ラインバレル

ラインバレル(LINE BARREL)


鉄のラインバレルの主人公機。高蓋然性世界で作られたマキナの一つで、本編の世界に転移した際、落下地点にいた浩一を死なせてしまう。その際、ファクターである城崎絵美の願いによって浩一をファクターとして蘇生させ、己が主とした。

当初は本来のファクターである絵美による外部制御が優先されており、新たなファクターである浩一はラインバレルを動かすためだけの存在、という側面が強かった。しかし、彼が友人である矢島の死をきっかけにファクターとして完全に覚醒した瞬間、絵美の制御を離れた上に封印されていた武器を解放、名実ともに浩一の半身となった。

両腕に装着した二振りの太刀と光学兵器「エグゼキューター」を武器に戦い、強力な戦闘能力を持つ。その存在の性質から「マキナ殺し」と呼ばれることもある。基本的に地上戦特化だが、テールスタビライザーを展開することで15分前後なら飛行可能。

マキナには遵守すべきある一定の原則が在るのだが、ラインバレルはその悉くに当てはまらない。具体的には、唯一であるべきファクターが二人存在する(既にファクターが存在するのに新たなファクターを選んだ)、無人にも関わらず敵機を攻撃する、自己修復能力が他機と比べて桁違いに早いなどの点など。

これについて、原作漫画版では衝撃の事実が明かされている。それは、ラインバレルには電脳が存在せず、開発者である城崎天児(きざき あまがつ)の脳が組み込まれ、その意志によって制御されていたということである。よってラインバレルはマキナの原則を無視した、「人間的」な行動を取ることが出来たのである。アニメ版では天児は完全に死亡しているため、この辺りの理由は不明。

前述の通りファクターは二人存在するが、基本的に搭乗・操縦が可能なのは浩一のみであり、絵美は乗る事も動かす事も通常出来ない。これは、ラインバレルの存在原理の一つに「城崎絵美を守る」という事項があり、ラインバレルはこれを最優先かつ恒常的に実践するため、絵美の搭乗を拒否するのである。ただし、マキナとしてファクターである浩一の生命維持も並行して実践するため、彼の生命に危険が迫り、なおかつ自身でのDソイル循環が困難になった場合のみ、緊急措置として絵美を搭乗させ、mode-Bを起動して戦闘を行う事で生命維持を続行する。

テルミノ・クレメンティア終了後は、ヴァーダントを除く他のマキナ同様、ファイナルフェイズの反動でDソイルが枯渇して機能を停止していた。だが、後に現れたラインバレル・エコーに対し、浩一が素手で立ち向かおうとした際に突如再起動。10分という制限つきだったが「マキナ殺し」の異名は伊達ではなく、すべてのエコーを一蹴する大活躍を見せた。

ちなみに、「ラインバレル」とは「境界・可能性の枝」を意味する「Line」と「多くの」を意味する「Barrel」を合わせた造語である。またファイナルフェイズ発動時にモニターに表示された文字列は、上部に「LINE~」、下部に「Biogenous Armament Revivity Ravager Energized Lifeform Sustainer」となっている。

登場作品と操縦者

スーパーロボット大戦L
アニメ版設定で登場。当初は原作の展開を反映して浩一ともどもNPC扱いと言う異例の展開。正式参戦後はファクター技能による自動回復と高い攻撃力を生かし、ボスキラーとして活躍してくれる。その一方でザコ集団相手への継戦能力は他のマキナ勢と比べると低めで、強制出撃されるマップも多いことからある程度の改造を意識しないとそのマップのボスユニットと対峙する前に落とされがちでもある。特に第37話では、強制出撃に加えてラインバレルの撃墜が敗北条件となっているのに、NPC化して覚醒まで使って全速力で敵陣に突っ込むため、ほぼ間違いなく敵マキナに集中砲火を受ける事になる。
なお、最初の分岐で地上ルートにいくと、何と5話連続で強制出撃となる(=小隊が組めない)ので注意。
欠点は移動力が低い事、パイロットの精神コマンドと機体性能の方向がかみ合っていない事、最終的にはエグゼキューターを多用せざるを得ないようになるのだがそうすると燃費がとても悪い事。PUを組む際はこの点を補完できるユニットを選ぼう。
スーパーロボット大戦UX
原作漫画版設定で登場。そのため、原作にあってアニメに登場しなかった武器(技)・圧縮転送フィールドなどが登場している。

装備・機能

武装・必殺武器

太刀
両腕に装着された日本刀。ラインバレルの「マキナ」としての力である。
エグゼキューター(射撃)
テールスタビライザーに搭載されたビーム砲。ラインバレルの「マキナ殺し」としての力である。本来はビームを放つ射撃武器なのだが、実際にこの用法で使用されるケースは当初浩一が知らなかった事もあって少ない。ゲームでは斬撃の方はmode-cでのみ再現。
太刀二刀流
刀を両方抜き放ち、連続で斬りつけた後十文字に両断する。
エグゼキューター(最大出力)
リミットを解除してmode-Cを一時的に起動、機体各部を展開。「マキナ殺し」の力を一時的に解放、エグゼキューターで巨大な刀身を形成し、相手を切り裂く。アニメ11話でヤオヨロズとヘリオスを粉砕した落下斬りの再現。
オーバーライド
mode-Bを一時的に起動、実体を残すほどの超高速連続転送によって敵機を翻弄し、切り刻む。フィニッシュデモでは6体のラインバレルが八方から切り刻み、本体だけが納刀、分身が消えた後本体もオーバーライドで離脱する。本来は絵美搭乗時の能力であるが、後に浩一も使用可能となった。原作漫画版では負荷軽減のためのカウンターナノマシンは絵美にしか使えなかったが、アニメ版では浩一も問題なく使える。
圧縮転送フィールド投射
転送時に使われるフィールドを敵機目掛けて投射し、消滅させる。アニメ版では未使用。

特殊能力

剣装備
ラインバレルに装備されている太刀で切り払いを発動。
オーバーライド
転送機能によって分身の効果。加えて移動コストが1で固定になる。
mode-C
終盤で追加。気力140以上でmode-Cになり、Dソイルの最大値が150になる。

移動タイプ

飛行可能だが地形適応はB。オーバーライドを発動させれば移動には困らないが小隊を組む際には注意。10段階改造で空適性は改善される。

サイズ

M
回避型の割にあまり避けてくれないのはこれが原因。


機体BGM

「鬼帝の剣」
OPテーマ。

対決・名場面など

ヴァーダント
森次離反時の戦い。圧倒的な経験の差から、手も足も出ず撃破される。だが……。
グラン・ネイドル
テルミノ・クレメンティアにおける「ラインバレル」の最終戦。

関連人物

早瀬浩一
ファクター。彼の成長と感情に応じてラインバレルは力を発揮する。
城崎絵美
もう一人のファクター。ラインバレルは彼女を守ろうとするため、搭乗を拒否する。
加藤久嵩
開発者の息子。敵対時はラインバレルを求めていたが……。
城崎天児
開発者。原作漫画版では真のファクター。

関連機体

ラインバレル mode-B
絵美搭乗時の姿。戦闘力は上がったが「マキナ殺し」の力が封じられている。またの名を「ラインバレル・オーバードライヴ」。
ラインバレル mode-C
浩一の怒りが生み出した「マキナ殺し」としての姿。あらゆるマキナを文字通り一掃する。
ラインバレル・アマガツ
スパロボ未登場。原作漫画版に登場した、天児の意識によるラインバレル本来の姿。真のファクターたる天児の意志に従うため、浩一には制御不可能。本形態では頭部の各部が展開し隠されていた眼が現れ、一つ眼となる。戦闘能力は普段のラインバレル以上だが、継戦能力は劣っている。
プロトタイプ・ラインバレル
初期状態。セントラルの量産型マキナに似ている。
マキナ
テルミノ・クレメンティアの終了時、次元坑道を彷徨うラインバレルが一瞬だけ遭遇した、ラインバレルに酷似した謎の機体。その正体は、「鉄のラインバレル」の原型作品である「鋼鉄の華」の主人公機であり、遭遇時には「鋼鉄の華」世界の浩一と絵美が搭乗していた。いわば並行世界のラインバレル。ラインバレルと違い顔があり、自意識を持っている。ちなみに意匠は右一つ巴。
ラインバレル・エコー
後日談に当たる「鉄の影」に登場したラインバレルの影。ファクターは不在であり、オーバーライドも使用出来ないが、スペックはオリジナルと同等。復活を遂げた浩一とラインバレルにより全ての機体が撃破された。