日本神話

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日本神話とは、日本に伝わる神話

概要

それに伝わる伝承はほとんどが、『古事記』や『日本書紀』および各『風土記』の記述によるものであり、高天原の神々が中心となっている。日本神話に登場する高天原の神々の多くは、日本における民族宗教である神道において信仰されている。

なお、日本神話は(良くも悪くも)大らかだった時代に成立した故か、暴力的なエピソードや下半身に関するネタも少なくない。

漢字表記は複数あるため、この記事に書かれてあるのはあくまでもその一つにすぎない事に留意。

日本神話が取り入れられている作品

鋼鉄ジーグ鋼鉄神ジーグ
敵の邪魔大王国などの設定が古代日本神話をモデルにしている。『鋼鉄神』の主人公3人の名前は三種の神器に因む。
勇者王ガオガイガー
天海護の設定は竹取物語がモチーフ。また、オービットベースのディビジョン艦の名称には神の名が使われている。
鉄のラインバレル
加藤機関の各隊長が駆るアルマに日本神話に出てくる神の名がつけられている。
他にも、洞窟に埋まっている二体の動物型マキナを探索している際にイザナギとイザナミに関するエピソードを語るシーンがある。
GEAR戦士電童
電童ガルファ皇帝との最終決戦は、日本神話におけるスサノオノミコトとヤマタノオロチとの対決場面がモデルになっている。
機動戦艦ナデシコ
日本神話由来の設定や名詞が多数。また、漫画版である遊撃宇宙戦艦ナデシコ(SRW未参戦)は特にそれが顕著である。
機動戦士ガンダムSEEDシリーズ
オーブ連合首長国関連に名称が使われている。

神々

イザナギ(伊弉諾)
皇祖神。『国産み』『神産み』において妹であるイザナミとの間に日本国土を形づくる多数の子を儲ける。
後にカグツチを産んだ際にイザナミを亡くし、黄泉国(よみのくに)では彼女から「決して私の姿を覗いてはいけない」という約束をされた。
それでもイザナミに逢いたい気持ちを捨てきれず、約束を破ってまで逢いに行き、イザナギは彼女の姿を覗き見ると、イザナミは既に腐敗した体に蛆が集まる醜い姿と変わり果てており、イザナギは恐怖のあまりに逃げ出してしまった[1]
その後、黄泉の穢れを落とした際に様々な神を産んでいる。その中には、有名なアマテラスら三柱の神(三貴子)もいる。
イザナミ(伊弉冉)
黄泉国の主宰神。「黄泉津大神」「道敷大神」とも言う。元はイザナギの妹であり、妻であるが、火の神であるカグツチを産んだ為にその身を焼かれて死んでしまう。
死後、イザナミはイザナギに腐敗した死体(自分)を見られないように自分に逢わないようにと約束させたが、黄泉国にまでやってきた上にその姿を見られた事に激怒してイザナギを追い回す。
しかしイザナギに逃げられた挙句、黄泉国と地上との境である黄泉比良坂(よもつひらさか)の地上側出口を大岩で塞がれてしまい、完全に離縁されて今に至っている。そのため、地獄とは違い、死者は黄泉へと行けなくなっている
なお、出口が閉じられた際にイザナギに向けて「私は一日に千人を殺す」と呪いの言葉をかけ、それに対してイザナギは「ならば、人が滅びないように、一日に千五百人の妊婦が出産するための家を建てよう」と返している。これは、日本における死生観を表しているとされる。
カグツチ(迦具土神)
火の神であり、イザナギとイザナミの子。それ故、出産時にイザナミは火傷し、これが原因でイザナミは死んでしまう。
その後、これに怒ったイザナギに神剣「アメノオハバリ(天之尾羽張)」で殺されるが、皮肉にもカグツチの血、死体からタケミカヅチをはじめとする数多くの神々が生まれた。
タケミナカタ(建御名方神)
軍神、山の神、風神。『葦原中国平定』において、タケミカヅチが葦原中国の国譲りの際にタケミナカタは力くらべを申し出るも、タケミカヅチの手をいざ掴むとその手が氷や剣に変わってしまった。
これを恐れて逃げ出すが、その逃走先である科野国の州羽(すわ)の海(諏訪湖)にてタケミカヅチに殺されそうになった際「もう、この地から出ないから殺さないでくれ」と命乞いをし、タケミカヅチに服従した。
タケミカヅチ(建御雷神)
雷神、剣の神。『神産み』においてイザナギがカグツチの首を切り落とした際、その際に使った神剣アメノオハバリの根元についた血が岩に飛び散って生まれた三神の一柱。
『葦原中国平定』においてはタケミナカタから力比べをもちかけ、手づかみの試合で一捻りにしてタケミナカタを恐懼させて遁走し、国譲りがなった。
なお、この時のタケミナカタとの戦いは「相撲」の起源とされている。
アマテラス(天照大神)
太陽神であり、ツクヨミ、スサノオの姉神。イザナギが穢れを落とした際に左目から生まれた。イザナギ・イザナミ以降の神話における事実上の最高神。
イザナギに追放されたスサノオの潔白を証明するものの、スサノオは粗暴な行為に走ってしまう。その結果、アマテラスは天岩戸に隠れてしまい、世界は闇に包まれてしまう。この岩戸に隠れてしまったアマテラスと、彼女を岩戸から出そうとする神々を描いたのが、有名な『岩戸隠れの伝説』である。
ツクヨミ(月読命)
月神、夜を統べる神であり、アマテラスの弟神にあたる。アマテラスのイザナギが黄泉国から逃げ帰って、穢れを落とした際に右目から生まれた。
スサノオ(素戔男尊)
戦神であり、アマテラス、ツクヨミの弟神。イザナギが穢れを落とした際に鼻から生まれた。
『古事記』では自分勝手な性格をしており、「母イザナミがいる黄泉国に行きたい」と泣き喚いて、父イザナギの怒りを買う。姉のアマテラスによって潔白が証明されるも、高天原で粗暴な行為に走ったが為に、前述した『岩戸隠れ』が起こってしまう。それが祟ってか、スサノオは高天原を追い出されてしまう羽目になった。
なお高天原追放後、出雲国に流れ着いたスサノオはその地を荒らす怪物「ヤマタノオロチ」を退治し、生贄となるはずだった少女クシナダヒメを救出する英雄として活躍している。
以上の通り、スサノオは「トリックスター」や「貴種流離譚の英雄」という多面的な性格を持つ神である。
アメノウズメ(天宇受賣命)
芸能の女神であり、日本最古の踊り子。『岩戸隠れ』においては岩戸に隠れたアマテラスを誘い出すために文字通りあられもない恰好の踊りをして八百万(やおろず)の神を大笑いさせた。
ちなみにアマテラスは不審に思ったものの岩戸から出たため、(間接的にではあるが)結果としてその策は功を成したといえる。
オモイカネ(思金神)
知恵を司る神。『岩戸隠れ』では天の安原に集まった八百万の神に対して天岩戸に隠れた太陽神アマテラスを岩戸の外に出す為の知恵を授けたり、『葦原中国平定』では、葦原中国に派遣する神の選定を行っている。
カカセオ(香香背男)
アマツミカボシ(天津甕星)とも。
星の神。フツヌシとタケミカヅチの二神が葦原中国に住まうまつろわぬ邪神と物言う草・木・石の類を全て平定し終えたが、カカゼオだけは最後まで従わなかった。そこでタケハツチノミコトを遣わしてこれを服従させた。
ちなみに世界では星を信仰する神話が多いのだが、日本神話では悪神となっている。
七福神
福をもたらすとして日本で信仰されている七柱の神々。大黒天、毘沙門天、恵比寿天、寿老人、福禄寿、弁財天、布袋尊の七名で構成されている。
「七難即滅、七福即生」の説に基づくように、七福神を参拝すると七つの災難が除かれ、七つの幸福が授かると言われており、七福神の信仰は、室町時代の末期の頃より生じたとされる。
余談だが、恵比寿天を除く六名は、インドあるいは中国由来の神である。大黒天は日本神話の神「大国主命」と字面が似ているので、古来より混同されている。恵比寿は一説によればイザナギとイザナミの最初の子「ヒルコ」が神となった姿とする説もある。

生物

ヤマタノオロチ(八岐大蛇)
八つの頭と八つの尾を持つ、巨大な蛇の怪物。年に一度出雲国に降り、ある老夫婦の娘達を一年に一人ずつ食い殺していた。最終的には、スサノオの計略によって討たれている。
ちなみに、ヤマタノオロチの死骸の中から出てきたアメノムラクモノツルギは、後にアマテラスに献上される事となる。(後述)

地名

オノゴロ島
日本神話における『国生み』にてイザナギとイザナミがつくり出した最初の島となっている。現在の淡路島とされている(ただし、諸説有り)。

道具

三種の神器
アマテラスが孫のニニギに与えた神の権威を象徴する神器。天皇家の皇位継承の証とされる。
ヤタノカガミ(八咫鏡)
三種の神器の一つ。アマテラスの岩戸隠れの際にイシコリドメがこの鏡を作った。アマテラスが岩戸を細めに開けた時、この鏡で映し、興味を持たせて岩戸の外に引き出した。
クサナギノツルギ(草薙剣)
三種の神器の一つ。スサノオが退治した怪物ヤマタノオロチの死骸から出てきた剣で、アマノムラクモノツルギ(天叢雲剣)とも言う。
アマテラスに献上された後、ニニギやヤマトヒメの元を経てヤマトタケルの元に渡る。ヤマトタケルの死亡後は、妻ミヤズヒメによって祀られた。
ちなみに武器の名称は、敵の火攻めの罠に掛けられたヤマトタケルが、自らの周辺の草を薙ぎ払う事によって窮地を脱した件に由来する。
ヤエガキノツルギ(八重垣剣)
クサナギノツルギことアメノムラクモノツルギの別名の一つ。
なお、武器の名称はヤマタノオロチの打倒後にクシナダヒメと結婚したスサノオが詠んだ和歌「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠に 八重垣作る その八重垣を」[3]に由来か。
  • 『スーパーロボット大戦Operation Extend』では、八重垣ひまりの名前の由来となっている。
アメノハバキリ(天羽々斬)
スサノオがヤマタノオロチを退治する際に使われた刀剣。ちなみに「ハバ」とは蛇を意味する古語で、文字通りヤマタノオロチを斬り倒した刀剣である。
また、握り拳10個分の長さなので、トツカノツルギ(十拳剣、十握剣)とも言う。
トクサノカンダカラ(十種神宝)
沖津鏡(オキツカガミ)、辺津鏡(ヘツカガミ)、八握剣(ヤツカノツルギ)、生玉(イクタマ)、足玉(タルタマ)、死返玉(マカルガエシノタマ)、道返玉(チガエシノタマ)、蜂比礼(ハチノヒレ)、蛇比礼(オロチノヒレ)、品物之比礼(クサグサノモノノヒレ)の10個からなる宝。
比礼(スカーフのようなもの)と剣、鏡、玉をそれぞれ三種の神器とする説も有る。
また、布瑠の言(フルノコト)という言霊が存在しており、神宝をその名前を呼びつつ振るいながら唱える事で死者すら蘇らせる力を発揮するという。
ヒヒイロカネ(緋緋色金)
古史古伝『竹内文書』に登場する金属。太古日本で様々な用途で使われていたとされるが、『竹内文書』自体が古代の文書を装った偽書なので、存在は疑わしい。
日本神話に由来しない近代の創作だが、『竹内文書』自体がオカルトとしてもてはやされるうちに伝説の金属としての地位を獲得していき、現在では和風ファンタジーの定番となった。

その他

ヨモツヘグイ(黄泉戸喫/黄泉竈食ひ)
黄泉国の食物を摂取して、黄泉国の住人になってしまった者を指す用語。
前述のイザナミは、死後に黄泉国の食物を口にしてしまい、蘇生する事が叶わぬ、ヨモツヘグイとなってしまう。

余談

脚注

  1. いわゆる、「見るなのタブー」を冒して酷い目に遭うエピソードは、日本神話だけでなく、世界各地の神話童話において数多く見られる。
  2. 正確には、エイサップが無名のオーラバトラーを「名無し」と呼んだ際、これをサコミズが「ナナジン」と聞き間違え、さらに七福神を由来にしたネーミングだと勘違いを重ねた。
  3. 余談だが、スサノオが詠んだこの和歌は、日本最古の和歌とされる。