フューリー
フューリー(Fury)
『スーパーロボット大戦J』に登場する異星人種族。
40億年の長き眠りから目覚めて
40億年前の宇宙で栄えていた種族であったが、フューリー同士の内戦が勃発。その中の一派は戦いに敗れ、原始の地球へとたどり着いた。そこで地球を新たな住み処とすべく生命の種を撒き、その一方で人々と所有兵器にラースエイレムによる時間停止処置を施し、地球の環境が整うまでの長きの間にわたって眠りに着いていた。だが目覚めてみれば、地球では「人類」という、彼らにとっては想定外の種族が誕生し、繁栄していた(数十万年目覚めるのが遅かったわけだが、40億年の長さからすれば誤差の範囲とも言えそうである)。
ちなみにフューリーと地球人類の姿形は同一であり、統夜のように種族を越えた遺伝的交配で生まれた人物も存在する。このあたりを鑑みるに、肉体構成などは地球人類のそれとほとんど異なることは無いものと思われる。
地球人排除計画
詳細は不明だが、フューリーはかつての内戦で数えきれないほどの同胞を失ったという。軍部「フューリア聖騎士団」の総代騎士グ=ランドンや騎士アル=ヴァンなどはそのことを重荷として深く背負っている節があり、同胞の犠牲に報いるために何としてでも再び繁栄を取り戻すことを至上命題としている。また、ほとんどのフューリーにとって自分たちが生み出したことになる地球人類と共存するという考えはなかったようで、地球移住の障害となる人類を完全に排除しようと策動を開始する。
33話での秋津マサトの言葉では、少なくとも17年前には月面において活動の兆候が見られ、木原マサキはフューリーを敵だと認識していたようだが、肝心の箇所が説明されていないため、詳細は不明。幼少の統夜がシャナ=ミアと会っていたのも恐らくこの時期であろう。3人娘が拉致されたのも、この時期から現在までの間と見られる。なお、彼らが現在になって活動を始めたのにも理由があるようだが、これは結局語られないままに終わった。
ともあれ、本格的に計画を開始したフューリーは、軍事企業アシュアリー・クロイツェル社に兵器のデータを持ち込み、彼らの月支社を利用して兵器を製造させている。ジュア=ムのセリフから推測するに、これは連合軍に売り込むための兵器であると騙しての行為であったらしく、アシュアリー・クロイツェル側は何も知らなかったようである。また、ここでジュア=ムを始めとする戦闘経験のない準騎士・従士たちは操縦技術を学んだ。このとき、教官を務めたのがカルヴィナである。このときのテスト機はラフトクランズとヴォルレントを元にしていたらしく、カルヴィナはアフリカで彼らと出会ったとき、アル=ヴァンとジュア=ムの機体がテスト機を改修したものであることに気づいている。
第3特務分艦隊との対決と敗戦
しかしフューリーの内部にもこの計画を阻止しようとする者がいた。フューリーの騎士でかつての大戦の英雄エ=セルダ・シューンである。彼は密かに自身のラフトクランズに搭載されているラースエイレムを核にラースエイレムキャンセラーを開発。加えて友人フランツ・ツェッペリンとともに主人公機を開発し、対フューリーの唯一の切り札を生み出す。これには長らく排除計画を憂えていた皇女シャナ=ミアの意向もあったようである。この主人公機はナデシコ、そして第3特務分艦隊の手に渡り、特務分艦隊に対してラースエイレムを使用できなくなった騎士団は彼らの前に敗退を繰り返すことになる。また、前線指揮官を務めていたアル=ヴァンはこの頃に計画の再考をグ=ランドンに上申したことで、騎士団を放逐されている。
やがて、ニュートロンジャマーキャンセラーの技術を人類に渡してナチュラルとコーディネイター同士の殲滅を煽るという策略も失敗すると、業を煮やしたグ=ランドンは自らズィー=ガディンに乗り込み特務分艦隊へ決戦を挑むが、それすらも退けられる。軍事的敗北を悟ったグ=ランドンは、最終手段として月の中心部に埋もれたフューリーの超巨大宇宙船ガウ・ラ=フューリアを始動させ、それによって砕かれた月の地殻を地球に落とし、全ての生命を抹殺して移住計画をゼロからやり直そうとする。
シャナ=ミアの手引きによりガウ=ラに侵入した特務分艦隊は、ガウ=ラを始動させようとするジュア=ムとフー=ルーを倒して月の崩壊を防ぎ、再びグ=ランドンと対峙する。創造物に歯向かわれた怒りとかつて散っていった同胞たちへの無念からかグ=ランドンは狂乱し、眠っているフューリーの民を犠牲にしてでも地球の全てを滅ぼそうとするが、アル=ヴァンの助力もあり、ついに特務分艦隊の前に倒される。そしてガウ=ラの再度の始動も主人公らの決死の行動により阻止され、ついに戦いは終結した。残されたフューリーはシャナ=ミアを中心として、人類との共存の道を歩むこととなった。
メモ
ズィー=ガディンの皇帝機という名称や、シャナ=ミアの皇女という身分、聖騎士団の存在などから、どうやら皇族を頂点とする帝政国家であったようである。また、シャナ=ミアはステイシスによって眠っていたわけではなく、フューリーたちが目覚めてから誕生した新しい世代である。ということは皇族の母親が存在することになるが、ゲーム中では登場せず、生死を含めその詳細は不明。
統夜は戦い続けるうちに父エ=セルダの記憶がどこからかフィードバックされており、ジュア=ムに対し「フューリーの騎士」としてその蛮行を糾弾した。特に最終話ではアル=ヴァンに関する記憶まで思い出している。これが種族的な特徴なのか、あるいはサイトロンの効果なのか、詳細はやはり不明である。
このようにゲーム中ではかなりの箇所において説明が不足しており、殆どの人物・用語に推測を付加せざるを得ない点が多い。
登場作品
- スーパーロボット大戦J
- 敵組織。
人物
- シャナ=ミア・エテルナ・フューラ
- 皇女。名目的な地位では最上位にあると思われる人物。地球人排除には否定的でエ=セルダに協力していたようだが、フューリーの未来を案じて迷ったのか、思い切った行動をとることができなかった。この辺の立場はVガンダムの女王マリアを思い起こさせる。
- グ=ランドン・ゴーツ
- フューリア聖騎士団のトップに立つ総代騎士。フューリーの実質的な指導者。威厳と傲慢を等しく兼ね備えたような人物で、そのためか最後まで地球人類を対等な存在として認めなかった。
- エ=セルダ・シューン
- 騎士。統夜の父。フューリーの中では英雄であったようだ。ラースエイレムキャンセラーの開発はフューリーの存亡を危機に陥れる可能性をも秘めていたわけだが、エ=セルダをそこまで踏み切らせた内心の想いは結局語られないままであった。地球人の妻子を持つに至ったことも関係があるのだろうか。
- アル=ヴァン・ランクス
- 騎士。工作活動中にカルヴィナと知り合い恋人となった男。エ=セルダの弟子であったが、同胞のために計画を遂行することこそ自らの使命と思い定め、裏切った師を追撃し手にかける。しかし、以前からあったと思われる使命への疑問や迷いを抑えられなくなったのか、グ=ランドンに異議を唱えるようになり、騎士団を放逐される。
- フー=ルー・ムールー
- 騎士。アル=ヴァン更迭後は前線指揮官となる。戦を至上とする女傑であるためか、ラースエイレムの使用を嫌がっていた。
- ジュア=ム・ダルービ
- 準騎士。軽薄かつ冷酷な性格。その後アル=ヴァンの更迭に伴い騎士に昇格する。この時点で精神に異常をきたしており、欠点が更に顕著になる。
関連人物
- 紫雲統夜
- 父エ=セルダがフューリー。
- カルヴィナ・クーランジュ
- アシュアリー・クロイツェル社で教官をしており、フューリーの企みの被害者となる。
- カティア・グリニャール
- フューリーに拉致され、サイトロン感覚器の適応手術を受ける。そもそもいかなる目的があって拉致し、手術を施したのかは不明。
- フェステニア・ミューズ
- 同上。
- メルア・メルナ・メイア
- 同上。
- フランツ・ツェッペリン
- アシュアリー・クロイツェル社の開発者。事情を薄々理解した上でエ=セルダに協力し、ベルゼルート、グランティード、クストウェルのいずれかを開発する。
他作品の関連人物
関連する用語
- ラースエイレム
- フューリーが用いる、「局地的に時間を停止させる」というとてつもない兵器。地球側やグラドス軍は一切の防御策を持ち合わせておらず、その一方的な有様はもはや虐殺である。
- ラースエイレムキャンセラー
- エ=セルダの機体に搭載されていたラースエイレムを使って開発された。時間停止の効果を無効化するため、ラースエイレム搭載機と渡り合うためには必須の装置。
- オルゴン・クラウド
- 彼らの使用する一種のバリア。そのほか空間転移も可能。
- オルゴンエクストラクター
- 動力源とみられる装置。
- サイトロン
- なんらかの粒子状の物質。フューリーのメカはサイトロン・コントロールによって動くようだが、フューリー自身も人体実験を続けていることから、彼らにとっても未知の部分が残っているものと思われる。また、サイトロン適応者同士の意志を交信させることができるほか、完璧ではないが適応者に未来の情景を垣間見せることも。
- ニュートロンジャマーキャンセラー
- Jではフューリー由来の技術のようである。