エルデ・ミッテ
エルデ・ミッテ(Erde Mitte)
- 登場作品:バンプレストオリジナル
- 声優:小林優子
- 種族:地球人
- 性別:女
- 年齢:30歳
- 所属:ツェントル・プロジェクト
- キャラクターデザイン:河野さち子
ミタール・ザパトらが中心となるツェントル・プロジェクトに参加している女性科学者。プロジェクト進行のため、自身が開発した有機コンピュータ「AI1」に異常なまでの愛情を注いでおり、我が子のように育て上げることを目標としている。
性格は上昇志向が強く、表面的には冷静沈着な印象を与える。しかし、その内面は極めて自己中心的で嫉妬深く、人間的な器量が小さい。自分の研究成果が常に他人より上でなければ気が済まず、それを証明するためには全く手段を選ばない。AI1に対しても「進化の行く末を見たいだけ」と公言してはいるが、実際には自分と異なる判断をすることを認めようとしない。
プロジェクト参加前は大学の教鞭を執っており、アクア・ケントルムは彼女の教え子である。アクアには尊敬されていたが、内心は彼女のことを目障りに感じており、裕福な家庭で育っていたことへの憎悪を抱いていた。過去はあまり語られてないのだが、恵まれない環境だったようである。ある意味同じ境遇のヒューゴ・メディオとは似て異なる。
スーパーロボット大戦MX
アルベロ・エストがメディウス・ロクスを強奪した際に彼のパートナーとなり、機体補助とAI1の管理を任される。そして、競合機のオペレーターとなったアクアが自らを慕っていることを利用して動揺を誘うべく、時を見計らって姿を現す。大学時代に苦言として呈した「感情に溺れない」ことを言い放ち、その感情を利用して追い詰める。遂にはヒューゴとアクアのプロジェクトの機体からTEエンジンを奪い、メディウスとAI1の糧とする。
しかし、ザパトから不可解な挙動を起こすAI1を自身の研究目標から排除することを伝えられ、エルデはザパトを射殺する凶行に及んだ。これがきっかけとなり、事実上ツェントル・プロジェクトは空中分解する。そしてパートナーであるアルベロをも手にかけようとするが、クライ・ウルブズ出身の彼との力量差は歴然であり、逆に彼に殴打されてメディウスに必要な人間として生かされてしまう。物語終盤には不本意ながら、アルベロの意向や己の野心を満たすために、アクアらマグネイト・テンと一時的に共闘した。
そして人類補完計画が失敗に終わり、世界の調律が否定されたその時、かねてからのエルデの予想通り宇宙に高エネルギー体(スーパーロボット大戦MXではラ・ムーの星)が現れる。彼女はそれを強奪し、AI1を強制的に進化させようとする。この時アルベロの手で射殺されるが、最終的に暴走したAI1がメディウスとTEエンジンを取り込んで、ある種の有機的な生体兵器へと進化した。アルベロは生死不明となり、エルデはAI1によって再生され一体化する。再生時には精神が破綻しており、言動は自らのエゴを復活前以上に前面に押し出し、やたらとハイテンションになっていた。
しかしその欲望も、ヒューゴとアクアらマグネイト・テンの総攻撃や、真聖ラーゼフォンの前に無に返る。さらに、AI1へ下した再生命令を拒否されてしまう。最後はAI1の異常進化の煽りで死んだはずのアルベロから、AI1は自分で敗北の道を選んだと教えられ、エルデはその事実を認められないまま無様に喚き続け、そのままアルベロやAI1と共に消滅、死亡した。
結局のところ彼女が真に認めていたのは「己の意思に沿った結果」でしかなく、AI1とは突き詰めればそのためのツールでしかなかったと言える。
登場作品と役柄
単独作品
- スーパーロボット大戦MX(PORTABLE)
- 彼女の行動はプロフィールを参考。終盤にメディウスのサブパイロットとして自軍にスポット参戦するが、今回のラストボスもまた彼女である。最終ボス版は、科学者でありながら能力値が異様に高い。これはAI1によるものだと思われる。反撃のカウンターさえ対処すれば、思考パターンによりHPの低い戦闘機狙いを行うので、そこを戦艦の援護防御なりで回避すれば恐れることはない。
OGシリーズ
- スーパーロボット大戦OG外伝
- 連邦大学におけるアクアとのイベントが再現されている。そしてツェントル・プロジェクトに参加する。そこではドナ・ギャラガーが創造したウェンディゴの再調整を任されることに。この場面でエルデの腹黒さが強調されており、MXをプレイした人には今後の展開を想像させる。試作段階のAI1をウェンディゴの自律回路に組み込むことで完成させるが、出番はここまで。その後、レジセイア脱走の際に行方不明となる。
- 第2次スーパーロボット大戦OG
- アルベロのサポートとしてメディウス・ロクスと共に中盤から登場する。MX以上に狡猾、非道な面が目立ち、ガイアセイバーズ内に対抗馬が色々存在することもあってかAI1の有用性を証明するべく手管を巡らす。MX勢を除いた身内での一番の被害者はおそらくトオミネ博士で、次点はドゥバン。MXとは違い、アルベロを銃撃し傷を負わせる事にも成功している。最後はMXでは叶わなかったMODEL-Xことガルベルスを持ち出して決戦に挑んでくる。条件次第ではそこで決着だが、特定ルートに進むとMXをなぞる展開に(第三形態は省かれたが)。
- 作中、MODEL-XにAI1を搭載しない理由としてインターフェースが対話型ではないことを挙げた際、「うるさい子供など欲しくない」と返すなどエゴイストっぷりに拍車がかかっており、ミタールすら「そういう観点は歪んでいる」と評した。これにより、AI1すら自身のエゴを満たすためのツールでしかないことが確定した。
- また、AI1を異常進化させる際も焦りによるものから結果的に一度死んだMXとは違い、ほとんどの場面において余裕を持ち周囲を手駒にするなど印象が異なっている。
- だが、そんな彼女の常軌を逸した行動もアルテウルことユーゼスにとっては結果を出す為の些細な事に過ぎず。エルデの死後、AI1は彼に奪われアダマトロンを生み出す為に利用されてしまう事となった。
パイロットステータス設定の傾向
精神コマンド
- 集中 ひらめき 努力 期待 覚醒 愛
- メディウス・ロクスでのスポット参戦時で使用可能。サポートに徹するなら期待を所持しているのがかなり大きい。このラインラップに見るに、やはり彼女の上昇志向が垣間見える。愛はAI1だろう。
特殊技能(特殊スキル)
パイロットBGM
- 「All In 1」
- イベント時のBGMであるが、戦闘BGMでない。
- 「Victory(Ver.MX)」
- AI1と共に、最終シナリオ後半の専用BGM。MXのOPテーマソングのオーケストラアレンジバージョン。
- 「Victory」
- 第二次OGで使用。ハードルート限定で聞くことができる原曲である。代わりにオーケストラアレンジは聴けなくなったが、それ以上に燃えるものである。
人間関係
- AI1
- エルデの最高傑作。AI1を進化させるために行動させるが、自身のエゴを満たすためのツールでしかない。最終的には彼女の命令に従わず、彼女共々爆散した。
- アルベロ・エスト
- メディウス・ロクスのパートナーである。エルデ自身はAI1のためにしか思っていなかったのだが、図らずもアルベロの意思がAI1のプログラムに影響し、最終的にAI1が彼女の欲望を裏切る結末となる。
- ミタール・ザパト
- ツェントル・プロジェクトの責任者。彼自身は人の意思によるマシンを目標としており、コンピュータであるAI1には否定的。そして、否定されたエルデはザパトを撃ち殺すのだが…。
- アクア・ケントルム
- 大学時代の教え子で、彼女からは「ミッテ先生」と慕われていた。しかしエルデは彼女の恵まれた環境に憎悪を抱いており、アクア自身がエルデの本性を知るのは、メディウスを通して対峙した時である。第2次OGではMX以上にアクアを憎んでおり、言葉巧みに彼女の心を追い詰めている。
- ヒューゴ・メディオ
- 同じような境遇ながら、彼自身はエルデの事情は知らない。暴走した欲望の塊である彼女を討つ。
- ドナ・ギャラガー
- OGシリーズでは共にツェントル・プロジェクトに関わっている。内心では彼女の事を侮蔑し、嘲笑していた。エルデと彼女はいくつか共通点を見出せるが、人間性は大きく異なっている。
- ドゥバン・オーグ
- 『第2次OG』にて、AI1のためにと彼を唆す。
- トウマ・カノウ
- 『第2次OG』にて、その醜い本心を曝け出した際に、案の定「外道」と呼ばれている。
- カオル・トオミネ
- 量産型ジンライに搭載するAI・0を提供した。
他作品との人間関係
- ネルフ
- MXのAI1はMAGIシステムを手本としている。元々、エルデはMAGIシステムの開発に関わっていた。
- ゼーレ
- 実はネルフのスパイである。その過程でMAGIシステムに注目し、図らずもゼーレの保険として人類補完計画が失敗したときの後釜となった。
- 赤木ナオコ
- 赤木リツコの母親で、MAGIシステムの開発者。かつて彼女とともにMAGIシステムの開発にあたった。
- ひびき洸
- 彼からラ・ムーの星を強奪し、AI1を究極進化させた。
- 神名綾人
- MXの最終決戦にて真聖ラーゼフォンとなった彼の参戦に無様に恐怖し、怯え、取り乱す。
- チボデー・クロケット、ブルー・ジェット
- マグネイト・テンのメンバーの中でも特にエルデに対して嫌悪感を露にしていた二人。アルベロがデビルガンダム戦やEVA量産機戦に際してマグネイト・テンに対して共闘を申し出た際にはアルベロに対するそれとは比べ物にならないほどエルデに対して嫌悪感と不信感を露にしており、MX本編の最終局面においてエルデが歪んだ欲望を爆発させた際には、当然激しい怒りに声を荒げていた。
名台詞
MX
- 「あなたは優秀な生徒だけど、感情のコントロールが不得意なのが短所だわ」
- アクアの回想にて。彼女の欠点を指摘して、大学を去る。図らずも苦言を強いたエルデが、アクアにその身を教えこむととになる。とは言え、その言葉が最終的にはそのまま自身に跳ね返る事になるとは…。ちなみにOG外伝でも全く同様のやり取りがある。
- 「あなたは私たちの計画には不要な存在なのよ」
「アクア…私はあなたのことを何とも思っていなかったわ」
「アクア…あなたは教え甲斐のある生徒だった。でも…それだけよ」 - アクアに本性を曝け出し、アクアはショックを受けてしまう。
- 「死中に活を見出す?倒すべき敵を倒す?必ず生きて還る?」
「復讐?過去の清算?アハハハ、そんなものお笑いだわ!」
「そういう下らない感情に縛られているから、あの男はAI1から排除されたのよ!」 - 最終話で自分だけがAI1に必要と見做され、再生を果たしたという優越感から、アルベロの信念を徹底的に嘲笑し続ける。だが、直後ヒューゴから指摘された言葉の矛盾に、エルデは声を詰まらせる。
- 「暴走ぅ!? 勘違いしないでよ! AI1は完璧よ! エラーもバグもミスもブランクもどこにも無いわ!!」
- ロムとの戦闘前会話で、彼に追従してAI1の暴走を指摘するレイナへ発した反論だが、己自身が最大の「エラー」である事を自覚出来ていない自己陶酔ぶりに、ドリルも「駄目だ、こりゃ」とサジを投げた。
- 「消え失せなさい! 私とAI1の世界に、お前のような機械仕掛けの神は要らない!そう!神も人も要らない! AI1だけがあればいいのよ!!」
- MXの最終決戦にて、自分を討ちに現れた真聖ラーゼフォンに無様に怯え、恐怖し、取り乱して。
- 「お別れを言いなさい…!貴方を取り巻く全てのものにねぇ!」
- 最強武器使用時の台詞の一つ。ちなみにOGS以降、なぜか全く関係ないはずのユウキ・ジェグナンの決め台詞に採用されている。
- 「アハハハハハ…!! 見える、見えるわ! AI1の世界が!! アハハハハ…!!」
- AI1最終形態撃墜時のセリフ。何気に第3次α以降の作品でラウ・ル・クルーゼが似たような言い回しの撃墜台詞を使用。
- 「そ…んな馬鹿な!!AI1が!私の子がそんなことを!!あり得ないッ!あり得ないわ、絶対にッ!!絶対にィィィィッ!!」
- MXでの最期の台詞。AI1にも自分を拒絶され、最期まで己の間違いを認める事無く、狂気と錯乱と絶望の中で朽ち果てる。それまで散々「AI1の成長を見届けたいだけ」と言っておきながら、そのAI1の成長を認めようとせず、どこまでも身勝手に喚き続ける。その最期は同じバンプレストオリジナルのマッドサイエンティスト敵キャラであるアードラーやゼツらと同じく、無様で惨め極まりない末路と言えよう。
OG外伝
- (……自滅したわね、ドナ。おかげで手間が省けたわ)
- 「踊る揺籠」クリア時、ドナの更迭を聞かされて。もしこの一件がなかったら、エルデが何らかの手段でドナを排除していたのだろう。
- 「つきましては、プラン名を変更させていただきます」
「“AI1・プラン”……ですわ」 - エルデが引き継いだウェンディゴ・プランの新名称。そして第2次OGにて、その予感は的中する。
第2次OG
- 「ねえ、アクア。最期にお願いがあるの」
「あなたの綺麗な顔が歪み、潰れていく様を先生に見せてちょうだい」
「苦しみぬいて死ぬのよ。 そうすれば、あなたのことを好きになってあげてもいいわ」
「……少しはね」 - 第50話にてアクアが搭乗する機体をガルムレイド・ブレイズとサーベラス・イグナイトに捕縛させて彼女にこう言い放つ。元とはいえ教え子であるアクアに『最期』という言葉や、一連の残酷な台詞を平然と言える(しかも表情は冷酷な笑み)あたり、その底知れぬ醜悪さが見て取れる。結局、アクアがヒューゴに決死の叫びをして失敗に終わったが。
- 「……いいわ、AI1……好きになさい……。でも、アルベロ……あなたはもう用済みよ」
「予想外の展開だったけど……どのみちあなたに対してはこうするつもりだったのよ」
「そのままAI1に取り込まれるがいいわ。ただし……死体となってね」 - 第50話にて用済みとなったアルベロを銃撃して。アルベロもまた、己の野望を達成させるための道具にしか過ぎなかった。そして…
- 「最期に教えてあげる。 フォリア・エストはこの世に存在していないわ」
「あなたが見ていたものは、偽物よ。他人の死体にに整形手術を施しただけ。よくできいたのでしょう?」
「それとも、本物だと信じたい? でももう真偽は関係ないわね。ここで死んでゆくあなたには」 - 「フォリアが瀕死ながらも生きている」と思っていたアルベロにそれをミタールが自分自身に従わせるために仕組んだブラフだと教えた。死の間際にそれを冷たく笑いながら告げるあたり、今作のエルデはジ・エーデルと同じく『完全に妥協の余地がない悪役』として描かれている。
- 「もちろん。 私はただ、自分の探究心に素直なだけ。 その邪魔をするものは死んで当然だわ」
- AI1を否定したという理由でミタールを殺し、それすらも平気で言う態度からヒューゴから「正気か」と言われて。この言葉からエルデの人物像がよく分かるだろう。実際、トウマから「外道」と戦慄、エクセレンに「呆れるくらい見事な悪女」と吐き捨てられる。作中屈指の純悪といってもいい姿である。