ラムダ・ドライバ

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ラムダ・ドライバ(Λ Driver)とは、『フルメタル・パニックシリーズ』に登場する概念。虚弦斥力場生成システムとも呼ばれる。

概要

兵器としての「ラムダ・ドライバ」の概要は、TAROS(Transfer And Response Omni-Sphere、オムニ・スフィア転移反応)と呼ばれる装置を介して搭乗者の意思を物理的な斥力(せきりょく)に変換する仕組みのことを指す。斥力とは物質同士が遠ざけあう力のことであり、要するに引力の逆である。日常生活の中で最も身近な斥力といえば磁石の同じ極同士を近づけたときに跳ね返される現象だろう。

斥力の戦闘での応用は多岐にわたる。機体の周囲に斥力場を発生させれば敵の攻撃を弾くバリアになるし、弾丸の周囲に斥力場をまとわせれば小さな弾でも巨大な敵を吹っ飛ばせる。さらには弾丸を介さずイメージのみを飛ばす「見えない指鉄砲」で、遮蔽物を透過して内部のものだけを破壊するような芸当もできる。また跳躍時に足元に斥力を発生させればバネを踏んだかのように大ジャンプ可能。例えば、何の変哲もない道路標識をイメージ上の「踏み台」にして10t近い機体を跳躍させることも可能となる。また、本来なら自重で崩壊するはずの機体を強引に維持するようなこともできる。

つまり兵器としてのラムダ・ドライバは、一言で言ってしまうとTAROSを起動させた搭乗者の思うがままに、物理法則を改変する仕組みである。

ラムダドライバは視覚的にも電子的にも映らないため、発動を認識した時点で何らかの攻撃を防がれている・自機が被害を受けているという状況に陥いってしまう。 だがウィスパードとして覚醒した千鳥かなめ曰く、通常の第三世代ASとラムダ・ドライバ搭載機との戦力比は1:8とのこと。「戦車と対戦車ヘリ」などより極端な戦力比の事例があるため、科学的にはともかく軍事的には「劇的」とまでは言えない技術、らしい。実際にミスリルは最終的にM9でコダールと1対1で勝てるまでに戦術を固めており、非ラムダ・ドライバ搭載機でもラムダ・ドライバ搭載機に勝てる事を証明している。とは言えこれはアーバレストがいた事によって部隊が全滅せずにラムダ・ドライバ搭載機との交戦データが複数回得られたのとクダン・ミラが発明した妖精の目が得られたからこその結果であることは留意するべきであり、基本的に搭載機と非搭載機では絶望的な戦力差である。

作中においてはラムダドライバ搭載機を相手にして全滅を免れた正規軍は米軍のデルタフォース部隊と中国軍のみ。どちらもミスリルによる介入により運良く全滅を免れたに過ぎず、多くの部隊が壊滅している。 またミスリルも戦術が出来上がる以前はラムダドライバ搭載機と出会ったら逃げろという命令が下されていた他、アマルガムによるメリダ島襲撃時には戦術が固まり、更に全ASに妖精の目を搭載していたのにも関わらず、わずか3機の[[プラン1501 ベヘモス|を相手に、選りすぐりを集めたミスリルの中でも屈指の実力を誇るSRT2名が死亡し、1名が重症に陥り、基地は陥落するにまで至っている。


発動には強い集中力とイメージが必須であり、その強さで発生する斥力場の力が決定する。逆に集中力が閾値に満たない場合は発動すらできず、パイロットの精神状態に影響を受けるという意味で兵器としての信頼性には大きな難がある。この対策として、アマルガムではパイロットに薬物投与を施し、ラムダ・ドライバ発動に必要な精神状態を維持している。また、咄嗟のイメージが追いつかない不意打ちなどにも弱い(超長距離狙撃や地雷など)。更にイメージが必須である関係上、パイロットがイメージを固められない場合(ベリアルの「見えない矢」に対する防御など)も使用不可能。これらのことから、作中では科学兵器というよりも超能力のような扱いとなっている(原作者の賀東氏はもっと直截に「魔法みたいなもの」と表現したことがある)。原作小説の後半では重力を無視したり放射能を無力化したりと単純な斥力では説明がつかない現象も起こすようになり、よりオカルト的な色彩が濃くなっていった。

真の機能

原作小説10巻『せまるニックオブタイム』にて、TAROSの兵器としての使い方は偽装、つまりあくまでも副次的な使用法にすぎないことが明かされる。

本来のTAROSは原作世界の根幹に関わる重要な装置であり、その本来の名称は「オムニ・スフィア高速連鎖干渉炉」である。フルメタの世界はすべてを内包する領域(オムニ・スフィア)と呼ばれる一種の精神世界に精神を転移すると時間や空間の制約を受けずに情報を伝播でき、またオムニ・スフィアは物理世界と相互に干渉しあっているとされる。その理論的な応用範囲は極めて多岐にわたり、オムニ・スフィアを介した物理世界への干渉、つまり「ラムダ・ドライバ」は比較的容易とされる他、テレパシーや未来予知、究極的には歴史の書き換えすら可能となる。

オムニ・スフィアの物理世界との相互干渉は脳や全身の神経系によって生じる。例えば生身の人間も、分子が揺らぐ程度のごく僅かなものではあるが、オムニ・スフィアを介し精神力で物理世界へ影響力を行使している。これを連鎖的に増幅させ、より強力な干渉を生じさせる装置がTAROSである。現代的なTAROSは超大規模な演算素子を増幅装置として用いているが、当初のTAROSは生身の脳組織を大量に用意してつなぐことで増幅装置としていた。

生身の人間を模した機械的な疑似頭脳や疑似神経系を用意し、そこに人間の比でない莫大な電力を加える事で目視できる規模の強大な干渉反応を起こすことができる。これを用いたTAROSがASに搭載されている「ラムダ・ドライバ」である。兵器としては非効率な人型をしたアーム・スレイブは、しかし人の神経系を要求するラムダ・ドライバにとっては理想的な兵器といえる。テッサはこの点について、AS(関連のウィスパード由来ブラック・テクノロジー)がラムダ・ドライバを搭載するために現在の形に収斂進化したかのように考察している。

前述した究極系、「歴史の書き換え」を実現するためのTAROSこそが終盤で登場した「オムニ・スフィア転移反応時空通信変容炉(Telechrono Alteration Reactor Transfer And Response Omni-Sphere)」、略して「TARTAROS(タルタロス)」であり、レナードらはこれを用いて「時間災害」の起こらなかった世界を復元しようとしていた。詳細はウィスパード項も参照。

また、TAROSにはその疑似頭脳/神経系に人格を転写するという機能もあり、アルが人格めいたものを形成していったのもTAROSによる所が大きいと思われる(その為、テッサは宗介が別の生き方をしていればアルのようになったかも知れないと予想している)。また、外伝の「フルメタルパニック!アナザー」では大破したアーバレストから回収されたTAROSからこの機能を利用して高性能な無人機が大量生産されている。

採用作品・勢力別効果

スパロボでも特殊能力として採用されている。

携帯機シリーズでの効果

原作で攻撃力の底上げや防壁として使っていることを踏まえ、気力が一定値以上で発動し、自機の攻撃に最終ダメージ補正と、全属性の攻撃を一定ダメージまで無効化するバリアが追加される。気力上昇に伴って「最終ダメージ補正」並びに「バリアのダメージ無効化値と消費EN」が上昇していく。

他の特殊能力と比べ、かなり各種計算式が複雑な構成。『W』では自軍と敵軍で発動気力や効果に違いがある上、自軍でも初期解禁時とドライバ再起動後で性能が違う。

携帯機シリーズでの効果
作品 勢力 効果 気力
99以下 100以上 110以上 120以上 130以上 140以上 150以上 160以上 170
J 共通 最終与ダメージ - - - ×1.2 ×1.3 ×1.4 ×1.5 - -
バリア無効化値 - - - 1400 1600 1800 2000 - -
バリア消費EN - - - 5 10 15 20 - -
W 自軍 最終与ダメージ(初期) - - - ×1.1 ×1.15 ×1.2 ×1.3 ×1.4 ×1.5
最終与ダメージ(再起動後) - - - ×1.2 ×1.3 ×1.4 ×1.5 ×1.5 ×1.5
バリア無効化値 - - - 1000 1200 1400 1600 1800 2000
バリア消費EN(初期) - - - 5 7 9 11 13 15
バリア消費EN(再起動後) - - - 5 6 7 8 9 10
敵軍 最終与ダメージ - ×1.1 ×1.2 ×1.25 ×1.3 ×1.35 ×1.4 ×1.45 ×1.5
バリア無効化値 - 1300 1400 1500 1600 1700 1800 1900 2000
バリア消費EN - 5 7 9 11 13 15 17 19

Zシリーズ・Vでの効果

第3次Z』『V』では全属性ダメージをEN10消費で味方は500軽減とかなり控えめな効果だが、敵は4倍の2000も軽減する強力な能力。軽減ダメージは気力100から10ごとに+100され、最大で敵は2700、味方は1200軽減となる。

また、ARX-7 アーバレストARX-8 レーバテインは同名の攻撃力・機体性能アップ能力を持っており、計算式は次のようになる。カスタムボーナス獲得後は更に効果が上がる。プラン1055 ベリアルは以下の計算式ではなく、問答無用で全属性ダメージを90%軽減し、直撃・バリア貫通・マキシマムブレイクを無効化する特殊効果も付加されている。ただし、気力による強化は行われない。

Zシリーズの世界観において意思をそのまま力に変えることは「神(真化した存在)の力」であるとされている。ブラックテクノロジーによってその域に踏み込んだラムダ・ドライバは、サイデリアルのメンバーやその上位者たる御使いから禁断の物だと扱われる。

Zシリーズでの効果
作品 効果 気力 備考
130以上 140以上 150以上 160以上 170
第3次Z
V
最終与ダメージ ×1.05(×1.1) ×1.05(×1.1) ×1.1(×1.15) ×1.1(×1.15) ×1.15(×1.2) ()内はカスタムボーナス獲得後の値
照準値補正 +10(+15) +15(+20) +20(+25) +25(+30) +30(+35)
装甲値補正 +100(+150) +150(+200) +200(+250) +250(+300) +300(+350)

主な所持ユニット

今の所自軍ユニットで持っているのはアーバレストとその後継機レーバテインのみで、他は全て敵ユニット。

ARX-7 アーバレスト
気迫」を使えば一瞬で発動。ラムダ・ドライバでダメージ補正が最大1.5倍になる上、機体には合体攻撃のウルズ・ストライク、パイロットの相良宗介に「」があり、恐ろしいまでのダメージ倍率補正をかけられる。ただし『W』ではシナリオ展開上、搭載後も使用不可能な期間がある。また宗介は性格が「冷静」で、『J』や『W』の仕様上バリアでダメージを0にしても被弾扱いとなり、気力が下がってしまう。特に援護防御がデフォルトである『J』ではやってしまいがち。
『第3次Z時獄篇』では攻撃力補正の低下や合体攻撃の未登場、魂の弱体化によって攻撃面では従来作に劣るが、防御面が強化されている。
ARX-8 レーバテイン
アーバレストにあった合体攻撃がなくなり、燃費の悪化やECSの廃止といった弱体化もあるものの、それを補って余りあるレベルで攻撃力が強化される。
プラン1056 コダール
『J』の本編ではイベントでしか登場せず、ツメスパロボでしか直接戦闘する機会がない。『W』ではルート分岐次第で序盤から登場し、毎ターン集中覚醒を使う。もちろんパイロットはガウルン。自軍戦力がまだ乏しいだけに脅威。
プラン1058 コダールiガウルン機&ゲイツ機)
『J』では「ヴェノム」表記。ガウルン機は本人のパラメータや技能のおかげで『J』や『W』でも一、二を争う強さを誇る。更にどちらも多くのシナリオで気力が一気に上昇したり、毎ターン集中覚醒がかかるなど反則気味の補正まである。今作ではマルチコンボシステムが導入されているため、ヘタに味方機が隣接しているとリアルロボット等はガンガン墜ちる。なお原作者の賀東氏がスパロボファンなのは有名だがガウルンの強さには「俺には接待してくれよ」と嘆いていたという逸話もある。
プラン1059 コダールm夏玉芳機)
『W』で登場。ガウルン機やゲイツ機と比べると反則的な強さはないが、中ボスとしては十分に強敵。
プラン1059 コダールc
『W』で登場。ザコ機体としては破格の性能を誇るが、乗っているのがただの傭兵なので性能を引き出せていない。
プラン1501 ベヘモス
機体の装甲が元々高いのもあってとにかく硬い。パイロットがクガヤマ・タクマやザコの傭兵なので、やや弱めなのが救い。『J』、『W』共に序盤の初心者殺し。
プラン1055 ベリアル
『第3次Z天獄篇』で登場。開発者でありウィスパードでもあるレナード・テスタロッサ専用機で、基本スペックだけでなくラムダ・ドライバの性能も既存の同搭載型を凌駕しており、「世界最強のAS」の名に恥じない戦闘力を誇る。HPはザコレベルだが、バリアの効果が強烈。

余談

  • SF的な設定のため、どうしても説明が煩雑になってしまうのだが、簡単に言えばTAROSは「誰もが持つ微弱テレパシーの送受信装置」で、ラムダ・ドライバは「誰もが持つ微弱サイコキネシスの増幅装置」と言える。
  • フルメタが参戦した作品の一つに似た名前の用語があり、勘違いされてラダム・ドライバと読む人が多い。「ラムダ」とはギリシア文字であり、本来の表記は「Λ(あるいはλ)」である。
    • ネーミングの元ネタは、アインシュタイン方程式における重力定数がΛとして表記されていることから。この方程式は万有引力と同時に万有斥力も表している(そもそも引力と斥力は方向が違うだけで同じもの)。
  • 賀東氏はラムダ・ドライバの設定を思いついた件について、月刊誌『電撃ホビーマガジン』のインタビューで「掲載誌だった『ドラゴンマガジン』にファンタジー作品が多かったことから、ロボットものでも魔法みたいなものを使えるロボットを出さないと受けないのではと思った」という意図だったと明かしている。ただ、スコープドッグザクといった無骨な量産機を好み、スパロボでも量産機でエースを倒すといった嗜好の彼にとっては苦肉の策だったようで、インタビューでは続けて「『なんだかよくわからない力』の説明は後から考えればいいやと思っていたけど(ただでさえ複雑な各種設定が膨大になってしまったため)、すぐに後悔しました」とも述べている。なお、劇中登場人物もこの力については「インチキ」、「ナンセンス」と、肯定的な評価をしていない。ただ、敵側は積極的に運用しているのだが。