パトリック・ザラ(Patrick Zala)
- 登場作品:機動戦士ガンダムSEED
- 声優:有本欽隆
- 種族:地球人(コーディネイター)
- 性別:男
- 所属:プラント
- 階級:国防委員長 ⇒ 最高評議会議長
- キャラクターデザイン:平井久司
アスラン・ザラの実父で、プラント評議会国防委員長であり、後にプラント最高評議会議長を兼任。
プラント評議会強硬派の筆頭であり、元々差別論者だった上に更に血のバレンタイン事件で妻のレノアを失った事もあってナチュラルに対する憎悪が強い。最高評議会議長に就任してからは、ナチュラルを根絶させる形での戦争終結を目指すというほとんど狂気に取り付かれた独裁者に近い存在となった。
出生率低下を始めとするコーディネイターの限界についても受け入れようとせず、盟友シーゲル・クラインのナチュラルへの回帰を無視し、コーディネイターの英知で対処できると考え、穏健派である彼との対立も深めていく事になった。
プラント最高評議会議長就任後は、評議会に無断でアラスカ基地攻略戦を強行するものの、クルーゼの策略により情報が漏れ失敗に終わった上に、地上に残っていたザフト軍の戦力を大幅に失う。その後、フリーダム強奪事件を利用してシーゲルを暗殺する。
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦ではクルーゼの暗躍もあり大量破壊兵器ジェネシスを発射するまでに至ったが、地球に向けて撃つことを諌めた部下のレイ・ユウキを撃って致命傷を負わせる。ついには味方を巻き添えにしてジェネシスを撃とうとした結果、瀕死のユウキに撃たれて死亡。その最期はアスランに看取られたが、妻を殺したナチュラルへの憎しみの余りに最期まで地球を撃つことに拘った挙句、目の前にいるのがアスランであることにすら気付かなかったため、死と同時に当のアスランから詰られる体たらくであった。
他メディアでもほぼ同じ末路だが、コミックボンボンの漫画版のみ先にアスランのジャスティス自爆によるジェネシス破壊が発生し、アスランの自らの命をかけて地球を救おうとした姿に感化された(元々ジェネシスによる地球攻撃に疑問を持っていた)部下達に反乱を起こされ、拘束されるという結末を迎える。なお、後述にもあるが、ボンボン版ではアニメ版以上に「父親」としての人間性が強く表れたキャラクターとなっている。
登場作品と役柄
いずれの作品でも、原作通りナチュラルの抹殺に拘っており、また、自分達コーディネイターの力を盲信するが故か異星人等の人外の脅威をあまりに軽視しすぎており、ブルーコスモス以上に空気の読めない傍迷惑な指導者としての印象が強い。ただし、「ナチュラルは地球に住む人間」と限定しているらしく、Wでは宇宙移民で構成され、パトリックと同じく地球側の政府を敵視する草壁春樹率いる木連(及び追放後の彼の率いるクーデター軍である火星の後継者)と結託している。
αシリーズ
- 第3次スーパーロボット大戦α
- 第2次αのシャアの反乱には同調せず、サイコフレームが見せた人の心の光を見て地球への宣戦を取り止めていたが、血のバレンタインを契機に地球に対して宣戦。基本的には原作と役回りは同じ。
- …とはいえ、原作と違い外宇宙に歴代スパロボでも屈指の強敵を抱えている第3次αの状況で戦いを挑むのは空気を読めてないといえる。しかも星間連合と結託してまで地球を攻撃する始末。最大の脅威であるSTMCとその対抗兵器であるBMIIIの情報は得ていたが、その詳細は全く把握していなかったと言ってもよく、見当外れな発言がやたらと目立った。
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦J
- ほぼ原作と同じ扱い。オルファンを地球側の兵器とでっち上げ、ジェネシスの標的にした。
- スーパーロボット大戦W
- 第1部では木連を密かに支援していた。本作では血のバレンタイン事件が勃発したのも、この事実が発覚した為と、パトリックの愚行が最大の元凶となっている。
- 第2部で火星の後継者と同盟して地球連合に対抗するが、最終決戦に介入したエイドの大群によってプラントが危険に晒されているにも関わらず、それを無視して地球攻撃に執着するという遂に本末転倒の行動に出てしまい、侵略者の存在を無視してまでナチュラル殲滅に拘るその姿を見かねた部下からの「ザフトの戦力だけで外敵に対抗するのは不可能」と言う制止の言葉も聞こうとしなかった為に、見限られ射殺されてしまった。
- スーパーロボット大戦UX
- 『SEED DESTINY』のみの参戦(さらに原作終了後)なので名前が語られる程度だが、かつての戦争で多大な犠牲を出した戦犯として悪名を轟かせている。
単独作品
- スーパーロボット大戦Card Chronicle
- 原作同様にジェネシスを用いた地球壊滅を目論む。戦争が終結した後の処遇は不明。
人間関係
機動戦士ガンダムSEED
家族
- レノア・ザラ(SRW未登場)
- 妻。血のバレンタイン事件で死去。彼女の死がパトリックのナチュラルへの憎悪を掻き立てた。彼女が死んでからもパトリックはレノアを愛しており、特にボンボン版では妻のいない世界に価値はないと思っている程、その愛は強い。
- アスラン・ザラ
- 息子であるはずなのだが、妻の死後は赤の他人同然で冷え切った関係となってしまう。幼い頃のアスランと在りし日の妻の写真を常に側に置いていた所を見ればわかるように、決して愛が無かったわけではない。だが、その不器用さ故に父親として接することができず、すれ違いを繰り返した末に、最期の時まで分かり合うことができなかった。
プラント
- シーゲル・クライン
- 子供同士は婚約者となっている関係だが、路線の違いで対立し、後に刺客を送り込んで彼を暗殺する。
- アイリーン・カナーバ
- クライン父娘を反逆者と判断した際に彼女を拘束するが、最終回で脱獄しクーデターを起こした彼女に自分の派閥を一掃される事に。
ザフト
- ラウ・ル・クルーゼ
- 腹心の部下と思っているが、実際はクルーゼが利用しているだけであり、最期まで彼の暗躍と自分が怨敵であるブルーコスモスと一緒に掌で踊らされていた事実を知る事は無かった。
- レイ・ユウキ(SRW未登場)
- ザフトの黒服。最終回で彼に制止されるも逆に銃撃したが、事切れる寸前に彼によって射殺される事に。
その他
機動戦士ガンダムSEED DESTINY
- サトー
- 信奉者の一人で、ユニウスセブンの残骸を地球に落とそうとした。間接的ではあるが、パトリックの存在がブレイク・ザ・ワールドを引き起こしたと言えなくもない。
他作品との人間関係
名台詞
- 「スパイを手引きしたラクス・クライン、共に逃亡し行方の解らぬその父、漏洩していたスピットブレイクの攻撃目標…子供でも解る簡単な図式だぞ! クラインが裏切り者なのだ!」
- オペレーション・スピットブレイクが失敗した事を報告してきた部下にクライン派の拘束を命じた場面より。実際はザフトと地球連合軍の共倒れを望むクルーゼの策略であるが、当のパトリックは最後までその事実に気付くことは無かった。
- 一方、アスランにも内心では、子供にも解る図式に置き換えようとしているのではないかと思われていた(小説版のモノローグにて)。
- 「これはそのための戦いだ! そんなことも忘れたのか!!」
- アスランに詰め寄られ「敵を滅ぼすまで戦うのか」と言われた際にこう返した。
- もはや完全に目的がナチュラル殲滅となっている事が伺える。
- 「撃て…我らの…世界を…奪った…報い…」
- 死の間際の台詞。最後まで彼はナチュラル殲滅に取り憑かれたままであった。もともとナチュラルの所有物だったプラントを奪ったことは忘れているらしい。
- 「あの…バカ息子が…」
「レノアは…お前の母はな…私にとって唯一無二の存在だったのだ…! レノアのいないこの世界など私にとっては…」 - 高山瑞穂版『SEED』の終盤にて。TV版で省かれたパトリックの「父性像」に、僅かながらも踏み込んだ台詞。小説版でもモノローグにてほぼ同様の発言をしていた。
- このように彼の身に降りかかった悲劇に関しては、確かに同情するに値するものであるが、その為に行った大き過ぎる「復讐」は決して許されるものではないだろう。
スパロボシリーズの迷言集
「名台詞」よりも所謂「世迷言」の方が目立つのは、歪みまくったキャラ設定ゆえか…?
- 「STMCやプロトデビルン、バッフ・クランに帝国監察軍…」
「それらの脅威については私とて知っている!」 - 第3次α宇宙ルートより、ヤキン・ドゥーエ司令室内でのアスランとの会話。全銀河的規模の危機よりも一個人の私怨を優先させるパトリックが、それらの脅威についてどの程度把握しているのか、物凄く疑わしい。
- 「私とて人類の未来は考えている! その為にナチュラルを駆逐すると同時に、地球を防衛する為の兵器も用意している!」
「地球安全評議会のBMIIIとイージスの盾を合わせれば、人類を守る事も出来る!」 - どちらもプラントオリジナルの戦力でしたっけ? …と思う間も無く、「その為にはコーディネイターが地球の盟主になる必要が有る!」と怪気炎を上げ、何処までも己の私怨の正当性を訴えるのであった。
- 「このジェネシスと月のイージス…そして、BMIIIが有ればSTMCも恐れるに足らん!」
- ジェネシスの第一次照射で、三輪率いる主力艦隊を一掃した後にブチまけた地球防衛構想。既にイージスもBMIIIも己が手中に収めた気でいる皮算用発言が何とも痛々しいが、同時にSTMCの脅威について全く把握していない事を露呈してしまった。この後、またもや「コーディネイターこそ新たな人類!」と力説するものだから、もう余計に始末が悪い。
- 「ならん! 各戦線がイバリューダーによって混乱している今こそが絶好の好機!」
- 『W』にて、イバリューダーの襲撃に対しても、これこそが好機と考え共闘はせず泳がせておく始末。当作においても、人外の脅威を軽視しすぎている事が伺える。