パイロットスーツ
本来は、戦闘機等を操縦する上で着用する防護服の事を指す。
ロボットアニメにおいては多くのパイロットがロボットを操縦する際着用しており、作品によっては「戦闘服」と呼ばれる場合もある。「(マジンガーZ等の様に)操縦の反動であちこちに身体をぶつけるので、着用が必要となる」「ロボットの操縦手段の補佐や動かす手段そのものなので操縦に不可欠」と説明されている物や、「宇宙空間など人体に悪影響を及ぼす環境の都合で着用する事が必要となる物」など様々。また、略称・俗称としては「パイスー」と呼ばれる事が多い。
ノーマルスーツや戦闘服等のように、ヘルメットが付く場合バイザーが割れてパイロットの頭部や額を傷付け流血が起こる描写が出るケースが存在する。
実は、パイロットスーツは作劇上の都合で無理なく着替えシーン(いわゆる、サービスシーンの一種)を作るために欠かせないものでもある。ロッカールームでの会話シーン等が如何に物語を進めるのに重要かは、ご存知の通り。
ついでに、女性キャラクターのパイロットスーツの中には「身体のラインが出る煽情的なもの」や、「露出度が高く、防護服としての役割を果たしているのか極めて怪しい代物」が存在している場合もある。これらの例は、(乳揺れの例と同じく)製作者側が男性視聴者を惹きつける事を半ば目的にしたものであると言える。
なお、現実の世界では、特に戦闘機のパイロットが重力加速度に対抗するための「耐Gスーツ」が知られている。また、宇宙服(船外作業服)も特殊な目的のための服としてはこれに類する。もっとも、これらはいずれも恐ろしく高価(参考までに、アメリカ合衆国のEMU宇宙服は1着あたりの費用が約1,000万ドルである)で非常に重く、その上(技術の進歩で大分改良されたとはいえ)動き辛いときている。アニメのようにコンパクトで軽やかに動けるパイロットスーツについては研究開発されているが、まだまだ遠いのが現状である。
パイロットスーツの種類
- ノーマルスーツ
- ガンダム系および殆どのリアル系キャラが装着するパイロットスーツ。モビルスーツに対する言葉として用いられる。宇宙服としての役割も兼用しており、(スーツ内の酸素が続く限りであれば)真空中でも活動出来るほか、毒ガスに対する防護服としても機能する。
- 中にはシャア、シロッコ、ハマーン、フロンタル、トレーズの如く、宇宙でも敢えてノーマルスーツを着用せずモビルスーツに乗る人間もいる。彼等は総じて機体の操縦技術に優れた強敵であり、視聴者に「撃墜されずに帰れるという自信を持つ凄腕」というイメージを持たせるのに一役買っている(ただし、シロッコおよびトレーズ以外は最終的にノーマルスーツを着ている)。
- ファイティングスーツ
- 『機動武闘伝Gガンダム』においてガンダムファイターがモビルファイターを動かすために装着する。装着者の動きとモビルファイターをシンクロさせるモビルトレースシステムの根幹を成す機能。まるで全身タイツのような体に密着した形状をしており、下は裸もしくは下着一枚と思われる。
- 原作ではドモンの装着シーンが度々見られたが、着用すると言うよりは全身にきつく巻きつけるという方が正しい。原作に登場したチャン(SRW未登場)はまだ子供であったため、ファイティングスーツに耐えられなかった(幸いドモンが何とかしたが)。
- 以上の事実によると、「ガンダムファイターの訓練をしていなければ、ファイティングスーツを着用する行為自体が身体に大きな負担となる」模様である。
- プラグスーツ
- 『新世紀エヴァンゲリオン』においてエヴァンゲリオンを動かす時に装着するパイロットスーツ。上記のファイティングスーツ同様身体にぴったりとフィットしている。まずブカブカの状態で着用し、手首部分にあるスイッチを押すと縮小し中の空気が抜けて身体にフィットするようになっている(真空パックを連想してもらうと、分かりやすいと思われる)。原作ではマグマ内部での作戦行動のための特殊仕様も存在した。
- なお、機体とパイロットとのシンクロを補助するためのものであり、必ず着用しなければいけない訳ではない。旧世紀版では3回、シンジが学生服のまま初号機に搭乗している(最小限の補助具としてヘッドセットだけは着けていた)。
- 耐圧服
- 『装甲騎兵ボトムズ』及びそのシリーズにおけるパイロットスーツ。軍の正規品は、この手のロボットアニメにしては珍しくあまりぴったりとしていない(耐圧服は宇宙空間での使用時には宇宙服として与圧されるため、サイズ的に多少の余裕をもって設計されているためと思われる)。また、酸素ボンベは背負わず、胸の前にあるベルトに固定する。
- 『ボトムズ』の主人公であるキリコは作中、常にオレンジがかった赤色の耐圧服を着用し続けていた。
- EX-ギア
- 『マクロスF』において次世代可変戦闘機用のパイロットスーツとして開発された強化外骨格(パワードスーツ)。
- 身体機能の強化に加えて、対Gスーツ・飛行ユニット・脱出装置・操縦システムの一部まで兼ねる非常に多機能なものとなっている。そのため、装着するだけでも専用の訓練が必要となる。
- エレメントスーツ
- 『アクリオンシリーズ』におけるパイロットスーツ。『創聖のアクエリオン』では、各エレメントによってスーツの色が違う。
- 続編の『アクエリオンEVOL』では、「男子が水色で、女子が桃色」と、学校の指定ジャージの様に色を分けている。
- シナジェティックスーツ
- 『蒼穹のファフナー』シリーズにおけるパイロットスーツ。機体との一体化に必要な「シナジェティック・コード」の生成を補助し、接続時や被弾時にパイロットを襲う激痛をある程度緩和する目的で着用するもので、必須装備というわけではない。
- デザインは所属勢力・男女で違うだけで概ね共通だが、何度も全体のリデザインが行われている。身体のラインがはっきりと浮き出る仕様で、尚且つ一部のものを除いて機器の接続が行われる腕・脇腹・太腿の部分は素肌が露出されている。初期のものほど露出範囲が広い。ちなみにスーツを着用せずにファフナーに乗った場合、この機器の接続部分を覆う服が接続時に破れ、強制的に素肌を露わにされてしまう。
- 特定部分の素肌の露出に加えて、見ないところでは服ビリまで完備しているなど、意外に視聴者サービスが凝っている。
- Qテクター
- 『宇宙をかける少女』に登場。Quantum Transducing Environment Crosslink Terrain Operational Reinforcer(量子変換式多環境対応型強化装備)の略称でいわゆるパワードスーツの一種。
- 装着することでQT能力を増幅、装着者の意識に応じた直観的な動作が可能となる。Qテクターの周辺にはシールドを形成する事が出来、ある程度の時間は宇宙空間でも活動が可能となる。
- 主に女性が装着するスーツの例に違わず露出が高いように見えるが、肌が露出して見える部分には超薄い皮膜がある。
- メイルライダースーツ
- 『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』において、メイルライダーたちが着用するパイロットスーツ。アルゼナルとエンブリヲ騎士団でデザインが異なるが、脇腹の拳銃ホルダーと腰のナイフホルダー、腰から尾のように伸びたケーブルに関してはどちらのものでも共通している。
- アルゼナルのライダースーツは胸部上・腹部・臀部にかけての部分が露出しており、股間部分をショーツのようなもので覆い隠すという、赴任直後のアンジュをして「破廉恥」と言わしめる大胆なデザインになっている。これには一応理由があり、長時間の作戦行動に備えて素肌の蒸れを緩和し、排泄を効率的に行うためのものであるらしい。頭部の防護に関しては皆無に等しく、新兵などはヘルメットを装着することもあるが、基本的には風防用のヘッドバイザーを装着しているだけである。スーツの色は新兵以外各々のライダーの好みで異なっていて千差万別。
- 対して、エンブリヲ騎士団のライダースーツは全身を隈なく覆う一般的なパイロットスーツ然としたデザインで、頭部の防護もきちんとヘルメットを標準装備。カラーリングは対応するラグナメイルに準拠したものとなっており、同様に黒を基調としてそれぞれのパイロット毎に異なる色のラインが描かれている。
- スーツにはパイロットの動きをパラメイル(ラグナメイル)と同期させる機能も備わっており、尾のように伸びたケーブルをコクピット内部に繋ぐことで起動する。また、装備している拳銃やナイフが実際に攻撃動作の同期を補助するためのツールにもなっている。
- レオタード系統
- 『トップをねらえ!』、『破邪大星ダンガイオー』、『超重神グラヴィオン Zwei』、『神魂合体ゴーダンナー!!』等における女性キャラの戦闘服または制服としても使われる衣服。
- こちらは概ね、製作者側が男性視聴者へのサービスを半ば意識したものである。
- 私服
- TV版『ゲッターロボシリーズ』では神隼人が自前のライダースーツを、そのままパイロットスーツとして転用。巴武蔵&車弁慶も自前のものに若干の改造を加えて着用しているが、武蔵は「工事用ヘルメット&剣道の胴」を着用し、弁慶は「野球の捕手の防具一式」を着用と、殆どあり合わせである。そのためか、ゲッターチームで正規のパイロットスーツを着用しているのは流竜馬のみ。
- 『THE ビッグオー』のロジャー・スミスに至っては、背広姿でロボットを操縦している。
- 変り種としては『超重神グラヴィオン』第7話「渚のドリル少女」に於いて(リィルを除く)グランナイツの諸君が水着姿のまま機体に搭乗し、戦闘を繰り広げた事がある。[1]