イデ
イデはアニメ・小説『伝説巨神イデオン』に登場する、知的生物である第六文明人の認識力が集中した場。劇中では、エネルギーとして用いられたり、集合精神として登場人物達に語りかける事もあった。
イデ | |
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登場作品 | 伝説巨神イデオン |
声優 |
玄田哲章(TV版) 柴田秀勝(劇場版) |
初登場SRW | スーパーロボット大戦F完結編 |
SRWでの分類 | パイロット |
プロフィール | |
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種族 | 集合精神 |
概要編集
イデとは、地球とバッフ・クランの(ある意味)共通する遠い祖先とも言える、先史文明・第六文明人の意志を吸い尽くして誕生した意志集合体。もしくは知的生物の認識力の集中した場を指す。
第六文明人はどれだけ科学が進んでも永続的なエネルギーの確保は不可能で、文明が進化しても人類の持つ肉体はいずれ滅ぶ事を憂いた。これら両方の問題を一括で解決する手段として肉体のくびきから解き放たれ、かつ無限の力を得るために精神エネルギーを元とした永続的に存在する力の研究を開始する。この力がイデのである。しかしイデの吸収力は予想を越えており、第六文明人の意志はイデに吸い尽くされてしまい、滅亡した。
イデは、ブラックホールの巨大な重力エネルギーを引き出して、相対的無限力を獲得している。無限力とはバッフ・クランが、母星に伝わる伝説に基づいてつけた名称なのだが、地球側が月のコンピューター「グロリア」でイデを解析した所、エネルギー係数が「無限[1]」と示され、その名の通りイデは無限エネルギーなのだと実証された。
劇中で、イデが力を発現するのは純粋な自己防衛本能に反応する時であり、要するに誰かがピンチになった時である。イデオンとソロシップを構成する金属イデオナイト、その内部にある物質Xはイデの精神エネルギーを集積し、イデの判断で純粋な自己防衛本能の強さに応じ物質エネルギーとして解き放たれる。ベスと対話した際には、自分達になりゆきを作り出す力などないと明言するイデ。しかし、イデがイデオンやソロシップにもたらす力は絶大だった。イデオンソードは最終的に惑星を両断し、イデオンガンは最大パワーでなくとも敵の艦隊を何度も壊滅させ、数万kmに及ぶ小惑星群の消滅、それらを使用時にソロ・シップを包むバリアーは、強大な破壊力の余波から完璧にガードした。
劇中終盤の情報と資料集等の各媒体の情報によると、目指しているのは「異なるモノ達の融和」一つであり、どんな形であれ分かたれたままの状態を許容しようとしないことがわかる。劇中では「イデの伝説」等と称される伝聞も古来より残されている事が判明しており、内容は「イデは異なる物(者)達から融和した存在[2]からいずれ、自らすらを正しく扱う事の出来る程進化した存在」が生まれ、イデ自身もそれを待望しているとされていた。これはイデ自身もそういった存在がいなければいずれ自らも存在出来なくなると考えていた為で、この話を聞かされたユウキ・コスモはその存在こそが人類の救いとなる存在「救世主=メシア」ではないのかと推測し、ソロシップの面々にも話していた。ベスとカララの子供はこの事からメシアと名付けられた。
物語開始前からコスモ達の地球とバッフ・クランの母星に流星を落とし、双方がソロ星で邂逅するように仕向けていた。ソロ星で覚醒してからはしばらく局面を見守っていたが、最終的に両者を和解させようと直接的に干渉し、カララ・アジバをワープさせて、父親のドバ・アジバに対面させる。イデは彼等を和解させようと試みるがその目論見は果たせず、ドバは地球との戦争継続を望んだ。これに失望したイデは観念して、消滅するギリギリの力を解放「発動」をもって宇宙全てを因果地平へと葬り去った。
全てが一つになった自分たちの在り方を他者に押し付け拒否を許さないその在り方は、富野由悠季監督の作品に通底するテーマである「エゴ」の塊と言っても差し支えないと言える。
登場作品と役柄編集
旧シリーズ編集
- スーパーロボット大戦F完結編
- 初登場作品。イデゲージが上昇しすぎると、イデオンのパイロット扱いとなり、NPCとしてマップ兵器を使ってくる。この状態でイデオンが撃墜されると、全銀河を因果地平の彼方へと飛ばす。しかもメシアがいないので誰にも導かれず飛ばされるだけ……とある意味発動篇より救いがない。
- 無事最終話まで到達した場合、ソロシップクルー及び和解を果たしたハルルの地球を守ろうとする意思に共鳴し、地球に落下しようとするコロニー群もしくはアクシズとともにいずこかへ消え去る。
αシリーズ編集
- 第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ
- αシリーズ全体を包括し、物語の根底に大きく関わる。イデEDに突入した場合は、こちらも全銀河を因果地平に葬り去る様子が描かれる。
- 本作では、イデは人類補完計画を支持し積極的な行動を行わず、該当ステージでイデは発現しない。
単独作品編集
- スーパーロボット大戦X-Ω
- イベント『その生命の輝きは』にて、イデの介入により平行世界の存亡を巡るゲームが中断される事態が起こる。
関連人物編集
- ユウキ・コスモ
- 劇場版ではカララから輸血された彼を融和した存在として認知したためか対話をする。発動篇の終盤で思いが通じ合ったカーシャが死んだ事を聞かされても、最期までイデに抗い続けた。
- ジョーダン・ベス
- TV版では彼とイデが対話を果たす。その際、彼から言われた「良き道を探すべきだ」という一言が、最終話でドバとカララの親子再会を引き起こしたと思われる。
- パイパー・ルウ
- 赤ん坊の彼が持つ純粋な自己防衛本能に呼応し、しばしば力を発揮した。彼がいなければイデの発動は第2話にでも起こったといわれる。
- メシア
- ベスとカララの間に生まれた赤子。劇中ではまだ胎児の状態であるため(妊娠4ヶ月)パイパー・ルウよりも若い、つまりはより純粋な生命体である。そしてイデの望んだ地球とバッフ・クランの融和の象徴であったため、イデはあらゆる超常を持って彼を守護する事となり、母体であるカララが死亡した後も胎児であった彼は守られ生かされていた。イデが宇宙を因果関係へ葬り去った後に、新たに生まれる宇宙へと向かう全ての魂を道びく役割を果たす。
他作品の関連人物編集
関連項目編集
- 無限力
- イデオン
- イデバリア
- イデシステム
- 第六文明人
- イデを発明した種族。無限の力を得る為の研究において、その実現を果たそうとする本番で、数億に及ぶ第六文明人の意志を結集させた。結果、科学者の予想を越えた吸収力をイデが示し、第六文明人の意志そのものは尽く吸い尽くされてしまい、滅亡した。
- ソロ星
- 因果地平
- サイコフレーム
- 集合精神から力を引き出すという点では、イデオナイトと似たメカニズムを持つ構造材である。また2010年に行われたサンライズのイベント[3]において、「サイコフレームとイデオンは同じ原理」である事を問われ、富野監督も認めている。その他媒体でも『リング・オブ・ガンダム』公開時の雑誌インタビューでも、「サイコミュ的な力の発生とイデというエネルギーは本質は一緒のもの」と説明している。
- ゲッター線・光子力エネルギー・ビムラー
- αシリーズの世界観では、これらのエネルギーも同じ無限力のカテゴリーに属しながら、それぞれが別の目的を持つ存在という設定となっている。
- ゲッター戦は圧倒的に進化し強くなった生命が他のあらゆるもの(有機物無機物問わず)を吸収し、更に果てない進化を続けていく「個」に近い意思を持つ存在である。
- ビムラーに関しては、他者との融和を図る事で進化を促すエネルギーだが、融合して一つになる事は望んでいないのでイデと同質とは言えない存在である(実際第3次αではイデよりもゲッター線に同調している)。
- なお、この3つのエネルギーのクロスオーバーがスパロボにおいて世界観の設定に深く組み込まれたのはαシリーズからで(更に具体的結末が描かれたのは『第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ』)、それより前に発売されて同じく三作品が揃った『スーパーロボット大戦F完結編』では扱われていない。なお、ドリームキャストマガジンで「著名人のスパロボファン」という括りでインタビューを受けた『天元突破グレンラガン』の中島かずき氏は、「もし自分がスパロボのシナリオを書くならばどのようにするか?」という質問を受け、「イデとゲッターとビムラーを中心としたシナリオにすると思う」「この3つは明確に宇宙を変える力を持つエネルギーなのでそれらをクロスオーバーさせたい」と語っていた。これは『スーパーロボット大戦α』発売前の発言である。
- 人類補完計画
- 『第3次α』では自身と同じく融合を目指すための手段なので、肯定的に捉えている。
余談 編集
- サンライズ版SRWとも言える『サンライズ英雄譚シリーズ』のオリジナルラスボス「ミーディエイター」もイデを内包している(ハロボッツシリーズに客演時には「イデの力」という武装まで持っている)。しかしゲーム内で詳しく設定を説明される事はなく、謎が多い機体である。