御使い(みつかい/Angel)
『第3次スーパーロボット大戦Z(天獄篇)』に登場する存在。「根源的災厄」の正体にして、神々の戦いである「真戦」の勝者たる高次元生命体。「至高神ソル」に仕え、神の力を操る。
人物像
一言で言い表すのならば、「究極のエゴイスト」と呼べるものであり、自分達以外全ての存在を見下し、銀河を片っ端から積み木感覚で破壊するなど傍若無人の限りを尽くす。一応の穏健派とも言えるサクリファイであってもそれが当てはまってしまう程。
その精神構造は、自分達こそが絶対の存在であるという傲慢さと、自分達の行いは何よりも正しいという独善(故に他者にもそれを強いる)を根底とする究極の自己愛・自己満足で形成されており、彼らが司る「喜怒哀楽」の感情も結局は自らのエゴイズムが生み出したものに過ぎない。そして彼らが人類の真化を許さないのは、自分達以外の人類が進化し、やがて真化に至り、自らに追いつく事を恐れていた為である。ただし、本来の意味で『真化』を行なっていない(彼らは物理的融合によって高次元生命体に至った存在)ため、「消滅しようとする力」を使用し「存在しようとする力」を忌み嫌う。
そのような存在であるため他者の言葉に耳を傾けることは一切無く、アサキムや次元将達は最初から対話による解決を放棄、戦って打倒するためにとにかく力を集めていた(対話による解決は確かに最良の手段だが、相手が強大な上に話をする気が一切なければ無意味)。
実は永遠の存在であるがゆえに「命の終焉=死」を持たないため、死するがゆえに発揮される「人間の命の力」には抵抗できないという決定的な弱点を持つ。
来歴
全ての宇宙で最初にオリジン・ローに触れ、それによって1億2000万年前に転生した惑星エス・テランに生まれしモノ。エス・テランの全ての霊子がひとつに融合し、そこから人間の基本感情である「喜怒哀楽」を象徴する4人に分離したことで誕生した。
真化を果たした当初は、自らの責務として、いずれ真化を遂げて高次元生命体となるだろう種を導く役目を課した。しかし、彼らの行為は徐々に神の傲慢さを伴った行為へと変わっていった。
シリーズ開始の1万2000年前(時空震動の連続で時間軸が狂っているため断定できないが、一番古い世界から数えて1万2000年前だと思われる)、オリジン・ロー制御システム「至高神ソル」が自我に目覚め、御使いたちの行いと、それに依拠する己の存在を否定し自らを破壊。スフィアと黒の英知に砕け、並行世界へと飛び散ってしまった。
従来通りの宇宙の管理に関しては既に至高神抜きでも問題ないレベルまでその力を高めていたものの、1億2000万年に一度の大崩壊を逃れるにはソルの力が必要であり、そのためにスフィア・リアクターを求め、自省の行動として主導をとったアドヴェントを追放した。なお、宇宙で起きる出来事が、地球の時間である「年」で計算されていたこと、スフィアの名が地球から見える星座(黄道十二星座に限らず、星座は全て地球から見える星の配列につけられた名である)の名を冠していたのは、彼らも元は地球人だからであった。
Zシリーズの世界の破界と再世は、生命の力=「存在しようとする力」と死の力=「消滅しようとする力」のぶつかり合いによって起き、事象制御の抵抗となる生命を滅ぼすことは、『存在しようとする力を削る⇒消滅しようとする力を強める⇒宇宙の崩壊を進める』ことに他ならない。そのため、並行世界に満ちる命を次々と抹殺し、銀河を破壊し、存在しようとする力を削り続ける御使いこそが、宇宙の崩壊を呼ぶ原因である。「根源的災厄」とはそのような意味である。その為「命ある者全ての敵」「真のバアル」とも呼ばれる。 本人たちは上記通りの傲慢さ故に自分達がバアルの、しかも最上位の立場になってしまっている事に気付いておらず、敗北直後にその事を指摘されて激しく動揺した。
最終的に3人の御使いは至高神Z誕生の為にアドヴェントに取り込まれ消滅し、Z-BLUEに敗れたアドヴェントも自分達の過ちを認め、残った「消滅しようとする力」の余剰を抱え、AGと共に因果地平の彼方へと去っていった。
彼らの傲慢さは上記の通り感情を4つに分けていたことも大きい。アドヴェントが自身の目的のために他の3人を取り込んだ結果、その感情も取りこんだことになり、再び喜怒哀楽が一つになったそれは、精神が再度「人間」になったことを示すものであった。アドヴェントが最後の最後で対話に応じたのはこの点も大きいだろう。
登場作品
Zシリーズ
存在自体は随所で示唆されるものの、実際にその姿を見せるのは天獄篇の終盤から。
- スーパーロボット大戦Z
- 両翅やアラン・ゲイブリエル等が御使いの名を語っているが、まだZシリーズが正式に成立されていなかった作品の為、その存在に特に触れられることはなかった。
- 実はこの時点では設定が違い、「大いなる力=太極」ということから、「太極の力の欠片たるスフィアの所有者」を「太極の使い=御使い」として、スフィアを持つ者の異称として使われていた(この時点ではアドヴェント達の設定どころか「スフィア・リアクター」という用語自体がなかった)。
- 第2次スーパーロボット大戦Z破界篇
- アネモネやアイム等、一部のキャラがその名を口にしている。恐らく、この時点で現在の設定が完成したと思われる。
- 第2次スーパーロボット大戦Z再世篇
- 「根源的な災厄」として黒の英知に触れた者達から徐々にその存在を語られる。
- 第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
- アドヴェントがクロノ改革派の行動隊長を名乗って登場。終盤アンチスパイラルにより、「根源的災厄」の正体は「スパイラルネメシスを恐れる神の怒りによる宇宙の滅亡」である事が語られる。
- 第3次スーパーロボット大戦Z連獄篇
- アドヴェントが実質的な主人公を務める。翠の地球に飛ばされていたスフィア・リアクター達と接触している。
- 第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
- これまでの戦いの裏に存在した全ての黒幕であり、多元世界最大にして最後の敵として、遂に表舞台に姿を現す。
- マップ上のユニットアイコンでは、アドヴェントは白い球体、他の3人は黒い球体で表示される。
人物
- 喜びのアドヴェント
- 喜びの御使い。全ての行為を宇宙の救済と捉え、それを行うことを喜ぶ。かつてはリーダー格だったが、1万2000年前に御使いを追放された。道具扱いしているとはいえ、その力を高く評価したりと少なくとも御使いの中では最も人間を理解している。
- 怒りのドクトリン
- 怒りの御使い。全ての行為を責務と捉え、強い怒りを以って力を行使する。エス・テランに流れ着いたシュロウガに無限輪廻を組み込んだ。
- 哀しみのサクリファイ
- 哀しみの御使い。全ての行為に哀しみを抱いている一応の穏健派だが、その行動は身勝手で一方的な独善の押し付けである。時の牢獄を作り出した張本人。
- 楽しみのテンプティ
- 楽しみの御使い。全ての行為を己の楽しみと捉えて遊びまわる。恐らく、御使いの中で最もタチの悪い存在。
その他
兵器
- アンゲロイ・アルカ
- 一般機。サイデリアルのコピー機の30倍の力があり、これを多数配備していること自体が戦力の強大さを物語る。
- エル・ミレニウム
- アンゲロイ・アルカの上位種。このクラスからMAP兵器と回復能力を持つようになる。
- ゼル・ビレニウム
- 一部の選ばれた真徒のみが搭乗する特別な兵器。ネオ・リアクター用に改修された専用機も存在する。
- ヘリオース
- ソルのコアから造られた神器。アドヴェントが所有しており、アスクレプスという仮の姿を持つ。
- プロディキウム
- ソルの抜け殻から造られた神器。御使いの有する機動要塞で、怒りのドクトリンが操縦する。
- 至高神Z
- アドヴェントが、3つの神器・8つのスフィア・永遠の命をもつ3人の御使いとアサキムを融合させ完成させた新たな至高神。
関連用語
- 太極
- 至高神ソルの別称。
- 新世時空震動
- 哀しみのサクリファイが「エタニティ・フラット」構築の為に引き起こした多元世界規模の時空震動。
- エタニティ・フラット
- 哀しみのサクリファイによって引き起こされた絶対時間遅延現象。時の牢獄と呼ばれる。
- 烙印
- サクリファイが与えるマークポイント。烙印を刻まれた者は、『真化の兆しを見せた種のサンプル』として時の牢獄に引き込まれる。
- サイデリアル
- スフィアの収集を目的にした下部組織。
- 黒い太陽
- 惑星エス・テランに存在する、ソルの残り火から造られた神器。真の時空修復に必要な「超特異点」そのものである。
- スパイラルネメシス
- 螺旋力による進化の果てに起きる宇宙全ての終焉。彼等もこれの発生を非常に恐れており、これを阻止すべく原因となる知的生命体のいる宇宙を滅却している。
関連人物
- アサキム・ドーウィン
- 御使いによって無限獄に堕ちた「呪われし放浪者」。彼等からスフィアの収集を命じられた。
- 次元将
- 御使いを倒すために、人としてのすべてを捨て、「次元を渡り戦う戦士」に生まれ変わった人間達。
- スフィア・リアクター
- 御使いはそれぞれのリアクターの名を「洗礼名」で呼ぶ。彼等はスフィアの本質を「定められた宿命を歩む事を意味する」とし、その道に従ってリアクターに洗礼名を与える。