プロトカルチャー(Proto-culture)
『マクロスシリーズ』に登場する先史文明人。劇中の時代から遡る事約50万年前、全銀河にわたり一大文明を築き、繁栄をきわめた種族であったと推測されている。
しかし、銀河へと勢力を伸ばし人口が増大していく中で、現代の地球と同様に国家間の主義主張に相違が生まれるようになり、遂にはプロトカルチャー国家間の星間戦争へと突入した。その過程で彼らに兵器として生み出されたのが巨人種族であるゼントラーディ(メルトランディ)、及びその能力を上回るべく開発された戦闘兵士エビルである。しかし巨人種族の戦闘本能の肥大化や、戦闘兵士エビルが異次元からのエネルギー体にとり憑かれてプロトデビルン化したことにより制御不能となり、最終的にはそれらによって自らが滅ぼされるという結末を辿った。
今日の地球人類は、プロトカルチャーが自らと同種の存在を生み出すべく、当時の地球現住生物に遺伝子操作を施して創造した生物の末裔であるとされている。このため、地球人類は概ねプロトカルチャーと同様の身体構造を有していると同時に、彼らの遺伝子操作により生み出された生命体という点ではゼントラーディ(メルトランディ)と同様の存在でもある。地球人とマイクローン化されたゼントラーディの間での生殖も可能であることから、地球人類とゼントラーディはいわば兄弟というべき関係にある。
プロトカルチャーとアニマスピリチア
地球人類は銀河に向けて歩み出そうとした直後にゼントラーディに遭遇し壊滅の危機に陥るが、『歌』という「文化」を以て彼らと接することで共存を模索する事が可能となり、更にはプロトカルチャーを滅亡へと追いやったプロトデビルンに対しても、歌によって和解に成功する。プロトデビルンの長であるゲペルニッチによれば、地球人には「アニマスピリチア」と呼ばれる特殊能力者がおり、その歌によって彼ら自身の生命力と呼ぶべきものが呼び覚まされたことが和解の要因とのことである。
一方、アニマスピリチアの存在はプロトカルチャーの遺跡からも名称が確認できることから、プロトカルチャーもその存在を把握していたようである。にも関わらず、プロトカルチャーは最終的にはプロトデビルンに滅ぼされてしまっているが、当時のアニマスピリチアがどのような働きを行っていたのか、或いは当時の彼らの中にアニマスピリチアは存在していなかったのか、詳細ないきさつは不明である。
マヤン島の伝承と鳥の人
『マクロスゼロ』では、マヤン島の創世神話伝承の中で「鳥の人」の存在が語られているが、この鳥の人の正体はプロトカルチャーが人類創造後に遺した一種の安全装置であり、将来的に人類が好戦的な種族となっていた場合にその存在を消去するための機能を持たされた巨大兵器である。
後の作品である『マクロスF』では、この巨大兵器は当時プロトカルチャーが恐れ崇めていた宇宙生物「バジュラ」の長「バジュラクイーン」の姿を模したものであるとの紹介がなされた。その一方、彼ら自身が滅亡の危機に瀕した際、この巨大兵器が何らかの形で使用されたのかといった辺りの経緯は不明である。
スーパーロボット大戦において
プロトカルチャーはマクロスシリーズを通じて下敷きとなっている設定であるため、マクロスシリーズの作品が参戦している作品では少なからず作品の根底に関わる存在として描かれている。とはいうものの上述の通り、マクロスシリーズにおける他のファクターとの関連については明らかとなっていない点も多く、深く掘り下げられないことも多い。
そのような中、多数の作品の先史文明設定が混在することとなった『第3次スーパーロボット大戦α』では、『新世紀エヴァンゲリオン』の「第一始祖民族」、『伝説巨神イデオン』の「第6文明人」らの後発民族としての位置づけとなり、アポカリュプシスによる滅びの運命から逃れるべく(作品の垣根を超えて)様々な手段を講じた存在とされた。また『勇者ライディーン』のムー文明は、彼らの直径の子孫であるとの設定になっている。