リチャード・クルーガー

リチャード・クルーガーは『スーパーロボット大戦UX』の登場人物。

リチャード・クルーガー
登場作品

バンプレストオリジナル

声優 小杉十郎太
デザイン Chiyoko
初登場SRW スーパーロボット大戦UX
SRWでの分類 パイロット
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プロフィール
種族 地球人
性別
年齢 30代後半[1]
所属 旧地球軍→アンノウン・エクストライカーズ(アルティメット・クロス
軍階級 少佐
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概要編集

傭兵部隊UXことアンノウン・エクストライカーズの隊長を務める。

豪快かつ冷静、加えて少々お調子者な性格の男性。一人娘・サヤと共にUXとして世界各地を転戦して回っている。謎の人型機動兵器・オルフェスを駆り、傭兵としての戦闘力は一級品。また戦略眼や洞察力も人並み外れており、前線指揮官も兼任するほど。当人は己を「カネで人の命を売り買いするろくでなし」と自称するが、その裏には長きにわたる戦歴で培った確固たる信念が息づいている。その生き様はアーニーに多大な影響を与え、彼が己の路を見出す大きなきっかけのひとつとなった。

謎に包まれたその素性は、200年前に存在した粒子加速炉搭載機のテストパイロット。当時奇械島ノーヴル・ディランと共に粒子加速炉とオデュサイトの実験に携わっていたリチャードは、加速し続ける「意志」によって起きた暴走事故に巻き込まれ、ノーヴル共々未来へと飛ばされてしまう。そこで地獄……即ち人類絶滅の光景を見た彼は、それを覆すべく今度は現代、つまり作中の舞台となる時代へ転移。ノーヴルの造り出したエルプスユンデ・サヤを娘として伴い、その地獄を回避すべく戦い続けていた。

だが、後に明かされた事実では、過去に関する事例がミスリードだったことが判明。実際の素性は上記のものとは多少違う。

本作に登場したリチャードは、未来へ飛ばされたのは確かなのだが、その後サヤを伴って飛んだのは現代ではなく、宇宙の死と新生を超えた次の世界の、暴走事故から数えて200年後に当たる時代だったのである。つまり、リチャードは過去は過去でも前の宇宙の人間であり、サヤが言及した「200年前に事故に巻き込まれたリチャード」は、物語開始の時点で既に未来世界へと跳んでおり、登場しない(さらに言えばそのリチャードは、彼女の知る「少佐」とは違う)。ややこしく感じる人もいるかもしれないが、本編に出るリチャードがとりあえず本当のリチャードであると考えていい。観測の差で映る世界に差異が生じているのである。

ともあれ作中の時代に転移したリチャードだが、オルフェスの空間跳躍を使い過ぎた影響と、時間転移の反動によりその肉体は徐々に蝕まれていた。奇械島での重力炉停止作戦にて、動けない母艦を守るためにヘル・ストリンガーの応用で無理やり出撃したのが原因で限界を迎え、ついにパイロットを退かざるを得ない事態まで悪化してしまう。機動兵器に乗れなくなった後はオルフェスをアーニーに託し、自身は戦術指揮官としてUXに引き続き参加。その中で、未来を覆すため、あえて己の運命に従うことを選択。しかし、肉体はとうとう限界を迎え、第二次重力炉停止作戦にて余命半年を宣告されてしまう。死期を悟ったリチャードはアイアンカイザーライオットBで抱え込み、アーニーに撃墜させる形で対消滅した。

……と、ここまでなら世界の運命に抗い続けた一人の男、と言えるのだが、リチャードを語るうえで外せないものがある。それは、壊滅的な演技の下手さ無茶苦茶な服飾のセンスである。サヤ共々芝居を打つのが異様に下手であり、はっきり言って大根役者レベル。初対面の大十字九郎でさえ「何かおかしい」と違和感を覚えており、これを真に受けたのはアーニーただ一人であった(そのアーニーですら、初対面で落語家としてリチャード達が現れた際は本気で困惑している)。さらに服飾のセンスは完全に趣味丸出しであり、主な被害者はサヤ。劇中ではフロンティア船団に潜入するのにどこかの女スパイのような格好をさせたり、2部中盤で海に行った際にはスクール水着を用意しているなど、おかしいというか、もはやどこからツッコむべきかわからないセンスの持ち主である(ただしこれについてはサヤの気をほぐすためにわざとやっている可能性もある。また、アーニーはサヤの正体を隠す目的があったのではないかと推測している)。

第51話にてナイアが九郎に見せた夢ではサヤ共々売れっ子落語家として登場している。

登場作品と役柄編集

携帯機シリーズ編集

スーパーロボット大戦UX
初登場作品。プロローグでアーニーに先駆けて登場。顔グラフィックの落差が激しく、戦闘中のドスの効いたものと、調子に乗った時のニヤけたものがその最たるもの。「未来」を知る者、という共通点で石神とよく関わる。
第11話で前線を退き、戦術指揮官に転身する。本人は第31話で永久離脱となるが、戦術指揮はアーニーが引き継ぐため戦略を組み直す必要はない。

パイロットステータス編集

能力値編集

回避は低いがその他は高水準のスーパー系。技量格闘が突出しており、オルフェスのパイロットとしてはなかなか。

精神コマンド編集

UX
不屈必中鉄壁直撃
絵に描いたようなスーパー系のテンプレート。オルフェスにぴったりのコマンドばかりで、それだけに離脱が惜しい。2周目以降なら精神エディットが出来るため、これを手本にアーニーのコマンドを組むのも手。「魂」+ヘル・ストリンガーは一度は見てみたかったところだが、残念ながら不可能である(リチャードが出撃できるのは第2話~第9話の間だけでキャンペーンマップもレベルの設定上魂を覚えない上に、ヘル・ストリンガーもリチャード搭乗時はイベント専用)。

特殊スキル編集

UX
底力L8、援護攻撃L1、援護防御L1、見切り全体攻撃L1、指揮官L2
いきなりの豪華な構成で「見切り」まで所持。

戦術指揮編集

スペック低下無効 EN、MP10%回復
なかなか有用な部類。3個目は追加されることなく離脱する。

人間関係編集

サヤ・クルーガー
娘(血の繋がりはない)。UXとして活動する際は部下として振舞っている。リチャードのおかしな服飾センスの被害者であるが、当人も慣れて来てしまい、頭でわかっていても違和感がなくなっている模様。
アニエス・ベルジュ
後継者。ある偶然から彼と関わり、後に世界の命運を託すことに。天然ボケな性格のため、リチャードの打った芝居を頭から信じ込んで全く疑っていなかった。
ノーヴル・ディラン
盟友。

版権作品との人間関係編集

カガリ・ユラ・アスハ
彼女のオーダーを受けて竜宮島へ出撃したことから物語が始まる。
スメラギ・李・ノリエガ
以前からの戦友。
第二代地球連邦大統領
カガリ同様に、以前から彼女とも繋がりを持っている。
石神邦生
「未来」を知る者として関わりを持っている。彼自身はリチャードが前の宇宙から来た、という事実をかなり早い段階から知っていたが、ヒトマキナへの対抗策完成を重視し、「事象」の変化を懸念して黙っていた。
ロミナ・ラドリオエルシャンククルー
第4話で彼らの援護に駆けつける。
ジョセフ・カーター・ジョーンズ
当初はヒーローマンを操る彼の動向を窺っていた。また、事あるごとに彼に『ジョジョ』ネタを吹っかける。
グラハム・エーカー
センターシティでの戦いにて自らの身を晒してでもタマを食い止めようとしたリチャードの行動を「武士道」と評し、その魂を認められる。
海動剣真上遼
彼らの代わりにアイアンカイザーの道連れとなる。彼らからも好感を持たれており、その死を悼まれた。
原作では彼らは道連れになりながらも経緯不明ながら生還しているので、見ようによっては無駄死にであるとも言えるが、死なせない場合は生きている方が不自然な状況で説得力のある生存理由を付ける必要があるというのも考慮すべきであろう。
キバ
最期は上記のとおり、海動と真上に代わり、彼を道連れにする。

名台詞編集

「さてと、仕事といきますか」/「狙った獲物は逃さないぜ!」/「悪いな、こっちも仕事なんでね!」
開始時の汎用台詞。ちなみに、これら時代劇『必殺シリーズ』風の台詞は、後にアーニーがそのまま引き継ぐ。
「俺の顔、よーく覚えとけよ!」/「どうせまた会うんだ。地獄の底でな……」
ラスト・テスタメントの〆。
「聞け! 地獄の轟きをォッ!!」
ヘル・ストリンガー使用時。
「いずれは我が身、か……」
そして〆。『新必殺仕置人』第十八話の中村主水の台詞が元ネタ。なお、プロローグと第2話のイベント戦闘でしか見られない貴重な台詞なので、飛ばさないように。
「踏み込みが甘いんだよ、ド素人が!」
回避時汎用。なんでもない台詞のようだが、小杉氏による「踏み込み」という台詞にトラウマを呼び覚まされたオールドユーザーもいたとか。
「ドブネズミどもめ……死ね!」
キバの輩での特殊戦闘台詞。これも『必殺シリーズ』の中村主水の台詞のパロディ。
しかしリチャードがキバの輩と戦闘できるのがパイロットとして最後の出撃となる第9話のみ、しかも本隊が到着するとリチャードが撤退するので僅か2ターンの間だけ、おまけにこの時はオルフェスのENが0の状態でスタートするため自分からの攻撃もままならず……と、意外に聞くのが難しい台詞だったりする。
「正義の味方を気取るつもりはないが、弱者の涙を黙って見ていられるほど無神経でもない…なんつって!」
第2話「エンカウンター」より。「連邦軍の前で出撃すると後が面倒」と再考を促すサヤへの返し。リチャード・クルーガーとはつまりこういう人物なのである。
「へぇ。汎用機のクセに粒子加速炉搭載とは、時代が変わったかねぇ」
同上。ジンかアーニーが行動するとこの台詞が。
「先代の総帥は、アメリカの鉄道王と呼ばれた覇道鋼造」
「アーカムシティの発展には特に寄与し、以来、覇道財閥はこの街の実質的な支配者と言ってもいい」
第3話「I AM PROVIDENCE」より。覇道財閥に関しての説明なのだが、この時は口調が素に戻っている。
ちなみに鋼造が鉄道王と呼ばれているのは『デモンベイン』関連作品の中でも外伝小説『機神胎動』のみの設定だったので、『デモンベイン』の産みの親である鋼屋ジン氏をして「その設定まで拾うとは…」と驚愕している。
「もちろん、俺たちは今もカネで人の命を売り買いするろくでなしだ」
「ただし、ろくでなしにも信念はある。背負うべきものだってある。その背負うものと照らし合わせて、命に値段をつけるんだ。安くはないぜ?」
第24話「A wakening」より。ギャラクシー船団救出を依頼して来たシェリルに対して。自ら「ろくでなし」と称するリチャードではあるが、それがゆえに彼は命の重みと意味を誰よりも知っている。だからこそ、彼らUXの依頼料は半端ではない。それは即ち、命の重さそのものなのだから。
「おっと、そいつは俺の役目だ!」
第31話「Final Count」より。第二次重力炉阻止作戦にて、ウイングクロスしたマジンカイザーSKLが重力炉もろともアイアンカイザーを破壊しようとしたその時、通信越しで彼らを呼び止め、長らく使われることのなかったライオットBで出撃した。
そしてリチャードはライオットBの動力炉である陽子ジェネレータならばアイアンカイザーや重力炉を対消滅できると告げたが、それはリチャードが死ぬことを意味していた。これには海動真上も少なからず動揺するが…。
「お前さんたちには、まだまだこれからやるべきことがあるだろう?」
「こっちはどうせ、くたばりかけのろくでなしだ。 死に場所ぐらい、自分で決めさせてくれや」
同上。リチャードは彼らをこの台詞で諭した。今までの戦いによりパイロットとして再起不能になっただけでなく、死にかけの肉体となってしまったリチャード。
ならばやるべきことは一つ、重力炉を対消滅させる役割は「まだ戦うことができる」彼らではなく、「もう戦うことができない」自分が引き受ける――ただそれだけだった。自分の運命にけじめを…そして世界を救うべく、サヤに自分を撃つように命令する。
「フ、フフ…ありがとよ、少尉…」
しかし、サヤは彼を撃つ事が出来なかった。そこにアーニーが「例え任務でも、子供が親を撃つなんてあってはならない」と、慟哭したサヤの代わりに介錯を申し出る。彼に「志を受け継ぐ」と言われたリチャードは不器用ながらも感謝の言葉を述べた。
「娘と、未来を頼んだぜ…」
「さよならだ、サヤ…」
オルフェスの一撃はライオットBを貫き、アイアンカイザーや重力炉を対消滅に巻き込むことに成功した。
死の間際にアーニーにサヤと世界の未来を託し、たった一人の娘に別れを告げた。
「これが、無限に等しい可能性たちの中から、あんたが最期に選んだ答えなんだろ?だったら俺は、俺の運命に従うまでだ」
「それに、これから生まれる新たな世界の捨て石になるなんて、こんなにシビれる生き方が他にあるか」
滅びの運命を覆す過程でリチャードが死ぬであろう事を示唆するノーヴル博士に対して。
リチャード「幸せにな、サヤ…」
サヤ「少佐…!」
リチャード「泣くな。お前はもう創られた命なんかじゃない」
「これからは一人の人間として、立派に生きていくんだ」
サヤ「はい、お父さん…」
カリ・ユガ打倒後にUXを元の世界へ戻す際のサヤとの別れの会話。長い時を経てアーニーとジンが宿敵の間柄から親友に戻る事が出来たように、リチャードとサヤもようやく上司と部下ではなく父と娘になる事ができたのであった…。

迷台詞編集

「ジョセフ・カーター・ジョーンズ君…ということはもちろん、愛称は『ジョジョ』でしょネー!」
第2話「エンカウンター」より。ジョーイジョセフ・カーター・ジョーンズ)との初対面時にて。とうとう言ってしまった『ジョジョの奇妙な冒険』ネタ。なお、ジョジョ第2部「戦闘潮流」の主人公の名前が「ジョセフ」である。
ちなみに小杉氏は『ジョジョ』第3部「スターダストクルセイダース」のOVA版にて主人公でジョセフの孫の空条承太郎を演じていたため声優ネタの側面も含まれている。
なお、任天堂携帯機シリーズの次回作では、主人公の愛称が『ジョジョ』のロボット作品が参戦している。
「ったく…次から次へとタマんないねぇ。とはいえ、放っておくわけにもいかないか」
同上。タマの頑強さに手こずるアーニー達を見て。さりげなくダジャレを引っかけているのがミソ。
「Oh! なんてお優しい! まるでエンジェル! きっと天使王様の化身に違いない!」
第3話「I AM PROVIDENCE」より。ライカの教会に保護された際にライカを評して。
ジョジョネタに続き、アニメ版だというのにライカの「正体」を暗喩する発言をいきなり飛ばしてのける。しかし以降にも正体関連のネタが時々あることも鑑みると、メタ発言でなく本当に知っている上で言っている可能性は十分にある。
しかしリチャードの声でライカの「正体」の名を呼ぶと、コナミの某ロボットアクションゲームに登場する、リチャードと同じ声をした、「終末」を望む狂気に満ちたラスボスキャラを想起できなくもない。
「ミーは、落語家で牧師の極楽亭リチャードと言う者でゲス。そしてこちらが弟子のサヤ」
第5話「伝説の忍者」より。JUDAの医務室で目覚めたアーニーに対して、自己紹介。これがきっかけで、アーニーは2人が落語家だと長い間信じ込んでしまう。なお、この落語家と言う設定は石神も桐山相手に使っている。
「うーむ、我ながら今回も完璧なお芝居だったな」
強引にアーニーを押し出した後で、自分の演技に対して。自画自賛と言うレベルではない。
「グーテンモーニング、ムッシュ十文字。アンド、ジョースター君」
「再会のジョークみたいなものさ。なあ、ジョナサン」
第14話アメリカルート「I, ROBOT」より。ジョーイ達と再会しての一幕(十文字は九郎のこと)。ここまで露骨なネタも珍しい気がしないでもない。
ちなみに「ジョナサン」は『ジョジョ』第1部の主人公でジョセフの祖父、「ジョースター」はそのジョナサンとジョセフの姓である。
「どうも、リチャードでおま!」
第18話「流れるは血、失うは涙」より。キリヤマ重工の新兵器のお披露目会に同席し、石神から桐山に「JUDA特別顧問の落語家」として紹介された際の挨拶。
元ネタはおそらく上方落語の大看板であり、ラジオパーソナリティとしても有名な2代目・笑福亭鶴光の名調子と思われる。直後サヤも「サヤだっちゃ」と奇抜な挨拶を行う。
「サヤとブロードウェイで、寄席をやれることになったんでな。少し足を運んだのさ」
第51話「STRANGE EONS」に於ける九郎の夢の中で。なのだが、色々とおかしい。
「ども~、落語家で牧師の極楽亭リチャードという者でゲス。そしてこちらは、弟子のサヤ」
中断メッセージでの一幕。声付きの演技口調が聴ける貴重な台詞であり、小杉氏のかなり砕けた演技も相まって必聴。
「なにかね、少尉。せっかく和ませてやろうって時に」
上記の台詞の後、アーニーに「ちょっと待ってください!」と止められた際に。ここで一気に元の口調に戻る。落差が激しすぎて「声優さんってスゴイ…」と感嘆したプレイヤーも多いはず。

搭乗機体編集

オルフェス
愛機。同時にオルフェスという機体名の名付け親でもあるが、リチャード曰く「勝手にそう呼んでいただけ」とのことで、アーニーに譲る際には好きな名前を付けるように促している。
ライオットB
最期を共にした機体。

脚注 編集

  1. 『スーパーロボット大戦UX パーフェクトバイブル』430頁。