概要
ネオ・ジオン残党「袖付き」に属する偽装貨物船ガランシェールの船長。大尉。
一年戦争以前からジオン軍で戦い続けてきた軍人で、作中では指揮だけではなく飛行中のガルダ級に潜入しオードリー・バーンの脱走を支援するなど、歴戦の兵士の実力を示している。その懐の広さから部下からは「キャプテン」と呼ばれて慕われている。
一年戦争終戦時はアフリカ戦線に属し、連邦の捕虜となる。その頃、妻子の暮らすサイド3の都市グローブは、現地の連邦軍がジオンへの膨らんだ憎悪を晴らそうと虐殺の凶行に走ったため、壊滅する。その後のジンネマンは家族を殺された憎しみを胸に、収容所時代の部下達と共に連邦と戦い続ける。
ジンネマンはその中である少女と出会う。それはプルクローンの生き残りで、第1次ネオ・ジオン抗争後の混乱により悲惨な境遇に置かれたプルトゥエルブだった。ズタズタに傷ついた彼女を引き取って養父となり、亡くなった実娘マリィの名を与えるが、愛する者を再び失う恐怖から内心を口にすることなく、あくまで「マリーダ・クルス」という忠実な部下として扱ってきた。また、グリプス戦役以後はザビ家の最後の生き残りであるオードリーことミネバ・ラオ・ザビを守るようにシャア・アズナブルから託され、時には彼女の意向を無視してでもその身を守り続けた。
「ラプラスの箱」を受け取るためにインダストリアル7に赴くが、カーディアス・ビストとの交渉は失敗。その後は箱を巡る争いに関わることになる。
登場作品と役柄
Zシリーズ
- 第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
- 初登場作品。担当声優の手塚秀彰氏はスパロボシリーズに初参加。
- 地球連邦軍への復讐心からフロンタルのアクシズ落としにも参加するが、そこで人の心の光を目の当たりにする事になる。
- 最後はサイガス率いる連邦軍に襲撃されるものの、バナージに促されて他の艦隊共々撤退したため、時獄篇時点ではガランシェールは健在である。
- 第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
- 前作に引き続いての登場。第24話ではスポット参戦する等味方側として動くが、中盤では原作の再現かフロンタル一派をソレスタルビーイング号に招き入れてしまう展開がある。
- 第44話でマリーダの生存条件を満たすと、リディの攻撃からマリーダを庇いガランシェールは撃沈。一時死亡したものと思われたが、宇宙を漂っていたところをバナージとマリーダに救出され無事生還する。
携帯機シリーズ
パイロットステータス設定の傾向
能力値
古株の軍人らしく技量が高め。反面防御は戦艦乗りの宿命なのか、モビルスーツ乗りよりも低い。
精神コマンド
特殊スキル
エースボーナス
- 自軍フェイズ開始時、指揮範囲内の味方機のHP1000回復
- 第3次Z時獄篇。
人間関係
- フィー、マリィ
- ジンネマンの妻子。地球連邦軍によるグローブでの蛮行によって嬲り殺しにされてしまっている。
- マリーダ・クルス
- ジンネマンにとっては義理の娘というべき存在。名前は失った実娘から取っている。
- オードリー・バーン(ミネバ・ラオ・ザビ)
- 長らく彼女の身を守り続けてきた。
- ギルボア・サント
- ガランシェールの操舵手でギラ・ズールのパイロット。ジンネマンによって収容所から救出されて以来の関係。
- フラスト・スコール
- ガランシェールの乗組員。捕虜時代からの長い付き合い。OVA版では彼も同じ街の出身であり、同様に家族を失っている模様。
- アレク、トムラ
- 同じく部下のガランシェール乗組員。アレクには荒事担当並びに予備操舵手、トムラにはメカニックを任ずる。
- バナージ・リンクス
- ユニコーンガンダムのパイロット。紆余曲折を経て一時行動を共にする。
- バナージとの対話と乱闘、そして共闘を経て、彼に「別の可能性」を感じたのか、復讐で凍り付いた心が少しずつ溶け始めていく。
- フル・フロンタル
- 「袖付き」首魁。
- アンジェロ・ザウパー
- フロンタルの側近。
他作品との人間関係
名台詞
- 「……あぁ、悲しいな……。悲しくなくするために生きているはずなのに……なんでだろうな……」
「人を想って流す涙は別だ。何があっても泣かないなんて奴をおれは信用しない。」 - OVA版第4巻より。砂漠でのバナージとの対話の中で。内心では連邦に対しての憎悪が消えない(消せない)ものの、人の優しさを捨てない彼を象徴する言葉でもある。
- 「お前を気にかけたのは箱の鍵だからだ。なびかせておいた方が都合がいいと思っただけだ。こんなのは戦争じゃないと言ったな? 目を開けてよく見てみろ! こんな事が起きるのが戦争だ!」
「主義も名誉も尊厳も無い……殺す奴がいて殺される奴がいるだけの事、怨念返しの何が悪い? 俺達の戦争はまだ終わっちゃいないんだ!!」 - ジオン残党がトリントン基地(第3次Z時獄篇ではダカール)を襲撃した際にシャンブロが暴走し民間人の虐殺を始めたにも関わらず、平然としているジンネマン達に憤るバナージへ感情をぶつける。
- ジンネマンが過去に体験したことや現実世界の戦争で起きていることを考えると、甚だ重い内容の台詞である。ただし、シャンブロを止めるために出撃するバナージをジンネマン達は止めなかったので、彼らもやはり心の中では良しとしていなかったのだろう。
- 「そこを開けて降りてこいマリーダ! 一緒に宇宙(そら)へ帰るんだ!!」
「俺と来い! 俺を一人にするなぁ――――っ!!!」 - OVA版第5巻より。ガルダ級の中で、ビスト財団により再調整されたマリーダを取り戻そうと必死に叫ぶ。
- 第3次Z天獄篇およびBXでは、上記の台詞の2行目がDVEになっている。
- 錯乱の止まらないマリーダ操るバンシィの前で生身で呼び掛けるジンネマンに、「死亡フラグが立ったか!?」とハラハラした視聴者もいると思われる。
- 「連邦の船に乗り込んだら、隙を見て乗っ取ってやるつもりでいた……。だが、そんなことはもうどうでもいい……お前さえ……お前さえ生きていてくれれば、それで…………」
- OVA版第6巻より。ラプラスの箱に関わったことで、奇しくも「袖付き」と共同戦線を張ることになってしまったネェル・アーガマで、治療中のマリーダに付き添うジンネマン。
- 原作小説では少し話の展開が異なり、乗っ取りを実行している。
- 「脚がありませんな…」
- 「袖付き」の旗艦レウルーラのMSデッキにて建造中の巨大MAを見た時の感想。
- 台詞の元ネタは『機動戦士ガンダム』第42話にてジオングの外見を見た時に漏らしたシャアの感想「脚は付いていない」からであろう。察しの良い視聴者は、建造中の巨大MAが次巻(OVA版第7巻)に登場する伏線だと予想していたかもしれない。
- 「確かに、晴らして晴らせる恨みじゃない。でも虚しいっていうのとはちょっと違う。疲れたんでしょう……何もかも諦めて、暗いところでうずくまってる、自分ってやつに……」
「シャアも……ザビ家への復讐より父親が夢見たニュータイプの世界を開くことを望んだシャア・アズナブルも、今の私と同じ心境だったんじゃありませんか」 - フロンタルに内心の変化を見抜かれた際の言葉。この変化を呼び起こしたのは、直前でフロンタルが指摘しているように、バナージの存在なのだろう。
- (一体何物だ、こいつは……)
- 「シャアが生きているとしたら、もう人ではなくなっているのではないか」と述べたフロンタルを見て。ジンネマンをしてこう思わせるほど、フル・フロンタルという男には人間味が感じられない。この理由は終盤で明らかになる。
- 「理屈では消せんのです」
「恨みも……後悔も……。何も……してやれなかった……! 怖かったろうに、痛かったろうに……何も……! フィー……マリィ……」 - OVA版6巻より。愛する妻子を無惨に殺された恨み、そしてそんな目に遭っていたにも関わらず何もできなかった自責の念は、マリーダやバナージといった新たな「光」を得ても、そう簡単に拭い去れるものでは無かった。
スパロボシリーズの名台詞
- 「Z-BLUEに使ってやってくれ。その方があいつも喜ぶ」
- 第3次Z天獄篇の45話「虹の彼方に」にて、リディの暴走で死亡したマリーダの愛機であるクシャトリヤをZ-BLUEのメンバーに託す際の台詞(なお、マリーダが生存している場合は発生しない)。
- 「おう! 俺はマリーダの花嫁姿を見るまでは絶対に生き延びてみせるぞ!」
- 第3次Z天獄篇にて、マリーダ生存フラグが立っている場合の台詞。
- ジンネマン「顔を…!もっとよく顔を見せてくれ、マリーダ!」
マリーダ「おとう、さん…」
「あなたは、私の光…もう一度私を産んでくれた光でした…。ありがとう…」
ジンネマン「そんな話、後でいくらでも聞いてやる!生きていてくれるだけで、それでいい!傍にいてくれるだけで…!」 - 『BX』第32話でマリーダが生存した時の会話。
- 「奪われたから、奪い返す…。今となっちゃその発端はどうでもいいが、忘れていいわけでもない」
- 『BX』第41話より。原作通りにプラズマダイバーミサイルでセカンドムーンごとヴェイガンを殲滅しようとしたフリットに対して。
スパロボシリーズの迷台詞
- 「俺が言ってるのは『スパロボ』の話だ。お前がいくら頑張っても、プレイヤーがゲームを再開してくれなきゃ話にならん」
搭乗機体
余談
- スベロア・ジンネマンの外見は、キャラクターデザインの安彦良和氏が担当した『巨神ゴーグ』に登場する「船長」と酷似している。
- これは『機動戦士ガンダムUC』の原作者である福井晴敏氏が、キャラクターデザインを担当する安彦良和氏に対して「ジンネマンの容貌は『巨神ゴーグ』の船長を意識したものにして欲しい」という注文をした為である。
- なお、原作小説でもジンネマンの通称として「船長(キャプテン)」が使用される場面がある。