ダイマ・ゴードウィン
ダイマ・ゴードウィンは『スーパーロボット大戦T』の登場キャラクター。
ダイマ・ゴードウィン | |
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登場作品 | |
声優 | 江原正士 |
デザイン | 岡本光晴 |
SRWでの分類 | パイロット |
プロフィール | |
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種族 | 地球人 |
性別 | 男 |
年齢 | 48歳 |
所属 | 地球連邦軍→VTXユニオン→銀河統一計画 |
役職 | 士官(パイロット)→社長→無職(自称銀河統一計画総司令) |
概要
主人公が所属する巨大複合企業「VTXユニオン」の社長で、火星生まれのA級ジャンパー。元地球連邦軍士官で、スーパーロボット「ガイアーン」のパイロットとして活躍していた。軍籍当時、上官だったヒロスケ・アマサキに「世界を救うヒーローになれ」と言葉を投げかけられたのを機に目覚ましい戦果を挙げ、「無敵のダイマ」の異名で呼ばれる生ける伝説ともいうべき英雄的存在となった。また、歴戦の戦士である東方不敗マスター・アジアやエルドラメンバーとも面識があり、ガンダム・ザ・ガンダムとの勝負に勝ったこともあると言われている。
その後ヒロスケと共にVTXに入社し、本編開始の10年前に社長の座に就任して以降経済界にその名をとどろかせている。豪放磊落な性格で決めたことは決して曲げようとしない頑固なところはあるものの、経営においては柔軟な姿勢を心がけており、先見の明を持つ彼に強いカリスマ性を感じ命がけで付き従うものも多い。
かつて自分が保護したラミィ・アマサキが配属された特務三課がT3へ参加するにあたり、部隊の名付け親である親友エイム・プレズバンドと共に支援者としてT3をバックアップ。黎明戦争後半、ティラネード・レックスの時間稼ぎの為にワシールモン・ラズエルソンが嗾けたアーピエスにゲシュペンストで特攻を仕掛け、宇宙に散ったかに思われた。この時点で死亡したと誰もが思ったため、社長の座も他の人物に移動している。
しかし、T3がラグナヤル・ディンハーリッシュ率いるUND第零番艦隊を退け、エイムのイーファスΩを追ってGアイランドシティに到着した後、超巨大ロボットダイガイアン1号を駆って一行の目の前に姿を現す。イーファスΩを一刃のもとに瞬殺すると、社長時代に会社の予算を私的横領して作り上げていた「機動要塞VTX」を中核とした銀河統一計画という事実上の外宇宙・異世界侵略に全人類を参加させること、そして自身がその司令になることを宣言した。
先述の特攻は「己のヒロイズムをアピールする為のパフォーマンス」にすぎず、秘密裏にボソンジャンプで逃げ延び潜伏を続けたのち、T3がUNDを撤退させたのを絶好の機会とみて計画始動に打って出た。しかしT3がこのような侵略行為を認めるはずもなかったため、彼らを反逆者として屠るべく大量のティランドと共に黎明戦争最後の壁として立ちふさがる。
実はダイマは今に至るまで「挫折や失敗から這い上がり、それを糧に人間的な成長をする」という、人間なら誰しもがいつかは踏む事になるステップを経る事無く、ひたすらに成功ばかりを重ね続けて今の地位を得た結果その内面は「少年の心を持った大人」などど形容するのも生易しい、大人の皮を被る駄々っ子そのものと化していた。先述のパフォーマンス発言が、特攻で自分が死んだと思っていた人々の悲しみを反故にするものだとは露とも思っていないなど心情や空気が読めない無神経な一面もあり、VTX社訓から読み取れるパワハラ体質と共に社内外を問わず敵を作っている要因にもなっている。また50間近でありながら未熟で幼稚なメンタルから脱却できずにいる一方で、巴武蔵の死に対する哀悼の意をT3からの信頼を強める為に利用するなど、ビジネスマンとしての損得勘定が悪い意味で染み付いたせいか妙に打算的なところがある。
総じて「自分の行動と思想は地球人類の総意である」という思い込みとエゴに凝り固まっており、質の悪いことに本人はすべて善意のつもりであり自身の計画が地球の恥さらしになることなど微塵も思っていない。ヒロスケからは軍籍時代から「力以外の戦いがあることを知ってほしい」という想いをダイマに対して抱いており、ダイマにとってもそれがVTX入社のきっかけとなったのだが、結局ダイマは今になるまでそのことを理解できていなかったのである。
銀河統一計画を考案した動機も民衆に自ら立ち上がり外宇宙の困難に挑む意思や力がないと勝手に決めつけ、「彼らに立ち代わり自分が指標となって黄金の時代をもたらしてやろう」という傲慢さに満ち溢れたものであり、人々をこのように評価していた時点で、元より黄昏の時代特有の価値観から脱却できていなかったといえる。
最終決戦
こうして無自覚に戦火をまき散らそうとするエゴの産物と、それを迎え撃つT3の決戦の幕が開くのだが、ネバンリンナや魔獣エンデ同様通常ルートと隠しルートではその途中の過程に違いがある。
通常ルート
機界新種を攻略して卯都木命を救出したT3を危険分子として抹殺しようと姿を現したエイムを処断し、銀河統一計画を阻止せんとするT3と対峙。Gストーンを参考にしたダイガイアンの機能によって最初から限界を超えた状態で襲い掛かってくる。自分の雄姿を見せつけ計画のプロパガンダにする目的で太陽系全土にこの戦いを中継しており、機動要塞に集まってきた市民やVTX社員の事も新しい人類の船出の旗頭となる自分に声援を送りに来てくれたものだと信じ込んでいた。
しかし彼らが機動要塞に姿を見せた理由は銀河統一計画に反対する為であり、数え切れぬほどのブーイングの嵐が飛び交ったことで強いショックを受ける。今更の様に社長面をして逆上するものの「前社長と呼ぶな」と宣言していたのが仇となって逆に秘書から既に自分はVTXの一員ですらないと三行半を突き付けられ、T3の面々から人類一人一人が(武力だけではない)戦う意思に目覚め立ち上がれるという事実を痛烈に指摘され容赦ない非難を受ける。トドメにホシノ・ルリから「痛い無職の中年」と駄目押しの一撃を喰らい挫折の味を知らなかった反動もあってか戦意を喪失、その影響でダイガイアンに蓄積されたエネルギーが放出されたことで疲弊しきっていたT3も復活し完全に形勢が逆転した。
隠しルート
ダイマがイーファスΩを退けT3に立ちはだかるという流れは通常ルートと同じだが、こちらではダイガイアン1号にDG細胞由来の自己修復機能が搭載されており、突如受けたダメージを全回復してくる。更にイーファスΩから脱出していたエイムがダイガイアン2号とともに姿を現し、親友としてダイマの銀河統一計画に協力を宣言。その茶番同然ながら互いに陶酔しきった友情からタカヤノリコに「二つの炎が一つになって、銀河を巻き込む戦火になろうとしている」と言わしめた。
1号の自己修復に必要なエネルギーを供給する役目を持つ2号を先に倒されたことでエイムを失い、T3から自分の行いが「世界の敵でありT3の敵」と糾弾されたことでその信念に強い揺らぎが生じ、今まで経験しなかった挫折に戸惑いを覚える。しかし「たとえそれが間違った道でも、ここまで来たら突っ走れ」というエイムの遺言を受けて「自分が屈すれば彼が無駄死にになる」という考えのもと自らを奮い立たせ改めてT3に刃を向ける。
こちらのルートでは市民からのブーイングによる戦意喪失がない分、通常ルートよりはラスボスの威厳を損ねずに済んでいるといえる。また、戦闘前会話ではT3を計画に勧誘しようとするなどVTX時代に培ったビジネスマンとしての顔もうかがわせる。無論言うまでもなく交渉は決裂するのだが。
敗北後
どちらのルートでも「自身の事を全く客観視出来ていない"堕ちた英雄"」という現実を突きつけられ今まで経験しなかった失敗や挫折に直面したことが切欠でT3に敗北し、ダイガイアン1号と共に果ててエイムの元に逝こうとする。
特務三課の面々から脱出して罪を償うよう要求され、最初は生き恥を晒すことを拒むも主人公からVTX社訓その7『逃げる事を潔いとは言わない』を突きつけられる。更にかつての恩人にこれ以上幻滅したくないラミィからの説得を受けた事が決め手となり、ダイガイアン1号から脱出・投降するという結末を迎えた。
また、エンディングでも存命している事が語られている。
登場作品と役柄
単独作品
- スーパーロボット大戦T
- 本作のラスボス。
- 通常ルートではいきなり気力300で襲い掛かってくる。ゾヌーダロボ戦で離脱したユニットがいる場合きついかもしれないが、何とかしてダメージを与えていきたい。HPが一定値以下になるとブーイングイベントが発生して気力50に弱体化する[1]とともにこちらのSPが回復し、気力が限界まで上昇。形成が一気に逆転するのでイベント発生までが山場と言える。例年通り、味方パイロットそれぞれに戦闘前会話及び特殊戦闘台詞を披露してくれる。
- 隠しルートではダイガイアン1号の回復機能がある為先にエイムの乗る2号を倒さないと撃破する事が出来ない。ティランドの増援数による敗北条件があるので状況次第ではティランドの撃破にも戦力を割く必要が出てくる為、エイム撃破時点で余力を残すようにしたい。
- 担当声優の江原氏は『魔装機神III』のズラム・バスラム役を経て今作で版権スパロボ初参加、CM1のナレーションも担当している[2]。
パイロットステータス
能力値
精神面はさておき、ラスボスだけあって全体的に高水準でまとまっている。この辺は「無敵のダイマ」の面目躍如ということか。
精神コマンド
特殊技能(特殊スキル)
- T
- 3回行動、底力L6、極、闘争心L3、気力+ボーナス、気力限界突破L3、プレッシャーL4
- こちらも「無敵のダイマ」の看板に偽りなし。ラスボスに相応しい内容なのは確かである。
- エキスパートモードではこれに加えてダイガイアンのカスタムボーナスまで加わるため、精神コマンドなしではほぼ避けられない&耐えられないの地獄絵図と化す。
固有エースボーナス
人間関係
- サイゾウ・トキトウ、サギリ・サクライ
- 特務三課の主任。社の一大プロジェクト「プロジェクトTND」のフラッグシップ機であるティラネードのパイロットという重要な立場にいるにもかかわらず、何とダイマは彼(彼女)の名前を憶えていない。
- この事がダイマの部下に対するいい加減な一面を物語っている反面、2人の社長に対する不審の種ともなり、最終決戦では「地球の恥さらし」と断じる。
- ラミィ・アマサキ
- 地球に漂着した彼女を保護したことから、「おじさま」と呼ばれ慕われている。ダイマ本人としてもラミィへの愛情は確かに存在していたが、それを凌駕して余りある程に自らが唱える夢への渇望が強かった…。
- ヒロスケ・アマサキ
- 特務三課課長で連邦軍時代の上官。VTXにおいてはともに入社した同期でもある。
- サラリーマンという「武力以外の戦場」がある事を知ってもらいたいという想いからダイマにVTXを勧めたが、彼がそのことを理解せず剰え力による侵略という道を選んだ事に失望し、最終決戦では「VTXを私物化した悪党」と辛辣に断じた。
- エイム・プレズバンド
- 連邦軍時代からのライバル兼親友。地球の同胞を売ろうとした事でダイマに断罪されるが、隠しルートでは贖罪を済ませた(つもりになった)事で共同戦線を張りT3に立ち塞がる。
- 秘書
- VTX社長時代の直属の秘書。通常ルート最終話で「最早VTXの人間ではない」という現実をダイマに突きつける。
版権作品との人間関係
名台詞
共通
- 「そうだな、ラミィ…。お前の言いたい事もよくわかる」
- 「だが、俺は地球人だ。まずは地球人の繁栄を第一に考える! それ以外は知った事ではない!」
- ラミィから侵略ではなく人類の未来の為に力を役立てて欲しいと計画中止を懇願され、それに対する返答。
- 異星人であっても愛する地球の為に命懸けで戦い、人々の平和と幸せを真剣に願い、心からダイマを慕うラミィの想いを平然と踏み躙る暴言に、主人公の怒りが爆発する。
- 「確かにお前達は強い…。人類が夢を託すに足る存在だ」
「だが、俺と人類の夢を否定するのなら、お前たちはただの悪だ!」 - 戦いの直前にT3の強さを認めるが、結局は悪と断じる。「俺と人類」と言っている辺りが彼の傲慢さを物語っている。
- ラミィ「おじさま…。私を助けてくれた人をこれ以上、嫌いにさせないでください」
「…わかった。自首しよう」
「T3…。俺の負けだ」 - 敗北後。ラミィからの説得を受けて潔く負けを認めダイガイアンから脱出、T3に投降するのだった。
通常ルート
- 「人類の新たな出発の日…。そのセレモニーに参加するために市民の皆さんも集まってきている」
「彼等の声援がこの俺の闘志に火を点ける!」
「讃えよ、ダイマ・ゴードウィンを! 叫べ、ダイガイアンの名を! そして、共に銀河へ旅立とう!」 - T3の攻撃をものともせず優勢の中で、戦いが中継されている事を語り、機動要塞VTXへと集まってきた市民たちに対して。
- それに対する市民たちから帰ってきたのは「引っ込めワンマン!」「勝手に俺たちの生き方を決めるな!」「あんたみたいな大人大っ嫌いだ!」「望むのは大切な人たちと暮らす平和です!」「一人で勝手に盛り上がってるだけなんスよ」と、大地を震わすほどのブーイングであった。
- 「馬鹿な…! 人々は、この俺を糾弾するためにここに来たのか!?」
「何故だ!? それだけのために、わざわざ戦場に来るなどあり得ない!?」 - 直後、大勢のブーイングを受けた事で激しく同様。一人一人が闘志を持ち、誰も自分のことなど待っていなかった現実を知った事で心が揺れ始める。そして……
- 「!!!!!!」
- ルリから「痛い無職の中年です」と指摘された事で完全に心が折れる。その姿はまさしく裸の王様であった。
- それでもまだ戦おうとするが、形勢は完全に逆転していた。
隠しルート
- 「何故だ、エイム…? 何故、脱出しなかった…」
「いつ以来だろうな、戦いの中で友を失うのは…」
「フ…感傷だな。こんなにも悲しいのは年をとり、戦場を離れていたからか…」 - ダイガイアン2号撃破後、エイムを失った事で悲しみを感じるが直後、アマサキから「その悲しみを人類全てに与えようとしているのだぞ」と指摘される。
- 「人々に喜びより悲しみを与える者…。俺は…間違っていたのか…」
「俺はヒーローではなかったのか!?」
ネロ「ダイマよ…。やり直すには、お前もエイムも年を取り過ぎたようだな」
東方不敗「罪に震え、己のしでかした事に怯えるお前ではもう世界は背負えん」
「黙れ…! 黙れぇぇぇっ!!」
「ここで俺が折れたら、エイムが無駄死にになる!」
「俺は走り続ける! 俺は死す時まで、ダイマ・ゴードウィンだ!!」 - 自身こそが「世界の敵」となっている事実を突きつけられ大きく動揺。それでもなお、自身の信じた道の為に止まる事は決してしなかった。
戦闘台詞
- 「ふざけるな! 俺はダイマ・ゴードウィンなのだぞ!」
- 劣勢時の被弾台詞。似た台詞を言った者は戦死か退場したのだが…。
- 「勝利と明日が交差する!」
- 必殺銀河断獄剣使用時の台詞バリエーション。社名のVTX(Victory,Tomorrow,Xross)にそれぞれ絡めている。
- 「VTX社訓その六『やる気のない者は去れ!』」
- 必殺銀河断獄剣の〆の一喝。使用する度に毎回叫んでいる。
搭乗機体
余談
- 名前の由来は「ダイレクトマーケティング」、苗字の由来は「バンダイナムコホールディングス」と、かつてのスパロボ制作会社「ウィンキーソフト」の複合であると思われる。
- 『T』の主人公機の名前は寺田Pが元ネタと冗談めかして言われているのだが、そのために『T』の最終決戦は寺田Pがバンナムとウィンキーソフト、バンプレストをボコボコにする展開というブラックな見方を一部から受けている。
- 最終話の敵対はT3の面々が困惑しているように一見唐突な展開に見えるが、仮にも自分が経営する会社の一大プロジェクトに携わる特務三課の主任である主人公の名前を憶えていない点やパワハラ感漂うVTX社訓等からきな臭いものを感じていたプレイヤーも少なくない模様。
- 一方でネタバレを防ぐため、キャラ事典では当初ゴードウィン名義のNPCとして登録され、ラスボスとして登場するとダイマ名義で声優表記のある項目が追加される。
- 最終話のぶっ飛び具合が話題になりやすいが「純粋な地球人」「決戦の部隊が地球上」「独善者ではあるが自分なりに地球の事を想い行動していた」「エンディングで明確に生存している」等など、それ以外にも歴代ラスボスとしては異例の要素が多い。
- 2017年公開の寺田Pとシナリオライター・奈須きのこ氏の対談[3]にて、寺田Pは(「納得できるだけの伏線があればそれもアリ」と銘打ったうえで)「超銀河帝国と戦った後に、そこらへんのオッサンと戦えますか、ってことですよ(笑)」という発言をしていたが、ダイマは奇しくもこの発言にほぼ沿ったラスボスとなった。
- 最終話におけるぶっとんだ必殺技の演出や解りやすいネーミングセンスなどから、一部からは「リュウセイ・ダテの成れの果て」という評価も見られている。
脚注
- ↑ これでトロフィー「戦意喪失」も獲得できる(PS4版のみ)ため、本作では脱力で敵を態々気力50まで下げる必要がない。
- ↑ 江原氏が演じるめぼしい版権キャラがいなかった事と、『X』のCMナレーションから「ラスボスの声優では?」と事前に予想する声もあった。
- ↑ http://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/170728/2