魔装機神シリーズに登場する、ラ・ギアスの宗教団体。その名のとおり破壊神サーヴァ=ヴォルクルスを神と崇め、その復活およびそれに伴う現世の破壊、新たな世界秩序の構成を目的として活動する。三位一体の邪神を信仰しているため『3』にまつわる概念を神聖視している。
概要
その教義の強い反社会性により、ラ・ギアスにおいては邪教・禁教として扱われる。信者はテロリスト同様の処罰を受けるため、信仰を隠したり、表向き別の職業を装ったりしていることが多く、中には他の宗教団体のトップとしての顔を持つものすら存在する。信者数は明らかになっていないが、シュウ・シラカワが把握しているだけでも500万人を数えるという。余りの危険性に基本的に教団以外の全てが敵といって過言ではなく、過去には一般市民達が団結して自警行動に乗り出したことなどもあったのだが、本編開始の30年程前より教団が汎用機を使い始めたために容易に手を出せなくなっている。
教義の危険さに何ら偽りは無く、戦争の誘発や直接的テロ行為など様々な手段で世界に混乱をもたらしている。また、表の世界では倫理的に禁じられている技術を所有しているため技術力も相当なものがある。更に信者の中にはヴォルクルスとの契約を結ぶ事によって破壊行為に躊躇いが無くなっていたり、特異な力を発揮するものさえ存在する(全ての信者が契約を結んでいるのかは不明だが、一度契約を結んだものはヴォルクルスに囚われてしまうため、契約を断ちきることは極めて困難である)。
組織としての在り方から、さぞ怪しげな儀式ばかりに興じているのかと思いきや、信者の間で麻雀がはやっていたりするなど、色々な意味で底の知れない集団である。また、中には死者蘇生(実際には成功例は存在せず、シュウの例にしても臨死状態からの蘇生に近い扱い)を求めて教団に入る者も存在するため、必ずしも全員が破滅を志向している一枚岩の組織ではない。
教団のトップは10名前後存在するとされる大司教。だが、彼らすら統括する謎の人物も確認されている。新暦4959年の時点で5名の大司教が戦死。1名が離反している。『静死の棺』を巡る騒動でご多聞にもれず教団本部もマグゥーキの襲来を受けており、残る大司教の去就は不明。最終的に、邪神の根源である巨人「カドゥム・ハーカーム」の討伐成功でアストラル界から三柱の邪神が姿を消してしまった以上、生存した大司教らも弱体化を免れない事が攻略本で明言されている(魔装機神F)。
作中ではヨーテンナイが死亡した段階で、組織としての纏まりが完全に崩壊してしまい、勢力は自然に失われていくだろうと推測されている。
そもそも頂点のヨーテンナイにとっては本当に目的を達成してもらっては困る存在であり、完全に都合良く使い潰すための駒でしかない。シリーズ全体の行動から考えて、その存在意義はアストラル界の力を引き出すための三邪神顕現に加えて、適度に混沌を齎すことで魔装機神操者のようなアストラル界と深く繋がる現象(ポゼッションなど)の使い手を覚醒させるためだったと思われる(実際、ポゼッションは全て教団絡みのイベントで覚醒している)。
登場作品
旧シリーズ
- スーパーロボット大戦EX
- 神聖ラングラン王国各地に眠るヴォルクルスの五大封印を破壊するため、ルオゾールが水面下で謀を巡らし動乱を助長させていた。
- 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL
- 第一章では『調和の結界』を停止させるためにラングランへの国崩しを敢行。それに成功する。第二章では教団を裏切ったシュウへの報復に動いていた。
OGシリーズ
- 第2次スーパーロボット大戦OG
- 前半部で『EX』の再現(リメイク)を行っている。ただ「シュウの章」のみが収録されておらず、ルオゾールの行動から教団の目的を窺い知れても、その詳細を把握することは難しい仕組みとなった。「シュウの章」再現は続編へ持ち越される事に。
- スーパーロボット大戦OG ダークプリズン
- 『EX』シュウの章を再現。ガエンがシュウの監視役として活動しており、蘇生後のシュウは教団から完全に信用されていたわけではない模様。
魔装機神シリーズ
- スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL
- リメイクにあたり、その規模の一端が明かされた(ざっと500万の入信者)。
- スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神II REVELATION OF EVIL GOD
- 破壊神完全復活のために更なる行動に着手する。「シュテドニアス南北戦争」(内戦)への介入は、その手始めである。
- スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神III PRIDE OF JUSTICE
- ヴォルクルス、ラスフィトートに続き創造神グラギオスを復活させるために暗躍する。
- スーパーロボット大戦OGサーガ 魔装機神F COFFIN OF THE END
- 災厄の時代に入り、今回も暗躍するものと思われたが(主にレイブレードの製作経緯)、序盤ではマグゥーキの正体を知らされないまま攻撃され、あのお方ことヨーテンナイも中盤で死亡、そして残党の一人であるボーロが意外な人物に討たれるなど、PV1の予告通り最初から崩壊してゆく状態である。登場機体も前作ほどの強さがなく、もたもたするとマグゥーキ(序盤)や巨人(終盤)に全滅させられる(巨人族編においてはナグロッドやゴリアテなどの野盗勢、ダイオンなどのシュテドニアス勢、ガディフォール搭乗の近衛騎士団勢は機体が終盤仕様に強化されているのに対し、ヴォルクルス教団勢はその終盤仕様の強化が雑魚からボスまで全く施されていない。ヴォルクルス教団の勢力が既に失われ始めているという証左なのかもしれない)。
教団の戦力
保有する汎用機には靈裝機・妖装機・咒霊機などの3種類の区分が存在する(靈装機と妖装機を区分する境界点は不明。COEでは靈裝機はレヱゼンカヰムを源流とした派生機とされているため、ここが区別のポイントだと思われる)。多くの機体が肩部の意匠に花の紋様を用いている(機体によっては生物の眼のように見えないこともないが)。花の形状は、地上のキク科の植物のものによく似ている。魔術的な力を振るう点は魔装機神等の他のラ・ギアスの機体と同様だが、基本的に呪術や悪霊・死霊の力の行使と言った禍々しい魔術が中心になっている。
また、召喚魔法で呼び出した魔獣などの使役も得意としている。これらの魔獣は暗黒系の魔術で生み出された傀儡であるが、この系統の魔術は調和の結界の掣肘を受けるため、召喚する者に結界の干渉を上回る力量が求められるだけであって、必ずしもヴォルクルスとの契約を必要としてない(例としては信仰を捨てたものが召喚した事例や、戦士の鍛錬のために召喚しているゼノサキス南宗家などが存在する)。
また、機体によるが、教団の運用するあるいは開発した機体は、読むのが異様に難しい名前の武器を持っていることがある(ヂーヱンの「殃する異怪(わざわいするあやかし)」・ボーヰンの「兇癲の戯(きょうてんのそばえ)」やペンタルコスの「創世の儺(そうせいのおにやらい)」など)。
靈裝機
- アラネグナ / バグラン / スィルヌム / トルキラ
- 簡易量産型。いずれも人間離れした外装の持ち主。最も性能が高い量産機は3脚に3本の爪など3数字が最も含まれているトルキラ。他の量産型も背面スラスターが三角の形で設計されていることが多い。
- ユビュー
- ボランゾルンの直掩機として開発された靈装機。ただし、性能は低く簡易量産型と大差がない。
- ヂーヱン(輕裝式ヂーヱン) / ボーヰン(多極式ボーヰン)
- 教団実行部隊が運用する機動兵器。開発されてから数十年を経た骨董品だが、耐久力では現行のBクラス魔装機の上を行く。一昔前の機体とはいえ、使用されている技術の幾つかは現在でもパテント(特許)が取れるような代物である。同時に表の世界では禁じられている技術も利用されているが。
- ギュヰリ
- セウラントが改良・開発した新型の靈装機。開発者の設計思想から脱出装置が装備されていない(搭乗者が生き延びている場合もあるため、後に搭載されたとも解釈可能)。
- ゾードクヲン
- 崇使であるアディーナムとヴァールニーヤの専用機。他の靈裝機とは比較にならない強大な力を持つ。
- レヱゼンカヰム
- 靈裝機の原型であるヨーテンナイの専用機。三邪神のアストラルエネルギーを直接受け取り驚異的な再生力を発揮。後に修復され、巨人族の巫女となったフィリスの手に渡った。フィリスの手に渡った後は巨人族からのエネルギー供給で再生力を発揮する。
妖装機
- ウィーゾル / ウィーゾル改
- ある人物が遺した文献を元にして開発されている。ナグツァートと同等の性能を誇る。後に離脱。
- モーヴァ
- 指揮官機として建造された妖装機。パイロットの生存を最優先に設計されている。
- ボランゾルン
- 魔装機神と同等の力を持つ妖装機。ただし、性能を引き出すには操者にも相応の能力が要求される。
咒霊機
超魔装機
- ペンタルコス
- 創造神ギゾース・グラギオスを降臨させる為に開発された超魔装機。機体に大量の精霊を封じ込めている。
召喚魔獣
- 死霊装兵
- 死霊傀儡の外法を使ってエクトプラズムを実体化させた骸骨(スケルトン)の魔獣。サイズ設定は自由自在。本編では魔装機との戦闘を想定した巨躯で使役召喚される。基本能力はデモンゴーレムより上。
デモンタイプ
主な信者
- ヨーテンナイ
- 教団の頂点に立つ人物にして、唯一絶対の預言者。『魔装機神II』第1話および一部のエンディングでのみ登場した後、COEで本格的に登場。
大司教
『COE』ではボーロの発言より、他の大司教とは連絡が取れず生死不明。
- ルオゾール・ゾラン・ロイエル
- ラングランで活動する魔神官。闇の貴族と自称する。『LOE』第二章で戦死。
- エルシーネ・ヴォルクルス
- アクアビナ修養会の教母としてシュテドニアスで活動していた女性神官。『ROE』で戦死。
- サティルス・ギャレール
- ルオゾールの盟友。『ROE』で戦死。
- ボーロ・フェイブル
- 『COE』で登場した大司教。『COE』時点で残っている大司教の中では最年少とのこと。
- ブラッシュ・ネンバー
- 『COE』で登場。大司教で最も教団の教えに厳格であり、『断罪のブラッシュ』の異名を持つ。
司教
- グレプス・ボーバード
- 技術屋。司教にしてはかなり俗っぽく人間味もある。
- ピレイル・ボーラセン
- 陰鬱な雰囲気を纏わせる青年。若くして大司教への昇進候補に名を連ねている。『POJ』で何者かの命令を受け暗躍するも戦死。
- ワッシャー・ニールカン
- ファングの母方の祖父。創造神グラギオス復活を目論んでいるが、本当の目的は別にあった。
司祭
- ロイズ・レクセルズ
- グラギオスの研究を行っている女性の司祭。ピレイルの直属といった立場に居る。
- ベルガ・メンフィス
- 「太鼓持ちのベルガ」、「腰巾着」等と揶揄される出世欲の強い男。ロイズ同様ピレイルの直属的立場に居る。
実行部隊(暗殺隊)
- ウーフ
- ヴォルクルスと深く契約を結んでいる痩身の男。かつてガエンの教育を担当した。
- バシュリエ・ドローゼン
- 名うての暗殺者として知られる女性。ウーフやガエンの師匠。60年以上も暗躍していると思えないほど若々しく見えるが、これは変装によるもので、実年齢はおろか正体すら一切不明。
崇使
その他
脱退者
背教行為に走った者達。ただし、契約が深い者はヴォルクルスの支配によって洗脳されてしまう事がある。
- シュウ・シラカワ
- 元大司教。脱退後はヴォルクルス教徒達からも「背教者」と呼ばれるようになった。第2次OGでは(EXを知らない人から見れば)いつの間にか支配から脱していたため、エンディング時にそのことを明かされたマサキにかなりびっくりされた。
- サフィーネ・グレイス
- エルシーネ大司教の実妹だが、姉がヴォルクルス教徒であることは本人が正体を明かすまで知らなかった。シュウへの思慕の情から彼に付いて行く。
- ガエン
- 元暗殺隊所属。もとより自分以外の何かに傾倒するような性根の人間ではないらしく、シュウとの接触を切っ掛けにして簡単に信仰を捨てた。ヴォルクルスとの契約はあまり深くなかったようだ。それもそのはず、ヨーテンナイ直属の部下「崇使」の証として右目に聖痕なるものを打ち込まれており、このせいで邪神そのものとの契約を結べていなかったことが魔装機神Fで語られた。
協力者
「ヴォルクルス教団と手を組んだ奴がどうなったか、知っているだろ!」とはマサキの弁。大抵は悲惨な末路を迎える(ヴォルクルス教団の与り知らぬところで死んだ者も多いが)。ただし、傭兵として雇われた場合は死亡しないことも多い(ヴォルクルスとの契約を行っていない事も理由の一つ)。
- カークス・ザン・ヴァルハレヴィア
- ガスパ・アルバレツ
- ヴォルクルス教団の力を借りて様々な破壊活動を行ったテロリスト。
- ラセツ・ノバステ
- 魔装機神I第一章では手を組んでいたのだが、第二章では全く関係が見受けられなかった。部下のジョグはEXでヴォルクルス教団と共闘していた。
- ゼツ・ラアス・ブラギオ
- 『魔装機神II』でその関係が明らかになった。昆虫に近いフォルムをした非人型魔装機を好んで設計する彼から技術提携を受けた名残なのかは不明だが、咒霊機ナグツァートと妖装機ボランゾルンは蛾と蝶を連想させるデザインで仕上げられている。
- セウラント・ペイ・ボラキス
- ラーダットの練金学士。『POJ』のバゴニアルートではワッシャーに超魔装機ペンタルコスを提供した。
- ヌル・ツーホーク
- 信者の可能性もあるが、ウーフにあっさり切り捨てられた辺り、こっちの可能性が高い。
- オンガレッド・キレシナ
- マサキに上記の台詞を言われた張本人。南部ルートではその発言に違わぬ末路を迎える。
- エリック・グレゴリック
- ウーフに雇われて彼を兄貴と一方的に慕う。
- ルビッカ・ハッキネン / ジェン・デミン / ディーゴ・カムラッド
- 傭兵。
- フォーラン・デイクセン
- エルシーネの付き人だった女性。アンティラス隊、ひいてはヤンロンへの復讐を果たすべくピレイルと共謀。変装術で彼女に成り済ましていた。
- イルゼノン社
- ボーロからリチュオルコンバーターを受け取る。