火星極冠遺跡

火星極冠遺跡(Martian polar cap ruins)とは、『機動戦艦ナデシコ』に登場する遺跡。

概要編集

火星の極点部分の地下に存在していたが、何重にもディストーションフィールドに覆われており、相転移砲すら弾き返す。これを発見した木連は、内部に入ることさえ出来なかった。

その最奥部にはボソンジャンプのマスターコアとなる、通称「演算ユニット」が封印されていた。地球と木連との戦いはいわば火星極冠遺跡や演算ユニットを巡る戦いであり、白鳥九十九暗殺された理由もこれを解析すれば地球に武力で勝てると過激派の草壁春樹が考えたからであった。この演算ユニットは、誰の手にも渡らないようにナデシコ・Yユニットごと人の手が届かない場所へボソンジャンプされ、目的の演算ユニットがなくなったことで戦争は終結した。しかし終戦から3年後、ナデシコごと火星の後継者の手に渡りミスマル・ユリカを人間翻訳機にして利用されていたことが判明する。そして、元あった火星極冠遺跡に戻された。

演算ユニット編集

火星極冠遺跡そのものともいえる超重要ファクター。ボソンジャンプの際、ジャンパーの存在と出発点・着地点および時間を絶えず計算するマスターユニットであり、これがないとボソンジャンプは行えない。ボソンジャンプには空間と時間の区別が無いので、演算ユニットを火星極冠遺跡から切り離しても問題ない。ただし、同じ原則によってこれを破壊してしまうと、ボソンジャンプの歴史がなかったことになる可能性があり、一体如何なる異変が起こるか想定もできないため、破壊もできないという厄介な側面もある(なお、ユリカはこれを破壊して戦争自体をなかったことにしようとしていた)。

遺跡の正体編集

TV版で語られる予定だった火星極冠遺跡に古代火星人、およびアイちゃんテンカワ・アキトに託したプレートの正体は、最終的に「尺が足りない」という理由で削られたが、そのシナリオの一部はセガサターンのゲーム『機動戦艦ナデシコ The blank of 3 years』(以下、『b3y』と表記)にて再利用された(なお、ゲームのこのシナリオの担当はテレビ版のSF考証担当である堺三保氏)。

『b3y』ではアイちゃんのプレートは「古代火星人の記録媒体」であり、それを火星極冠遺跡にある装置で再生すると、「古代火星人は正確には火星人ではなく、ボソンジャンプ宇宙を渡る太陽系外種族であり、火星の施設は彼らの新しい移住地への旅の途中にある中継地点である」ことが判明した。また、木連が発見し使用している無人艦隊の製造工場もまた古代火星人の遺物であり、無人艦隊は本来、彼らのジャンプに先駆けてボソンジャンプの制御装置の建設など、目的地を開発する役割を担っている(その準備には百年単位の膨大な時間がいるが、古代火星人はボソンジャンプで環境が整った未来に跳ぶ)。

古代火星人はTV版および劇場版では謎を残した設定のみの存在であったが、『b3y』では記録装置で正体が明かされた後に実際に登場(過去から現在にボソンジャンプ)している。彼らは「跳躍門」を開放し銀河系内にある全門へのジャンプを可能とした後、銀河系内には危険な知的生命体が多いと人類に警告して新天地へ向けてジャンプして去った(なお、この際にイツキ・カザマをはじめとする以前にボソンジャンプ事故で時空の狭間に囚われていた人間も救出し返している)。

2006年に発売された、2016年現在最後の公式ファンブックである『機動戦艦ナデシコ・ノベルテ+』にて、佐藤竜雄監督によりプレートの文面が明かされており、要約すると「皆さんこんにちは。私達もその内皆さんに会いに行きますので、その時は宜しくお願いします。遺跡は自由に使ってもらっていいですよ。」といったもので、こちらからでも火星人達が非常に友好的な文明である事と分かる。

SRWでの扱い編集

原作TV版のナデシコ隊は、木連に攻め込まれる前に演算ユニットをジャンプさせて火星極冠遺跡から撤退しており、木連との決戦は行っていないが、スパロボではTV版含めて『ナデシコ』シナリオの決戦の場となることが多い。演算ユニットの扱いについてもここで表記。

COMPACTシリーズ編集

スーパーロボット大戦IMPACT
メガノイドが占領して遺跡近くに本拠地を建設している。Aと違い草壁は遺跡が木連の手にないことを分かっていながら、九十九の暗殺を実行に移す。

携帯機シリーズ編集

スーパーロボット大戦A
木連が遺跡を占拠していたが九十九暗殺未遂後にメガノイドに奪われてしまう。最終分岐ではナデシコ側のメンバーと、遺跡を占拠したメガノイドとの決戦が行われ、その後に木連との決戦がある。演算ユニットの処置が原作と異なり、「演算ユニットとそのダミーをメガノイドの残したマスドライバー砲で外宇宙に撃ちだす」という解決策がとられた。マスター・アジアが生存している場合、究極石破天驚拳でユニットを破壊しようとする会話があるが、木連が攻めてきたので行われず。
スーパーロボット大戦R
序盤の現在世界ではデュミナスの介入によりナデシコCが撃沈、ルリが死亡というまさかの展開が発生。
過去世界では木連が遺跡を占拠していたがAと同じくメガノイドが奪取、遺跡を占拠したメガノイドとの決戦が行われ、その後に木連との決戦がある。Aと違い木連の人間を改造して連絡係にしていたので、木連は遺跡を奪われたことに気付かなかった。その為メガノイドが演算ユニットを解析する時間が十分にあり、解析に成功しボソンジャンプを使用する。演算ユニットはデスピニスに奪われ、ガルファ本星に運ばれて時流エンジンの調整に使われる。最後は揉め事の元になるからとそのままアルクトス人に預かって貰うことになった。
ちなみに発見時にマスター・アジアが生存していると、またしても究極石破天驚拳で破壊しようとする。
スーパーロボット大戦J
過去に太陽系にやってきたグラドス人が封印し、グラドス人から刻印と呼ばれる存在。木連とグラドス軍との決戦が行われるが、前者は九十九暗殺の真相を知ったことで、後者は演算ユニットでル・カインが先史文明時代へ飛ばされたことで撤退する。そしてナデシコが演算ユニットを回収したところで木連から、熱血クーデターで草壁を追放したので一時休戦の申し出がある。その後演算ユニットの処置については何も説明が無いので、ナデシコが所持していることになる。なお、先史文明時代へ飛ばされたル・カインは向こうでも迷惑をかけたらしく、送り返されてくる
スーパーロボット大戦W
第1部・第2部とも『ナデシコ』の決戦の場となるほか、ESウインドウへ突入した超竜神が6500万年間眠っていた。暗殺を逃れた九十九が真相を語り木連と和解し、演算ユニットはYユニットごと木星に投棄されたが、火星の後継者が丸ごと回収・利用することに。ザ・データベースも演算ユニットを狙っていたが、ユリカがユニットごとナデシコCの格納庫にボソンジャンプして難を逃れる。
スーパーロボット大戦BX
今回は機動戦士ガンダムAGEの設定もあり、この付近はマーズレイの感染が起こらないため仮設基地としてユートピアコロニーが建設されている。さらにヴェイガン誕生の発端である火星の入植計画は、当時の政府が遺跡の確保を目的に計画したものではないかとイネスの推測で示唆されている。
演算ユニットの処置はなんと女王バジュラに持たせるという劇場版のフラグをほぼへし折ったとんでもないクロスオーバーで解決されている。さらにオリジナルとのクロスオーバーも存在し、遺跡付近に『境界の力』を繋ぎとめる守護点があったが、ディボーティーがけしかけたブルーディスターの自爆により解放されてしまった。

VXT三部作編集

スーパーロボット大戦V
第21話において火星の後継者との決戦になるが、草壁によって演算ユニットの確保に失敗したので存在しない(それにアクセスする端末は存在し、νガンダムサイコフレームの力で人の思念を増幅させることでジャンプに必要なイメージを送っていた)ことが明かされる。
演算ユニットとそれを搭載していたナデシコはイネス・フレサンジュが火星の後継者から逃れようとボソンジャンプをした結果、彼女とナデシコごと宇宙世紀世界に移動しラプラスに保護されている。
なお、本作ではボソンジャンプを用いたタイムトラベルではタイムパラドックスを意図的に引き起こす事が可能というタイムトラベル物によく見られる仮説を根底から覆すような設定が設けられている。(もっとも、ボソンジャンプによるタイムパラドックスはb3yで描写されていた)
スーパーロボット大戦T
第28話で火星の後継者との決戦になった後、第46話でUNDに占拠される。

単独作品編集

スーパーロボット大戦MX
『劇場版ナデシコ』の決戦シナリオ「キミノオモイデニ、サヨナラ」の舞台となる。
スーパーロボット大戦DD
3章Part2において『劇場版ナデシコ』の決戦シナリオ「キミノオモイデニ、サヨナラ」、「『思い出』下さい」の舞台となる。カイル・メナケブも演算ユニットを狙うかに思えたが、何故か早々に撤退する。