ギニアス・サハリン(Ginius Sahalim)
- 登場作品:機動戦士ガンダム 第08MS小隊
- 声優:速水奨
- 種族:地球人
- 性別:男
- 所属:ジオン軍
- 階級:技術少将
- 年齢:27歳
零落したジオンの名家であるサハリン家の当主で、アイナの実兄。ジオン軍の技術少将を務め、MAアプサラスシリーズの開発を進める。アプサラスの完成こそがサハリン家再興の唯一の手段と考えており、アプサラス完成に掛ける執念は妄執の域に達している。過去に母親が愛人を作ってアイナと共に捨てられた上に、現在の自身は深刻な病を抱えてしまっており、その事がますます彼の狂気を加速させてしまっている。
おそらく最愛の存在であった母親に裏切られた上に、余命幾許も無いギニアスにとっては、サハリン家の再興だけがたった一つの生きる支えとなっている様子で、故に自身の生き甲斐であるアプサラス計画とサハリン家復興を邪魔する者に対しては容赦が無い。事実、オデッサ作戦の失敗でアプサラスを開発している自身の秘密基地に無理矢理逃げ込もうとし、更にはアプサラス計画の中止を本国に進言するとまで言い出した旧友ユーリ・ケラーネを部下もろとも爆殺したり、完成したアプサラスIIIを完全に自分の物とする為、開発スタッフを完成パーティに託けて全員毒殺した上に爆弾で跡形もなく吹っ飛ばすなどの凶行を劇中で行っている。
最終決戦ではアイナと共に完成したアプサラスIIIに乗りながらも、アイナは味方の戦艦を逃がす為とはいえ、敵である連邦にろくに攻撃しようとせず、一時休戦まで呼びかけた為に「嫌いじゃなかった」と思いながらも、アイナをその手に掛けた。しかし、彼女はシローに間一髪救われ、最後は二人の乗るガンダムEz-8による捨て身の攻撃によって機体ごと葬り去られ、その孤独な生涯を終えた。
小説版でもアプサラスに対する妄執を抱えているという点のキャラ付けは同じだが、その根源となった狂気はOVAとは大きく異なっている。
登場作品と役柄
COMPACTシリーズ
- スーパーロボット大戦COMPACT2第1部
- スーパーロボット大戦COMPACT2第3部
- 第1部で生存フラグが立っていると、クロスボーン・バンガードに協力する。
- スーパーロボット大戦IMPACT
- 声が入ったがCOMPACT2と違い、第1部で生存フラグが立っても第3部に登場せずフェードアウトする。逆恨みによる攻撃力強化でMAP兵器が脅威。
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦A(PORTABLE)
- ガンダム試作2号機を奪取したガトー達を支援すべく、キンバライト基地にて本人曰く「プロトタイプ」のアプサラスIIに乗ってビッターの部隊の後詰めとして登場するが、内心では「アプサラスさえ完成すれば、こんな作戦は不要」と、やや消極的だった。またグリプス戦役で精神崩壊を起こしたカミーユを捕らえて連邦軍の情報を聞き出そうともしていた。星の屑作戦には同行しない為にその後は音沙汰なくなるが、ネオ・ジオンのジャブロー攻撃の際には遂に完成させたアプサラスIIIに乗り、ラルやノリス等と共に現れる。
アプサラスIII自体も高性能で、彼の狂気を表す為か、その強力なマップ兵器の攻撃範囲内に敵機が2機以上居れば例え味方機がいようとも発射してくるという独特の思考ルーチンを持っており、仲間にする為に放置しているノリスが巻き込まれて撃墜されたりする事もあったりする等、嫌な相手。
単独作品
- スーパーロボット大戦GC
- 最初はアイナと共にガルマの麾下として登場。その後アフリカ戦線に出向いた後ジャブロー攻撃でアプサラスIIIに乗り、そこで戦死する。
余談だが、今作では原作と違ってアプサラス計画の有用性がジオン首脳部に認められており、その為か原作のような狂人っぷりは本作では殆ど描写されていない。
- スーパーロボット大戦XO
- アフリカ戦線に出向いた際、サイクロプス隊を同行させたりといった描写が追加。技術仕官を毒で皆殺しにしたり、薬を使ってまで酷使したりと原作同様の狂気じみた描写も増えているが、GCにあった妹に対する愛情は最後まで健在だった(躊躇いも無く妹を撃った原作とは違い、アイナを銃で脅しはしたが、最終的にはノリスにアイナを連れて戦場を離脱するように命じている)。
- スーパーロボット大戦Scramble Commander
- アプサラスIIに乗ってくる。
- スーパーロボット大戦Operation Extend
- ジャブロー攻防戦においてアプサラスIIIで登場する。アイナが除隊してしまったためにアプサラス計画に狂いが生じていたようで、元凶のシローに対しては激しく憤っていた(とは言え、今回もアプサラス計画の有用性が認められたので原作のような狂人っぷりは薄い)。登場シナリオにて死亡し、OEの名有りキャラクターでは最初の戦死者となった…かとおもいきや、第6章で再登場した。
人間関係
- アイナ・サハリン
- 妹。終盤はためらいもなく彼女を殺そうとするなど、兄妹の絆はほぼ感じられないが、それでも「嫌いではなかった」とつぶやくなど、狂気に取り憑かれながらも一抹の情はあった模様。アイナもまた、ギニアスをシローと共に手にかける事に悲しみを感じていた模様。
- ギニアスとアイナの母
- ギニアスとアイナの実母。本名は不明。他の男を作って自分達兄妹を捨てた母の存在が、ギニアスの人格に大きな悪影響を与えているのは確かである。
- シロー・アマダ
- 敵である上に、妹のアイナを奪った男。アイナがシローとの間に愛を育んだ代償として、兄であるギニアスはたった一人の肉親を失い孤独になってしまったも同然で、その狂気が終盤で悪化した要因の一人とも言える。
- ノリス・パッカード
- 部下。アイナと同様、ギニアスにも強く忠誠を誓っているが、ギニアスの方はそんな彼をどう思っていたのかはあまり描写されていない。
- ユーリ・ケラーネ
- SRW未登場。ジオン軍少将で、旧知の仲であるが、図々しい態度ばかりとる上に、アプサラス計画に反対している事もあって内心では嫌っていた。
- その後、オデッサ作戦の失敗で敗走してきた上に、アプサラス計画の中止をギレンに進言しようとした為に、嫌悪は殺意へと変貌し、部下共々爆殺した(最も、この時発生した爆煙により秘密基地の所在が連邦に察知されてしまった)。
他作品の人間関係
名台詞
- 「よく味わってくれたまえ…」
- アプサラスIIIの開発スタッフに毒入りワインを振舞って皆殺しにした時の台詞。SRWでは戦闘台詞になっており、もれなくメガ粒子砲を振舞ってくる。
- 「アプサラスは、私一人のものだ!」
- 毒殺した開発スタッフ達の死体を手榴弾で吹き飛ばして。邪魔なユーリを抹殺したのがきっかけになったのか、この時のギニアスは既に狂気に飲み込まれてしまっている。
- 「馬鹿な! 愛など粘膜の作り出す幻想に過ぎん! 母様もそうやって我らを捨てたのだ!」
- アイナのシローへの思いを否定して。ギニアス達の母親は、男を作って彼らを捨て出ていっていた。このことが、他人と向き合えなくなってしまうまでにギニアスの性格が歪んでしまった要因となっている。その言葉に、アイナは孤独な心を持つギニアスを「可哀想」と評している。
- 「さようなら、アイナ。嫌いではなかったよ…」
- アイナとシローに向け、メガ粒子砲を発射して。シローとの出会いが切っ掛けで自分の元から離れてしまったアイナに対する、僅かながらの未練を表した言葉である。
- 「私の夢! 受け取れええええええ!!」
- 連邦軍本陣に主砲を発射して。アプサラスIIIからの砲撃は、敵軍の将兵(イーサン・ライヤー大佐など)を道連れにした。これがギニアスの最後の言葉となった。
スパロボシリーズの名台詞
- 「アイナ、何を迷っている。アプサラス完成…そしてサハリン家復興に勝る責務などない! これはそのためのテストも兼ねているのだ!」
- A7話「熱砂の攻防戦」or「デザート・ストーム」にて。シローの説得に揺れるアイナに対して呼びかける。しかし…
- 「なっ…アイナァッ!」
- アイナはその言葉を振り切り、アプサラスを放棄してしまう。極限状態のなか身を晒した劇中と違い、こちらでは目の前で離反してしまうため、この時のギニアスは原作より悲惨といえる状況に置かれている。ギニアスを先に撃墜した場合はこの一連の台詞は聞けない。
- 「ゴフッ…案ずるな…ジャブロー粉砕を成しえずむざむざと生きながらえたこの命…。この一戦のために燃やすのみ!」
- OEにて。UXのプレイヤーには最初の台詞(ギニアスと声が同じ人物もまた、その台詞を言っていたりする)に全てを持ってかれたと思われる。
メモ
- ガンダム世界のクロスオーバーゲームの代表である『SDガンダム Gジェネレーション』シリーズでは度々強い存在感を放っている(「DS」等でガンダムの没メカである巨大MA「グロムリン」の制作担当だったり、「アドバンス」ではなんとラスボス)。
おそらくはクロスオーバー作品において定番である「ある作品では没になっていたメカ、または各作品の技術を盛り込んだイカレたメカ」を登場させる上において、その制作者役に適した「狂気を孕んだ技術者で、かつ操縦者」と言う立ち位置に相当するキャラクターが、ガンダム世界の枠の中ではギニアスぐらいしかいないからではないかと思われる。
現時点で参戦したSRWではこれといって目立つ場面がないが、彼のような「狂気の技術者で、かつ操縦者」なキャラなど腐る程いるであろうスパロボ世界では、仕方が無い事なのかも知れない。