ヴィンデル・マウザー
ヴィンデル・マウザーは『スーパーロボット大戦A』の登場人物。
ヴィンデル・マウザー | |
---|---|
登場作品 | |
声優 | 梅津秀行 |
初登場SRW | スーパーロボット大戦A |
SRWでの分類 | パイロット |
プロフィール | |
---|---|
種族 | 地球人 |
性別 | 男 |
所属組織 | 地球連邦軍 |
所属部隊 | シャドウミラー |
軍階級 | 大佐 |
概要
シャドウミラーの指揮官にして『スーパーロボット大戦A』の黒幕であり、本作のラストボス。階級は大佐。
ヴィンデルの目標は、平和による緩慢な腐敗を阻止するために、戦争が日常的にある世界を作る事。元の世界でそのためのクーデターに失敗し、別世界(平行世界)へと逃げて来たが、最終的には元の世界に戻るつもりらしい。その際様々な平行世界に介入して常に戦争を引き起こすという壮大な計画を立てていた。
しかし、その本音は「自分が戦っていたいだけ」という自己満足・自己陶酔以外の何物でもなく、部下から皮肉られたり、最終的には裏切られたりと、誰からも理解を得られず散々な結末を迎える事が多い。それは彼が『救う』つもりだった「生きる場所を失った兵士達」や「闘争の中で進歩を勝ち取った戦士達」にもその思想を否定されていることや、地球連邦の軍人であるにもかかわらず闘争の世界を実現させるために地球侵略を目論む異星人と結託したりしたことからも見て取れる。
また永遠の闘争を掲げながらクーデターを起こすも失敗していることが小物感を醸し出している上、その後にやった事が「逃亡先の世界で八つ当たり紛いの戦争を引き起こす」というものであり、そこで世界が被った被害を考えると極めて自分勝手かつ傍迷惑な敵首領と言えるだろう。そういう意味では、ドルチェノフやオルバン大元帥等とは違う意味で「小悪党の代表」に相応しい人物とも言える。実際、『A』『OG2』において「闘争の世界」という理想を実現するために様々な組織や異星人と手を組むが、お互いに利用し合うだけの関係でしかなかった。結局両シリーズを通してヴィンデルの思想に理解を示して協力関係を築けたのは『OG2』のイーグレット・フェフとリー・リンジュンの二人だけで、リーに関しては「ハガネ隊(特にテツヤ・オノデラ)への当てつけ」という側面もあったため実質フェフ一人だけであった。
また下記にも記述があるが、元居た世界には『A』ではガイゾック、『OGシリーズ』ではベーオウルフ(アインスト)が存在していたため、そもそも腐敗するほど平和が続いていたのか怪しいのに、「戦いたいから戦乱を起こす」という矛盾した思想と行動を行っていた可能性が示唆されている。
登場作品と役柄
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦A
- 初登場作品。ラスボス。主人公級ほぼ全員と戦闘前会話イベントを起こす割に、乗機のツヴァイザーゲインはHP6万程度と打たれ弱く、全員どころか4、5人で落ちてしまう。また、そんな打たれ弱さ+ステージの構造も相まって、1ターンキルもされかれない。装甲値もキュベレイ、ドン・ザウサー以下である。こんな打たれ弱さでは出撃したメンバー分の台詞を聞くことも困難である。最後は主人公によってツヴァイを次元転移弾として使われ、爆発の中に消えていった。
- ちなみに、レモンともども登場作品の中で唯一カットインがある。この時点では髪にソバージュがかかっておらず、普通のストレート。
- スーパーロボット大戦A PORTABLE
- 流石に1ターンキルはどうかと思ったのか、初めて戦う時でもHP10万、最終的には26万となった。またOG同様マップ兵器も追加された(弾数制ではなくEN消費型)。全キャラ唯一の2回行動やターン制限もあって、かなりの強敵と化している。だが、ドン・ザウサーなどと比べると、ツヴァイザーゲインの装甲が低めで、かつEN回復が無いためガス欠を起こしやすいのが弱点である。なお、本作でも一応1ターンキルは可能だが、覚醒、再動、補給、献身あたりが使えるパイロットは必須で入念に準備をしないと困難を極める。
- 恒例の各主人公との戦闘前会話は健在。今作ではコウとの戦闘前会話も補完された。
OGシリーズ
- スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION2
- 『A』とほぼ同じ流れで戦う。『A』ほど弱くはないものの、その後のMAPからアインストレジセイアが大挙出現するため、インパクト負けする。おまけに、ツヴァイに追加されたMAPWで自分を巻き込んでしまう事が多々あるという少々間抜けな一面も。最後は次元転移を行おうとしたが、ギリアムに因果地平の彼方へと飛ばされかけ、結局ラミアに止めを刺された。
- スーパーロボット大戦OG ORIGINAL GENERATIONS
- 今回から声が入った。強さはGBA版『OG2』とあまり変わらないが気力限界突破が加わっているため、気力は170。自分で放ったMAPWに自分で喰らうことはなくなったが、新しく設定されたツイン精神コマンドは本人のキャラクターに合わない「祈り」となっている。
- スーパーロボット大戦OG INFINITE BATTLE
- プレイアブルキャラクター。
- スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター
- キャラクター造形が変更され、黒タイツからアバラが浮いているなど武闘の心得を感じさせる。役回りはアニメでも変わらないが、リーがシャドウミラー側に付かない本作ではダイテツを殺したのは実質彼である。最終決戦ではツヴァイザーゲインは特に因縁の無いブリットの虎龍王に撃破されている。最期はギリアムが作動させたシステムXNの余波に巻き込まれて消息不明に。アクセルにその死を悼んでもらえただけ、ある意味誰にもその死を悼んでもらえなかったゲームよりマシと言えなくもない。
パイロットステータス
能力値
総指揮官のはずだが、アクセルと比べると能力が若干低い。格闘・防御・命中に優れ素の能力は悪くないのだが、成長タイプがザコと同じ「標準型」の為、伸びが悪いのがその理由。しかし乗機のツヴァイザーゲインの性能がそれを補って余りあるので強さは十分。OGsでは離れた敵でも「麒麟・極」で落としにかかって来る。
精神コマンド
特殊技能(特殊スキル)
- AP
- 2回行動、底力L9、切り払いL8、カウンター、ヒット&アウェイ、インファイトL9
- APでは唯一、2回行動の特殊技能を持つパイロット。
- OG2
- 指揮官L4、底力L9、カウンターL9、連続攻撃L4、リベンジ、ガード
- OGS
- 指揮官L4、底力L9、カウンターL9、気力限界突破、リベンジ、ガード
- OGSでは連続攻撃がなくなったため、代わりに気力限界突破が追加。これにより只でさえ高い攻撃力がさらに上昇。とにかくカウンター+リベンジが恐ろしい。命中の高さも相まって、生半可な強化では撃った端から返り討ちに遭って行く。
エースボーナス
専用BGM
人間関係
- レモン・ブロウニング
- 腹心の部下であるが、「戦争が無ければ生まれることはなかった存在」としてヴィンデルの思想をある程度理解しているだけで、所詮は利害一致による協力関係に過ぎなかった面が強い。
- アクセル・アルマー
- 腹心の部下にして、無二の戦友。お互いのことを非常に信頼し合っていたが、A主人公バージョンにおいては最終的に彼にも自身の思想は否定される。また、OG外伝でも修羅によって闘争の世界と化した世界を否定している。
- ラミア・ラヴレス
- スパイとして潜り込ませたが、人間の情愛を知る事で「感情」を得て、最終的にヴィンデルを裏切る事となる。
- リー・リンジュン
- 捕虜になった彼を説得し味方に引き入れる。しかし、彼自身は不甲斐無い軍を抜け出したかっただけであり、ヴィンデルの思想を有耶無耶に受け入れた側面が強い。[1]
- ギリアム・イェーガー
- 平行世界への確実な転移のために、彼を捕らえようとする。が、結局最後まで反抗された挙句に、ヴィンデルに引導を渡す事となる。
- ベーオウルフ
- 元の世界では彼の率いる特殊鎮圧部隊により敗北している。
- バン・バ・チュン、アギラ・セトメ、イーグレット・フェフ、アーチボルド・グリムズ、ミツコ・イスルギ、ウェンドロ・ボルクェーデ
- 利害一致から、互いに利用しあう。しかしヴィンデルの思想に理解を示して協力関係を築けたのは、全作品を通してフェフ一人だけであった。
- ダイテツ・ミナセ
- 「ジ・インスペクター」ではリーに代わってダイテツにトドメを刺した。
版権作品との人間関係
- キラー・ザ・ブッチャー
- 『A』では平行世界から招き寄せ、彼らガイゾックにシャドウミラーへの協力をさせた。原作とは異なりコンピュータドール第8号によって作られたロボットという設定で、主人公は「Wシリーズのようなものか。だからヴィンデルは操ることが出来たというわけか?」と推測していた(ただしブッチャー自身は「ガイゾックの意志に従っているだけだ」と否定していた)。
- ただし逆を返せばこんな奴らがいる状況下で元いた世界が平和だったかどうかは怪しいものがあり、ヴィンデル自身が叫んでいた「元いた世界は平和が続いたから腐敗した」という発言が真っ赤なウソであった可能性であることを示唆してしまっている。
- ハマーン・カーン、エギーユ・デラーズ、ウォン・ユンファ、デキム・バートン、ドルチェノフ、草壁春樹、オルバン大元帥、ベガ大王
- 『A』では彼らに協力を申し出ては、利用した。その中にはドルチェノフやウォン、オルバンといったそうそうたる小悪党が含まれているのが何とも言えない。ただし、ハマーンとデラーズは部下がシャドウミラーの存在を警戒していた(後述)。
- メガノイド
- 『A』では彼らにも取り入ろうとしたが、自分達以外を信用しないメガノイドには取り入ることは出来ずスパイとして送り込んだWシリーズをソルジャーに改造されてしまった。
- シャア・アズナブル、トレーズ・クシュリナーダ
- 『A』ではかつて彼らに協力を申し出た事もあるが、断られている。
- マシュマー・セロ、東方不敗マスター・アジア、ギルトール、プリンス・ハイネル
- 『A』では彼らにシャドウミラーの存在を煙たがられていた。
- アナベル・ガトー
- 組織上は協力態勢にあるが警戒感を持っていた。ガトー自身もテロリストではあるが戦争自体を目的にはしていない点がヴィンデルとは異なっており、ヴィンデルの思想を「この宇宙で散っていった多くの英霊の意志を踏み躙ろうとしている」と断じていた。
- リリーナ・ドーリアン
- 『A』ではマリーメイア軍と共に拘束した。「タカ派とハト派の代表」の片割れとの事だがタカかハトかは言うまでもないだろう。
- 三輪防人
- 『A』ではリリーナ同様にマリーメイア軍と共に拘束した。
- 非戦闘員を軽視する軍人至上主義者という点ではヴィンデルと非常に似通っており、実際『闘将ダイモス』原作では同胞である地球人・民間人に対し自分の意に沿わなければ役立たず扱いする態度を示しており、さらには水爆でバーム星人もろとも35万の地球人を犠牲にしようとしたり、敵を疲弊させるために民間人を捨ておくなど非道を働き、終いには「助けた非戦闘員は足手まといで連中にできる事といったらせいぜいベッドを塞いで無駄飯を食う事だけ」などと発言しているため、本質的にはヴィンデルとほとんど変わらない、いやそれ以上に質が悪いとも言える[2]。
名台詞
戦闘台詞
- 「ツヴァイザーゲインの刃……じっくりと味わうがいい!」
- 闇刃閃使用時の台詞。何でもない台詞だが、実は「現れた『影』」でしか見られない。決戦時は「ツヴァイの~」と略されている。
- 「そうか…これが…世界を変える力…か…」
- 『A』での被撃墜時。戦争の必要性を訴え抗争を日常とする世界を求めるヴィンデルにしてはやけに潔く謙虚な発言である。一応「自分の思想を否定する程の力を持った者達を認めた」ようにも捉えられる発言だが、その後の台詞でそのような様子は見られない事を思うと不自然な台詞と言われても仕方がない。
- 「このような結末…私は認めん!」
- 『OGS』及び『AP』での被撃墜時。上記の台詞と比べれば、こちらの方がいかにもヴィンデルらしいと言えるだろう。
携帯機シリーズ
A
- 「戦争は好きか嫌いかで行うものではない。それに…私は奴らが嫌いではない」
「目的を達成するためだけに創られていながら、それがさも自分の意思のように考え、行動する……風体は問題ではない。そのコンセプトはむしろ美しいとさえ言えるだろう」 - 第20話「あの忘れえぬ日々」or「ツヴァイザーゲイン」。ガイゾックに対する評価。ヴィンデルの言うような存在としてはスパロボでは八卦衆が近いだろうか。
- OGではマシンナリー・チルドレンに対して同様の発言をしている。
- 「私は楽しくて仕方がない。……この感覚……闘争だよ」
「そして、そこから生み出される混沌こそが我々の望むものだ」 - 第25話「星灯りの小夜曲」or「スターライト・セレナーデ」。理想云々以前に戦争の快楽とスリルを好むバトルマニアとしてのヴィンデルの本音が表れた台詞。それを受けて、レモンからは「自分が望むもの」と皮肉られる。
- 「…平和は何も生み出さん。ただ世界を腐敗させていくのみ。そして…闘争を忘れた者達は兵士を…軍を切り捨てる。我らの存在を否定するのだ」
- 第27話「あなたがいて、私がいる」or「エンドレス・ワルツ」。シャドウミラーを離反した主人公に対しての台詞。あたかも平和のために切り捨てられた犠牲者のように語っているが、主人公は直後に、離反のきっかけとなったデューク・フリードの言葉を引用して否定している。
- 「別にネオ・ジオンに義理立てをするわけではない。これは復讐だ」
「奴は『我々のような者達に居場所は無い』と言った」
「奴が正しいのか、それとも私が正しいのか…はっきりとさせてから、例の装置の最終調整に入る。でなければ、私の気がすまん」 - アクセルルート第37話「真実の輝き」。転移に成功し、ネオ・ジオンが攻勢に出る中のアクシズでの台詞。信頼できる同志であったアクセルの裏切りには相当な怒りを感じていたようだ。
- 「だが、闘争は人間にとって滋養分なのだ。それがない世界は、ゆっくりと腐敗し…やがて取り返しのつかない世界となる」
- 最終話「極めて近く、限りなく遠い世界に」。プレイヤー部隊に述べた己の持論。ただしヴィンデルの元いた世界がどのように腐敗したのか直接的な描写が無い上に、ヴィンデル自身はその世界の治安部隊に敗走してきたことを踏まえると、負け惜しみにしかなっていないのが情けないところである。プレイヤー部隊からも「それはお前達の勝手な理屈だ」「屁理屈ってんだよ」と返されている。
- また、闘争が長年続いた世界を描いた作品で宇宙世紀やアストラギウス銀河、ペンタゴナワールドの例があるが、長い戦いにより失われた技術や生活水準・文明レベルの後退など、闘争が滋養分になどならないことが描写されている。
- 「くだらん。見込みはあるかと、最後通告のつもりで話していたが…どうやら、この世界も愚か者の集まりのようだな」
- 上記の後、プレイヤー部隊にヴィンデルの思想を否定されたことに対して。この直後に『A』では万丈に「お前一人が愚か者なのさ」と、『OG2』ではレーツェルに「否定させていただこう。愚かなのはお前も同じだ」と返されており、最早自分の周りが見えていない「裸の王様」同然となってしまっている。
- ヴィンデル「アムロ・レイか。ニュータイプとしての優れた素質を持っていながら、その力を開花できなかった男。…フフ、それでは私の世界で、ア・バオア・クーから帰還できなかったアムロ・レイと同じこと!」
アムロ「僕は一度逃げたさ。…だが、今はここにいる」
ヴィンデル「ニュータイプ覚醒への引き金は、戦争だったはずだ。闘争を日常とする世界…それが実現すれば、君も再び輝かしいニュータイプへの道を歩めるかもしれんぞ?」
アムロ「必要ない。僕のあとは、カミーユが、ジュドーが、ルーが…若い世代が引き継いでいく…!俺も奴も、そのための礎になれればいい…!」
ヴィンデル「奴…!?」 - 最終話でのアムロとの戦闘前台詞。ヴィンデルのいた世界ではアムロは小説版『機動戦士ガンダム』と同じ末路を辿っており、闘争の世界ならニュータイプ能力を開花できると嘯くが、アムロは若い世代に後を託し「奴」と共にその礎になるとし、ヴィンデルの誘いを完全に否定する。
- ヴィンデル「…話は聞いた。シャア…アズナブルらしいな、お前は」
クワトロ「……」
ヴィンデル「私がいた世界では、ネオ・ジオンの総帥にまでなっている男が…情けないとは思わないのか?このままでは世界は変わらん…それがわかっていたからこそ、シャア・アズナブルは…」
クワトロ「私はクワトロ・バジーナだ。それ以上でも、それ以下でもないのでな…!」 - 最終話でのクワトロとの戦闘前台詞。ヴィンデルの世界ではシャアは『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』と同じ展開を迎えたようだが、この世界では「人類は変わっていく」ことを確信したからこそ「クワトロ・バジーナ」としてヴィンデルによるアクシズ落としを阻止すべく戦うという真逆の展開を迎え、それこそがヴィンデルの思想を否定したも同然と言える。
- 「人が死なない戦争など、ありえないのだ!」
「人類は、もともと戦争をしたがっている!そして、そこから生まれる進化を待っているのだ!」 - 最終話でのジュドーとの戦闘前台詞。「何人殺せば気が済むんだ」という言葉への反論だが、どう考えてもヴィンデルの身勝手な理屈を人類全ての理屈のようにすり替えている、エゴに満ちた発言でしかない。
- ヴィンデル「お前たちこそ、戦争の落とし子だ。そのお前たちの存在価値を否定する世界…それに耐えられるのか?」
デュオ「違いねえ」
トロワ「俺は名無しになるな」
五飛「闘争こそが魂の拠り所だと思っていた。だが、それは逃げていただけだった」
カトル「どうですかね、ヒイロ」
ヒイロ「…任務を開始する」
ヴィンデル「任務?誰がお前たちに任務を与える?」
ヒイロ「俺たち自身だ」 - 最終話での『ガンダムW』のガンダム乗りの5人との戦闘前台詞。「戦争の中でしか生きられない兵士」だった5人だが、誰でもない彼ら自身の意志でヴィンデルの「闘争を日常とする世界」という理想を否定し、「ヴィンデルを倒す」任務を遂行すべく戦う。
- 「あんな休戦などすぐに破られる。地球人同士でさえ争っている地球人が異星人とうまくやっていけると思っているのか!」
- 最終話での一矢との戦闘前台詞。Aに限らずスパロボシリーズでは「地球を侵略しに来た異星人の撃退などそっちのけで人類同士の戦争や利権争いを続ける地球圏内の人間組織」が嫌と言うほど登場している事も踏まえると、嫌味ながらもある一理ある指摘ではあり、スパロボシリーズで時折発生する「価値観世界観の違う作品同士を同一の世界に描くことで生じがちな矛盾や無理のある設定」にメスを入れた台詞とも捉えられる。
- ただし、ヴィンデル率いるシャドウミラーはバーム星人に限らず各異星人に取り入って戦争の火種を撒いたという事実もあることに加え、『闘将ダイモス』のストーリーの場合、当初は地球圏への移住を求めていた異星人が異星人側の内輪揉めで戦争になっている。それも『A』では前述の通りシャドウミラーの工作員がバーム星人の指導者を暗殺したせいであり、戦争の首謀者が言うのは単なるマッチポンプの開き直りであり、説得力はない。
- ヴィンデル「出来んかもしれん。それに、いつまで続くかもかわからん。闘争が日常となる世界ならば…」
ユリカ「ケンカはしません! 時々はするかもしれないけど…時々だからいいんです! でも、戦争は時々でも、ましてや、いっつもなんて、あっちゃいけないものです!」 - 最終話でのユリカとの戦闘前台詞。一見ヴィンデルらしい言い回しだがこれはユリカへ「私を倒したあとどうするつもりだ」と問うたのに対し「アキトと幸せな家庭を築きます!」という返答された事へのツッコミ。おそらくヴィンデルとしては劇場版で起こった惨事を示唆しようとしていたのだろうが、途中で言い返されたこともあって具体的な惨事には言及されず、結果として冷静な顔で(自称)新婚カップルへの皮肉を零すという少々微笑ましい返答になってしまっている。言葉を遮ったユリカの返答のせいで、闘争を日常とする世界という主張が、まるで夫婦喧嘩の絶えない家庭が長続きするという主張のように感じられてしまう。
- 「得られるもののために、失うものもある、両立などできるわけがあるまい」
- 最終話での万丈との戦闘前会話。戦争によって得られるものを分かっていても、失うものを理解していないメガノイドと同じ人間以下だと糾弾する万丈をこの台詞で一蹴するも、彼から「それを目指せるのが人間だ!」と啖呵を切られてしまう。
- ヴィンデル「悪しき考えを持つ生物を滅ぼすのがガイゾック…いや、コンピュータドール第8号の使命ならば、私が手引きするまでもなく、地球は襲われる運命にあったのだ」
宇宙太「理屈ばっかじゃねえかよ、てめえ!」
恵子「悪しき考えを持っているのは、あなたでしょ!」
ヴィンデル「ならばなぜ、ブッチャーは私に協力し、お前たちを滅ぼそうとした? 答えは明白だ。私の考えは間違っていないという証明ではないのか?」 - 最終話での勝平との戦闘前会話。地球人類を抹殺しようとするガイゾックを手引きしたことを語っているが、単にガイゾックはシャドウミラーを自分の都合で利用したに過ぎず、利用価値と義理が無ければ殺されているような人間が言えたことではない(もっとも、ヴィンデルもガイゾックをWシリーズ同様に「人形」として利用していたに過ぎないが)。そして、既にその揺さぶりが通じる勝平ではなく、直後に跳ねのけられている。
- ケーン「ドルチェノフもムカつく野郎だったが、てめえはそれ以上だぜ!」
ヴィンデル「個人の感情で戦うようでは、優れた兵士とはいえん!」
タップ「俺たち、なりたくて兵士になったわけじゃないしなあ」
ライト「そういう事」 - 最終話でのドラグナーチームとの戦闘前会話。まさしく個人の感情で戦っているヴィンデルが言えたことではなく、2行目の台詞を吐いた時点で矛盾しているのだが、ドラグナーチームにとって兵士の在り方などどうでもいいのか誰一人として論破する気すらなく、この矛盾点は放置されている。
- ヴィンデル「望む、望まないは関係ない、事実、お前たちが試作D兵器を守り抜いたために…ドラグーンは予想以上の完成度になってしまった」
ケーン「知ったことかよ! 俺たちゃ、早いとこもとの生活に戻りてえから戦ってんだ!」
ヴィンデル「そこまでの戦闘能力を持っていながら…ドラグナーを降りたら、なんの役にも立たん能力なのだぞ!」
ライト「いいじゃない」
タップ「のんびり暮らすさ。ただ、今は仕事だからな」
ヴィンデル「仕事だと?」
ケーン「仕事だよ。…『ドラグナー』の意味、知ってるか?俺たちは地球っていう城を守る…騎兵隊さ!」 - その続き。一刻も早く元に戻りたい、ただそれだけのために戦っており、戦士としての存在に一切固執しない3人のことをヴィンデルは何も理解できなかった。平行世界ではただの一般人に過ぎず、名前すら知られていなかったケーン・ワカバ、タップ・オセアノ、ライト・ニューマン…彼らによって、連邦軍の量産機開発計画に介入したシャドウミラーの計画を狂わされてしまった時点で、闘争を求めるヴィンデルの理想は全否定されたも同然であった。そんな彼らの在り方に関わっていったことで、腐れ縁を結んだアクセルは絆され、或いはラミアは感情を学び、どちらのケースでも離反することになってしまったため、平行世界に居ただけのただの一般人が、ある意味で最もシャドウミラー打倒のきっかけになったと考えると、因果なものである。
- ヴィンデル「フフフ…戦争は人を強くすると言うがやはりそれは真実のようだな。新兵だったお前がジオンのエースと渡り合うまでに成長したのが、まさにそれを体現している」
コウ「…だとしたら、俺は奴に感謝する!貴様を倒す力を与えてくれたんだからな!」
ヴィンデル「私を倒せばお前の成長も止まるぞ? それでいいのか?考えるまでもあるまい!」
コウ「貴様に話す舌など持っていないっ! 約束は果たすぞ、ガトーォォッ!」 - 『A PORTABLE』最終話でのコウとの戦闘前会話。GBA版では何故かコウだけ主人公キャラであるにも拘らずヴィンデルとの戦闘前会話が用意されていなかったが、リメイクにあたりフォローされる形となった。
- 確かにこの戦いを通じて士官学校を出て間もなかったコウが成長したのは事実であり、この発言にも一理あるが、コウはガトーとの約束を果たすべく、敢えてガトーの言葉を使ってヴィンデルの言葉を一蹴した。
OGシリーズ
- ヴィンデル「W17に問うても無駄だ。先ほどリー中佐が言った通り、奴は任務に忠実な人形だからな」
アラド「え!?」
クスハ「に、人形だなんて……!」 - 『OG2』「壊れた人形」より、『A』同様ラミアが自爆装置での脅迫を仕掛ける場面にて、アラドが説得したのを嘲笑うような発言。…しかしレモンはラミアに指令を伝える際、この作戦に「自分で考えて自分で決める」ことを伝えていた。そして、潜入先での様々な経験を経たラミアの「感情」が出した結論は、ヴィンデル、そしてシャドウミラーの望むものではなかった…
- ヴィンデル「己の理想を成し遂げるためには敵とも手を組む…お前と同じだ、バン大佐」
バン「ヴィンデル!貴様、異星人に地球を明け渡すつもりか!?」
ヴィンデル「都合がいいのだよ、闘争を日常とする世界を創り上げるには」 - 『OG2』「オペレーション・プランタジネット(後編)」より、インスペクターと結託したことをバンに問われて。ヴィンデルにとっては「自分が闘っていられる日常」が実現するなら(平行世界とはいえ)地球が異星人に占領されようが構わないという、自己満足・自己陶酔以外の何物でもない薄っぺらな本音が垣間見られた台詞である。
- 劇中ではあまり指摘されていないが、異世界の出身とはいえヴィンデルはれっきとした地球連邦の軍人であり、異星人を地球へ引き入れて戦争の火種を撒き散らす行為は外患誘致同然である。
- 「ぬ、ぬおおっ! 貴様などに!」
「貴様のような人形などにぃぃぃぃぃぃっ!!」 - 『OG2』での断末魔。最後まで彼はラミアを「人形」としか見ず、それゆえに足下をすくわれる形となって果てた。
- ギリアム「久しぶりだな……大佐」
ヴィンデル「フッ、フフフフ……。全くだ、ヘリオス・オリンパス…それがお前の素顔か……」 - 『ジ・インスペクター』にてヘリオスことギリアムと再会して。なお、笑う少し前に長い間が入っている事から、素顔を見て困惑していたようである。この事から「あちら側」の人間はギリアムの素顔を誰も見た事が無かった事が窺える(少なくともシャドウミラーには一人もいない)。
- 「全機、ヘリオスを捕獲せよ!」
- 『ジ・インスペクター』にて「我等に下るなら今のうちだぞ」をギリアムに蹴られた後、Wシリーズ隊に指令を出すが…
- 「ええい!出せるWシリーズは、全て出せ!」
- 海中から現れたグルンガスト参式にエルアインス達を一刀両断された時。実に小物っぽい台詞。
- 「ヘリオス…貴様は一体、何者なのだ……!?」
- 『ジ・インスペクター』にてギリアムが自分の過去の一端を語った際の台詞(ゲームでもほぼ同じ発言をしている)。
- 「や、やめろぉぉぉぉぉっ!!?」
「ヘリオオオオオォォォォォァァァァァァ……!」 - 『ジ・インスペクター』での断末魔。最後の方は声が完全に裏返っており、ウェンドロほどではないがかなり情けない最期となった。
迷台詞
- レモン「ナデシコがあの場を脱出する方法もね。…火星極冠の遺跡ユニットを飛ばされた、か。まさかそんなことするなんてねえ…よほど優秀な指揮官がいるようね」
- ヴィンデル「どうかな、もしくはよほどの大馬鹿者だ」
- 『A(AP)』第36話。木連に反戦の動きが見られ、更に演算ユニットが外宇宙に放出された件での会話。ヴィンデル達は至って真面目な話をしているのだが、「大馬鹿者」と言われたこの後ユリカが「誰かが噂をしている」とくしゃみをするためなんだかギャグシーンにも見えてしまう。
- ナレーション「新西歴と呼ばれる時代…かどうかは定かではないが、白星市という町を牛耳ろうとしている黒い影があった。その名は…影鏡組」
- ヴィンデル「影鏡組では無い。我らはオフィスシャドウミラー…市民の皆さんをお守りする代わりに安全保障費用を頂いている極めて全うな会社なのだよん。」
- ドラマCD『魔星にほえろ』より。…まっとうな会社と言いつつやっていることはただのヤ○ザである。
搭乗機体
余談
- 姓のマウザーは『A』発売当時ドイツに存在した銃器メーカーの「マウザー(Mauser)」からとみられる(日本では由来は不明だが「モーゼル」と呼ばれる事が多い)。『A』発売当時としたように、『A』発売後の2004年にマウザー社は同じドイツの工業メーカーであるラインメタル社に吸収されて会社として無くなっている。
- その髪型の過激なソバージュ具合から、ファンからは「ワカメ」の愛称で親しまれている。また乗機のツヴァイザーゲインの演出で分身するものが多い為、「増えるワカメ」とも呼ばれている。
- 『A』終盤でヴィンデルは最終的に元の世界へ帰還しようと企んでいたものの、ただでさえ1度目の転移で多くの戦力を失っている事に始まり、現地補強を繰り返してもなお戦力の大部分をプレイヤー部隊との戦闘で損失していたため、帰還できた所でかつて自分たちを打ち負かした元いた世界の正規軍に勝てる見込みがある状況とは言い難いため(ヴィンデルの中ではあったようだが)、仮に帰還できたところでどうするつもりだったのかは不明である。後にOGシリーズでは「様々な平行世界へ武装介入する」という目標が追加設定されたが(『A』でも主人公たちがヴィンデルを帰還させればそうなると危惧していた)、その場合更なる戦力不足が見込まれる上に「自分たちより強い軍隊を立て続けに見て、負けてきたのにより強い敵対組織が現れない」という大前提で計画を練っている事になる。