カテジナ・ルース

2016年10月9日 (日) 21:10時点における115.162.249.10 (トーク)による版 (→‎αシリーズ)

概要

ポイント・カサレリア近くの都市ウーイッグに住む上流階級のお嬢様で、元々はウッソ・エヴィンのペンフレンドで、憧れの人であった。

ベスパの攻撃で家を焼け出され、カミオン隊に合流するが、これが人生を大きく狂わせていくきっかけになってしまう。

人物

他者に対して極端なまでに潔癖さを求める、排他的にすら感じられる性格。その性格が醸成された裏には、両親の存在があったと思われる。 仕事ばかりで家庭を顧みない父親、それにかこつけて愛人を作っていた母親。そしてそれを許せないながらすがって生きるしかない矛盾と無力な自分。 こういった要因が、彼女の器用とは言えない直情的で苛烈な、よく言えば完璧主義、悪く言えば潔癖な性格を作り上げていったのだと思われる。

ザンスカール帝国リガ・ミリティアの争いに嫌悪感を示しウッソを庇うこともあり、優しく綺麗なお姉さんとウッソには思われていたが……。 しかしどちらかと言えばそれは優しさからというよりは、潔癖症に近い「大人への反発」から出たものであろう。 生まれ故郷であるウーイッグがベスパの攻撃で焼け出された時、「堕落しきっていた街だから焼かれてよかった」と言い放っており、この台詞からも彼女の抱える、周りの世界への嫌悪感が見て取れる。

いずれにせよ、だらしない母や情けない父への反発、それが是正されない社会や歪んだ大人への嫌悪感が根底にあったことは想像に難くない。

こういった背景から、自分に紳士的に接してくれたクロノクル・アシャーに好意を抱くようになったのだろうと思われる。 彼女にとってすればウッソを含むカサレリアや、周りの環境は捨て去りたいものであったのだろう。彼女自身の苛烈な性格にも一因はあるものの、リガ・ミリティアの老人たちとそりが合わなかったことも関係して、ザンスカールへと興味を移していった。

これらの性格は、後にザンスカールに下っても変わる事は無いどころか、むしろより悪化させていくようになる。 なまじ能力があることも拍車をかけたのだろう。高慢な振る舞いを見せては兵士達に反感を抱かせており、「あの人(カテジナ)が一番、MSの弾薬を無駄に使っている」と、陰口を叩かれていた事もある。 エンジェル・ハイロゥ攻防戦の時期になると、目的の為に手段を一切選ばない狡猾さや凶暴さも見せるようになる。 後に引けないほど追い詰められていたからとも取れるが、ウーイッグにいた頃の不器用なお嬢様の面影は完全に無くなってしまっていた。 そして攻防戦の果てにウッソの気持ちを利用して騙し討ちするほどにまでエスカレートしていくが、それがかつて自分が忌み嫌っていた「汚い大人たち」そのものであることに彼女が気付くことはなかった。

総じて、周りの社会や戦争に振り回され歪んでいった悲しいキャラクターである。……はずなのだが、強烈な言動からあまりそうは見られていないようである。

来歴

当初はウーイッグで暮らす箱入り育ちのお嬢様に過ぎなかったが、彼女の人生は、ザンスカールのクロノクル・アシャーに誘拐されたことで一変する。

周りと上手く付き合えない自身に対し、優しく紳士的な態度を見せたクロノクルに惹かれ、その結果、彼女はリガ・ミリティアとザンスカール(クロノクル)の間で揺れ動き、この迷いはパイロットとしてウッソたちの前に再び現れるまで続いていた模様。

当初はクロノクルの秘書的な立場に過ぎなかったが、ザンスカールの理念に共感を示していった結果、かつてあれほど嫌悪感を抱いていたパイロットとなり、べスパの一員となる。元々パイロットとしての才能があったのか、尋常ならざる速度で腕を上げていくが、戦場が宇宙から地上に移り、モトラッド艦隊による「地球クリーン作戦」が開始される時期あたりから、次第に冷酷さや高慢さが増していく事になっていき、特にウッソに対する偏執的な憎悪と執着が、精神面の暴走に拍車をかけていくことになる。

エンジェル・ハイロゥ攻防戦に移ってからは凶暴さと狡猾さに拍車がかかっており、侵入してきたV2ガンダムに対して、女性親衛隊であるネネカ隊に水着姿の生身で戦わせて捨て駒にした挙句、鹵獲したガンイージで味方と錯覚させて不意打ちを行っている。更にその後は、情緒不安定になってエンジェル・ハイロゥに攻撃を行ったり、心身共に傷ついたフリをしてウッソを油断させ、刃物で刺してまでいる。

シュラク隊の生き残りであるフランチェスカ・オハラや、ミリエラ・カタンコニー・フランシスを次々とその手にかけていき、リガ・ミリティアに身を置いていた時期に交流のあったオデロ・ヘンリークまでも容赦なく殺害するが、その直後にV2ガンダムに乗ったウッソによってクロノクルのリグ・コンティオが撃墜され、クロノクルも、姉のマリアを求めながら命を落とす事になる。ウッソへのフラストレーションを極限にまで肥大化させたカテジナは、ウッソを待ち構えてゴトラタンのメガビームキャノンでしとめようとするも、V2ガンダムの光の翼による衝撃に吹き飛ばされ、落下していった。

ザンスカール戦争の終結後、最終的には記憶と視力を失い、ワッパに乗って既に廃墟と化したウーイッグへ帰っていった。富野監督に曰くカテジナを殺すつもりはなかったがタダで済ますことは(作劇上)できないので、ペナルティとしてこうなったということ。しかし、それと同時に彼女にこのような救いのない役回りを与えてしまった事に罪悪感も感じていたようで「頑張って狂ってくれた彼女を救うには これしか無かった」とも語っている。

富野監督自身の筆による小説版では、リガ・ミリティアの秘密工場が襲撃を受けた時に全身に大火傷を負い、茫然自失の状態になっていた所をクロノクルに救助される。その後、治療手術に耐えた事から強化人間にされた後べスパのパイロットとなりゴトラタンに搭乗、最終決戦の中で命を落としている。同作では明確にクロノクルと恋仲になっており、性行為も行っている。

その他

原作ではかつてのアムロ・レイらと同様、額から白い稲妻の様なものを発しているシーンはあるものの、ニュータイプとも強化人間とも明言されていない。一方小説版ではザンスカール帝国によって明確に強化されている描写が存在し、それを反映してか、あるいは原作後半の情緒のあまりの不安定さを反映してか、スパロボにおいては強化人間である場合が多い。

登場作品と役柄

旧シリーズ

第2次スーパーロボット大戦G
初登場作品。拉致されてDCに所属し敵パイロットとして現れるルート、味方のオペレーターになるルートがある。味方の時は髪をおろした民間人バージョンのままだが、敵の時はパイロット時代の髪型のグラフィックになる。
敵対する場合のルートでは、ホワイトベース隊がミチルのゲッターQを倒した時、やむをえなかったとはいえ味方を攻撃するやり口にカテジナが嫌悪感を抱くシーンがあり、DCに入る理由付けがされている。なお『電視大百科』によれば敵対ルートが正史であり、原作とは違い死亡したとされている。

αシリーズ

スーパーロボット大戦α
最初は非戦闘キャラで中盤から敵として登場。初登場時でも、自分達を助けてくれたロンド・ベル隊のメンバーと反目するなど、可愛げのない性格は相変わらず。ウッソとの間に会話イベントが用意されている。リグ・シャッコーゲドラフゴトラタンと乗り替えていく。丁度ゴトラタンに乗り替えた頃に強化人間技能が付くため、それ以前とはかなり強さの印象が変わってくる。何気にを習得していて攻略本にも「あなたの愛はそうとう歪んでいますよ」などと書かれた。
スーパーロボット大戦α外伝
前大戦でいうところのジュピトリアン唯一の生き残りだが、記憶を失っている。ティターンズが決戦で戦力として繰り出して来て、本人はこちらへの嫌悪感を動機に襲い掛かってくる。その後は未来世界に移っており、未来編では放浪していた所をギンガナム艦隊に救助されるが、その嫌悪感を利用され再び対峙することに。乗機は一貫してゴトラタンのみだが、αのものからかなり性能が低下している。それでも9話時点では十分厄介で、後半に出てくる際には強化人間レベルの上昇により、回避が恐ろしく上昇している。いずれも底力の発動だけは避けたい。最終的には記憶を取り戻すが、それは爆発するゴトラタンの中、もしくはウッソをギンガナムのから庇う中で、その後戦死してしまう。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦D
原作通りの展開で敵になる。リガ・ミリティアルートを通っていると、主人公と戦闘前会話が発生する。ウッソの説得とルート次第で、なんとクロノクルと共に仲間になる。味方版は顔グラが前半Ver.となり、カットインが付く(敵版はカットインなし)。また、敵の頃に比べて性格がだいぶ丸くなっている。憑き物が落ちたといったところか。仲間にならなかった場合は、リガ・ミリティアルートではEDにおいて原作通りの展開でシャクティに道に尋ねた事が示唆されている。他のシリーズのように死亡したりしないだけ扱いはマシであろう。現時点では相方のクロノクル共々、最も扱いが良く救われた作品。
Lvは低めなものの強化人間である上に、を併せ持ち(その代わり熱血はない)、底力のレベルが8まで上がる猛者。更には、乗替によってウッソとの合体攻撃まで可能になる優遇っぷり。また、クロノクルとは違って敵時にステータスが引き継がれないのも利点。少々面倒だがバグ(仕様?)により一周目から全ステータス+255なんてことも。

単独作品

新スーパーロボット大戦
声入りで参戦。今回は敵対するルートのみ。強化人間扱いの為少々手強い。強化人間技能はこの後の作品でも必ず所持する事になる。隠しマップ『狂気の力』には登場しないが、本編で死亡したかどうかは明言されていない。なお没データでは民間人バージョンのパイロットデータが存在しており、ボイスも収録されている。
新スーパーロボット大戦 スペシャルディスク
フリーバトルに登場。またおまけマップでは敵としても出現する。

パイロットステータス設定の傾向

精神コマンド

α
加速気合挑発奇襲
D
加速気合必中ひらめき

特殊技能(特殊スキル)

小説版の設定を採用してか、強化人間技能を所持している。

切り払いL6シールド防御L6強化人間
α
強化人間L5シールド防御L7切り払いL6
α外伝
底力強化人間L4シールド防御L5切り払いL3
D
強化人間L4底力L8シールド防御斬り払い撃ち落とし援護攻撃L3コンボL2
自軍パイロット中、唯一底力とNT系技能を両立する(敵軍ではファラ・グリフォンが該当)。

人間関係

ウッソ・エヴィン
何と表現すれば良いのか、とにかく互いに因縁の相手である。物語の序盤までは、異性に関心を持ち出した少年が憧れる対象の美しいお姉さんというよくあるキャラクターであったが、物語が展開するにしたがって登場人物の性格や人物同士の関係に大きな変化が起こることは数あれど、ここまで強烈な印象を残す例も珍しい。
ただし、富野由悠季氏によってウッソ(=嘘)と名付けられた彼の本質を、最も深く理解している人物とも言える。事実、富野氏はウッソ自身やその両親らを肯定的には描いておらず、劇中でカテジナがウッソに対して投げかけた言葉や嫌悪感は、そのまま製作者による問題提起でもあった。
シャクティ・カリン
序盤では自分が赤ん坊の面倒を見るのが苦手なので、彼女に代わりにやってもらうなど世話になっていた。後半になるにつれて、女王の娘というだけで特別扱いされる彼女に嫉妬とも嫌悪とも付かない憎悪めいた感情を抱くようになる。
なお、この『機動戦士Vガンダム』という作品は総括的に見れば『2つの母性の対立』ともいうべきシャクティとカテジナの2人の相克にテーマが秘められており、シャクティが『子供を暖かく包み込む、慈愛に満ちた母性』ならば、カテジナは『子供に対して威厳的なもので、生きていく術や知識を教え、しつけや厳しさに満ちた母性』という、人間の母性が持つ2面性の戦いとも言うべきものであった。
クロノクル・アシャー
ガンダムシリーズでおなじみの仮面の男(正確にはマスクだが)であり、主人公であるウッソのライバルとして登場したが、彼女を人質として誘拐したのが不運(?)の始まりであった。カテジナは「私の巣」と例える程まで、クロノクルに依存していたが、クロノクルが最後に求めたのは自分ではなく、たった一人の肉親である姉のマリア・ピァ・アーモニアであった。
ルペ・シノ
新人時代の上官。

他作品との人間関係

ガンダムシリーズ

宇宙世紀ガンダムシリーズ

アムロ・レイ
αでは、序盤で民間人としてアーガマ隊に保護してもらった際に、葵豹馬と一触即発の状態になった時に、彼と甲児から仲裁を受ける形で諭される。
ブライト・ノア
αでは、序盤で民間人としてアーガマ隊に保護してもらった際に、彼とオイ・ニュング伯爵に降ろしてもらうように申し出て、用件を受け入れてもらう。
カミーユ・ビダン
Dでは、エンジェル・ハイロゥでの最終決戦の際に、ウッソとクロノクルの一騎打ちのときに、やたらとウッソにアドバイスを送り横槍を入れる彼に、狂気ともとれる敵愾心を剥き出しにする。また、ガンダムファンからは「カミーユが暴走の王様なら、カテジナは暴走の女王」と評される事もしばしば。
パプテマス・シロッコ
αでは、同じジュピトリアンとして彼の指揮下で行動する。
バスク・オム
α外伝ではバルマー戦役後に敗残兵となったカテジナを拾い上げ、再強化して配下にした。

アナザーガンダムシリーズ

東方不敗マスター・アジア
第2次Gにて彼の暴れっぷりに驚愕していた。
リリーナ・ドーリアン
Dでは、彼女がブルー・スウェア代表としてザンスカール帝国の代表のクロノクルと停戦交渉を行っている最中に、彼女がザンスカール帝国の方針に対して諫言を示した事が癪に触って、後述の台詞で食って掛かった。

正暦作品

ギム・ギンガナム
α外伝では記憶喪失の状態のまま、未来世界で彼の部下になるが道具程度の扱いであった。展開によっては彼の攻撃からウッソを庇い、命を落とす事に。

スーパー系

ダイナミック系

兜甲児
αでは、序盤で民間人としてアーガマ隊に保護してもらった際に、豹馬と一触即発の状態になった時に、彼とアムロから仲裁を受ける形で諭される。
早乙女ミチル
初登場の第2次Gでは、ミチルを倒すかどうかでカテジナの運命が決まる。

長浜ロマンロボシリーズ

葵豹馬
αでは彼らが地球を守るために戦っている事を、彼に対して無駄に戦火を広げているだけだとなじってしまい、彼と一触即発の状態になる。

バンプレストオリジナル

ジョシュア・ラドクリフ
Dではリガ・ミリティアルートを通ると彼と因縁が出来る事に。

名台詞

「ウーイッグの街は、こういう風に爆撃されて良かったんです。特別区の特権にすがっていた人々は、みな堕落してしまいましたから」
自分の住んでいた町が焼かれたはずだが、彼女が返した反応は非常にドライなものだった。「堕落した」という点については、大きな視点から見れば事実ではあるのだが…。この台詞の前に目を閉じ、何かを思い出すような仕草をしている。彼女の言う「堕落していた人々」とは、おそらく彼女の……。
「怖い人だけにはならないでね、ウッソ」
MSパイロットとして能力を開花させつつあったウッソに向けて。言った本人の方が後々怖い人になっていくという事はビデオ最終巻の映像特典でも指摘されていた。
「これがあなたの顔、これがウッソの顔なのよね…」
「思い出というものは遠くなってしまうものだから宝にもなると言うのに、あなたという人は、ピーチャカと動き回って」
26話、リグ・シャッコーを駆り、ウッソのVガンダムを追い詰めながら。ウッソが敵であると頑なに思い込もうとしているのだろうか。Dでは戦闘前台詞としてほぼそのまま再現されている。
「いちいちこれ見よがしに強くなって現れる……可愛くないのよ!」
敵として対峙したウッソに向かって言った言葉。「僕が……可愛くない?」とウッソはショックを受けてしまう。
「貴様たち!その態度おぼえておけ!」
マケドニア・コロニーでウッソたちの引き渡しを求めた際「お前たちが来たから逃げられたんじゃないか!そっちで探したらいいだろう!」と言われて。この相手は足元にいたにも関わらず、直後にゲドラフのタイヤで突っ込んでいる。
「とうにおかしくなっている!」
シャクティに「おかしいですよ!」と言われた時に。
「トチ狂ってお友達にでもなりに来たのかい? アハッ!」
エンジェル・ハイロゥの波動を不快に感じたため、それを攻撃するカテジナを見て味方と誤解してしまったフラニー機を叩き墜とした直後にあざ笑いながら。彼女を語る上で必ずといっていいほど出る台詞である。
「クロノクルは私に優しかったんだ! それを!!」
ウッソに言い放った彼女の本音。
「クロノクル、来い!」
ウッソに負けそうになった際、近くにいないクロノクルに向けて放った言葉。
「戦え…クロノクル、ウッソ……。私の手の中で戦いなさい……。勝った者を、私が全身全霊をかけて愛してあげるよ」
ウッソとクロノクルを戦わせた場面での言葉。女の本能をむき出しにして、2人の男が自分を巡って戦うという状況(※カテジナ視点)を楽しんでいる。この場面はイメージ背景で彼女が手を広げ2人に覆い被さるように描かれていた。この後、結果的にウッソが勝つものの、愛するどころかクロノクルの仇としてますます憎悪を向ける。はなからクロノクルを勝たせようとしか思ってはいない。
「獲り合うなら全力を尽くしてやっておくれよ」
最終話冒頭にて。ウッソとクロノクルの戦いを眺めて舌なめずりする彼女に、もはや清楚なお嬢様だった頃の面影など微塵も残っていなかった。
「私が好きなんだろう、ウッソ。ずっと愛していたんだよね?」
「私も、君のような少年にこんなに思われて、とっても嬉しいわ」
「戦いのケリもついたようだわ…君が勝ったの。でもあたしはクロノクルを愛してしまったから、君と抱き合う事はできない。だから殺してちょうだい」
「どうしようもないでしょう?!こうまで君と戦ってきたあたしが、クロノクルのところに行くしかないのよ。だったら潔く君の手で、このあたしを…」
最終話、クロノクルを降すもエンジェル・ハイロゥのブロックに挟まれ身動きが取れなくなったV2の前に、ゴトラタンが降り立つ。ハッチを開き、カテジナは勝者となったウッソに対して「自分を殺して」と懇願しながらウッソに接近する。ウッソは「死ぬことなんてありませんよ」とカテジナを受け止めるが…
「甘いよねぇ、坊や!」
しかしそれはカテジナの罠だった。油断したウッソの脇腹に隠し持っていたナイフを突き立てながらこの台詞である。もっとも致命傷を与えるまでには至らなかった。
「クロノクル、白いやつを手向けにしてやる。そしたら!」
「外れた!?なんで!」
亡き想い人のため、ブロックに挟まれたV2を狙い撃つものの、そのビームはV2を拘束していたブロックに当たり、脱出を許してしまう。この時からすでに失明の兆候があったのかもしれない…。
「来ると思ったよ……。甘ちゃん坊やは、この艦が沈めばこの艦もろともみんなが幸せになるんだろう?」
最終局面でウッソを待ち伏せした際に。富野節全開である。
「ば、馬鹿にして……。坊主がやること!坊主がッ!!」
そして、待ち伏せにひるまなかったウッソに激昂してこう吐き捨てる。"坊や"から一転して"坊主"、である。
「まやかすなぁッ!!」
上記の台詞の後、なおも向ってくるV2に対して。直前でオデロらの残留思念がウッソに語りかけており、それを聞いてしまったため振り切るかのように叫んだ一言。この時、瞳のハイライトが消えている。
「い、いえね……冬が来ると、訳もなく悲しくなりません?」
最終回にて1つ残らず全て失ったカテジナがシャクティに残したセリフ。宇宙世紀シリーズのラストを飾るシーンであり、視聴者に何とも言えない悲しみを与えた。

スパロボシリーズの名台詞

旧シリーズ

「ヒジョーシキだわっ!! あんなのって!」
第2次G』第13話「デビルガンダム出現」より。東方不敗の暴れっぷりに驚愕して。確かに非常識だが……

αシリーズ

「私はあなた達に助けてくれと頼んだ覚えはないわ」
「それに、あなた達の行動は無駄に戦火を広げているだけではなくて?」
α』第11話ジャブローへ向かうルート「白いモビルスーツ」より。豹馬達と口論になった時の台詞。人々の為に、地球の平和の為に対して戦っている彼らに対して確かに幾らなんでもこの言い方は失礼であろう。『α』から更に後の時代にも、このカテジナの発言以上に空気の読めない身勝手極まりない発言をαナンバーズにぶつけて彼らに不快な思いをさせたもいるが。
「そ、それは…」
上記の台詞の後、険悪な雰囲気となり豹馬と一触即発になったところを、アムロと甲児から仲裁され甲児から「もし、あんたが逆の立場だったら、自分に助けを求めてくる奴を見殺しに出来るってのか!?」と問いただされて返答に窮した台詞。流石のカテジナも(少なくともこの頃はまだ)そこまで人間が腐っていたわけではなく、いくらか良心が残っていた事から多少ものの見方が狭く考え方にこそ問題はあるが、決して根は悪い人間ではない事が伺える。しかし、その後ブライトが甲児を制止した事で意を汲んでもらう事となる。
やはり、原作の終盤であそこまで狂ってしまったのは戦争が起こした狂気と、自分の居場所を何処にも見出せなかった事から精神的に追い込まれてしまったゆえの悲劇だったと言える。
「…ウ…ウッソ……!」
α外伝』第38話「月光蝶」において、カテジナを撃墜しなかった際のαシリーズ最後の台詞。ギンガナムの奇襲からウッソを庇った際に、記憶を取り戻して発した一言。すでに機体が限界であったため、耐えられずに戦死という悲惨な最期を遂げる。何も分からないままギンガナムに利用され、彼自身に殺されるという最期は、余りにも報われない。
「あ、あの頃の……」
「あの頃の…ウーイッグに……!」
同上。カテジナを撃墜した際のシリーズ最後の台詞。上記共にウッソが脱出を促すが、錯乱しているのかそれを聞き入れないまま機体と共に爆発してしまう。こちらでもギンガナムに利用されるだけ利用されたことは変わらず、新西暦の人間では唯一未来世界での死亡が確定しており、いずれの場合もウッソは新西暦の時代に連れ戻せなかったことを悔いている。最後の最後で依存していたクロノクルの名でなく、忌み嫌っていたはずの自分の生まれ育った故郷の名を呼んでいた事から、カテジナが心の底から本当に欲しがっていたのは、自分を受け入れてくれる愛情と優しさに満ちた暖かい家庭だったのだ。

携帯機シリーズ

「ジョシュア・ラドクリフ。あなたのような男は、戦いをして犯した罪をつぐないなさい!」
D』リガ・ミリティアルートを通った場合に発声する「ザール艦隊総司令、クロッペン出撃!」におけるジョッシュとの戦闘前会話より。
「ピースクラフト。貴女は話し合いにきたのか? それとも我々をバカにしにきたのか?」
『D』「聞こえないレクイエム」シナリオデモより。ブルー・スウェアベスパの停戦交渉の最中、リリーナがベスパは地球侵攻の大義名分としてマリア主義を利用しているだけであると苦言を呈した際、癪に障って彼女に対して反射的に放った台詞。
カテジナから見れば、リリーナもウッソに通じる綺麗事に信念をかける反吐の出そうなものを持っていたので気に食わなかったのだろうが、地球圏もザンスカール帝国も分け隔て無く人類全てを平和へ導きたいと考えるリリーナに対し、何よりも個人的感情を優先させる利己的かつ視野の狭いカテジナという、両者の器の違いを見せつけられる事となった(そもそもリリーナは今はクロノクルと交渉しているのであって、副官で立会人とはいえカテジナが口を挟んでいい場面ではない。事と次第によってはこういった独断専行が、本来なら交渉決裂に繋がりかねない。自分の立場を理解せず分を弁えようともしない態度もさりげなく原作通りに再現されている)。
「…はい。もし私1人が生き残ったのなら、死ぬほかはありませんでしたし…そういう覚悟をされたクロノクル大尉と一緒なら、私も居場所を失わずに住むと思えます。周囲の人たちからは、大尉が守ってくださるのでしょう?」
Dの終盤、ブルー・スウェアと共に戦う事を決意したクロノクルに「共に来て欲しい」と言われて。この返答に、クロノクルも「君がいてくれれば私も嬉しい」と喜ぶ。原作終盤とは大違いで、互いに信頼しあう恋人同士としてよき関係となっている。
「すっかり、戦士の顔になったのね、ウッソ。あなたが戦いの中でカサレリアのウッソくんではなくなったように、私も、もうウーイッグのカテジナ・ルースではないわ。それは、覚えていてちょうだい」
Dの終盤、ブルー・スウェアと共に戦う事を決意した直後のウッソとのやり取り。カテジナもどこか複雑そうで、切ない台詞。

搭乗機体

リグ・シャッコー
最初に搭乗した機体。事もあろうに、ウッソが初めて戦ったシャッコーの発展型に初恋の相手が乗って自らの前に立ち塞がるという因果。
ゲドラフ
タイヤ型のオプション「アインラッド」を装着した機体。カテジナ曰く「リガ・ミリティアの連中の鼻を明かせる」と意気込んでいたが……リガ・ミリティアの新型に一蹴される。
ゾリディア
同じく「アインラッド」を装着した機体。
ゴトラタン
最後の乗機。カテジナの狂気と合わさって、脅威的な性能を発揮。小説版ではクロノクルが本機のカラーリングを目にした際、前夜抱いた際のカテジナの女性器の色を思い出すというシーンが存在する。

余談

  • 『コミックボンボン』で連載されたコミカライズではまったく登場しない。その為か、同誌のリグ・シャッコーの紹介記事内で「カテジナさんって、覚えてる?ウッソがウーイッグにいた頃、憧れていた女の人だ」と、何やら弱気な紹介をされていた。
  • 寿司(ことぶきつかさ)氏のギャグ漫画『いけ!いけ!ぼくらのVガンダム!!』では「カテ公」と呼ばれており、それが広まって一部ファンの間でもカテ公と呼ばれることがある。なお、彼女はラストシーンでシャクティによってワッパに爆弾を仕掛けられて爆殺される(!)という結末になっている。

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