ARX-8 レーバテイン
外国語表記 ARX-8 Laevatein
登場作品

フルメタル・パニックシリーズ

メカニックデザイン 海老川兼武
分類 アーム・スレイブ
生産形態 ワンオフ
全高 8.7m
重量 10.3t
動力 パラジウムリアクター
ロス&ハンブルトンPRX3000
ジェネレーター出力 推定4,800kW[1]
最大作戦行動時間 30時間
ジャンプ力 80m以上(ラムダドライバ無し)
AI アル
設計 アル
クダン・ミラ
パイロット 相良宗介
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概要

東京での決戦で大破したARX-7 アーバレストに代わり、相良宗介の乗機となったラムダ・ドライバ搭載のアーム・スレイブ

標準の第三世代ASやその派生機が比較的細身のシルエットなのに対し、マッシブなシルエットを持つ。赤と白を基調にした、アルと宗介の静かな怒りを表すかのような色合いと姿をした機体。名の由来は、北欧神話に登場する炎の魔人スルトルの妻が所有する武器、レーバテインより[2]。本来はレーヴァテイン等「ヴァ」表記が読みに近いが、ARXシリーズのARX-6ハルード(M6 ブッシュネルをベースにした実験機)、ARX-7アーレストの記載的特徴を引き継がせたとの事。

ARXシリーズには本来存在しない機体で、ミスリル壊滅後の建造のため正式にはミスリル所属でも無い。建造に協力したギャビン・ハンターが機体番号を付け、機体名はアルの自称である。東京での戦いで破壊されたアーバレストの残骸は日本政府に接収されたが、元ミスリル情報部のレイス並びハンターが共謀してAIアルのコアユニットを持ち去った後、ウィスパードクダン・ミラの協力によりコアユニットを再起動させることに成功。機体設計はAIアル自身が行い(ただし、ミラの協力が大きかったと思われる)、ミラとハンターが開発に協力した。当然ながら搭載AIはアル。D系列の試作機の片方のパーツを流用しているため、一部シルエットに共通点がある[3]

宗介とアルが敗北した相手、レナード・テスタロッサの乗るウィスパード専用ASベリアルに対抗するための攻撃能力を追求しており、大型戦闘機や戦闘艦船並の出力を持つロス&ハンプルトン社の試作パラジウム・リアクター「PRX3000」を搭載。M9 ガーンズバック以上のジェネレータ出力を、パワー重視の駆動系でフル稼働させる事によって、既存ASの常識を遥かに超えたパワーを叩きだす。

ジェネレーターの常軌を逸した大出力により膨大な熱が発生するため、後頭部よりポニーテール状の放熱索(コダールタイプと同じもの)が飛び出し、機体冷却をカバーする。この時、莫大な余剰エネルギーの余波から、放熱索に白い光の粒子が発生する。

第3世代ASに属する機体ではあるものの、ASというカテゴリーから外れた出力を有する。 ラムダ・ドライバ無しでも80mのジャンプ力を持ち、跳躍での瞬間的な重力加速度は30G(航空機事故に近い程の衝撃)を超える。そのため、宗介は跳躍だけで意識を失いかけた。 また軽い足払いだけで敵ASを一回転半させ地面に叩き付けた上、敵ラムダドライバ搭載ASを素手で破壊し、ベヘモスに1500tの加重をかけられても逆に押し返して転倒させる(流石に無茶をしていたようで、アルも警告しているが)ほどのパワーを持ち、アルによって操作される2本の隠し腕すら装備しているなど、その戦闘スタイルはASの領域から半ば逸脱している。さらにラムダ・ドライバの補助により、10t級の兵器では扱う事のできない165mm多目的破砕榴弾砲(デモリッション・ガン)の使用が可能であり、機体性能や搭載兵装に関しては従来の第三世代ASを大きく凌駕する。初陣では試運転無しにも関わらず、3機のベヘモスと3機のコダールを6分足らずで撃破した。

反面、これらの為のしわ寄せが稼働時間の低下と電子兵装の弱体化を招いている。 最大作戦行動時間がM9の5分の1(約30時間)と極端に短く、ECSを搭載しておらず、電子兵装に至ってはアル曰く「M6に毛が生えた程度」であり、レーバテインの最大機動時のGは操縦兵自身も極力避けたがるほど。更にこの機体の元の機体と言えるM9の設計が大出力リアクターなどの運用を想定してないため、フレーム・各パーツの消耗はM9より遥かに早い。

また、この圧倒的戦闘力に対する敵の警戒も当然相当に高いものとなる為、まず正面から堂々とぶつかってくる相手も居ないという問題もある(実際、初陣でそのあまりの戦闘力を見たベヘモス1機が逃走するほど)。その為、劇中ではECS未搭載や稼働時間の問題もあってECS搭載のヘリに待機させておき、僚機で敵戦力のあぶり出し、および削りを行った後の最後の詰め的に投入される運用がなされていた。

しかも補給が満足にできない困窮した状況のため、パーツの替えが無いに等しく、戦闘時間は極力短時間に限られている。

なお、この機体とは別にダミーのARX-8も開発されていた。こちらは簡単に言えばアーバレストに毛が生えたような性能で接収したレナードからも「つまらない機体」と評され、解体された。

強化装備形態

ARX-8 レーバテイン 緊急展開ブースターXL-3装備
XL-3緊急展開ブースターを装備した本機。

登場作品と操縦者

Zシリーズ

第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
初登場作品かつ初映像化。全体シナリオの折り返しとなるアマルガムルート第36話で参戦する。整備性や強度の問題といった設定は十分な補給や修理が可能なZ-BLUEにいるため採用されていない。
陸適応S、格闘・射撃両方に存在するALL兵器、ラムダ・ドライバによるブーストも相まって高い殲滅力を誇る。なお必殺技は格闘なので宗介の育成はアーバレストの際と同様で問題ない。
火力に期待できる反面武器の弾数が異様に少なく(一つの武器の弾数が2~4発などはザラ)、何も考えずに敵陣特攻させるとすぐに弾切れしてしまうのが難点。宗介のBセーブ取得は急務である。
またSサイズ故にサイズ差補正を無視できない武器の火力がいまいち伸び悩む上、小さい分当てられるとラムダ・ドライバがあるとは言え危機に陥ってしまうため注意。
第41話からは緊急展開ブースター装備状態となり、以後はこちらがデフォルト形態となる。前述の通りレーバテインはとにかく弾が無い為通常戦ではブースター装備で弾を撃ちつくしてから分離するのが一般的。
アーバレストと違って合体攻撃が使用できないのに注意。妖精の羽はイベントのみ。

単独作品

スーパーロボット大戦X-Ω
2016年5月のイベント「進むワン・ステップ・アヘッド」にて実装。SSRシューター。装甲以外の基本能力はアーバレストを超え、特に攻撃力は2016年5月現在で同率2位の数値を誇る。アビリティにダメージを上げるガンファイトと援護攻撃LV2、攻撃速度を上げる補助腕を持つ。さらにアーバレストの強運を越える超強運を持つためコンテナドロップ狙いのお供に欠かせない。反面、原作通りECSがなくなっているなど防御用のアビリティを全く持たないため打たれ弱くなっている。必殺スキルの「デモリッション・ガン(ガンハウザー・モード)」は直線貫通型の射撃2連射。威力はなかなかだが、コア消費がやや重い。後にSSRアタッカー・SSRファイター・大器型SSRディフェンダー・Ωスキル搭載大器型SSRシューターが追加。
スーパーロボット大戦V
宇宙世紀ルート第31話で参戦。天獄篇の戦闘シーンをベースに細かな修正が入った。
基本的な武装構成は天獄篇と同じだが、MAP兵器版デモリッション・ガンの範囲が拡大して使いやすくなっている。
今作では開発にナミが加わった事によって完成が予想を遥かに早くなったとの事。

装備・機能

武装・必殺武器

武装

GAU-19/S 12.7mmガトリングガン
頭部に2門搭載した機銃。
XM18 ワイヤーガン
ワイヤーガン。両腕に計2基装備。
セワード・アーセナル 165mm多目的破砕・榴弾砲(デモリッション・ガン)
通常のASでは取り扱いが不可能な大型砲。ラムダ・ドライバでの制御を受けて発射する。性質上、妖精の羽との併用は基本的に不可能だが、自機の破損を厭わなければ発砲は可能。SRWではラムダ・ストライクの演出でのみ使用される。
ガン・ハウザーモード
長距離砲撃用の砲身を追加装備した状態。
『天獄篇』と『V』どちらも通常攻撃版と着弾指定型MAP兵器が存在する。
ジオトロン・エレクトロニクス GRAW-4単分子カッター
手持ち式の単分子カッター。折り畳み式になっており両膝に折り畳んでマウントされ、そのままの状態でも刃を展開して使用できる。
ロイヤル・オードナンス M1108対戦車ダガー
対戦車ダガー。肘に収納。
『天獄篇』では長射程P兵器ではあるのだが、相変わらず弾数は2。
アライアント・テックシステムズ M1097対AS用手榴弾
腰部に収納。メリダ島上陸作戦時には手榴弾の代わりに簡易デコイを搭載して出撃している。
オットー・メララ 「ボクサー2」76mm散弾砲
「ボクサー」57mm散弾砲の後継。口径が大型化し威力が増したがさらに癖が強くなった。
主に下記の妖精の羽発動中でデモリッション・ガンが使えない場合に使われる。
GEC-B 40mmアサルトライフル
メリダ島上陸作戦時に緊急展開ブースターXL-3装備からそのまま装備している。SRW未使用。
妖精の羽
かなめから提供されたアマルガムのデータからクダン・ミラが完成させた追加兵装。装着箇所は両肩部で羽という名称だが、飛行ユニットではなくラムダ・ドライバキャンセラーとでもいうべき兵装で、ラムダ・ドライバで発生する事象の全てを無力化する。これ自体にもラムダ・ドライバと同様イメージを固める必要があり、宗介は「消えろ」というイメージで発動させている。しかし、レーバテイン自身のラムダ・ドライバも発動不能になり、ラムダ・ドライバ以上に膨大な電力を消費するので、ただでさえ短い稼動時間が更に短くなるなど、急造故にか欠点も多い。

必殺技

強襲
アーバレストから引き継がれた強襲攻撃。
『天獄篇』では跳躍からボクサーを3連射し、単分子カッターで切り裂く流れ。『V』では上空から2発ボクサーを撃った後斬り抜け背後からボクサーで射撃、最後に再び単分子カッターで切り抜き離脱という流れ。
ラムダ・ストライク
ラムダ・ドライバを起動しての連続攻撃。ボクサーで牽制→単分子カッター連続斬り→ボクサー連射で間合いを開ける→単分子カッターを投擲→デモリッション・ガンをガン・ハウザーモードで3連射→突っ込んで砲身で突き刺す→砲身ごと力場で吹っ飛ばし、デモリッション・ガンを至近距離で発射してトドメ。
スパロボVでは単分子カッター投擲が対戦車ダガーに変わり、ガン・ハウザーモードの連射数も5連射に増えた。

特殊能力

剣装備
切り払いを発動する。
ラムダ・ドライバ
アーバレスト同様、バリアと攻撃強化の二種類が存在。

移動タイプ

サイズ

S

カスタムボーナス

特殊能力「ラムダ・ドライバ」の強化、出撃時アルのSP+15
『天獄篇』。サブパイロットのSPが増えるのはいいが、アルの精神コマンドで有効なのは根性、狙撃、熱血くらいなので大抵余る。
特殊能力「ラムダ・ドライバ」の強化
『V』ではアーバレストと同じカスタムボーナスになった。

機体BGM

「疾走」

スパロボシリーズの名場面

炎の霍乱
天獄篇第41話『ずっと、スタンド・バイ・ミー』。戦いは終盤にうつり、文字通りの総力戦が繰り広げられていた。残された時間はもう少ない。ベリアルに一撃を受けて、爆発を起こすレーバテインの光景を、『ささやき』を跳ね除けたかなめが目撃してしまう。宗介が、死んだ――否。そこにあったのは逆にレーバテインがベリアルに組み付く光景だった。ならば宗介はどこに、とレナードが狼狽える。そこへ、宗介の声が響く。彼の手には、恐るべき武器が握られていた。幾度も死線をくぐり抜けてきた男の愛銃が。自らと同じく、愛する女を求める宗介に貸し与えられたであろう武器『バハウザーM571アーマーマグナム』の銃弾が悪魔を穿った。あらゆる策謀に火を点け、台無しにする男。世界を書き換えるという緻密にして細心に立てられた計画などこの男にとってクソを塗りたくるものでしかない。奴の存在がある時点で組織のメルトダウンは始まっていたことに誰も気づいていなかったのだ。レナード・テスタロッサ最大の誤り。それは、ヤツを敵に回してしまったことだった。宗介も巨大な不発弾。蔓延する猛毒。自爆誘爆ご用心――!

関連機体

ARX-7 アーバレスト
レーバテインの先行機。
ARX-8(ダミー)
本機のダミー機体。原作では解体されるが、天獄篇ではゲイツによって破壊される。なお外見はマップ上ではアーバレストと同じだが、原作ではほとんどM9である。

余談

  • 原作登場前、本機の設定に関して(あくまでも冗談として)原作者の賀東招二氏が「マップ兵器が欲しい」「空Aになるようにしましょう」「移動後攻撃の射程は6以上。攻撃力もデフォで5000は欲しい」「強化パーツはスロット4つ」等々と発言している。天獄篇で実際に参戦した際にはマップ兵器はデモリッションガン・ガンハウザーモード、空AはXL-3緊急展開ブースター含めたフル装備状態で実現し、攻撃力は10段階まで改造をすれば最弱武器でも5000、強化パーツはフル改造ボーナスを利用すればスロット3つ、移動後射程はアルの「狙撃」や強化パーツなどで1射程でも伸ばせば6になると、ほぼ実現した結果となった(ただ対象武器は対戦車ダガーなので弾が2発しかないのが問題だが)。終盤はあるイベントが発生し、以降はインフレを起こすほど高くなる。
  • 本機の名前案の一つに「エクスカリバー」があったが、「YF-19というエクスカリバーの名に相応しい機体が既に存在するから」という賀東氏の考えで没になった経緯がある。かなり苦心したようで、ダイサガラーだとかスーパー・アーバレストとかにしようとすら考えていたらしい。ちなみに名付け親は京都アニメーション所属の武本康弘氏。色々縁があって、共同で仕事をするようになっている。
  • ALというAIを搭載し、膝に格闘武器を格納、AIが不可思議な力で搭乗者を守るなど、Sガンダムを意識したと思しき要素が散見される。

脚注

  1. つどうメイク・マイ・デイP310に記述。正確な数値は不明
  2. 剣とされることもあるが、原典ではさまざまに解釈でき、槍や細枝であるという説もある。スルトルは最終決戦時に「炎」と「剣」を振るって神々に挑むが、これをレーヴァテインと同一視する解釈もある。
  3. ツイッターで漫画版の作者である上田氏がレーバテインの作画について「開発中のファルケの余剰パーツを流用したという設定を考えていた」と呟いたところ、メカデザイナーの海老川氏が実際に脚部のパーツなどはファルケのデザインから拾ったことを明かした上で「もう一機あったD系列のパーツを流用したというのだったら面白い」と語ったのを賀東氏が採用したことで正式設定となっている。

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