ヘスター・ギャロップ
ヘスター・ギャロップ(Hester Gallop)
新国連を率いる女傑。新国連事務総長にして、世界政府準備議会代表を務める。アルヴィスの戦果を自らのプロパガンダに利用するなど、老獪な性格。
その一方で軍事方面には疎いところもあり、そちらはミツヒロ・バートランドらに任せていたが故に、彼につけいる隙を与えてしまったことも。蒼穹作戦の際も作戦開始を前にして祝杯を挙げる始末であった。
竜宮島の戦力を取り込もうと様々な圧力をかけて来ることから、作中では悪役のように描かれているが、人類を守ろうという信念は本物であり、アルヴィスの大人たちは彼女の立場をわりと理解している様子も見られる。
アニメ版では最後まで生き残る(前線に出ることが無かったため当然である)が、漫画版ではイドゥンの攻撃で死亡している。
登場作品と役柄
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦K
- その高圧的な言動のせいで、葵霧子のみならず部隊のメンバー達に嫌われている。前作のWに登場した同じ事務総長の肩書きの版権キャラであるロゼ・アプロヴァールとは対照的な人物と言える。ジブリールとつるんでおり、彼女自身もブルーコスモスっぽい発言がままある。言うなれば、JやWにおけるコルベットのような役回りではある。
- しかし、フェストゥムら人外の敵の脅威は理解しているようで、地球の危機そっちのけでコーディネイター排斥を第一に考えるジブリールに内心呆れたり、ミツヒロとの会話で「資金を優先的に回してもらうには、今は尻尾を振り続けるしかない」といった意味の発言もするなど、ジブリールよりは遥かにまともな人物として描かれている。
- 三輪長官やコルベットのようなこの手のポジションの人物では珍しく、最終的にはプラントやオーブとも和解して共に協力し合うようになるなど、原作と比較して幾分か良心的な描かれ方をされている。
- 余談だが、顔グラを見て初老の男性に勘違いしてしまった初見のプレイヤーも多かった模様。
- スーパーロボット大戦UX
- Kはおろか原作の比ではないほど偏見に満ちた言動と敵対勢力への殲滅論が目立ち、最後まで自軍とは敵対し続ける。本作の悪役代表であるハザード・パシャに比べると、直接的な悪行はあまり為さないが、そのハザードを同志として過剰に持ち上げ協力し、彼の非道極まる行動にも何一つ疑問を抱かずに賛同するので、かなり印象が悪い。ハザードのほうは自身の欲望を満たすためなら自ら矢面に立つその行動力で清々しいまでの悪党ぶりを見せつけてくれるのに対して、ヘスターは彼の腰巾着的な言動に終始するばかりで自分は安全圏に居座っていることが多いため、「自分の手を汚す気すらない分ハザードより不快」と彼女を評するプレイヤーも多い。
- 原作通り少なくとも中盤までは人類を守るために行動しているのだが、その狭量さからハザードの台頭を許し、自軍を窮地に追い込んでくる。そのため、むしろ彼女のほうが「第二の三輪」に近いという意見もある。三輪長官に比べると立場は高く政治的な立ち回りも上手いのだが、それにしてもあのハザードを本気で信奉していることについては流石に正気を疑わざるを得ない。目的を達成するために形振り構わなくなってしまったのだろうか。
- 終盤には本分であるはずの人類を守るという信念すらなくしたのか、ハザード達とともにフロンティア船団と結託しバジュラ本星を侵略するという暴挙に出てしまう。一応、UX世界の地球は様々な外宇宙からの脅威に晒されてきたという事実があるため、手段を選ばずに人類の生存圏を広げようとした結果だと取れなくはないが、ELSの地球圏到達という未曾有の危機に前後して、その上重要な戦力である人類軍を引き連れて地球を逃げ出している以上、大半の人類を見殺しにしていることに変わりはない。当然地球連邦からは他の人類軍関係者共々背信者と見なされた上、結局はギャラクシー船団に出し抜かれ、更にハザードの死を知った直後に自身もショット・ウェポンに射殺されてしまった。三輪防人やカテジナ・ルースと同様、原作で生き残ったのに死亡すると言うオリジナル展開だが、ある意味、漫画版の要素を取り入れたと言えなくもない。
人間関係
他作品の人間関係
ガンダムシリーズ
- ロード・ジブリール
- Kでは彼と共に地球連合の音頭を執っているが、内心では地球への脅威である異星人を無視してコーディネイターを殲滅しようとする彼のやり方に辟易していた。
- ユウナ・ロマ・セイラン、ミーア・キャンベル
- Kでは最終話で過去の事での後ろめたさから素直に協力を要請できないヘスターの協力要請を快く引き受け、ヘスターも彼らに深く感謝する。
リアル系
スーパー系
- 司馬遷次郎
- Kでは協力関係にある。会話における互いの口ぶりから察するに、旧知の仲の可能性も見受けられる。
- 葵霧子
- Kでは協力関係にあるのだが、人類同士の戦争に関する考えの違いから、序盤から対立気味であったが、最終話で和解した。
- ハザード・パシャ
- UXでは終始彼を信頼しており、度々共謀しては自軍を窮地に追い込んでくる。その姿勢は彼が自分の欲を満たすために地球を侵略しようとしたザ・ブーム軍に協力していることを知ってからも全く揺らぐことはなく、第一部でのハザード失脚後も彼の秘書であるドッグ・タックと共に復権の根回しをしていた。
バンプレストオリジナル
- アンジェリカ・シャルティール
- 中盤でのブルーコスモスっぽい発言に対して、自身が地球人ではない故に内心毒づいていた。
名台詞
スパロボシリーズでの名台詞
K
- 「地球連合の代表として改めて要請します…」
「光子力研究所、ダンナーベース、ビルドベース、大空魔竜の各部隊は…」
「地球連合軍と合流し、対ザフト軍の作戦行動に参加しなさい」 - 通信でダンナーベースの霧子に対し、地球連合に協力することを要求するも、真意を見透かしていた霧子にあっさりと突っ撥ねられてしまう。
- 「そうですか。ではこれより、あなた方を地球連合に敵対する組織と見なします」
- 地球連合に協力することを断った霧子に対して警告をするも、当の霧子からは「好きにしな」と一蹴されてしまう。
- 「失礼な! あんな宇宙の化け物と一緒にしないでいただきたいですわ!」
- 霧子が「ナチュラルもコーディネイターも同じ人間じゃないか」とコーディネイターを擁護したことに対し、彼女はブルーコスモスっぽい発言で反論してしまう。
- 「これは、フェストゥムとの人類の存亡をかけた戦いです!」
「私だけが後方で黙って見ているなど前線の兵に失礼でしょう!」 - 連合の北極におけるフェストゥムとの総力戦に際して、参上したアークエンジェルに対して。実際、彼女は乗艦を攻撃されながらも自ら前線に出て陣頭指揮を執っており、単なる口先だけの意地悪婆さんではないところを見せつけた。
- 基本的に嫌味なキャラではあるが、不利になるとすぐに逃げを打つどこぞのブルーコスモス盟主よか、よっぽど気骨の感じられる台詞ではある。
- ちなみに、原作やUXでは逆に、後方で踏ん反り返って祝杯まで上げていた。
UX
- 「ではオーブ軍の一部は、人類軍に組み込む方向で調整しましょう」
「また、テロ組織との癒着が明白となったアスハ代表には、その職務を降りてしかるべき処分を受けていただきます」
「よろしいですね、アスハ元代表…?」 - UX第22話より、人類軍の創設が決まった時の台詞。カガリに対して「オーブ軍の『一部』を組み込む」と言っているが、今作のヘスターの事を考えると、オーブにさまざまな圧力をかけて戦力の殆どを掠め取りそうだからシャレにならない。
- 結局、予想外の人物によってハザードの悪事がバレてしまい、彼は逮捕されるが…。
- 「本来であれば、この座はハザード長官が就くはずだった場所。素直に喜ぶことはできないわ…」
「しかし、彼はあのまま終わってしまうような人間ではありません」
「いつか再び、私たちと共に立ち上がってくれると信じています」 - UX第24話より、人類軍代表への就任を祝う発言を受けて。この直後に人類軍に協力しないからと竜宮島、ひいてはUXに対して強硬な作戦を開始するにも関わらず、ザ・ブーム軍の内通者だと明らかになったハザードを未だに擁護している。
- 無言で会話を聞いていたドッグは最下段の台詞を聞いて協力を約束したが、彼がヘスターを同志と見ていたか、「利用価値のある駒」と見ていたかは定かではない。
- 「ハザード長官、あなたはすでに英雄ですよ」
- UX第39話にて、ミールに核攻撃を行った後に「人類は救われた」と喜びながらハザードを称賛した台詞。第三部では、実際にハザードがインタビューを受けており、フェストゥム殲滅の功績はほぼ彼のものとなったらしい。
- 自らに名声を集めない辺りを見るとこの作品のヘスターに功名心や自己顕示欲の類はないようだが、持ち上げる相手があまりにも悪すぎる。なぜ、よりにもよってこの男を……。
- 前述の台詞といい、フェストゥムやUXを憎悪するあまり、現実とかけ離れたイメージをハザードに幻視しているようにも思えてしまう。
- 「くっ…なんてこと! フロンティア政府は化け物どもによって制圧されたわ!」
「ショット博士! 大至急ハザード司令長官に連絡を…」 - UX第50話にて、ハザードの口車に乗せられバジュラ本星にたどり着いた後より。
ハワードと三島の二人がギャラクシー船団に抹殺されたことに恐慌し、ショットにハザードへ連絡するよう命じるが…… - 「!? そ、そんな…!」
「ショット博士…! まさか、あなたまで…!」 - 上記の台詞の後、ショットからハザードがUXに誅滅されたことを聞かされた上に、銃を突きつけられて。ハザードと共謀して(間接的にであるが)多くの非道を重ねた彼女の末路は、散々騙され利用し尽くされた挙句信用していた人間に銃弾を浴びせられるという無惨なものだった。自分の手も汚さず無自覚に他者の可能性を奪い続けたへスターの「罪」は非常に大きく、その身を以て重い「罰」を必然的に受けるコトとなった。