ブレックス・フォーラ
ブレックス・フォーラは『機動戦士Ζガンダム』の登場人物。
| ブレックス・フォーラ | |
|---|---|
| 登場作品 | |
| 声優 |
藤堂貴也(TV版) 石井康嗣(劇場版) |
| デザイン | 安彦良和 |
| 初登場SRW | 第4次スーパーロボット大戦 |
| SRWでの分類 | サポートユニット |
| プロフィール | |
|---|---|
| 種族 | 地球人 |
| 性別 | 男 |
| 生年 | 宇宙世紀0029年 |
| 年齢 | 58歳 |
| 没年月日 | 宇宙世紀0087年8月17日 |
| 所属 |
地球連邦軍 エゥーゴ |
| 軍階級 | 准将 |
概要 編集
エゥーゴの指導者。スペースノイドを苛烈な手段をもって弾圧するティターンズの活動に異を唱え、賛同者を集めてエゥーゴを結成するに至ったが、志半ばで倒れる事となり、シャア・アズナブルとしての正体を知った上で、クワトロ・バジーナに自らの後を託す。
人物 編集
エゥーゴを創設し、その初代・指導者となっていた人物。地球連邦軍の准将であり、地球連邦政府議会員の資格を持っている。
基本的には温和な人物で、アースノイドとスペースノイドの双方に偏見を持つ事無く、融和の道を模索しようとする人格者であり、スペースノイドであるカミーユに対しても、彼がティターンズ戦う意思を見せた事で快く歓迎している。一方で、同時に自らが創設したエゥーゴの理念や存続の重大さも理解している為、バスク・オムがカミーユの母であるヒルダを人質にして脅迫してきた際は、断固屈しない道を取る等、エゥーゴとしての理念を優先する鉄の信念の持ち主でもある。しかし、指導者でありながらも自らの危険も顧みずに前線で指揮を執る姿勢等からも、組織の構成員達からの信頼は非常に厚く、クワトロやヘンケン・ベッケナーからも信頼の出来る人物として敬意を表されている。また、クワトロがシャアである事も知っているが、その上で彼をエゥーゴに迎え入れ、絶大な信頼を寄せている。
かつてのアースノイドとスペースノイドの熾烈な戦争である一年戦争を経験し、その戦いによって家族の全てを失ってしまった過去を持つ。その後、デラーズ・フリートのコロニー落としを機にジャミトフ・ハイマンによってティターンズが創設され、30バンチ事件を始めとしたスペースノイドに苛烈な弾圧を行う彼等を「アースノイドとスペースノイドの溝を広げる存在」と見なしたブレックスは、これに対抗すべく、連邦政府内でも少数派となってしまった改革派の軍人達を纏め上げ、地道に財界人への根回し等も行う。そうして、アナハイム・エレクトロニクスや月面都市、スペースコロニーの支持を受け、更にはアースノイドやスペースノイドだけでなく、旧ジオンの人脈も取り入れる柔軟な思考と理念も伴ってエゥーゴの創設に至っている。
劇中の様相 編集
グリプス戦役の初期である宇宙世紀0087年3月、「アーガマ」に乗船し、「グリーンノア」で運用試験の行われていたガンダムMk-IIの奪取作戦の指揮を自ら執る。その際、個人的私怨からMk-IIの奪取に協力した民間人の少年であったカミーユを「アムロ・レイの再来」と称し、彼がニュータイプとして成長していく事を期待している。また、後にシャトル「テンプテーション」の船長を務めていたブライト・ノアをアーガマの艦長として新任したのも、ブレックスの権限による物と思われる。
しかし、後にダカールの地球連邦議会にて、ティターンズの暴挙の数々を暴露する演説を行う予定であったのだが、滞在中のホテルでバスクの放ったティターンズの刺客により暗殺されてしまい、その最期を看取ったクワトロに「シャア・アズナブル」として後を託し、志半ばで倒れる事となってしまった。なお、エゥーゴでは彼の暗殺はジャミトフによるものと信じられていた様で、キリマンジャロ基地でジャミトフと遭遇した際のカミーユのモノローグでもその事が窺える。
キャラクターの総評 編集
新たなエゥーゴの指導者となったクワトロが行った「ダカール演説」によってエゥーゴとティターンズの対立構造はエゥーゴの方が優勢となった為、ブレックスの判断に間違いは無かったと言える。
しかし、かつてのジオンのエースであったシャアがエゥーゴの代表となった事に、エゥーゴの元連邦軍人の中には反感を抱いていた者が少なからずいたらしく、徐々にエゥーゴと言う組織自体に陰りをもたらしていく事にもなっている。グリプス戦役で多大な戦力喪失となり、更にクワトロがエゥーゴを見限って行方不明になった結果、徐々にその腐敗は悪化の兆しを見せていく事になり、第1次ネオ・ジオン抗争の終盤ではネェル・アーガマを旗艦とするガンダム・チームを除く戦力が参戦しないまま戦争が終結してしまう大失態を演じている。
更にその後は、エゥーゴ出身者の人間達が連邦軍高官としての確固たる地位を約束された途端、掌返しでスペースノイドの独立を認めない姿勢に出るどころか、ブレックスが期待していたニュータイプ達の事も危険視する等、殆ど連邦政府の保守派と変わらない有様になってしまっており[1]、エゥーゴに見切りをつけてシャア率いるネオ・ジオンに合流してしまった者を出したり、第2次ネオ・ジオン抗争でシャアが地球潰しに乗り出す要因を生み出している。
極めつけは別ゲームになってしまうが、PS2とPSPのSLGゲーム「ギレンの野望 アクシズの脅威」の本編シナリオ(地球連邦 ジオン ティターンズ エゥーゴ アクシズ)では最後にシャアが逆襲し、最後の敵陣営として登場するのだが、ブレックス率いるエゥーゴのみ、厳しい条件を満たせばティターンズ完全討伐後、シャアが復帰し、シャアが逆襲せずにエンディングを迎えることができる。
これらからも、本来の指導者であったブレックスの存在が、「エゥーゴのあるべき理念の体現者」として、また、Zガンダム以降のクワトロにとってどれだけ重要な人物であったのかが伺われる。
登場作品と役柄 編集
旧シリーズ 編集
- 第4次スーパーロボット大戦(S)
- 初登場作品。選択肢によって生死が決まるが、それが後半の多種の隠し要素のフラグとなっているため、ある意味原作と同等かそれ以上に重要な存在。死亡条件は『主人公が護衛を引き受け、かつノーヒントの方向選択を誤った場合』と言うもので、主人公が護衛しなければ代わりにショウが護衛する事で確実に生き残る。主人公の立場は……。
- 生存した場合、原作とは異なりブレックスがダカール演説を行うが、原作通りに死亡してしまうと彼の後を継ぐためにクワトロがプレイヤー部隊から離脱し、サザビーも手に入らない。どちらも強力なため生存させる方がセオリー……と思いきや、代わりに最強のマップ兵器を搭載する可能性があるガンダム試作2号機&ガトー、MSトップクラスの通常戦闘火力を有するビギナ・ギナ&セシリーの加入フラグが立つ。アトミック・バズーカはリアル系限定の隠し要素なので、リアル系では殺してスーパー系では生き残らせた方が得か。
- スーパーロボット大戦F
- スーパーロボット大戦F完結編
αシリーズ 編集
- スーパーロボット大戦α
- 序盤のみ登場。本作では暗殺されなかったが、以降のシリーズには未登場。
Zシリーズ 編集
- スーパーロボット大戦Z
- ザフトと協力関係を結ぶが、何者かに暗殺され謎の死を遂げる。犯人は不明だが、タイミングから考えてザフトの可能性が高い。原作のようにティターンズの刺客の手による暗殺の可能性も一応残るが、本作におけるブレックスはギルバート・デュランダルに対して警戒している描写が多い。真相は不明だが、後々までエゥーゴ組とザフトの間で禍根が残らなかったのは不幸中の幸いだろう。
- なお、原作ではジャミトフより先に死亡するが、こちらではジャミトフの方が先にクーデターで死亡している。また、原作と違いクワトロはブレックスの最期を看取ることができず、悲報はカイを通じて届けられることとなった。
単独作品 編集
- スーパーロボット大戦64
- スーパーロボット大戦Operation Extend
- 本人は登場せずクワトロの台詞中などに名前が出るのみだが、ジャミトフがコロニー住民を虐殺しようとしている事を察知し、クワトロら特務隊に阻止させて彼を失脚させている。
- その後も特務隊(原作と違って反連邦ではないため、エゥーゴではなくこのような呼称なのだと思われる)は活動を続け、コネクト・フォースとの共同作戦を機にクワトロとカミーユを合流させている。
- スーパーロボット大戦X-Ω
- SRサポートユニット。
ステータス 編集
サポートアビリティ 編集
- 地球連邦軍准将
- SR。戦艦搭載中、味方全体の攻撃力アップ。
人間関係 編集
エゥーゴ 編集
- シャア・アズナブル(クワトロ・バジーナ)
- 彼の素性に気付いており、死の間際、彼にエゥーゴを託すことになる。
- カミーユ・ビダン
- TV版では「アムロ・レイの再来」と評したが、劇場版では逆の事を言っている。
- ヘンケン・ベッケナー
- 部下。
- エマ・シーン
- 第3話で、中身を知らずに彼女が持ってきた親書に目を通して、その内容に後述の台詞で激怒した。
- その後、正義の違いから彼女がティターンズを裏切りビダン父子を連れて、ガンダムMk-II3機を手土産に自分達の下に身を投じたため彼女を仲間に迎えた。
ティターンズ 編集
- ジャミトフ・ハイマン
- 政敵。
- バスク・オム
- ジャミトフ同様に互いに敵視し、その残虐なやり口を激しく嫌った。
- パプテマス・シロッコ
- 原作では絡みはない。
- 『機動戦士ΖガンダムDefine』では、輸送艦の臨検を受ける際に応対する。シロッコの才能に「彼が我々の敵に回らない事を祈るばかり」とさえ評した。
アクシズ 編集
- ハマーン・カーン
- ハマーンが登場したZガンダム終盤の時点でブレックスは故人となっているため関わりは無いが、非SRWゲーム「機動戦士ガンダム ギレンの野望」シリーズのエゥーゴ編シナリオではティターンズ討伐後にエゥーゴとの同盟を破棄したハマーン率いるアクシズと戦いを繰り広げることになる。
その他 編集
- メラニー・ヒュー・カーバイン
- エゥーゴのスポンサーの一人であるアナハイム・エレクトロニクスの会長。
- 非SRWゲーム「ギレンの野望」シリーズのエゥーゴ編シナリオにおけるグリプス戦役終盤では、ハマーン率いるアクシズとの同盟を一度拒否した後、メラニーにアクシズとの同盟締結を要請された際、アクシズが持ち掛けるだろう条件「ザビ家の復興」と「旧ジオン領の割譲」が一年戦争の悪夢を再来させかねないと訴えるが、メラニーはティターンズの撃滅を最優先すべきだと口にしたため、渋々ながらアクシズと同盟を結ぶ事を了承した。
他作品との人間関係 編集
機動戦士ガンダムシリーズ 編集
- レビル
- 原作の宇宙世紀における関係は不明であるが、「ギレンの野望」シリーズでは地球連邦軍編における上司。
- 連邦軍第2部では、30バンチ事件を引き起こしたティターンズの横暴を止めるべきだと訴え、レビル(プレイヤー)がこれに応じれば、ティターンズが連邦軍から離反した際にはエゥーゴのメンバーと共にレビル率いる連邦軍に加入する。
- ジョン・コーウェン
- レビルと同様に原作の宇宙世紀における関係は不明だが、SRWや「ギレンの野望」シリーズでは反ティターンズ側の人物として関わる。
- グレミー・トト
- 非SRWゲーム「ギレンの野望 アクシズの脅威」及び「ギレンの野望 アクシズの脅威V」におけるエゥーゴ編シナリオでは、第一次ネオ・ジオン抗争終盤に決起したグレミーと彼に組みした旧ジオン残党に憤っている(名台詞で後述)。
聖戦士ダンバイン 編集
- ショウ・ザマ、チャム・ファウ
- 第4次(S)ではダカールにおける連邦議会での演説の際、選択次第ではティターンズ兵に射殺されそうになったところを、同行した二人の息の合ったコンビネーションで命拾いする事に。
バンプレストオリジナル 編集
- ギリアム・イェーガー
- 旧シリーズでは部下。
名台詞 編集
- 「私の期待しすぎかな。彼をニュータイプだと思いたいが…」
- 第3話より、成り行きでガンダムMk-II強奪作戦に加担し、クワトロたちに連れられて自分たちのもとへと来たカミーユに対して。
- この時点で、ブレックスの洞察力が彼をニュータイプだと確信し、戦力としても使えると期待したのだろうか…。
- 「なんと破廉恥な! 中尉はこの手紙の内容を知っているのか!?」
エマ「いえ」
「だからそんな涼しい顔をしていられる!」 - 当時ティターンズ所属であったエマがエゥーゴにもたらした命令書を見ての怒りの一言。この時のブレックスはエマには穏当に対応していたが、命令書を見ると驚愕。手が激しく震えるほどの怒りに襲われている。
- その命令書の内容は「カミーユの母親を人質にして、Mk-IIの奪回とカミーユの投降を誘う(要約するとガンダムMk-IIを返却しなければヒルダ・ビダンを殺害する)」という軍人とは思えない、もはやテロリストの手口とも言うべき卑劣なものであったので、ブレックスが怒るのも無理もない。
- 「地球でのほほんとしている連中は、宇宙で何が起きても全く他人事だッ!」
- 第24話より、ダカールの地球連邦議会に出席し、宿泊しているホテルに戻った際にぶちまけた不満。
- 地球連邦政府が連邦軍の指揮権をティターンズに明け渡す方に傾いている事に関する不満だが、この台詞によりティターンズが連邦議会で支持されているのは政治家の宇宙に対する無関心から起因している事が窺える。
- ちなみに次回作の主人公もブレックスと似たような台詞で地球連邦の政治家に対する不満をぶちまけていた。
- 「宇宙酔いが怖いのだとさ」
- 第24話より、クワトロの「政治家達を宇宙に上げる方法は無いものでしょうか?」という問いに対して。
- 事実なのかは不明だが、連邦政府が宇宙への移転を本気で考えていないことを窺わせる。駄目元で翌日の議会では緊急動議で政治家の宇宙移民を提案する旨を話しているが、結局は通らなかったと思われる。
- ちなみに宇宙酔いは乗り物酔いの様な症状が数日間続くという中々に過酷な物であり、乗り物酔いの薬も効果はなく、乗り物酔いになりやすいかも関係が無い。原因は不明で一説は無重力状態で内耳の三半規管がバランス感覚を取れなくなるためだとされる。動物やカエルの実験でも確認できるため、宇宙世紀でもあまり克服できていないのかも知れない。
- 「君が…君がエゥーゴの指揮を取れ…シャア・アズナブル…。ジオン・ダイクンの息子ならそれができる……」
- 第24話より、自身の死の前にクワトロ(シャア)に対して、時代を生きる一人として後継者とした。
- ……もっとも後年、彼が正真正銘の「人類の敵」に堕ちてしまった事は皮肉としか言いようが無い。
ギレンの野望シリーズ 編集
- 「いや…。 ジャミトフのことだ…。 何か狙いがあるかもしれん…」
- 非SRWゲーム「機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威V」のエゥーゴ編シナリオより。
- ダカールの地球連邦議会に出席するか否かの選択で「NO」を選んだ場合、ジャミトフが何か企んでいるかもしれない可能性に気づき、連邦議会に参加しない事を決める。
- 史実敗北イベントを見たくないプレイヤーは、ここでの選択を間違えないように。
- 「連邦軍すべてが敵に回ったか…。この戦い、厳しくなるな…」
- 同ゲームのエゥーゴ編シナリオにて。
- ダカールの連邦議会でジャミトフの法案が可決された影響で連邦正規軍もティターンズの傘下に入った事から、ブレックスはエゥーゴは厳しい戦いを強いられる事になると発言した。
- 「ヘンケン、エマ、カツ・コバヤシも…。 彼らの犠牲は余りにも大きいな…」
- 同ゲームのエゥーゴ編シナリオにおける「グリプス2攻略作戦」にて。
- コロニーレーザー奪取作戦中にヘンケン・エマ・カツが戦死した報告を聞いたブレックスは、彼等の死を悼むのだった。
- クワトロ「ご心配をおかけしました」
「君は将来のエゥーゴ…いや、地球連邦政府を背負って立つ身だ。生き延びてもらわねば困る」
クワトロ「買いかぶってもらっては困ります。 私はただの軍人です」
「フフフフ…。まだ、政治家になるつもりはないのだな? では、また前線で活躍してもらうとしよう」
クワトロ「はい。前線にはいつでも復帰できます。ご命令をお待ちしております」 - 同ゲームのエゥーゴ編シナリオでグリプス戦役終結後、クワトロ帰還イベントが発生した場合の、クワトロとの会話。
- 「ハマーンは、我々が消耗するのを待っていたようだな…。しかし、アクシズの将兵は地上戦に慣れていない。地上の戦いなら、こちらに分があるはずだ」
- 同ゲームのエゥーゴ編シナリオで、アクシズ艦隊の地球降下イベントが発生した際に。
- アクシズの兵士達が地上戦に慣れていない事に気づいているブレックスは、一年戦争でジオンが地上で苦戦し連邦に反転攻勢の機会を与えたように、地上の戦いを制していくことで反撃の機会を作る事を口にしたのだった。
- 「ザビ家の血筋だと…! そのようなものに惑わされる者がまだいるのか…!」
- 「これより我が軍は、「サイド3」に対する攻略作戦を開始する。グレミーの目指す、ザビ家の血統により支配は、絶対に阻止せねばならない! 諸君らの健闘に期待する」
- 同ゲームのエゥーゴ編シナリオで、グレミー決起イベントが発生した際+「サイド3制圧作戦」開始イベントにおいて。
- ザビ家による世界支配を目論むグレミーの野望を、ブレックスは阻止するために戦う事を決意する。
資料リンク 編集
- ↑ 漫画『機動戦士ガンダムUC 虹に乗れなかった男』で、連邦軍査問会議にかけられたブライトによってその旨が語られている