世界征服とは、文字通り世界の全権を掌握することである。ありとあらゆる創作物において戦略的目標に掲げられる事業の事である。

概要

古くはマケドニアの英雄アレクサンダー大王が、蒙古の英雄チンギス・ハンが、コルシカの俊英ナポレオンが、ナチス・ドイツの天才ヒットラーが望みながらも成し遂げることがついぞ叶わなかった、地上の全てを自身の政権が統治する行為の事。具体的にどうすれば「世界征服」が完了するかは誰も成功した事が無いので定義は無いのだが、「他の独立政権(群雄)が反乱を起こしたりせず、全ての経済システムを掌握し、自身の制定した法律が世界全土の統一法となる」くらいになれば、世界征服は完了したと言える。そういう意味では地球連邦政府は世界征服が完了した(しかし現在は崩壊しつつある)組織といえるのかもしれない。

多くの作品で敵キャラ、そして一部の作品では主人公たちがこれを成し遂げようとし、そこで戦いが巻き起こるというのが常である。

「世界征服」は基本的に地球人、あるいは地球居住者を先祖に持つスペースノイドが使用する事が多く、異星人や異次元人などルーツが地球に無い組織が行う場合には「地球征服」「地球侵略」と称される。後者の場合、自分たちの母星で言えば世界征服は完了していて(後述の通りレジスタンスなどもいるケースがあるが)、更なる拡大を求め他の星々を征服しようというコーポレートガバナンスが更に大きく「全宇宙支配」などになっているケースもある。

何にせよ、方法の如何を問わず地球の全国家の政権を打倒したとして、問題となるのはその後の統治方法である。統治者は世界征服を成し遂げた以上、「人類全滅」などを考えていない限りはその国体を護持せねばならず、その為にはインフラを整え、国民がキチンと納税し社会を回してもらわなければ困る……のだが、そこまで描いている作品はほとんどない。というか基本的にそういった征服者達は征服した地からの搾取のみを考えていることがほとんど。特に「地球侵略」が成功した場合を描いている作品では、征服者側のそもそもの価値観が全く地球人とは異なるため、人類が奴隷化され、地球が半ば侵略者の私物と化すケースが多い。

世界征服/地球侵略の目的

目的が明かされていない作品も多いが、中にはなぜそういった武力介入に至ったかを明確に描いている作品も見受けられる(特にリアル系の敵組織)。

待遇改善・報復措置
国家レベルの話では、スペースノイドなど、地球の統治機構の植民地状態だった場合に最も多い理由。いわゆる革命や反乱である。この場合、体制側も腐敗が顕著になっているケースがある。
救済措置
体制側(地球)の戦争や格差社会・環境問題等を憂い、自分達に都合よく作り変えてしまおうというタイプ。この場合、統治者は体制側に対して抱いている感情は憎悪や怨恨・蔑視ではなく、割と真剣に憂慮しているケースがある。最も、この手のタイプはいくら目的が良くても、手段が極端すぎるものが多いのだが。
危険視
体制側(地球)を環境破壊や戦争などで危険視し、「先手を打って潰してしまおう」あるいは「自身と同一の信条で統一してしまおう」と考えるケース。
ビジネス
売買・商取引による外貨会得の為の手段として侵略を行う。「死の商人」「シンジゲート」タイプの悪役はこれが多い。
略奪
商取引などというまだるっこしい事は行わず、そこに自分達が欲しいもの(奴隷含む)があるから強奪する、という野蛮なタイプの侵略。「宇宙海賊」はこのケースが多く、わかりやすい勧善懲悪になるためか子供向けの作品ではこのタイプの侵略者が多い。
移民
故郷となる惑星等が滅失、あるいは存亡の危機に直面したことに伴い、居住地を求めて行う侵攻。この場合、いきなり攻めてくるケースもあれば、当初は講和を望みながらもやがて侵略戦争に変わるケースもある。中にはそれに事欠いて領土を拡張しようと目論む例もある。
侵略意欲
そもそも奪うとか統治するといった目的すら無く、「侵略」という手段自体が目的化しているタイプ。「銀河統一」「全宇宙征服」など戦略的目標が非常に大きいケースも。あまりに長く独裁が進みすぎて、当初の戦争目的を忘れてしまった場合なども含む。
生命維持の為
自分達が個体を維持し繁栄する手段として、他の惑星あるいはそこに居住する生物を利用するというケース。
価値観の相違
価値観が地球人とは全く異なり、コミュニケーション手段等彼らの言動自体が人類にとって障害となるため、悪意があろうが無かろうが実質的に侵略になってしまうケース。ほとんど異星人というか怪獣のような扱いである。
ゲーム感覚・快楽の為
侵略自体が彼らにとってのゲームや趣味・嗜好であり、特に生きる上で必要でもないのに行うというタイプ。
このタイプの敵は原則同情の余地全く無しというスタンスで描かれるため、単なる蛮族の集団等でない場合にはSRWにおいても黒幕ポジションになる事が多い。
絶対悪
そもそもが「全宇宙の悪意の結集体」などといった、「侵略」以外を構成する要素が一つもない、というケース。手段の目的化どころか、手段と目的が完全に同一であり、それ以外の行為に及ぶ可能性が全く無いパターンである。ただし、首領が絶対悪であってもその真意を隠していた為、幹部や末端はその事を知らないというパターンが多い(その場合は裏切りイベントが発生することも)。
その設定故、SRWではラスボスもしくはその前座となるパターンが多い。
強硬措置
外敵などの別の脅威が存在する為、それに対しバラバラとなった戦力を結集させるためにやむを得ず武力による統一を選ぶケース。
創作でもまれな侵略目標であり、SRWにおいては実質的な第1作である『第2次スーパーロボット大戦』の敵がこれに相当するので、以降もたまにこのタイプの侵略者が登場する事がある。

世界征服/地球侵略に成功した組織

本節では『新機動戦記ガンダムW』『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』『オーバーマン キングゲイナー』『天元突破グレンラガン』等のように「主人公たちが反体制側で、悪政を敷く統治機構に反逆するタイプの作品」における「最初から物語に存在する統治機構・公権力」の類は割愛する。ただし、その敵勢力を打倒・掌握し、その旧勢力の保有する権力の座に付いた場合は例外的に記載する。

Dr.ヘル真マジンガーZERO
TVアニメ、OVA、映画の全てで夢半ばにして散って行ったが、本作では全人類の過半数を虐殺し、光子力研究所以外の全てを掌握した。
グラドス軍蒼き流星SPTレイズナー
元々は冷戦を過熱させて地球を自滅させようとするも失敗し、自力で武力制圧を行い、地球侵略に成功する。「グラドスの優れた文化を継承させる」と称し、圧政を敷き地上のあらゆるメディアを焼き払っていたが、「刻印」発動により地球と断絶する事となる。
ルルーシュ・ランペルージコードギアス 反逆のルルーシュR2
本来は「ゼロ」を名乗り、敵組織である神聖ブリタニア帝国と戦っていたブリタニアの皇子なのだが、終盤でブリタニアを掌握するに至り、実質的な全世界征服に成功する。(本来の目的はその後、悪の独裁者という建前で打倒されることであった)
ムゲ・ゾルバドス帝国スーパーロボット大戦64
冒頭で上記のグラドス軍を用いて地球を完全に征服した。
マリーメイア軍スーパーロボット大戦R
原作『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』におけるクーデターが成功し、連邦政府を降伏させ新地球連邦を掌握する。
主人公たちが過去世界に飛んだ影響で、ヒイロらにより原作通りクーデターが失敗する事となった。