二軍(Farm)
二軍とは野球などのスポーツで使われる用語で、スパロボにおいては能力値が低かったり精神コマンドのバランスや特殊技能などが微妙で、物語が進むにつれ使いづらくなっていくパイロットやユニットのことを指す。倉庫番ともいう。
ただし作品が進むにつれ、改造システムの変化、小隊システムやパイロット養成の追加などで、基本性能の低いユニットやパイロットも育てやすくなった。そのため、「無改造状態の能力値は低いが、改造による能力上昇率が高く、フル改造すれば一軍に並ぶ能力値に化ける」ユニットや、精神コマンドのラインナップが見直され、「能力的には二軍落ちだが、サポート要員としてなら十分使える」というパイロットも増えてきている。その為、相対的に本当にどう手を加えても救いようのないケースは少なくなっている。
現在最も二軍落ちする可能性が高いのは、物語途中で永久離脱するパイロットやユニットと思われる。それでも最近では永久離脱した機体の改造資金が還元されたり、他の関連性の深いキャラに撃墜数やPP等が引き継がれるなど、救済策があることが多い。このほか、救済策とはちょっと違うが「永久離脱のタイミングがゲーム最終盤であり、離脱後の残りシナリオがごく僅かで済むため、普通に使っていてもさほど気にならない」などといった作品も多い。
二軍ユニットを使わざるを得ない状況
『MX』では、二軍メンバーがルート分岐や部隊分割によって強制出撃することがある。この為、プレイヤーが一軍にしているユニット次第では、非常に厳しい戦いを強いられる可能性がある。また『D』の一部マップでは、ある分岐シナリオの前編マップで出したユニットが後編マップに出せず、二軍ユニットを出さざるを得ない場合も。
『第4次』の「栄光の落日」に至っては、1軍メンバーが殆ど抜けた状態で戦うことになる。
二軍落ちさせられやすい、主なパイロットと機体
誰を主力として起用するかはプレイヤー次第で、先述の通りシリーズが進むごとに基本性能が低くても強化しやすくなっている。ここで挙げられたパイロットや機体が、どのスパロボシリーズでも全く使えないと言うことはない。逆に、機体をフル改造したり、あるいは機体の乗り換えをさせる事で大化けする事もある。
パイロット
- カツ・コバヤシ
- スパロボでは二軍キャラの代名詞的な存在。NTの技能レベル、全体的な能力値共に毎回低め。原作でのキャラ描写から来るマイナスイメージや、初期搭乗機体の地味さに加えて、アンソロジーコミックでの一部作家によるネガティブキャンペーンじみた扱いなども合わさって長期間に渡って「二軍キャラの筆頭格」というイメージが定着してしまっている。しかし近年の作品では精神コマンドは優秀な事が多く、それなりに育てる価値が出てきている。
- ハサウェイ・ノア
- 登場作品は少ない上に出展作品が逆襲のシャアからなので全体的な能力はカツ同様に毎回低め。更にストーリー的にも想い人と絡むことが少ない事もあり二軍行きが決定的なキャラ。しかし時獄篇ではストーリーに関わり、クェスを再加入する条件が彼に関わっている事も相まって育てる価値が出てきた。
- ボス
- スーパー系の二軍代表格。陸以外の適応が軒並み低め。近年の作品では子分であるヌケとムチャを専用のサブパイロットとして引き連れる事が多く、本人の精神コマンド及び特殊技能にも恵まれ、サポート要員としては優秀。格闘も高いため運用次第では戦闘もこなせる程になっている。
- チャック・キース
- カツと並ぶ二軍の代表格。『第2次α』等では応援を低コストで使用できるなど、サポート要員として優秀。
- 巴武蔵
- たまに生存して一人乗りのゲッター1に乗る事もあるが大半の作品は地形適応が最悪で使うに使えない。
- 柿崎速雄
- マクロス系の代表。比較的回避が低めなのに精神コマンドには集中もひらめきもないという欠点を終始抱えている。機体との相性の問題もあり、『α』ではデストロイド・モンスターに乗せると化ける。『第3次α』では合体攻撃要員としても存在意義が生まれた。
- レコア・ロンド
- 原作展開通り、自軍を裏切って復帰しない事がほとんど。
- ビーチャ・オーレグ、モンド・アガケ、エル・ビアンノ、イーノ・アッバーブ
- ジュドー以外のシャングリラチルドレンは能力的に中途半端で、主に補助系精神コマンド要員として借り出される為、精神コマンドの構成によっては一軍に登用されることも。ビーチャは魂や奇跡を覚える事があるが、小隊システムかプレイヤーの愛が必須。
- ニー・ギブン、キーン・キッス、リムル・ルフト
- いずれも聖戦士技能を持たないか低レベル。強力なオーラバトラーの加入数が少なく、機体にも恵まれない。『COMPACT3』ではゼラーナやフォウがあるので、サポート要員として出すことも可能。ショウが群を抜いて強すぎるのもあるが、2番手を決めるにしてもパートナーのマーベルやライバルのトッドといった強力な聖戦士が揃っているため、彼らに出番が回ることはほとんど無い。
- アカツキ・ナガレ
- 能力的には申し分ないが、エステバリスの主なダメージソースである合体攻撃が無いのが痛すぎる。『W』では後継機がラピッドライフルしかないエステバリスIIで、持参金200000と月臣元一朗のおまけ扱い。
- イングラム・プリスケン
- スパロボ作品では物語途中で必ず裏切る。ただし『OG1』(『OGs』含む)のリュウセイ編では彼のレベルが一部隠し要素に関わるため、修理や補給である程度育てる必要がある。キョウスケ編では完璧に倉庫番。
機体
基本性能が低く、修理装置や補給装置を持たない機体が該当しやすい。
- ボスボロット
- 全体的な性能が低く、特に武器の使い勝手の悪さが目立つ。ただ『EX』以降は補給装置が付いたので補給要員として使え、強化パーツも4つ付けられる。OVA版の『J』や『W』では武装が豊富で、修理装置も追加。改造すれば一軍ユニット。後発の『L』ではさすがに弱体化したが、それでも気力下げ要員としては一流。
- アフロダイA、ダイアナンA
- 修理要員であるにもかかわらず空が飛べないのが最大の欠点で、ビューナスA登場以後は出番を奪われることが多い。
- ジム、ザク改、ジム・カスタム、ネモ、リック・ディアス、ジムIII、ジェガン、ヘビーガン、ジム・キャノンII
- いわゆる量産型モビルスーツ。MSの標準的な武装のみで、射程が長い等の目ぼしい武器もなく、機体性能が低いため使っていくには難しい。
- ガンダム、NT-1アレックス、ガンダム試作1号機、ガンダムMk-II
- 主役を務めた機体ではあるが、後世のνガンダム、F91等と比べ機体性能、攻撃力、武器性能とあらゆる面で劣るため使用し続けるのは難しかった。近年では最大改造段階が上昇したため、資金をつぎ込めばある程度まで強力なユニットになれる。また、『GC/XO』のように一年戦争が物語のメインとして据えられている作品では、十分主力として使っていけることもある。
- ゾンド・ゲー
- 『第2次α』で使用できるが、機体性能がかなり低く、小隊員としても微妙。
- ボール
- 使い道がほとんど無い。最弱の名に相応しいと言える。ただし、『GC/XO』に関してはサイズの小ささを生かして捕獲要員として使うことも出来るが。しかしこれに乗ってザク(正確には宇宙用高機動試験型ザク)と相打ちに持ち込むとは、つくづく隊長には頭が下がる。
- トーラス
- W系の量産型MS。機体性能、武器性能が低くて戦闘に使用できるレベルでない。近年では修理装置、補給装置を装備したため飛行持ちで後方支援として有用な機体となった。
- M1アストレイ
- 機体性能に突出した長所がなく、修理や補給もできない。パイロットであるオーブ三人娘をスカイグラスパーに乗せ換えて、機体のみが倉庫送りになることが多い。
- エールストライクガンダム
- 初参戦の『第3次α』以降は他形態の方が優秀な武器性能であるため、特徴がないエールストライクは使われない傾向にある(しかもフル改造で上記M1アストレイに火力で負ける事がある)。それどころか、作品が進むごとに換装が封印され、何故か修理装置が付くなど扱いがサポート系になってしまっている。盾役としては中々なのだが。
- アークエンジェル
- 機体性能面は特に問題がないだが、「メインパイロット能力がやや低い」、「SEED準拠参戦の場合サブパイロットが中盤以降に永久離脱」、「一部作品では参戦が遅い」、「他作品からさらに優秀の戦艦が存在する」の理由から、強制出撃以外はあまり使われない。
- ガナーザクウォーリア (ルナマリア専用)
- 後方支援を任せるのには悪くない性能であり、『L』では大量に手に入るザク軍団の中では個性を出せている方である。しかしもっと強力な機体が揃ってくると倉庫番になりやすく、改造引継ぎもないため最初から改造もされないことも多い。特に『UX』ではSEED系パイロットが必要最小限の数しか登場しないため、終盤ゼロファフナーが加入するまでは未編成機体の欄にたった1機だけ残り続けることになる。
- 量産型ゲシュペンストMk-II
- OGシリーズにおける味方側の量産機。機体性能が低い上に中途半端、空も飛べないので自軍の戦力が揃ってきたら基本的に倉庫番になる。設定上でも旧式で他の量産機より性能が劣るとみなされている。
- ダッガー
- 『Z』では殆どが2人乗りのウォーカーマシンにあって、本機は1人乗りで機体性能も低い。更に同じ低スペック一人乗り機体のトラッド11と違って、補給もできない。
- 魚竜ネッサー
- バリアがあるがあまり頼りにならない。同系列のスカイラーやバゾラーと違い修理装置・補給装置も無いため小隊システムをもってしても後半はあぶれる。
- サーペント
- 補給装置やキラーバイトによる装甲値低下があるが、『K』では後半バルキングを入手すると同時に抹消され更に改造引き継ぎもない為に改造されずに終わる事になる。また、『L』では最初からバルキングがいる上に、補給装置持ちが比較的多いのでわざわざ乗り換える必要性が薄い為、大抵が倉庫番で終わる事が多い。しかし、機体ボーナスが射撃系機体と比較的噛みあうのでボーナス狙いでPUのサブになる場合もある。
- ゲッター3/ゲッターポセイドン/真・ゲッター3
- ゲッターロボ自体は一軍として扱う人は多いが、ゲッター3の形態は比較的に使いにくく、出番が無い。ただし、真ポセイドンは無消費武器が備わっていることが多く使いやすいため、雑魚戦では真ドラゴンよりも活躍する。また『NEO』の新ゲッター3は歴代で最強と呼ばれる程の能力。おそらく従来のゲッター3の扱いが悪すぎた為と思われる。
もちろん、機会は少ないが水中戦に持ち込めば、大抵の作品では無類の強さを誇る。
一部作品で、二軍行きの可能性が高いパイロットと機体
通常の作品ではエース級でも、一部作品では理不尽なまでに弱体化されていたり、周囲の機体性能強化から取り残されたり、システムに見放されて二軍行き候補となる場合がある。
- ダンクーガ(『第4次』)
- 「通常武器の使い勝手が悪い」「必殺武器の燃費が悪い」「地形適応Aが無い」「(グラフィックではブースター装備なのに)空を飛べない」「決定打に欠ける」「後半のコン・バトラーVとの二択で大方のプレイヤーに切り捨てられる」など、初参戦なのに酷い扱い。
- 『第4次S』以後は改善された。それどころか武装追加・デフォルト飛行・地形適応上昇・パイロットの精神と特殊能力追加と至れり尽くせり。現在に至るまでスーパーロボットの中でもトップクラスの火力のアタッカーとして知られることとなる。
- ダイモス(『第4次』)
- リアル系ではパワーアップイベントがないだけならまだしも、よりにもよって最強武装である「必殺烈風正拳突き」が宇宙空間で使えないという酷な仕様の被害を受けた。ゲーム終盤は宇宙マップが殆どの上、他の武装も威力が低すぎるなど、ダンクーガと同じく初参戦なのに酷い扱いだった。ちなみに、必殺烈風正拳突きは原作では宇宙でも使っている(当時は資料不足のため、宇宙でも使えたということをスタッフが知らなかったという説が有力)。
- Gガンダム勢(『J』)
- 「移動力が低い」「装甲も運動性も中途半端」「飛行できるのに空適応がB」「明鏡止水(スーパーモード)の修得が遅い」「殆どの分岐で両方のルートに同行するため、同行させず合流時にレベル補正を受けさせる事が出来ない」など冷遇されている。
- 綾波レイ&EVA零号機
- 一部作品では終盤で永久離脱してしまう。
- コウ・ウラキ(旧シリーズまで)
- かつては「主役格でありながら二軍落ち」の代表格だった。ウィンキー開発時代のNT至上主義の一番の犠牲者。『α』以降は能力値や精神コマンドのラインナップが改良されて十分に一線級の能力となり、『α外伝』や『IMPACT』などNT勢より優遇される事も。
- ガンダムW勢
- かつては加入が遅いにもかかわらず運動性・装甲・武器性能と全てが中途半端で、搭乗者の精神コマンドもイマイチだった。マップ兵器の使えるウイングガンダムに幸運を持つカトルを乗せる戦法でのみ活躍できた。
- クワトロ・バジーナ(『64』、『COMPACT2第3部』、『IMPACT』)
- 一部作品では味方から『逆襲のシャア』の「シャア・アズナブル」として敵になる場合がある。影響が大きいためか、『MX』や『Z』では発売前から公式に裏切らないと宣伝されていた。
- ムウ・ラ・フラガ以外のガンダムSEED勢キャラ(『W』)
- 改造の引き継ぎとお気に入り枠の都合上、扱いやすいアストレイ勢が使われる場合が多い。尤もキラ・ヤマトは『W』では能力は高い、改造もストライクからフリーダム、ジャスティス等に引き継いだりするのだが、キャラのみ二軍行きの可能性が高い。ムウの場合、アストレイ系機体との適性が良いため比較的活躍できる。
例外的
- スーパーロボット大戦OG外伝
- ほぼ『スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATIONS』と同じ面子が揃うのだが、更に仲間が増え、話数が36話と少なめな為、必然的に二軍に落とされるパイロットが多かった。SRXチームを使うかどうかで出撃枠が変動する。
- 第2次スーパーロボット大戦Z
- 本作品は参戦作品と分岐が非常に多いので、使う使わないユニットの差が激しい。但し、主役級は満遍なく育てないとルート分岐で苦労することになる。