エギーユ・デラーズ

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エギーユ・デラーズは『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の登場人物。

エギーユ・デラーズ
外国語表記 Aiguille Delaz
登場作品

ガンダムシリーズ

声優 小林清志
デザイン 川元利浩
初登場SRW 第4次スーパーロボット大戦
SRWでの分類 パイロット
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プロフィール
種族 地球人(スペースノイド
性別
没年月日 宇宙世紀0083年11月12日
所属 ジオン公国軍一年戦争時)
デラーズ・フリートデラーズ紛争時)
軍階級 大佐(一年戦争時)
中将(デラーズ紛争時)
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概要

一年戦争終結後より抵抗活動を続けるジオン残党軍の中でも最大の勢力を誇るデラーズ・フリートの首魁。スキンヘッドに髭面と、威厳のある風貌が特徴。

ジオン公国軍時代は宇宙攻撃軍大佐[1]で、政治面ではギレン派に属する。佐官ながらザビ家の血縁者か司令官クラスでなければ指揮出来ないグワジン級戦艦であるグワデンの指揮を任され、ア・バオア・クーでは総帥直属艦隊司令に就任している事からも、ギレン・ザビからは強い信任を得ていた事が伺われる[2]

ファンサイト等ではしばしばギレン親衛隊の隊長だった、と解説されているが、これは腹心のアナベル・ガトーカリウスらを含めて、コンピュータゲーム『ギレンの野望』のオリジナル設定である。

人物 

軍人として極めて高潔な人物であるのと同時に、他のジオン軍人の追随を許さない程の高度な戦略眼の持ち主でもあり、「星の屑作戦」を立案した張本人でもある。また、モビルスーツのパイロットとして活躍していた時期もあるらしく、自らの専用機としてカスタマイズされたリック・ドムを所有している。一方で、ロマンチストな面も持ち合わせており、前述の作戦名や自らの拠点に「茨の園」と命名したネーミングセンス、芝居がかった台詞に演説、ガトーとのやり取り等からもその事が伺われる。

しかし、また一方ではギレン・ザビを「崇拝」の域なまでに信奉する狂信的なジオニストでもあり、グワデンの執務室にはギレンを模した胸像を飾り、本人と直接会話しているかの様に話しかける等、奇行も見せている。また、一年戦争の終結後に共和制に移行して連邦と和平を結んだ本国の人間達を「売国奴」と蔑み、亡きギレンと政治的な対立関係にあったキシリア・ザビの事は「女狐」と唾棄する程までに嫌悪していた。更に、ギレンの様な苛烈な選民思想を見せる事こそ無いものの、自らの信じる理想の為ならば戦場ではない観艦式での核攻撃やコロニー落としといった虐殺まがいな手段も行使したり、先の戦いで散った者達を「無駄死に」にしない為ならば敵・味方を問わずに「新たな犠牲」を出す事も厭わない。そして、軍人ですらないアースノイドの民間人に至っては幾ら犠牲にしても無関心でいられる等、その非情な本質面に関しては、間違い無く信奉するギレンに通じるものがあった。

ジオンと言うよりも、自らの個人的な理想主義や価値観に一辺倒であった部分もある。事実、明らかにデラーズ・フリートと相容れない思想の持ち主であるシーマ・ガラハウの参加を「自らの手で導く」と息巻いてガトーからの忠告も聞き入れずに受け入れてしまい、その割に「導く」事を一切せず汚れ仕事を押し付けている。また、スペースノイドの地球連邦に対する発言力を強化出来ると確信して星の屑作戦を実行に移したりもしているが、結局最終的には全て裏目に出てしまう形で終わっており、自らの落命にも繋がっている。また一年戦争時は大佐であったにも関わらず、デラーズ・フリートとして世に現れた時は中将に昇進(他に上官がいない以上おそらくは自らの手で)している点からも、政治的な大局を見ることができなかったからこそ佐官に過ぎなかったのだと推測されている。この為、戦術家・軍政家としては極めて優秀だった反面、「政治を視野に入れた戦略家」としては問題外な人物でもあった。

劇中での活躍 

ア・バオア・クー攻防戦において、ギレンの死亡の報を受けたデラーズは、死を覚悟で出撃しようとするガトーを諌め、戦場を離脱。月とジオン本国の中間宙域「カラマ・ポイント」に結集したジオン残存勢力と共に今後の方針を議論する中、連邦への帰順を拒否する旧ジオン軍人の大半がアクシズ行きを選ぶのに対し、キシリア派の突撃機動軍が母体となっているアクシズ勢力を信用できなかったデラーズは、腹心となったガトーと共に、抵抗運動を希望する者らを率いて拠点となる「茨の園」を築き、地球圏に残留する道を選ぶ。

それから3年後となる宇宙世紀0083年、スパイから送られた機密資料より、ガンダム開発計画を知ったデラーズは、その計画で開発された機体の中でも、戦術核の使用を前提としたガンダム試作2号機に目を付け、それを利用した「星の屑作戦」を立案。ガトーを前線指揮官として地球に向かわせて、戦術核を装備を完了させた試作2号機の強奪に成功。多数の同胞達の犠牲を払ってガトーが宇宙へ帰還した後、電波ジャックでの演説で「デラーズ・フリート」を名乗り、対地球連邦ゲリラ活動を開始する。

作戦は順調に進んでいき、ガトーの搭乗する試作2号機によるソロモン観艦式への核攻撃、シーマによるコロニージャック及び月方面を経由した地球へのコロニー落としも、ほぼデラーズの思惑通りに推移していたのだが、それまでの悪行が祟ったか、作戦中にシーマ艦隊による裏切りに遭い、星の屑作戦終盤に頭を撃ち抜かれる形で射殺される。最終的にはジオンを憎んでいたシーマに寝首をかかれる結末になったものの、シーマ無くして「星の屑作戦」の成功があり得なかったのは何とも皮肉な結果と言える。自業自得と言えば、それまでかもしれないが…。

死後、宇宙世紀0083年に自らが引き起こした一連の戦いは「デラーズ紛争」と呼称される事になったが、コロニー落としの件に関しては「事故」という形で処理され、更に皮肉な事にデラーズらが起こした紛争そのものが原因で、彼らの同胞であるジオン残党やスペースノイド達全体に対し、苛烈な弾圧を行うティターンズの台頭を招いてしまい、そしてそれは「グリプス戦役」という、より悲惨な戦いへと続いていく事になる。

また、デラーズの存在は、地球圏に残留していたジオン残党軍にとって大きな支柱になっており、デラーズ紛争前に起きたジオン関連のテロ事件の中には、デラーズによる直接・間接的な支援も行われていた物もある(代表的な例は、宇宙世紀0081年に残党勢力の一つであるインビジブル・ナイツによって引き起こされた、マスドライバーから質量弾を地球に落とす「水天の涙作戦」)。それ故に、デラーズの死やティターンズの台頭はその後のジオン残党軍の弱体化を招くには十分であった様で、所属していた人間の中には、後の宇宙世紀の歴史で結成されるエゥーゴに鞍替えした者もいる。

登場作品と役柄

旧シリーズ

第4次スーパーロボット大戦S
初登場作品。ノイエDC中将。ただし組織のトップであるハマーンに対しては警戒心を持っている。
原作同様の演説を行ったり、ゲスト艦隊相手に自爆したりとイベント面での活躍は多いが、そのために実際に戦う機会は無い。

αシリーズ

スーパーロボット大戦α
原作通りギレン派。演説がDVEで再現されており、担当声優の小林清志氏は、この作品でスパロボ初参加となった。
一回だけ戦艦パイロットとしても登場するが、すぐにイベントで撃墜されてしまうので交戦する機会は無いに等しい。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦APORTABLE
ナデシコを味方に引き入れようと勧誘するが、突っぱねられた。それにしても、あの場でもしプロスペクターユリカの「ブイッ!」を止めなければ一体どうなっていたのやら。

パイロットステータス

精神コマンド

第4次S
根性ド根性自爆
実際はマップ『ゲストとインスペクター』のイベントで自爆を使用するのみ。
α
必中信頼激励友情かく乱
戦闘機会に乏しい割には、本編のキャラクターを反映したかなり練られたラインナップである[3]。むしろ戦闘機会が乏しいのでバランス調整を度外視したのかもしれない。

特殊技能

APORTABLE
底力L5

人間関係

ギレン・ザビ
信奉・崇拝する上司。直接の会話シーンは映像作品ではないが、多くのゲームで忠誠を示す存在。ギレンからも強く信任を受けているが、作品によっては捨て駒にされてしまう事も。
アナベル・ガトー
部下。ア・バオア・クー戦ではSフィールド防衛を行う艦隊司令であるデラーズと、艦隊所属空母のMS中隊長であるガトーは正確には部下の部下であるが、デラーズ・フリートにおいては腹心と言える立場。
シーマ・ガラハウ
連邦・ジオンの別なく海賊行為を行っていた彼女を配下として引き入れるが、裏切られる破目となった。
そもそも「汚れ仕事をやらされた事」を根に持っているシーマ艦隊に、コロニージャックなどの「汚れ仕事」を担当させている時点で、全く彼女の心情に寄り添う気が無かったとしか言いようがない。
キシリア・ザビ
ギレンの死を知った際、彼女の手によるのものと察知し、激怒した。
ハマーン・カーン
原作では直接会う場面は無いが、アクシズからはノイエ・ジールを譲渡され、「星の屑作戦」後はデラーズ・フリートの残存人員をアクシズへ送り後事を託した(押し付けた、と言えなくもない)。
第4次(S)』ではノイエDCの一員として共闘しながら内心ではハマーンを警戒していた。しかしハマーンにはデラーズの言うようにミネバを傀儡として利用するつもりはなかったため、実際は杞憂であったと言える。
ジョン・コーウェン
原作で直接対面はしていないが、自らの狂信的なジオニスト精神全開の演説を見た彼からは、「ギレン・ザビの亡霊」と唾棄され、明確に危険視されている。

他作品との人間関係

ガンダムシリーズ

ミネバ・ラオ・ザビ
ギレンが死亡している場合の主君。
実際にギレンが既に戦死している『第4次(S)』ではノイエDCで彼女に仕えている。

名台詞

本編 

「ぬうぅ…謀ったな、キシリア…!」
第1話アバンより。「ギレン総帥戦死を受けて全指揮権がキシリアに委譲した」との報告を受けて。デラーズは即座にこれをキシリアによる暗殺と看破(そもそも要塞司令部が陥落、もしくは撃滅されたのであれば、ギレンが戦死し、キシリアが無事であることがおかしい)し、暫くの後に戦線離脱を決意する。
「敵前逃亡ではないか」と指摘される事もあり、またIGLOOなどで学徒兵が殿を勤めているにも関わらず戦場を離れるグワジン級が描写された事で揶揄されているが、ア・バオア・クー戦の詳細な時系列は映像化されたことがなく、指揮命令系統がどうなっているのか、件のグワジンがグワデンなのか不明、またキシリアの降伏命令との前後関係が今もって不明瞭である為、現在でも未だ推測の域を出ず、少なくともジオン残党関係者でその事を問題にしている者は皆無である。
「待て、ガトー。貴公の母艦ドロワは沈んだ」
ガトー「ドロワが…!」
「我が総帥、ギレン閣下も亡くなられた。我々はア・バオア・クーより撤退する。我らは生きて総帥の志を継がねばならんのだ」
ガトー「生き恥を晒せと!? 私は行きます!」
同じく第1話アバンより。ア・バオア・クーの決戦で撤退命令が出ていても、再び出撃するガトー説得をするが…。
「ならん! 今は耐えるのだ。生きてこそ得ることの出来る栄光をこの手に掴むまで、その命、儂が預かる! いいな!」
上記の続き。決死隊になろうとしたガトーを制した際の台詞。
文面だけなら格好良くも見えるが、彼等が後に実行した作戦は結果的に(ジオン以外も含めた)スペースノイドの首を絞める事となった。
ついでに、ガトーが搭乗しようとした機体はデラーズ専用リック・ドムである。
「大儀を生まんとするものが、小事にこだわってはならん。星の屑作戦を成功させる為には、お前が奪取したガンダムと、我が艦隊戦力の充実が不可欠だった。シーマは私が導く」
第5話でシーマ一党が合流した事に納得がいかないガトーを説得した際の台詞。しかし、結局はシーマに裏切られることになってしまう。
ただし、キシリア配下であり、一年戦争での虐殺行為と戦後での海賊行為に手を染めたため、ジオン残党勢力から「ジオンの栄光を穢した恥知らず」として蔑まれていた[4]シーマ艦隊の面々を受け入れている辺り、デラーズ本人は苦境に落ちている他派閥の同胞を差別し、見捨てる様な人間ではなかった事は間違いない(発言から純粋にシーマ艦隊の実力を評価していたことが窺える)。
また、ブリティッシュ作戦の発案者はデラーズであったとの説もあるため、事実ならば彼なりにシーマ達に負い目を感じていたのかもしれない。……が、だとしても住民虐殺のトラウマに悩まされているシーマとでは、その負い目の方向性は全く異なるものだったのだが。
しかし本編中においてこれ以降シーマとまともに言葉を交わすシーンはほぼ描写されておらず、最終的には「志の無き者」呼ばわりしているため、上っ面だけと見られても致し方ない面がある。導くとは何だったのだろうか?
「地球連邦軍、並びにジオン公国の戦士に告ぐ。我々はデラーズ・フリート!」
「所謂一年戦争と呼ばれた、ジオン独立戦争の終戦協定が偽りのものであることは、誰の目にも明らかである!何故ならば、協定は『ジオン共和国』の名を騙る売国奴によって結ばれたからだ。我々は些かも戦いの目的を見失ってはいない。それは、間もなく実証されるであろう」
「我々は日々思い続けた。スペースノイドの自治権確立を信じ、戦いの業火に焼かれていった者達の事を。そして今また、敢えてその火中に飛び入らんとする若者の事を」
「スペースノイドの心からの希求である自治権要求に対し、連邦はその強大な軍事力を行使して、ささやかなるその芽を摘み取ろうとしている意図を、証明するに足る事実を私は存じておる」
「見よ、これが我々の戦果だ。このガンダムは、核攻撃を目的として開発されたものである。南極条約違反のこの機体が、密かに開発された事実を以ってしても、呪わしき連邦の悪意を否定出来得る者がおろうか!」
「省みよう。何故ジオン独立戦争が勃発したのかを!何故我等がジオン・ズム・ダイクンと共にあるのかを!」
「我々は三年間待った…。もはや、我が軍団に躊躇いの吐息を漏らす者はおらん」
「今、若人の熱き血潮を我が血として、ここに私は改めて地球連邦政府に対し、宣戦を布告するものである。仮初の平和への囁きに惑わされる事なく、繰り返し心に聞こえてくる祖国の名誉の為に、ジーク・ジオン!!」
第5話で電波ジャックにより行われたデラーズによる演説。一見すると正しい事を言っている様に聞こえるが、一年戦争の中でスペースノイドの多くが望んでいたのは、自治権確立云々よりもむしろ「連邦とジオンによる戦争が一刻も早く終わる事」であるのは明白で、それを実現させるべく努力したジオン共和国を「売国奴」呼ばわりするのは、あまりにも自分達に都合の良い理屈である。
また、戦術核の装備を前提したガンダム試作2号機の開発自体が条約違反であるかは微妙で[5][6]、そもそもそうなったのは、コロニー落としや条約無視の核弾頭使用等を平然と行う自分達ジオン側に対する「抑止力」を求めた為であるので、連邦側を一方的に悪く言うのも筋が通らない。
更に、スペースノイドの自治権要求が遠のく一方なのは自分達の過激なテロ活動にも責任があるはずなのだが、演説の内容からもそれらは全く感じていない事が伺われ、おまけにデラーズ自身が共にあるのはジオン・ズム・ダイクンでは無くギレン・ザビであるのも明らかであった為に、演説を聴いていたコーウェンからも「ギレン・ザビの亡霊」と指摘されてしまっている。
加えて言えばこの後にデラーズ・フリートが行った核の使用およびコロニー落としは明確な南極条約違反であり、たとえ建前であっても自分たちの掲げた大義名分を反故にしている。
「フッハッハ、貴公なにが狙いだ。ワシと艦隊を餌に連邦に尻尾を振るのではないか? コロニーを落とすのか? 落とさんのか!?」
シーマに反乱を起こされ、ブリッジを制圧された際に。星の屑作戦の要であるコロニー「アイランド・イーズ」は地球への針路を直進していたため、まだこの時は余裕だったのだが……
「キサマッ! それでもジオンの将か!?」
地球制止軌道上に展開している地球連邦軍の第一地球軌道艦隊と「ソーラ・システムII」を確認した際に。星の屑作戦を破滅させる連邦の切り札を前に流石に余裕を失ってしまう。
「哀れ! 志を持たぬ者を導こうとした我が身の不覚であった」
第12話でシーマ一党に人質に取られたデラーズにガトーが呼びかけた際の台詞。極限状態にも関わらず芝居がかった発言であるため、シーマや他の海兵からは嘲笑されている。
デラーズ本人からすれば、開戦時から日陰者扱いされ、戦後は海賊行為にすがってしか食いつなげないシーマ艦隊を引き上げる意図が劇中見え隠れしているが、シーマからすれば信用に値しなかったと思われる。
更にコロニージャックや軌道での地球へのコロニー進路変更は、事実上シーマをコロニー落としという虐殺行為の実行者にしているという点で、かつての毒ガス作戦等の汚れ仕事と大差は無い為、彼女から一層の不信感を買った可能性は否めない[7]
そもそも、デラーズおよび彼の賛同者達が「志だけしか持っていなかった」事が原因と言えなくもない。そしてその志といえば、前述通りのギレンの亡霊としか言いようがない、怨念じみたものに過ぎなかったのである。
そして前述通り、導こうとしたもなにも、ここまでの間にシーマとしっかり会話しているシーンは存在しない。導くとは本当に何だったのだろうか……?
「……行け、ガトーよ」
「ガトーよ、意地を通せ。現にコロニーはあるのだ」
「儂を宇宙(そら)の晒し者にする気かガトー! ……ジーク・ジオン!!」
星の屑作戦」が最終局面を迎える中、デラーズ・フリートを裏切ったシーマに捕らえられながらもガトーにコロニー落としの完遂を促す。最後の最期までジオンへの(というよりギレンへの)狂信を貫いた[8]

漫画版 

「……これこそ――…千載一遇の僥倖――…見得た――…」
「ギレン総帥――…このエギーユ・デラーズ!! ジオンの大義をもって進むべき道が見えましたぞ!」
「祖国と我が同胞の名誉のために!! ジィークジオン!!!」
漫画『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』でガンダム開発計画の情報を入手した際の台詞。
三年間の潜伏の果てに進むべき道が示されて嬉しかったのは分かるが、「ギレン総帥」の行からデラーズはギレンの石像に対して話しかけている。もはや危ない人、一歩手前。
本編中では「あくまでもギレンの派閥」としか描写されなかったが、本作では上記の様にデラーズが狂信的なギレン崇拝者としての側面が大きく書かれる反面で、同胞に対しては派閥関係で下に見る事も無い。
なお、この情報を基に「星の屑作戦」が立案される事になる。
「戦争に負けるとはそういうことだ。ならばこそ!! 我らが大義を示すため、こうして再び決起したのだ!!」
「共に戦え!! 我が闘争は志ある者を導く為に在る!!」
漫画『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』にて、コロニー落とし終盤に彼の前に現れたゲール・ハントに対して。
「上からの命令に従っただけで、自分と部下は戦犯の汚名を着せられ全滅した。死んだ者のために生きている者が何かしてやるしかない」との質問に対するデラーズの回答。
デラーズが亡き同胞達の想いを本気で引き継ごうとしている事が分かる反面で、シーマやゲールが戦犯になったのは「虐殺を命じた指揮官の責ではなく、単に戦争に負けたから」と指導者層の責を軽く見ている節が有り、ゲールからは「勝つまでそれを繰り返す男」と確信される。更には「戦争も良い悪いも無く、あるのは愚かな指導者のみ」と酷評され、命を狙われる事に。
「部下を失い将としての大義を見失った哀れな男よ。この星の屑作戦こそがワシの償いだ!!」
「ワシは私欲でここにいるのではない!! 英霊たちの無念を晴らし、スペースノイドの未来の礎になる。その為にここにいるのだ!!」
漫画『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』にて、シーマに反逆され、ゲール・ハントから「これは死なせた兵への償いだ」と銃口を突き付けられた際に。
結局のところ、デラーズにとっての償いとは「手段を問わず、自分が信じる目的を達成する事で、散って行った者を犠牲を無駄にしない」であり、その手段の為に激しく苦しみ、追い詰められていった同胞達の気持ちは何一つ顧みてはいなかった事になる。その意味でもシーマやゲールと絶対に分かり合う事はできなかったといえる。
そもそもジオンが一年戦争を起こしたのは「自治権の獲得」のためであり、言うなればそれがジオンの大義である。作中におけるデラーズの行いはそれを目指すものとはかけ離れている[9]ため、むしろ一番大義を見失っているのはデラーズ自身である。

スパロボシリーズの名台詞

「…そして今、連邦内には、一匹の妖怪がうごめいている。ジャミトフ=ハイマンという名の妖怪が」
第4次』第22話で地球連邦政府およびティターンズに対して行った演説の一部。この直後の京四郎の指摘通り、マルクスによる『共産党宣言』の序文「ヨーロッパには妖怪が出る―共産主義という妖怪が」からの剽窃である。
そして、デラーズは「妖怪=ジャミトフの専横を生み出したのは地上のアースノイドの責任」と断じ、コロニー落としを宣言することになる。もっとも、その行為自体が「妖怪」と全く変わらない下劣な行為であることもまた然りだが。
「ガトー、ハマーンには気を許すなよ。あれは恐ろしい女だ。もし、ミネバ様の名を借り、自らが独裁を行うようなら…斬れ。そのためにも、お前には生きてもらわねばならんのだ。より良き、未来のためにも…私の屍を乗り越えて行け!」
第4次』第37話でゲストに敗れハマーンを一足先に脱出させた後のガトーとのやり取り。腹の中ではハマーンを警戒していた事を告げている。
尤もこのシナリオの時点でノイエDCは戦力の大半を失っており(ルート次第ではここで組織自体が壊滅)、今更独裁も何もあったものではないのだが……(ハマーンなら生き延びればノイエDCの立て直しくらいやれるという認識かもしれないが)。
しかも、その後ハマーンはジュドーの説得を受けてミネバを預けて姿を消したため、結果としては取り越し苦労であった(なお、ガトーはこの時別部隊にいるため全く関わらない[10])。むしろ、「普通の女の子として生きるもよし…ミネバ様に自分の意志で生きたいように生きてくださいと伝えておいてくれ」とジュドーに言い残したハマーンの方が、ミネバを反連邦の旗頭にと考えていたであろうデラーズより真剣に彼女の将来を案じていた節がある。
「地獄で会おうぞガトーよ!うおおおっ!!」
ガトーの脱出の後、乗艦を自爆させた際の最後の一言。……台詞は勇ましいのだが、その特攻の戦果がカレイツェド2機だけというのは流石にデラーズが哀れである[11]

搭乗機体

グワデン
エギーユ・デラーズが座乗するデラーズ・フリートの旗艦。
リック・ドム
一瞬だけ映った専用機。劇中では実際に乗る場面はないが、わざわざ専用機が用意されるあたりそれなりにMS操縦の腕前を持っているのだろうか。

SRWでの搭乗機体

グワジン級大型戦艦
α』で搭乗。おそらく、「グワデンはグワジン級」という設定も有る為と思われる。
ザムス・ガル
第4次』で搭乗。

余談

  • エギーユ・デラーズのファーストネームであるエギーユ(Aiguille)とは、フランス語で「針」あるいは「針峰」を意味する。

脚注

  1. デラーズ紛争時には「中将」とされている。なお本編中デラーズの階級について言及された事が無く、小説版や各種解説・設定等の主に紙媒体の情報である。昇進の経緯は不明。
  2. 佐官級でグワジンを単独で指揮したのはドズル・ザビの腹心ラコック大佐と、キシリア・ザビの腹心マ・クベ大佐等、ザビ家に近い人間ばかりで、ソーラ・レイのコントロール艦として利用されたグワジンには、アサクラ大佐が指揮している。また、グワデンは本来、ギレンの座乗艦であったという説もある。
  3. 星の屑作戦を小規模艦隊で必中させ、シーマ・ビッター・ドライゼ等の多様な同胞を信頼、ガトーを度々激励し、ハスラーとの友情を示し、連邦軍のかく乱に成功、乾坤一擲の「魂」のコロニー落としを実施…した事に由来か。
  4. 漫画『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』では開戦時での敵対コロニー虐殺を始めとしたシーマ艦隊の非人道的な行動が彼女たちの独断による逸脱行為と見做されるなど、終戦直後から露骨に切り捨てられている。
  5. 違反なのはあくまでも「核の使用」であり、つまり一年戦争のオデッサ作戦でマ・クベが実行した事である。
  6. そもそもここで持ち出した南極条約自体「一年戦争中のみ有効」な戦時条約に過ぎないので、既に戦後である『0083』の時期にはとっくに失効している……のだが、デラーズにとっては一年戦争のジオン側の降伏は「ジオン共和国が勝手にやったこと」という認識であるため、彼にとっては未だ戦時中であり条約も有効と考えている様子。ただしジオン軍の総大将ではないデラーズにはそれを判断する資格はない
  7. ただし、元々シーマは裏切る気だった事から直接的な要因ではない。デラーズ自身はアサクラ等と違い自ら作戦に参加している点も大きく異なる。デラーズの意図は明確ではないが、一応重要作戦をシーマ艦隊に任せることで星の屑作戦における決定的な成果を与えることで、彼らの待遇改善を意図していた可能性は有る。もっとも、そういう意図であるなら「相手の為と言いながら、相手のトラウマを刺激する任務を割り振る」「嫌われる汚れ仕事の成果が待遇改善に繋ると考える」と言う点で全く現実が見えていないし、逆にそういう意図がないならそれはそれでシーマの事を何も考えていないという事で、どちらにしろ問題外であるが。
  8. 漫画『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』では上記の台詞の直後にシーマと同じく戦犯としての罪に苦しみ、部下を全て失ってしまったゲール・ハントによってデラーズは射殺され、「キサマの様な奴がいるから、殺し合いは終わらないんだ…」と吐き捨てられる事になる。
  9. ジオン軍が一年戦争でコロニー落としなどの虐殺を行ったのは、自治権獲得のための武力行使という「手段」である。一方のデラーズは、シーマにより拘束された(=デラーズ・フリートとしての敗北が決定的になった)状態でもコロニー落としを諦めておらず、もはやコロニー落としそのものが「目的」となっている節があり、本末転倒となっている。
  10. もっとも、デラーズを盲信している節のあるガトーがいたら話が拗れる可能性があるので、いなくて良かったとも言えるが。
  11. しかもメキボスの弁によれば、このマップのゲスト一般兵はバイオロイドであるらしいので、純粋なゲスト兵士は1人も殺せず終わったようである。

資料リンク