太陽の牙ダグラム

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太陽の牙ダグラム』はサンライズが制作したテレビアニメ。

太陽の牙ダグラム
原作 高橋良輔
星山博之
監督 高橋良輔(第31話まで)
神田武幸
キャラクターデザイン 吉川惣司
塩山紀生
メカニックデザイン 大河原邦男
音楽 冬木透
制作 サンライズ
放送期間 1981年10月23日 -
1983年3月25日
話数 全75話
初登場SRW スーパーロボット大戦X-Ω
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概要

高橋良輔監督が初めて制作に関わったロボットアニメ作品[1]。プラモデル等玩具の売り上げ好調につき当初は4クールの放送予定が放送延長となり、6クールにもわたる全75話もの話数を誇る大作となった。これは、サンライズのオリジナル作品の中では最長の総話数であり、現在もなお記録は破られていない。

舞台は22世紀(2100年代)の「デロイア」という地球の植民惑星で、この惑星の独立運動を主体とした物語が展開し、登場人物も子供よりは大人の方が多く登場するなど、ロボットアニメでありながら「政治劇」がメインに描かれた異色の作品である。もっとも「CB(コンバット)アーマー」と呼ばれる登場するロボットの方も決して目立たないわけではなく、「ダグラム」をはじめとして、印象的なものが多い。

1話から主人公機のダグラムが既に破壊された状態で登場し、「鉄の腕は萎え、鉄の脚は力を失い、埋もれた砲は二度と火を噴く事はない。鉄の戦士は死んだのだ。狼も死んだ、獅子も死んだ。心に牙を持つ者は、全て逝ってしまった…。」と、既にバッドエンドを想起させる演出も話題となった。

劇場用作品の『ドキュメント 太陽の牙ダグラム』や『チョロQダグラム』も公開されており、『ザブングル グラフィティ』と併映された。『ドキュメント』は本編を劇場用に再編集・新作カットを加えたものであるのに対して、『チョロQダグラム』はSD化したキャラクターがドタバタ劇を繰り広げる短編ギャグ作品に仕上がっている。

登場人物

スパロボ毎の登場人物一覧については以下を参照して下さい。

デロイア独立派

太陽の牙

クリン・カシム
本作の主人公。カシム家三男。父・ドナンがデロイアの独立阻止に暗躍していたのを知りカシム家を出奔、デロイア独立派に参加する。
ロッキー・アンドル
ゲリラのリーダー。最初はクリンを嫌っていたが、後に仲間として認める。
キャナリー・ドネット
ロッキーの幼馴染の少女。兄を連邦軍に殺され、ゲリラに身を投じる。
チコ・ビエンテ
ゲリラのメンバー。ビッグEガン(歩兵用リニアガン)を武器とする。
フェスタ・ブロンコ
ゲリラのメンバー。陽気な性格の男。
ビリー・ボール
ゲリラのメンバー。幼い容姿の16歳。
ナナシ
本名不明の「名無し」の男。チームのムードメーカーだがしばしば鋭い勘を見せる。
ハックル・G・トンプソン
元連邦軍の整備兵。太陽の牙に協力する。
ジョルジュ・ジュールダン
元暴走族。フェスタに容姿が似ている。九州弁に似た訛り言葉で喋る。

独立派関係者

デビッド・サマリン
デロイアにおける独立運動の指導者として立ち上がった歴史学博士。開発を主導したダグラムをクリンに託す。
ヘシ・カルメル
人民解放政府の和平派のリーダー。ラコックに丸め込まれる形でサマリンを排除し、「地球連邦政府に有利な条件でのデロイア独立」を成立させてしまう。
J・ロック
特殊部隊「デロイアの星」のリーダー。
ジャッキー・ザルツェフ
連邦軍の少佐。J・ロックのライバル。

地球連邦

カシム家関係者

ドナン・カシム
地球連邦評議会議長。クリンの父。
フィナ・カシム
ドナンの妻で、クリンの母。
ラビン・カシム
カシム家長男。
ロイル・カシム
カシム家次男。
レーク・ボイド
連邦軍の軍人で、クリンの義兄。
サラ・カシム・ボイド
カシム家の長女で、レークの妻。
ワトキンス
カシム家の執事。

政治家・軍人

ヘルムート・J・ラコック
ドナンの元補佐官。野心家でドナン曰く「有能だが徳の無い男」。
ドナンが病に倒れたのを機に権謀術数を駆使して暗躍。デスタンの仲介で接触したカルメルを利用して、デロイア独立派を「骨抜き」にする事に成功し、自身はデロイアの実質的な支配者の座を手に入れるのだが……?
フォン・シュタイン
連邦軍第8軍の大佐。デロイア出身。
ヴルドラン・ガルシア
傭兵部隊「ガルシア隊」の隊長。
ダーク
ラウンドフェイサーを駆るエースパイロット。

民間人

コール・デスタン
ラコックの情報屋の元ゲリラ。
ディック・ラルターフ
APU通信のジャーナリスト。
デイジー・オーセル
クリンの幼馴染で、名門オーセル家の令嬢。

登場メカ

スパロボ毎の登場メカ一覧については以下を参照して下さい。

コンバットアーマー

ダグラム
サマリン博士らデロイア独立派により開発された、初のXネブラ対応型コンバットアーマー。クリンの愛機となる。
ヤクト ダグラム
ダグラムにチコが入手した9連装ミサイルランチャーを装着した仕様。「ダグラム ヤクトタイプ」とも(劇中では変わらず「ダグラム」としか呼ばれていない)。
ソルティックH8 ラウンドフェイサー
地球連邦軍主力CBアーマー。
パジャマ・ソルティック
ダグラムの弱点が機動力にあると看破したザルツェフが考案し、既存のラウンドフェイサーを改装させた特殊作戦機。
頭部と足底以外の殆どの装甲を撤去、迷彩柄の防水布を着用し、左腕に大型シールドを装備した軽量型。
ソルティックH8RF ラウンドフェイサー”コーチマ・スペシャル”
Xネブラ対応型に近代化改修した機体。
アビテートT10B ブロックヘッド
ガンナーシリーズの開発メーカー・アビテート社初の2足歩行型CBアーマー。複座機。
アビテートT10C ブロックヘッド(Xネブラ対応型)
Xネブラ対応型のブロックヘッドで、ダグラムに匹敵する高性能機。
ソルティックH102 ブッシュマン
山岳戦用軽量型CBアーマー。
ソルティックH404S マッケレル
水陸両用CBアーマー。
ソルティックHT128 ビッグフット
ラウンドフェイサーの後継機として開発された、複座型寒冷地用CBアーマー。
アイアンフットF4X ヘイスティ
ラウンドフェイサーに代わる連邦軍次期主力機として開発された、最新鋭機。
それまでのCBアーマーとはかけ離れた独特の外観が特徴。
サバロフAG9 ニコラエフ
ラウンドフェイサーよりも前に開発された、旧式のCBアーマー。
「円盤状の胴体に2本の足が生えている」という、ヘイスティに負けず劣らずの奇抜なスタイル。
アビテートF44A クラブガンナー
最初に実用化されたCBアーマー。既存の戦車を四脚化したような外観。
アビテートF44B テキーラガンナー
ガルシア隊が使用した、クラブガンナーの武装強化型。機体側部に手摺りに囲われたデッキ(マダーズ・バルコニー)が増設されている。
アビテートF44D デザートガンナー
砂漠戦用の試作CBアーマー。節足動物を連想させる6本の脚を持ち、これによってクラブガンナーを上回る高い機動力・不整地走破能力を獲得している。
アビテートF35C ブリザードガンナー
デザートガンナーのデータを基に開発された、寒冷地用CBアーマー。
視認性を低くするために、砲塔を持たない突撃砲形式の構造を採用している。

用語

S.C.(スペース・センチュリー)
本作での年号。物語劇中における年代はS.C.152年。
コンバットアーマー(CBアーマー)
本作に登場する機動兵器。初期に開発された多脚戦車タイプと、第2世代以降に登場した人型タイプに概ね大別される。
人型タイプの大きな特徴として、頭部コクピットがキャノピーに覆われ所謂「顔」がない点が挙げられる。
スタフェラス星系
地球から224光年先にある星系で、二重に太陽(恒星)が存在する。地球とはワームホールで行き来する。
デロイア
スタフェラス星系の第5惑星で、本作の舞台。地球からの移民が130年ほどが経ち、二世・三世の世代の子孫が暮らしている。
地球連邦
7つの自治州からなる地球の統一政府。鉱産物などをデロイアの資源に依存している。
地球連邦軍
主に各自治州ごとの第1から第7軍と、デロイア治安維持のための第8軍が存在する。
太陽の牙
クリン・カシムが所属する、デロイア独立を掲げるゲリラ集団。当初は「デロイア7」を名乗る。
Xネブラ
惑星デロイア全体を覆う星間ガスで、スタフェラス星系の二重太陽が発する電磁波と相まって電子機器の性能を著しく低下させたり、レーダーを一切使用不可能にしてしまう。主役機であるダグラムはその影響を受けないXネブラ対応型となっており、デロイアの環境下でも高い性能を発揮できる。
北極ポート
デロイアの北極は地球のそれと同じく極寒の地であるが、Xネブラの影響を受けない唯一の陸地であるため、デロイアと地球を結ぶ宇宙港が設置されている。
そのため、デロイアにおける最重要拠点となっており、この北極ポートの完全制圧が、デロイア解放軍の最終目標となっている。

楽曲

オープニングテーマ
「さらばやさしき日々よ」
歌:麻田マモル / 作詞:高橋両輔 / 作曲:冬木透 / 編曲:武市昌久
アニメソングの定番であるアップテンポな曲調ではない、いわゆる「歌謡曲」という表現がしっくり来る楽曲(歌手の麻田マモルも歌謡曲をメインジャンルとした)。
エンディングテーマ
「風の行方」
歌:麻田マモル / 作詞:高橋両輔 / 作曲:冬木透 / 編曲:武市昌久

登場作と扱われ方

単独作品

スーパーロボット大戦X-Ω
初参戦作品。第3期参戦作品の第9弾として発表され、2018年1月に追加参戦。
2018年現在、放映終了から初参戦までのインターバルが最も長い作品となっている。
初登場イベントでは同時期に参戦した『重戦機エルガイム』、監督の同じ『装甲騎兵ボトムズ』、そして『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』と共演している。『クロスアンジュ』との共演は同作で『ダグラム』のメカがカメオ出演していたからだろうか。

各話リスト

話数 サブタイトル 登場メカ 備考 再現スパロボ
第1話 光りの戦士
第2話 始まりの銃声
第3話 デロイアの動乱
第4話 実戦のコクピット
第5話 戦時特例法205号
第6話 暁の救出作戦
第7話 ゲリラ狩り
第8話 裏切りのデロイア
第9話 ダグラム奪回
第10話 ガルシア隊参戦
第11話 遠すぎた父
第12話 ためらいの照準
第13話 敵補給隊から奪え
第14話 やっかいな捕虜
第15話 ダグラム砂に沈む
第16話 砂漠に熱く燃えて
第17話 死に神の執念
第18話 蜃気楼の街
第19話 包囲網を破れ
第20話 偽りのグランプリ
第21話 計算された奇襲
第22話 襲撃作戦一石二鳥
第23話 狙われたゲリラ会議
第24話 サマリン救出作戦
第25話 潜入バラフ軍刑務所
第26話 振り向けば遠く… 総集編
第27話 戦場に来たデイジー
第28話 戦火の陰の打算
第29話 ラコックの策謀
第30話 パルミナへ渡る日
第31話 パルミナの熱い風
第32話 血気はやる進軍
第33話 戦火は村々に
第34話 武器は誰がために
第35話 再会の野戦病院
第36話 塞がれた行く手
第37話 選択の渡河作戦
第38話 アンディ鉱山封鎖
第39話 封鎖山脈を越えろ
第40話 戦士の休息 前編
第41話 戦士の休息 後編
第42話 動乱の航跡 総集編
第43話 仕組まれた背信
第44話 疑惑の二重スパイ
第45話 夢散らす銃声
第46話 術策と機略
第47話 悲しみの爆走
第48話 その名は解放軍遊撃隊
第49話 共同作戦の軋み
第50話 戦う者の掟
第51話 見えはじめた亀裂
第52話 アンディ鉱山攻撃命令
第53話 反撃の導火線
第54話 再びドガへ向けて
第55話 戦略台地を奪取せよ
第56話 スタンレー高原の攻防
第57話 ひるがえる解放旗
第58話 解き放たれた野心
第59話 威信かける海戦
第60話 デロイアの光と影
第61話 北極ポートに向けて
第62話 きざまれた光る道 総集編
第63話 落とされた黒い滴
第64話 濁流の罠
第65話 攻略・白銀の要塞
第66話 激戦・カルナック越え
第67話 北極に散った決断
第68話 テーブルについた者達
第69話 ドナン・カシム死す
第70話 武装解除
第71話 粉飾の凱旋パレード
第72話 英雄奪回
第73話 沈黙する指導者
第74話 大いなる説得
第75話 燃えつきたあとに

余談

  • 本作にまつわる特記事項のひとつとして、ラポート社刊のアニメ雑誌「アニメック」誌との確執(通称・アニメック事件)が挙げられる。辛口なアニメ批評に定評のある同誌(評価に値しないものは沈黙を貫く、批評されれば光栄に思え、というスタンス)であったが本作に対しては殊更攻撃的な批評を展開[2]、特に27号における特集においてはスタッフ代表として高橋監督をインタビューに招きながら傍らで悪ふざけじみた中傷まがいの記事を載せるという、実質的な吊し上げに近い内容であった。これについては読者からの反発も強く、翌号において編集長が全面的に謝罪する事態となった。
    • 本件の原因として編集部サイドは担当ライターが副編集長のチェックを通さず記事を入稿したためとしているが、そもそもの作品批判を展開した経緯としては本作のスポンサーのタカラとは競合メーカーであるバンダイより広告料を受けたためとされる(所謂ライバル潰しのためのネガティブキャンペーン)。それらの信憑性を示すものとして、『ダグラム』と同時期に展開していた同じくサンライズ製アニメ『戦闘メカ ザブングル』の当時のプラモデル担当者が後に『グレートメカニック』誌のインタビューにおいて本件への関与をほのめかす発言もしており、当時の2大玩具メーカー間の確執も匂わせている。
  • アメリカでは『超時空要塞マクロス』等と世界観を合体させた『ロボテック』シリーズのひとつとなっている。
    • これに関係する事件として、『ロボテック』の人気にあやかろうとしたFASA社が、自社で発売したロボットTRPG『バトルメック』に登場する戦闘ロボット「メック」のイラストに、『マクロス』のバトロイドやデストロイドと共にコンバットアーマーのデザインを無断流用した為に、『ロボテック』の配給会社が訴訟を起こして勝訴した騒動が有名である。

脚注

  1. 監督クレジットは第31話までは神田武幸氏との連名で、第32話以降は高橋氏が次回作『装甲騎兵ボトムズ』の立ち上げにより監督職を離れたため神田氏のみのクレジットとなる。
  2. 内容についてもまともに作品を観ていたとは言い難い、言い掛かりに近い記述が大半を占めた(シーンの一つが何故か『ガンダム』と被る、などと比較されていた。無論、そのシーンは比較にする理由がわからないものであったが)。