シンジロウ・サコミズ

2013年4月27日 (土) 15:22時点における123.217.5.147 (トーク)による版

シンジロウ・サコミズ/迫水真次郎 (Shinjirou Sakomizu)

  • 登場作品リーンの翼
  • 声優:小山力也
  • 種族:地球人(日本人)
  • 性別:男
  • 所属:日本海軍特攻隊→ホウジョウ国
  • 階級:聖戦士→ホウジョウ国当主
  • キャラクターデザイン
    • 小説:湖川友謙(カドカワノベルス版)、大森英敏(角川文庫版)、寺田克也(完全版表紙)
    • アニメ:工藤昌史

ホウジョウ国の王。 かつて太平洋戦争時の大日本帝国海軍特攻隊(小説版では階級は二等飛行兵曹)に所属しており、戦いの最中にバイストン・ウェルへと召喚され『リーンの翼』を持つ靴を履いた聖戦士として戦った経緯を持つ。

バイストン・ウェルは地上と時間の流れが違うためか、それとも聖戦士の持つオーラ力によるものなのか地上では70年以上の歳月が流れた中、サコミズ自身は壮年程度の歳となっている。

原作小説版『リーンの翼』の主人公でもあり、OVA版でも一応の主人公であるエイサップ・鈴木を食ってしまうほどの存在感を放っている。また、完全版小説では全編を通して主人公となっている。

小説版

第二次世界大戦中、沖縄の上空付近で特攻の最中に米軍機コルセアに撃破された瞬間、突如オーラロードが開きバイストン・ウェルに召喚される。その後、直心陰流剣術を奮い見知らぬ土地で「聖戦士」として活躍する。そして戦い続ける中で彼のオーラ力が「リーンの翼」として顕現した。
いつかは無事に地上に戻れるものと期待していたが、同胞であったアマルガンに裏切られて死亡。彼の意思はリーンの翼と融合して地上界に戻り、小倉に落とされるはずだった第三の原爆を防いだ。

OVA発表後に刊行された完全版では大幅に修正が入り、アマルガン共々死亡せずに原爆を防ぎ、バイストン・ウェルに生きて帰還するという結末に変更され、OVA版のノベライズに繋がる形となっている(全4巻中、前半が原作小説の加筆、後半がOVA版ベースの新規執筆)。

アニメ版

小説のラストとは違った運命を辿っており、リュクスが語った中ではアマルガンらと対立し自分に従っている兵を引き連れてホウジョウ国を作り上げたと語っている。
再び地上界に戻った際、現在の日本の有り様を見て絶望し東京の崩壊を行おうとした。その際、急激な老化とオーラ力の暴走でハイパー化したがエイサップの説得と特攻前に残していった特攻人形を見て改心、核弾頭をリーンの翼とオウカオーのオーラ力を使い、核爆発を吸収して祖国を救い、その波乱の生涯に幕を下ろす…。

登場作品と役柄

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦UX
初登場作品。今作では世界観が未来寄りになっている都合上、時間の流れが原作以上に激しいものとなっており、バイストン・ウェルで70年ものの時間が経過し、地上では200年も経過したという設定になっている。
その強烈なキャラクター故、物語の中でも強烈な存在感を誇り、物語をときには熱く、ときには悲しく盛り上げる。基本的に原作通りの結末を辿るが、特定のフラグを成立させるとリーンの翼の導きで生還、第3部のヒトマキナとの戦いに味方援軍として登場し、仲間に加わる。最終決戦時でのフラグはやや特殊で、任意の3人で説得し、キャラごとに設定されたポイントの和が一定以上になると説得成功となる模様。あるは必須で、次点は。これら以外の外れを二人以上含めると確実に失敗する。なお、これにより、各参戦作品の主人公キャラから説得可能(それどころか、一部ライバルキャラやヒロイン格まで説得できる)というイルイ以来の豪華な仕様となっている(版権キャラとしてはL張五飛宗美への説得が前例として挙げられるが、スパロボ史上では前代未聞の出来事である)。
日本の有り様を見て絶望する理由の1つは「自分と同じ目線に立てる人間がいなくなってしまった」ことではないかと解釈されているようで、自分と同じく大日本帝国軍に所属していた加藤久嵩とのやり取りにおいては穏やかな一面を見せていた。原作のラストで過去の怨念や妄執から解放されていることもあり、仲間になる際にはそういった「憑き物」が落ち、UXの面々に対して毅然としつつも穏やかな態度を見せている。
本作においては彼もまた「時空を超える意思」の持ち主らしく、生存時に呂布のフラグが成立していると同時出現、それを示すフレーズを口にする。なお、リーンの翼によってオーラロードに消えた際は「前世の地球(ラインバレル版)」を見ている。

ACEシリーズ

Another Century's Episode 2
OVA本編に先駆けてサプライズ参戦。
Another Century's Episode 3 THE FINAL
中盤から本格的にシナリオに絡んでくるが、ルート選択によっては一度も戦わないことも。最期はフィフス・ルナを相手にリーンの翼を発動させて、自らの命と引き換えにフィフス・ルナの落下を阻止する。最期の流れも併せて、フィフス・ルナが原作において朗利と金本によってアメリカ軍から奪取されて東京に投下された核弾頭の代わりも兼ねている。

パイロットステータスの傾向

能力値

版権ボスだけあって全体的に高い。特に搭乗するオウカオーが格闘専用なのもあって格闘が最も高く設定されている。

精神コマンド

直感気迫直撃理想
UXのもの。エイサップと違い「集中」がないため単機での切りこみは厳しいが、「魂」があるため一発の火力で勝る。PUを組ませるなら雑魚はエイサップで刈り落とし、サコミズはボス相手に「魂」+ツインオーラアタックを叩き込むのがいいだろう。

特殊技能(特殊スキル)

オーラ力聖戦士底力援護攻撃見切り全体攻撃指揮

戦術指揮

格闘武器の攻撃力10%上昇、CRT率30%上昇、サイズ差無効
格闘機向けの非常に強力な指揮。サイズ差無効がある為、オーラバトラーは勿論サイズの小さな三国伝とも相性が良い。

パイロットBGM

「MY FATE」

人間関係

リュクス・サコミズ
前妻との実の娘。
コドール・サコミズ
後妻。
コットウ・ヒン
フガクの艦長を務める部下。同部族のコドールと共謀してサコミズを討とうとしたが……。
アマルガン・ルドル
かつて共に戦った同志だが、現在は反乱軍の頭目。
エイサップ・鈴木
彼をリュクスの婿にさせようとした。

他作品との人間関係

加藤久嵩
UXでは地上に出た後、彼ら加藤機関と一時的に同盟を結ぶ。サコミズ自身は第二次世界大戦当時、大日本帝国軍の少将だった加藤と対面しており、顔見知りの間柄。現在でも彼を「加藤少将」と呼び、敬意を表している。加藤もまさかサコミズが生きていたとは思いもしなかったようで懇意に接していた。
ショット・ウェポン
サコミズたちの住まうバイストン・ウェルとは別のバイストン・ウェルでオーラバトラーを開発した男。UXでは『ダンバイン』の世界から転移してきた彼を部下とし、ホウジョウ軍のオーラバトラーの開発を任せる。
ショウ・ザマチャム・ファウマーベル・フローズン
別のバイストン・ウェルの聖戦士達。サコミズの頑なさと強すぎる信念から徐々にハイパー化への懸念を募らせていたが、最終戦でそれが現実となってしまう。
曹操ガンダム
UXにおける最大のライバルといえる侠。同じ「王」として、互いの信念と誇りをかけて激突する。
孫尚香ガーベラ陸遜ゼータプラス
UXの序盤、ホウジョウ軍に捕らえられた彼らを地上人だと勘違いしてショット共々驚愕する。
海動剣
UXの序盤、城に単身乗り込んできた彼と白兵戦を展開する。
小楯衛
UXでは彼の様な少年までもが戦いに出ている事に大きなショックを受ける。大切なものを守る為に戦う彼の信念を認めるも、直後の悲劇にサコミズも激しい怒りと悲しみを露わにする。
ハザード・パシャ
UXにおいて最も憎んだ人物の一人。軍人でありながら醜悪な欲望のために非道の限りを尽くす彼に激怒する。
シャア・アズナブル
直接関わる事は無かったが、ACE3では彼の作戦を結果的には阻止する。
ギム・ギンガナム
同じく富野作品の熱く濃すぎる漢で、色々と似たような点が多い人物。ACE3では合体攻撃が存在する。

名台詞

OVA版

「今は昭和の何年だ?」
エイサップが地上から来た事を知り、こう返す。この台詞からサコミズが長い間地上の状況を何一つ知らない事が解る。
エイサップ「姫様にこの名無しの操作を教えてもらっているだけです!」
サコミズ「ナナジンと名付けたか! 七福神の!」
思いっきり聞き間違えた挙句、名前の由来まで決めてしまう。バイストン・ウェルの言語に慣れすぎたらしい。
なお、現実に「ナナジン」という名前が付けられた経緯も「名無し」からの連想であることが明かされている。
サコミズ「鈴木君には政治を司る新しい聖戦士をやってくれ!」
エイサップ「そんな事を言って、隙を作らせるのか!」
サコミズ「フ……そうでもあるがぁぁぁぁ!!」
サコミズの代名詞とも言える会話で富野節全開である。UXではなんとDVEである。ついでにエイサップの台詞の方は汎用の回避台詞に採用。
エイサップ「こ、こんな……こんなことが現実に日本で!」
サコミズ「あったのだ! この凄惨な記憶達は、紛れもない過去の現実! 目を背けてはならぬと、リーンの翼が語っておるのだ!」
オーラロードを彷徨う中、沖縄戦の映像を垣間見て。かつて国のためと信じて戦争に身を投じた憂国の志士、在りし日の聖戦士は、それこそが現実なのだと若き聖戦士に叫ぶ。
そして、忘れてはならないのは、リーンの翼が彼らに見せたこれら惨劇は、サコミズが言うように「紛れもない過去の現実」であるということである……。
「この苦しみ……この悲しさ、無念さ! 東京にいる俗物どもにもわからせるッ!」
「我が意思に力を貸せ! リーンの翼よォォォーッ!!!」
「さすらいの歌」が響く中、ホウジョウの王は叫ぶ。戦争の悲惨さ、奪われた命の叫びを知らぬ俗物にそれを知らしめると、そのための道を開けと。強すぎるその意志はリーンの翼をすら御し、彼らを元いた時へと送り返した。
「エイサップ君、ナナジンにリーンの翼はないぞ」
水爆を抱えて上昇するアッカナナジンに肉薄して。瞬間、リーンの翼が羽ばたき……。
「リーンの翼が聖戦士のモノなら……我が想いを守れェェェェッ!!!」
最期。アッカナナジンから水爆を奪い、ハイパー化したオウカオーでその爆発を吸収しながら叫ぶ。その姿は、妄執に取り付かれた王ではなく、紛れもない聖戦士のものだった……。UXではDVEで収録。

スパロボシリーズの名台詞

「核を動力源にするなど…あってはならん!」
「核を恐れる私ではないぞ!」
ストライクフリーダム等の核が動力源の機体に対する特殊セリフ。ちなみにスパロボではガンダム以外にも小型核融合エンジンである熱核タービンエンジンを使うバルキリーや原子力エンジンから発生させる超電磁エネルギーを利用するコン・バトラーVボルテスV原子炉を持つジャイアント・ロボメカンダーロボなど核動力の機体は意外にあったりする。もしサイサリス山のバーストンと対面したらどうなるのだろうか…。
「対話の道など、祖国に原爆を落とした奴らを滅ぼすまでありえん!」
刹那の特殊セリフ。
「米国人は滅びよ! 我が無念晴らしてくれる!」
グラハム等のアメリカ人に対する特殊セリフ。上のセリフからも分かるように、アメリカへの深い憎しみを抱いていることがよく伝わる。もしサコミズ王がこいつこの国の人と戦うことになったら血を血で洗う戦いが起きることは容易に想像できる。更に戦争を避けたいとの思いからとはいえ、結果的にその国に日本を売ることになってしまった人物と戦うことになったらどれほどの惨劇となるか想像もできない。
とはいえ、アニメ版でのサコミズは各個人としてのアメリカ人への差別意識はそこまで強くないので(エイサップを気に入ってるのはその証拠)、アメリカ人キャラクター全体にこのような戦闘セリフが使われるのはすこし過激な改変である。
「日本は…地上は一体どうなってしまったというのだ!」
『UX』にて、兵士が連れてきた孫尚香を見て漏らした言葉。彼女らは地上とも日本とも全く関係ない三璃紗の人間なのだが、まがりなりにも地上から転移してきた者がこんな姿だったら驚くのも致し方ない。
「威勢が良いな。自らの渇きのままに戦いを求める者……ガロウ・ラン気質の地上人と見た!」
UXで、自らの首を取りに来たと吼える海動の言葉を受けて。ちなみにガロウ・ランとはバイストン・ウェルに存在する蛮族――というより種族――のことで、ガンダムのパイロットではない
「フン、小賢しい!いかに言葉を弄しようと…!」
「今を生きるすべてのものが堕落しているわけではないことは認めよう!」
UXでの説得に対するリアクション。前者は失敗、後者は成功時のもの。それぞれもう少しセリフが続くが、割愛する。
ちなみに、失敗すると魂がかかる。ペナルティ搭載の説得と言うのも珍しい。
「諦めてはならんッ!」
「わだつみたちの声が、私に生きる力と…掴むべき運命を与えてくれたッ!」
「今の私に、もはや迷いはないッ!」
「加藤少将! あの時の誓い…今こそ果たす時!」
UX第45話でのサコミズ生存フラグ成立時限定の台詞。襲来したヒトマキナの圧倒的な力に苦戦するUXの前に、桜花と共に散ったはずだった憂国の士が、再び姿を現した。今度は、頼もしき味方として――。
「さあ、集え! 始まりのもとにッ!」
呂布が生存していると代わりにこの台詞が出る。サコミズもまた、アーニー達同様「時空を超える意思」を持つ者の一人であり、生還出来たのはその意志にリーンの翼が応えたためらしい。
「過去に囚われた亡霊は、未来を生きる若者たちにすべてを託すと決めた…」
「だが、今一度! 若者たちの未来を守るため、この亡霊の力を振るってくれよう!」
同じくUX第45話より。過去の妄執に囚われたホウジョウの王は、もうそこにはいない。
「心配するな。今の私にとってはもはや日本も米国も関係ない」
「我々は共にこの星に生きる民…いや、この宇宙に生まれた同じ命ではないか」
「それを教えてくれたのは、君たちアルティメット・クロスだ」
UXで自軍入りしたときジョーイマーベルから自分たちの事を憎んでるのではと懸念されて彼はこう諭した。
彼も過去の妄執を乗り越え、日本や米国の人たちだけでなく地球に生きる命を共に守り抜こうという姿勢があった。これものいう「憑き物が落ちた」と呼ぶべきだろうか。
「こ、これが…! これが人間のすることかァァッ!!」
UX第47話より。第2次蒼穹作戦の後、人間特攻兵器にしたを自軍に向けて特攻させているハザードに対して激しい怒号をあげた。
かつて特攻隊に所属したこと、太平洋戦争を初めとする凄惨な過去の現実を体験した彼にとっては、己の醜悪な欲望のために脱獄した囚人を特攻兵器に仕立て上げて平然と特攻させるハザードは到底受け入れられない存在であった。(しかも、特攻隊は曲がりなりにも祖国の防衛を信じて散って行った若者で、当初は志願者のみの実施だった。もちろん戦争末期には強制もあっただろうが)
ちなみに、今回は時間軸が違うが、もしTVシリーズでの「ガンダム00」でリボンズが放ったガガ部隊を見たら同じように大激怒するのは容易に想像できる。

スパロボシリーズの迷台詞

サコミズ「鈴木君、決めて見せよっ!」
エイサップ「本当はご自身で決めたいんでしょうが!」
サコミズ「そうでもあるがぁぁぁっ!!」
ツインオーラアタックの〆。こんなところで名台詞を使わなくても…。

搭乗機体

桜花
実在したロケット特攻機で、これに乗った状態でバイストン・ウェルに召還された。UXでも、イベントシーンでエイサップ達に見せている。
数ある特攻兵器の中でも、航続距離が短すぎる、重すぎて母機がまともに飛べない、ロケット機なのに当時の米軍戦闘機と大差ない速度など多数の欠陥を抱えており、連合軍からは『バカ爆弾』という酷いコードネームで呼ばれた。
なお、『リーンの翼』のパラレルワールドにあたる『聖戦士ダンバイン』ではビルバインの脚部補助ロケットの参考にされたという設定が存在する。
オウカオー
専用オーラバトラー。名前の由来はサコミズが搭乗した特攻機、桜花から。

余談

  • サコミズのキャラクター性は、昔も今も伝統的となっている「異世界漂流もの」の、成れの果てだったりする。何かしらの手段で主人公は元の生活に戻るものだが、サコミズは周囲から望まれて王になり、不老の王政が次第に民から疎まれていく、という非常にリアリティのある設定。
    • 若き聖戦士のまま死した初期小説版設定のままだった方が本人にとっては幸せだったのかも知れない。
    • ある意味、マサキや(スパロボの)ショウのあり得るかもしれない末路と言えなくもない。

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