「マーサ・ビスト・カーバイン」の版間の差分
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== 概要 == | == 概要 == | ||
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− | + | === 人物 === | |
+ | ビスト家の出身で、[[サイアム・ビスト]]の孫の一人で、[[カーディアス・ビスト]]の妹。[[アルベルト・ビスト]]と[[バナージ・リンクス]]の叔母にもあたる。カーディアスの死後は、ビスト家の当主代行も務めている | ||
− | + | 妖艶な美貌と政治的な才覚を持ち合わせた野心家で、アナハイム・エレクトロニクスの創業者一族であるカーバイン家に嫁いだ後は、カーディアスを凌ぐ程の政治的手腕を発揮。社内でも絶大的な権勢を振るうが、自らの美貌さえも武器にする等、目的の為に利用出来る物は何でも利用し、そして手段も選ばない非道さも持ち合わせており、時には破滅的な行動や言動も見せる事さえある等、かなりの危険人物。過去に、サイアムによって実の子であった父を謀殺された事に大きなショックを受け、それ以降はサイアムや彼の言いなりになっているカーディアス、そして男社会そのものに対して激しい憎悪を持つ様になり、その事が現在のエキセントリックな内面を持つに至っている模様。 | |
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+ | なお、ドイツの哲学者ニーチェの格言に「怪物と闘う者は自らも怪物にならないように気を付けなければならない」というものが有るが、'''男社会を憎むあまりに気質までもが(憎むべき)男そのものになってしまった'''マーサに対しても充分当てはまるものだと言えよう。ちなみに、この点に関してはサイアムにも当てはまってしまうのは、何処までも皮肉であると言えよう(サイアムは、「地球連邦」という怪物から[[ラプラスの箱]]を守る為に、唆されたとはいえ反逆を目論んだマーサとカーディアスの父親(次男)を抹殺する「子殺し」の怪物になり果てた)。 | ||
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+ | === 劇中の様相 === | ||
+ | ==== [[機動戦士ガンダムUC]] ==== | ||
+ | 物語において、サイアムがカーディアスにラプラスの箱の解放を命じる事になるが、[[ビスト財団]]とアナハイム・エレクトロニクス、地球連邦との関係維持を望んでいたマーサはそれに反発・ラプラスの箱の解放を阻止すべく暗躍を行い、カーディアスの息子であるアルベルトを差し向けて、彼を死に追いやる。 | ||
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+ | その後、ビスト家の当主代行の地位を手に入れたマーサは、捕虜として囚われていた[[プルクローン]]の一人である[[マリーダ・クルス|プルトゥエルヴ]]に、かつて搭乗していた[[量産型キュベレイ]]の残骸を見せつける事で、過去のトラウマを励起させた上で再調整を施す。そしてガンダムを「'''『光』を奪った男達の世界への憎しみの象徴'''」であるというイメージを植え付けられた彼女を[[バンシィ|ユニコーンガンダム2号機 バンシィ]]のパイロットにして[[ユニコーンガンダム|ユニコーンガンダム1号機]]を捕獲させようとするも、失敗に終わり、マリーダも奪還される。[[オードリー・バーン]]に対しては、「自分達『女』が主導する世界に社会を変革しよう」と語るも、オードリーからは「あなたの気質は'''男そのもの'''」と拒絶されている。 | ||
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+ | ラプラスの箱の奪取に失敗した後、[[ローナン・マーセナス]]と共に連邦軍の[[シャイアン基地]]へと向かい、宇宙の航宙艦メガラニカ周辺でネェル・アーガマと[[袖付き]]の最終決戦が展開される中、メガラニカ諸共サイアムやラプラスの箱を完全に抹殺すべく、[[コロニーレーザー]]である「グリプス2」を始動。「箱を滅する為にコロニーを犠牲とした」という事実を利用して連邦政府とビスト財団の共犯関係存続を狙ったが、甥の[[バナージ・リンクス]]と[[リディ・マーセナス]]の搭乗する2機のユニコーンガンダムが発生させたサイコフィールドによって砲撃が交わされてしまう形で失敗。その直後に、居合わせていた[[ブライト・ノア]]によって拘束された。 | ||
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+ | 拘束された直後、様々な経験を乗り越えて成長したアルベルトから諭されたマーサは、満足そうな笑みを見せていた。 | ||
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+ | 法の裁きを受ける事になり、『ラプラス事変』を拡大化させた責任を問われて幽閉状態となっており、ビスト財団、アナハイム・エレクトロニクス、地球連邦のいずれからも距離を取られている。しかし、護送中の中で[[ルオ商会]]によって拘束される事になる。 | ||
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+ | 『報告書-U.C.0097-』の内容にて、バンシィと[[フェネクス|ユニコーンガンダム3号機 フェネクス]]の起動テストに立ち会った事実から、『不死鳥狩り』作戦において、マーサの協力と情報提供が必要不可欠とされている。 | ||
== 登場作品と役柄 == | == 登場作品と役柄 == | ||
+ | どの作品においても原作同様の敵対者だが、プレイヤーに与える印象は作品によって微妙に異なる。 | ||
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:初登場作品。[[クロノ]]保守派の一員として「箱」の開放阻止に動いている。 | :初登場作品。[[クロノ]]保守派の一員として「箱」の開放阻止に動いている。 | ||
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:引き続き登場。『時獄篇』と同様にクロノ保守派として暗躍しているが、原作の様な政治手腕の発揮されるシーンがほぼ無く、ほとんど'''「[[新地球皇国]]および[[サイデリアル]]に対して真っ先に[[地球]]を売った[[裏切りイベント|裏切り者]]」'''と言うべき小物臭い部分が目立つ。 | :引き続き登場。『時獄篇』と同様にクロノ保守派として暗躍しているが、原作の様な政治手腕の発揮されるシーンがほぼ無く、ほとんど'''「[[新地球皇国]]および[[サイデリアル]]に対して真っ先に[[地球]]を売った[[裏切りイベント|裏切り者]]」'''と言うべき小物臭い部分が目立つ。 | ||
:その末路もクロノの教義が明らかになったことの重要さを理解できずに己の保身に執着したことでアルベルトに見捨てられ、クロノのキングこと[[カルロス・アクシオン|アクシオン]]に「クロノがもう長くない。その先の時代を作るのは老人ではない」と言うことを聞かされて崩れ落ちるという無様なものであった。 | :その末路もクロノの教義が明らかになったことの重要さを理解できずに己の保身に執着したことでアルベルトに見捨てられ、クロノのキングこと[[カルロス・アクシオン|アクシオン]]に「クロノがもう長くない。その先の時代を作るのは老人ではない」と言うことを聞かされて崩れ落ちるという無様なものであった。 | ||
=== 携帯機シリーズ === | === 携帯機シリーズ === | ||
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:今作では「箱」の開示を阻止すべく、連邦軍はおろか[[GAIL]]などにも干渉しており、原作よりも暗躍の度合いが増加している。[[オウストラル島]]への[[核ミサイル|核攻撃]]を指示し、更に[[アローン・シモンズ]]の様な裏切り者と結託する等、クロスオーバーにより他作品で発生した事件の犯人の協力者或いは黒幕の立場を担う事も多く、『第3次Z』よりも存在感が大きくなっている上、政治的取引や自らが干渉しておいて結局は対岸の火事として処理する様はOVA版よりも[[小説|原作小説版]]に近い悪どさをみせる。 | :今作では「箱」の開示を阻止すべく、連邦軍はおろか[[GAIL]]などにも干渉しており、原作よりも暗躍の度合いが増加している。[[オウストラル島]]への[[核ミサイル|核攻撃]]を指示し、更に[[アローン・シモンズ]]の様な裏切り者と結託する等、クロスオーバーにより他作品で発生した事件の犯人の協力者或いは黒幕の立場を担う事も多く、『第3次Z』よりも存在感が大きくなっている上、政治的取引や自らが干渉しておいて結局は対岸の火事として処理する様はOVA版よりも[[小説|原作小説版]]に近い悪どさをみせる。 | ||
:その暗躍ぶりは『[[スーパーロボット大戦UX|UX]]』の[[ハザード・パシャ]]率いる[[人類軍]]を想起させるが、彼らと違いマーサは政治的手腕も巧みなためなかなか尻尾を掴ませず、連邦軍の改革派にとっては「獅子身中の虫」であり、敵対する[[フリット・アスノ]]を始め様々な他作品のキャラ達から'''「女狐」'''と呼ばれて嫌悪されており、敵対怪物・[[異星人]]以上に憎い地球人である。 | :その暗躍ぶりは『[[スーパーロボット大戦UX|UX]]』の[[ハザード・パシャ]]率いる[[人類軍]]を想起させるが、彼らと違いマーサは政治的手腕も巧みなためなかなか尻尾を掴ませず、連邦軍の改革派にとっては「獅子身中の虫」であり、敵対する[[フリット・アスノ]]を始め様々な他作品のキャラ達から'''「女狐」'''と呼ばれて嫌悪されており、敵対怪物・[[異星人]]以上に憎い地球人である。 | ||
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=== VXT三部作 === | === VXT三部作 === | ||
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:本作では元は[[アマルガム]]の幹部の一人でもあったという設定になっており、レナードによって組織が掌握されたことを機に組織を離脱し、ネオ・ジオン、およびアマルガムと完全に敵対する路線をとっている。アマルガムをもいずれは手に入れてみせるとも豪語し、原作通り連邦側の黒幕の一人として立ち回るが、最終的にはロンド・ベルにコロニーレーザーを破壊され潔く敗北を認める態度を見せるなど、第3次ZやBXと比べると悪辣な印象はだいぶ薄まっている。なお、選んだルートによっては殆ど姿を見せない。 | :本作では元は[[アマルガム]]の幹部の一人でもあったという設定になっており、レナードによって組織が掌握されたことを機に組織を離脱し、ネオ・ジオン、およびアマルガムと完全に敵対する路線をとっている。アマルガムをもいずれは手に入れてみせるとも豪語し、原作通り連邦側の黒幕の一人として立ち回るが、最終的にはロンド・ベルにコロニーレーザーを破壊され潔く敗北を認める態度を見せるなど、第3次ZやBXと比べると悪辣な印象はだいぶ薄まっている。なお、選んだルートによっては殆ど姿を見せない。 | ||
=== 単独作品 === | === 単独作品 === | ||
− | ;[[ | + | ;{{参戦作品 (人物)|スーパーロボット大戦DD}} |
− | + | :序章ワールド2から登場。途中まではほぼ原作通りに振る舞っていたが、徐々にその枠を超えた質の悪い行動を見せ始める。そして、「箱」の開示イベントは『[[勇者王ガオガイガー]]』の東京決戦シナリオとクロスした事で大掛かりな戦いとなり、「グリプス2」に至ってはプレイヤー部隊を葬ろうとする[[インベーダー]]に乗っ取られてしまうが、それをいい事に「箱」を消すために火事場泥棒の手口で東京やサイド4諸共にコロニーレーザーで攻撃する暴挙に出る。ただしグリプス2の準備自体についてはサイド4の防衛という正当な理由があったうえ、実際に攻撃を行ったのはインベーダーだったので責任は問われなかった。 | |
== 人間関係 == | == 人間関係 == | ||
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+ | :自身と同様、『UC』のラプラス事変における黒幕の一人。アニメ版ではなく原作小説版に登場。'''袖付きを纏め上げる強化人間である[[フル・フロンタル]]を用意した張本人'''であり、マーサ自身もその事実についても知っていた模様。同じ黒幕であるマーサやローナンが少なからず後ろめたさがあったのに対し、モナハンは自らの行動を武勇伝の様に語る等、罪悪感を欠片も持っておらず、それに不快感を抱いたマーサから、ズム・シティに向けてコロニーレーザーを撃つと恫喝されている。 | ||
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:彼に数々の不正の証拠を掴まれ逮捕された。 | :彼に数々の不正の証拠を掴まれ逮捕された。 | ||
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:episode5にて、マリーダの再調整についてオードリーに詰問された際に。 | :episode5にて、マリーダの再調整についてオードリーに詰問された際に。 | ||
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;「[[超時空要塞マクロス #用語|ゼントラーディとの間に起こった星間戦争]]の事を忘れたわけではないでしょ?」<BR/>「あの島は異星人の巣窟だった。それらが人類に対して牙を剥いたのなら、火種が炎となる前に消すのは当たり前よ」 | ;「[[超時空要塞マクロス #用語|ゼントラーディとの間に起こった星間戦争]]の事を忘れたわけではないでしょ?」<BR/>「あの島は異星人の巣窟だった。それらが人類に対して牙を剥いたのなら、火種が炎となる前に消すのは当たり前よ」 | ||
:『[[スーパーロボット大戦BX|BX]]』第36話「光る島」より。[[オウストラル島]]への[[核ミサイル|核攻撃]]を指示した後の台詞。 | :『[[スーパーロボット大戦BX|BX]]』第36話「光る島」より。[[オウストラル島]]への[[核ミサイル|核攻撃]]を指示した後の台詞。 | ||
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*マーサ・ビスト・カーバインは「[[アナハイム・エレクトロニクス]]社長夫人」という設定故に、「(『[[機動戦士Ζガンダム]]』に登場する)メラニー・ヒュー・カーバインの妻」であると解釈される事もあるが、これは誤りである。 | *マーサ・ビスト・カーバインは「[[アナハイム・エレクトロニクス]]社長夫人」という設定故に、「(『[[機動戦士Ζガンダム]]』に登場する)メラニー・ヒュー・カーバインの妻」であると解釈される事もあるが、これは誤りである。 | ||
**そもそも、メラニーはアナハイム・エレクトロニクスの「会長」であって、[[社長]]ではない。したがって、マーサの配偶者は「カーバイン姓の男性(ただし、名は不明)」という事になる。 | **そもそも、メラニーはアナハイム・エレクトロニクスの「会長」であって、[[社長]]ではない。したがって、マーサの配偶者は「カーバイン姓の男性(ただし、名は不明)」という事になる。 | ||
− | **そのため、漫画「機動戦士ガンダム ANAHEIM | + | **そのため、漫画「機動戦士ガンダム ANAHEIM RECORD」ではコウエルという人物を謀略によって解任させる事で社長の座を奪う展開になっている。また同作では自身の[[クローン]]を暗殺者として利用しており、謀略の過程で複数人を暗殺させている。 |
+ | == 脚注 == | ||
+ | <references /> | ||
== 資料リンク == | == 資料リンク == | ||
*[[GUNDAM:マーサ・ビスト・カーバイン]] | *[[GUNDAM:マーサ・ビスト・カーバイン]] | ||
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2023年6月14日 (水) 18:15時点における最新版
マーサ・ビスト・カーバインは『機動戦士ガンダムUC』『機動戦士ガンダムNT』の登場人物。
マーサ・ビスト・カーバイン | |
---|---|
外国語表記 | Martha Vist Carbine[1] |
登場作品 | |
声優 | 塩田朋子 |
デザイン |
安彦良和(原案) 高橋久美子(UC) 金世俊(NT) |
初登場SRW | 第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇 |
プロフィール | |
---|---|
種族 | 地球人 |
性別 | 女 |
年齢 | 55歳 |
役職 | ビスト財団当主代行 |
概要編集
アナハイム・エレクトロニクスの現・社長夫人で、「月の女帝」という異名で恐れられている女傑。
ロンド・ベルに所属するネェル・アーガマをインダストリアル7に向かわせた張本人であり、モナハン・バハロと共に実質的な『機動戦士ガンダムUC』の黒幕の一人となっている。
人物 編集
ビスト家の出身で、サイアム・ビストの孫の一人で、カーディアス・ビストの妹。アルベルト・ビストとバナージ・リンクスの叔母にもあたる。カーディアスの死後は、ビスト家の当主代行も務めている
妖艶な美貌と政治的な才覚を持ち合わせた野心家で、アナハイム・エレクトロニクスの創業者一族であるカーバイン家に嫁いだ後は、カーディアスを凌ぐ程の政治的手腕を発揮。社内でも絶大的な権勢を振るうが、自らの美貌さえも武器にする等、目的の為に利用出来る物は何でも利用し、そして手段も選ばない非道さも持ち合わせており、時には破滅的な行動や言動も見せる事さえある等、かなりの危険人物。過去に、サイアムによって実の子であった父を謀殺された事に大きなショックを受け、それ以降はサイアムや彼の言いなりになっているカーディアス、そして男社会そのものに対して激しい憎悪を持つ様になり、その事が現在のエキセントリックな内面を持つに至っている模様。
なお、ドイツの哲学者ニーチェの格言に「怪物と闘う者は自らも怪物にならないように気を付けなければならない」というものが有るが、男社会を憎むあまりに気質までもが(憎むべき)男そのものになってしまったマーサに対しても充分当てはまるものだと言えよう。ちなみに、この点に関してはサイアムにも当てはまってしまうのは、何処までも皮肉であると言えよう(サイアムは、「地球連邦」という怪物からラプラスの箱を守る為に、唆されたとはいえ反逆を目論んだマーサとカーディアスの父親(次男)を抹殺する「子殺し」の怪物になり果てた)。
劇中の様相 編集
機動戦士ガンダムUC編集
物語において、サイアムがカーディアスにラプラスの箱の解放を命じる事になるが、ビスト財団とアナハイム・エレクトロニクス、地球連邦との関係維持を望んでいたマーサはそれに反発・ラプラスの箱の解放を阻止すべく暗躍を行い、カーディアスの息子であるアルベルトを差し向けて、彼を死に追いやる。
その後、ビスト家の当主代行の地位を手に入れたマーサは、捕虜として囚われていたプルクローンの一人であるプルトゥエルヴに、かつて搭乗していた量産型キュベレイの残骸を見せつける事で、過去のトラウマを励起させた上で再調整を施す。そしてガンダムを「『光』を奪った男達の世界への憎しみの象徴」であるというイメージを植え付けられた彼女をユニコーンガンダム2号機 バンシィのパイロットにしてユニコーンガンダム1号機を捕獲させようとするも、失敗に終わり、マリーダも奪還される。オードリー・バーンに対しては、「自分達『女』が主導する世界に社会を変革しよう」と語るも、オードリーからは「あなたの気質は男そのもの」と拒絶されている。
ラプラスの箱の奪取に失敗した後、ローナン・マーセナスと共に連邦軍のシャイアン基地へと向かい、宇宙の航宙艦メガラニカ周辺でネェル・アーガマと袖付きの最終決戦が展開される中、メガラニカ諸共サイアムやラプラスの箱を完全に抹殺すべく、コロニーレーザーである「グリプス2」を始動。「箱を滅する為にコロニーを犠牲とした」という事実を利用して連邦政府とビスト財団の共犯関係存続を狙ったが、甥のバナージ・リンクスとリディ・マーセナスの搭乗する2機のユニコーンガンダムが発生させたサイコフィールドによって砲撃が交わされてしまう形で失敗。その直後に、居合わせていたブライト・ノアによって拘束された。
拘束された直後、様々な経験を乗り越えて成長したアルベルトから諭されたマーサは、満足そうな笑みを見せていた。
機動戦士ガンダムNT 編集
法の裁きを受ける事になり、『ラプラス事変』を拡大化させた責任を問われて幽閉状態となっており、ビスト財団、アナハイム・エレクトロニクス、地球連邦のいずれからも距離を取られている。しかし、護送中の中でルオ商会によって拘束される事になる。
『報告書-U.C.0097-』の内容にて、バンシィとユニコーンガンダム3号機 フェネクスの起動テストに立ち会った事実から、『不死鳥狩り』作戦において、マーサの協力と情報提供が必要不可欠とされている。
登場作品と役柄編集
どの作品においても原作同様の敵対者だが、プレイヤーに与える印象は作品によって微妙に異なる。
Zシリーズ編集
- 第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
- 初登場作品。クロノ保守派の一員として「箱」の開放阻止に動いている。
- 第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
- 引き続き登場。『時獄篇』と同様にクロノ保守派として暗躍しているが、原作の様な政治手腕の発揮されるシーンがほぼ無く、ほとんど「新地球皇国およびサイデリアルに対して真っ先に地球を売った裏切り者」と言うべき小物臭い部分が目立つ。
- その末路もクロノの教義が明らかになったことの重要さを理解できずに己の保身に執着したことでアルベルトに見捨てられ、クロノのキングことアクシオンに「クロノがもう長くない。その先の時代を作るのは老人ではない」と言うことを聞かされて崩れ落ちるという無様なものであった。
携帯機シリーズ編集
- スーパーロボット大戦BX
- 今作では「箱」の開示を阻止すべく、連邦軍はおろかGAILなどにも干渉しており、原作よりも暗躍の度合いが増加している。オウストラル島への核攻撃を指示し、更にアローン・シモンズの様な裏切り者と結託する等、クロスオーバーにより他作品で発生した事件の犯人の協力者或いは黒幕の立場を担う事も多く、『第3次Z』よりも存在感が大きくなっている上、政治的取引や自らが干渉しておいて結局は対岸の火事として処理する様はOVA版よりも原作小説版に近い悪どさをみせる。
- その暗躍ぶりは『UX』のハザード・パシャ率いる人類軍を想起させるが、彼らと違いマーサは政治的手腕も巧みなためなかなか尻尾を掴ませず、連邦軍の改革派にとっては「獅子身中の虫」であり、敵対するフリット・アスノを始め様々な他作品のキャラ達から「女狐」と呼ばれて嫌悪されており、敵対怪物・異星人以上に憎い地球人である。
- 最後はアルベルトがこれまでの悪行をビシディアンにリークし、その情報を手にしたアルグレアスに追い落とされるが、OVA版の様に不遜な態度を取ることも、『第3次Z天獄篇』の様に惨めに崩れ落ちることもなく、潔くブライトに連行されていった。
VXT三部作編集
- スーパーロボット大戦V
- 本作では元はアマルガムの幹部の一人でもあったという設定になっており、レナードによって組織が掌握されたことを機に組織を離脱し、ネオ・ジオン、およびアマルガムと完全に敵対する路線をとっている。アマルガムをもいずれは手に入れてみせるとも豪語し、原作通り連邦側の黒幕の一人として立ち回るが、最終的にはロンド・ベルにコロニーレーザーを破壊され潔く敗北を認める態度を見せるなど、第3次ZやBXと比べると悪辣な印象はだいぶ薄まっている。なお、選んだルートによっては殆ど姿を見せない。
単独作品編集
- スーパーロボット大戦DD
- 序章ワールド2から登場。途中まではほぼ原作通りに振る舞っていたが、徐々にその枠を超えた質の悪い行動を見せ始める。そして、「箱」の開示イベントは『勇者王ガオガイガー』の東京決戦シナリオとクロスした事で大掛かりな戦いとなり、「グリプス2」に至ってはプレイヤー部隊を葬ろうとするインベーダーに乗っ取られてしまうが、それをいい事に「箱」を消すために火事場泥棒の手口で東京やサイド4諸共にコロニーレーザーで攻撃する暴挙に出る。ただしグリプス2の準備自体についてはサイド4の防衛という正当な理由があったうえ、実際に攻撃を行ったのはインベーダーだったので責任は問われなかった。
人間関係編集
- カーディアス・ビスト
- 兄。OVA版第1巻において「箱」を解放すべく袖付きに箱を渡そうとしていた彼を謀殺。カーディアスの死後、マーサは当主代行としてビスト財団を指揮する。
- サイアム・ビスト
- 祖父でビスト財団創設者。マーサの男社会嫌いの性格を形成した原因でもある。OVA版第7巻終盤では、彼をコロニーレーザー「グリプス2」によって抹殺しようと企むが、結局失敗に終わった。
- アルベルト・ビスト
- 甥。マーサの命を受け行動しており、彼女からは表裏両方の仕事を任されている事からそれなりに信頼されている(原作小説ではマーサとアルベルトは肉体関係がある設定で、それが両者の繋がりの根本となっていた)。
- 『第3次Z天獄篇』では自己保身のためにしか動かないマーサに見切りをつけてZ-BLUEの支援に回り、『BX』ではマーサの悪事を告発した。一方、『V』ではマーサの方から彼の(彼曰く「ビスト家の呪縛から解放された」)変化を認めていた。
- バナージ・リンクス
- もう一人の甥。「箱」解放を防ぐため、バナージと彼の乗るユニコーンガンダムを確保しようと暗躍する。
- オードリー・バーン(ミネバ・ラオ・ザビ)
- 彼女に共闘を持ちかけるも拒絶された。
- ローナン・マーセナス
- 自身と同様、『UC』のラプラス事変における黒幕の一人。自身と同様、ラプラスの箱の解放に反対している。ダカールの惨劇の黒幕に仕立てるというマーサの恫喝に屈し、オードリーの引き渡しに応じてしまう。
- モナハン・バハロ
- 自身と同様、『UC』のラプラス事変における黒幕の一人。アニメ版ではなく原作小説版に登場。袖付きを纏め上げる強化人間であるフル・フロンタルを用意した張本人であり、マーサ自身もその事実についても知っていた模様。同じ黒幕であるマーサやローナンが少なからず後ろめたさがあったのに対し、モナハンは自らの行動を武勇伝の様に語る等、罪悪感を欠片も持っておらず、それに不快感を抱いたマーサから、ズム・シティに向けてコロニーレーザーを撃つと恫喝されている。
- ブライト・ノア
- 彼に数々の不正の証拠を掴まれ逮捕された。
- ミシェル・ルオ
- 護送中に彼女の私兵部隊に襲撃され、フェネクスに纏わる事実を彼女に教えることになる。
他作品との人間関係編集
- カガリ・ユラ・アスハ
- 『第3次Z天獄篇』にて、オーブに潜伏していたミネバを引き渡すように要求する。また、自分と同じ「男達の論理の支配する世界の犠牲者」とみなしている。
- フリット・アスノ
- 『BX』では政敵。己の私利私欲の為に連邦軍を私物化し利用するマーサを「女狐」と呼んで忌み嫌っている。さらにマーサは戦力増強の為、AGEシステムとガンダムAGE-3の奪取も企てていた。
- フレデリック・アルグレアス
- 『BX』ではフリットと立場を同じくする彼とも政治的に対立。彼女が裏で手を回していた事もあって一時は連邦軍総司令の座を奪うが、終盤でアルベルトの告発もあって逆に追い落とされる。
- アローン・シモンズ
- 『BX』では彼と結託する。
- ジラード・スプリガン
- 『BX』ではマーサの乗るガルダの救援に向かうが、他者の命を私利私欲の為に利用するマーサに対し内心、生理的嫌悪にも似た感情を抱いており、逆にマーサの救援要請を逆手にとってブライティクスに加勢しマリーダの救出に協力する。
- ミスマル・コウイチロウ、カティ・マネキン
- 『BX』ではフリットと同じ改革派であるため対立。
- 船長
- 『BX』では彼をスパイとして送り込む。
- レナード・テスタロッサ
- 『V』ではアマルガムにおいては同格の幹部であり、彼が組織を掌握したことを機に組織を離脱。彼を「若造」と吐き捨てるなど、強い敵愾心を向けている。また、「ここではないどこかを見ている」という、彼の深層を少なからず見抜いていた。
- カルロス・アクシオン
- 『第3次Z天獄篇』にてクロノの教義が明らかになった際に、「クロノはもう長くない。その先の時代を作るのは老人ではない」ということを聞かされる。
名台詞編集
- 「あなたの再調整は難しいということがわかったわ。あまりにも完成されすぎている。でも、それでいい。簡単に記憶を入れ替えられる人間に興味は無いから。私が欲しいのは…」
マリーダ「ああ!」
「量産型キュベレイ。あなたたちの乗っていたマシーンね」
「人工的に作られたニュータイプ。マスターの言いなりに動く人形…あなたの魂はまだ、あのマシーンの中に囚われている…」
「血を流すことしか知らない男が、戦う道具としてあなたを造った。命は女の胎(はら)から生み落とされるものなのに、不自然だと思わない? 私があのマシーンから、あなたを連れ出してあげる」 - episode4にて、マリーダの再調整に立ち会って。
- 「マリーダ中尉…プルトゥエルブが私たちの下で働いているのは、彼女自身の意思です」
オードリー「無理やり再調整しておいて…!」
「えぇ、させていただきました。かつてネオ・ジオンがそうしたように」
「あの憐れな生き物を造ったのは私達ではありません。私は彼女の内にあるものを解き放って、復讐の機会を与えてあげただけです。自分のような者を造った世界、男達の論理が支配する世界への復讐…」 - episode5にて、マリーダの再調整についてオードリーに詰問された際に。
スパロボシリーズの迷台詞編集
- 「ゼントラーディとの間に起こった星間戦争の事を忘れたわけではないでしょ?」
「あの島は異星人の巣窟だった。それらが人類に対して牙を剥いたのなら、火種が炎となる前に消すのは当たり前よ」 - 『BX』第36話「光る島」より。オウストラル島への核攻撃を指示した後の台詞。
- そもそも先に火種を作ったのは人類側であり、説得力が皆無である。
余談編集
- マーサ・ビスト・カーバインは「アナハイム・エレクトロニクス社長夫人」という設定故に、「(『機動戦士Ζガンダム』に登場する)メラニー・ヒュー・カーバインの妻」であると解釈される事もあるが、これは誤りである。