ニュートロンジャマーキャンセラー
ニュートロンジャマーキャンセラーとは、『機動戦士ガンダムSEED』に登場するニュートロンジャマーを無効化する装置。
概要編集
ニコル・アマルフィの父であり、ザフトの中枢ともいえる軍事工場をまとめたプラントの責任者でもあるユーリ・アマルフィが開発した。ユーリは元々は穏健派であったが息子ニコルの戦死により強硬派へと転身し、ニュートロンジャマーキャンセラーを開発し軍事利用する道へと走っていった。
ニュートロンジャマーキャンセラーはニュートロンジャマーと異なり、効果範囲はだいたいモビルスーツ1機分程度で、基本的に核エンジンと併設する形で搭載されているようである[1]。ニュートロンジャマーキャンセラーの製造にはベースマテリアル(原材料)となる特殊物質が必要で、その地下資源は地球上では大西洋連邦が独占しているが、その後、火星でもベースマテリアルの大鉱脈が発見されている。
ニュートロンジャマーキャンセラーの初出は、フリーダムガンダムおよびジャスティスガンダムである。核分裂炉を搭載することで、膨大な火力とフェイズシフト装甲を維持したままで長い稼働時間を得られるようになった(それに伴い、「GUNDAM」のOSも独自の物に変更されている)。
ニュートロンジャマーキャンセラーはザフトが極秘で開発した技術であったが、このデータはラウ・ル・クルーゼが解放したフレイ・アルスターの手を経て地球連合軍に伝えられてしまう。これによって、地球連合軍の主力モビルアーマーであるメビウスに核ミサイルが装備可能になり、[2]実際ボアズが核攻撃されるなどプラントは血のバレンタインに続く再びの核攻撃の危機に陥った。
『機動戦士ガンダムSEED』の舞台となった第1次連合・プラント大戦終結後に締結された「ユニウス条約」で、ニュートロンジャマーキャンセラーはミラージュコロイドと共に軍事目的での利用が禁止される。しかし、続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の舞台となる二度目の大戦が勃発したC.E.73年時には殆ど無視され、地球連合軍はマルチランチャーパックを搭載したウィンダムで構成された核攻撃部隊「クルセイダーズ」を編成し核攻撃を実行する、ザフトはハイパーデュートリオンエンジンの開発に使用する等していた。
また、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』では、この装置によって再び核兵器が使用可能になってしまったため、新しく核兵器を封印する装置として「ニュートロンスタンピーダー」が登場している。なお、ニュートロンスタンピーダーの製造にはニュートロンジャマーキャンセラーと共通のベースマテリアルが使われていることと、ニュートロンスタンピーダーの能力が核反応を暴走させて核爆発させることを鑑みるに、ニュートロンジャマーキャンセラーはニュートロンジャマーの影響を打ち消すというよりも、影響下でも強引に核反応を起こさせる能力である可能性がある。
なお、あくまでも核エンジンからの電力はほぼ無尽蔵になるが、MSを飛ばす推進剤やレールガン・頭部バルカンのような実弾を消費した場合は当然ながらキャンセラー搭載機であっても補給が必要になる。
登場作品編集
αシリーズ編集
- 第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ
- ほぼ無意味な存在。何故、意味が無いのかというと『第3次α』のニュートロンジャマーは他のガンダムシリーズとの兼ね合いにより、地上には打ち込まれておらず、対核兵器用としてプラント周辺とザフト製戦艦にしか付けられていないからである。ちなみに、前述した他のガンダムシリーズの存在によりαシリーズのMSはニュートロンジャマーの影響を受けない核融合で動く機体が大多数でバッテリーで動く『SEED』のMSの方が異例。なので、ニュートロンジャマー下でも核エンジンで動くMSを作るためという理由でキャンセラーを作るのは疑問が残る。
- フォローするならば本作のプラントは情報統制で一般市民や連邦軍人の多くがその存在を知らなかったので、その関係で鎖国状態だったせいでプラントは核融合の小型化が原作通りできなかったという理由が考えられるが。
携帯機シリーズ編集
- スーパーロボット大戦J
- 本作ではフューリー由来の技術。
- スーパーロボット大戦W
- 機体のENを15%回復するという特殊能力という扱い。フリーダム、ジャスティス、ローエングリン装備のブルーフレームセカンド(他の形態では未搭載)、ドレッドノート(Xアストレイ)、ハイペリオン(カナード機・強化後)に搭載されている。フリーダムやブルーフレームセカンド、Xアストレイの燃費の悪さを見事にフォローしている。
- なお、フレイはアークエンジェルに回収されるので、地球連合軍にニュートロンジャマーキャンセラーのデータが渡らず、新国連側の元で平和利用される事に。代わりにプラントにはある人物が技術を横流しした核より危険なフェルミオンミサイルが雨あられの如く飛んでいくものの、本作では生還する可能性のあるニコルにとっては自分のせいで作られたNJCによってプラントが核攻撃を受けてしまうという最悪な出来事は結果的に起きずに済んだ。
- スーパーロボット大戦K、スーパーロボット大戦L
- フリーダムに搭載されている。効果は『W』の時と同じ。元々フリーダムの燃費が非常に良いおかげで、ハイマットフルバーストをバンバン撃ってもガス欠しない。それを実感できるのは自軍運用できる『K』だけだが…。
単独作品編集
- スーパーロボット大戦DD
- 原作同様フリーダムとジャスティスに搭載されていることが語られる。本作では両機(の必殺技パーツ)のアビリティは「核エンジン」表記。
関連用語編集
- ニュートロンジャマー
- ザフトが開発した全ての核分裂を抑制する装置。地球連合軍による核攻撃の報復として、地球に大量に投下された。
- ニュートロンスタンピーダー
- ザフトが開発した核分裂を過剰促進させて核兵器を自爆させる装置。続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する。
- 必要なベースマテリアルはニュートロンジャマーキャンセラーと同一だが、膨大な量が必要なので「ユニウス条約」で利用が禁止されたニュートロンジャマーキャンセラーを解体して製造された。
- ハイパーデュートリオンエンジン
- 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する動力機関。デュートリオンビーム送電システムと核動力を統合したもので、核動力を動かすためにニュートロンジャマーキャンセラーが搭載されている。ザフトも「ユニウス条約」を守るつもりがなかったことが窺える。
関連項目編集
脚注編集
- ↑ 実際には最初に搭載されたドレッドノートガンダムの物は機体の周囲にも効果を発揮したためその後に搭載されたものは意図的に範囲を狭くしている。搭載場所も頭部だった。また『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY R』ではNダガーNの物も周囲にも効果を発揮していたが、そのせいでNダガーNが隠れていることに気付かれるという失態を犯している。
- ↑ ちなみに、『機動戦士ガンダムSEED』第46話「たましいの場所」で情報を入手して翌第47話「悪夢は再び」で実装されたため、まるで量産が容易であるかのように見えるかもしれないが、実際には実装されるまでに2ヶ月を要している。この間の出来事を描いたのが『機動戦士ガンダムSEED X ASTRAY』である。