役柄
いずれの作品でも、原作通りナチュラルの抹殺に拘っており、また、自分達コーディネイターの力を盲信するが故か、参戦するたびに異星人等の人外の脅威をあまりに軽視しすぎる発言が見られており、ブルーコスモス以上に空気の読めない傍迷惑な指導者としての印象が強く半ばネタキャラと化している感もある。もっとも彼の場合、原作の時点で「ナチュラルを殲滅できるなら地球を滅ぼそうが同朋たるコーディネイターが巻き添えになろうが構わない」という思想の持ち主であったため、地球や人類を防衛しようという考え自体をそもそも持ち合わせていないのだろう。
『W』ではコーディネーター同様に世代を跨いで遺伝子改良を続ける組織である草壁春樹率いる木連(及び追放後の彼の率いるクーデター軍である火星の後継者)と結託している。
αシリーズ
- 第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ
- 初登場作品。『第2次α』のシャアの反乱には同調せず、サイコフレームが見せた人の心の光を見て地球への宣戦を取り止めていたが、血のバレンタインを契機に地球に対して宣戦。基本的には原作と役回りは同じ。
- …とはいえ、原作と違い外宇宙に歴代スパロボでも屈指の強敵を抱えている『第3次α』の状況で戦いを挑むのは空気を読めてないといえる。しかも星間連合と結託してまで地球を攻撃する始末。最大の脅威であるSTMCとその対抗兵器であるBMIIIの情報は得ていたが、その詳細を全く把握していなかったと言ってもよく「対プラント用の兵器としての役割を兼ねている」と判断する[2]など見当外れな言動がやたらと目立った。
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦J
- ほぼ原作と同じ扱い。オルファンを地球側の兵器とでっち上げ、ジェネシスの標的にした。
- スーパーロボット大戦W
- 第1部では木連を密かに支援しており、本作では血のバレンタイン事件が勃発したのはこの事実が発覚した為。
- 第2部で火星の後継者と同盟して地球連合に対抗するが、最終決戦に介入したエイドの大群によってプラントが危険に晒されているにも関わらず、それを無視して地球攻撃を優先するという遂に本末転倒の行動に出てしまい、侵略者の存在を無視してまでナチュラル殲滅に拘るその姿を見かねた部下からの「ザフトの戦力だけで外敵に対抗するのは不可能」と言う制止の言葉も聞こうとしなかった為に、見限られ射殺されてしまった。
- スーパーロボット大戦UX
- 名前が語られる程度だが、かつての戦争で多大な犠牲を出した戦犯として悪名を轟かせている。
単独作品
- スーパーロボット大戦Card Chronicle
- 原作同様にジェネシスを用いた地球壊滅を目論む。なお、戦争が終結した後の処遇は不明。
- スーパーロボット大戦X-Ω
- ストーリークエストでは、「第3章:明けない夜」の終盤にて原作と同じ末路を迎えるが、その後のヤキン・ドゥーエはZマスターによって機界昇華されてしまう。なお、アスランは死に目には現れなかった。
- 期間限定イベントでは、「大決戦! 地球を守る戦士たち」の第3章「集結する力」にて、ジェネシスを用いた謀略をアスランに公表されて失脚していた。
- スーパーロボット大戦DD
- 1章Part8より登場するNPC。2章Part1で原作通りの末路を辿った。
人間関係
家族
- レノア・ザラ(SRW未登場)
- 妻。血のバレンタイン事件で死去。レノアの死がパトリックのナチュラルへの憎悪を掻き立てた。
- レノアが死んでからもパトリックは彼女を愛しており、特にボンボン版では「レノアのいない世界に価値は無い」と思っている程、その愛は強い。しかし、彼女がナチュラルと交友関係を持っていた事を快くは思ってなかったらしくナチュラルに関する考え方には大きな隔たりがあった模様。
- 小説版では関係はむしろ冷めていたとされており、媒体によっては関係も微妙に違っていたりする。
- アスラン・ザラ
- 息子であるはずなのだが、妻の死後は赤の他人同然で冷え切った関係となってしまう。幼い頃のアスランと在りし日の妻の写真を常に側に置いていた所を見ればわかるように、決して愛が無かったわけではない。だが、その不器用さ故に父親として接することができずにすれ違いを繰り返し、アスランがジャスティスをアークエンジェルに預けて父の真意を確認に訪れた際にはナチュラル殲滅を明言したため、激しい口論の末に銃撃までしてしまった。この件以降は決定的な決別に至っており、そのまま最期の時まで分かり合うことができなかった。スパロボ世界では数多の脅威が存在しているにも拘わらずナチュラル殲滅の為に人類同士の争いを優先した事で、彼からは原作以上に失望されている。
プラント
- シーゲル・クライン
- プラント独立運動時代からの同志・盟友。子供同士は婚約者となっている関係だが、路線の違いで対立する。後に、完全に敵対する事となり刺客を送り込んで彼を暗殺した。
- アイリーン・カナーバ
- クライン父娘を反逆者と判断した際に彼女を拘束するが、最終回で脱獄しクーデターを起こした彼女に自分の派閥を一掃される事に。
ザフト
- ラウ・ル・クルーゼ
- 腹心の部下と思っているが、実際はクルーゼが利用しているだけであり、最期まで彼の暗躍と自分が怨敵であるブルーコスモスと一緒に掌で踊らされていた事実を知る事はなく、また彼が実はナチュラルだったことも最後まで気付くこともなかった。
- レイ・ユウキ(SRW未登場)
- ザフトの黒服。最終回で彼に制止されるも逆に銃撃したが、事切れる寸前に彼によって射殺される事に。
その他
他作品との人間関係
- シャピロ・キーツ
- 『第3次α』では彼と密約を交わして地球を攻撃する。
- 三輪防人
- 『第3次α』ではジェネシスの第一次照射により、期せずして彼に引導を渡した。
- 彼も「異星人を殲滅できるなら同朋たる地球人が巻き添えになろうが構わない」という、パトリックと全く同じ危険思想の持ち主であった。
- 草壁春樹
- 『W』では第1部でも第2部でも彼と手を結び、地球連合に対抗する。
- ハザード・パシャ
- 『UX』ではパトリックが故人であるため絡みこそないもの、アスランと対峙した際に「パトリック・ザラの息子である貴様が言えた義理か」と反論する場面がある。…もっとも、アスランからは「だからこそ、二度と過ちを繰り返しはしない」とそれを跳ね除けられてしまうのだが。
- なお『UX』におけるハザードは、思想こそ大きく異なるものの「自らの野望のためにありとあらゆるものへ犠牲を強いる」「大量破壊兵器により同胞もろとも敵を殲滅しようとする」といったパトリックと全く同じ暴挙を行っており、アスランへの罵倒は完全にブーメランと化している。
名台詞
- 「私は何も、地球を占領しよう、まだまだ戦争をしようと申し上げている訳ではない」
「しかし、状況がこのように動いている以上、こちらも相応の措置を執らねばならないのは確かです。中立を公言しているオーブ・ヘリオポリスの裏切り。先日のラクス嬢遭難の際の拉致事件」
「彼らを信じ、対話を続けるべきと言われても、これでは信じろと言う方が無理です」 - 第20話で、プラント中で報道されていたパトリック・ザラの報道。穏健派寄りであるニコルの父ユーリ・アマルフィが「ザラの言っている事は正しい」と息子に話している通りに、この発言は最近の地球側の対応を考えれば、正しい意見である。
- 尤も当の本人は後述の目的のために戦争を激化させている人物であるため、実際はただの詭弁である。
- 「我等コーディネイターはもはや別の、新しい種です。ナチュラルと共にある必要はない」
- 同上。シーゲル・クラインと会議室で言い争った際の一言。コーディネイターの選民意識むき出しの発言であり、ブルーコスモス同様に、相手を「対等な人間」と見做していないことが窺える。
- 余談だが「地球人は既に自分たちとは別の種」という趣旨の台詞は宇宙世紀でも発言している者がいる。
- 「これまでとて決して平坦な道のりではなかったのだ。今度もまた、必ず乗り越えられる。我等が叡知を結集すればッ!」
- シーゲルから「第三世代の出生率が下がり続けているコーディネイターのどこが新たな種だ」と反論された際の発言。
- コーディネイターの優位性を徹底的に信奉しているが故の感情的な反論でしかなく、具体的な解決方法が見えていない事実の裏返しとも言える。
- 「うむ、真のスピットブレイク、頼んだぞ」
- 同上。クルーゼと夜の公園に止めた車の中で、密談しながら。
- 「オペレーション・スピットブレイク」は地球連合軍に残されていた中米のパナマ基地に建設されたマスドライバー「ポルタ・パナマ」制圧作戦のことで、このエピソードで評議会で可決されたばかりだった。
- しかし、実際には軍と国防委員会では評議会の承認なしに攻撃目標を地球連合軍最高司令部アラスカ基地に変更し、連合軍部の上層を一気に壊滅させようとしたが、クルーゼがアズラエルに情報を漏らしたため、参加部隊の八割を失うという大失敗に終わってしまう。
- 小説版では、後に最高評議会で問題視されても世論の圧倒的な支持を武器に、事後承認を得て責任問題を押し切る心積もりだったとの事。しかし、予想外の大敗となってしまったため、議長の椅子すら危うくなり、フリーダム強奪事件を理由に穏健派議員の拘束などのパトリックの暴走が始まる。
- 「スパイを手引きしたラクス・クライン、共に逃亡し行方の解らぬその父、漏洩していたスピットブレイクの攻撃目標…子供でも解る簡単な図式だぞ! クラインが裏切り者なのだ!」
「なのに、この私を追求しようというのか!カナーバらは!奴らの方が、いや!奴らこそが匿っているのだ!そうとしか考えられん!」 - オペレーション・スピットブレイクが失敗した事を報告してきた部下にクライン派の拘束を命じた場面より。実際はザフトと地球連合軍の共倒れを望むクルーゼの策略であるが、当のパトリックは最後までその事実に気付くことは無かった。
- 一方、アスランにも内心では、現在の状況をパトリックにとって都合の良い子供じみた図式に置き換えようとしているのではないかと思われていた(小説版のモノローグにて)。確かに裏切り者がいるという見込みは成り立つが、仮にラクスのスパイ手引きが事実であったとしても、評議会でさえ知らなかったアラスカへの攻撃が先日辞任したシーゲルが知るはずもなく、只作戦の失敗を正当化すると同時に邪魔なクライン派を排除する方便とするこじつけでしかなかった。
- 「勝つために必要となったのだッ! あのエネルギーがッ!」
- 36話。フリーダムガンダムとジャスティスガンダムが核動力及びニュートロンジャマーキャンセラーを搭載していることをアスランから非難された際に。
- ユニウスセブンに核を撃ち込まれており、プラントは核を放棄するとされていたが、結局は軍事利用されてしまっていた。
- 「悪意に満ちた情報に惑わされてはなりません。我らはもはや、ナチュラルとは違う新たな一つの種なのです!」
「現状抱える様々な問題もいずれは我らの叡智が必ずや解決するでしょう!」 - ラクスの反戦を訴える放送に対して、パトリックは連合ではなくナチュラルへの敵意と勝利への意欲をかき立てる。地球の人々が同胞であり、コーディネイターは進化した新たな種ではないとするラクスの根拠はかつてシーゲルも指摘した婚姻統制でも第三世代コーディネイターの出生率低下は止まらない事実を指摘している。が、パトリックはそれさえも否定して論理的根拠など何一つないコーディネイター優性論を唱え続け、遂にはナチュラルが「同じ人間」である事実さえ否定する
- これらはDESTINYの時代でも尾を引き、肌の色で相手を差別して互いが互いを人間であること自体を認めず、共存を求める同胞さえ裏切り者と扱うのは正に西暦時代への逆行で彼らが蔑視する野蛮なナチュラル同士の争い以外の何物でもなかった。只、肌の色が遺伝子操作に変わっただけのコズミック・イラの世界における争いを象徴している一面である。
- 「終わるさ、ナチュラル共が全て滅びれば戦争は終わる!!」
「これはそのための戦争だ! 我らはその為に戦っているのだぞ! それすら忘れたか、お前は!!」 - 42話・アスランに詰め寄られ「力と力でぶつかり合って戦争が終わると思うのですか?」と言われた際にこう返した。もはや完全に目的がナチュラル殲滅となっている事が伺える。
- 父に最低限の理性はあるはずと信じて説得に来たアスランも流石に絶句してしまった。
- 「戦わないと守れないのならば、戦うしかない。」と言っていた当人が「守るため」ではなく「滅ぼすため」の戦争に走ってしまっていた。
- 「見損なったぞ、アスラン」
- 上記のやり取りの後、パトリックはアスランに銃口を突き付け、更に完全武装の兵士たちを室内に呼び込む。アスランはパトリックに銃撃され、ジャスティスとフリーダムの居場所を吐かせるために兵士に連行させる際の一言。
- この一件で、親子関係は完全な断絶と至り、アスランも「俺もです」と返している。
- 「何だとッ! 逃げられたで済むと思うか馬鹿者ッ! すぐ全市に緊急手配しろ、港口閉鎖、軍にも警報を出せ、アレを逃がしてはならんッ!」
「アスランめぇ~ッッ!」 - 上記の経緯で連行されたアスランがクライン派の助力を得て(アスラン自身は単独でも脱走を実行していたが)脱走したとの報告を受けて。
- 呪詛の籠った様な声で息子を罵っているが、同時に銃撃した際に床に落としてしまっていたレノアとアスランが写っている写真立てがデスクに戻っている事がパトリックの心境の複雑さを物語っているのかもしれない。
- 「思い知るがいいナチュラル共。この一撃が我等コーディネイターの創世の光と成らんことを! ジェネシス、発射!」
- 47話「悪夢は再び」ラスト。この号令と共に、戦場に終末の光が迸る…。
- (我等の勝ちだな、ナチュラル共)
- ジェネシスのミラーブロック換装作業がほぼ完了し、第二射のターゲットを地球連合軍の月面プトレマイオス基地へと向ける。
- オペレーターにプトレマイオス基地から発進した連合の増援艦隊の位置を確認した際のモノローグ。
- 地球連合軍第二陣の月艦隊がプトレマイオス基地との直線射線上にいる事を意味しているため、ジェネシスの攻撃で連合増援艦隊と月基地を潰されれば地球連合軍は宇宙戦力の大部分を損耗する。この時点で第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦はほぼザフトに軍配が上がる事になるため、この時点で勝利を確信したのであろう。
- 「! …構わん」
- 48話「怒りの日」にて、出撃前のクルーゼから「アスランを討つことになりますが構いませんね?」と尋ねられて、間を入れながら答える。直後、一人震えていた事から何かしら思うものがあった様子。
- 「急げ、照準入力開始。目標、北米大陸東岸地区」
- ジェネシスの第三射を地球の大西洋連邦領に向けるように指示した際の発言。幕僚であるレイ・ユウキや周囲のザフト兵はパトリックがジェネシスで地球を撃つ筈がないと信じていたが、即座にワシントンへ照準を入力し、早くしろと言わんばかりに怒号を飛ばす。
- ここに至って、レイ・ユウキもパトリックが本気で地球を滅ぼすつもりだと悟り、説得しようとするが……。
- 「ハッ、奴等が…敵がそこにいるのに、なぜそれを撃つなと言う?」
- 「撃たねばならんのだッ! 撃たれる前にッ! 敵は滅ばさねばならん。何故ッ、それが分からんッ!」
- 自身を止めようとしたレイ・ユウキを銃撃して、憎悪と狂気に飲み込まれたままにジェネシスの発射シークエンスを始めようとする場面にて。
- この状態に至って、自分たちの国家元首が狂ってしまっていることを悟ったのか、司令部のザフト兵達も驚愕してしまっていた。声色も狂気的なものになっており必聴。
- 「勝つために戦っているのだ! 皆、覚悟はあろうッ!」
- パトリックがジェネシスの発射しようとしているのを見て。もう一人の幕僚が射線上に友軍部隊が展開している事を理由に止めようとするが、パトリックはまるで意に介さずにこの言葉を吐き出す。
- しかし、彼の背後では銃撃され致命傷を負ったレイ・ユウキが拳銃を構えており……
- 「撃て…ジェネシ…我らの…世界を…奪った…報い…」
- 上記の直後に銃撃され、同時に司令部に侵入したアスランに看取られながら死の間際の台詞。最後までパトリックはナチュラル殲滅に取り憑かれたままであった。
- 小説版では憎悪に囚われる余り、目の前にいたのがアスランであることすら気づいていなかった。
- 「あの…バカ息子が…」
「レノアは…お前の母はな…私にとって唯一無二の存在だったのだ…! レノアのいないこの世界など私にとっては…」 - 高山瑞穂版『SEED』の終盤にて。TV版で省かれたパトリックの「父性像」に、僅かながらも踏み込んだ台詞。小説版でもモノローグにてほぼ同様の発言をしていた。
- このように彼の身に降りかかった悲劇に関しては、確かに同情するに値するものであるが、その為に行った大き過ぎる「復讐」は決して許されるものではないだろう。
スパロボシリーズの迷言集
「名台詞」よりも所謂「世迷言」の方が目立つのは、歪みまくったキャラ設定ゆえか…?
- 「STMCやプロトデビルン、バッフ・クランに帝国監察軍…」
「それらの脅威については私とて知っている!」 - 第3次α宇宙ルートより、ヤキン・ドゥーエ司令室内でのアスランとの会話。全銀河的規模の危機よりも一個人の私怨を優先させるパトリックが、それらの脅威についてどの程度把握しているのか、物凄く疑わしい。
- 「私とて人類の未来は考えている! その為にナチュラルを駆逐すると同時に、地球を防衛する為の兵器も用意している!」
「地球安全評議会のBMIIIとイージスの盾を合わせれば、人類を守る事も出来る!」 - まるでどちらもプラントオリジナルの戦力だとばかりの主張に加え、「その為にはコーディネイターが地球の盟主になる必要が有る!」と怪気炎を上げ、何処までも己の私怨の正当性を訴えるのであった。そして、その双方やプラントの戦力を持ってしても銀河消滅の危機を乗り越えるにはまだ足りない。
- 「見たか、ナチュラル共! これが我らの力だ!」
「このジェネシスと月のイージス…そして、BMIIIが有ればSTMCも恐れるに足らん!」 - 『第3次α』第51話「終わらない明日へ」より。ジェネシスの第一次照射で、三輪率いる主力艦隊を一掃した後にブチまけた地球防衛構想。既にイージスもBMIIIも己が手中に収めた気でいる皮算用発言が何とも痛々しいが、同時にSTMCの脅威について全く把握していない事を露呈してしまった。この後、またもや「コーディネイターこそ新たな人類!」と力説するものだから、もう余計に始末が悪い。
- 「例のオルファンという遺跡、宇宙へ出たとの知らせがあった。どうやら巨大宇宙船でもあったらしい。ナチュラル共が乗り込んでいるという情報もある」
- 「そうなる前に破壊するのだ。地上もろともな」
- 『J』宇宙ルート第48話「終末の光 後編」より。浮上したオルファンを地球側の兵器と見做してジェネシスで地上諸共攻撃する事を指示する。もちろんオルファンが地球軍の兵器のはずはなく、オルファンにとってはとんだとばっちりなのだが、でっち上げである事を除けばプラントに対する脅威と認識しているだけ、他勢力の軽視が目立つ他作品の言動よりはマシ…かもしれない。
- 「地球連合軍、及び反乱艦エターナル。そして全ての地球上のナチュラルに告げる。傲慢なるナチュラルの暴挙を、我々は決して許しはしない」
- 「プラントに向かって放たれた核、これはもはや戦争ではない、虐殺だ! そのような暴挙を敢えて犯すナチュラルを、我々はもはや許しては置けない!」
- 「この度の戦いは我らが勝利した。だが、ナチュラルは新たな兵器、オルファンを持って再び宇宙をうかがっている!」
- 「私はここに宣言する、すぐに宇宙に飛び立ったオルファンが新たな驚異となる前に、先制攻撃を持ってこれを破壊すると!」
- 同上。改めて宣戦布告。言っている事自体は正論なところもあるが、特務分艦隊の面々から指摘されている通り核以上の大量破壊兵器を投入している時点で説得力はなく、自身もジェネシスでそのナチュラルの暴挙以上の破局をもたらそうとしている事には気づいていない様子。
- ちなみに驚異は間違いで正しくは脅威である。
- 「ならん! 各戦線がイバリューダーによって混乱している今こそが絶好の好機!」
「ジェネシスのニュートロンジャマーキャンセラーを起動させろ!」 - 『W』第51話プラントで戦闘を止めるルート「進んだ道の先」より。イバリューダーの襲撃に対しても「これこそが好機」と考え、共闘はせず泳がせておく始末。当作においても、人外の脅威を軽視しすぎている事が窺える。
- 「あんな化け物はどうとでもなる! 今はナチュラルどもを滅ぼすことが先決だ!」
「これは何のための戦争か! 連中を葬り去るまたとない機会だぞ!」 - 『X-Ω』第3章第26話より。本作においても同胞のためだと豪語し、ジェネシスをZマスターではなく連邦艦隊へ撃つ暴挙を行おうとする。案の定、直後にザフト兵たちから「あなたにはもう同胞が見えていない」と見限られ射殺される結末を迎えてしまった。この回のサブタイトルが「理想の行く末」である事を考えるとパトリックの末路を皮肉っている様にも見えなくもない。
余談
- 作中ではナチュラルを見下しコーディネイター至上主義を訴える過激なタカ派のように描かれ、何かと「全コーディネイターの為」「コーディネイターこそ新人類」と述べているが、実は彼の言うコーディネイターとは「プラントに住む者だけ」である。と言うのもC.E.の地球圏全体おけるコーディネイターの人口は5億人だが、プラントの占める割合は5000~6000万人と実は圧倒的少数なのである。狂気に飲まれ地球に居る同胞達の事まで考えが及ばなかった…とも考えられるが、実はパトリックら第1世代コーディネイターは、過酷な宇宙環境でプラントを作り上げた世代であり、彼らにとって「プラントは自ら作り上げた故郷」なのである。つまりそこに住まう者たちは苦楽を共にした同胞であり、守るべき民なのである。地球に住む者たちは自分達から奪った富で甘い汁を啜っていた憎むべき敵であり、そこには圧倒的多数を占める地球在住のコーディネイターも含まれているのである。
- 確かに地球に住む以上、プラントの恩恵を受けていたのは事実であるが、地球ではプラントとは比較にならないほど激しいコーディネイターへの差別に晒されていた。特に第1次連合・プラント大戦時にはブルーコスモスシンパが幅を利かせたことで、テロや闇討ち・リンチなどで命の危険に晒される事もあったのである。にも拘わらず、プラント政府は「コーディネイターの総意を語りながら、地球在住のコーディネイターを助ける処か逆に攻撃を仕掛け」「地球在住のコーディネイターの存在を考えずに差別を煽り、高みの見物を決め込んだ」のである。このプラントの対応に地球在住のコーディネイター達は憎悪を抱き、ザフトと戦うため地球連合軍に志願し勇敢に戦ったのである。皮肉な事に、これが地球在住のコーディネイターと地球連合の和解に繋がり、逆にプラントのコーディネイターと地球のコーディネイターの間にさらなる壁ができてしまったのである。
- コーディネイターはその成り立ちから富裕層が多い。経済的に豊かな者はその商売を続ければいいが、商売に失敗し破産した者、資材を投げうって子供をコーディネイターにした者など困窮者も存在する。そう言った者達の受け皿となったのがプラント建設なのである。プラント在住のコーディネイターは一種の棄民であり、地球在住のコーディネイターを蔑ろにするのは彼らへの嫉妬もあるのかもしれない。
- この事からプラントのコーディネイターと地球のコーディネイターの関係は「宇宙世紀のスペースノイドとアースノイドの関係」に近いと言えるだろう。
- 余談の更に余談となるが、パトリックの「プラントに住む者だけが同胞」と言う考えには、実はプラントに住むナチュラルを含んでいる可能性がある[3]。プラントに住むナチュラルは殆どが第1世代コーディネイターの親に当たり、自分達を生み出した偉大な存在であり、プラント建設に出資してくれた正に同胞なのである。故に彼らを否定する事は自らの否定に他ならず、排除など有り得ないのである。これは、第1次連合・プラント大戦時も徹底され、オーブからのコーディネイターの子・親戚を持つナチュラルの難民・亡命を認め手厚く保護している[4][5]。仮に彼らを排除しようものならば、彼らの子に当たるコーディネイター達の反発を受けるのは必至であろう。
- ヤキン戦役後だが、コーディネイター兵士の有能性と貢献度を目の当たりにした地球連合内に「地球のコーディネイターとプラントのコーディネイターは別」との考えが広がっていく。同様にプラントでも「プラント在住のナチュラルと地球に住むナチュラルは別」「地球在住のコーディネイターは裏切り者」との考えが広がっていても不思議ではない。
- パトリックらタカ派が、ナチュラルの排斥を訴えながら、プラントのナチュラルの排斥に消極的と考えられる理由の一つに「プラント在住のナチュラルの人口は減少傾向にある」と言うものがある。前述した様にプラント在住のナチュラルは第1世代コーディネイターの親に当たり、(子をコーディネイターにした時期にもよるが)高齢化が進んでいる。その中には望郷の念に駆られ「余生は地球で過ごしたい」と帰還を望む(或いは「した」)者も多く、人口を減らしている。また、ナチュラルの移住希望者の多くがコーディネイターの子供・親戚を持つ者であり、例え親が若年者であっても次代がコーディネイターである以上、増える可能性は限りなく低く、出生率が低下し先細りしているコーディネイター以上に、プラントのナチュラルは先細りしているのである。つまり、プラントがナチュラルに取って代わられる可能性は限りなく低く、この事を理解しているからこそ、パトリック等タカ派もナチュラルの住民を脅威とは考えておらず「来る者は拒まず、去る者は追わず」とドンと構えているのであろう。
- 出生率に関して言えばナチュラルの移住希望者の多くがコーディネイターの子を持つ者と言う事は、出生率低下に悩むプラント政府の行う婚姻統制に新しい遺伝子パターンが増える事になり、子供が産める夫婦の組み合わせが増える。ナチュラルが親と言う事は、子は当然ながら出生率の下がっていない第1世代コーディネイター(下がるのは第2世代以降)であり、プラントの出生率向上に貢献できる。ナチュラル帰りを拒否し、婚姻統制や科学的方法を模索していたパトリックからしたら(前述のナチュラル住民の人口減少もあり)寧ろ喜ばしい事であり、歓迎していた可能性すらある。
脚注
- ↑ クルーゼと「真のスピットブレイク」について密談しているため、評議会に作戦案を出した時点で、アラスカ強襲を目論んでいたと思われる。ただし、そのクルーゼによってアズラエル経由で地球連合本部に作戦内容をリークされてしまった。
- ↑ 実際はプラントはおろか地球圏がまとめて消滅してしまうレベルの兵器であり、この時点でSTMCという脅威に対する無理解ぶりが現れている。
- ↑ 作中でプラント政府によるナチュラル住民の排斥は行われず、ザラ派が政権を握っていた時も同様である。
- ↑ オーブからの難民・亡命が相次いだのは当のパトリックら強硬タカ派が政権を握っていた時である。HDリマスター版の第41話「ゆれる世界」ではオーブから移住したシン・アスカがパトリックの演説を聞いているシーンが追加されていることもそれを裏付けているといえる。
- ↑ ヤキン戦役後だが、キラもナチュラルの両親を伴ってのプラントへの移住を考えていた。見方を変えればオーブよりナチュラルの生活環境が良いと解釈できる。