人類補完計画

人類補完計画(Human Race Supplementation Plan)

概要

新世紀エヴァンゲリオン』において、碇ゲンドウが立案し、人類補完委員会に提唱。その実行のために設けられた下部機関であり、ゲンドウが司令となった特務機関ネルフにおいて遂行されている謎の計画。

その目的について、劇中では「できそこないの群体としてすでに行き詰った人類を完全な単体として人工進化させる」ことであると説明されており、発動のためには概ね以下の手順を踏む必要がある。

  1. ヨリシロとなる存在を用意する(劇中では「リリス(但しオリジナルのロンギヌスの槍が必要)」「S2機関を取り込んだEVA初号機」の2つの候補が提示されている)。
  2. ヨリシロを中心として、エヴァンゲリオン各機により「セフィロトの樹」状のフォーメーションを組み、ヨリシロを生命の樹に還元する。
  3. ジオフロント(その正体は現人類にとっての生命の源「黒き月」)を表出させる。
  4. 生命の樹となったヨリシロから、全世界に向けてアンチA.T.フィールドを拡大(この際、劇中では初号機パイロット・碇シンジの精神破綻により生じたデストルドー(破滅へと向かう意志)をもってその拡大を促していた。リリスを用いた場合にどうなっていたのかは不明)。
  5. アンチA.T.フィールドの影響を受けた人類は、LCL(生命のスープ。「黒き月の体液」とも呼ばれる)に還元される。
  6. ガフの扉(「黒き月」への入り口)が開く。LCLと化した人類は全てガフの扉を通って黒き月と一体化。

以上の結果、全人類は肉体を喪失し、「黒き月」の中で精神が一体化した単一存在となる。元々黒き月から生まれた現人類は、白き月から生まれた使徒とは異なり、群体で生きることを前提とした生物である。しかしその結果、相互不理解による不安・憎しみ、果ては同種族間での争いが絶えない状況に至り、この群体生物として不可避の行き詰まりを打開するための究極の策として考え出されたのが「精神共有による一体化」という結果をもたらすこの計画である。

劇中における計画発動、及びその結末

ゼーレの目的は前述の通りだが、ゲンドウの目的は「(補完によって)初号機と融合して碇ユイと再会すること」であった(ユイが死亡してからこちらの目的に変わったと思われる)。そのために、どちらも自分の思い通りになるヨリシロを作ろうとしていた。劇中ではどちらも失敗し、シンジと初号機が主体になって補完が始まったわけだが、ゲンドウはユイと再会でき、ゼーレも無事に補完が始まった事やキールの「これで良い」という発言を残しているので、結果的には両者とも希望が叶ったと云える。

アダム(胎児化した状態のアダムはゲンドウの右腕と同化している)」と「リリス(ターミナルドグマに「アダム」と偽って封印されていた現人類の始祖。そのコアとなるべき存在が綾波レイ)」の禁じられた融合によってのみ、それが実行可能とのこと。劇中ではゼーレが本来企図していた計画が進行する最中、ゲンドウも自身の計画を並行して進めることとなった。

結局ゲンドウの計画は綾波レイの造反により頓挫するが、アダムとリリスの融合自体は果たされる(ゲンドウとアダムの融合部分をレイが吸収したため)。融合体は綾波レイの姿を取り、表出した黒き月と生命の樹を包み込む形で巨大化する。この融合体の乱入はゲンドウの独断によるもので、ゼーレの本来の計画には無かったはずであるが、リリスを素体としており黒き月に近しい存在であったためかゼーレの補完計画には影響を及ぼさず、寧ろアンチA.T.フィールド拡大とガフの部屋への扉の開放を促進する役割を果たしたものと思われる。

こうして順調に完遂するかに思われた人類補完計画であったが、生命の樹のコアとなったシンジは「補完」の世界を選ばず、「現実の世界」で生きることを選択。その結果、黒き月及び融合体は崩壊、補完計画は中断され、彼はアスカと共にたった2人、現実の世界へと帰還する。この際には、幾つかの魂の群れは初号機と共に宇宙へ広がっていく描写が見られ、かつての白き月と黒き月のように、宇宙における生命の拡散機構が働いてる様子が伺える。シンジとアスカは、「補完が否定された世界」における、最初の男女になったとも言える。
また、ユイの台詞から、他のLCLに還元されてしまった者達も、現実世界で生きていく事を望めば、シンジやアスカの様に帰還する事が可能であるらしく、旧劇場版の終劇後、何人かの人間がLCLの海から現実世界に帰還した可能性は十分あると思われる。

なお、これらが劇場版(現在は「新劇場版」と区別するため「旧劇場版」と呼称されるもの)で描かれた結末となっている。

漫画版最終話では、ほぼ全てが元通りとなって世界が再構築された模様。シンジは普通の中学生の受験生となり、友人の見送りを受けつつ東京の高校「明城学院附属高校」を受けるために上京するところが描かれている。性格も前向きになっている模様。
人間関係はリセットされており、アスカとは駅の混雑で難儀している所を助けたのが初対面(デジャビュを感じているが)。ついでにケンスケとも出会っている。
再構築前の会話から、ユイ・ゲンドウ・レイは存在しない可能性がある。また、再構築後である証拠として、補完失敗時に化石化して地球に降下した量産型エヴァと思しき残骸が存在している。どのように再構築したかなどは不明。

TV版における人類補完計画

TV版第25話と第26話は、「補完」された世界においてシンジがどのように心が救われたかを表現しており、劇場版を知らないと(あるいは知っていても)全く意味不明な内容である。むしろ、その時点において現実世界で起きていたことの「補完」のために劇場版が製作された・・・と言うべき位置づけにある。文献に由っては「ゲンドウがヨリシロとなった補完後の世界」と説明されているものもある。

新劇場版における人類補完計画

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』ではストーリーが大幅に改められ、人類補完計画についても存在こそするが、内容は異なるとのアナウンスがある。特に、人類補完計画の結末が描かれた最終話については、旧作とは全く異なるとのことで、今後の展開が注目される。

スパロボにおける扱い

スパロボにおいては、使徒以外の外敵からの防衛手段として設定自体が出てくることがあるが、いずれの作品でも最終的には「逃避」「阻止すべきもの」として扱われ、通常のルートにおいては基本的に失敗に終わる。またクロスオーバーとして、他の版権キャラが補完計画に絡む展開も描かれる。

作品別では『スーパーロボット大戦F完結編』でバッドエンドとして人類補完計画が発動する。それ以外の作品においては、碇シンジの成長、抑止力としての真・ゲッターらの存在により計画が発動することはなく、EVAシリーズが殲滅されることで失敗に終わるという流れになっている。

スーパーロボット大戦F完結編
一定の条件を満たすと補完計画が発動するルートに突入。碇シンジの心が破綻し、補完計画が発動してバッドENDとなる。詳しくは隠し要素/F・F完結編を参照。
スーパーロボット大戦α
今回は劇場版設定で、EVA弐号機が鳥葬にされるところに、仲間が駆けつけて阻止するというイベントが組まれる。結果、補完計画は未達に終わる。人類補完計画はこの段階でも既にSTMCに対する防衛策として語られている。
第3次スーパーロボット大戦α
αシリーズ2度目の補完計画実行。今回はEVA初号機が寄り代となる段階まで進むが、シンジが仲間達との出会いにより成長していたことで失敗する。さらに、碇ゲンドウアダムリリスによる補完を独力で行おうと試みるものの、実の息子であるシンジに否定され、阻止される。本作品においてはアポカリュプシスへの対抗手段であるという設定が加えられており、故に地球に限らず他の文明においても補完計画が散見される。例えばαユーゼスが語ったように、バルマー本星にも死海文書が存在する(本作ではハザルもその事について述べている)。また元々は第6文明人によって発明された技術とされ、恐らく第6文明人の補完計画によって意志集合体であるイデがうまれたものと推測される。なお、ゲッター線イデなど、無限力と呼ばれる存在の補完計画に対しての見解について冬月がそれぞれ解説をしており、それによれば無限力内でもゲッター線やビムラー等の反対派とイデ等の容認派に意見が割れていたようである。
上述にある通りバルマー側も地球における補完計画の詳細について把握しており、ルアフはシンジと対峙した際に補完計画が失敗した事を察している発言をしている。また、どのような経緯で知ったのか理由は不明だがクルーゼも補完計画の詳細について知っており、彼は補完を「滅び」と捉えていた。
スーパーロボット大戦MX
人類補完計画の上位版とも言える「多元世界補完計画」が発動。詳細は後述。
スーパーロボット大戦Scramble Commander
ソーディアンのコンピュータによれば、転移を繰り返してきた平行世界のうちの1つでは補完計画が実行されて滅んだらしい。
スーパーロボット大戦L
前述の通り、発売時では完結していない新劇場版の設定を使用している為、計画「そのもの」も存在こそするが、原作再現終了まで詳細は全て不明のまま。今作は第8の使徒消滅後、石神社長の報告書に記されている「平行世界からのの存在」により、補完計画の続行は不可能と判断され、計画が打ち切りに終わる形というヱヴァの原作再現を強制終了。新劇場版設定で参戦する為という折衷手段として側面が強い。

多元世界補完計画

スーパーロボット大戦MX』において、裏死海文書に記されているとされる多元世界を同時に補完する計画。上述した人類補完計画に加え、ラーゼフォンにおける「調律」の融合した設定となっている。

作品終盤「魂のルフラン」前のインターミッションにて、加持弐神がこの計画の全容について語っている。内容は以下の通り。

加持「この芝居のシナリオ……それは元々一つのものだった」
弐神「そう、太古の神話が題材となってる。今となっちゃ、誰が書いたものかはわからんがね」
加持「火星の遺跡の創造者だという説もありますが、それを証明する手段も時間もない」
弐神「まァ、俺達にとっちゃ神様みたいなものなんだろうが。問題なのは、そいつらが残したとんでもないシナリオを演出しようと考えた奴がいたことだ」
加持「ええ。劇場を劇場として成り立たせるために。しかし、芝居というものは観客がいなければ意味がない」
弐神「そして、その観客を呼び寄せるための大芝居が始まった。ただ、不幸だったのは……複数の劇団がそれぞれ違う演出で幕を開けちまったことだった。しかも、同じ時間、同じ劇場でな。当然、芝居は滅茶苦茶。慌ててそこへ投入されたのが、二人のデウス・エクス・マキナってわけだ」
加持「ギリシャ神話に登場する機械仕掛けの神。収拾のつかなくなった芝居に終幕を齎す存在」
弐神「だが、解決を焦った代償は大きかった。その機械仕掛けの神の片割れは芝居を終わらせるどころか、一つの劇団の座長を引き連れ、劇場そのものから姿を消してしまった。そして、残された役者連中はどうしようもなくなり、ガフの部屋という楽屋に引きこもっちまったのさ」
加持「其処で困ったのが劇場の経営者。彼らはその役者たちを外へ出そうとした」
弐神「だが、ヤケになっちまったそいつらは大暴れ。あまつさえ、劇場の所有権まで主張しやがった」
加持「そして、打つ手をなくした経営者は劇場そのものを封鎖せざるを得なかった。神の知恵を借りて作り出した新たなデウス・エクス・マキナによって」
弐神「で、その顛末を書き記したのが『裏死海文書』ってわけだ」
加持「ただ、それは複数存在しています」
弐神「少なくとも、こっちの世界とMUに一つずつ。だから、バーベムとムーリアン、そしてゼーレは互いの演出方法を知っている。つまり前回の芝居は、奇しくも二つの世界で同時に上演されたものだったのさ」
加持「それゆえ、大昔、完全に消えたはずのデウス・エクス・マキナがこの世界へ現れた」
弐神「そうだ。バーベムの黒い卵はMU世界から飛ばされて来たもの。だから、自分達の劇場を失いつつあるムーリアンは俺達の世界に目を付けた。そして再び、劇場の所有権を廻っての大芝居が3つの劇団によって始められた。その3つとはゼーレ、MU、バーベム財団」
加持「いえ、4つですよ」
弐神「そうか、碇ゲンドウのネルフを忘れていたな」
加持「だが、今度の芝居はシナリオが不完全だった」
弐神「古典も古典、しかも外典だからな。この世界の裏死海文書に欠けが多いのは仕方ない。その上、勝手な解釈やアドリブを入れる奴がいる。おかげで芝居は前回以上の大混乱。飛ばされたシーンや、出番のない役者まで出てきた」
加持「それが欠番の使徒……」
弐神「そして、今回もまた芝居を収拾するためにデウス・エクス・マキナが投入された。そいつがEVA初号機やライディーン、そしてマグネイト・テンさ」
加持「そして、ゼーレやバーベム、MUの本命は」
弐神「終幕を迎えつつある劇場を再建し、次のステージへ進むこと。即ち『多元世界補完計画』。それが大本のシナリオってわけだ」
加持「ただし、その遂行手段は二つ。補完と調律」
弐神「どちらが選ばれるかは、デウス・エクス・マキナ次第。もっとも、ラ・ムーの星というスポットライトはまだ当てられちゃいないがね」

直接的な表現ではなく演劇に準えた比喩により語られているため断定はできないが、その後のミサトや冬月の発言を総合すると、概ね以下のような計画であったと思われる。

前史時代の顛末

  • 遥か昔、全宇宙に生命の種を撒いた存在がいた。いわゆる「第一始祖民族」である(本作では、恐らく火星極冠遺跡の創始者と共通であろうと推測されている)。
  • その際、一つの惑星に一つの生命の種を撒かれるのが通常であったが、地球には二つの種が撒かれた。
  • しかもこの現象は、互いに並行世界である二つの世界…この世界、そしてMUの世界で同時に発生した。こちらの世界では「使徒の祖先(白き月の民)」と「人類の祖先(黒き月の民)」、MUの世界では「人類(の祖先?)」と「ムーリアン」という形の生命体が生まれる。
  • MU世界ではラーゼフォンシステムによる「調律」が遂行されたが、二体のラーゼフォンのうち一体が、システムの創造者であるバーベムと共に何処かへと姿を消した。
  • また、恐らくこの過程で「時の観測者」と呼ばれる時空間安定の役割を持つ存在が消失する。結果、ムーリアンは拠代がなければ現実に存在できない非常に不安定な存在となる(ムーリアン世界の人類はこの際に消滅?)。
  • 一方こちらの世界では、観測者の消失により並行世界の増殖を調整する術が失われたため、多元世界の臨界点突破による宇宙崩壊の危機が訪れる。
  • この影響のため(冬月は原因不明の機能不全と述べているが、恐らくは観測者消失の余波であろうと思われる)、白き月の民は自身のガフの部屋で単一存在となっていた。人類の祖先は白き月の力を手に入れようとするも果たせず、寧ろ彼らの活動を活性化させてしまう。彼らは宇宙崩壊を回避するため、白き月の始祖たるアダムからエヴァンゲリオンに近しいものを創り出し、「補完」を発動。全人類を黒き月へと還元し、その存在をリセットすることで世界の崩壊を回避した。
  • この世界再生の試みの顛末は「裏の死海文書」と呼ばれる文献に「多元世界補完計画」として記述された。この世界とMU世界の双方に影響を与える内容であったためか、この文献は両方の世界に存在することになった。尚、誰が記したのかは不明だが、「裏の死海文書」には消失したゼフォンが「どの世界」に「いつ」現れるかについても記述されている(冬月曰く、裏の死海文書は多元世界の数だけ存在するとのこと)。
  • バーベムは世界と時を越え、この世界の古代ムー帝国の時代に漂着。裏の死海文書によりゼフォンがこの世界に流れ着く日時を確認した彼は、身体の乗り継ぎにより生命を長らえながら、1万年以上にわたりその時を待ち続け、またその過程で奏者の用意など様々な準備を施した。
  • また、彼は余技として、ゼフォンの代替物としてムー帝国の守護神・ライディーンに干渉しようとするが、レムリア姫により阻止。しかしこの過程で、ライディーンには2体のラーゼフォンに連なる第3の「機械仕掛けの神」としての位置づけが与えられる。

今回の顛末

  • 観測者の消失により同じく世界の危機に瀕したMU世界の住人「ムーリアン」は、15年前にこの世界へと接触、TOKYO JUPITERを形成。本来ゼフォンの奏者となるはずであった神名麻耶の統率の下、「裏の死海文書」の記述に基づき、ムーリアンの世界を生き残らせるための「調律」を実行すべく、奏者とゼフォンの準備を開始する。
  • 一方バーベムも、MU世界にいる間に自身の創りだしたラーゼフォンシステムがこちらの世界に現れる「宇宙暦74年12月28日」(裏死海文書に記された時)を1万2千年かけて待ち、行動を開始。MUと歩調を合わせて「調律」の遂行をもくろむ。
  • 時を同じくして、ゼーレ、更にゲンドウも「裏の死海文書」の「多元世界補完計画」に関する記述に基づいて、それぞれの「人類補完計画」を遂行すべく行動を開始。
  • これらは基本的に前史時代に実行された「調律」「補完」の流れをそのままなぞる形で進められた(「補完」の流れに基づいて立案された計画が、今日の「人類補完計画」である)が、原典に情報の欠落があったこと、互いに情報を把握していた中で並行して行動を起こしたために互いに牽制しあう形になったこと、更に前史時代の「調律」「補完」いずれとも異なる独自の結末を目指すゲンドウの存在などにより、辿ったシナリオは前史時代のそれとは大きく異なるものとなり、「欠番の使徒」が発生するなどの影響が出た。

その後の各組織の行動・目的を纏めると、以下の通り。

組織 目的 詳細
バーベム 調律 自身が創造したラーゼフォンシステムによる世界の調律の行く末を見届けたい。
そのため、調律の儀式に必要な二体のラーゼフォンをTERRAとMUの双方に送り込んだ。
但し彼はムーリアンであるため、彼が望んでいるのはMU世界の再構築という結末(こちら側の世界の消滅)と思われる。
尚、自身の計画の保険としてデビルガンダム及びウルベを復活させ、手駒として使役していた。
MU 調律 自身の世界の再構築。但しこちら側での指導者となった神名麻耶の意志により、
本来の目的とは必ずしも一致しない行動(綾人の重視)を取っているように思われる
ゼーレ 補完 人類を一度黒き月に還元し、滅びを免れたい。
本作では前述の通りリセットによる破滅のやり過ごしが人類補完計画であり、人工進化を目的としたものではない。
尚、作中での彼らの発言から、補完の際の拠代としてイシュトリ・イン・ヨリョトルを用いることも可能のようである。
(実際、ヒトの心と神の力(ヨロテオトル)を所持した存在であるため、拠代としての条件は満たしているように思われる)
ネルフ
碇ゲンドウ
補完 碇ユイに再会したい。また、彼女の望むような形(全人類の肉体的な死を伴わない形)で補完を行いたい。
そのためには最終プロセスにおいて、アダムとリリスの融合による補完を行う必要がある。
ライディーン
レムリア
調律、補完
双方を否定
古代においてバーベムの目論見を見抜いていたレムリアは、
その意思によりライディーンに「補完」「調律」のいずれの結末も迎えさせないための行動を取らせる。
最終的にはラ・ムーの星を発動させ、その力により「調律」による世界の消滅を阻止した。
鉄甲龍ゼオライマー
木原マサキ
冥王計画 当初はネルフ(ゼーレ)と協力関係にあり、南極でのアダムのサルベージはゼオライマーによって行われるはずであった。
しかし木原マサキがゼオライマーを持ち出したために計画は修正を余儀なくされ、結果、セカンドインパクトが発生した。
次元連結システムには単体でガフの扉を開く力が備わっているとのことで、木原マサキ自身が冥王計画を実現していたとすれば、
補完に近い形での人類抹殺(黒き月のLCL排除)が行われた可能性が高い。
ツェントル・プロジェクト
AI1計画

(補完)
ゼーレが計画の保険として用意していた存在で、世界の表象的な破滅をもたらすための手段として用意された。
しかし、エルデライディーンからラ・ムーの星を強奪した事で、メディウス・ロクスの中に仕込まれた「AI1」はその力を得、
ゼーレの期待以上の機体へと進化。世界の終末を導くに相応しい存在となる。



結論として、多元世界補完計画は「多元世界の膨張による世界の崩壊を防ぐための計画」である。その手段はいずれか一方の世界を消滅させる「調律」か、全人類の肉体的な死により世界崩壊に耐え得る生命体に変化する「補完」のいずれかを取ることになるが、いずれにせよこの世界の人類が死滅する点では一致しており、レムリア、またユイの意を汲んだゲンドウは(ゲンドウについては多分に独自の目的があるものの)それを阻止するために様々な独自行動を行っている。そして今回の事態終結の鍵となる存在が、EVA、ラーゼフォン、ライディーン、ゼオライマー、その他諸々の特機を集結させたマグネイト・テンである。元々は各組織が互いの牽制(及びガルファ等、互いに取って邪魔な存在の排除)のために、それぞれのデウス・エクス・マキナを一部隊に集結させていたのだが、彼らが互いに交流を持つことにより、裏の死海文書に記載された多元世界補完計画のいずれのファクターとも異なる流れが発生。最終的には綾人が新たなる「時の観測者」となって彼自身の意志で世界崩壊を防ぐという、いずれの組織も想定していなかった結末を迎えることになった。

他作品への影響

この計画は複数の次元に影響を及ぼす内容であることから、他作品の世界に対しても少なからず影響を与えている(或いは関連設定を後付けし易く設定されている)ものと思われる。

特に下記の点から、αシリーズとは深い関連があるとする説が有力である。

  • MX世界において、ガデス渚カヲル等が「無限力による死と新生の輪廻の存在」について発言しており、「調律」或いは「補完」による全生命体の死滅もこの「死」に該当すると思われる。
  • 第3次スーパーロボット大戦αにおいて、渚カヲルがMXの世界における記憶を引き継いでいることを臭わせる(かつて彼が存在した世界は、機械仕掛けの神の歌声によって一度死に、生まれ変わった。しかしその世界も死と新生の輪廻からは逃れられず、その結果としてαの世界が生まれた)発言をしている。

無限力との関連

前述の通り、第3次αでの冬月の解釈によれば、無限力と呼ばれる存在の間では補完計画に対して賛否が分かれているようである。ただ、どちらかといえば補完には否定的なスタンスを取っている意志の方が多い。また、マジンカイザーに宿る魂も補完には否定的。また負の無限力(ディス・レヴ)も賛成か反対かは不明だが反応を示している。

ゲッター線
補完をヒトとしての進化の放棄であるとみなしており、進化を促す力として計画に反対の立場を取っている。同じく進化を促す力であるビムラーも概ねこちらの側。
イデ
イデ自身も器を捨て一つになった第6文明人の意志であり、故に同じ結論にたどりついた補完計画を支持している(そもそも補完という方法自体元々は第6文明人(スパロボでは第一始祖民族と同一の存在になっている)が考え出したものである)。また補完によって一つになった人類の心とイデがさらに融合し、人類が無限力と一体化する可能性が示唆されている。