惑星Zi

2013年9月5日 (木) 18:38時点における無頼王 (トーク | 投稿記録)による版 (→‎登場作品)

惑星Zi(Planet Zi)

ゾイドシリーズの舞台となる惑星。
地球からおよそ6万光年彼方、銀河の正反対(ゾイド・ゾーン)に存在している。大きさは地球の85%程度。衛星が3つ存在したが、大変異により次々とその数を減らしている。

惑星Zi人による独自の文化が発展していたが、地球人の宇宙船が漂着したことから、地球の科学文明の影響を受けて急速な近代化が行われた。惑星Ziは元来より民族間の対立が絶えなかったため、近代化は軍備増強に容易く繋がり、ついには「戦闘機獣」を生み出すに至った。そして惑星Ziは大規模な戦乱が多発する世界となった。

ゾイドシリーズの多くでは惑星Ziを、「帝国」と「共和国」との長きにわたる戦争が続いている近代的な世界として描いているが、シリーズの中の一つ『機獣創世記ゾイドジェネシス』は幾つもの戦乱で文明が崩壊した時代の惑星Ziを舞台にしており、『ゾイド -ZOIDS-』をはじめとする他のシリーズとは雰囲気が大きく異なる。

惑星Zi土着の生物は体組織中の金属含有率が地球のそれより高いため、総称して金属生命体と呼ばれている。ただし、多くの生物種は地球の動植物と生体構造はあまり変わらない。しかし、ゾイドと呼ばれる生物種だけは金属含有率が極めて高く外皮まで金属に覆われている。このゾイドを科学の力で改造したものが前述した「戦闘機獣」である。つまりゾイドとは厳密にはロボットというよりもサイボーグと呼ぶべきものである。

惑星Zi人

惑星Ziに住む人間たちの総称。
地球人とほぼ同じ進化のルーツを持つとされ、惑星Zi人と地球人の交配も可能である。
ゾイドとは根本的に異なる生物ではあるが、それでも金属粒子濃度が格段に濃い惑星Ziの影響を大きく受けており、先祖に当たる古代ゾイド人は金属皮を持ち、一時的に全身をメッキ化し皮膚を硬化する防御能力を持っていたとされる。
現在のZi人はこの能力は退化しているが、体の一部、とくに顔に金属殻が痣のように浮き出ることがあり、顔に刺青を入れる習慣も存在している。

地球人との交流によって技術や政治体制が急激に進歩することになったが、騎士道のような思想や部族の重視といった伝統的なメンタリティーも色濃く残っている。

歴史

ゾイドシリーズはアニメ、漫画、ゲームなどで設定の細部が異なるのだが、 ゾイドシリーズの「原作」として扱われる玩具設定(パッケージ裏面の解説書のために作られたバックストーリー)を中心に解説する。

古代ゾイド文明
10万年ほど前に、ゾイドたちと独自の共生文明を作り出した「古代ゾイド人」の文明が存在していたが、今は遺跡を残すのみとなっている。この文明が滅んだあと、惑星Ziの人類の文明は地球の紀元前と同等の文明レベルまで退化し、地球と同じように科学を少しずつ発展させていった。この共生文明は人類からは完全に忘れられていたが、ZAC(ゾイド歴)1700年に出土した「バハモットの石板」により再び歴史に語られるようになった。なお、"ZAC"とは「この石板が作られたと推測される年」を元年として作られた紀年法である。
ゾイドの家畜化
惑星Ziの大陸の一つ「中央大陸(デルポイ大陸)」では、ZAC1800年頃から他の動物たちと同じようにゾイドたちを家畜化する試みが行われた。家畜化に成功したゾイドは軍馬や軍象のごとく戦争に用いられるようになり、その巨体と戦闘能力から主戦力となっていった。
部族間戦争
ゾイドが戦争に利用されるようになると中央大陸での部族間戦争が激化した。50あった部族はたがいに滅ぼし合い、最終的に生き残ったのが風族、海族、鳥族、虫族、火族、砂族、神族、地底族の8部族であった。部族間の戦国時代はZAC1800年代後半から約100年続き、ZAC1957年に風族族長ヘリック・ムーロアを盟主にする「ヘリック王国」が誕生することで終結、大陸はようやく平定を迎えた。
この戦いで最後まで抵抗した地底族は最終的に暗黒大陸(ニュクス大陸)まで逃れた。
産業革命
平定された中央大陸では産業革命が起こり、技術発展による急速な近代化が進んだ。それはゾイドの世界にもおよび、ZAC1960年に「ゾイドにコックピットと兵器をとりつける」ということが成し遂げられる。これ以降、戦場で活躍するゾイドはゾイドコア以外の大半の部分が人工的なパーツに置き換えられるのが一般的となり、まさに「ロボット」のような外見となった。
中央大陸戦争
ZAC1978年、ヘリック王国の第2王子であったゼネバスが王国に反旗を翻す。中央大陸は「へリック共和国」と「ゼネバス帝国」に分裂し、再び戦争が起こる。
この大戦のさなかであるZAC2029年に、地球からの移民船が惑星Ziに不時着。惑星Ziに地球のテクノロジーもたらされることになった。当時の地球はゾイドにかかわらない兵器に関しては惑星Ziの数百年先をいっており、それまでは地球における20世紀レベルの実弾火器しかなかった惑星Ziに、ビーム兵器などのオーバーテクノロジーがもたらされることになる。これらはゾイドにも組み込まれ、荷電粒子砲などが戦場で活躍するようになった。さらに地球の高度なバイオテクノロジーやサイバネティクス技術によりゾイドの改造はさらなる進歩を遂げ、結果ゴジュラスやウルトラサウルスのような「超巨大ゾイド」が誕生することになる。この時期からゾイドは生物というより兵器として認識されるようになり、「戦闘機獣」と呼ばれるようになるのである。
1983年から1986年の間に展開された玩具のゾイドの背景設定はこの時代を舞台とし俗に「旧ゾイド第1期」と呼ばれる。
ゼネバスの逆襲
ZAC2039年、ゼネバス帝国の首都はへリック共和国により陥落。ゼネバス皇帝も消息不明となりこれにより戦争は終結したと思われていた。しかしその3年後、密かに海を渡り、暗黒大陸の勢力との支援をとりつけた皇帝が謎のゾイド軍団を引き連れて中央大陸に帰還した。帰還した皇帝のもとに各地で隠遁していたゼネバス帝国残党兵たちが再び集結し、ゼネバス帝国の逆襲が本格的に始まった。物量に乏しい帝国軍は勝利のために単機で共和国首都を壊滅できる最終兵器「デスザウラー」の完成にすべてを賭け、対する共和国はそれを阻止するために動き出し、戦争の様相はさらに複雑化していった。結果的に共和国軍はデスザウラーのロールアウトを止めることはできずZAC2044年、その圧倒的な戦力の下に共和国の首都は壊滅する事となる。
首都陥落の危機に陥った共和国軍だが、4年の間に激しいゲリラ活動を続け、対デスザウラーに特化したゾイド開発を急いだ。そして共和国の切り札「マッドサンダー」がロールアウトし、デスザウラーを撃退。共和国は再び帝国の首都を陥落させたのである。
1987年から1988年の間に展開された玩具のゾイドの背景設定はこの時代を舞台とし俗に「旧ゾイドの第2期」と呼ばれる。第1期よりもゲリラ的な局地戦や特殊部隊による諜報活動がストーリーの主軸となり、特殊部隊用のゾイドが多数発売された。
第一次大陸間戦争
ZAC2051年、二度目の帝都陥落によりゼネバス皇帝は再び暗黒大陸に対し協力を要請するが、彼らはゼネバスには手を貸さず逆に生き残りの帝国将校たちを強引に取り込んで帝国そのものを自らのものとした。結果的にゼネバス帝国を滅ぼした暗黒大陸勢力は「ガイロス暗黒軍」を名乗り、中央大陸を支配すべく侵攻を開始した。
暗黒軍はかつての地底族の子孫たちで、中央大陸よりも高度なゾイド技術を有しながらもその凶暴性により他部族と相容る事のない「悪意の集団」であり、惑星Ziにさらなる戦乱が巻き起こる事となった。
1989年から1990年の間に展開された玩具のゾイドの背景設定はこの時代を舞台とし、俗に「旧ゾイドの第3期」と呼ばれる。玩具の方はストーリーが語りきれないまま中断したが、末期に発売されたムック本や関連コミックなどではオリジナル展開で一応の決着をつけたものもある。
惑星Zi大異変(グランドカタストロフ)
ZAC2056年、共和国と暗黒軍の最終決戦が迫る中、惑星Ziの3つの衛星の1つであるDeに巨大彗星が直撃。衛星Deは砕け散り、降り注いだ衛星の破片は惑星Ziに大破壊をもたらした。大陸が割れ猛烈な磁気嵐が吹き荒れる大災厄の前に多くの人々やゾイドが犠牲になり、戦争続行も不可能になった。
以降、40年にわたり共和国と帝国は水面下の争いを続けつつ、国力の回復に全力を注ぐこととなった。
この設定は1999年のゾイド玩具シリーズの新展開に併せて追加されたもので、詰まる所は旧シリーズが未完状態であった事に対する理由づけである。
第二次大陸間戦争
ZAC2099年、ガイロス暗黒軍は「ガイロス帝国」と名を変えて戦争を再開した。彼等の目下の目的は古代ゾイド文明の遺産の軍事利用。それを求めて古代文明の秘密が眠る西方大陸(エウロペ大陸)への侵攻が開始され各地を支配していった。それに対抗すべくへリック共和国も西方大陸へ出陣し帝国から各地を解放していく。さらには両軍が疲弊した隙をついて中央大陸にネオゼネバス帝国が勃興し、三つ巴の戦争が行われた。
俗に「新ゾイド」と呼ばれる1999年から2003年に展開された玩具のゾイドの背景設定で、TVアニメ1作目『ゾイド -ZOIDS-』もこの時代を舞台とする。
ゾイドバトル
戦争の時代が終わり平和になったあと、ゾイドたちは兵器ではなく競技用のメカとして使われるようになった。ゾイドにより行われる様々な競技のことをゾイドバトルと呼ぶ。しかしゾイドバトルはただの興業ではなく、時に政治的・軍事的な陰謀も絡むことも多かった。
TVアニメ2作目『ゾイド新世紀/(スラッシュ)ゼロ』(SRW未参戦)、3作目『ゾイドフューザーズ』(SRW未参戦)の舞台となった時代。
惑星Zi大異変(2回目)
残っていた惑星Ziの2つの衛星の1つが落下し、再びZiが崩壊する。今度の大異変は過去以上の損害をもたらし、この異変の後に人類の文明レベルは産業革命以前に落ち、ゾイドのコックピット作成技術は失われた。自然環境は著しく破壊・汚染され、人類は古代の遺産「ジェネレータ」が稼働している周辺地域でしか生活することができなくなった。
この時代のゾイドはコックピットが付いたものを「発掘」によって入手・運用するのが基本である。また、ゾイドの改造は部族間戦争時代と同程度の「簡素な兵器を接続させる」くらいしかできない。
ディガルド戦役
文明後退後の惑星Ziは小国が乱立する時代になっていたが、古代のロストテクノロジーを入手した「ディガルド武国」が世界制覇を目指して各地の侵略を開始。他の国々は「ディガルド討伐軍」という連合軍を結成し、それに立ち向かった。
TVアニメ4作目『機獣創世記ゾイドジェネシス』の舞台となった時代。

主な国家

ヘリック共和国
惑星Zi中央に位置するデルポイ大陸東部を領土とする大国。もとは王制の国家だったが国王自らこれを廃し、大統領による共和制を敷いた。
ゼネバス帝国
ヘリック共和国から分裂したデルポイ大陸西部を領土とする帝国。ヘリック共和国の支配民族だった風族の後継者争いの末に建国され、ヘリック共和国と中央大陸戦争を繰り広げた。
アニメシリーズはゼネバス帝国滅亡後が舞台なため一切語られないが、登場ゾイドはゼネバス時代のものが多く引き続がれている。
ガイロス帝国
暗黒大陸ニクスを領土とする地底族の国家。第一次大陸間戦争の頃はゼネバスとの差別化のため「民族浄化を目的とする、対話不能な殺戮集団」とも言うべき完全な悪役だったが、第二次大陸間戦争になるとかつてのゼネバスに似た「覇権主義の軍事国家」のイメージにまで柔らげられた。『ゾイド -ZOIDS-』でもこちらのイメージが基本。
第二次大陸間戦争では西方大陸エウロペを侵攻しているが、『ゾイド -ZOIDS-』では本拠地そのものが西方大陸に存在する。
ネオゼネバス帝国
ゼネバス帝国の復古を標榜する新興勢力。ガイロス帝国の摂政であったギュンター・プロイツェンの謀反によって建国された。東方大陸のZOITEC社の息がかかっている。こちらもアニメシリーズには出てこない(ギュンターの謀反が起こるのは共通だが動機と結末は全く異なる)。

文明崩壊後の国家

キダ藩
ディガルド武国
ソラノヒト

登場作品

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦K
地球 (2)に含まれており、名称も『エリアZi』となっている。

単独作品

スーパーロボット大戦Operation Extend
本作では原作同様に単独の惑星であり、『ゾイド -ZOIDS-』の設定で登場。

関連用語

ゾイド
惑星Ziに住む金属生命体。改造することで戦闘機獣になる。

余談

  • 玩具シリーズの初期は「ゾイド星」と呼称されていた。「惑星Zi」の名前が使われだしたのは第二次大陸間戦争の展開が開始されてからであり、惑星Zi大異変によってかつてのゾイド星は変わってしまったという側面の強調でもある。