黒の英知

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黒の英知(Black Wisdom)

第2次スーパーロボット大戦Z』に登場した用語。

「過去から未来、全ての知を集めたもの」であり、太極の欠片。これに手にした人間は限りない英知を手に入れると言うものである。具体的には以下の通り。

  • 銀河のあらゆる事象が記録されたもの。それは過去のみならず、未来にまで及んでいる。
  • 砕け散った太極の欠片であり、スフィアと同じルーツを持つ。
  • 多元世界全てにあまねく存在し、これに触れることで大いなる力(オリジン・ローの本質と思われる)の一部を操る力を得る。
  • 「Z」の世界観に存在する、「根源の災厄が次元を超え、あらゆる世界を巻き込んだ挙句に全てを滅ぼす」という事実が記録されており、黒の英知に触れた者は例外なくこれを知る。
  • 無印Zの「黒歴史」は、この「黒の英知」に記された事象の顛末のほんの一部。[1]第2次Zの多元世界を構成するどこかの世界においては、神話として伝えられる過去の話。
  • どこかのジ・エーデル・ベルナルがこれに触れた事で、全ての世界の「ジ・エーデル」は次元力に関する能力を手に入れた。
    • その一人であるエルガンは並行世界の自分との交信能力と常人を超えた寿命を得ている。

考察

継承者たちの中には「奴ら」なる、バアルと共にやって来るという存在に言及している者が何人かいる。 ヴェーダの制御コードに「CHRONO H(クロノ・エイチ)」という文字が設定されているが、こちらが本来の呼称である可能性もある。「CHRONO」はギリシャ語で「時間」を意味する。また、この真実に近い者は「クロノエイチ」とカタカナ表記で呼ぶことが多く、「黒の英知」という漢字表記は当て字である可能性も高い。さらに言うならば、前述の制御コードから類推して「黒の『H』⇒Black history⇒黒歴史」とも関連できる。

また、黒歴史が黒の英知の顛末の一部であるという事項だが、これに関してはある推察が立てられる。

Z終盤の原作ルート「私はD.O.M.E.……」/IFルート「黒歴史の真実」で示された映像には「東映版甲児の知らないマジンガー」「凄まじい機動力を見せるゲッターロボ」「細部の違うボスボロット」「バルディオスやゴッドシグマなどZEUTHの機体」が映されていた。
このうちマジンガーとゲッターに関しては「マジンカイザーと真・ゲッター」という予測が為されていたが、第2次Zを考えると、この2機の正体は「ゴッドスクランダーを装備した『真』のマジンガーZ」と「対インベーダー用真・ゲッター」である、という可能性が浮上してきている(映像に映っていたZEUTHのメンバーに、東映版の甲児やゲッターチームではなく彼らが参入していた、ということである。尤も、『真マジンガー』はZ発売より後の作品なので、Zの時点ではマジンカイザーを想定していたものと思われる)。

Zの世界は12000年のスパンで回る閉じた時間の環となっているが、本編の前のループの中に、ADWが含まれている可能性は十分にあり得る。 この手がかりとなるのがアポロニアスである。Zの登場作品の世界の存在である彼は、ADWの存在であるガイオウやチェンゲの竜馬、ロージェノムやバジュラと共に、インベーダーなどバアルを相手に共闘していたことが示唆されているからである。

つまり、12000年のループを繰り返す中で何度も何度も構成・分離・再構成を繰り返す多元世界を構成する世界は常に一定ではなく、時々に応じて別の世界が入っている可能性もある。この推察で言うならば、前のループには「世界最後の日」「衝撃!Z編」が入っており、本編の世界では「ゲッターロボ」「マジンガーZ」が入った、ということである(無論、それ以前のループで「マクロスF」や「グレンラガン」が入っていた可能性も十分にある)。であれば、第2次Zの世界における「過去の神話として伝えられる黒歴史」は、「Z本編以前に行われていた別のZEUTHの戦い」と解釈が出来る。

「根源的な災厄」

黒の英知に記されているという「根源的な災厄」だが、この正体の正確なところは不明。だが、ヒントは存在する。 それは、OGシリーズギリアムクォヴレーが言及した「大いなる終焉」である。

スパロボシリーズにおいて「太極」の単語はZシリーズへの関わりを意味する。OGSでそれを発言したギリアムは、シュテルン・ノイレジセイアを見て「お前が大いなる終焉を導く因子であるのなら、この戦いは別の意味を持つ」と述べた上で、レジセイアがそれを理解できないのを知ると「ならば、お前は太極へ至るものではない」と断言している。

これを読み解いてみると、もしレジセイアが「因子」だったならば、それを討滅することは「大いなる終焉=全ての宇宙の終焉」を一歩遠ざけることに繋がる。そして、「太極へ至るものではない」という断言は、裏返すと「大いなる終焉を導く因子を持つ=太極へ至る可能性を持つ」ということになる。

これらから浮かび上がって来るのはスフィアの存在であり、再世篇におけるシャルルやアイムの言動からするに、「スフィアを持つ者は大いなる終焉を導く存在たりうる」ということになる。スフィアはZシリーズの世界観の根幹にある太極の欠片であるため、それが「終焉」を導く因子であるとすれば、「生命体の根源的な災厄」というフレーズは別の意味を持ってくることになる。また、ガイオウスフィア・リアクターと対峙した時の戦闘台詞を読み解く限り、「12の鍵=スフィア=ソルの記憶」が集まる事を危険視しており、その事を考慮すればスフィアが「終焉」を導く因子である可能性が高い。

これを防ぐ方法があるのかないのかは不明だが、シャルルやV.V.、エルガンなどの言動から見るに、「人類が相互理解を実現する」ことが災厄に立ち向かう大きな力となることがわかる。

また、ガイオウの言葉によれば、「遙かな過去に」「遠い次元で」「人類が禁忌を犯した」がゆえに「黙示録の時が訪れ」「人類は最悪の敵に遭遇し」「宇宙は滅びの時を迎えようとした」らしい。次元将はそのために生み出された存在であり、その使命に同調して共に戦ったのがアポロニアスであり、バジュラであり、ミケーネの神々であるという。ただ時獄篇の展開を見る限り、あくまで敵を同じくしたゆえの共闘であったらしい(人を軽視するミケーネ神と、人を愛するアポロニアスとでは本来相容れない)。

「根源的な災厄」とは、恐らくZシリーズにおいて全ての存在の根幹に位置する太極によって齎される審判のことであろうと思われる。これは、αシリーズにおけるアカシックレコードアポカリュプシスの関係に似ている。そして、それを招く一因であろう「禁忌」とは、次元力を操ること……ひいては次元を超えることと考えられる。

また、ガドライトいわく、第3次Zの世界は「時獄」と呼ばれる状況に陥っているらしい。それによれば、新生時空振動の影響により、第3次Zの世界は新多元世紀0001年11月11日で絶対時間が停止するという。一日の流れや四季の経過など、相対的な時間の流れは持続するも、絶対的な時間は変化せず、死も生もない……それこそパラダイムシティと同様の事態に陥り、やがてはゆっくりと滅亡に落ちていく。これが「神」の齎す「枝分かれした二つの獄」の片割れにして「慈悲」たる「エタニティ・フラット」である。これはリモネシアやオーディスなど、大規模な時空崩壊・時空震動の中心点ほどより強く影響が発生する模様。版権作品で言うと、「天元突破グレンラガン」でアンチスパイラルが使った「多元宇宙迷宮」と似たような原理。

原理的には、完全に他世界と隔絶された次元内における限定的な法則の書き換えによるもの(ぶっちゃけるとαのクロスゲート・パラダイム・システム)。

実は、新生時空震動どころか大時空震動以前にこの状態に陥った人物が存在し、それがメール・ビーターである。彼女は一時死亡した際、ランドの叫びに呼応して覚醒した「傷だらけの獅子のスフィア」をその身に取り込んでおり、その結果自身の絶対時間が停止、まったく体が成長しなくなっていた(実質的な影響は髪の毛だけだったが、それでも異常事態には違いない)。メールの場合は「傷だらけの獅子」が分離してガンレオンに戻ったことで時間の経過が一気に戻っている。

また新生時空震動の際、「烙印」を持つ者たちを基点として世界中の人間の記憶が操作されており(恐らくスフィアの力)、その結果旧ZEUTH・旧ZEXISはかつての仲間たちのことを忘れ去り、また獣戦機隊やザンボットチーム、ブルーフィクサー達は「配置換え」の結果第3次Zの世界の「アオの星」からいなくなっていた。

時獄篇最終局面でアンチスパイラルが語ったところによれば、「根源的な災厄」の正体は、「スパイラルネメシスを恐れるナニモノカの怒り」である。その「ナニモノカ」は、「太陽の時代を生きる」生命体が進化からシンカ(神化)へ差し掛かるのを感知すると、その宇宙の全てを滅ぼすことでスパイラルネメシスを阻止するという。それこそが「根源的な災厄」の正体であり、「宇宙の生命全ての究極の敵」であり、「神の怒り」である。

そして、それこそがアサキムを呪縛し、無限平行世界に干渉を繰り返す「彼ら」であり、サイデリアルに属する者であり、Zシリーズ全てを繋ぐ黒幕である。

なおカタカナ表記の「シンカ」は、ハーデス神やカヲル、不動ZENが方向性こそ違えど(ミケーネスなどは「偏った」、カヲルとZENは「正しい」)シンカを遂げたとされていることから、おそらくは「神化」と書くと思われる。余談だが、ゲッターロボ・サーガの原作者である石川賢氏の作品でも似たようなフレーズが出てくる。道を誤らなければいずれ人類は宇宙を征服し、神と呼ばれる存在を超える力を持つ。奇しくも時獄篇では正しい道を進んでいく人々の戦いが描かれ、反して歪んだシンカを経た悪鬼羅刹に等しい者達との戦いが描かれた。

これを裏付けるように、「正しくシンカした」面々は不動ZEN、渚カヲル、ゼウス神と人の姿を持っており、反対に「歪んだシンカを遂げた」面々はハーデス神、宇宙魔王、ミカゲと程度の差はあれ怪物じみた姿をしている。

また、「真戦」とは、12000年の周期で死と新生を繰り返す多元世界のループが最後の一周に入ったときに起きる、神と悪魔=高位生命体=シンカを遂げた者達(神)とバアル(悪魔)による次元規模の死闘であり、ループ閉塞時には「シンカ」に至っていない生物は全て滅亡すると言う。

この宇宙の死と新生の環を繰り返す中で人は少しずつシンカして行き、最終的に「太陽の輝き」を超えることでシンカへと至る。終末予言を示す5つのキーワードは、時獄篇以前に存在した4つの時代のシンボルであり、サイデリアルはエタニティ・フラット構築に当たってこれらの象徴たる力を持った人物たちをアオの星に集めていた。

関連用語

太極
根源たる概念にしてルーツ。「陰陽」の二つの要素に分かれている。太極図で「黒=陰」となるため、この「陰」が黒の英知ではないかと言われている。
スフィア
「ソルの記憶」「ソルの心」とも呼ばれる、同様のルーツを持つ存在。これに触れ、その本質に至ったものが黒の英知を垣間見る。
アカシックレコード
太極と同一視されている。「黒の英知」とはアカシックレコードのなかでも「触れてはならない忌まわしい未来や過去」と言えるだろう。
黒歴史
ほぼ同一の存在。

関連人物

黒の英知に触れた人物

Dr.ヘル
ズール皇帝
ムゲ・ゾルバドス
メジ
クエントの最長老。日々を瞑想で過ごしており、その中で触れたらしい。
V.V.
ワイズマン
彼の干渉により、C.C.は記憶を取り戻すと同時に黒の英知に触れることとなった。
エルガン・ローディック
アサキム曰く「真の継承者」であるとのこと。
シャルル・ジ・ブリタニア
ジ・エーデル・ベルナル
上述の通り。彼は並行存在の中で比較的強い影響を受けており、絶望の未来に対する逃避から享楽主義に走った、との推察がなされた。
アサキム・ドーウィン
明言はされていないが、経緯と立場からして確実に何かを知っている。
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア
再世篇のZRルートではシャルルと対峙した際に一瞬黒の英知に触れ、エルガンの意図にも気付いている。
ハーデス神
再世篇では「荒ぶる神」の名で呼ばれている。
ズールやムゲの同志であり、「暗黒の力」の使い手であるが本編の時間軸では既に滅んでいる。時獄篇ではあしゅらによって復活してしまう。
シャア・アズナブル
第3次Z時獄篇での描写を見ると特異点となった際に黒の英知に触れたものと思われる。
宇宙魔王
ブラックホールの正体は「マイナスのオリジン・ローの塊」であり、それと一体化することで黒の英知に触れたとされる。

その他

コーウェンスティンガー
インベーダー勢力はバアルと呼ばれ黒の英知関連を知る者達にも知られている。
リボンズ・アルマーク
ヴェーダの奥底に黒の英知が隠されている事を知り、手に入れようとするがその概要や代償などは全く知らず、世界の支配に有用な力か何かだと勘違いしていた。
アイム・ライアード
彼もまた黒の英知を求めており、再世篇の終盤で前述の存在について言及している。

余談

  • 太極は「陰陽」の二つの要素に分かれている。「黒の英知(クロノエイチ)」が大極図で「黒=陰」を表している。「白=陽」に該当するものは今の所不明だが、語感からするとガイオウいう所の「ソルの記憶」ないしアイムの言う「ソルの心」なのかも知れない。陰陽五行論では「太極が陰陽に別れた」という意味もある。
  • ダークブレインの専用BGMの名は「闇黒の叡智(あんこくのえいち)」と呼ぶ。現在の所、特別繋がりはないものの、存在や目的を踏まえると後付けながら関連性が帯びてくる。

脚注

  1. それを伝える使者のD.O.M.E.建造の際にはジ・エーデルの誰かが関わっていたのではないかとエルガンは推測していた